当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、人々の健康を支え、いい人生を提供すること、イノベーションを通して人々の健康を支え、幸せでいい人生を送っていただけるための土台となることを使命として、健康を支えるインフラを提供すること、さまざまなサービスを絶えず展開し、人々の健康を支えるインフラを提供することを目指します。
国内の健康寿命や平均寿命が年々伸びを見せるとともに人々の健康でありたいとの想いが高まるなかで、医療・健康に関連する事業領域は広がりを見せております。当社グループは、臨床検査事業及び調剤薬局事業で培ったノウハウとICTを活用し、顧客ニーズに対応した医療・健康サポートサービスを提供してまいります。
また、ステークホルダーの信頼に応えるため、財務基盤の安定化に努めるとともに、事業の収益力の向上を図り、グループ全体での企業価値の向上を目指してまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略及び事業上・財務上の課題
当社グループは、令和4年3月期から令和6年3月期までの3ヶ年を対象とした中期経営計画を策定しておりま
す。
中期経営計画2年目である当連結会計年度におきまして、売上高、利益とも一年早く、最終年度の連結数値目標を達成しました。この主な要因は、臨床検査事業におけるCOVID-19関連検査の受託数が、前連結会計年度より減少したものの、第7波と第8波により計画策定当初の想定を上回ったこと並びに体外診断用医薬品「MSI検査キット(FALCO)」の販売が順調に推移したことによるものであります。
しかしながら、COVID-19関連検査の受託数が第8波以降に大幅に減少していること、また、令和5年5月に感染症法上の位置付けが第5類へ変更されたこと等から、最終年度である令和6年3月期におきましては、計画策定当初に一定程度見込んでいたCOVID-19関連検査の売上高は想定以上に減少するものと予想されます。
このような厳しい状況のもと、当社グループは、サステナビリティ経営を推進し、グループの持続可能性と持続可能な社会との両立に向けて取り組むとともに、以下の施策により中期経営計画の達成を目指してまいります。
①新たな収益基盤の確立と事業構造の転換
医療業界におきましては、遺伝子情報に基づく個別化医療、医療分野におけるICTの更なる活用による医療の効率化などへの社会的ニーズが高まっております。これらをビジネスチャンスと捉え、以下の新事業を臨床検査事業、調剤薬局事業に次ぐ新たな収益の柱として確立し、事業構造の転換を目指してまいります。
・ゲノム事業
体外診断用医薬品「MSI検査キット(FALCO)」については市場浸透を図るとともにがん分野での更なる適応拡大を進め、周産期に係る遺伝子検査については検査実績を積み重ねることにより市場拡大につとめてまいります。また、将来のがん発症リスクを予測する遺伝性腫瘍パネル検査については、実用化に向け研究開発を推進し、遺伝子に基づく個別化医療の進展に貢献してまいります。
・ICT事業
レセプト情報を基にした診療所向け支援サービス「レセスタ」の導入の拡大、中小規模病院向けクラウド型電子カルテ「HAYATE/NEO」の普及促進を通じて、医療機関のICT化に貢献し、ICTを活用した医療機関の運営サポート企業への転換を加速させてまいります。
②株主還元の強化
当社は、剰余金の配当の他、自己株式の取得等の還元策を含めた総額を総還元額とし、連結純資産総還元率3%を目標としておりましたが、これを4~5%程度に引き上げ、株主還元を強化してまいります。
さらに、資本コストや資本収益性を意識した経営を推進し、ROEの向上と株主還元により株価純資産倍率(PBR)1倍超を目指してまいります。
③臨床検査事業及び調剤薬局事業の事業構造の変革
臨床検査事業及び調剤薬局事業におきましては、市場が成熟化し、今後成長率がさらに鈍化していく見通しであります。また、医療保険財政の厳しさから診療報酬や薬価の改定が従来以上に厳しくなることが予想されます。
このような状況のもと、 臨床検査事業におきましては、ICTツールを活用し、営業・依頼・集配・検査・結果報告までの臨床検査事業に係る業務プロセスのICT化を行うことで、事業構造の変革を推し進め、顧客サービスの向上、環境負荷の低減、経営資源の効率化を図ってまいります。
調剤薬局事業におきましては、高齢者施設の入居者等へのサービス向上に努め、ICTを活用した患者との接点の強化及び調剤業務の抜本的な見直しを進めるとともに、環境に配慮した調剤薬局へと事業構造を改革し、街のかかりつけ薬局として地域医療に貢献してまいります。
④人財育成・地域社会への貢献
当社グループは、事業活動を通じ、地域の人々の健康を支える土台となることを目指しております。サステナビリティ経営の一環として、地域の文化や芸術活動との交流を深めるとともに、イノベーションを創造し、推進できる多様な人財の育成と登用に努めてまいります。
⑤連結数値目標
