第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

グループビジョン:「CRESCO Group Ambition 2030」

人が想い描く未来、その先へ

クレスコグループは最高のテクノロジーと絆で”わくわくする未来”を創造します

 

当社グループは、2021年度より10年間の長期グループビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」をスタートしております。当該ビジョンの具現化に向け、中期経営計画として、中期経営計画2023(変革:2021年度~2023年度)、中期経営計画2026(挑戦:2024年度~2026年度)、中期経営計画2030(飛躍:2027年度~2030年度)の3ステップを設定し、2番目のステップとなる中期経営計画2026では、2026年度における「連結売上高700億円」、「連結営業利益率11.5%」、「連結ROE15%以上」を財務目標としております。

 


 

中期経営計画2026

中期経営計画2026では、7つの戦略から構成される成長戦略を策定いたしました。当社グループとしてこれらの戦略群を実践することで、『顧客とともに持続的に成長し、社会を前進させる』というミッションを果たし、同時に上記の財務目標を達成することを基本方針としております。

 


 

各戦略の方針は以下のとおりです。

 

① 共創型モデルの確立

従来の受託型からプロダクト型・課題解決型・未来創造型へと提案スタイルを広げていくことで、顧客の成長を支える「戦略パートナー」としての地位を確立し、顧客へ提供可能なサービス・プロダクトの価値の拡大を目指してまいります。

 

② 品質リーダーシップ発揮

グループ社員個人に対するITプロフェッショナルとしての育成を強化し、また、組織としても全方位型の品質管理強化を実現することで、安全・安心・感動の品質を担保し、「戦略パートナー」にふさわしいサービス・プロダクトを顧客に提供することを目指してまいります。

 

③ 人的資本経営推進

これらの戦略を遂行するに当たって必要な人財ポートフォリオを策定・運用し、必要な人財を採用・育成するための諸施策を実施するとともに、多様な人財が協働・躍動できる風土を醸成することで、個人と組織の力を最大化し、顧客への提供価値を創出することを目指してまいります。

 

④ 技術・デジタルソリューションの拡張

顧客が抱える経営課題の解消に向けて当社グループの有する技術・デジタルソリューションが貢献できるように、AI、セキュリティ、データアナリティクスを中心とした技術領域の強化・拡大と、独自のブランドソリューションの開発や国内外のソリューションの調達強化を目指してまいります。

 

⑤ 事業連携促進

新たな市場の開拓のためのアライアンスパートナーの獲得、高い技術力と豊富なリソースを有するビジネスパートナーとの関係強化、さらには大学・研究機関との共同研究を通じた産学連携により、当社グループのビジネスエコシステムを拡大し、顧客への価値提供につなげることを目指してまいります。

 

⑥ デジタル変革実現

グループ社内業務においてもデジタルソリューションを適用し、業務パフォーマンスを上げることで、グループ役員・社員をよりクリエイティブかつ高付加価値な業務に集中させ、生産性の向上につなげることを目指してまいります。

 

⑦ グループ一体経営

当社グループでは、各社が自主自立的な経営を行っておりますが、事業的シナジーを一層強化して顧客への提供価値の最大化を目指すとともに、グループ業務の集約化を進めて経営の効率化を実現することを目指してまいります。

 

 

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)として売上高、営業利益率、ROEを設定しております。

なお、「中期経営計画2026」におけるKPIの目標値は次のとおりであります。

 

KPI

(連結ベース)

2023年度

実績

中期経営計画2026

2024年度

2025年度

2026年度

実績

予想値

目標値

売上高(百万円)

52,755

58,760

64,000

70,000

営業利益率(%)

9.7

10.2

10.9

11.5

ROE(%)

14.3

15.1

15.2

15.0

 

 

(注) 1 2026年度の目標値及び2025年度の予想値については、当連結会計年度末現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

2 2025年度の売上高及び営業利益額の予想値は、2025年5月9日時点での公表値であります。

3 2025年度のROEの予想値は、当該年度における自己資本の変動が、2025年5月9日に公表した自己株式の市場買付け(上限15億円)と親会社株主に帰属する当期純利益(49億円)、剰余金の配当(1株当たり配当額は2025年3月期期末:23円、2026年3月期中間:29円)のみであると仮定して算定しております。

 

 

(3) 経営環境と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2024年度の経営環境は、前年度と同様に円安・物価高の傾向が続いており、調達コストの上昇が当社グループの利益を大きく圧迫する要因となっております。その一方で、当年度においては、日本国内における設備投資が大幅に増加しており、特に半導体関連投資・EV等の電動化投資・デジタル化投資がこれらを牽引しております。当社グループにおいても、設備投資の増加の恩恵を受けることができ、前年度を上回る受注を確保することができました。

当社グループとしては、「中期経営計画2026」に掲げる目標を達成し、ステークホルダーの期待にお応えするために、以下の課題認識のもと諸施策を速やかに実行し、持続的な成長と企業価値の向上を実現してまいります。

 

①ITエンジニアの確保と育成

「中期経営計画2026」で掲げる連結売上高700億円の達成のためには、幅広い技術領域と顧客のビジネスに精通したITエンジニアの確保が必要不可欠であります。この経営課題に対し、当社グループでは、一層のブランディング活動と採用活動の強化を行うとともに、M&A案件やビジネスパートナーの発掘、ニアショア(子会社やビジネスパートナーとの協業による国内分散開発)やオフショア(ベトナム現地企業との協業による国外分散開発)を強化することでエンジニアの母集団を増やすとともに、人財開発・育成プログラムを刷新してエンジニアを含めたすべてのグループ社員の水準の底上げを図ってまいります。また、給与水準の見直しやテレワーク・オフィス環境、安全衛生等の労働環境の整備を継続することで、従業員のエンゲージメントを高めるための諸施策を実行してまいります。

 

②グループ連携を軸にした顧客への提案活動

売上高の確保に向けて、大中小の様々な規模の案件を効率的に受注するためには、当社グループ各社が独自に商圏の拡大を目指すだけでなく、営業案件のグループ内での融通や、要員・技術・ソリューションの抱き合わせによる提案活動が重要であると判断しております。

このような経営課題に対して、当社グループでは、当社のグループサービス本部を中心に、グループ役員・営業担当・開発人員の交流機会を増やし、顧客企業からの要望に対して機動的に対応することでグループシナジーを最大化するための体制を構築してまいります。

 

③デジタルソリューション事業の売上高の増加と収益性の向上

近年、顧客企業においては、少子高齢化に伴う人手不足や物価高騰に伴うコスト構造の変化、企業間競争のスピードの激化に直面しており、従来のように自社で要員や設備を抱えたり、長い時間をかけた研究開発を行ったりすることが困難な状況になっております。この状況を打破するための解決策として、AI・クラウド・RPA等の技術を活用したデジタルソリューションに注目が集まっており、今後の需要拡大が期待されていることから、当社グループとしても経営資源をデジタルソリューション事業に集中し、同事業の売上高を確保するとともに収益性を引き上げることが重要であると判断しております。

このような経営課題に対して、当社グループでは、各種イベント・勉強会の開催や技術コミュニティ活動の促進、共同案件の獲得を通じてITエンジニアの市場価値の引き上げを図るほか、自社ブランドソリューションの更なる開発やソリューションを有する提携先企業の発掘を進めることにより、事業全体の利益率の向上を目指してまいります。

 

 

