第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 経営方針

当社は、「すべての人に夢と希望を与え社会に貢献する」という企業理念のもと、美容という手段を用いて人々を美しくすることを最大のテーマとし、美容師の技術力、創造力、感性及びサービスを高め、徹底した現場第一主義を貫いております。

また、「顧客満足」「株主満足」「社員満足」「社会満足」の4つの満足の追求が、企業の社会的使命と捉え、経営活動を進めております。

 

(2) 経営戦略等

当社は、2023年3月期~2025年3月期にわたる3ヵ年の中期経営計画を策定し、達成に向けた重点施策を実行しております。

しかしながら、急激な経営環境の変化、初年度の業績を踏まえ、2023年4月27日に中期経営計画の見直しを行っております。これは、中期経営計画『T-ip60』の基本方針、取組項目はそのまま継承しつつ、計画の完遂に向けた増強施策として、『リブランディングプラン』を内包させ、より抜本的な経営改革を推進するプロジェクトとするべく『TAYA BX (Beauty Transformation) PROJECT』と名称を変更し、遂行してまいります。

 

当計画における具体的な施策は、以下の通りです。

 

Ⅰ.『T-ip60』 ~ TAYA innovation & power 60th ~ (当初施策)

(1)成長戦略( innovation )

①インフラ構築

・全店にPOSレジを導入し、顧客情報・予約管理・会計管理を一体化させ、業務負担を軽減

・顧客情報の一元管理により、顧客ステータスや個人に合わせた、きめ細かなアクションを実施

・通常料金の見直しや電子ポイントシステムを導入することで、お客様へ新しい価値の提供と再来店の動機づけ

をし、来店の好循環を生み出す

②販促活動

・販促チームを発足し、効果的なSNSの活用や世代に合わせた販促を推進

・自社のWEBサイトを集客ページとIRページに分離し、よりターゲットを明確にしたWEBサイトの運用

・話題性のあるタレントを起用し、パブリックイメージの浸透を図る

③商品販売の拡大

・市場ニーズの高い商品の導入や、OEM商品の開発および積極販売

・TAYAアプリとECサイトを連動させることによる、EC販売のシェア拡大

・顧客以外の購買者へのEC販売の認知向上と拡販を図る

 

(2)人材・技術教育戦略( power )

 ①組織

・抜本的な組織改革により、適材適所に人材を配置

・店舗と本部のオペレーションを再構築し、効率的な連携を図る

・本部をスリム化し、意思決定のスピードと戦略の実効性を高める

 ②人材

・美容師の所得増加を実現するシステムを構築

・美容学校との連携、WEBを活用した採用で全国から人材を確保

・キャリアパスを充実させ、人材の定着化を図る

 

 ③技術教育

・若年層や大人世代、それぞれの髪質やお悩みに合わせた施術メニューの開発・展開

・店長教育、社員教育を通じて、個人能力向上と店舗能力向上の相互作用を実現

・早期育成プログラム「TAYAアカデミー」から「スーパージュニア」を選抜し、特別レッスンにより戦力供

給スピードを高める

 

(3)コーポレート戦略

①収益施策

・材料の適正使用、OEM商品の積極販売による商品原価低減、印刷物のデジタル化など

・経費の徹底管理で合理的なコスト削減

・本部のスリム化による一般管理費の圧縮

・本部収益拡大のための新たな収益源を創出

 ②店舗施策

 ・新規出店(期間中:当初13店舗 ⇒ 見直し後 23店舗)

 ・店舗改装(期間中:当初14店舗 ⇒ 見直し後 7店舗)

 ・店舗閉鎖(期間中:当初7店舗  ⇒ 見直し後 19店舗)

※新規出店は、規模ではなく収益性を最重要視、立地・集客面を勘案しコンパクトサロンを目指す

※直営店経営のみならず、あらゆる出店形態を展開

 ③ESGの推進

当社は「すべての人に夢と希望を与え社会に貢献する」という企業理念のもと、これまでにも環境への配慮や、地域社会への貢献、透明性のある経営体制の構築に取り組んでまいりました。また、当社のSDGsアンバサダーとして、トランスジェンダーで建築家の「サリー楓さん」を起用し、当社の姿勢とポリシーを全面的に訴求してまいりました。すべての人に平等で差別のない技術やサービスを提供することは、まさに美容室だからこそできる社会課題です。今後最優先となる持続可能な社会の実現と持続的成長を目指し、更なるESG推進を図ってまいります。