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(単位:百万円) |
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36期 |
37期 |
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令和5年3月期 |
令和6年3月期 |
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(実績) |
(中期経営計画) |
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売上高 |
46,913 |
45,000 |
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営業利益 |
3,075 |
3,000 |
|
経常利益 |
3,310 |
3,150 |
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親会社株主に帰属する当期純利益 |
2,261 |
1,900 |
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ROE |
9% |
9% |
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新事業売上比率※ |
4% |
10% |
※「新事業」は、体外診断用医薬品「MSI検査キット(FALCO)」等のゲノム事業、クラウド型電子カルテ「HAYATE/NEO」、診療所支援ビジネス「レセスタ」等のICT事業の合計を指します。
なお、当社は令和5年3月10日付で株式会社ビー・エム・エルと資本業務提携契約を締結いたしました。これにより、当社は経営の独立性を維持した上で、国内のクリニック・診療所市場において、検査機能、ICT機能、顧客基盤等を相互に活用・補完し合うことにより、臨床検査事業を強化し、ICT事業・ゲノム事業の成長を加速させ、企業価値の向上を図ってまいります。
(3)経営上の目標を達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、経営効率性の状況を判断するための指標として、株主資本利益率(ROE)を主な経営指標としており、中長期的には9%以上を目標としております。
当社グループは、サステナビリティ経営を推進し、グループの持続可能性と持続可能な社会との両立に向けて取り組んでおります。
[詳細は、会社ウエブサイトを参照]
(1)ガバナンス
当社グループでは、企業活動を通じて、お客様、株主様、従業者をはじめ、私たちを取り巻くステークホルダーの皆様にいい人生を送っていただけることに、私たちの存在価値があると考えています。
サステナビリティ経営の推進のため、取締役会のもとに「サステナビリティ委員会」を設置し、グループ全体のサステナビリティに関する方針・対策の立案、リスク・機会の特定、サステナビリティに関する情報の収集及び方針に基づく事業会社・各部門の取組状況の監督等を行い、活動状況については、取締役会へ報告され、必要に応じて対応指示を行っております。
サステナビリティに関するリスクについては、リスク管理委員会と連携し、リスクマネジメント体制において管理しています。
(2)戦略
①気候変動
気候変動に関するシナリオ分析においては主要な事業である臨床検査事業・調剤薬局事業・ICT事業を対象に、2030年度の影響を検討しました。
シナリオは、脱炭素へ移行する 2°Cシナリオと、現状を上回る温暖化対策が取られず温暖化が進行する4°Cシナリオの2つを検討しました。
シナリオに基づくリスクと機会の抽出を行い、必要な対応を検討した結果、臨床検査事業・調剤薬局事業・ICT 事業における、気候変動に伴う重大な事業リスクは確認されませんでした。
②人財育成
当社グループは、イノベーションを通して「人々の健康を支え、いい人生を提供すること」ができる人財の育成に取り組むとともに、グループの将来を担う多様な人財の採用に努めております。
また、当社グループにおける経営者候補を早期選抜もしくは採用し、将来のグループ経営を担う人財の育成に取り組んでおります。
③社内環境
当社グループは、人権および多様性を尊重し、職場の安全と心身の健康を守る、健全な職場環境づくりに取り組んでおります。
当社グループでは薬剤師、臨床検査技師等専門性の高い職種や管理職で女性が活躍しており、更に女性の管理職登用を進めております。
中途採用者についても積極的に採用しており、管理職等として各方面で活躍しております。
また、リフレッシュ休暇制度の導入、有給休暇の取得推進、育児・介護の両立支援等、ワークライフバランスを充実させ、多様な職員が活躍できるよう取り組んでおります。
(3)リスク管理
当社グループでは、業務の健全性と適切性の確保を図り、持続的な成長を実現するため、業務におけるリスクを把握し、損失防止につとめるとともに、リスク発生時に迅速に対応できるように、リスクマネジメント体制を構築し、当社グループのリスク評価の実施・リスクマネジメントの推進機関として、取締役会のもとに「リスク管理委員会」を設置しています。
