第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 経営の基本方針

当社は、創業以来、「協力一致、積極活動、堅実経営」を社是とし、人間社会と自然環境との共生、国民が安全で安心できる社会に技術をもって広く貢献することを企業理念としてまいりました。

この理念のもと、「地球環境にやさしい優れた技術と判断力で、豊かな社会づくりに貢献する」を経営ミッションとし、現場を重視するアースドクターとして陸域から海域まで、自然環境との調和を図りながら地盤に関する多種多様な問題に取り組み、誠実・迅速・高品質なサービスを心がけ、時代が必要とする精緻な調査・解析技術を開発し、発注者の課題解決のご要望におこたえできるレベルの高いアドバイスが可能な総合建設コンサルタント集団としての発展を図り、株主の皆様のご期待に応えていくことを経営基本方針としております。

 

(2) 目標とする経営指標

目標とする中長期の経営指標といたしましては、安定した経営を持続していく上で、自己資本経常利益率を重要な経営指標の一つと考え、その向上に努めてまいります。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

現在当社を取り巻く経営環境は、年々激甚化する自然災害に対応した防災・減災をはじめとする国土強靭化推進業務、道路・下水道維持管理をはじめとする老朽化インフラ整備維持管理業務、再生可能エネルギー、海洋資源開発、日本万国博覧会関連業務等の需要が期待されますが、引き続き厳しい受注競争が予測されます。

こうした状況のもと、将来の更なる発展へ向けて、コア技術を活かした点検、診断、維持対策工法検討などインフラメンテナンス業務に注力するとともに、長年現場で培った地質リスクに対応した保有・先端技術を活かした提案力をもって、顧客との信頼と高品質成果の確保に注力し、収益性を重視したプロセスの見直しと原価・経費管理の徹底、ならびに更なる差別化のため、引き続き新分野の市場開拓とAI・ICT活用などの研究開発を推進し、労働環境の改善に取り組みつつ、経営基盤強化と業績向上に努めてまいります。

また、一定の成果を得た「コアビジネスの拡大と新たな事業領域の選択」、「信頼の確保」、「次代のニーズに対応した働き方、人材教育と組織づくり」を基本方針とした「第3次中期経営方針(2016~2018)」の課題を踏まえ、将来の更なる発展に向け、新たな3ヶ年計画「第4次中期経営方針(2019~2021)」を策定しました。

第70期はその中間年にあたり、「コア事業の維持向上」、「事業領域の選択」、「信頼の確保」、「次世代の組織づくり」を基本方針に、より強固な経営基盤の確立に向け、引き続き全社で取り組みます。

重点施策として保有技術を横断的に捉えた基幹業務の更なる拡大と、新技術投入による他社との差別化、当社サービスの原点である現場主義に徹した活動等、顧客の信頼を得ることで企業力強化を促進し、恒常的収益性を重視した強固な経営基盤を築き、安定成長に繋がるよう全社員協力一致のもと対応してまいります。

さらに、引き続き付加価値を高めていく技術開発の推進、アースドクターとしての多面的人材の確保と教育の推進、内部統制システムの的確な運用、企業の社会的責任を常に念頭に置き、地質コンサルタントのオンリーワン企業を目指し、健全経営に努めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において当社が判断したものであります。

(1)公共事業動向

 当社は、官公庁・公共企業体をはじめとした公共部門との取引比率が高いことから、公共投資の動向により経営成績は影響を受ける可能性があります。

(2)季節的変動

 上記の事由により納期の関係もあり、当社決算月は11月ですが、売上高は第2四半期と第4四半期に集中するという季節変動の傾向があります。

(3)退職給付債務

 国債利回り等の変動により割引率や期待運用収益率の変更が余儀ない場合、経営成績は影響を受ける可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

営業成績等の概要

(1)営業成績

当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境や企業収益の改善などを背景に、設備投資にも増加の動きが見られるなど、引き続き緩やかな回復基調で推移しました。一方、米国と中国の貿易不均衡問題に端を発した両国の追加関税措置や、英国の欧州連合離脱問題、アジア新興国等の経済の先行き、日韓問題をはじめとする東アジア地域の政情不安、金融資本市場の変動の影響などによる世界経済の不確実性の影響もあり、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。

当社を取り巻く建設コンサルタントおよび地質調査業界におきましては、震災復興関連業務のほか、2018年12月に「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」が国により策定され、特に緊急に実施すべきハード・ソフト対策については、3年間で集中的に実施することとされたことから、当該分野への投資が堅調に推移すると期待されますが、さらなる受注競争の激化が予想されます。

こうした状況の中、当社はコア技術を活かした点検、診断、維持対策工法検討など予防保全業務に注力するとともに、地質リスクに対応した保有・先端技術を活かした提案力をもって、震災および豪雨災害等の復興と国土強靭化推進業務をはじめとする自然災害・防災関連等の業務、道路・下水道維持管理をはじめとするインフラメンテナンス業務、再生可能エネルギー、海洋資源開発等、関連業務に全社員協力一致のもと取り組んだ結果、当事業年度の経営成績は、次のとおりとなりました。

