第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、創業時から継承してきた「本気でやる子を育てる」という教育理念と「目標に向かって真剣に取り組む人間の創造」という経営理念を実践し、進学塾としての本来価値である学力向上と志望校合格の実現に留まらず、あらゆる物事に本気で真剣に取り組む姿勢、自ら設定した目標の実現に向けて果敢に挑戦するチャレンジ精神、問題を発見し解決する力、困難にあっても本気で粘り強くやり抜く力を身につけた子供たちの育成を目指しております。

グローバル化と技術革新が急速に進行する世界の中で日本が発展していくためには、将来を予測し、自ら問題や課題を発見・解決していくことのできる優秀な人材の育成が求められています。当社グループは、受験指導を通じて、日本の未来を支える人材育成に寄与し、教育企業としての社会的使命と責任を果たしてまいります。

同時に上場企業として、永続的な成長を実現できる強固な経営基盤を確立し、企業価値の最大化を目指してまいります。

 

(2)経営環境と経営戦略等

学習塾・予備校業界を取り巻く経営環境は、少子化による学齢人口の減少に伴い、市場全体が伸び悩むという厳しい状況にあります。加えて、2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大がもたらした社会変容と価値観の多様化、教育制度改革と国際化の進行、社会的価値観のパラダイムシフト等により、業界全体が大きな変革の時期を迎えております。

当社グループにおきましても少子化の影響を避けることはできないものの、当社グループが事業を展開している首都圏においては、首都圏外と比べ学齢人口減少は緩やかであり、地域によっては低年齢層を中心に増加の傾向も見られます。

又、当社グループは、進学塾としてのブランド力の源泉であり、集客力向上のための大きなファクターでもある「難関上位校への合格実績」を伸長させることにより他社との差別化を図り、業容を拡大するという基本戦略を推進しておりますが、潜在顧客である難関上位校の志望者数は、少子化の中にあっても安定的に推移しております。

加えて当社グループにおける難関上位校への合格者数は毎年着実に伸長し、合格実績(合格者数)の伸長に伴い同業他社に対する競争力も年々高まっております。特に、高校受験市場においては、開成高校・早慶高校をはじめとする難関私国立高校への圧倒的な合格実績により、首都圏におけるトップブランドとして、顧客の皆様から大きな期待と信頼をいただけているものと自負しております。

更に、コロナ禍を契機にオンライン教育が急速に普及するとともに、ICTの発展によりインターネットやデジタル技術を活用した教育サービスや学習コンテンツ、学習支援ツール等への需要が一層高まっており、このようなニーズへの対応が各企業にとっての課題であると同時に新たなビジネスチャンスとなっております。

以上の経営環境を踏まえまして、当社グループは、“子どもたちの未来を育む独自の価値を提供し続け教育企業No.1を目指す”という企業目標の実現に向け、2023年5月に中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)を策定し、着実に各種施策を進めております。

経営戦略といたしましては、「本気でやる子を育てる」という教育理念の徹底実践を起点に、生徒の本気を引き出す授業によって成績向上と志望校合格を実現し、その結果、顧客満足度を高めて地域の評判を獲得し、市場支持を拡充することで業容拡大を図るという戦略(当社では「合格実績戦略」と呼びます。)を推進してまいります。

又、学力向上・志望校合格という進学塾としての本来価値と前向きな人生を歩む素地・豊かな人生を送る礎となる姿勢と能力を身につけさせるという当社独自の付加価値(この本質価値を「ワセ価値」と称します。)を両輪にコア事業を強化し、着実なシェア拡大を進めております。そして、当社グループの教育サービスや学習コンテンツをより長く提供できるように、株式会社ナガセが運営する東進衛星予備校ネットワーク・東進中学NETへの加盟に加えて、2024年1月には株式会社幼児未来教育の全株式を取得し、未就学児対象の幼児教室の運営等の新たな取組みにも着手いたしました。これらの施策とともに早稲田アカデミー個別進学館の積極展開も継続し、「Life Time Value(顧客生涯価値)」の最大化に繋げながら、グループ全体で業容拡大を推進してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、中期経営計画及び年度予算で設定した連結売上高・連結経常利益の達成度を、経営上の目標の達成状況を判断するための指標としております。又、事業運営におきましては、収益の基盤となる塾生数の動向を重要な指標として注視しております。

収益性の指標といたしましては、「売上高経常利益率」を重視しており、安定的に10%超となることを目標に経営効率の向上に努めてまいります。

 