リスク管理委員会では、当社グループのリスクマネジメントに関する方針・対策の立案や方針に基づく事業会社・各部門の取組状況の監督、リスク情報の収集等を行っています。
サステナビリティに関するリスクについても、サステナビリティ委員会と連携し、リスクマネジメント体制において管理しています。
リスク管理委員会での審議内容・活動状況については、取締役会へ報告し、必要に応じて対応指示を受けています。
(4)指標と目標
環境関連
当社グループとしてのCO2排出量削減目標の設定に向けた検討を進めています。
人的資本
当社グループの管理職に占める女性比率の向上を目指し、係長職以下の役職に占める割合を高める取り組みを進めていきます。
リフレッシュ休暇制度の導入、有給休暇の取得推進、育児・介護の両立支援等、ワークライフバランスを充実させ、多様な職員が活躍できる職場づくりを目指しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)臨床検査事業の法的規制について
当社グループが実施する臨床検査事業は、「臨床検査技師等に関する法律」により衛生検査所が所在する都道府県知事の許可を必要とし、衛生検査所の設備、管理組織等の面において、同法に基づく規制が実施されております。万一、法令違反により、営業停止又は取消を受けることとなった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
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許認可の名称 |
有効期限 |
関連する法令 |
登録等の交付者 |
|
衛生検査所登録 |
- |
臨床検査技師等に関する法律 |
各都道府県知事 |
|
体外診断用医薬品製造業登録 |
5年 |
医薬品医療機器等法 |
各都道府県知事 |
|
体外診断用医薬品製造販売業許可 |
5年 |
医薬品医療機器等法 |
各都道府県知事 |
(2)調剤薬局事業に対する法的規制について
当社グループが実施する調剤薬局事業は、「医薬品医療機器等法」や「健康保険法」等により各都道府県知事の許可並びに各地方厚生局長の指定等を必要とし、調剤薬局の設備、管理組織等の面において、同法等に基づく規制が実施されております。万一、法令違反により、営業停止又は取消を受けることとなった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
|
許認可等の名称 |
有効期限 |
関連する法令 |
登録者の交付者 |
|
医薬品販売業許可 |
6年 |
医薬品医療機器等法 |
各都道府県知事 |
|
薬局開設許可 |
6年 |
医薬品医療機器等法 |
各都道府県知事 |
|
保険薬局指定 |
6年 |
健康保険法 |
各地方厚生(支)局長 |
|
麻薬小売業者免許 |
3年 |
麻薬及び向精神薬取締法 |
各都道府県知事 |
|
医療機器販売業許可 |
6年 |
医薬品医療機器等法 |
各都道府県知事 |
(3)その他法的規制について
上記の臨床検査事業及び調剤薬局事業の法的規制以外にも独占禁止法、税制、環境関連諸法令等様々な公的規制を受けております。
万一、これらの規制を遵守できなかった場合、制裁金等を課される可能性があります。また、今後規制の強化や大幅な変更がなされた場合、当社グループの活動の制約を受けたり、規制内容の変更に対応するためのコストが発生する可能性があります。これらの規制は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、許認可等の状況を各担当部門が定期的に確認することに加え、関連法令の改正情報を早期に入手し、影響を検討し対応することにより、リスクの低減を図ってまいります。
(4)診療報酬点数の改定について
当社グループが実施する臨床検査に係る診療報酬点数は、「健康保険法」の規定により厚生労働省が決定しております。また、毎年の診療報酬点数の引き下げが慣例となっており、今後、健康保険法の改正が行われ診療報酬点数が引き下げられた場合、臨床検査事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、健康保険法の改正情報を早期に入手し、影響を検討し早期に対応するとともに、検査体制及び営業体制の再構築を進め、収益基盤の強化に継続的に取り組むことによってリスクの低減を図ってまいります。
(5)薬価並びに調剤報酬の改定について
当社グループが実施する調剤薬局事業に係る薬価並びに調剤報酬は、「健康保険法」の規定により厚生労働省が決定しております。今後、健康保険法の改正が行われ薬価並びに調剤報酬が引き下げられた場合、調剤薬局事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、健康保険法の改正情報を早期に入手し影響を検討し、医薬品購入価格の低減化等をはじめとする対応を行うとともに、店舗運営の効率化を継続的に取り組むことによってリスクの低減を図ってまいります。