 

Ⅱ.リブランディングプラン(追加施策)

(1)エクスターナルブランディング(対外向けブランディング活動)

①事業提携による新サービスの導入、新たな美容商品・サービスの提供

スヴェンソン社との業務提携を皮切りに、多様な美しさを提供できるよう新たなサービスメニューの導入や販路開拓

・お客様の美に対する多様性に応える幅広い商品・サービスの提供

・脱マスク需要に向けたスキンケア商品の拡充

 

②直営ブランド「TAYA」のリブランド

時代に合わせた、新たなターゲット層の取り込みだけでなく、これまでのお客様により良い体験をしていただくため、「人生が潤う美しさを」をコンセプトに段階的リニューアルを推進、新たなTAYAのブランド体験を提供します。

・エリア単位での収益性の追求

・顧客ターゲット層を明確にした店舗運営へシフト

 

③フリーランスブランド「ano」の新設

直営とは異なる業務委託、フリーランスの活躍の場となる新ブランドを新設。多様な社会、個性を尊重し、一人ひとりが輝き、自らの価値観を表現できる「個性かがやく」をコンセプトにしたブランドとして、2023年5月に「anoたまプラーザ」のオープンを皮切りに、「TAYA」とは異なる新しいブランド体験を提供します。

・居抜き店舗などを活用したリーズナブルな出店計画

・最終年度までに20店舗の出店を目標

・若年層ターゲットの取り込み

 

(2)インターナルブランディング(対内向けブランディング活動=人的資本経営へ向けた取り組み)

①フリーランスや多様な人材の受け入れ

昨今、美容師における働き方の多様化は加速しております。そのような状況の中、自分に合った働き方を求め、業界の時流であるフリーランス美容室への人材流出が顕著となっており、当社グループ内においても、多様な働き方を可能とし、「美容師」一人ひとりに即したキャリアプランを設計できる制度や環境を整備し、当社で働く魅力を向上いたします。

②正規・非正規の働き方改革の実施

直営社員、フリーランスで働く非正規など、当社と関わるすべての人の働き方を見直し、制度・環境を整備いたします。

③正規社員のキャリアパス・評価制度

DX(Digital Transformation)を踏まえた評価制度の改革により、人材価値を最大限に引き出します。

 

(3)ブランドコミュニケーション(対外的・対内的)

①ブランドマネジメント

各ブランドがそれぞれの強みを活かし、運用が適切に行われるよう、SNSの強化や接客ツールのDX化を図り、効率的にブランドマネジメントができる環境を構築

②包括的なコミュニケーション戦略の導入

会社・ブランド・店舗・個人、それぞれの発信内容、広報戦略やSNS戦略を再構築し、新しく「美しさを提供する企業」としての魅力を効果的に発信

 

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「TAYA BX PROJECT」の各施策を推し進め、最終目標年度に収益力の安定性を高め、成長基盤を確立させ、以下の業績目標を達成してまいります。

・2023年度  営業利益の黒字化

・2024年度  当期純利益の黒字化、成長基盤の確立

 

 [中期経営計画における実績及び数値目標]

 (単位:百万円、%、円 銭、%、店)

 

2022年度(第49期)

〔2023年3月期〕

[実績]

2023年度(第50期)

〔2024年3月期〕

[次年度計画]

2024年度(第51期)

〔2025年3月期〕

[最終目標年度計画]

金 額

売上比

金 額

売上比

金 額

売上比

売上高

6,004

100.0

5,920

100.0

6,180

100.0

売上原価

5,650

94.1

5,039

85.1

5,159

83.5

売上総利益

354

5.9

880

14.9

1,020

16.5

販管費

973

16.2

866

14.6

879

14.2

営業利益又は

営業損失(△)