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループを取り巻く経営環境を踏まえ、前記記載の経営戦略を推進していくための優先課題として、以下の諸施策に取り組んでまいります。

又、財務面では、健全で安定的な財務基盤を維持しながら、成長への投資と株主還元とのバランスがとれた資金配分を行うことが課題と認識しており、資金のより有効な活用を検討してまいります。

 

1.サービス品質向上による顧客満足度の向上

  ・採用手法の改革や内部リクルート強化等による優秀な人材の獲得

  ・研修体制の再構築、研修ツールの充実等による人材育成の強化

  ・DX戦略の推進によるICTを活用した新規サービスの開発と提供

2.コア事業強化による合格実績戦略の推進

  ・教務システムの改善、入試制度改革への対応推進

  ・ブランド間の連携強化(中高受験部と大学受験部、集団指導校舎と個別指導校舎、グループ内連携)

  ・低学年集客のための具体的戦略の実行

3.成長余力の大きい事業領域における収益基盤の創出

  ・大学受験部門における新たなサービス提供(東進衛星予備校ネットワーク、東進中学NET)

  ・小中学部校舎の「卒塾生」に対する大学受験部の訴求力強化

  ・個別指導ブランドの校舎展開を加速し早期の100校体制確立

  ・「Life Time Value(顧客生涯価値)」の最大化

4.永続的な成長を実現できる組織体制の構築

  ・内部統制システムとリスク管理体制の強化

  ・ガバナンス体制の充実に向けた諸施策推進

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みにつきましては、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス及びリスク管理

 当社グループは、サステナビリティの視点も含めた事業継続のリスク及び機会を識別・評価・管理するために用いるプロセスとして、内部統制システムの基本方針に基づき毎年実施しているリスク評価を活用しております。リスク及び機会を監視・管理し、重要性を判断するためのガバナンス体制並びにプロセスは、当社管理本部が事務局となり、当社及びグループ会社の部長以上の管理職・業務執行役員に対しアンケートを実施し、リスク及び機会と認識される事項並びにその発生頻度と重要度についての意見を取りまとめ、その結果を経営会議・取締役会に報告し、審議を行うこととしております。又、情報セキュリティ委員会から四半期ごとに、不正アクセス・サイバー攻撃・情報漏洩に関する事故等の発生有無及びそれらのリスクに対する防止対策の実施状況を取締役会に報告するとともに、毎年1回実施する取締役会実効性評価では、アンケート結果に基づいた課題設定と改善計画を策定し、取締役会の実効性向上に向けた取組みを展開し、継続的にガバナンスやリスク管理の高度化を進めております。

 なお、サステナビリティ推進については、当社管理本部が主体となって検討、推進しており、適宜、経営会議・取締役会に報告し、審議を行うこととしておりますが、特に、人的資本に関するリスク及び機会は、ビジネスの中核に影響を及ぼすものであるという認識のもと、経営推進本部が主体となって、別途モニタリングを行っております。

 

(2)人的資本に関する戦略

 当社グループは、「本気でやる子を育てる」という教育理念と、「目標に向かって真剣に取り組む人間の創造」という経営理念の実践を通じて、持続可能な社会を推進するための人間的な素地を育むことで、社会的な課題の解決と持続可能な社会の実現に資する人材の育成に貢献することを人材育成方針としております。生徒の本気を引き出し、成績向上と志望校合格という本来価値と、教育理念の実践による前向きに豊かな人生を歩む素地の習得という本質価値を提供する教育企業のメンバーの一員として、直接的・間接的に貢献できる人材を、職員に期待する人物像としております。このため、人材の採用・育成に対する投資につきましては、経営上の最重要課題と位置付けた上で、内部リクルートの強化や採用手法の改善による「人材の確保」、可視化されたデータに基づく「適正な配置」、教育・研修制度や報酬制度の充実による「職員の帰属意識と満足度向上」を図り、働きやすい職場環境の整備に向けた取組みに注力することと併せて、障害者雇用や女性・高年齢者の活用推進にも取組むことを社内環境整備方針としております。

 なお、TCFDの枠組みにおける「戦略」については、当社グループの事業活動にとって気候変動リスクと機会が必ずしも重要とはいえないと認識していることから、開示の対象外としております。

 

(3)人的資本に関する主な指標・目標と実績

 上記「(2)人的資本に関する戦略」において記載した、当社グループにおける人材育成方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標及び目標とその実績につきましては以下のとおりであります。