受注高は76億88百万円(前事業年度比3億62百万円増(4.9%増))となりました。

売上高は前事業年度からの繰越に加え、当事業年度受注完成も順調に推移し、75億97百万円(前事業年度比1億48百万円増(2.0%増))となりました。利益面では工程管理の徹底、作業効率向上等を図ったものの、営業利益は1億25百万円(前事業年度比36百万円減(22.5%減))、経常利益は1億84百万円(前事業年度比66百万円減(26.5%減))、当期純利益は1億41百万円(前事業年度比11百万円増(8.7%増))となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は、7億30百万円(前事業年度末は5億14百万円)となりました。

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、4億40百万円の増加(前事業年度は1億82百万円の減少)となりました。

その主な内訳は、税引前当期純利益2億63百万円、減価償却費1億54百万円、有形固定資産売却益1億4百万円、たな卸資産の減少1億1百万円、未払消費税等の増加75百万円、法人税等の支払額72百万円等があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、1億42百万円の増加(前事業年度は2億77百万円の減少)となりました。

その主な内訳は、事業用不動産等の有形固定資産の売却による収入1億76百万円、新たに購入した事業用不動産の改修工事等有形固定資産の取得による支出65百万円等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、3億65百万円の減少(前事業年度は3億75百万円の増加)となりました。その主な内訳は、短期借入金の減少2億円、長期借入金の返済による支出1億円、リース債務の返済による支出69百万円、配当金の支払額44百万円等によるものであります。

生産、受注及び販売の実績

 当社は、建設工事に関連する地質調査、土質調査を中心に環境・防災・海洋調査業務等を行い、これらに関連する測量、建設計画、設計等の業務および工事を営む単一セグメントであるため、対象物別で記載しております。

 

(1)生産実績

 調査等の対象物別の生産実績を示せば次のとおりであります。

事業の内容

対象区分

内容

第69期

自 2018年12月1日

至 2019年11月30日

前年同期比(%)

地質調査

 

土質調査

 

環境調査

 

防災調査

 

海洋調査

 

測量

 

建設計画

 

設計

 

施工管理

 

工事

治山・治水

農林・水産

河川・ダム・砂防・治山・海岸・地すべり・急傾斜・農地造成・干拓・埋め立て・農業水路・農道・林道・漁港・漁場

(千円)

 

1,692,843

100.7

 

 

運輸施設

上下水道

情報通信

道路・鉄道・橋梁・トンネル・港湾・空港・浚渫・人工島・上下水道・情報・通信

2,157,104

90.0

建築・土地造成

超高層建物・一般建築物・鉄塔・レジャー施設・地域再開発・土地造成

393,572

69.7

エネルギー・資源

発電所・送電・備蓄施設・地熱エネルギー・自然エネルギー・水資源・温泉・鉱床・海底資源

870,117

196.8

環境・災害・保全

土壌・騒音・振動・水質・大気・動植物生態調査・廃棄物処理施設・地盤沈下・地震災害・火山災害

282,595

100.4

その他

遺跡・埋蔵文化財・学術調査・基礎調査・その他

13,185

46.7

合計

5,409,419

100.3

 (注)1.金額は、調査原価で表示しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(2)受注実績

 調査等の対象物別の受注実績を示せば次のとおりであります。

事業の内容

対象区分

内容

第69期

自 2018年12月1日

至 2019年11月30日

受注高

(千円)

前年

同期比(%)

受注残高

(千円)

前年

同期比(%)

地質調査

 

土質調査

 

環境調査

 

防災調査

 

海洋調査

 

測量

 

建設計画

 

設計

 

施工管理

 

工事

治山・治水

農林・水産

河川・ダム・砂防・治山・海岸・地すべり・急傾斜・農地造成・干拓・埋め立て・農業水路・農道・林道・漁港・漁場

2,295,247

100.3

949,762

95.0

運輸施設

上下水道

情報通信

道路・鉄道・橋梁・トンネル・港湾・空港・浚渫・人工島・上下水道・情報・通信

3,295,733

121.8

1,395,393

121.0

建築・土地造成

超高層建物・一般建築物・鉄塔・レジャー施設・地域再開発・土地造成

513,571

57.3

82,246

50.8

エネルギー・資源

発電所・送電・備蓄施設・地熱エネルギー・自然エネルギー・水資源・温泉・鉱床・海底資源

1,014,898

95.3

551,673

107.1

環境・災害・保全

土壌・騒音・振動・水質・大気・動植物生態調査・廃棄物処理施設・地盤沈下・地震災害・火山災害

537,796

176.6

181,382

286.9

その他

遺跡・埋蔵文化財・学術調査・基礎調査・その他

31,557

48.3

56,957

24.5

合計

7,688,806

104.9

3,217,415

102.9

 (注)1.金額は、販売価額で表示しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

(3)販売実績

 調査等の対象物別の販売実績を示せば次のとおりであります。

事業の内容

対象区分

内容

第69期

自 2018年12月1日

至 2019年11月30日

前年同期比(%)

