文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社企業グループが判断したものであります。
当社企業グループは、「アプリケーション開発技術」「ITインフラシステム構築技術」「組込み技術」の3つの中核技術に、先端技術(AI・クラウド等)を加えた多様な技術領域を軸として、「デジタル変革(デジタルトランスフォーメーション:Digital Transformation、DX)」を支援するIT企業グループであります。
当社企業グループは、事業機会を着実に取り込み、持続的な成長と企業価値の向上を果たすため、2016年度から2020年度の5ヶ年計画で「CRESCO Ambition 2020」の推進に取り組んでまいりました。当該5ヶ年計画では、AI(人工知能)・クラウド技術の先取り、開発体制の強化(ニアショア・オフショア)によるシステムインテグレーション(SI)サービスの強化、サービス形態の多様化(包括契約、アライアンスなど)への対応を積極的に推進し、連結売上高は第28期(2016年3月期)の287億75百万円から第33期(2021年3月期)の397億6百万円へと1.4倍に成長し、連結営業利益は第28期の24億84百万円から第33期の34億84百万円へと1.4倍に成長しました。
2021年度より、当社企業グループの10年間の長期ビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」をスタートいたします。また、当該ビジョンの具現化に向け、中期経営計画として、中期経営計画2023(2021年度~2023年度)、中期経営計画2026(2024年度~2026年度)、中期経営計画2030(2027年度~2030年度)の3ステップを設定し、最初のステップとなる中期経営計画2023では、「連結売上高500億円」「連結営業利益額50億円」「ROE15%以上」を目標といたしました。
「CRESCO Group Ambition 2030」
人が想い描く未来、その先へ
クレスコグループは最高のテクノロジーと絆で”わくわくする未来”を創造します
中期経営計画2023
「CRESCO Group Ambition 2030」の実現を通して売上高1,000億円を目指してまいります。この目標を具現化するため、中期経営計画2023では、以下の重点戦略、基本戦略、経営目標を策定いたしました。
(新たなビジネスの柱を生み出すための3つの重点戦略)
・デジタルソリューションの強化(デジタルソリューションの売上倍増、新規デジタルソリューションの拡充)
・機動的経営の進化(「DX銘柄」認定の取得、グループ連携の強化による事業拡大)
・人間中心経営の深化(「健康経営優良法人」上位企業へ、次世代人財育成の充実)
(コアビジネス領域をより強固にするための3つの基本戦略)
・ITサービスの拡大(エンタープライズ/金融/製造セグメントごとに定めた施策に基づく事業拡大)
・品質の強化(新技術/ニーズ変化に対応したマネジメントプロセスの継続的な改善と実践)
・技術の強化(新技術/重点技術(AI、クラウド、アジャイル)によるビジネス拡大)
(経営目標)
・連結売上高:500億円
・連結営業利益額:50億円
・ROE:15%以上
当社企業グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)につきまして、当社は、財務健全性、株主資本効率及び利益還元のバランスに重点を置き、資本政策を実施しております。
上場以来、当社は財務指標として、自己資本利益率(ROE)10%以上、売上高経常利益率10%以上、1株当たり当期純利益(EPS)100円以上を掲げ、株主利益の向上に努めております。
当連結会計年度までの5年間の実績値は以下のとおりであります。
また、当社は、中期経営計画2023(2021年度~2023年度)において、「連結売上高500億円」「連結営業利益額50億円」「ROE15%以上」をKPIといたしました。
当連結会計年度までの5年間の実績値及び2023年度における目標値は以下のとおりであります。
(注)2023年度に係るKPIについては当連結会計年度末現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
2021年度の経営環境は、新型コロナウイルス禍が続く中、「新しい生活様式」や「ニューノーマル(新常態)」が定着しつつあり、ワクチン接種も開始され、好転の兆しが見え始めております。
第3波以降、変異株の発生や新規感染者の再増加、2回目となる緊急事態宣言の発出など、新型コロナウイルス禍が収束したわけではありません。3月の月例経済報告でも「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるなか、持ち直しの動きが続いているものの、一部に弱さが見られる」旨の判断を下しております。
しかしながら、国内外の経済の停滞感は、既に底打ちが見られ、業種によって濃淡はあるものの、概ね改善傾向にあります。当社企業グループにおきましても、引き合いの増加は顕著であり、オンライン商談のほか、対面での営業活動も従来の勢いに回復し、新規顧客の開拓にも支障はありません。
このような経営環境の中、「攻めのIT経営」を主眼とした「デジタル変革」に対するIT投資は、2020年度の反動も含め、着実に増加するものと考えております。特に、クラウドやAI、RPAなどのテクノロジーを織り込んだシステム開発やデジタルソリューションへのニーズは、業種業態を問わず、本格化すると確信しております。
とはいえ、IT関連の開発現場は、「3密(密閉・密集・密接)」になりやすい作業環境にあるため、引き続き、テレワーク体制の強化や感染防止に配慮した人員の配置、ソーシャル・ディスタンスの確保などに努めてまいります。
なお、需給状況に関わらず、「デジタル変革」を担う人材の不足感は依然否めず、人材の獲得・育成はもとより、生産性及びサービス品質の向上、オフショア(海外分散開発)を含む開発体制の強化は、継続的な課題となっております。
こうした経営環境に的確に対応し、ステークホルダーの期待にお応えするため、当社企業グループでは、以下の課題認識のもと、諸施策を速やかに実行し、持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。
特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題
上記の経営方針及び経営戦略を実行していくうえで、当社企業グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
①新規顧客の獲得及びお客様とのリレーションシップの強化
ニーズの多様化、複雑化に伴い、当社企業グループは、お客様の事業目標達成や未来構想に向けたイノベーションを実現する、まさに「ITパートナー」としての役割を期待されております。お客様の期待に応えるための、幅広いITサービス、デジタルソリューションを提供できるよう、営業体制の強化とマーケティング活動を継続的に実施し、新規顧客の獲得及びお客様とのリレーションシップの強化を図ってまいります。また、営業情報、顧客情報を共有できる仕組みを構築し、当社企業グループ間及び各事業部門の営業メンバーが連携し、戦略的、網羅的に幅広い提案型営業を展開してまいります。
②デジタルソリューションビジネスの拡大と新技術の研究・開発
「デジタル変革」(DX)が本格化する中、従来のITサービス(システムインテグレーションを含む。)のみならず、お客様のDXに直結するデジタルソリューションビジネスの拡大が競争優位性を担保するために必要であると考えております。当社企業グループが強みとするAIやクラウド分野を戦略技術に据え、これらの技術を活かした、幅広い産業向けのソリューション群を提供してまいります。また、市場ニーズに適時・的確に応えることができる技術力の保持と革新的なビジネスの組成に不可欠な知見・アイデアを募集、集約するため、他企業とのアライアンスや産学連携、お客様との共同研究、オープンイノベーション等を通じた新技術の研究・開発に努めてまいります。
③M&A・アライアンスの推進とグループ企業に対する管理の強化