①内部リクルートの強化

 内部リクルート入社率の定義として、大学又は大学院の学生であったときに当社で非常勤職員として勤務していた新卒入社職員数を新卒入社職員数全体で割ったものを百分率で表すものとします。2024年4月入社者の内部リクルート入社率41.9%に対し、2025年4月入社者の内部リクルート入社率は25.8%と16.1ポイント低下いたしましたが、当社で非常勤職員として勤務する大学生及び大学院生を対象に就職活動における意識調査を行ったことに加えて、希望者への面談や内部リクルート対象者限定オンライン説明会等を実施するなど、新卒入社職員の獲得に向けた社内プロモーションやイベントの強化に取り組みました。その結果、前期と比較して内部リクルート入社率は低下しておりますが、施策の内容面では充実させることができました。

②人材確保のための採用手法の改善

 2023年12月に行った非常勤職員の採用管理システムの入替に加えて、2025年3月期においては、応募から面接実施までのリードタイムの短縮に取り組んだことにより、前年同期と比較して1月から3月までの非常勤職員の入社者数は8%増加し、集団・個別指導に携わる非常勤講師の獲得を中心に順調に推移いたしました。

③可視化されたデータに基づく「適正な配置」

 2024年3月期に人事管理の仕組み(HRシステム)を一新し、人事考課データや職員がスキル向上のために受講した研修、向上したスキルなどの情報も蓄積、利用できるようになりました。本システムを職員の適正配置に活用することで、品質の向上を進めてまいります。

④教育・研修制度の充実

 今春、当社が中学入試、高校入試、大学入試の全てにおいて合格実績を大きく伸長させることができたのも、教育理念の徹底実践やワセ価値の提供に情熱をもって注力し続けてきたことが根幹にあり、さらに2022年3月期以降「研修体系化プロジェクト」として職位・部署を縦断・横断した組織で研修制度の再構築を行い、新卒・中途研修の充実や従業員教育のためのマニュアルやオンライン研修の充実などの取組みが実を結んだものです。引き続き、サービス品質向上において最も重要な経営資源である人材育成の強化に取り組んでまいります。

⑤報酬制度の充実

2025年3月期は4.6%の昇給を行うとともに、創立50周年を記念した従業員への還元施策として、従業員持株会RS制度の導入を進め、従業員に対する福利厚生の充実とインセンティブ付与による従業員の貢献意識の向上を図りました。2026年3月期においても社員のベースアップを実施し、更なるエンゲージメントの向上に努めてまいります。

⑥正社員の有給休暇取得率

 2026年3月期までに正社員の有給休暇取得率を80%とすることを目標に掲げておりますが、2025年3月期の実績は64.3%となりました。

 なお、現状、管理職の内、中途採用者の割合が50%を超えていることから、中途採用者登用の目標設定は予定しておりません。また、女性の管理職については、育児・介護休業制度、育児及び介護のための短時間勤務制度を導入するとともに、男女間格差がない人事報酬制度を運用する等、仕事と家庭を両立して活躍できる職場環境を整備しているものの、当社グループの営業時間の関係から女性管理職は少数にとどまっております。また、外国人については、日本人子女を対象に進学学習指導を行うという当社グループの事業特性からほとんど在籍しておらず、積極的に外国人人材を活用することが当社グループの企業価値向上に資するとは必ずしも言えないことから、目標設定についても予定しておりません。

 また、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、上記の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

3【事業等のリスク】

 本有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える影響の程度につきましては、合理的に予見することが困難なため記載をしておりません。

 又、以下は当社グループの事業活動等に係る全てのリスクを網羅したものではなく、記載した以外のリスクも存在しております。

 文中の将来に関する事項につきましては当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)少子化と当社グループの経営戦略について

当社グループが属する学習塾・予備校業界は、出生率の低下等による少子化の問題に直面しております。少子化の影響は、在籍生徒数の減少という直接的なものにとどまらず、学校数やその定員の減少、あるいは、入学試験の平易化が起こることにより、入塾動機の希薄化、通塾率の低下に繋がる可能性があります。

このような状況下、当社グループといたしましては引き続き、難関上位校への合格実績伸長を入塾動機及び通塾率の向上に繋げ、又、計画的な校舎展開により塾生を確保し、事業の拡大を図っていく方針であります。