④不採算プロジェクトの発生防止

不採算プロジェクトが発生した場合、収束に向けて多額の人件費・外注費を投入する必要があるだけでなく、新規案件にリソースを振り向けることができず機会損失をもたらすことになるため、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼします。不採算プロジェクトは技術・品質の問題だけでなく、見積ミスや顧客との調整不足など様々な要因によって発生することから、発生原因を徹底的に追求し、今後同様の事態を起こさないようにするための仕組みと体制を構築してまいります。

 

⑤生産性の向上

「中期経営計画2026」の推進に当たり、営業・採用・調達・M&A/PMI等の業務や法規制等に対応するための活動等が増加することが予想されます。また、当社グループが主力とする受託型ソフトウェア開発においても、顧客からの要求レベル(仕様や条件等)が高まるものと考えられます。このような変化に的確に対応するためには、生産性の向上が必要不可欠であり、営業利益率を高めるカギにもなると判断しております。

具体策として、ITリテラシー教育を促進し、デジタルソリューションを用いた業務の効率改善と集約化を進めることで間接コストの抑制を図るとともに、グループ役員・社員が本業に集中できる環境を整備してまいります。また、アジャイル開発やRPA・生成AIの導入を促進することにより、開発効率の向上と製造コストの抑制を図ってまいります。

 

⑥サステナビリティ経営及び人的資本経営の推進

当社グループは経営上の目標・指標を定めており、これを達成する責務を負っておりますが、一方で、企業価値の向上と社会課題の解決の双方を実現する「サステナビリティ経営」や、人材の価値を最大限に引き出して中長期的な企業価値の向上を実現する「人的資本経営」を推進することが求められております。

このような経営課題に対し、当社グループは、「サステナビリティに関する基本方針」に基づいて、持続可能な社会の実現に向けた行動を推進しております。また、「健康経営宣言」「マルチステークホルダー方針」を公表し、従業員をはじめとした多様なステークホルダーとの価値共創を進めていくことを明らかにしております。中期経営計画2026においては、当社グループのマテリアリティ(重要課題)を明記しており、今後も引き続き、これらの方針等に則った事業活動を展開し、適時適切な情報開示に努めてまいります。

なお、サステナビリティ経営及び人的資本経営に関する詳細につきましては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。

 

 

(4) 中期経営計画の進捗状況

「中期経営計画2026」の各成長戦略に係る当連結会計年度における主な活動と成果は以下のとおりであります。

 

① 共創型モデルの確立

・アカウントマネジメントの強化に向け、戦略パートナー候補ごとにアカウント戦略を構築いたしました。

・お客様との"共創"に欠かせないフェイスタイムの向上に取り組み、実施データを可視化し、運用定着化を進めました。

・社員一人当たりのプロジェクト利益額は、前年度に不採算プロジェクトが多発していた点を加味しても大幅に改善いたしました。

 

② 品質リーダーシップの発揮

・不採算プロジェクトの撲滅を目指し、トラブル防止とクロージングを組織的に行えるよう、トラブル対応力の強化とシステム開発契約に関する研修を実施いたしました。その結果、前連結会計年度から継続した不採算プロジェクトを除くと、新規の赤字額を削減することができました。

・品質保証水準の向上と強化を図るとともに、プロジェクト計画書を改良し、QMS(品質管理システム)内部監査とデジタルソリューションの開発プロセスを整備いたしました。

 

 

③ 人的資本経営推進

・ビジネス拡大に向け採用施策を強化し推進いたしました。

・高度専門人財及びDX人財を再定義し、全社員対象に複数のDX育成研修を実施いたしました。

・国内での採用にとどまらず、初のインド人財採用にも取り組み、インド人財含め外国籍人材の採用目標を達成いたしました。

・2年連続「ホワイト500」に認定され、順位も約100位上昇いたしました。

・エンゲージメントスコア分析をもとに、社内でのワークショップ開催や対話励行などを実施した結果、昨年と比べて大幅なスコアアップを実現いたしました。

 

④ 技術・デジタルソリューションの拡張

・生成AIを活用した「生成AI環境構築サービス」や「社内DX支援サービス」の提供を開始しました。

・各開発部門と連携し、顧客ニーズ起点での重点技術やソリューションに対する提案を実施いたしました。

・デジタルソリューション事業の拡大と利益向上に向けて、デジタルソリューション企画プロセスの整備を実施いたしました。

 

⑤ 事業推進連携

・ビジネスパートナー評価指標を見直し、新たな指標に基づいて既存ビジネスパートナーを評価・分析し、コアパートナー候補を選定いたしました。

・評価上位となるコアパートナーに対して、今後の関係性強化を目的とした各種施策を実施しました。

・アライアンスパートナー連携や産学連携についても強化に向けた施策を実行いたしました。

 

⑥ デジタル変革実現

・機動的な意思決定に資するべく、財務・非財務データを整備、可視化を推進いたしました。

・生成AIツールの提供と可視化ダッシュボードの提供、ハンズオン研修による活用の促進を図ってまいりました。

・システム開発や販売管理など特定の業務に対して、生成AIの活用やRPAによる業務自動化を推進いたしました。

 

⑦ グループ一体経営

・グループ各社が参加する営業定例会議を開催し、課題の共有、グループ共同での提案を推進しました。

・グループ内での案件トスアップなどの協業にも積極的に取り組み、一定の効果を発揮しました。また、グループ内共通アカウント別に分科会を推進するとともに、新たなグループアカウント化にも取り組んでおります。

・情報共有基盤促進のためのルール整備を推進いたしました。

・外部機関との連携によるサーチ型戦略的M&Aを推進いたしました。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ(ESG)共通

当社グループは2022年4月、持続可能な社会の実現に向けた、積極的かつ能動的な取り組みを推進する姿勢を明確にするため、「サステナビリティ基本方針」を策定しました。

 

サステナビリティに関する基本方針

「企業活動の成長が世界の人々の幸福に可能な限り最大の貢献をすること、そしてそこに働く人々が共に喜びと誇りをもち、自己の能力を最高に発揮できること」は企業の使命であると考え、また、人間はみな平等であるという立場から、発揮する能力以外の性別、学歴、血縁、人種、国籍、宗教等すべての差別を無くし、技術の追求を中心とした自由で、活気のある経営を行いたいと考え、創業以来、これを実践してきております。

私たちクレスコグループはその実践を通じて豊かな社会づくりに貢献し、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点で様々な事業活動、企業活動に取り組むことによって「持続可能な社会」の実現と私たちクレスコグループの成長を目指してまいります。

2022年4月25日

株式会社クレスコ

代表取締役 社長執行役員 冨永 宏

 

 

当社グループは、社会に新しい価値を提供し、利益を上げると共にステークホルダー全体の利益も考慮していくべきだと考えております。E(環境:Environment)、S(社会:Social)、G(企業統治:Governance)は、国連が提唱する「社会的責任投資(SRI)」における、企業が認識すべき「社会から企業への期待」であり、政府が2020年10月に2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言したことを踏まえ、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るため、ESGにおいて「何ができるか」を思考し、行動し、継続することを大切にしております。

 

「事業を通じた活動」、「持続可能な社会への貢献」の2軸からESG経営に紐づき整理・設定した6つの重点テーマに分類し、SDGsが提唱する17の国際目標のうち、10項目を開発目標と位置づけ、事業活動に取り組んでいます。

 

2021年度から、当社グループは、今後10年間の長期ビジョン「CRESCO Group Ambition 2030」をスタートいたしております。そして、2024年度からスタートした中期経営計画2026の策定を契機として、社外取締役へのヒアリング、経営陣による妥当性評価及び取締役会における協議を経て、「当社グループにとっての重要度」と「ステークホルダーにとっての重要度」の観点から、当社グループが優先的に取り組むマテリアリティ(重要課題)を特定いたしました。以下のマテリアリティへの対応を進め、「CRESCO Group Ambition 2030」の実現に向けて事業活動を行ってまいります。