(6)検査過誤及び調剤過誤について
当社グループが実施する臨床検査事業に係る検査過誤を防止するため、標準作業書に基づく作業の徹底と精度管理体制を整えるとともに、細心の注意を払い検査業務を行っておりますが、万一、検査過誤等による訴訟等が生じた場合、信用失墜や賠償責任等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、調剤薬局事業に係る調剤過誤を防止するために「調剤ミス防止システム」等を導入し、ミス防止体制を整えるとともに、細心の注意を払い調剤業務を行っておりますが、万一、調剤過誤等による訴訟等が生じた場合、信用失墜や賠償責任等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(7)情報保護について
当社グループの事業において、事業活動上多くの個人・顧客情報を取り扱っており、その保護に努めておりますが、万一、情報が外部に流出した場合、信用失墜や賠償責任等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、当社では「個人情報保護方針」「情報セキュリティーポリシー」を制定するとともに、医療総合サービスにおける情報セキュリティーの重要性を深く認識し、安心・安全な情報システム環境の構築に努め、情報セキュリティーの確保、委託先への適切な監督や社内通報の保護に向けた必要な取り組みを継続的に実施しております。また、グループ会社の全役員・従業員が、情報の守秘義務はもとより、個人情報保護法等の関連法令等を遵守し、個人情報の適切な保護が確保できるよう、教育研修の実施等を通じて、従業者の個人情報の保護意識の継続的な啓発を図ってまいります。
(8)企業買収等について
当社グループは、企業買収及び資本参加を含む投資による事業の拡大を企画することがあります。当社グループは対象事業との統合効果を最大限に高めるために当社グループの経営戦略等を図りますが、期待した利益やシナジー効果をあげられる保証はありません。
(9)投資有価証券の減損処理について
当社グループは、市場価格のない株式等以外の有価証券を保有しておりますが、時価が著しく下落した場合には、取得原価と時価との差額を当該期の損失とすることとなり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10)関係会社株式の減損処理について
今後、企業買収等により取得した関係会社株式において、当初想定していた超過収益力が低下した場合、関係会社株式の減損処理等によって、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)固定資産の減損処理について
当社グループは、自社保有している固定資産の価値が将来大幅に下落した場合並びに店舗等の収益性が低下した場合、減損会計の適用により対象となる資産又は資産グループに対して、固定資産の減損処理が必要になる場合があります。これにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)繰延税金資産の取崩しについて
当社グループは、将来の課税所得の予測に基づいて繰延税金資産の計上・取崩を行っております。経営成績が大幅に悪化した場合には、繰延税金資産の回収が見込めないと判断をし、繰延税金資産を減少させることにより、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(13)子会社の統廃合について
当社は、競争力強化のため買収した子会社の統廃合を実施しております。今後、子会社の統廃合を実施した場合、当社の財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(14)災害、事故等に起因する事業活動の停止、制約等について
当社グループの各事業所が、大規模な台風、地震等の自然災害に見舞われた場合は操業に支障が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、重大な労働災害、設備事故等が発生した場合には事業活動の停止、制約等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。
この対策として、実際に自然災害が発生した場合は、直ちに対策本部を立ち上げ対応できる体制を整備しております。
(15)COVID-19について
当社グループは、COVID-19の縮小及び令和5年5月に感染症法上の位置付けが第5類に分類されたこと等により、COVID-19関連検査の売上高は影響を受ける可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」)の影響が依然残るものの、行動規制の緩和により経済活動は緩やかに持ち直しの動きが見られました。一方で、ウクライナ情勢をはじめ、北朝鮮のミサイル問題等、地政学的リスクの上昇と多様化、各国中央銀行による政策金利の調整、為替変動及び物価上昇等が及ぼす景況感への懸念が広がる不透明な状況が続いております。