現状では、少子化の中でも首都圏を中心とした当社グループの事業展開エリアは、他のエリアと比較して少子化の進行が緩やかであり、当社グループにとっての潜在顧客である難関上位校への志望者数は安定的に推移していることから、経営戦略に基づいて業績を伸ばしていくことは十分可能だと考えておりますが、今後、少子化が更に進行した場合、あるいは、当社グループが注力している難関校受験指導へのニーズが低下した場合には、塾生数の減少等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)人材の確保及び育成について

当社グループが質の高い教育サービスを継続的に提供し、経営計画に基づき業容拡大を図っていくためには、人材の確保及び育成が重要課題であります。そのため、要員計画に沿った人材確保に向け、新卒・中途・非常勤職員の採用活動を計画的に実施するとともに、勤労意欲向上と採用力強化につながる人事制度の構築に取り組んでおります。

又、育成につきましても、階層別・職種別研修に注力し人材の早期育成を図っております。

しかしながら、今後、採用環境の急激な変化等により必要な要員が十分に確保できない場合、あるいは、人材育成が計画どおりに進捗しなかった場合には、経営計画の遂行が遅延し、質の高い教育サービスが提供できないこと等により、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)生徒の安全管理について

当社グループは、安全かつ学力向上に繋がる学習環境のご提供を重要課題として事業運営にあたっております。合宿開催にあたっては、生徒の安全と健康管理を最優先事項として細心の注意をもって運営にあたってまいります。又、日常の事業運営におきましても、防犯カメラの設置や巡回警備等により安全管理を徹底するとともに、株式会社野田学園が経営する学生寮におきましても、寮生の安全・健康管理に加え、精神面でのサポートにも配慮した体制の整備に努めてまいります。

しかしながら、今後、万一、何らかの事情により当社若しくは子会社の管理責任が問われる事態が発生した場合には、当社グループの信頼性や評判の低下に繋がり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)個人情報の管理について

当社グループでは、顧客及び職員に関わる多数の個人情報を保有し利用しております。そのため、個人情報の管理については、グループ全体の重要な課題と認識し、当社においてプライバシーマークを取得するとともに、継続的に管理体制の見直しと管理レベルの向上を図っております。子会社につきましても、当社が主導して、個人情報の適切な管理に努めております。

しかしながら、万一、当社グループが保有する個人情報が流出した場合には、信用失墜による塾生数の減少または損害賠償請求などにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)情報セキュリティに関するリスクについて

当社グループの事業活動において、情報システムへの依存度は年々高まっており、同時にサイバー攻撃やコンピューターウイルス等の脅威も高まっております。そのため、サイバーセキュリティに関するリスクを重要課題の一つと認識し、セキュリティ対策の強化、定期的な保守点検や従業員教育等による対策に注力しております。

しかしながら、これらの対策にもかかわらず、サイバー攻撃やその他の要因により深刻なシステム障害が発生した場合、個人情報や営業秘密の漏洩、業務の中断等が余儀なくされることにより、当社グループの信頼失墜が生じたり、財政及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)大規模災害の発生による影響について

当社グループでは、大規模な地震・火災等の災害の発生に備えて、管理体制の整備に努めておりますが、万一、当社グループが事業展開をする地域において、想定を上回る規模の大規模災害が発生した場合には、長期にわたり複数エリアの校舎において授業の提供が困難となり、又、コンピュータシステムのトラブル等により顧客サービスに支障をきたす状況が生じ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)パンデミック発生による影響について

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中でも、当社グループはZoomを活用した「双方向Web授業」の実施等により、生徒・保護者及び従業員の健康と安全を第一に事業を継続し業績向上を図ってまいりました。今後、新たなパンデミックが発生した場合でも、新型コロナウイルスへの対応で得た経験等を活かして、事業の継続に努めてまいりますが、万一、当社グループの想定を上回る規模のパンデミックが発生し、円滑な事業活動を維持できなくなる事態が生じた場合には、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)四半期ごとの収益変動について

当社グループにおきましては、通常授業(スポット的な講座や模試を含む。)の他に、春・夏・冬の講習会及び夏期合宿・夏期集中特訓、正月特訓を行っており、通常授業のみ実施する月に比べ、これら講習会等が実施される月の売上高が高くなります。又、各講習会が実施される時期に重点をおいて生徒募集を行う関係で、収益の基礎となる塾生数は期首から月を追うごとに増加し、1月にピークを迎えるという推移を示しております。対して、営業費用の中で大きなウエイトを占める校舎の地代家賃、人件費、賃借料等の固定的費用は期首より毎月発生するため、第1四半期の収益性が他の四半期と比較して低くなる傾向にあります。

 