 

当社グループのマテリアリティ

・DX/イノベーションによる持続的な社会の実現

・ITを通じた地球環境への貢献

・安全なデジタル社会の確立

・多様な人財が働きがいを持って活躍できる機会の創出

・継続的なガバナンスの点検と向上による価値提供の維持

 

 


 

① ガバナンス

グローバルな経営環境の変化への対応と事業機会の拡大、社会課題の解決を目指し、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、管理するための柔軟なガバナンスを構築しております。

取締役会は、リスクや機会を含むサステナビリティに関する監督及び管理の責任を持ち、そのもとで社長執行役員及び配下の各部門が業務執行を担っています。社外取締役が逐次経営層に対して監督・助言し、それらを勘案して取締役会において経営判断を行っており、様々な社内施策や取り組みに的確かつ迅速に反映され、実行に移される機能が備わっております。また、サステナビリティ関連の業務執行、人的資本の活用については、経営企画担当部署、人事担当部署が中心になりマネジメントを行っており、サステナビリティへの取り組みの方向性を協議の上、各部門と連携して活動し、取締役会への議案の提出及び活動状況の報告を行っております。

2025年度からは、部門横断の「サステナビリティ事務局」を立ち上げ、サステナビリティ施策のモニタリング、行政機関等の状況調査、翌年度の活動方針立案、サステナビリティ基本方針の見直し提案、予算計画への反映等を行っていくこととしております。

 

② 戦略

当社グループ事業活動をとりまく国内外の情勢は今後も大きく変動することが予測されますが、そこで想定されるリスクの低減や事業機会の創出を図り、レジリエンスを強化するため、ESG視点の戦略、ビジネスモデルの重要性が高まっております。

 

日々の報道で頻繁に見聞きする深刻な社会課題に対応し、サステナブルな社会を実現するためには、技術革新、特にIT技術は必須であり、サステナビリティへの取り組みを進める上で、IT技術を応用した「デジタル変革(DX)」は、欠かせないツールであることに間違いはありません。

 

 

当社グループの展開するビジネスモデルは、お客様のDX支援です。当社グループのITサービス事業、デジタルソリューション事業は、お客様の作業効率性や付加価値の上昇、「働き方改革」を含めた社会(S)や、環境負荷の低減や環境保全といった環境(E)に寄与するものです。このことは私たちの社会的使命であり、存在価値、そして存在理由そのものであると考えております。中期経営計画2026においては、サステナビリティ経営をESGの視点で整理し、5つのマテリアリティを踏まえて7つの成長戦略を策定しました。当社グループとして当該戦略を具現化していくことにより、『顧客とともに持続的に成長し、社会を前進させる』、サステナビリティ経営の実現に取り組んでまいります。

 

当社グループは、創業以来、IT技術を応用した“システム開発(モノづくり)”に徹底的にこだわり、成長してまいりました。技術と品質に裏打ちされたESG視点でのビジネスモデルは、当社グループの持続的な成長を支え、人、社会、地球にインパクトを与えることができるものと考えております。加えて、ESG活動が、自らのリスク低減や事業機会の創出につながり、事業の成長を促進し、そこで創出された利益が様々なステークホルダーや社会に還元される、といったサイクル(価値創造プロセス)を形成していくと考えております。

 

なお、2024年度には、2025年度から部門横断の「サステナビリティ事務局」を立ち上げることを決定しました。全社の関連部門が、必要に応じ5つのマテリアリティ解決に向けた施策を立て、事務局が進捗をモニタリングし、サステナビリティに関する国内外の動向等も考慮し適切に戦略を見直し推進してまいります。

 

③ リスク管理

当社グループは、サステナビリティガバナンスのもと、リスク低減と事業機会の創出を確実にするため、リスク管理及び機会管理を強化しています。リスク管理においては、リスクの重要性を内部統制委員会で定期的にモニタリングしております。その中でも、特に経営への影響が大きく、速やかな対応を要する人財、内部統制に関するリスク等については常務会、取締役会でとり上げ、リスクオーナーを選定し、進捗管理を行っております。各部門やグループ会社で管理可能なリスクは、各組織が中心となって対応しております。機会管理においては、当社グループ全体でテーマを共有し、優先順位の設定とESG視点での活動を促進する仕組みや管理体制を構築し、具体的な事業活動に繋げております。

 

④ 指標及び目標

当社グループは、上記(1)に示した6つの重点テーマ毎に、目標を定めております。目指すべき方向性を明確にし、的確な進捗管理を可能とすることで、ESG経営を着実に実行しています。サステナビリティガバナンスにおいて各指標の進捗状況がモニタリングされ、結果に基づき取り組みに反映しております。

 

(2) 人的資本

① 戦略

イ 競争力の源泉

当社グループの競争力の源泉は「人財」です。重要な財産である人材の「材」は「財」であると認識しており、中期経営計画2026の7つの成長戦略の1つに人的資本経営戦略を掲げております。この人的資本経営戦略においては、「経営戦略の実現に向けて、多様な人財が活躍する人財ポートフォリオを構築し、個人の力・組織の力を最大化して価値を創出する」を戦略方針とし、人的資本価値の最大化による価値創出を目指しております。

 


なお、当社グループにおいて、戦略方針等のもと、具体的な取り組みが行われているものの、当社グループに属する全ての会社において同じ取り組みが行われているわけではなく、企業規模による違いや当社グループに加わって間もない会社もあるため、当社グループとしての記載が困難なものがあります。このため、以下の各取り組みについては、当社グループにおける主要な事業を営む当社のものを記載しております。

 

 

ロ 人財育成

各顧客業界で、競争環境・マクロ環境が変化する中、最適なIT技術を駆使してビジネスモデルを進化させ、持続可能な競争力を確保することが求められています。多様化・複雑化が進む顧客の期待要求に十分に応えるために、従来の「顧客のIT基盤整備」の水準から提供価値を拡大し、顧客の成長をIT軸からサポートするポジションへ進化するべく、高難度かつ上流業務を担える人財の強化を目指しております。

 


 

a.ITプロフェッショナルの育成

自己の実力を最大限に発揮するために、「資質」「人間力」「技術力」「仕事力」の4つの力が重要であると考えています。この4つの力が高い状態であるほど、より大きな成果を生み出すことができます。当社の人財育成では、もともと備わっている「資質」に加え、「人間力」「技術力」を磨き、これらの力を成果に結びつける「仕事力」を高め、市場で活躍するITプロフェッショナルを育成しております。

 

b.DX推進人財及び高度専門人財の育成

ビジネスにおける課題とデジタル技術を結び付けて、「業務効率化」「顧客課題解決」「新サービス開発」を担い、ビジネスをお客様と共創し得る『DX推進人財』を育成するとともに、職種別に有するべき高度な専門スキルを身に付け、当社グループの事業の成長に大きく貢献する『高度専門人財』の育成を目指し、人財ポートフォリオの作成に取り組みました。

 

c.次世代人財育成

当社グループが持続的に発展していくためには、これからを創造、牽引できる人財の育成が重要であると考えています。当社では、2022年から「次世代マネジメント育成プログラム」により、毎年管理職候補者を選抜し、バックキャスト(思考)を用いたこれからの在りたい姿を描きながら、自身の強み・弱みを踏まえたキャリアの設定、マネジメントとしてのマインドや考え方を学び、優秀な人財の発掘と育成を継続しております。