継続的なM&A・アライアンスの推進による事業の拡大や新たな事業機会の確保、人材の獲得、取引先の開拓は成長戦略の重要テーマであり、加えて、グループ連携や協業をはじめ、業務インフラの整備、技術支援、人事交流等の施策を講じ、シナジー効果による「稼ぐ力の最大化」が不可欠と考えております。当社企業グループ各社に対する管理の強化につきましては、コーポレート・ガバナンスの観点から取締役あるいは監査役を派遣するほか、グループ事業の最適化やPMI(Post Merger Integration:統合効果の最大化)の推進に取り組んでまいります。
④人材採用と育成環境の拡充
人材は、お客様へ提供する付加価値の源泉であり、企業の発展を支える不可欠な存在です。企業の提供する商品やサービスが厳しく選別される時代、特にIT業界においては、人材の差が企業の競争優位性を決定づける大切な経営資源と考えております。事業戦略に沿った継続的な採用活動(新卒、キャリア)を推進するとともに、社員ひとりひとりが、心から仕事を楽しみ、能力を発揮できるよう、人材育成プログラムのブラッシュアップと実践、次世代人材の育成に注力してまいります。また、技術の研鑽と実ビジネスの具現化を通じて、お客様志向の「技術のクレスコ」を目指してまいります。
⑤DX推進と機動的経営の実現
経営課題やビジネス課題への素早い対応を実現するためには、企業活動を加速する「仕組みづくり」と行動を促進する「マインドセットの醸成」が必要となります。『中期経営計画2023』をベースに、人材の確保・育成はもとより、組織改革や制度改革を含めたDXへの取り組みを積極的に進め、経営の機動性を高める仕組みづくりに取り組んでまいります。また、データ経営基盤の構築を視野に入れた情報システムの全体最適化やオフィスワーク・リモートワークの環境整備、時代に即した働き方改革を通じて、”継続的に挑戦していこう”とするマインドセットを醸成してまいります。
その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
⑥健康経営の推進
「健康」は個人生活の質の向上のみならず、企業の利益にも繋がる大切な要素でもあり、企業が、能動的にマネジメントアプローチすべきテーマであります。心身の健康を維持・増進する取り組みは、企業のレピュテーションや人材採用の面でも効果が期待できるものであり、併せて、企業のリスクマネジメントとしても重要であります。2019年9月に健康経営宣言を発表し、2021年3月には、昨年度に続き、「健康経営優良法人認定制度」に基づく「健康経営優良法人2021」に認定されました。今後も社員が健康で安心・安全に、やりがいを持って働ける職場を実践するため、当社企業グループに即した諸施策を推進してまいります。
⑦働き方改革の推進と健全な労働環境づくり
働き方改革は、生産性向上につながるテーマであり、社員のモチベーションや人材採用、離職防止の面でも効果が期待できるものと捉え、『働く人の立場・視点』で環境づくりや諸制度の導入に取り組んでおります。2019年9月には、女性社員だけでなく、男性社員が育児休業等を取得している点や時間外労働の削減、年次有給休暇の高取得率等が評価され、次世代育成支援対策推進法に基づく子育てサポート企業として、「プラチナくるみん」の認定を受けました。2021年度からは新人事制度へ移行し「クレスコ版ジョブ型制度」を導入します。この制度は、社員がこれまで以上に専門性・強みといったスペシャリティを追求し、実力に即した処遇を実現するもの、と考えております。今後も国の政策や法制度の動向を鑑み、デジタル技術を積極的に活用し、実効性の高い諸施策を推進してまいります。
⑧品質の強化
お客様に提供するサービス品質(QCD)の向上を目指すことは、結果として、当社企業グループの持続的な成長と企業価値の向上につながります。「契約・約束を守る」「仕事に責任を持つ」「品質(Q)、価格(C)、納期(D)を厳守する」等ビジネスでは当たり前のことを着実に実践し、プロジェクトマネジメントを含めたサービス品質の向上を通じて、お客様からの信頼・信用を重ね、クレスコブランドの確立を目指してまいります。2020年3月には、これまでの継続的な取り組みが評価され、一般社団法人プロジェクトマネジメント学会から「PM実施賞奨励賞」を受賞いたしました。
⑨生産性の追求
生産性向上の目的は、小さな工夫を積み重ねながら、業務の能率アップと効率化によって作られた「時間」「省かれたコスト」を有効に活用し、新たな価値や収益を生み出すことにあります。生産性向上は、恒常的な人手不足への対応、競争優位性の確保、労働環境の改善に資するものであり、最終的には、収益性にも直結するテーマです。当社企業グループでは、各社の状況に応じた働き方改革をはじめとして、各種情報共有ツールの導入、知的財産の活用、仕事のプロセス改善、基幹システムの刷新など、社員が、主体的にイキイキと働くことができる環境づくりに取り組んでおります。
⑩開発に従事する人材の確保と体制強化
IT投資に関わる需要の増加に伴い、開発に従事する人材不足は依然否めず、人材の確保と体制の強化は、継続的な課題となっております。当社企業グループは、部門や企業間を横断する開発体制を構築するほか、ニアショア(子会社や協力会社との協業による国内分散開発)やクレスコベトナムを通じたオフショア(ベトナムの現地企業との協業による国外分散開発)を積極的に活用し、人材不足による機会損失(案件の失注や縮小など)が発生しないよう取り組んでおります。また、併せて、協力会社とのリレーションシップの強化、人材の流出防止施策の実施、リモート開発の環境整備に努めてまいります。
⑪ダイバーシティへの取り組み
多様性の受け入れは、個人ひとりひとりが充実した人生を送り、併せて、企業が変化する市場環境や技術構造の中で競争優位性を築くために、不可欠であります。当社企業グループは、個人の「違い」を尊重し、職務に関係のない性別、年齢、国籍等の属性を考慮せず、個人の成果や能力、貢献度に応じた評価を基本としております。女性の採用や女性管理職比率の増加にも注力し、2017年9月には、女性活躍推進法認定マーク「えるぼし」を取得しました。その他、外国人や障がい者の採用にも積極的に取り組んでおります。2021年4月からは、LGBTに対する取り組みの一環として、パートナーシップ制度を導入いたします。これは、同性パートナーについても「配偶者と同様の取扱い」とし、社内の休暇や給付金の対象とするものです。今後も、多様な人材が組織に平等に参画し、その能力を最大限発揮できる機会の提供を通じて、様々なイノベーションを生み出し、価値創造に繋げてまいります。
⑫コーポレート・ガバナンスの推進
持続的な成長と企業価値の向上を実現するため、コーポレート・ガバナンス体制の強化が重要と考え、的確かつ迅速な意思決定及び業務執行体制並びに適正な監督・監視体制の構築を図っております。また、経営の健全化、公正性の観点から、コーポレート・ガバナンスの実効性を一層強化するため、当社企業グループ全体で、リスク管理、内部統制、コンプライアンスへの取り組み(月次チェックや教育)を徹底するとともに、経営環境の変化に対応した投資戦略・財務管理の方針の策定や独立社外取締役の活用、取締役会の多様性など、信頼性の向上と自浄能力の増強に努めてまいります。加えて、改訂コーポレート・ガバナンス・コードへ的確に対応してまいります。
⑬事業ポートフォリオの最適化と柔軟な組織経営
当社企業グループには、お客様との継続的な取引関係をベースとする事業特性があり、「安定性」と「依存度」の2つの側面を持ち合わせております。このような事業特性を鑑み、特定の取引先・業界や技術の動向により、業績が左右されないようリスク分散を図るため、事業ポートフォリオの最適化に取り組んでおります。また、多様化、複雑化するニーズと変化が著しい技術革新を先取りし、厳しさを増す経営環境に的確に順応するため、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報・時間)の有効活用(選択と集中)とマーケティング活動、研究・開発、組織・チーム・人材の活性化を通じた柔軟な組織経営に努めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社企業グループが判断したものであります。
新型コロナウイルス禍は、収束するまでの間、長期間にわたって、当社企業グループのみならず、内外の経済全般及びお客様の企業活動に大きなダメージを与えます。そのため、2021年度は、昨年度同様、複数の事業等のリスクが、同時あるいは時間差で発生し、当社企業グループの経営成績等の状況に重要な影響を与える可能性があります。しかしながら、リスクには、マイナス面(不確実性)とプラス面(機会)の2つの側面があります。マイナス面に対しては、適切な回避策及び対応策を講じるとともに、プラス面については、積極的なリスクテイクを通じて、持続的な成長と企業価値の向上につなげてまいります。