△619

13

0.2

140

2.3

経常利益又は

経常損失(△)

△602

18

0.3

142

2.3

当期純利益又は

当期純損失(△)

△804

△55

105

1.7

EPS

△161.08

△11.07

21.03

ROE

-

-

17.3

期末美容室数

70

72

88

 

   ※IFRSの強制適用による業績や指標への影響は考慮しておりません。

 

(4) 経営環境

昨今の新型コロナウイルスの影響に伴う社会基盤の揺らぎや消費者心理の変化、ウクライナ情勢に起因する原材料価格、エネルギーコストの上昇による物価の急騰など産業構造の変革期に直面しております。

美容業界におきましては、「美容室のオーバーストア状態による過当競争」の激化、「人口減少社会による客数の減少」、さらには「美容師の獲得難」の様相を呈しており厳しい状況が続いております。

また、働き方改革の浸透により、美容師自身においても就労意識の変化が生じております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は、企業理念に従い年齢・性別・国籍を問わずより多くの人々に喜んでいただける環境を創造し続け、ヘアビジネスにおけるリーディングカンパニーとして、多様化する消費者ニーズや変化する消費者のライフスタイルに応え、新技術の開発、社員の教育、情報の発信、店舗の統廃合および合理的なコスト削減を継続的に実施することを重点課題とし、収益性と成長性を同時に追求できる経営を進めてまいります。

また、コンプライアンスを重視し、内部統制システムの一層の充実を図り、経済構造および社会情勢等の経営環境の変化に対し迅速かつ柔軟に対応できるよう、企業体質の改善、強化に努めてまいります。

 

当社は、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。

「3[事業等のリスク](8)継続企業の前提に関する重要事象等について」に記載している対応策を迅速かつ着実に行い、早期に継続企業の前提の疑義を解消することが最重要課題であると認識しております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は環境への配慮や地域社会への貢献、透明性のある経営体制の構築に取り組んでまいりましたが、今後最優先の社会課題への対応を通じた持続可能な社会の実現と持続的成長を目指し、ESG推進を図ることで非財務面への取り組みについても極的に取り組んでおります。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

(1)人的資本経営への取り組み

当社の最も重要な経営資源は「人材」と考えております。これは、当社を利用されるお客様は、提供される美容施術サービス以上に、担当する「美容師」個人に魅力を感じ、ご来店されるものであると考えるためであります。

当社を取り巻く環境は、目まぐるしく変化し、予測困難な状況であります。この時代の中で、ウェルビーイングやD&Iをなど多様性への対応が注目される中、当社においても、これまでの終身雇用や年功序列等の制度見直し、正規雇用、非正規雇用等の横断的な制度の整備、多様な働き方を実現するべく、様々な分野で聖域のない改革の検討を開始しております。このような人的資本に対する経営環境を整備することが、当社で働く魅力を一層高め、有能な人材の採用、継続的な人材育成行うことに繋がり、当社の将来における継続的な発展に寄与するものと考えております。

 

これらについては、当社は中期経営計画「TAYA BX (Beauty Transformation) PROJECT」において、追加された施策のリブランディングプランにおいて、インナーブランディングを追加し、下記の取り組みを推進してまいります。

 

①フリーランスや多様な人材の受け入れ

昨今、美容師における働き方の多様化は加速しております。そのような状況の中、自分に合った働き方を求め、業界の時流であるフリーランス美容室への人材流出が顕著となっており、当社グループ内においても、多様な働き方を可能とし、「美容師」一人ひとりに即したキャリアプランを設計できる制度や環境を整備し、当社で働く魅力を向上いたします。

 

②正規・非正規の働き方改革の実施

直営社員、フリーランスで働く非正規など、当社と関わるすべての人の働き方を見直し、制度・環境を整備いたします。

 

③正規社員のキャリアパス・評価制度

DX(Digital Transformation)を踏まえた評価制度の改革により、人材価値を最大限に引き出します。

 