 なお、最近2連結会計年度の各四半期の売上高及び経常利益の推移は以下のとおりであります。

 

前連結会計年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)

 

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

売上高(千円)

6,249,006

9,732,330

8,037,993

8,848,485

32,867,816

構成比率(%)

19.0

29.6

24.5

26.9

100.0

経常利益又は経常損失(△)(千円)

△214,859

1,621,837

640,892

903,562

2,951,433

構成比率(%)

△7.3

55.0

21.7

30.6

100.0

 

 

当連結会計年度(自 2024年4月1日 至 2025年3月31日)

 

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

売上高(千円)

6,544,553

10,428,341

8,645,763

9,451,333

35,069,991

構成比率(%)

18.7

29.7

24.7

26.9

100.0

経常利益又は経常損失(△)(千円)

△383,375

1,880,355

906,783

1,196,898

3,600,662

構成比率(%)

△10.6

52.2

25.2

33.2

100.0

 

 

(9)校舎物件の確保について

当社グループが運営する学習塾は全て首都圏にあり、今後も、首都圏を中心に校舎を展開していく方針ですが、適切な物件を適切な時期に確保できない場合には、校舎新設計画の遅延等により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)株式会社四谷大塚との提携塾契約について

当社が提携塾契約を締結している株式会社四谷大塚は、中学受験指導の草分け的存在でありますが、大学受験指導を主たる事業とする株式会社ナガセが完全子会社化しております。

当該提携塾契約の主たる内容は、株式会社四谷大塚の発行する教材類を一定の掛け率(割引価格)で購入できること、同社のカリキュラムに準拠して指導すること、並びに同社の公認テスト会場として、当社がその代行的な業務を行うことができること等が定められており、1997年9月の契約締結以来、円滑に更新(2年ごとに自動更新)されております。

当社は、中学受験指導において、株式会社四谷大塚のカリキュラムに準拠した指導を行っており、合格実績も提携塾の中でトップクラスにあることから、当該契約の更新に支障はないものと考えております。又、何らかの理由により当該契約が更新されなかった場合の影響は、割引価格による教材購入ができなくなること、並びに公認テスト会場の運営ができなくなること等、限定的なものであり、その場合においても、株式会社四谷大塚の指導カリキュラムの継続は可能であり、又、当社がこれまでに培った独自のノウハウ(志望校別カリキュラム及び教材の開発等)により新しいカリキュラムを立ち上げることも十分に可能であると考えております。

当社は引き続き、株式会社四谷大塚との提携関係を維持していく方針でありますが、万一、契約更新ができなくなった場合には、公認テスト会場としてのサービスの提供に支障がでること、あるいは新しい指導カリキュラムへの移行に時間を要すること等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)「早稲田アカデミー個別進学館」のフランチャイズ展開について

「早稲田アカデミー個別進学館」ブランドにつきましては、当社が直営校を展開するほか、フランチャイズシステムによる事業展開を行っております。

フランチャイズ加盟者に対しては、当社から、校舎運営及び教務システムや講師育成面での継続的な指導とサポートを行い、高品質で均質な指導サービスを提供できる体制の整備に努めております。

更に、当社とフランチャイズ加盟者が一体となり、「早稲田アカデミー個別進学館」ブランドの優位性とブランドイメージの向上を図るための様々な施策に注力しております。

当社は今後も、フランチャイズ加盟者への指導、支援に努めてまいりますが、万一、フランチャイズ加盟者が経営する当該ブランド校舎において重大な事故が発生し、若しくは契約違反にあたる事態が生じた場合は、当該ブランドのイメージ低下に留まらず、「早稲田アカデミー」ブランド全体に対する信頼性の低下等に繋がり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(12)早稲田アカデミー海外校の展開について

「早稲田アカデミー」海外校につきましては、当社の在外子会社が直営校を運営するほか、株式会社学研スタディエ(以下「学研スタディエ」という。)の在外子会社が、当社との業務提携契約に基づいて、海外において事業展開を行っております。

学研スタディエの在外子会社に対しては、当社から教務システムや講師育成面での継続的な指導と支援を行うとともに、共同でイベントを開催するなど、集客面におけるサポートも行っております。

当社は今後も、学研スタディエ及びその在外子会社への指導、支援に努めてまいりますが、万一、学研スタディエの在外子会社が経営する「早稲田アカデミー」ブランド校舎において重大な事故が発生し、又は契約違反にあたる事態が生じた場合は、「早稲田アカデミー」ブランド全体に対する信頼性の低下等に繋がり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(13)減損損失について