当社企業グループは、経営環境の変化に柔軟に対応するため、市場動向の調査や事業領域・お客様層の拡大に努めておりますが、IT投資は、内外情勢や経済状況のほか、国が推進、要請するIT戦略、高齢化や人口減少に伴う構造変化等により、その需要が大きく左右される傾向が強まっております。したがって、経済が低迷し、景気が悪化する場合、お客様のIT投資が抑制され、受注が減少するおそれがあり、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社企業グループは、標準化されたメソッドに基づいたプロジェクトマネジメントを実践し、見積り・立ち上げ・計画・実行等、開発の全プロセスにおいて管理の徹底を図り、納期遅延、追加コスト発生、損害賠償等の発生防止に努めております。しかしながら、開発段階における想定外の仕様認識の齟齬や品質トラブルの発生などにより、追加コストが発生し、低採算あるいは採算割れとなる可能性があります。また、当社企業グループは、プロジェクトの進捗状況につき、逐次モニタリングを行い、契約に基づいた納期の厳守に努めておりますが、外部要因をはじめとする不確実性を完全に回避することは困難です。お客様と予め定めた期日までに作業を完了・納品できなかった場合には遅延損害金、最終的に作業完了・納品ができなかった場合には損害賠償が発生し、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社企業グループは、納品したソフトウェアやサービス(以下、「納品物」といいます。)に対する品質保証を行っております。しかしながら、当社企業グループの納品物において、品質上のトラブルが発生する可能性があり、トラブル対応による追加コストの発生や損害賠償等により、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。また、納品物の品質管理を徹底しておりますが、バグ等が発生した場合に損害賠償責任を負う可能性があることに加え、納品先製品に組み込まれる場合は、想定外の損害賠償請求を受ける可能性があります。知的財産権については、他社の権利侵害に注意し、その取得及び保護を進めておりますが、当社企業グループが認識しない他社の知的財産権を侵害した場合、損害賠償請求や当該知的財産権の対価等を請求されることがあり、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社企業グループを取り巻く経営環境は、経済はもとより、技術革新の進歩も速く、それに応じて業界標準及びお客様や社会のニーズも急速に変化しております。当社企業グループでは、このような変化に俊敏に対応し、競争優位を確保するため、革新的な新規ビジネス(サービス・製品)の組成に取り組んでおります。しかしながら、技術トレンドが激しく変化する中、市場動向を分析し、将来的な需要を的確に予測することは難しく、当社企業グループの研究開発・開発マネジメントが有効に機能しない場合、新規ビジネスのタイムリーな提供ができず、画期的なサービス・製品を展開する競合他社の出現や新技術への対応の遅れ、機会損失等により、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社企業グループでは、業務遂行上、様々な秘密情報(営業情報、顧客情報、個人情報など)を取り扱っており、情報セキュリティに対する慎重な対応と厳格な情報管理の徹底が求められております。当社企業グループは、各種ポリシーを定め、関連する規程類を整備するとともに最新の情報セキュリティシステムの導入や情報セキュリティマネジメント体制の強化など、情報セキュリティ事故の未然防止とともに、インシデント検知並びに事故発生時の対応力強化に努めております。さらに、社員及び協力会社に対しては、誓約書を取り交わしたうえで適切な研修や情報セキュリティを含むコンプライアンスチェックを継続的に行い、情報管理への意識を高め、内部からの情報漏洩を防いでおります。また、個人情報保護法への対応強化も推進し、プライバシーマークの認定やISMSの取得に取り組むとともに、個人情報マネジメントシステム(PMS)に則った責任体制を明確にし、安全管理に努めております。しかしながら、これらの施策にもかかわらず、サイバー攻撃や情報セキュリティ事故、犯罪行為等により、個人情報や秘密情報が万一漏洩した場合、損害賠償責任、社会的信用の喪失等の発生により、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社企業グループは、幅広いお客様との取引を基本とした事業計画を策定しておりますが、継続的な取引関係をベースとする事業特性により、特定の取引先に対する売上高が大きくなる傾向にあります。当該取引先との関係については、取引開始以来永年にわたり安定したものとなっておりますが、相手方の事業方針や外注政策が変化した場合、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
なお、当社企業グループの連結売上高のうち、日本アイ・ビー・エム㈱への売上高の割合が高くなっており、その状況は次のとおりであります。
(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
恒常的な人材不足が叫ばれる中、人材の流動化は、避けられない状況となっております。当社企業グループでは、「今後も求人難が続き、退職者が増加する」という前提で、魅力ある会社作りや環境整備に取り組み、着実な人材確保、定着に取り組んでおります。しかしながら、このような取り組みや施策にもかかわらず、計画どおりに人材を確保、育成できず、また、退職者が増加した場合、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社企業グループは、事業運営に際して、海外を含む協力会社との連携体制を構築しております。連携体制を強化するため、案件情報の提供やビジネスパートナーフォーラムの開催など諸施策を講じておりますが、協力会社を適宜、適正に確保できない、あるいは関係に変化が生じた場合、プロジェクトの立ち上げや遂行、サービスの提供に支障が発生する等により、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社企業グループは、「働き方改革」に対する国の政策や法制度の動向を踏まえ、適正な制度設計はもとより、労働時間管理や有給休暇の取得推進、ハラスメント対策、心身の健康増進など、労務管理や職場環境づくりに積極的に取り組んでおります。しかしながら、恒常的な人材不足をはじめ、当社企業グループが提供するサービス・製品のほか、システムの開発体制やお客様のシステム障害、開発遅延プロジェクトの対応などにより、ストレスに起因する健康不良やプロジェクトの離脱による生産性の低下が発生し、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社企業グループでは、当社の内部統制委員会を中心として、共通の規範である「内部統制システムの構築に関する基本方針」「コンプライアンス経営行動基準」を制定し、企業倫理の向上を図るとともに、当社企業グループの役員や社員ひとりひとりに法令及び社内規程等の遵守を徹底し、公明正大な企業風土を醸成するよう努めております。しかしながら、このような施策を講じても関連する法令等への抵触や、役員や社員による不正行為は完全には回避できない可能性があります。このような事態が発生した場合、当社企業グループの社会的な信用が低下し、お客様からの取引停止、多額の課徴金や損害賠償の請求など、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