(2)ガバナンスとリスク管理

当社において、全社的なリスク管理は、CPCR委員会において行っておりますが、都度発生するサステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについて、各部門長が集まる経営戦略会議の中でより詳細な検討を行い、共有しております。優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、当社に与える財務的影響、当社の活動が環境・社会に与える影響、発生可能性を踏まえ行われます。

重要なリスクは、経営戦略会議の協議を経て戦略、計画に反映され、取締役会へ報告、監督されます。

サステナビリティに関するリスクへの対応状況は、各部門の責任者においてモニタリングされ、CPCR委員会を通じて取締役会へ報告されます。

 

なお、人材の確保に関するリスクの内容については「3[事業等のリスク](1)会社がとっている特異な経営方針、(4)特定の製品、技術等で将来性が不明確であるものへの高い依存度にかかるもの」をご参照ください。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 会社がとっている特異な経営方針

当社の事業展開にあたっては、国家資格を有する美容師の採用が不可欠です。当社はサービスの質の維持あるいは向上の為にこうした有資格者を原則正社員として採用し、研修施設や各拠点にて新入社員研修、中途採用社員研修等を行った上で業務を担当させておりますが、人材採用や教育研修が計画通りに進まない場合には、当社の事業展開や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 財政状態及び経営成績の異常な変動に係るもの

当社の売上高は、季節感を強く感じる夏季の7月、冬季の12月、及び学校や会社の入園・入学・卒業・歓迎会等にあたる3月に、他の月に比べて高くなる傾向があります。反面、冷夏、暖冬、長雨、台風等の天候不順や疫病の蔓延は当社の事業展開や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 特定の取引先等で取引の継続性が不安定であるものへの高い依存度に係るもの

当社の事業展開にあたり、店舗形態としては、自己所有物件よりも賃借物件やインショップ物件が多い傾向にあります。現時点では賃借先・デベロッパーと当社との関係は良好でありますが、将来的にこれら相手先の事業継続が危ぶまれる事態が生じた場合は、敷金保証金の貸倒発生や当社店舗の撤退・営業継続不能等も考えられ、事業展開や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 特定の製品、技術等で将来性が不明確であるものへの高い依存度に係るもの

当社の事業展開上、上述のように国家資格を有する美容師、かつ、顧客からの支持の高い者の業務従事が重要と考えております。仮に当社から、これらの者が大量に離職した場合は、当社の事業展開や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 特有の法的規制等に係るもの

当社の行う事業に適用される美容師法は、社会情勢の変化等に応じて今後も適宜、改正ないし解釈の変更等が行われる可能性があります。その場合は当社の行う事業に影響を与える可能性があります。

(6) 個人情報の管理に係るもの

顧客データベースへのアクセス環境、セキュリティシステムの改善を常に図り、個人情報保護に万全を期しておりますが、これに加えて情報の取り扱いに対する意識の向上を目的とした社員教育の徹底や、情報へのアクセス者の限定、牽制システムの構築等、内部の管理体制についても強化しております。

今後も個人情報の管理は徹底してまいりますが、個人情報が流出した場合には、当社の事業展開や経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

(7) 減損会計に係るもの

当社の保有資産につきまして、実質的価値の低下等による減損処理が必要になった場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 継続企業の前提に関する重要事象等について

当社は、当事業年度末において、売上総利益の計上までは業績は回復したものの、新型コロナウイルス感染症の第2四半期以降の第7波、第8波による感染者拡大による影響や、美容材料及びヘアケア商品の卸価格の上昇や光熱費の急騰により店舗運営コストが増加したことで、当事業年度において営業損失619,887千円、マイナスの営業キャッシュ・フロー582,507千円となり、4期連続の営業損失およびマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しております。これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況が存在しております。

このような状況の解消を図るべく、当社は中期経営計画『T-ip60』並びに『TAYA BX (Beauty Transformation) PROJECT』を策定・推進し、当該状況の改善に努めております。