当社グループは、COVID-19の拡大に大きな影響を受ける環境下にありました。COVID-19関連検査の受託検査数は、令和5年1月まで感染拡大の影響により前連結会計年度を上回って推移しておりましたが、第8波がピークを過ぎた令和5年2月以降急減し、累計では前連結会計年度を下回りました。また、COVID-19関連検査以外の受託検査数及び調剤薬局の処方箋枚数は、感染の懸念により患者が医療機関の受診を控える傾向が続き、前連結会計年度並みとなりました。
このような事業環境のもと、当社グループは、グループの持続可能性と持続可能な社会とを両立させるためのサステナビリティ経営を目指し、COVID-19関連検査を通じた国内の感染拡大抑制への貢献、新たな収益の柱の確立、ICTを活用し環境に配慮した事業構造への変革、人財育成、地域社会への貢献に取り組んでまいりました。令和4年7月には、ICTを活用した事業展開を加速させるために、株式会社ファルコビジネスサポート(現株式会社メディサージュ)が株式会社ファルコバイオシステムズのICT事業を吸収分割により承継いたしました。
当連結会計年度におきましては、診療報酬改定及び薬価改定の影響が大きく、COVID-19関連検査をはじめとする臨床検査事業及び調剤薬局事業の収益性が低下したことにより、売上高は46,913百万円(前年同期比6.2%減)、営業利益は3,075百万円(同44.0%減)、経常利益は3,310百万円(同43.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,261百万円(同36.0%減)となりました。
なお、臨床検査の委受託等を通じて一定の協力関係にある株式会社ビー・エム・エルと、令和5年3月10日付で資本業務提携契約を締結いたしました。これにより、それぞれの経営資源を相互に活用して、お客様の利便性の向上及び危機管理対策の強化を図り、よりよい医療サービスを提供するとともに、シナジーの最大化を図り、企業価値の向上を目指してまいります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(臨床検査事業)
当連結会計年度の臨床検査事業におきまして、COVID-19関連検査の売上は、診療報酬改定に伴う受託単価の低下及び令和5年2月以降の受託検査数の減少により、前連結会計年度を下回りました。COVID-19関連検査以外の検査につきましては、引き続き大都市圏を重点地域とした事業展開を進めましたが、COVID-19の拡大による患者の受診控え等の影響を受け、売上は前連結会計年度並みとなりました。
ゲノム事業におきましては、体外診断用医薬品「MSI検査キット(FALCO)」(※1)が、一昨年の適応拡大以降プロモーション活動を推進したことにより順調に販売を伸ばし、売上及び利益に寄与しました。また、ICT事業においても積極的な販売活動を展開し、診療所向けクラウド型サービス「レセスタ」(※2)は順調に契約数を伸ばし、中小規模病院向けクラウド型電子カルテ「HAYATE/NEO」も稼働件数を伸ばしました。
さらにはタブレット端末の活用、臨床検査の依頼及び報告のICT化等による営業から集配、検査にわたる事業構造の抜本的な改革により、顧客サービスの向上とコストの削減を進めてまいりましたが、診療報酬改定に伴うCOVID-19関連検査の原価率の上昇を補うには至りませんでした。
このような事業展開の結果、臨床検査事業の売上高は30,947百万円(前年同期比8.1%減)、営業利益は2,745百万円(同43.9%減)となりました。
(※1)キイトルーダ®(一般名:ペムブロリズマブ)の固形がん患者への適応判定、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)の結腸・直腸がん患者への適応判定、切除可能大腸がんにおける術後補助化学療法の選択及び大腸がんにおけるリンチ症候群の診断の補助に用いる体外診断用医薬品の名称です。平成30年に世界で初めてのがん種横断的なコンパニオン診断薬として薬事承認を取得いたしました。令和3年8月には「治癒切除不能な進行・再発の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する結腸・直腸癌」に対するキイトルーダ®の適応判定補助に新たに保険適用される等、次世代がんゲノム医療の進展に寄与すべく販売強化に取り組んでおります。
(※2)レセプト情報を基にした適正な診療・医事業務支援サービス。
(調剤薬局事業)
当社グループでは、かかりつけ薬剤師・薬局として求められる役割・機能を果たすとともに、高齢者施設及び在宅を中心とした地域医療との連携を進め、堅実な店舗の運営、既存店舗の処方箋応需の拡大に取り組んでまいりました。