事業活動に関連して、提供するサービス又は製品に関する責任、労務問題等に関し、訴訟を提起される可能性があり、その動向によっては損害賠償請求負担や信用の失墜等により、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。また、当社企業グループでは、提供するサービス・製品が、第三者の知的財産権を侵害することの無いように、啓蒙及び社内管理体制を強化しておりますが、当社企業グループが把握できないところで第三者が既に知的財産権を保有している可能性があります。この場合、侵害を理由とする訴訟提起又は請求を受け、当社企業グループが損害の負担又は代替技術の獲得もしくは開発を余儀なくされ、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
なお、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している以下の事項が発生しております。
重要な訴訟事件等
当社の連結子会社であるクレスコワイヤレス㈱が、前連結会計年度において訴訟の提起を受けております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (2)その他」をご参照ください。
当社企業グループが保有する有価証券等の評価は、国内・海外の経済情勢や株式市場など金融市場の動向に依存し、影響を受けるため、資金運用等、投資における重要なリスクと捉えております。当社企業グループでは、有価証券等の時価を適時に把握することにより、リスクの最小化に取り組んでいますが、リスクを完全に回避することは難しく、不可避的な相場の暴落が発生した場合、資産価値が大幅に下落し、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。また、当社企業グループの保有する金融商品の価値が下落した場合、多額の損失が発生する可能性があります。加えて、今後、金融商品の時価に関する会計上の取扱いに関する制度・基準等が見直された場合には、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社企業グループは、地震や風水害等の自然災害、火災等の事故、大規模なシステム障害等による事業所閉鎖、物理的なテロやネットワークテロなど、外的な脅威が顕在化することを想定し、ステークホルダーに対する安全配慮義務を果たすとともに、緊急事態に速やかに対応するため、当社企業グループの業態や実情に即したBCP対策やテレワークシステムの導入・整備に努めております。しかしながら、事業所、オフィスの確保、要員の確保、安全衛生の確保等の観点から事業継続への支障や生産性の低下が発生し、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。また、社会インフラの損壊・途絶及び中枢機能の障害のほか、得意先・仕入先あるいはサプライチェーンに大きな被害が生じた場合、復旧・復興の過程において、受注や供給が長期間にわたって滞り、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社企業グループは、感染症の拡大によるパンデミック(世界的大流行)、クラスター(感染者集団)、オーバーシュート(爆発的患者急増)、ロックダウン(都市封鎖)といった脅威が顕在化することを想定し、緊急事態に速やかに対応するため、新型インフルエンザ行動計画基本方針及び新型コロナウイルス基本対応方針を制定し、ステークホルダーを感染リスクにさらさないよう、安全配慮義務を果たすとともに、当社企業グループの業態や実情に即したBCP対策やテレワークシステムの導入・整備に努めております。しかしながら、事業の特性上、事業所やオフィスの閉鎖、在宅勤務・テレワークの要請、移動制限、3密(「密閉・密集・密接」)の回避、不要不急の外出禁止等の観点から事業継続への支障や生産性の低下が発生し、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。また、得意先・仕入先あるいはサプライチェーンに被害が生じた場合、収束に向けた過程において、受注や供給が長期間にわたって滞り、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社企業グループは、主力であるソフトウェア開発事業のほか、先端技術(AI・クラウド等)関連事業、新規事業分野における事業規模の拡大、事業領域の拡大及び収益基盤の強化を目的とした積極的なM&A及び資本・業務提携を推進しています。投資に当たっては、外部専門家の協力のもと、詳細なデュー・デリジェンスを実施するとともに、取締役会等において、事前に投資効果やリスク等を十分に検討したうえで、実行しております。しかしながら、経営環境の変化等を要因として、当初見込んでいた利益が得られず、当該投資に対する回収可能性が低下する場合があります。回収可能性が低下する場合、経営の効率化及び経営基盤の強化のため、事業再編等を実行することもありますが、この場合において、一時的に再編に伴う費用が発生する可能性があり、当社企業グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。また、事業再編等を適切な時期や方法で実施できないこともあり、この場合、投資の全部又は一部が損失となる、あるいは追加出資が必要になる等、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。加えて、のれんにつきましても、十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合、減損損失を認識する必要性が生じ、多額の減損損失が発生し、当社企業グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
なお、当連結会計年度において、のれんに係る減損損失を149,475千円計上しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)」をご参照ください。
当連結会計年度における当社企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、明記されている箇所を除き、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社企業グループは、事業機会を着実に取り込み、持続的な成長と企業価値の向上を果たすため、2016年4月「デジタル変革(デジタルトランスフォーメーション:Digital Transformation、DX)をリードする」ことを標榜した5ヶ年のビジョン「CRESCO Ambition 2020」を掲げ、当連結会計年度は、最終年度に当たります。
「CRESCO Ambition 2020」の3つのテーマ
・挑戦する企業集団
・洗練された技術力と確かな品質
・ひとりひとりが輝くクレスコ
-コーポレートスローガン-
Lead the Digital Transformation ~『クレスコグループ』はデジタル変革をリードします。~
2020年度の経営方針
・「CRESCO Ambition 2020」に沿った経営
・新規顧客の獲得及び事業ポートフォリオの最適化による受注の確保
・先端技術を活用した高付加価値ビジネスの創出による利益の拡大
・働き方改革への継続的な挑戦による生産性及び社員満足度の向上
・アライアンスの推進による成長力の加速
当連結会計年度(2020年4月1日~2021年3月31日)の経営環境は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、上期は特に厳しいものとなりました。下期に入り、企業のIT戦略遂行は徐々に加速してまいりましたが、年末年始からの「第3波」や2度目の緊急事態宣言に起因する景気の下振れリスクや先行きの不透明感は拭い切れず、従前の企業活動の勢いには至りませんでした。
当社企業グループでは、経営方針に則り、環境の変化に即した顧客ポートフォリオ及び事業体制の見直しや既存顧客を中心とした受注量の確保、先端技術(AI・クラウド等)を取り込んだ新規事業・サービスの開発に注力すると共に、在宅勤務制度の構築、社内デジタル変革の推進(テレワーク体制の整備、オンラインコミュニケーションツールの活用、デジタルマーケティングの強化)、オフィススペースの最適化など、攻めの施策を講じておりますが、営業活動や開発業務において、以下の事象が発生し、業績への重しとなりました。
・対面営業活動の制限による新規顧客開拓の不調
・既存プロジェクト及び新規プロジェクトの中止・中断・延期、受注単価の引き下げ要請