当期においては、DXの推進や、不採算店舗の追加閉鎖、抜本的な本部構造改革による徹底したコストの圧縮を図ってまいりました。今後、営業面においては、直営美容室の再構築をはじめ、スヴェンソングループとの協業による新サービスの導入や新業態美容室の開設などを早期に展開し、収益力を増強させてまいります。また、人的資本施策として働き方の多様化への取組みや評価制度改革、更にプロモーション戦略の強化など、対外・対内的すべてにおいてリブランディングを実施し、当社の再生に全力を尽くしてまいります。

資金面につきましては、当期中には事業構造改革資金の一部をご支援いただいており、引き続き取引金融機関とは緊密に連携を行い、将来必要となる資金についてもご支援いただけるよう良好な関係を継続できるよう対応してまいります。また、金融機関以外からの調達についても適宜検討を進めてまいります。

これらの状況を鑑み、現時点において、継続企業の前提に関する重要な疑義を解消すべく取り組んでいる対応策は実施途上にあり、今後の事業進捗や追加的な資金調達の状況等によっては、当社の資金繰りに重要な影響を及ぼす可能性があることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。

なお、財務諸表は継続企業を前提としており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を財務諸表に反映しておりません。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響は残りつつも、行動制限の緩和により経済活動の回復の兆しが見られ始める一方、ウクライナ情勢の長期化や急激な円安進行や金利によるエネルギーコストや原材料価格の高騰など物価高が急激に進行しており、依然として先行き不透明な状況にあります。

美容業界におきましても、物価高騰による消費マインドの冷え込みや新たな生活様式に順応した営業体制の変化、店舗間競争の激化や労働需給逼迫による美容師確保難など、当社を取り巻く経営環境は厳しい状況が続いております。

このような外部環境の中、当社といたしましては、企業理念である「すべての人に夢と希望を与え社会に貢献する」の下、「デジタルと人の融合」による美容室経営を実践するべく、中期経営計画「T-ip60」を策定し、早期経営改善、利益体質の実現へ向けた戦略を推進しております。当事業年度においては、POSシステムやポイントサービスの導入、自社ECサイトの刷新などDXの推進に注力、また、財務体質の早期改善を図るべく、不採算店舗の追加閉鎖や販管費の圧縮などに着手し、事業基盤の再構築に取り組んでまいりました。

店舗につきましては、美容室1店舗(GRAND TAYA GINZA)を新規出店、美容室1店舗(TAYA あざみ野店)を改装し、美容室15店舗を閉鎖いたしました。これにより、当事業年度末の店舗数は、美容室70店舗となりました。

以上の結果、当事業年度の売上高は6,004百万円(前期比7.9%減)となり、営業損失619百万円(前期は営業損失1,106百万円)、経常損失602百万円(前期は経常損失1,106百万円)となりました。また、店舗閉鎖に係る費用や減損損失などを特別損失に175百万円を計上したことにより、当期純損失は804百万円(前期は当期純利益390百万円)となりました。

 

当事業年度末における財政状態は、次のとおりであります。

 

当事業年度末の総資産は2,366百万円となり、前事業年度末比877百万円の減少となりました。

流動資産の残高は843百万円(前事業年度末比719百万円減少)、固定資産の残高は1,523百万円(前事業年度末比157百万円減少)となりました。主な要因につきましては、ソフトウェアの増加21百万円があったものの、現金及び預金の減少593百万円、建物の減少92百万円、流動資産「その他」に含めております未収入金の減少54百万円、敷金及び保証金の減少52百万円があったことによるものであります。

当事業年度末の負債総額は1,756百万円となり、前事業年度末比72百万円の減少となりました。

流動負債の残高は1,023百万円(前事業年度末比27百万円減少)、固定負債の残高は732百万円(前事業年度末比44百万円減少)となりました。主な要因につきましては、長短借入金の純増110百万円、契約負債の増加102百万円があったものの、未払金の減少106百万円、未払費用の減少48百万円、退職給付引当金の減少48百万円、電子記録債務の減少37百万円、未払消費税等の減少32百万円があったことによるものであります。

当事業年度末の純資産は610百万円となり、前事業年度末比804百万円減少いたしました。

以上の結果、自己資本比率は前事業年度末の43.6%から25.8%に減少いたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ593百万円減少し、375百万円となりました。

