第2 【事業の状況】

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の分析

 当中間連結会計期間(2025年1月1日~2025年6月30日)における世界経済は、米国の通商政策等による不透明感を高め、各国の金融政策が景気へ与える影響不安や地政学的リスクもあるなか推移いたしました。金融資本市場の変動等の影響による不確実性も高まっており、今後の世界経済の見通しはより不透明になりつつあります。

 情報産業につきましては、クラウドコンピューティングや生成AI(人工知能)が引き続き浸透しているものの、不確実性の世界的な高まりによって、企業が新規支出を一時停止する動きが見られ2025年の世界におけるIT支出額は7.9%増の5.43兆ドルと見込まれています。

 セキュリティ業界におきましては、引き続きランサムウェアを主としたサイバー攻撃が目立ち、国家機関や特定の企業または組織等を狙った標的型攻撃をはじめ、機密情報の漏洩被害等のサイバー攻撃に加え生成AIの普及に伴う新たなセキュリティリスクも著しく増加する等、企業や個人のセキュリティ意識が一層問われる状況となっています。

 このような環境下、当社グループの経営状況は、以下のようなものでありました。

 

 日本地域につきましては、法人向けビジネスはプラス成長となりました。セキュリティプラットフォームTrend Vision One™(以下、Vision One)を背景に、AI活用次世代SOC関連セキュリティが大きく伸長した他、ネットワーク関連セキュリティも伸長しクラウド関連セキュリティと共に同地域の法人向けビジネスを牽引しました。個人向けビジネスは携帯電話ショップでの販売は成長継続しましたがPC向けセキュリティは低調でした。その結果、同地域の売上高は43,894百万円(前年同期比2.9%増)と増収となりました。

 アメリカズ地域につきましては、法人向けビジネスは現地通貨ベースではプラス成長を維持しました。しかしながら米国の関税政策をめぐる先行き不透明感の高まりや、米国の政府効率化省(DOGE)の取り組みによる影響を大きく受けるなど全般的に不調でした。一方、個人向けビジネスは新たなEC決済会社とのシステム構築までの不稼働期間の機会損失がマイナス影響をきたしました。加えて円高影響も大きく受け、その結果、同地域の売上高は27,026百万円(前年同期比7.7%減) と減収となりました。

 欧州地域につきましては、Vision Oneを背景にメール関連セキュリティのほかクラウド関連セキュリティやエンドポイント関連セキュリティも伸長しましたが、ネットワーク関連セキュリティは振るいませんでした。円高の影響もあり、その結果、同地域の売上高は29,032百万円(前年同期比1.7%増)と増収となりました。

 アジア・パシフィック地域につきましては、現地通貨ベースではプラス成長でした。Vision Oneを背景にAI活用次世代SOC関連セキュリティが特に大きく貢献しました。一方で個人向けビジネスは新たなEC決済会社とのシステム構築までの不稼働期間の機会損失から、大幅なマイナス成長となりました。地域的には中東、台湾、シンガポールが同地域の売上を牽引しました。しかしながら円高影響を大きく受け、同地域の売上高は33,954百万円(前年同期比0.2%減)と減収となりました。

 その結果、当社グループ全体の当中間連結会計期間における売上高は133,909百万円(前年同期比0.5%減)となりました。

 

 一方費用につきましては、人件費やクラウドコストが大きく減少する等、全般的に抑制でき、売上原価並びに販売費及び一般管理費の合計費用は105,436百万円(前年同期比4.2%減)と減少し、当中間連結会計期間の営業利益は28,472百万円(前年同期比16.5%増)と増益となりました。

 

 当中間連結会計期間の経常利益は為替差損等により21,475百万円(前年同期比18.6%減)の減益となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は持分変動利益がなくなったこと等により、14,336百万円(前年同期比19.9%減)の減益となりました。

 

 当社が重要な経営指標として意識しているPre-GAAP(繰延収益考慮前売上高)ベースの営業利益は20,165百万円となり、前年同期に比べ4,489百万円減少(前年同期比18.2%減)となりました。これは売上原価並びに販売費及び一般管理費の合計費用は全般的に抑制され減少したものの、それ以上に個人向けビジネスでの新たなEC決済会社とのシステム構築に時間を要したこと等を主な背景としてPre-GAAPが減少したことによるものです。

 

(2)財政状態の分析

 当中間連結会計期間末の現金及び預金の残高は195,469百万円となり、前連結会計年度末に比べ25,413百万円増加いたしました。

 主に有価証券並びに受取手形、売掛金及び契約資産が大幅に減少したこと等により、当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ25,184百万円減少の375,132百万円となりました。

 当中間連結会計期間末の負債は、主に繰延収益や賞与引当金の減少等により前連結会計年度末に比べ18,417百万円減少の262,452百万円となりました。

 当中間連結会計期間末の純資産は主に配当金の支払いによる利益剰余金の大幅な減少等により、前連結会計年度末に比べ6,766百万円減少の112,680百万円となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローは、前中間連結会計期間と比較して、7,345百万円収入が増加して35,060百万円のプラスとなりました。これは主に、繰延収益の増減に伴う支出が減少したことによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前中間連結会計期間と比較して、9,840百万円支出が増加して12,535百万円のマイナスとなりました。これは主に、定期預金が増加したことによるものであります。

また、財務活動によるキャッシュ・フローは、前中間連結会計期間と比較して、117,806百万円支出が減少して18,313百万円のマイナスとなりました。これは主に、配当金の支払額が減少したことなどによるものであります。

これらの増減に現金及び現金同等物に係る換算差額を加えた結果、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は187,987百万円となり、前連結会計年度末に比べて595百万円増加しました。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5)研究開発活動

当中間連結会計期間における当社グループの研究開発費の総額は、3,617百万円であります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。