 

d.キャリア開発支援

個人が自律的・主体的にキャリア開発に取り組み、持続的に成長することによって新たな価値を創造し続け、それが企業の成長、ひいては社会貢献にも繋がるとともに、個人の成長を支えるという循環を生み出します。個人の成長あっての企業の成長という考えのもと、一人ひとりが自らのキャリア形成に取り組めるよう、キャリアデザインシートの活用やキャリア相談窓口、クレスコアカデミア(企業内大学)を通じて、社員をサポートしております。今後はタレントマネジメントを活用し、さらに社員の成長を後押しします。

 

e.人財獲得

IT投資に関わる需要の増加に伴い、開発に従事する人財不足は否めず、人財の獲得と開発体制の強化は継続的な課題となっております。優秀な人財を確保するため、当社は、人的資本経営戦略に沿った、積極的な新卒採用、キャリア採用を推進するとともに、ダイバーシティ採用(外国人、障がい者や「これだけは負けない」という国内・国外で秀でた実績・経験を持つ人材の採用)によって多様な人財獲得についても強化しております。また、就職活動中の学生をターゲットに魅力的な企業イメージを持ってもらうため、OB/OGによる学校訪問、企業説明会や採用広告でのブランディングにも力を入れています。

 

ハ 社内環境整備方針

当社グループは多様な属性・専門性・経験・価値観を持つ個人を尊重し、一人ひとりがその能力を最大限に発揮することにより、新たな価値を創造できると考えております。このため、多様な人財が活躍できる環境を整備するとともに、お互いを認め、高め合う職場を実現するため様々な取り組みを進めております。

 

a.エンゲージメント

エンゲージメント(会社と社員の関係性)を可視化して、それをもとに対話していくことで会社と社員の想い描くビジョンを重ね、Win-Winの関係性を築くことを目指し、2021年よりエンゲージメントサーベイを実施しています。会社と社員、社員同士が相互に共感・協力していくことができるよう、会社と社員/社員同士の対話機会の創出や対話力の強化による共感・協力できるチームづくりを進め、公表しましたエンゲージメントスコア「70」の2026年度の達成を目指してまいります。

 

b.健康経営

当社では「健康経営宣言」を掲げ、社員が健康で安心して、やりがいを持って働くことができる職場を実現するため、健康保持・増進に取り組んでおります。健康経営推進体制を整備し、健康リテラシー向上の研修やウォーキングイベントの開催、健康増進手当の導入等により、非喫煙者率や高ストレス者率等の改善につながり、2024年3月には「健康経営優良法人認定制度」に基づく「健康経営優良法人2024(ホワイト500)」に認定され、2025年3月にもこれを継続いたしました。心身ともに健康で仕事と生活の両方を充実させ、イキイキとした職場環境を整えてまいります。

なお、当社の健康経営の推進目的と体制、主な取り組みにつきましては、当社ウェブサイトに掲載されている統合報告書にてご確認ください。

 

c.ダイバーシティ&インクルージョン

多様性を受け入れ、活かすことは、企業が変化する市場環境や技術構造の中で競争優位性を築くために必要不可欠です。当社グループは、個人の「違い」を尊重し、職務に関係のない性別、年齢、国籍等の属性を考慮せず、個人の成果や能力、貢献度に応じた評価を基本としております。その中で女性の活躍を支援し、女性管理職比率の増加にも注力するほか、外国人や障がい者も積極的に採用し、活躍できるよう取り組んでおります。LGBTに対する取り組みについてもパートナーシップ制度を導入しております。また、「男性育休100%宣言」に賛同する等、男性の育児休業取得にも積極的に取り組み、性別を問わず仕事と育児の両立を支援しています。

 

d.人財活用

新卒社員が現場に定着し着実に成長できるよう、指導員制度とメンター制度を設けております。指導員は職場の先輩が担当し、1年間のOJTを通して、業務上で必要な技術、知識、マインドを指導しています。メンターは2年間、他部門の社員が担当し、直接の業務から離れた立場でのアドバイスを行っています。メンター制度についてはキャリア入社者にも適用し、早期に職場に慣れるよう支援しています。また、配置については、経営戦略と社員の能力・適性をマッチングさせた戦略的な配置と社員が自ら希望する部門へ異動を申し出ることができる社内公募・FA制度を実施し、最適かつモチベーション向上に寄与する配置を行っております。

 

 

e.人事制度

社員と当社のさらなる成長のために、個々の専門性や強みを追求できるよう職務・職責を7等級・16職種に分類し、複線型のキャリアパスを歩めるようにしています。担当する職務・職責と成果創出に応じたメリハリのある処遇を実現し、より高いレベルで「実力」を発揮することを促す人事制度としています。また、給与、報酬については市場の動向も踏まえながら、4年連続でベースアップを実施し、人財への投資も積極的に行っております。

 

② 指標及び目標

人財の多様性の確保を含む人財の育成及び社内環境整備に関する指標につき、当社グループにおいては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われております。但し、一部の指標については、当社グループに属する全ての会社では行われていないため、当社グループとしての記載が困難なものがあります。このため、次の指標に関する目標及び実績のうち、「年間研修時間40時間到達率」及び「エンゲージメントスコア」については、当社グループにおける主要な事業を営む当社のものを記載しております。

 

指標

目標(2026年度

実績(当事業年度)

管理職に占める女性労働者の割合(注1)

13.0

10.5

男性労働者の育児休業取得率(注2)

75.0

77.5

年次有給休暇取得率

80.0

72.4

年間研修時間40時間到達率(注3)

70.0

41.2

エンゲージメントスコア(注4)

70.0

65.8

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)(以下、「女性活躍推進法」といいます。)の規定に基づき算出しております。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の6第1号における育児休業等の取得割合を算出しております。

3.就業時間中に研修、セミナー、eラーニング、勉強会等に参加した時間を集計し、年間40時間に到達した社員の割合を算出しております。

4.㈱アトラエが提供するエンゲージメントサーベイ「Wevox」によりエンゲージメントスコアを算出しております。

 

(3) 気候変動対応

気候変動は、現在及び将来世代が豊かな生活文化を実現することに対する大きなリスクとなっております。当社グループは、持続可能な社会の実現に貢献するため、気候変動への対応の必要性を認識しております。

 

2023年度に、TCFD提言に従い、現行シナリオ(4℃シナリオ)及び移行シナリオ(2℃未満シナリオ)に基づく分析を行い、2050年までの中長期的なリスク・機会の項目を抽出しました。分析に当たっては、以下2つのシナリオの世界観を気候変動ドライバーごとに整理しました。

 

4℃シナリオ

気候変動対策が現状から進展せず、世界の平均気温が産業革命期以前と比較して今世紀末頃に約4℃上昇するとされるシナリオ。物理リスクにおける異常気象の激甚化や海面上昇リスクによる影響が大きくなると想定されている。

1.5℃シナリオ

気候変動の影響を抑制するためにカーボンニュートラル実現を目指した取り組みが活発化し、世界の平均気温を産業革命期以前と比較して1.5~2℃未満に抑えることを目指したシナリオ。 1.5℃目標達成に向けた気候変動対策の推進により、各種規制が強化、市場・消費者の環境意識も高まり、移行リスクが顕在化する。

 

 