また、当事業年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において、営業活動の結果支出した資金582百万円(前期は1,516百万円の支出)となりました。

これは主に、減価償却費112百万円、契約負債の増加102百万円、減損損失92百万円があったものの、税引前当期純損失774百万円、退職給付引当金の減少額48百万円、未払費用の減少額48百万円、仕入債務の減少額46百万円、未払金の減少38百万円、未払消費税等の減少32百万円、法人税等の支払額41百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において、投資活動の結果支出した資金は119百万円(前期は3,587百万円の収入)となりました。

これは主に、敷金および保証金の回収による収入110百万円があったものの、有形固定資産の取得による支出160百万円、資産除去債務の履行による支出45百万円、無形固定資産の取得による支出25百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において、財務活動の結果得られた資金は108百万円(前期は1,481百万円の支出)となりました。

これは主に、長短借入金の純増110百万円があったことによるものであります。

 

③ 仕入及び販売の実績

a.仕入実績

商品及び美容材料の仕入実績

 

区分

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

商品(千円)

274,467

90.6

美容材料(千円)

207,728

86.3

合計(千円)

482,195

88.7

 

(注) 1.金額は実際仕入価格で表示しております。

 

b.販売実績

 

取扱区分別

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

美容施術(千円)

5,448,645

93.1

商品(千円)

543,367

82.7

その他(千円)

12,912

100.2

合計(千円)

6,004,926

92.1

 

 

 

c.都道府県別売上高

 

都道府県

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

売上高(千円)

構成比(%)

前年同期比(%)

埼玉県

101,142

1.7

75.2

千葉県

702,940

11.7

100.3

東京都

2,322,433

38.7

98.5

神奈川県

1,385,304

23.1

101.6

愛知県

35,538

0.6

96.0

三重県

37,049

0.6

100.4

京都府

193,614

3.2

110.1

大阪府

347,680

5.8

94.7

兵庫県

106,241

1.8

63.3

広島県

40,619

0.7

61.6

福岡県

795,988

13.2

101.1

熊本県

89,676

1.5

111.0

大分県

36,159

0.6

83.7

調整額

△330,991

△5.5

747.3

店舗合計

5,863,397

97.7

92.2

本社

141,528

2.3

87.7

合計

6,004,926

100.0

92.1

 

(注)調整額は、収益認識に関する会計基準の適用により、将来利用されると見込まれる金額を売上高より調整額として控除しておりますが、控除する金額を地域別に振分けることが困難なため、売上高の合計金額から一括して減額しております。

 

 

d.美容室の顧客収容能力及び入客実績

 

都道府県

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

椅子数

(席)

構成比

(%)

来店客数

(人)

構成比

(%)

椅子数

(席)

構成比

(%)

来店客数

(人)

構成比

(%)

宮城県

6,678

1.5

10,094

1.4

埼玉県

8,020

1.8

15,790

2.1

5,910

1.5

10,953

1.7

千葉県

46,600

10.2

72,066

9.7

44,946

11.5

66,580

10.2

東京都

154,881

33.8

243,095

32.5

131,761

33.8

218,638

33.4

神奈川県

105,850

23.1

160,960

21.5

95,594

24.6

149,848

22.9

愛知県

3,249

0.7

4,918

0.7

2,718

0.7

3,943

0.6

三重県

4,719

1.0

10,645

1.4

4,719

1.2

11,054

1.7

京都府

5,009

1.1

18,003

2.4

4,732

1.2

18,107

2.8

大阪府

32,018

7.0

50,126

6.7

25,953

6.7

38,008

5.8

兵庫県

17,520

3.8

21,457

2.9

8,347

2.1

12,048

1.8

広島県

6,801

1.5

7,777

1.0

2,513

0.7

4,743

0.7

福岡県

56,610

12.3

103,929

13.9

52,702

13.6

97,263

14.8

長崎県

732

0.2

1,838

0.2

熊本県

4,719

1.0

8,829

1.2

4,706

1.2

9,321

1.4

大分県

4,745

1.0

18,021

2.4

4,732

1.2

14,547

2.2

合計

458,151

100.0

747,548

100.0

389,333

100.0

655,053

100.0

 