・テレワーク体制への移行期における一時的な待機要員の発生及び生産性の低下
・不採算プロジェクトの発生
一方で、景気浮揚策として世界的に大規模な財政出動が行われた影響により、前連結会計年度末と比べて株価が持ち直した結果、当社が保有する金融商品の時価が全体的に上昇するというプラスの側面もありました。
当連結会計年度における取り組みとして、2020年4月1日には、㈱エニシアスを新たに連結子会社とし、今後、更なる需要が見込まれるクラウド関連事業の拡大を図っております。その他、エバンジェリスト活動の一環として、AIやクラウド、RPA関連の社外向けセミナーや技術関連の書籍の出版などを通じて、各種サービス・ソリューションのプロモーション活動を実施いたしました。
なお、当連結会計年度のトピックスは、以下のとおりです。
2020年4月:
・今後の事業展開を踏まえた新組織体制をスタート
・㈱エニシアスを連結子会社化
2020年5月:
・「ホワイト企業ランキングTOP100」(2020年4月更新版)において、20位にランクイン
・ログ分析可視化サービス「Creage SIEM+」の提供を開始
・リモートワークの障壁を取り除いていく活動「#取引先にもリモートワークを」に参加を表明
・一般社団法人 電子情報通信学会主催の研究会で、当社社員が「医用画像におけるAI応用」に関する論文を発表
2020年6月:
・新規事業のコンセプト策定やアイデア発想を体験する、オンライン型ワークショップ「サービスデザイン支援ワークショップ」の提供を開始
2020年7月:
・当社社員が『基礎がよくわかる!ゼロからのRPA UiPath 超実践テクニック』を出版
2020年8月:
・当社及び当社子会社の取締役に対する譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分を完了
・子会社である㈱クリエイティブジャパンが「CLIP 新型コロナ感染症予防支援システム」を発表
・当社社員が『AWS認定クラウドプラクティショナー直前対策テキスト』を出版
2020年9月:
・当社の社内デジタル変革による「ニューノーマルな働き方」に関する取り組みを発表
2020年10月:
・当社社員がUiPath社による『UiPath Japan MVP 2020』に認定
2020年11月:
・当社社員が「Agile Japan 2020」で講演
2020年12月:
・当社の従業員に対する譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分を完了
・大和ネクスト銀行様の「応援定期預金」を通じたSDGsへの貢献を発表
・㈱クリエイティブジャパンが、「CLIP 新型コロナ感染症予防支援システム」の提供を開始
・関連会社である㈱エー・アイ・エムスタッフの全株式を売却し、持分法適用の範囲から除外
2021年1月:
・「デジタルの日」への参加を表明
・当社IRサイトが、全ての主要IRサイトランキング調査で受賞
・2021年4月からスタートする「クレスコ版ジョブ型人事制度」を発表
2021年2月:
・自己株式の消却を発表
・第三者割当による第7回新株予約権の取得及び消却完了を発表
2021年3月:
・当社社員が、一般社団法人情報処理学会が主催する「インタラクション2021」で講演
・健康経営優良法人認定制度に基づく「健康経営優良法人2021」に認定
・期末配当予想の修正(増配)を発表
・2021年4月1日付の組織変更及び人事異動を発表
・日本赤十字社及び北海道大学への寄付を実施
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高397億6百万円(前年同期売上高393億37百万円、0.9%増)、営業利益34億84百万円(前年同期営業利益35億56百万円、2.0%減)、経常利益41億1百万円(前年同期経常利益37億12百万円、10.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益26億34百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益24億21百万円、8.8%増)と増収増益となりました。
セグメント別の状況は、以下のとおりであります。
①ソフトウェア開発事業
ソフトウェア開発事業の売上高は、329億65百万円(前年同期比2.5%増)となり、セグメント利益(営業利益)は、35億66百万円(前年同期比1.8%増)となりました。業種別の売上高を比較しますと、金融分野においては、主として、銀行や生保のシステム開発・保守案件の増加により、前年同期を14億45百万円上回りました。公共サービス分野につきましては、主として、観光需要の急減や人材関連の大型案件の剥落に伴い前年同期を14億52百万円下回りました。流通・その他の分野は、主として、㈱エニシアスを新規連結した効果により、前年同期を8億13百万円上回りました。
②組込型ソフトウェア開発事業
組込型ソフトウェア開発事業の売上高は、66億94百万円(前年同期比6.1%減)となり、セグメント利益(営業利益)は、11億31百万円(前年同期比15.6%減)となりました。製品別の売上高を比較しますと、通信システム分野においては、前年同期を14百万円上回りました。カーエレクトロニクス分野では、前年同期を1億48百万円下回りました。情報家電等、その他組込型分野につきましては、主として、メーカーのプロジェクト中止・延期により、前年同期を3億4百万円下回りました。
③その他
商品・製品販売事業等その他の売上高は、46百万円(前年同期比0.6%増)となり、セグメント損失(営業損失)は、5百万円(前年同期セグメント利益5百万円)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、製造原価によっております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度末における資産総額は前連結会計年度末に比べ、35億72百万円増加し、303億42百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ19億35百万円増加し、200億79百万円となりました。これは主に、有価証券が1億5百万円、仕掛品が1億1百万円それぞれ減少したものの、現金及び預金が16億32百万円、受取手形及び売掛金が4億85百万円それぞれ増加したことによるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ、16億36百万円増加し、102億62百万円となりました。これは主に、繰延税金資産が4億95百万円、のれんが85百万円それぞれ減少したものの、投資有価証券が21億70百万円、敷金及び保証金が1億25百万円それぞれ増加したことによるものです。
当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末に比べ2億72百万円増加し、108億56百万円となりました。
流動負債は前連結会計年度末に比べ10億82百万円増加し、71億52百万円となりました。これは主に、未払消費税等が55百万円、受注損失引当金が21百万円それぞれ減少したものの、未払法人税等が6億38百万円、未払金が2億12百万円、賞与引当金が1億55百万円それぞれ増加したことによるものです。
固定負債は前連結会計年度末に比べ8億10百万円減少し、37億4百万円となりました。これは主に、退職給付に係る負債が1億79百万円増加したものの、長期借入金が6億49百万円、長期未払金が3億29百万円それぞれ減少したことによるものです。
当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末に比べ32億99百万円増加し、194億85百万円となりました。これは主に、資本剰余金が11億9百万円減少したものの、自己株式が11億49百万円減少し、利益剰余金が18億78百万円、その他有価証券評価差額金が13億82百万円それぞれ増加したことによるものです。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ16億30百万円増加し、110億15百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは31億55百万円の収入(前年度36億93百万円の収入)となりました。