2050年までを想定したシナリオ分析を実施した結果、当社における気候変動関連リスクの影響は、影響度大のものはなく、大多数が影響度中から小であると判明いたしました。ITサービスやデジタルソリューションの提供を主とする当社グループの事業特性上、気候変動リスクによる財務インパクトは当社グループにとっては限定的であり、リスク削減のための喫緊の対応等は特段必要無いものと考えております。但し、今後も引き続き気候変動に関連する情報収集に努め、状況の著しい変化が想定される場合には、シナリオ分析の再実施により改めてリスクと機会を特定し、必要に応じ対応策の策定・推進に努めてまいります。

他方、気候変動関連の機会についても、影響度大のものは認められませんでしたが、気候変動関連のお客様ニーズにお応えすることで売上を伸ばす機会項目が複数認められ、環境負荷低減への貢献を通じて当社グループが成長できると考えております。

 

主な事業リスクと機会

リスクと機会

内容

影響度

移行リスク

低炭素化クラウド

サービスの拡大

環境配慮型サービスの開発・提供ができない場合、自社サービスの需要が減少する

GHG削減対応、

気候関連情報開示不足

投資家からのレピュテーションが低下し、資金調達コストが増加する。顧客からのレピュテーションが低下し、需要が減少する

物理リスク

自然災害の激甚化

災害が増えることで、IT投資が手控えされる

機会

再生可能エネルギーの普及

エネルギーマネジメントシステムの構築需要が増加する

低炭素市場サービスの開発

データセンター運営企業と協働した低炭素クラウドサービスの提供により需要が拡大する

顧客のIT需要増大

EV市場の拡大や物流業界の効率化、脱炭素への取り組み強化など、業界問わずIT需要が拡大する

気候変動への緩和策の強化

脱炭素の取組みを訴求することでステークホルダーからの評価が上がり、株価が上昇する

 

シナリオ分析から得られた「リスクと機会」を出発点とし、環境負荷の低減と事業活動の効率性の向上のため以下の活動に取り組んでおります。

 

①ガバナンス

2025年度から部門横断の「サステナビリティ事務局」を立ち上げることを決定しました。当社の5つのマテリアリティの1つ「ITを通じた地球環境への貢献」についても、必要に応じ関連する本部がその解決に向けた施策を立て、サステナビリティ事務局が進捗をモニタリングする体制を運営してまいります。

 

②戦略

前述のとおり、2050年までを想定したシナリオ分析の結果から、当社における気候変動関連リスクの影響は、影響度大のものはなく、大多数が影響度中から小であると判明したことから、当社グループの事業特性上、気候変動リスクによる財務インパクトは当社グループにとっては限定的であり、リスク削減のための喫緊の対応等は特段の必要性を認めません。ただし、ネットゼロを目指すにあたり、炭素税の導入、エネルギー価格変動などの影響を考慮した取り組みは不可避であろうことから、シナリオ分析の再実施を視野に入れ、実施後は対応の検討を行い、情報開示の充実化を目指してまいります。

 

③リスク管理

ITサービスやデジタルソリューションの提供を主とする当社グループの事業特性上、気候変動リスクによる財務インパクトは当社グループにとっては限定的であり、リスク削減のための喫緊の対応等は特段必要ないものと考えております。

 

④指標及び目標

また、上記施策以外にも、環境負荷の低減活動に常時取り組んでおります。

当社グループの事業における最大のネガティブインパクト(CO2削減や環境への影響)は、電力の消費量やコピー等の紙の使用量であるため、日常的に省電力や節電やペーパーレスに取り組んでおります。これらの取り組みは、システム開発におけるエネルギー利用の効率化やコストダウンにも繋がります。

 

■GHG排出量

当社グループ各社におけるオフィス、事業等に係る電力コストから、温室効果ガスの排出量を算出、計測しております。なお、当社の本社ビルにおいては、再生可能エネルギー(電力)の購入による温室効果ガス削減への取り組みを行い、環境負荷軽減に努めております。

今後、「2050年までに温室効果ガス排出実質ゼロ」の実現に寄与すべく、更なるCO2削減にむけた具体的な目標、取り組みを検討してまいります。

なお、2022年度の当社実績、2023年度及び2024年度の当社グループにおけるScope別Co2排出量は下記のとおりです。

 

項目

2022年度実績(t-CO2)

2023年度実績(t-CO2)

2024年度実績(t-CO2)

Scope1(注1)

0

0

0

Scope2(注2)

194.97

486.51

502.56

Scope3(注3)

3,380.15

4,880.38

 

(注)1.事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)に係るもの。

2.他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出に係るもの。

3.Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)に係るもの。

 

 

3 【事業等のリスク】

 

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) リスク管理体制

当社は『リスク管理規程』を制定し、当該規程に基づいて当社グループにおけるリスクを区分・管理しております。当社取締役会は、リスクの種類・内容に応じて責任部門を定め、各責任部門長、各業務執行取締役及び内部統制委員会がリスク管理体制の整備とモニタリングを行っております。

 

(2) 各リスクの説明

① サービスリスク

サービスリスクは、当社グループが提供するソフトウェア開発・保守等のサービスに関連して発生する不採算リスクや納品物の不具合による損害賠償リスク等をいいます。当社グループでは、十分な収支計画や技術的な検証を行った上で受注を決定しておりますが、顧客からの仕様変更要求、予期せぬ技術的なミスマッチ等により追加の工数が発生した場合や、納品したソフトウェアの契約不適合責任等に基づく損害賠償請求を受けることとなった場合に、信用の悪化も含めて当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社グループでは、当社の品質・プロセス統括本部を中心に品質マネジメントプロセスの推進を図っており、当該リスクを未然に防止しております。

なお、当連結会計年度において、受注損失引当金を43百万円計上しております。また、ITサービス事業に関連して損害補償損失を85百万円計上しております。

 

② 情報漏洩・システムリスク

サイバー攻撃や当社グループの過失等により第三者の秘密情報・資産を漏洩又は消失した場合には、当社グループは損害賠償責任や信用の悪化を招くことになり、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社グループでは、定期的にコンプライアンスチェックを実施しており、役員・社員のコンプライアンス意識の向上を図るとともに、セキュリティ事故発生時の体制を整備することでその悪影響を最低限にとどめるようにしております。

 

③ 災害等リスク(疫病を含む)

大規模な自然災害や疫病が発生した場合には、事業上必要となる情報システムへの被害や外出の危険性の観点から、当社グループの事業継続が困難となり、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社グループでは、システムのクラウド化の推進、テレワーク体制の充実等のBCP(事業継続計画)を策定・実行しております。

 

④ 開発人材の獲得に関するリスク

当社グループの事業の特性上、計画どおりに開発に従事する人材を獲得することができず、協力会社と適宜・適切に連携ができない場合、プロジェクトの立ち上げや遂行、サービスの提供に支障が生じ、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。当社グループでは、テレワーク・オフィススペース戦略等の働き方改革を推進することで積極的な採用活動を進めるとともに、外国人採用の拡大やオフショアを進めることで国内人材不足に対応しております。

なお、当連結会計年度において、コストの削減と業務効率の向上を目的として、当社取締役会が当社の開発拠点の一部を移転・集約することを決定したことに伴い固定資産の減損損失を89百万円計上しております。

 

⑤ 事業投資(M&A・アライアンス)及び資金の運用に関するリスク

当社は、事業領域の拡大を目的として積極的なM&A・アライアンス投資を進めるとともに、多額の金融商品の運用を行っております。したがって、M&A・アライアンスが当初想定した効果を発揮できない場合や金融市場が大きく変動した場合に、保有する金融商品の価値が下落し、のれんや有価証券の評価損を計上するなど当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社ではグループ統括本部を中心としたグループ管理体制を構築するとともに、財務経理部による運用管理体制を整備しております。