地質調査

 

土質調査

 

環境調査

 

防災調査

 

海洋調査

 

測量

 

建設計画

 

設計

 

施工管理

 

工事

治山・治水

農林・水産

河川・ダム・砂防・治山・海岸・地すべり・急傾斜・農地造成・干拓・埋め立て・農業水路・農道・林道・漁港・漁場

(千円)

 

2,345,597

104.8

 

 

運輸施設

上下水道

情報通信

道路・鉄道・橋梁・トンネル・港湾・空港・浚渫・人工島・上下水道・情報・通信

3,203,392

98.0

建築・土地造成

超高層建物・一般建築物・鉄塔・レジャー施設・地域再開発・土地造成

593,291

73.6

エネルギー・資源

発電所・送電・備蓄施設・地熱エネルギー・自然エネルギー・水資源・温泉・鉱床・海底資源

978,088

139.2

環境・災害・保全

土壌・騒音・振動・水質・大気・動植物生態調査・廃棄物処理施設・地盤沈下・地震災害・火山災害

419,631

107.4

その他

遺跡・埋蔵文化財・学術調査・基礎調査・その他

57,026

134.8

合計

7,597,027

102.0

 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

前事業年度(自2017年12月1日 至2018年11月30日)

国土交通省  1,866,843千円 25.1%

当事業年度(自2018年12月1日 至2019年11月30日)

国土交通省  1,345,343千円 17.7%

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)財政状態

 当事業年度末における総資産の残高は75億25百万円(前事業年度末は75億60百万円)、純資産の残高は32億63百万円(前事業年度末は31億44百万円)、現金及び現金同等物の残高は、7億30百万円(前事業年度末は5億14百万円)となりました。

 

(2)経営成績

当事業年度の経営成績につきましては、一定の成果を得た「コアビジネスの拡大と新たな事業領域の選択」、「信頼の確保」、「次代のニーズに対応した働き方、人材教育と組織づくり」を基本方針とした「第3次中期経営方針(2016~2018)」の課題を踏まえ、将来の更なる発展に向け、新たな3ヶ年計画「第4次中期経営方針(2019~2021)」を策定しました。

初年度となる第69期においては、コア技術を活かした点検、診断、維持対策工法検討など予防保全業務に注力するとともに、地質リスクに対応した保有・先端技術を活かした提案力をもって、震災および豪雨災害等の復興と国土強靭化推進業務をはじめとする自然災害・防災関連等の業務、道路・下水道維持管理をはじめとするインフラメンテナンス業務、再生可能エネルギー、海洋資源開発等、関連業務に全社員協力一致のもと取り組んだ結果、当事業年度の経営成績は、次のとおりとなりました。

受注高は76億88百万円(前事業年度比3億62百万円増(4.9%増))となりました。

売上高は前事業年度からの繰越に加え、当事業年度受注完成も順調に推移し、75億97百万円(前事業年度比1億48百万円増(2.0%増))となりました。利益面では工程管理の徹底、作業効率向上等を図ったものの、営業利益は1億25百万円(前事業年度比36百万円減(22.5%減))、経常利益は1億84百万円(前事業年度比66百万円減(26.5%減))、当期純利益は1億41百万円(前事業年度比11百万円増(8.7%増))となりました。

当社は目標とする経営指標について、自己資本経常利益率を重要な経営指標の一つと考え、その向上に努めております。

自己資本経常利益率の当事業年度および過年度の比較は下表のとおりとなり、第66期事業年度から上昇基調で推移しておりましたが、当事業年度において下落となりました。これは外注費の高騰等による原価率の上昇と、従業員の待遇改善に伴う販売費及び一般管理費の増加が主な要因となっております。

当社といたしましては、今後も継続した作業効率の向上を図り、適切な原価コントロールを行うとともに、バランスの取れた従業員の待遇改善を進め、自己資本経常利益率の向上に努めてまいります。

項  目

第66期

(2016年度)

第67期

(2017年度)

第68期

(2018年度)

第69期

(2019年度)

自己資本経常利益率

6.26%

7.59%

8.15%

5.77%

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当事業年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

当社の運転資金需要のうち主なものは、協力業者への外注費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金および金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当事業年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は2,353,023千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は730,878千円となっております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社の調査コンサルタントとしての業務は、その全てが高度な技術力によって支えられており、その向上と新分野、新技術の開発は不可欠なものであります。この為当社は、地盤に関連した広範囲な課題に対する最適なソリューションを提供することを目的として、国、独立行政法人、大学等の研究機関ならびに民間の研究機関との連携による共同研究開発を積極的に進めており、当事業年度の研究開発費の執行状況は25,609千円であります。