文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国の経済状況は、急速な円高が更に進むとともに、本年4月に発生しました熊本地震による影響を受け、個人消費は力強さを欠くなど国内景気の足踏みが長期化し、踊り場局面が続く状況にありました。
当社グループの主力市場であります測量・不動産登記に係る市場におきましては、政府による公共事業費執行の前倒し効果により公共事業請負金額は前年を上回る状況で推移しましたが、設備投資意欲は回復ペースが鈍化している状況となりました。また、土木測量業界においては、国土交通省が提唱するICTを用いた建設業務への取り組みである「i-Construction」をフラッグシップに、UAV活用のニーズは一層の高まりを見せる状況となってまいりました。ITS分野においては、2015年度に内閣府から受託したSIP事業の成果を踏まえ、自動走行・安全運転支援システムの早期実現に向けダイナミックマップの共通基盤部分となる協調領域の仕様等を定めるとともに、国内自動車メーカーと一体となり永続的な整備・更新の事業化の検討を進める会社が本年6月に設立され、自動走行運転技術の2020年実現に向け、新たな動きが見られる状況となりました。
こうした状況の中で当社グループは、道路を走行しながら三次元データを取得する高精度三次元計測システム(以下、MMS)、空から三次元データを取得する産業用UAV「Winser」、地上で三次元データを取得するライカジオシステムズ株式会社(以下、ライカ)の三次元計測機器及び計測手法を揃え、様々な用途・場面に合わせた三次元データ取得技術の提案を進めてまいりました。また、これら三次元データ取得技術とともに、今後更なる活用推進が見込まれる三次元データを測量、施工、施設維持管理等の業務、及び自動走行等の研究開発において大規模利用するためのソフトウェアとして本年3月にリリースしました、精密三次元空間データ生産ツール「3DWING」並びに主力製品「Wingシリーズ」の最新バージョン「Wingneo INFINITY Ver.6」を、全国各地で企画開催しました「アイサンフェア2016春」を中心とした各イベントへの出展を通じ、積極的な提案・販売活動を進めてまいりました。
また、ITSの分野において、当社のMMSを利活用した高精度三次元地図データの有用性は、非常に高い評価を得ており、当該分野における計測・地図作成に係る受注案件は増加傾向にあります。更には「愛知県による県下15市町における自動走行の社会受容性実証実験事業の受託」「愛知県幸田町全域における高精度三次元地図の整備」「産学官連携自動走行実証実験促進事業(あま市モデル)」など、自動運転システムの実現を目指す産学官の各方面における、高精度三次元地図情報、並びに当社が創業来培ってまいりました高精度に位置情報を求める演算技術の需要が伸びてまいりました。一方、前事業年度に受注したMMSの一部が製造元の納期延長となった為、予定していた収益計上が翌四半期会計期間以降へスライドしたことや、受託した高精度三次元地図作成業務について第2四半期以降に納品となるものが多かったことなど、当第1四半期連結累計期間の収益への影響がありました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は398百万円(前年同期比7.4%減)、営業損失は△47百万円(前年同期は12百万円の営業利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は△37百万円(前年同期は7百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。
セグメント別においては、次の通りであります。
①測地ソリューション事業
測地ソリューション事業におきましては、各種補助金を活用した三次元計測機器をはじめとする測量計測機器と測量現場で利用するソフトウェアの販売が好調に推移した一方、主力製品「Wingneo INFINITY」の最新バージョンである「Wingneo INFINITY Ver.6」は販売に向けた提案活動を行いましたが、新規のお客様への販売、既にご利用いただいているお客様への追加の販売が共に前年を下回る結果となりました。本年4月に発生しました熊本地震の復旧・復興に向けて、測量計測機器の需要は高い状況にあることより、本年7月には被災地において技術セミナーの開催を予定し、作業に欠かせない技術情報及び復旧・復興作業に役立つ測量計測機器を含むソリューションの提案を行ってまいります。
以上の結果、測地ソリューション事業の売上高は309百万円(前年同期比8.4%減)、セグメント利益(営業利益)は48百万円(前年同期比44.2%減)となりました。
②G空間ソリューション事業
G空間ソリューション事業におきましては、2020年東京オリンピック・パラリンピックでの自動車の自動走行実用化を目指し、各方面での自動車の自動走行技術の研究開発及び実証実験がますます活発となってきました。その中で当社は愛知県から県内における社会受容性に関する実証実験を受託し、高精度三次元地図の整備を進めております。第2四半期連結会計期間以降には、自動走行車両を用いた実証実験や、一部住民の協力の下、無人タクシー等の新サービスのニーズ及び社会受容性の検証を行う予定としております。一方、MMSの販売に関しては、当第1四半期連結累計期間において、前連結会計年度に受注した案件の収益計上を見込んでおりましたが、製造元による生産作業工程が想定以上に延びたことより、その一部の収益計上が翌四半期連結会計期間以降にスライドいたしました。高精度三次元地図を作成する受注業務に関しても、受注状況は順調に推移したものの、その成果の納品が第2四半期連結会計期間以降になる案件が多く、当第1四半期連結累計期間における収益には貢献せず、前年同期を下回る結果となりました。また、当事業セグメントにおいては、事業拡大を目的として引き続き積極的な設備投資、研究開発投資を実施しました。