当連結会計年度におきましては、COVID-19拡大の影響により減少していた処方箋応需枚数は前連結会計年度並みに留まりましたが、薬価改定による処方箋単価低下の影響を受け、売上は減少いたしました。当社グループが運営する調剤薬局等店舗総数は、当連結会計年度に2店舗開局したことにより、111店舗(フランチャイズ店7店舗含む)となりました。
このような事業展開の結果、調剤薬局事業の売上高は15,972百万円(前年同期比2.3%減)、営業利益は892百万円(同11.2%減)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は22,706百万円(前年同期末比0.2%増)となり、前連結会計年度末に比べ37百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が1,959百万円増加したこと及び売上債権が1,218百万円減少したことによるものであります。固定資産は16,187百万円(同8.0%減)となり、前連結会計年度末に比べ1,401百万円減少いたしました。これは主に無形固定資産が117百万円減少したこと及び投資有価証券が1,182百万円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、38,893百万円(同3.4%減)となり、前連結会計年度末に比べ1,363百万円減少いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は9,564百万円(前年同期末比16.0%減)となり、前連結会計年度末に比べ1,824百万円減少いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が1,624百万円増加した一方、短期借入金が300百万円減少したこと及び仕入債務が1,009百万円減少したこと並びに未払法人税等が1,544百万円減少したことによるものであります。固定負債は2,736百万円(同49.2%減)となり、前連結会計年度末に比べ2,652百万円減少いたしました。これは主に長期借入金2,340百万円を流動負債に振替えたことによるものであります。
この結果、負債合計は12,301百万円(同26.7%減)となり、前連結会計年度末に比べ4,476百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は26,591百万円(前年同期末比13.3%増)となり、前連結会計年度末に比べ3,113百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益2,261百万円、自己株式の処分による資本剰余金の増加283百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は68.2%(前連結会計年度末は58.1%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベ-スの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,959百万円増加し、12,603百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,086百万円(前年同期は4,129百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益3,695百万円、減価償却費1,025百万円、売上債権の減少額1,623百万円及び法人税等の支払額2,654百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は322百万円(前年同期は2,690百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,287百万円及び投資有価証券の売却による収入2,081百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は448百万円(前年同期は2,414百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額300百万円、長期借入金の返済による支出715百万円、配当金の支払額713百万円及び自己株式の売却による収入1,546百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和4年4月1日 至 令和5年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
臨床検査事業(百万円) |
30,941 |
91.9 |
|
調剤薬局事業(百万円) |
15,971 |
97.7 |
|
合 計(百万円) |
46,913 |
93.8 |
(注)金額は販売価額によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
臨床検査事業 |
30,919 |
91.9 |
300 |
93.2 |
|
