第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

当社は次の3点を経営理念として定め、この経営理念のもと激変する時代環境に合わせ、品質の向上と技術力の強化を図り、お客様のニーズに的確にお応えしていくとともに時代を先取りした新しいサービスを心がけてまいります。

①お客様に最適のサービスを提供し、事業活動を通じて社会の発展に貢献する

②技術力の強化と経営の改革を図り、時代に即応した魅力ある会社の実現に努める

③社員の能力と創造力を尊重し、闊達なコミュニケーションで総合力を発揮する

 

(2)経営環境及び事業上の対処すべき課題

当社の属する情報サービス産業界の事業環境は、クラウド化や「IoT」「AI」「ビッグデータ分析」等のデジタル化が進展しており、これにより国内ベンダーは従来の受託開発型ビジネスモデルからの転換を迫られております。また、人手不足や働き方改革への対応など、リソース確保や生産性向上が重要な課題となっております。

当社グループの主要な顧客においては、基幹系システムの保守・運用等の領域でアウトソーシングや費用削減のニーズが継続する一方で、製品・事業系システムでは、デジタル化等の新技術による事業強化が進められています。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、2019年度より始まる新たな中期経営計画(2019年4月~2022年3月)を、次の成長軌道に乗るための「ビジネス変革」の3年間と位置づけ、「既存事業の高度化」と、それをベースとした「事業領域の拡大」を基本方針として、

・解析・設計、運用・開発等既存事業へのデジタル技術適用による事業強化

・サービス品質向上、効率化の推進、プロジェクト管理の徹底等による競争力強化

・オフショア開発拡大と生産性向上による受注対応力の強化

・デジタルビジネスへの対応力強化

・新たな事業分野への参入、顧客拡大等による受注拡大

・採用活動強化、人材育成、働き方改革の推進

等に取り組み、成長し続ける企業集団を創り上げてまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは将来にわたり安定した成長を継続的に確保するために、重要な経営指標として売上高経常利益率及び1株当たり当期純利益の向上に努めてまいります。

なお、翌連結会計年度の業績予想は、売上高31,000百万円、営業利益2,000百万円、経常利益2,000百万円、売上高経常利益率6.5%、親会社株主に帰属する当期純利益1,300百万円、1株当たり当期純利益1,024円79銭としており、各数値の達成を目指してまいります。

2【事業等のリスク】

当社グループの業績は「事業の状況」や「経理の状況」等で報告しておりますが、当社グループが事業を展開・拡大していく上で、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある事項には、次のようなものがあります。

 

(1)顧客に関する事項

当社グループ全体の売上高に対して、三菱重工業株式会社の売上比率は約4割を占めており、それに続く三菱自動車工業株式会社、日本アイ・ビー・エム株式会社を含め、この上位3社の売上比率は約5割を占めております。これらの顧客の投資動向が経済情勢等により変化した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループでは、これらに続く顧客との取引拡大に取り組んでおります。

 

(2)情報セキュリティに関する事項

当社グループは業務上、顧客が保有する個人情報や機密情報を取り扱っており、コンピューターウィルスや不正アクセス、人為的過失等により万一当該情報の漏洩が発生した場合には、顧客からの損害賠償請求や信用失墜等の事態を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このため、当社グループでは、外部への情報流出や外部からの不正侵入を防ぐセキュリティ対策など未然防止に努めるとともに、セキュリティ教育を定期的に実施することにより社員のセキュリティに対する意識向上を図っております。

 

(3)システム開発に関する事項

当社グループは顧客の各種システムの受託開発業務を行っておりますが、その開発において作業遅延によるコスト増加や納入後の不具合の修正作業等が発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクに対して、当社グループでは、入口管理の徹底やプロジェクトマネジメントの強化、QMS活動による品質改善等を推進することにより、リスクの低減を図っております。

 