以上の結果、G空間ソリューション事業の売上高は86百万円(前年同期比4.1%減)となり、セグメント損失△52百万円(前年同期は△26百万円のセグメント損失)となりました。
③その他
その他事業の売上高は3百万円(前年同期比12.1%増)、セグメント利益は1百万円(前年同期は0百万円のセグメント損失)となりました。
(2)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(3)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は13百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
変化の激しいIT業界において、これまで測量市場を牽引してきた最新OSとパソコンをバンドルしたビジネスモデルは、タブレットPC及びスマートフォンの台頭により大きく転換しました。ソフトウェアの運用におきましても「クラウド」モデルが一般的となった今日においては、当社グループが開発・販売するソフトウェアとソリューションも同様の転換期にある環境です。また、当社グループにおける主たる販売市場であります測量市場におきましても、公共事業請負金額が前年を下回る状況において、従来型の公共事業ではこれまでと同様の経済効果を得る事は懐疑的であり、高度経済成長期に整備された道路・港湾・トンネルに代表される社会インフラの老朽化が加速度的に進む中、その維持管理において財政面を含めて適切な対応を施す方向性が強く求められております。
当社グループといたしましては、現在、当社グループが保有するテクノロジーを、顧客ニーズの変化に対し、迅速かつ的確に時代背景に合わせて製品・サービスの創出、営業力、技術力を変化させていく事を課題として捉えながら、国産初の準天頂衛星「みちびき」に代表される新しい測量時代に向けた「モノ創り」に全うしてまいります。
事業セグメント別及び研究開発部門、間接部門における対処すべき課題は以下の通りです。
(測地ソリューション事業)
本事業では測量・不動産登記を業務とする法人、個人事業主を主な顧客とし活動しております。その市場規模は、測量業者として国土交通省に登録している法人業者数、測量及び不動産の表示に関する登記の専門家である土地家屋調査士の個人会員数ともに減少傾向にあります。その中でも「i-Construction」や「UAV」といった新たな動きも登場する環境の下、市場のニーズに即した測量計測機器、測地ソフトウェア、サポートサービス、周辺機器と業務の効率化を目指した製品・サービスの提案を強化していく必要があります。
(G空間ソリューション事業)
自動車産業の分野で加速度的に需要が増加しつつある高精度三次元地図データベース構築受託業務においては、計測受託から成果品作成、品質管理に至るビジネスモデルを改良し続けることで利益率の更なる向上を目指す必要があります。
また、従来の屋外を中心とした計測業務から、屋内を含めたトータルでの三次元計測事業の確立に向けた技術の蓄積と体制を強化する必要があります。
(研究開発部門)
2018年準天頂衛星本格運用時代に向けて、当社がこれまで培ってきた技術とこれまで実施してきた研究開発活動を融合し、新たな製品・サービスの開発に邁進する体制が必要となります。
また、研究開発投資が当社グループの収益に貢献すべく、その活動の成果を明確にし、より効率的な活動を行っていく必要があります。
(間接部門)
各項目にて述べた課題を克服すべく、適切なコスト負担による人材獲得と教育投資による人材の徹底活用を推進してまいります。また、毎年改正される税制及び各種会計基準に適正に対処すべく、関係機関とも連携を強化し、対応していく必要があります。
また、社内の様々な業務のIT化を推進し、事業部門及び間接部門の生産性を高めてまいります。
以上、当社グループは、今後とも測量業務をソフトウェアから測量計測機器までトータルでソリューションを実現でき、且つ、自動車の自動走行に必要とされる高精度三次元地図に「測量」の技術を融合させることができる国内唯一の企業として、市場での存在を確かなものとし、あわせて、組織体制、コンプライアンス体制、リスク管理体制をよりいっそう充実させるとともに、更なるコストの見直しと削減を進めてまいります。また、コーポレート・ガバナンス、内部統制の強化にも継続的に取り組み、公正で透明性の高い、社会から信頼を寄せられる経営を進めることで、当社グループに関わるステークホルダーに貢献してまいります。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの事業資金については、自己資金及び金融機関からの借入金により調達しております。なお、当第1四半期連結会計期間末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は引き続き高いと考えております。
(6)経営者の問題意識と今後の方針について
「2018年実用準天頂衛星の本格運用」、「2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた自動走行運転支援技術の実現やその他新たなビジネスシーンの創造」の局面において、当社グループが誇る高精度位置情報解析技術を更に追求した先行研究を更に充実させるとともに、タイムリーな製品・サービスの提供を目指した経営資源の集中をこれまで以上に行う必要があります。一方で、当社が提供するソフトウェアほか各種製品・高精度三次元地図データ、お客様より請け負った業務の成果、各種サービスの全てにおいて、品質管理の徹底が求められるとともに、公正で透明性の高い経営を追求してまいります。