(注) 椅子数につきましては、各店舗のセット椅子数に当期の営業日数を乗じて算出しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

(売上高)

売上高は、6,004百万円(前年同期比 7.9%減)となりました。これは、客単価が増加し、既存店売上高は増加となったものの、不採算店舗の追加整理等により店舗数が減少したことにより減収となりました。

(売上総利益)

売上総利益は354百万円(前年同期は売上総損失153百万円)となりました。これは、不採算店舗の追加整理等により、労務費、地代家賃が減少したことによるものであります。

(営業損失)

営業損失は、619百万円(前年同期は営業損失1,106 百万円)となりました。これは、本部人件費の減少があったものの、事業構造改革に伴い支援会社への報酬の計上があったことによるものであります。

(経常損失)

経常損失は、602百万円(前年同期は経常損失1,106百万円)となりました。これは、助成金収入や協賛金収入が増加したことによるものであります。

(当期純損失)

当期純損失は、804百万円(前年同期は当期純利益390百万円)となりました。店舗等の資産の減損損失を計上したこと、並びに不採算店舗の追加整理による費用を計上したことによるものであります。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社の事業においては、人件費や店舗運営維持に係る経費等の固定費比率が高いため、一定水準を越える売上を確保できれば大きく利益に寄与できるものの、反面売上が計画どおりにいかない場合は、それに伴う経費圧縮が困難となり、適正な利益水準を維持することが難しくなります。

 

③ 経営戦略の現状と見通し

当社が属する美容業界においても、新型コロナウイルスの影響による新しい生活様式の浸透やウクライナ情勢に起因する原材料価格、エネルギーコストの上昇による物価の急騰などにより、社会基盤や美容室の収益構造が大きく変容し、また美容師の就労に対する価値観の多様化など産業構造の変革期に直面しております。今まで当たり前であったものが当たり前でなくなる中、当社におきましても試行錯誤を重ねて運営してまいりました。今後、コロナ禍の社会で加速したDX(デジタルトランスフォーメーション)が、人々の生活をより良い方向へ導く未来が予測される中、美容業界においても従来の延長線上にない変革が求められております。  当社といたしましても、この変革期に対応すべくDXを推進した美容室経営を実践すると同時に、いつの時代でも美容業にとって不変である人材・美容技術を発展させていくことで、「デジタルと人の融合」を目指してまいります。

中期経営計画初年度の当事業年度においては、「デジタルインフラの構築」に注力し、POSシステムやポイントサービス、ECサイトの刷新を行ってまいりました。

次年度においては、「技・志・質」をスローガンに「人」に重きを置いた取り組みを推進しつつ、同時に「リブランディングプラン」を並走させ、2024年度の当社創業60周年には、当期純利益の黒字化、成長基盤を確立させることを目指し、中期経営計画をより強固に推進してまいります。

 

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費や店舗地代家賃等の経費支払や商品仕入代金、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

当社の経営者は、現状認識と将来予測に基づき最良最善の営業戦略の推進と企業体質の強化に努めており、そのためには、「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」に記載しております課題に対処していくことが必要であると認識しております。

しかしながら、過当競争の激しい美容業界において当社を取り巻く経営環境は依然厳しさが続くものと予想されます。また、「第2[事業の状況]3[事業等のリスク]」で記載いたしました天候、個人消費動向等の外部要因が経営に重要な影響を与えるものとの認識もしております。

 

⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況] 1[財務諸表等](1)[財務諸表]注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) ライセンス契約

相手先の名称

CADSインターナショナル(ベルギー)

契約品目

MICHEL DERVYNの商標及びノウハウの使用

契約内容

日本国内において、当社が「MICHEL DERVYN」という名称の美容サロンを運営、プロモーション及び広告する際に、CADSインターナショナル社が所有する商標及びノウハウを使用させる。

契約期間

2019年11月1日から2024年10月31日まで

ロイヤリティ

年度毎に定額

 

(注) ロイヤリティは、販売費及び一般管理費に計上しております。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。