(4)人材の確保及び育成に関する事項

当社グループの事業は人材に大きく依存しており、事業を展開・拡大していくためには、一定水準以上の技術力を持った人材を確保し、その人材を育成することが重要でありますが、雇用情勢に加えて好調なIT業界の業況を背景とする同業他社との人材獲得競争の激化等により、優秀な人材の確保ができない場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります

このため、当社グループでは、柔軟な働き方や女性の活躍等を支援する制度のさらなる整備とともに新卒及び中途採用活動の強化や人事・教育制度の充実等、積極的に人材の確保及び育成を推進しております。また、人材リソースの確保のために海外オフショアの活用拡大にも取り組んでおります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1)経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、堅調な企業収益や雇用・所得環境の改善が続くなか、全体としては緩やかな回復基調で推移しました。一方、世界経済においては、米中貿易摩擦の影響が表面化しはじめ、欧州や新興国で経済成長の減速感が強まる等、不確実性が増しており、景気の先行きは不透明な状況が続いております。

当社の属する情報サービス産業界においては、クラウドやIoT、AI等の市場拡大が継続しており、当社の主要な顧客におけるIT関連投資の向け先も多様化しております。

このような事業環境の中、当社グループは、2016年度に策定した中期経営計画の総仕上げとして、サービス品質の向上、コスト競争力や技術力の強化、人的リソースの最適配置や海外オフショア活用等の諸施策を推進し、ベース事業であるシステム運用・開発、解析・設計、PLM等の領域において競争力の強化を図るとともに、デジタル化への対応に向けた取り組みを推進してまいりました。

当連結会計年度においては、パソコンのWindows10への切替えをはじめとするシステム機器販売の受注増等により、売上高は前連結会計年度より増加し、331億83百万円(前連結会計年度300億78百万円 前連結会計年度比10.3%増)となりました。損益については、前連結会計年度に発生した大きな工事損失が当連結会計年度は発生していないことに加えて、売上増や生産性向上による採算改善等により、営業利益23億1百万円(前連結会計年度16億42百万円 前連結会計年度比40.1%増)、経常利益23億5百万円(前連結会計年度16億51百万円 前連結会計年度比39.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15億12百万円(前連結会計年度11億88百万円 前連結会計年度比27.3%増)となりました。

なお、当連結会計年度実績の期首業績予想に対する達成状況は次のとおりであり、業績予想として設定した全ての項目において超過達成しております。

 

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

 至 2019年3月31日)

(参考)

翌連結会計年度

(自 2019年4月1日

 至 2020年3月31日)

 

期首業績予想

(注)1

実績

増減額

達成率

期首業績予想

(注)2

売上高(百万円)

30,500

33,183

2,683

108.8%

31,000

営業利益(百万円)

1,800

2,301

501

127.9%

2,000

経常利益(百万円)

1,800

2,305

505

128.1%

2,000

売上高経常利益率(%)

5.9

6.9

1.0

116.9%

6.5

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

1,100

1,512

412

137.5%

1,300

1株当たり当期純利益(円)

867.12

1,192.26

325.14

137.5%

1,024.79

(注)1.2018年5月9日に公表したものです。

2.2019年5月10日に公表したものです。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて20億45百万円増加し211億33百万円となりました。受取手形及び売掛金の増加が主な要因となっております。

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて8億19百万円増加し110億29百万円となりました。買掛金が増加したことが主な要因となっております。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて12億26百万円増加し101億4百万円となりました。利益剰余金の増加が主な要因となっております。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1億52百万円増加して、当連結会計年度末には15億46百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加及び退職給付に係る負債の減少等により8億69百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は18億41百万円の増加)

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、預け金が減少したこと等により13億43百万円の資金の増加となりました。(前連結会計年度は8億40百万円の減少)

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により3億22百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は2億77百万円の減少)

 

(4)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。個々の重要な会計方針及び見積りについては、「第一部 第5.経理の状況 1.連結財務諸表等」の注記事項「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

なお、見積りが必要な事項については、過去の実績や現状等を勘案し、合理的な基準により判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