当社グループは、有形固定資産やのれん等の固定資産を保有しております。これらの資産については減損会計を適用し、毎年、減損の兆候について精査し、減損処理が必要と判断される場合は適切に処理することとしております。そのため、将来において、買収した会社の事業計画が達成できない場合はのれん等の減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの事業の収益性が著しく低下した場合には、保有する有形固定資産やのれん等に係る減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)敷金・差入保証金の保全、回収について

当社グループが展開する校舎の多くは、賃借物件を利用しております。新規で賃貸借契約を締結するに際しては、可能な限り賃貸人の経営状況等の確認を行うとともに、契約条件も近隣相場や採算性を十分考慮して決定しております。又、契約締結後も、主管部署が中心となり賃貸人の状況変化の把握に努めております。

しかしながら、賃貸人全ての状況変化を適時に把握することは困難であるため、賃貸人に急激な状況変化が生じた場合には、敷金・差入保証金の保全・回収ができない可能性があります。

 

(15)法令遵守について

当社グループが営む事業に関連する主な法令・条例としては、特定商取引に関する法律、個人情報の保護に関する法律、青少年保護育成に関する条例、著作権法、不当景品類及び不当表示防止法等があります。当社グループでは、法令違反を予防する体制の整備、従業員への継続的な教育の実施などにより、法令遵守体制の強化に努めております。

しかしながら、将来にわたり、関連法令に基づく損害賠償請求等に係る訴訟を提訴される事案が生じる可能性が皆無とは言い切れず、万一、そのような事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況及びその分析につきましては、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する記載は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、世界的な政情不安や戦乱、物価上昇の影響等から、不透明な状況が続きました。

学習塾業界におきましても、こうした景気動向に加え、大学入試制度改革や教育のデジタル化が進む中、多様化する価値観や社会環境の変化に対応した教育サービスの提供が求められております。

このような環境下で、当社グループにおきましては、「子どもたちの未来を育む独自の価値を提供し続け教育企業No.1を目指す」という企業目標の実現に向けて、成績向上と志望校合格という進学塾としての「本来価値」と、早稲田アカデミー独自の「本質価値」である「ワセ価値」を両輪とした指導体制を強化し、教育理念の徹底実践による質の高い教育の提供に努めてまいりました。

今春、御三家中学合格者数が600名を突破し過去最高数更新、高校入試の最難関私国立高校の合格者数伸長及び埼玉県立最難関高校5校の合格者数過去最高数更新、大学入試の東京大学合格者数の飛躍等、中学・高校・大学入試のすべてにおいて合格実績を大きく伸長させることができました。これまで情熱を注いで取り組んできた教育理念の徹底実践とワセ価値の提供が実を結び、教務力向上のための抜本的構造改革を掲げて取り組んだマニュアルの徹底実践や初期研修・指導法研修等の充実による品質向上と相まって、集客力やブランド力を高める好循環が生まれており、当社の合格実績戦略の推進、厳しい経営環境における他社との競争優位の原動力となっております。

その結果、小中集団指導校舎では堅調に塾生数が伸長し、売上増の大きな要因となっております。また、「大学受験部の新領域開拓」施策として前期より新たに開始した東進衛星予備校は、運営方法の知見の習得が進み、成長への基盤が整いつつあります。また首都圏100校体制の実現に向けて着実に歩みを進めている早稲田アカデミー個別進学館も、フランチャイズ校を含めて73校体制となり、中学・高校進学後の多様な学習ニーズに対応する体制が一層充実いたしました。これらの施策により、当社グループの教育サービスをより長期に亘り提供することによる「Life Time Value(顧客生涯価値)」の最大化に向けた取り組みをより加速させてまいります。

新規開校については、2024年7月に晴海校、10月に早稲田アカデミー個別進学館赤羽校、2025年3月に東進衛星予備校武蔵浦和校及び東進衛星予備校桜新町校を開校いたしました。また、生徒数増加に対応するため早稲田アカデミー個別進学館高輪台校を移転して、2024年9月に早稲田アカデミー個別進学館五反田校を開校したほか、6月に早稲田アカデミー個別進学館西早稲田校を、2025年3月に早稲田アカデミー個別進学館和光校を譲受により直営化いたしました。

経営上の重要課題である人材の採用と育成につきましては、内部リクルートの強化や採用手法・ツールの見直し等による人材獲得の強化に加えて、育成面においても、全社レベルで取り組んできた研修体制の再構築、各種マニュアルの作成や動画等の研修ツールの拡充・徹底の成果が前述のような合格実績伸長等に表れ始めております。