これは主に、法人税等の支払額が8億67百万円、長期未払金の減少額が3億29百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が40億13百万円、デリバティブ評価益が3億38百万円、減価償却費が2億65百万円、未払金の増加額が2億1百万円、減損損失が1億75百万円あったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは47百万円の支出(前年度2百万円の収入)となりました。
これは主に、投資有価証券の償還による収入が53億17百万円、投資有価証券の売却による収入が8億88百万円あったものの、投資有価証券の取得による支出が58億7百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が1億47百万円、有価証券の取得による支出が1億12百万円、関係会社株式の取得による支出が1億2百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは14億79百万円の支出(前年度5億11百万円の支出)となりました。
これは主に、配当金の支払額が7億55百万円、長期借入金の返済による支出が7億13百万円あったことによるものです。
当社企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス禍による当社企業グループへの影響及び事業計画の前提となる仮定につきましては、「(9)経営者の問題意識と今後の方針について ①経営者の問題意識 a.事業環境と経済の見通し」をご参照ください。
当社企業グループの当連結会計年度の経営成績について、売上高は前年同期に比べて0.9%増の397億6百万円となりました。経常利益は前年同期に比べて10.5%増の41億1百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べて8.8%増の26億34百万円となりました。
ソフトウェア開発事業の売上高は、前連結会計年度に比べて2.5%増の329億65百万円となり、組込型ソフトウェア開発事業の売上高は、前連結会計年度に比べて6.1%減の66億94百万円となりました。
売上原価は、前連結会計年度より4億15百万円増加し、325億6百万円となりました。これは主に、外注費が8億96百万円、製造経費が2億34百万円それぞれ減少したものの、労務費が10億42百万円、材料費が4億26百万円それぞれ増加したことによるものであります。
これにより、売上総利益率は、前連結会計年度の18.4%より0.3%低下し18.1%となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、前連結会計年度から24百万円増加し、37億15百万円となりました。これは主に役員報酬及び給料手当が91百万円増加したものの、新型コロナウイルス禍の影響を受けて、その他のコストについて通期にわたり見直しと削減を実施した結果、全体として販売費及び一般管理費の増加を抑制したものであります。
以上の結果、売上高営業利益率は、前連結会計年度の9.0%から0.2%低下し8.8%となりました。
営業外収益は、前連結会計年度より2億78百万円増加し、9億4百万円となりました。これは主に受取利息が41百万円、持分法による投資利益が23百万円それぞれ減少したものの、デリバティブ評価益を3億38百万円計上したことによるものであります。
営業外費用は、前連結会計年度から1億81百万円減少し、2億87百万円となりました。これは主に、社会貢献の一環として実施した寄付を費用として2億円計上したものの、デリバティブ評価損が3億6百万円、有価証券評価損が45百万円減少したことによるものであります。
以上の結果、当社のKPIである売上高経常利益率は、前連結会計年度の9.4%から0.9%上昇し10.3%となり、目標値10%を上回りました。
特別利益は、前連結会計年度から1億31百万円増加し、2億87百万円となりました。これは主に投資有価証券売却益が1億38百万円増加したことによるものです。
特別損失は、前連結会計年度から80百万円減少し、3億75百万円となりました。これは主に減損損失を1億75百万円計上し、投資有価証券売却損が90百万円増加したものの、投資有価証券評価損が2億15百万円、投資有価証券償還損が1億31百万円それぞれ減少したことによるものです。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より2億13百万円増加し、26億34百万円となりました。
当社のKPIである自己資本利益率(ROE)については、前連結会計年度の15.0%から0.2%低下し14.8%となったものの、目標である10%を引き続き上回りました。同様に、1株当たり当期純利益についても、前連結会計年度の114.30円に対して当連結会計年度は125.43円となり、目標値100円を引き続き上回っております。
当社企業グループは、お客様の要望に基づき、システムや製品の設計、開発、保守・運用サービス等を行うシステムインテグレーション、受託ソフトウェア開発を主軸とした労働集約型の事業を展開しております。
2020年度は、新型コロナウイルス禍により、経済活動が停滞し、IT投資の計画の見直しやプロジェクトの中止・中断・延期、対面による営業活動の制限などが生じ、市場の成長は鈍化いたしました。また、「3密」回避策やテレワークの移行期における混乱により生産性の低下を招きました。しかしながら、2020年度後半に入り、BCP対策を含め、ウィズコロナ、アフターコロナを踏まえたクラウド環境の整備やAI・RPAを活用した省人化・自動化対応等の企業の取り組みは、徐々に加速し、受注状況も概ね回復傾向になっております。
IDC Japanによると、「2020年後半からITサービス事業者の受注状況は回復傾向にあり、COVID-19(新型コロナウイルス)の影響で中断されていたプロジェクトは、徐々に再開している」としています。また、2021年度以降の国内のITサービス市場予測については、「プロジェクトベース市場を中心にV字回復。プラス成長を取り戻し、2020年から2025年まで年間成長率2.4%で推移、2025年には、6兆4,110億円になる見通し」と予測しております。
また、一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会の「企業IT動向調査2021」の速報においても、「ビジネスのデジタル化は新型コロナ禍で一時停滞も今後の実施レベルの向上がうかがえる」としており、多くの企業において、新型コロナウイルス禍に起因するテレワークへの対応や事業慣行の激変を背景に、ITの重要性を再認識し、DX推進の機運は、着実に高まっております。
このような市況の動きは、本格的なデジタル変革時代を後押しするものであり、企業のデジタル化、DXを加速させるものです。その中でもクラウドやAI、セキュリティなどが大きな役割を果たしており、先端技術(AI・クラウド等)を含む幅広い事業領域・技術領域を有する当社企業グループにとって、新たな事業機会になるもの、と考えております。
受託ソフトウェア開発に関しましては、標準化されたメソッドに基づいたプロジェクトマネジメントを実践し、引き合い、見積り(受注単価、納期、品質等)、受注段階からプロジェクトの立ち上げ・計画段階、開発、納品の各段階において、レビュー及び品質管理を徹底しております。また、プロジェクトマネジメント協会(PMI)が実施及び認定しております国際資格「PMP®:プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(Project Management Professional®)」の取得義務や教育研修に努め、プロジェクト収益の確保、不採算案件発生の未然防止を図っております。しかしながら、持続的な成長と企業価値の向上を見据えた未開拓分野あるいは経験の浅い分野の案件の受注といった内的要因によるリスクや進捗中のプロジェクトにおける基本計画や体制の見直し、要求事項・仕様の変更など、外的要因によるリスクは増大する傾向にあり、トラブルが全く発生しない、という保証は難しく、万一、トラブルが発生した場合、追加コストの発生や検収の遅延、損害賠償等により、損失が発生し、経営成績に重要な影響を与える要因となります。