(5)経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第一部 第2.事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費及び外注費のほかシステム機器販売に係る商品購入費用等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

運転資金及び設備投資資金については、内部資金で賄っておりますが、必要に応じて借入による資金調達を実施することを基本としております。資金調達については、金融機関2行との間に総額20億円の当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結し、資金の流動性を確保しております。なお、当連結会計年度における借入実績はありません。

また、当連結会計年度末における有利子負債の残高はリース債務15百万円、現金及び現金同等物の残高は1,546百万円となっております。

 

 

(7)生産・受注及び販売の実績

①.生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

情報サービス

23,267

101.0

合計

23,267

101.0

 (注)上記金額は、販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。

 

②.受注実績

 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

情報サービス

35,511

114.7

5,692

169.2

合計

35,511

114.7

5,692

169.2

 (注)上記金額は、販売価格で表示しており、消費税等は含まれておりません。

 

③.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

情報サービス

33,183

110.3

合計

33,183

110.3

 (注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2017年4月1日

至 2018年3月31日)

当連結会計年度

(自 2018年4月1日

至 2019年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱重工業株式会社

11,662

38.8

11,473

34.6

 (注)1.上記金額には、リース会社経由で販売した分が含まれております。

2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループにおける研究開発活動は、既存情報技術の一層の活用および最新情報技術を顧客に提供することを目的としており、AI・IoT等の先端技術やPLM(製品ライフサイクル管理)関連技術の高度化、航空宇宙分野を中心とした設計解析技術の高度化等について取り組んでおります。

当連結会計年度は顧客とのAIソリューションの共創を目的としてAI専任チームを設置し、顧客のデジタル化を支援しました。

当連結会計年度の研究開発費は136百万円であり、主要な研究開発事例は次のとおりであります。

 

(1)BIツール製品関連技術に関する研究

BIツールの中でも市場シェアの高い製品について機能の比較検証を行うと共に、周辺システムやRPAと連携した各種業務別テンプレートの開発を行いました。

 

(2)クラウド環境における運用監視サービスの高度化に関する研究

オンプレミスとクラウドの混在環境において、高品質で効率的な統合運用監視サービスを提供するために必要となる製品や技術・導入方法について調査検討を行いました。

 

(3)SLAM適用領域拡大に関する研究

SLAM(自己位置推定)技術を利用してリアルタイムのカメラ画像に2D/3Dモデルを重畳・追従表示するアプリケーションを開発し、屋内・屋外を含めた様々な環境・用途における実地検証を行いました。

 

(4)高精度流体解析のための適合格子細分化法の研究開発

三次元熱流体解析ソフトHINOCAの開発における解析精度の向上について、新たな計算格子法の実装について研究を行いました。

 

(5)R-CFDの非圧縮性流体並列解析ソルバへの拡張化研究

当社が開発支援に携わったJAXA高速流体解析ソフト(FaSTAR)の知的財産利用許諾を得た菱友版R-CFDにおいて、非圧縮性流解析の大規模化・高速化に対応するため、最新アルゴリズムによる機能拡張への研究を行いました。

 

(6)航空機分野へのAI適応技術の研究

航空機運航においてAI適応による安全運行支援を目指し、大量の飛行環境データのAI分析について学習モデル開発の研究開発を行いました。

 

(7)次世代PLMプラットフォームの機能検証および顧客業務への適用に関する研究

自動車・航空宇宙業界の先駆的企業が採用を検討している次世代PLMプラットフォーム製品について、既存CADとの共存やBOM(部品表)、PDM(工作情報管理)関連技術について顧客と共同検証を行いました。

 

(8)AI活用に関する研究

AI技術の業務適用に関するPoC(概念検証)を顧客と共同で実施しました。機械故障予兆判断支援に関する機械学習モデル構築や声紋分類などの音声分析ツール開発、図面差分検出などの画像分析ツール開発及び関連基礎技術の調査・検証を行いました。