DX推進では、生徒・保護者向けポータルサイト「早稲田アカデミーOnline」の機能拡充に継続的に取り組むとともに、当社の基幹システム「WICS」に蓄積された塾生、卒塾生のビッグデータに基づく成績管理システムの拡充やAI分析の活用によるサービス品質の向上と退塾防止施策の充実に努めてまいりました。

なお、本年、当社は創立50周年を迎えます。高い目標を掲げて挑戦し、その実現によって成長を続けてきた当社は、次なる50年に向けて、「GO TO ___.目標がある。だから超えていける。」というスローガンを定め、歩み始めております。社員一人ひとりの目標を定め、その実現へと挑戦していくことで組織の活性化と更なる成長につなげてまいります。これらの取り組みが更なるワセ価値の提供の強化につながり、顧客満足度の向上と合格実績戦略推進の好循環が教育を通して子どもたちの未来を育み、社会貢献と企業価値の向上を実現させるものと考えております。

当連結会計年度における期中平均(4月~3月平均)塾生数は48,897人(前期比3.3%増)と順調に伸長いたしました。学部別では、小学部29,233人(前期比4.2%増)、中学部16,960人(前期比0.4%増)、高校部2,548人(前期比5.7%増)、その他156人(前期比-%)と、引き続き小学部が全体を牽引いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高35,069百万円(前期比6.7%増)、営業利益3,549百万円(前期比22.8%増)、経常利益3,600百万円(前期比22.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,338百万円(前期比9.7%増)となりました。

 

当社グループの事業は、単一セグメントのためセグメント別の記載は省略しております。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、以下に記載のキャッシュ・フローにより7,166百万円となり、前連結会計年度末に比べ、419百万円増加いたしました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益3,600百万円、減価償却費1,152百万円、のれん償却額189百万円等が収入要因となり、他方、売上債権の増加額138百万円、法人税等の支払額1,027百万円等が支出要因となりました。

この結果、営業活動によるキャッシュ・フローは、3,886百万円の収入となり、前連結会計年度末に比べ、248百万円収入が増加いたしました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出635百万円、無形固定資産の取得による支出449百万円、差入保証金の差入による支出200百万円、有価証券の取得による支出30百万円等が支出要因となりました。

この結果、投資活動によるキャッシュ・フローは、1,342百万円の支出となり、前連結会計年度末に比べ1,012百万円支出が増加いたしました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出1,052百万円、リース債務の返済による支出226百万円、配当金の支払額844百万円が支出要因となりました。

この結果、財務活動によるキャッシュ・フローは、2,123百万円の支出となり、前連結会計年度末に比べ1,362百万円支出が増加いたしました。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

イ.生産及び受注の状況

当社グループは、生徒に対して授業を行うことを主たる業務としておりますので、生産能力として表示すべき適当な指標はありません。また、受注実績につきましても、該当事項はありません。

 

ロ.販売実績

品目別の販売実績は次のとおりであります。

品目

 前連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2024年4月1日

至 2025年3月31日)

 比較増減

生徒数(人)

金額(千円)

生徒数(人)

金額(千円)

 金額(千円)

小学部

28,058

19,488,495

29,233

20,965,487

1,476,992

中学部

16,887

11,654,015

16,960

12,107,929

453,914

高校部

2,410

1,566,156

2,548

1,745,196

179,039

その他

159,148

156

251,378

92,229

合計

47,355

32,867,816

48,897

35,069,991

2,202,175

(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2.生徒数は、期中平均(4~3月の各月の平均)の在籍人数を記載しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における資産、負債の報告金額および収益、費用の報告金額に影響を与える見積り、判断及び仮定を使用することが必要となります。当社グループの経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び仮定を過去の経験や状況に応じ合理的に判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、これらの見積り、判断及び仮定は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.財政状態の分析

当社グループは、企業価値極限化を実現するための「最適資本構成を図る」を財務方針としております。

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末比854百万円増加の11,251百万円となりました。これは、現金及び預金424百万円、前払費用211百万円、営業未収入金138百万円の増加が主な要因であります。

固定資産は、前連結会計年度末比572百万円増加の13,233百万円となりました。うち、有形固定資産は、前連結会計年度末比51百万円減少の5,903百万円、無形固定資産は、前連結会計年度末比10百万円増加の1,771百万円、投資その他の資産は、前連結会計年度末比613百万円増加の5,558百万円となりました。