調剤薬局事業 |
- |
- |
- |
- |
|
合 計 |
30,919 |
91.9 |
300 |
93.2 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和4年4月1日 至 令和5年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
臨床検査事業(百万円) |
30,941 |
91.9 |
|
調剤薬局事業(百万円) |
15,971 |
97.7 |
|
合 計(百万円) |
46,913 |
93.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主要な販売先(総販売実績に対する割合が10%以上)に該当するものはありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(概要および売上高・営業利益)
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績等の概要および売上高、営業利益は、「(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況」に記載しております。
(経常利益)
経常利益は、営業利益の減少の影響に加え、前連結会計年度にあったCOVID-19対策関連の補助金137百万円の影響等により、前連結会計年度に比べ2,498百万円減少し、経常利益は3,310百万円(同43.0%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益601百万円を特別利益として計上するものの、経常利益の減少の影響により、前連結会計年度に比べ1,271百万円減少し、2,261百万円(同36.0%減)となりました。
財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは、臨床検査事業における検査試薬や調剤薬局事業における医薬品の購入費のほか、各事業における人件費や製造・販売経費等があります。また、設備投資需要としては、臨床検査事業の検査設備及び事業所や調剤薬局事業の店舗設備等があります。
当社グループでは事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入れにより資金調達を行っており、当社においてグループ全体の運転資金及び設備資金を一元管理しております。
運転資金は内部資金及び金融機関からの短期借入を基本としておりますが、当連結会計年度においてはCOVID-19拡大の影響がある中で手元資金確保のため、金融機関より長期借入による資金調達を行っております。
また、当社は令和5年3月に臨床検査事業の検査体制の維持及び基幹事業所の整備として、東海エリアの不動産取得を行うため、株式会社ビー・エム・エルを割当先とする第三者割当による自己株式の処分を実施する資金調達を行いました。また、当連結会計年度末現在において予定されている臨床検査事業の検査機器等や調剤薬局事業の店舗設備等の設備投資については、自己資金及び借入金を充当する予定です。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は2,802百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は12,603百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
業務・資本提携契約
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約締結日 |
契約内容 |
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株式会社ファルコ ホールディングス (当社) |
株式会社ODK ソリューションズ |
平成28年8月5日 |
業務提携 1.ITシステムに係る業務の委託 2.ITシステム開発における協力 3.協業サービスの商品企画 4.協業サービスの提供実現に向けた システム開発及び導入 5.協業サービスの共同営業展開 資本提携 株式の相互保有 |
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株式会社ファルコ ホールディングス (当社) |
株式会社ビー・エム・エル |
令和5年3月10日 |
業務提携 1.検査機能の相互補完と受注拡大 2.基幹ラボの相互連携によるBCP対応 3.地域ラボの相互活用による効率化とサービス向上 4.顧客基盤の相互活用によるICT事業の収益拡大 資本提携 株式の相互保有 |
当グループは、臨床検査事業においてゲノム医療に関する研究開発に取り組んでおります。
当社の連結子会社である㈱ファルコバイオシステムズにおいて、遺伝性腫瘍パネル検査の研究開発活動を推進しておりますが、当連結会計年度に研究開発費として計上するものはありません。