当社企業グループの資金運用におきましては、各種金融商品の特性や経済動向、景気の先行き等を勘案し、歴史的な低金利の時代にあっても高収益を獲得できるよう投資ポートフォリオを構築するとともにリスク管理を徹底しておりますが、内外の経済情勢や金融市場の動向に依存し、影響を受けるため、評価損や売却損が発生した場合に経営成績に重要な影響を与える要因となります。この度の新型コロナウイルス禍を起因とする金融市場の急激な悪化につきましては、これを機に投資ポートフォリオの慎重な見直しが必要であると考えております。
また、当社企業グループは、成長戦略の一環として、M&Aやアライアンス、新技術の研究・開発等の事業投資を積極的に実施しておりますが、内外の経済情勢や技術革新の動向に依存し、影響を受けるため、機会損失が発生し、経営成績に重要な影響を与える要因となります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(4) キャッシュ・フロー」に記載しております。
当社企業グループが持続的に成長し企業価値を向上させるためには、事業活動や余剰資金の運用を源泉とした自己資金を十分に確保することは当然として、ソフトウェア開発体制を拡充するための設備投資資金、将来の事業拡大に向けたM&A・アライアンスのための投資資金及び新規技術の獲得に向けた研究開発資金を適時適切に調達することが必要不可欠であると認識しております。
当社企業グループでは、原則として、これらの資金を自己資金で賄うこととしております。ただし、経営環境や業界動向、経済・金融情勢等を勘案して、多額の資金が必要となった場合には、財務健全性に配慮しつつ、証券市場からの資金調達や金融機関からの借入れを実行することも視野に入れております。
なお、当連結会計年度においては、特筆すべき資金調達は実施しておりません。
当社企業グループでは、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要課題と位置付けており、株主資本の充実と長期的な安定収益力を維持するとともに、業績に裏付けられた適正な利益配分を維持することを基本方針としております。また、株価動向や経営に与える影響を考慮しつつ自己株式の取得を実行することも重要な株主還元政策の選択肢の一つであると考えております。
当連結会計年度における配当の実施状況につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
a. 事業環境と経済の見通し
2020年度の事業環境は、新型コロナウイルス禍により、これまでの流れが一変しました。国内では、第1回目の緊急事態宣言解除後、経済活動が少しずつ再開し、足元の景気は最悪期を脱して、第2四半期以降は、ウィズコロナ・アフターコロナを踏まえた「新しい生活様式」や「ニューノーマル(新常態)」が、定着しつつあります。第3波以降、変異株の発生や新規感染者の再増加、2回目となる緊急事態宣言の発出など、新型コロナウイルス禍に対する懸念は尽きませんが、足元ではワクチン接種の拡大で、経済正常化の期待が膨らみ、先行きの見通しは、改善しております。
2021年度の経済見通しは、ワクチン接種の進捗に左右される面があることは否めませんが、2021年3月の日銀短観では、代表的な指標の大企業・製造業の業績判断指数(DI)が、前回12月調査より15ポイント改善してプラス5となり、新型コロナウイルス感染拡大前の水準に回復しました。また、大企業・非製造業は、4ポイント改善のマイナス1となり、業種間での回復スピードにばらつきがあるものの、景況感は3期連続で持ち直しております。
2021年度のソフトウェア投資額(計画)も2020年度に比べ、全規模合計、全産業でプラスに転じており、2020年度のIT投資抑制の反動やDXの進展が、影響していることがうかがえます。
とはいえ、2021年4月には、東京都・京都府・大阪府・兵庫県を対象に3回目となる緊急事態宣言が発出され、再度、特定の業種における休業要請や時短要請、人流の抑制を中心とした感染予防対策が講じられており、その反動として、わが国経済への悪影響が懸念される状況となっております。しかしながら、物理的な経済活動が制限されることにより、ITを活用した経済活動へのシフトは引き続き加速するものと考えられ、当社企業グループが属するIT産業においては、影響は限定的であると判断しております。
これらの影響について、精緻に判断することは困難であるため、現時点で入手可能かつ合理的な情報による判断及び以下の仮定に基づいて、2022年3月期の業績予想(事業計画)を作成しております。
・新型コロナウイルス禍は、当面、収束は難しいが、事業に大きな支障はない。
第3回緊急事態宣言の発出を受けて、新型コロナウイルス禍は、当面、収束は難しい見込みとなりました。しかしながら、国内はもとより、世界各国のワクチン接種拡大に伴い、経済活動への制約は、着実に薄らいでくると考えております。オンラインや対面による営業活動やリモート開発、在宅勤務も常態化し、事業への大きな支障はありません。2021年度からの新ビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」と「中期経営計画2023」に沿って、当社企業グループ全体の事業ポートフォリオの最適化に努め、コア事業であるITサービスや新たな価値を提供するデジタルソリューションを積極的に展開し、事業目標の達成と価値創出に取り組んでまいります。
・景況感は、業種・業態により濃淡はあるものの、改善傾向であり、受注は増加する。
景況感は、業種・業態により濃淡はあるものの、ワクチン接種拡大に伴う経済正常化の期待を反映して、改善傾向にあり、IT投資の勢いも概ね回復しております。加えて、新型コロナウイルス禍がもたらしたニューノーマルへの対応ニーズ増大により、新たな事業価値の創出や競争力強化、イノベーションを実現する「デジタル変革」に大きく軸足が移り、需要は、更に加速する見込みです。新型コロナウイルス禍の影響が特に大きかった旅行や空輸関連のIT投資も、先を見据えた積極的な姿勢に戻りつつあります。当連結会計年度においては、当社企業グループの一部の顧客に深刻な業績の落ち込みが認められ、翌連結会計年度以降の当社企業グループへの発注に重要な不確実性が生じた結果、連結子会社の取得に係るのれんを中心に、減損損失を計上せざるを得ない状況となりました。新年度においては、環境の変化に即した顧客ポートフォリオの最適化を通じて、多様化、複雑化するニーズをしっかりと取り込み、そして、自らも競争優位性を確保するイノベーションを実現し、着実な受注の獲得に努めてまいります。
今後、これらの仮定の誤りにより開示すべき事象が発生した場合には、速やかにお知らせいたします。
b. 不採算プロジェクトの未然防止及び早期の収束
開発プロジェクトにおける不確実性は避けて通れない問題であります。規模の大きい不採算プロジェクトが発生した場合、当該プロジェクトの収益性悪化はもとより、他のプロジェクト活動や受注活動全体に対するしわ寄せも大きくなります。不採算プロジェクトの未然防止はもとより、不採算発生時の徹底的な原因分析と再発防止策の策定といった不採算プロジェクトの極小化に向けた取り組みは、継続すべきテーマと認識しております。受注時及び着手後の早期の段階では、見通しどおりの収益が確保できるか、お客様の要望や技術的難易度などの諸条件について、多段階のレビューやリスク分析などを含め、精査を行っております。また、プロジェクト遂行中は、「プロセスの見える化」を通じて、組織的な支援と監査を実施しております。不採算プロジェクトの発生時は、早期収束を図るため、重点プロジェクトとして、当該プロジェクトに対するモニタリングと情報のエスカレーションを徹底し、収益の確保とお客様の信用・信頼の獲得に努めております。
c. 技術力と品質の向上
洗練された技術力と確かな品質は、お客様満足度の向上はもとより、当社企業グループの持続的な成長と企業価値の向上にとって、正に生命線であります。サービスコンピテンシー統括本部や品質管理本部による組織横断的な活動のほか、お客様や社会のニーズを見据えた人材開発体制や多種多様なスペシャリストの育成等を軸に、グループ各社と連携し、技術力とサービス品質の向上に取組んでおります。また、ソフトウェア開発のマネジメントサイクル(要件定義、設計、製造、テスト等、各局面の一連の流れ)においては、独自に定めた「品質保証プロセス体系」(※)をプロジェクト推進の基本とし、多段階レビューやトレーニングを通して、納品物の品質の向上に努めております。その他、技術研究所が主催する先端技術(AI・クラウド等)をベースとした次世代人材育成プログラムによる高度専門技術者の育成やプロジェクトマネジメント協会(PMI)が実施及び認定しております国際資格「PMP®:プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル(Project Management Professional®)」の取得プログラムを実施し、マネジメント品質の向上も図っております。