 

⑥ 重大な訴訟等に関するリスク

上記の他、当社グループの事業遂行過程で第三者に対して損害を与えた場合に、損害賠償責任を追及する訴訟等を提起され、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。当社グループでは、上記のリスク管理体制により当該リスクを未然に防止しております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度(2024年4月1日~2025年3月31日)においては、日米の金融政策への警戒感や主要各国における政治的主導者の交代等の影響により為替相場や証券市場が急速に変動しており、企業業績の不安定化を招いております。また、物価水準の高騰と実質賃金の低下が続いており、国内企業における生産性の向上が喫緊の課題となっております。さらに、ランサムウェアを用いたサイバー攻撃やシステムトラブルなど、国内企業の事業活動においてITの影響が注視される事態が相次いでおります。

 

このような経営環境のもと、当社グループは今年度より『中期経営計画2026』を開始いたしました。2026年度における「連結売上高700億円」「連結営業利益率11.5%」「連結ROE15%」の達成を財務KPIとして掲げ、7つの成長戦略(①共創型モデルの確立、②品質リーダーシップ発揮、③人的資本経営推進、④技術・デジタルソリューションの拡張、⑤事業連携促進、⑥デジタル変革実現、⑦グループ一体経営)の実践を通じて、これらの財務KPI及び当社グループとしてのミッションである『顧客とともに持続的に成長し、社会を前進させること』を実現してまいります。

 

当連結会計年度における当社グループの主な取り組みは、以下のとおりです。

 

組織及び体制

当社においては、地方拠点におけるニアショア開発の推進、商材開発力や技術力の強化を目的として、ソリューション&サービスイノベーション本部を再編し、地域イノベーション本部へ改組いたしました。また、ビジネスイネーブルメントサービス本部を再編し、デジタルソリューション事業を推進するとともに、先端技術にも対応できる組織としてデジタルモダナイゼーション本部へ改組いたしました。さらに、品質・プロセス統括本部の配下に品質管理室及びプロジェクト管理室を設置し、品質管理の強化に取り組むとともに、ビジネスサポートセンターを設置することで社内事務の集約化と効率化を目指すことといたしました。また、グローバル市場への進出を目的として、経営戦略統括本部にグローバルビジネス&マネジメント室を設置いたしました。

当社では7つの成長戦略ごとに担当の執行役員を配置し、戦略の実現を目指してまいります。

 

当社グループ会社においては、2024年4月1日付で、当社がジェット・テクノロジーズ㈱の全発行済株式を取得して子会社とし、当連結会計年度において連結の範囲に含めております。同社はITインフラ分野における専門性と豊富な顧客基盤を有しており、高いシナジー効果が発揮できるものと考えております。

 

また、当連結会計年度において、当社の連結子会社である日本ソフトウェアデザイン㈱の再編を実施し、同社の名古屋支店の事業を当社が譲り受けております。同社は2024年7月1日付で当社の連結子会社である㈱メクゼスに吸収合併されたことにより消滅しております。

2024年6月には、当社が保有するクレスコワイヤレス㈱の全株式を同社の代表取締役に譲渡いたしました。この結果、当連結会計年度において同社を連結の範囲より除外しております。

 

財務

2024年5月10日の取締役会の決議に基づき、当社株式の投資単位当たりの金額を引き下げ、投資家層の拡大と市場流動性の向上を目的として、2024年7月1日付で当社普通株式1株につき2株の割合で株式分割を行っております。

また、2024年7月18日の取締役会の決議に基づき、当社の取締役(社外取締役及び監査等委員である取締役を除く。)及び当社の執行役員である従業員並びに当社子会社の取締役の一部に対する譲渡制限付株式報酬として、自己株式18,047株を処分いたしました(処分価額の総額は25,680,881円)。

さらに、2024年11月11日の取締役会の決議に基づき、当社の従業員に対する譲渡制限付株式報酬として、自己株式24,215株を処分しております(処分価額の総額は28,985,355円)。

2025年2月には、取締役会の決議に基づき、当社が保有する自己株式2,000,000株を消却いたしました。

2025年3月には、2025年3月期の期末配当金予想の上方修正を公表しております。なお、2025年5月にさらなる上方修正を公表し、期末配当金予想は1株当たり23円、年間配当金予想は1株当たり42円としております。

 

事業

当社

デジタルソリューション事業において、2024年6月より、クラウド総合支援Creageの新サービスとして「アプリケーションモダナイゼーションサービス」、クラウドシステム導入・更新時の生産性と品質を向上させる仕組みを構築する「Creage DevOps導入支援サービス」、AWS環境のセキュリティやガバナンスの課題を解決するサービスである「Control Towerオプション」の提供を開始いたしました。

また、ホテルの部屋割り業務最適化ツールである「RooMagic(ルーマジック)」の新バージョンをリリースし、相鉄ホテル㈱が展開する横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ様での導入が決定しております。

さらに、7月には当社グループにおける適切なAI技術の活用と、将来の展開を見据えた戦略的な取り組みを行う基盤を築くことを目的とした仮想組織として「生成AIビジネス変革研究室」を設立いたしました。最新のAI技術のトレンドを継続的に追跡し開発プロセスに適用することで、生産性と品質向上を目指してまいります。

10月には、企業のクラウド環境内にGPT環境を構築し、生成AIの簡単かつ迅速な導入・活用をサポートするサービスである「生成AI環境構築サービス」の提供を開始いたしました。また、12月には、福岡市の協力のもと、屋台とデジタル技術を融合させる「屋台DX」プロジェクトの一環として、CAPICHI社の「Capi Order」システムを活用した「多言語デジタルメニュー」に関する実証実験を開始しております。2025年2月にはお客様のAI活用に向けた支援を行う「AIトレンド解説セミナー」を、3月には生成AIを活用した「社内DX推進支援サービス」の提供を開始いたしました。

セキュリティ関連分野においては、2024年11月より「自動車産業サイバーセキュリティガイドライン対応支援サービス」の提供を開始しております。

なお、ITサービス事業に関連して、当連結会計年度において損害補償損失(特別損失)を85百万円計上しております。

 

連結子会社

2024年4月に㈱クレスコ・ジェイキューブが、IBM社のOS「IBMi」市場の活性化に向け、アイエステクノポート社と包括的協業パートナーシップ「Project Techno-Cube」を締結いたしました。また、同社は2024年9月10日開催の取締役会の決議に基づき、10月1日付けで㈱高木システムの自己株式を除く全発行済株式を取得し子会社としております。

 

㈱クレスコ・デジタルテクノロジーズにおいては、2024年7月にクラウド型次世代ファイアウォール「Prisma®Access」導入支援サービスの開始を発表いたしました。また、同社は、11月にMicrosoft社が提供する仮想デスクトップ「Azure Virtual Desktop」の導入支援サービスを、12月にFortinet社が提供する「FortiSASE」の導入支援サービスを、2025年2月にシスコシステムズ社の「Cisco Secure Connect」を用いた導入支援サービスの提供を開始しております。

CRESCO VIETNAM CO., LTD.においては、2024年10月よりサイボウズ社の業務管理プラットフォームである「Kintone」上で利用可能な新ソリューションである「C-Rescue(クレスク)」の提供を開始いたしました。

 

上記の他、資金運用においては、投資有価証券売却益(特別利益)を1億73百万円、投資有価証券償還益(特別利益)を57百万円、投資有価証券評価損(特別損失)を23百万円計上しております。