※品質保証プロセス体系とは、品質管理を効果的に実施するために独自に構築した体系であり、提案からプロジェクトの実施、納品に至るまでの全てをカバーする「開発標準体系」をベースに、各局面を確実に実施していくことを目指したものです。
d. 知的財産の活用
当社企業グループは、「モノ作り」が基本であり、様々なプロジェクト実績を通じて、多くのアイデアやノウハウ、特許等のナレッジを有しており、このナレッジを「知的財産」として、共有・活用し、事業の競争優位性の確保や生産性向上に結びつけることが重要と考えております。
部門横断型のエキスパート制度の導入や知的財産(知識・知見・経験)の社内公開、特許化といった諸施策を通じて、「人と知的財産」という経営資源の質的向上を図り、品質管理、新規ビジネス(サービス・製品)の組成、戦略立案等、あらゆるビジネスシーンで英知を結集して、持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。
e. 収益性の向上
需給状況に応じた適正な価格設定や選別受注は、従来から実施しておりますが、受注案件の収益性の向上は継続的なテーマであります。業務量の確保という観点に偏らぬよう見積り内容、受注条件等に関する多段階のレビューにより収益性の評価を十分に行うとともに、従来のサービス・製品とは一線を画した新規ビジネスの組成を推進し、収益性の向上を目指してまいります。また、開発及び構築業務において、生産性向上ツールの開発やソフトウェアの知的財産化、パッケージソフト等の既製品の利用、設計手法や業務ノウハウといったナレッジの共有化などを推進し、収益性を確保してまいります。
f. 事業ポートフォリオの見直しと高収益事業の拡充
IT産業に対するお客様や社会のニーズは、技術革新の進展と内外の経済動向により、常に変化しております。また、IT投資は時代の趨勢により、その内容や規模は変動するものの、決して枯渇するものではありません。当社企業グループは、厳しさを増す経営環境に的確に順応するため、従来型の受託開発事業における技術革新や組織体制の再構築に加え、新たな事業領域となる市場(技術や顧客)を積極的に開拓し、事業ポートフォリオの最適化を図ってまいります。併せて、当社企業グループの豊富な経験と技術力を結集し、高付加価値なデジタルソリューションを提供する事業も拡充してまいります。
g. セキュリティ意識の向上
情報セキュリティ事故が発生した場合、業務に大きな支障が出るだけでなく、間接的被害も膨らみ、企業の存亡に関わる被害になるおそれもあります。このような影響を鑑み、当社企業グループは、セキュリティポリシーを定め、専門部署による情報管理体制のIT化や情報セキュリティに関わる体制の整備など、管理を強化しております。また、事業環境の変化や事業を取り巻くリスクに応じて、物理的対策、技術的対策、運用管理面の対策を適宜変更し、対応しておりますが、最大の脅威は「人間」つまりヒューマンエラーと認識しております。不正行為、誤操作等は、個人の意識に起因する面が多く、管理が難しい側面がございますが、コンプライアンスに関する定期的な教育研修や自己点検(コンプライアンスチェック)の実施などを通じて、セキュリティ意識の向上を徹底し、情報資産の安全対策に努めてまいります。
当社企業グループが提供する多彩なITサービス、デジタルソリューションは、「デジタル変革」の潮流を概ね取り込めるポジションにあり、お客様から「メインパートナー」として期待されております。
2021年度は、新型コロナウイルス禍の収束が依然難しい状況ですが、中長期視点では一過性のものであり、2020年度のIT投資抑制の反動やDXの進展を背景に、「デジタル変革」は、加速すると予測しております。「ピンチのときこそ、チャンスは到来する」と前向きに捉え、高度化、多様化、複雑化するニーズを積極艇に取り込み、そして、自らも競争優位性を確保するイノベーションを実現し、社会の発展に貢献する所存です。また、長年培ってきたコア技術と経験を活かし、当社企業グループ間の協業や他社とのアライアンスを積極的に展開して、お客様の「デジタル変革」をリードする新規性と利便性を備えたITサービス、デジタルソリューションを提供してまいります。
併せて、新ビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」と「中期経営計画2023」に沿った経営を進め、当社企業グループ全体の事業ポートフォリオの最適化と環境変化に適応した柔軟な組織経営に努め、持続的な成長と企業価値の向上を目指します。
(注)1 当社は、1988年4月1日にテクトロン㈱と㈱メディアリサーチが合併し、新設会社として設立されましたが、日本アイ・ビー・エム㈱は㈱メディアリサーチとの基本契約を引継いでおりますので、当社としましての基本契約は1988年4月1日からとなります。
2 上記契約の契約期間につきましては、一年ごとの自動更新となっております。
当連結会計年度の研究開発活動は、新型コロナウイルス感染症の拡大により活動が制限される中、昨年度に引き続き医療領域での高度な知識を有する医師たちとの共同研究で追究・検証し、さらに実用化へ向けた活動などを中心に行ってまいりました。かかる状況下であっても、新たな研究テーマの打診をオンライン会議にていただき、継続中の研究テーマに加えて、数件の新研究テーマにも着手しております。画像処理技術の研究テーマが多くなってきたことにより、ポストAI技術に関しての研究テーマ立ち上げは、調査と評価の段階までとなりましたが、次年度以降で新たに体制を強化し、調査結果を引き継いでお客様のご要望にお応えする新たな研究テーマに着手することを計画しております。
研究開発のテーマとしては「先端技術に関する研究開発」「ソリューションに関する研究開発」に大別されます。
先端技術に関しては、眼科及びその他の医療科目における深層学習を用いた医大や医療機関との共同研究を複数(当連結会計年度の実績で8件)行ってきており、その成果を眼科学会や情報処理系の学会にて発表してまいりました。また、研究過程で見出された特異な技術の特許申請・権利化も実施してきております。これまでは、疾患の診断支援が主なテーマではありましたが、多くの医療関係者や製薬会社の方々と協議して、病気の初期段階の検知や正常状態から予兆となる症状が見られる段階での検知・スクリーニングに関する研究がほとんど未着手状態であり、今後有益であると感じて、この領域の研究にも力を注ぎ始めました。この領域では、情報処理領域における発展はあまり期待できませんが、医療への貢献は大きいと感じる研究に関して、委託研究という形で当社の技術を提供しております。また、医療だけでなく、産業における大型で高度な産業機械に関しても、故障の特定も大切ではありますが、早期の故障検知、故障予兆の検知や予測に関しての要望が強く、従来技術(様々なセンサーデータの分析)に加えて当社の画像処理技術が有効であることがわかり、この領域での研究も進めております。
医療の発展への直接的な貢献、医療AI研究で得たITへの貢献、そして、実ビジネスへの貢献のため、今後もコアとしての研究活動をしてまいります。
先端技術に関する活動の結果を用いて、実ビジネスへの展開も継続して取り組んでおります。医療機関との共同研究を進めながら、これらの成果を医療機器メーカーや医療ベンチャーに展開し、"MINERVAE SCOPE"に続く実ビジネス化への取り組みを行っています。医療領域の商用化は時間がかかるため、発表できるようになるまでには更なる時間を要しますが、現在複数案件の話を進めており、翌連結会計年度末以降に発表することができる見通しとなっております。また、医療領域で得られた知見を用いて産業への展開活動も行っております。産業機器の保守作業に向けて、医療と同様に画像を用いた保守作業支援の共同研究も行っております。
なお、当連結会計年度における当社企業グループの研究開発費の総額は