 

以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高587億60百万円(前年同期売上高527億55百万円、11.4%増)、営業利益59億83百万円(前年同期営業利益51億21百万円、16.8%増)、経常利益62億90百万円(前年同期経常利益56億58百万円、11.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益44億5百万円(前年同期親会社株主に帰属する当期純利益37億28百万円、18.2%増)と増収増益となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

セグメント

売上高(千円)

セグメント損益(千円)

前期

当期

前年
同期比

前期

当期

前年
同期比

 

エンタープライズ

20,311,723

22,050,907

108.6%

2,073,551

2,498,338

120.5%

金融

14,740,973

17,165,646

116.4%

2,073,169

2,392,828

115.4%

製造

13,855,853

14,866,436

107.3%

2,454,497

2,786,321

113.5%

ITサービス事業計

48,908,550

54,082,989

110.6%

6,601,218

7,677,488

116.3%

デジタルソリューション事業

3,847,339

4,677,602

121.6%

225,621

167,071

74.0%

合計

52,755,890

58,760,592

111.4%

6,826,840

7,844,559

114.9%

 

 

①ITサービス事業

ITサービス事業の売上高は、540億82百万円(前年同期比10.6%増)となり、セグメント利益(営業利益)は76億77百万円(前年同期比16.3%増)となりました。サブセグメント別の状況は、次のとおりであります。

 

(エンタープライズ)

「エンタープライズ」区分の売上高は、220億50百万円(前年同期比8.6%増)となりました。これは、「建設・不動産」「資源・エネルギー」「流通サービス」「人材紹介・人材派遣」の各分野における受注が落ち込んだものの、「情報・通信・広告」「運輸」「その他」の各分野における受注の伸びが大きく上回ったことによるものであります。

また、「エンタープライズ」区分のセグメント利益(営業利益)は、24億98百万円(前年同期比20.5%増)となりました。これは、上記の売上高の増加に加え、前年同期において当社で不採算プロジェクトが複数発生していたことによるものであります。

 

(金融)

「金融」区分の売上高は、171億65百万円(前年同期比16.4%増)となりました。これは、当社及び一部の連結子会社において「銀行」分野での受注が伸びたことと、ジェット・テクノロジーズ㈱を新規連結したことによるものであります。

また、「金融」区分のセグメント利益(営業利益)は、23億92百万円(前年同期比15.4%増)となりました。これは、上記の売上高の増加に加え、前年同期において当社で不採算プロジェクトが発生していたことによるものであります。

 

(製造)

「製造」区分の売上高は、148億66百万円(前年同期比7.3%増)となりました。これは、当社において「機械・エレクトロニクス」分野での受注が伸び悩んだものの、当社グループ全体として「自動車・輸送機器」「その他」の分野で受注が増加したことと、ジェット・テクノロジーズ㈱及び㈱高木システムを新規連結したことによるものであります。

また、「製造」区分のセグメント利益(営業利益)は、27億86百万円(前年同期比13.5%増)となりました。これは、上記の売上高の増加と同様の理由によるものであります。

 

②デジタルソリューション事業

デジタルソリューション事業の売上高は、46億77百万円(前年同期比21.6%増)となりました。これは、主としてジェット・テクノロジーズ㈱及び㈱高木システムを新規連結したことによるものであります。

また、セグメント利益(営業利益)は1億67百万円(前年同期比26.0%減)となりました。これは、上記の売上高の増加があったものの、当社及び一部の連結子会社において製品・ライセンスの販売利益率が低下したことによるものであります。

 

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

ITサービス事業

42,748,859

109.6

デジタルソリューション事業

4,232,048

124.1

合計

46,980,908

110.8

 

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額は、製造原価によっております。

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ITサービス事業

54,573,708

108.5

12,277,925

104.2

デジタルソリューション事業

5,188,900

133.1

932,068

221.5

合計

59,762,608

110.3

13,209,993

108.2

 

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

ITサービス事業

54,082,989

110.6

デジタルソリューション事業

4,677,602

121.6

合計

58,760,592

111.4

 

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上となる取引先がないため、記載しておりません。

 

(3) 財政状態

当連結会計年度末における資産総額は前連結会計年度末に比べ、36億22百万円増加し、433億36百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ5億48百万円増加し、284億51百万円となりました。これは主に、電子記録債権が2億5百万円、金銭の信託が1億7百万円、仕掛品が55百万円それぞれ減少したものの、現金及び預金が3億54百万円、前払費用が2億73百万円、売掛金が2億62百万円それぞれ増加したことによるものであります。

固定資産は前連結会計年度末に比べ、30億73百万円増加し、148億85百万円となりました。これは主に、のれんが16億10百万円、投資有価証券が6億93百万円、敷金及び保証金が3億43百万円、建物が1億85百万円、繰延税金資産が1億18百万円それぞれ増加したことによるものであります。

当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末に比べ4億87百万円増加し、125億20百万円となりました。
 流動負債は前連結会計年度末に比べ3億82百万円増加し、89億71百万円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が1億98百万円、未払金が1億46百万円、未払法人税等が97百万円それぞれ減少したものの、買掛金が3億32百万円、賞与引当金が2億46百万円、契約負債が2億20百万円それぞれ増加したことによるものであります。

固定負債は前連結会計年度末に比べ1億5百万円増加し、35億49百万円となりました。これは主に、長期借入金が4億34百万円、社債が30百万円それぞれ減少したものの、役員退職慰労引当金が4億円、退職給付に係る負債が1億3百万円、資産除去債務が40百万円それぞれ増加したことによるものであります。
 当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末に比べ31億34百万円増加し、308億15百万円となりました。これは主に、退職給付に係る調整累計額が46百万円減少したものの、利益剰余金が17億99百万円、その他有価証券評価差額金が65百万円それぞれ増加したことと、自己株式が13億21百万円減少したことによるものであります。

 

 

(4) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末の現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ3億80百万円増加し、152億44百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは47億62百万円の収入(前年度32億13百万円の収入)となりました。
 これは主に、法人税等の支払額が21億66百万円、未払金の減少額が2億31百万円、役員退職慰労引当金の減少額が1億2百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が62億43百万円、売上債権の減少額が4億26百万円、のれん償却額が3億44百万円、減価償却費が2億82百万円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは22億93百万円の支出(前年度14億51百万円の収入)となりました。
 これは主に、投資有価証券の償還による収入が8億17百万円、投資有価証券の売却による収入が4億9百万円、有価証券の売却による収入が1億32百万円あったものの、投資有価証券の取得による支出が14億13百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が11億65百万円、「その他」に含まれる敷金及び保証金の支払額が4億61百万円、有形固定資産の取得による支出が4億11百万円、無形固定資産の取得による支出が1億83百万円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは20億84百万円の支出(前年度7億23百万円の支出)となりました。
 これは主に、配当の支払額が13億37百万円、長期借入金の返済による支出が7億3百万円あったことによるものであります。

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

(6) 当連結会計年度の経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績について、売上高は前年同期に比べて11.4%増の587億60百万円となりました。営業利益は前年同期に比べて16.8%増の59億83百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期に比べて18.2%増の44億5百万円となりました。

 

①売上高

ITサービス事業の売上高は、前連結会計年度に比べて10.6%増の540億82百万円となり、デジタルソリューション事業の売上高は、前連結会計年度に比べて21.6%増の46億77百万円となりました。

 

②売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、前連結会計年度より45億62百万円増加し、469億80百万円となりました。費目別では、材料費が4億7百万円、外注費が15億31百万円、労務費が20億59百万円、経費が3億44百万円それぞれ増加しております。これらの増加は主として売上高の増加に伴うものであります。
 この結果、売上総利益率は、前連結会計年度の19.6%より0.4%上昇し20.0%となりました。

 

販売費及び一般管理費につきましては、前連結会計年度から5億80百万円増加し、57億95百万円となりました。これは、のれん償却額が1億33百万円、人件費が1億7百万円、取得関連費用が99百万円それぞれ増加したことによるものであります。

以上の結果、売上高営業利益率は、前連結会計年度の9.7%から0.5%上昇し10.2%となりました。

 

③営業外収益、営業外費用

営業外収益は、前連結会計年度より2億53百万円減少し、5億10百万円となりました。これは主に、デリバティブ評価益が2億43百万円減少したことによるものであります。

営業外費用は、前連結会計年度から23百万円減少し、2億3百万円となりました。

以上の結果、売上高経常利益率は、前連結会計年度と同値の10.7%となりました。

 

④特別利益、特別損失

特別利益は、前連結会計年度から1億95百万円減少し2億48百万円となりました。これは主に、投資有価証券売却益が1億50百万円、投資有価証券償還益が50百万円それぞれ減少したことによるものです。
 特別損失は、前連結会計年度から1億6百万円減少し、2億95百万円となりました。これは主に、損害補償損失が85百万円、事務所移転費用が38百万円それぞれ増加したものの、減損損失が2億7百万円減少したことによるものです。

 

⑤親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より6億76百万円増加し、44億5百万円となり、売上高当期純利益率は、前連結会計年度の7.1%から0.4%上昇し7.5%となりました。

 

 

 

(7) 経営成績に重要な影響を与える要因について

① 市況の動向

生産労働人口の減少や昨今の物価高騰が企業のIT戦略・IT投資の姿勢に質的・量的な変化をもたらしていると考えられ、これらの動向は当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。

 

② プロジェクトマネジメント

当社グループのプロジェクトマネジメントは標準化された手法を用いて行われておりますが、顧客とのミスコミュニケーションや仕様変更、開発人員の不足等により不採算プロジェクトや損害賠償責任が発生するリスクがあり、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。

 

③ 事業投資及び資金運用

当社が保有するM&Aやアライアンス目的の金融商品並びに資金の運用目的の金融商品は、市況及び金融市場の動向に強い影響を受けるため、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因となります。

 

 

(8) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(4) キャッシュ・フロー」に記載しております。

 

(資金需要)

当社グループが持続的に成長し企業価値を向上させるためには、事業活動や資金の運用を源泉とした自己資金を十分に確保することは当然として、ソフトウェア開発体制を拡充するための設備投資資金、将来の事業拡大に向けたM&A・アライアンスのための投資資金及び新規技術の獲得に向けた研究開発資金を適時適切に調達することが必要不可欠であると認識しております。

 

(資金調達方法)

当社グループでは、原則として、これらの資金を自己資金で賄うこととしております。ただし、経営環境や業界動向、経済・金融情勢等を勘案して、多額の資金が必要となった場合には、財務健全性に配慮しつつ、証券市場からの資金調達や金融機関からの借入れを実行することも視野に入れております。

 

(株主還元)

当社グループでは、株主の皆様に対する利益還元を経営上の重要課題と位置付けており、株主資本の充実と長期的な安定収益力を維持するとともに、業績に裏付けられた適正な利益配分を維持することを基本方針としております。また、株価動向や経営に与える影響を考慮しつつ自己株式の取得を実行することも重要な株主還元政策の選択肢の一つであると考えております。

なお、当連結会計年度における配当の実施状況につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

 

 

(9) 経営者の問題認識と今後の方針について

「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 

 

5 【重要な契約等】

 

1.提出会社と株主間のガバナンスに関する合意

該当事項はありません。

 

2.提出会社と株主間の株主保有株式の処分・買増し等に関する合意

該当事項はありません。

 

3.財務上の特約が付された金銭消費貸借契約又は社債

該当事項はありません。

 

4.その他の重要な契約等

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

 

当連結会計年度の研究開発活動は、当社においては、過年度からの医療領域での高度な知識を有する医師たちとの共同研究で追究・検証し、さらに実用化へ向けた活動などを中心に行ってまいりました。継続中の研究テーマに加えて、数件の新研究テーマにも着手しております。医療領域で得られた知見を用いて産業への展開活動も行っております。AI技術による画像処理技術の研究テーマが多い状態が続いていますが、画像処理技術に続く研究テーマの柱の立ち上げに向けて体制を強化し、お客様のご要望にお応えする新たな研究テーマに着手することに取組んでおります。

研究開発のテーマとしては「先端技術に関する研究開発」「デジタルソリューションに関する研究開発」に大別されます。

 

(1) 先端技術に関する研究開発

先端技術に関しては、眼科及びその他の医療科目における深層学習を用いた医大や医療機関との共同研究を複数 (当連結会計年度の実績で11件) 行っており、その成果を初となる海外の学会を含む眼科学会及び情報処理系の学会にて発表してまいりました。これまで進めてきた画像診断だけでなく、問診票との組み合わせやガイドラインの参照などマルチモーダルな技術にも取り組んでおります。臨床の現場だけでなく、製薬会社の方々と創薬などへのサポートの取り組みも進めつつあります。研究成果の社会実装に向けて、医療系学会,医療機器業界団体との連携を進めております。

医療関連で培われた技術は、他の分野への応用も可能です。航空機エンジンなどに代表される大型で高度な産業機械に関しても、航空運送事業者とともに、点検・整備などの保守作業のIT技術によるサポート、そしてそれを通じた早期の故障検知や予測を目指して取り組んでいます。

当連結会計年度からは、昨今進展著しい大規模言語モデルの、ソフトウェア開発への応用にも取り組んでおります。慎重に検証を行いつつ、すぐにでも開発の現場に活かせる部分を見出していくとともに、大規模言語モデルならではの特性を活かしたより高度な応用方法の探索も進めております。

医療系を中心とした共同研究などを経て得られた成果やその周辺の技術は、分野を超えて、社会や、そして実ビジネスへの貢献しうるものであり、今後もこうした研究活動を続けてまいります。

 

(2) デジタルソリューションに関する研究開発

先端技術に関する活動の結果を用いて、実ビジネスへの展開も継続して取り組んでおります。前節でも触れたように、学会や医療機器協会と協力して医療機関との共同研究の成果の実用化へ向けた活動を行っており、使いやすく見やすい形の GUI を搭載したデモシステムとして、眼科学会併設機器展示会場での学術展示をコンスタントに行っているのに加え、現在、認可取得に向けて、これを用いた治験のフェーズに入っています。このデモシステムは、我々の研究成果だけでなく、他の大学による研究成果の実用化のためのシステムとしても動いており、広く、医療へのIT活用のための研究の実用化に我々の活動が貢献しうることが示されつつあります。

 

航空機エンジン整備支援の共同研究の成果も、まだ試用段階ではありますが航空機エンジン内部検査ツールとしてまとめ、改良を行っています。検査ツールの実用化を進め、それより得られた検査記録をデータベース化し、整備士に負荷を掛けずにより精密な検査を可能にするとともに、今後は日々の検査で蓄積された情報と運航中に収集しているエンジンデータを融合させることで、不具合の発生を予測して事前に整備処置を行う予測整備へとつなげることを目指し活動を続けてまいります。

 

なお、当連結会計年度における当社グループの研究開発費の総額は86,886千円であります。