この結果、当連結会計年度末の資産総額は、前連結会計年度末比1,427百万円増加し、24,485百万円となりました。

 

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末比405百万円増加の5,778百万円となりました。これは、未払法人税等336百万円、賞与引当金105百万円、未払消費税等94百万円の増加、未払金243百万円の減少が主な要因であります。

固定負債は、前連結会計年度末比100百万円増加の3,522百万円となりました。これは、資産除去債務78百万円、役員株式給付引当金29百万円の増加が主な要因であります。

なお、有利子負債(1年内返済予定のリース債務、リース債務)は、前連結会計年度末比38百万円減少の482百万円であります。有利子負債の構成比率は2.0%となっております。

この結果、当連結会計年度末の負債総額は、前連結会計年度末比506百万円増加し、9,300百万円となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産額は、前連結会計年度末比920百万円増加の15,184百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益2,338百万円と剰余金の配当845百万円、自己株式677百万円及びその他有価証券評価差額金18百万円の増加が主な要因であります。

 

以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の61.9%から62.0%となりました。また、1株当たり純資産額は、821円67銭となりました。

 

なお、当連結会計年度末の構成比率は、流動資産46.0%、固定資産54.0%、流動負債23.6%、固定負債14.4%(負債合計38.0%)、純資産62.0%となっております。

 

 

ロ.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度におきましては、引き続き、成績向上と志望校合格という進学塾としての「本来価値」と、早稲田アカデミー独自の「本質価値」である「ワセ価値」を両輪として、教育理念の徹底実践による質の高い教育の提供に注力してまいりました。その成果は中学・高校・大学入試のすべてにおいて大きく伸長した合格実績に表れているだけでなく、ICTを活用した生徒・保護者向けサービスの拡充による品質向上と相まって、集客力やブランド力を高める好循環につながりました。子会社各社におきましても、サービス品質向上と一人ひとりの生徒に適応したきめ細かい指導による顧客満足度の向上に努めてまいりました。この結果、少子化が進行する中でも、塾生数は小学部が全体を牽引する形で増加したことに加え、一部商品の価格改定により、当連結会計年度の売上高は、前期比6.7%増の35,069百万円となりました。

 

(営業利益・経常利益)

売上原価につきましては、前期比5.3%増の24,153百万円、売上高構成比率としては、前期比0.9ポイント低下の68.9%となりました。

売上原価の中で最も大きなウエイトを占める労務費につきましては、昇給による給与水準引き上げ、及びサービス品質向上に向けて校舎に配置する要員の増加と研修費用の増加、合格実績伸長に伴う報奨金の増加、従業員持株会RS制度の導入等により、前期比7.4%増の12,223百万円となりました。

原材料費につきましては、塾生数増加に連動した教材・模試仕入の増加等により前期比0.1%増の4,380百万円となりました。

校舎物件に係る地代家賃につきましては、前期比4.4%増の4,064百万円となりましたが、その主な要因は、新規出校、校舎の移転・増床に伴う賃料の増加や既存校の家賃上昇であります。

 

販売費及び一般管理費につきましては、各種DX推進に伴うソフトウェア償却等の増加により前期比4.7%増の7,367百万円、売上高構成比率としては前期比0.4ポイント低下の21.0%となりました。

広告宣伝費につきましては、Web広告を中心に戦略的に費用投下しつつも、認知施策を強化したことにより、前期比11.3%増の1,445百万円、売上高構成比率は前期比0.1ポイント上昇となる4.1%となりました。

 

以上の結果、営業利益は前期比22.8%増の3,549百万円、経常利益は前期比22.0%増の3,600百万円となりました。

なお、当社が「経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載)」としている連結売上高経常利益率につきましては、各種効率化や費用統制に努めた結果、前期比1.3ポイント向上の10.3%となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度におきましては、特別利益・特別損失ともに計上すべき事項はなく、税金等調整前当期純利益から法人税等合計1,261百万円を控除した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比206百万円増加(9.7%増)の2,338百万円となり、前期に続き過去最高益を更新することとなりました。

 

ハ.キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

ニ.資本の財源及び資金の流動性

(資金需要)

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、前受制度となっている売上債権と翌月支払となっている営業活動において必要な労務費、教材費等の仕入債務の支払とのギャップに対する支出によるもののほか、広告宣伝費等の販売費及び一般管理費であります。

投資を目的とした資金需要は、校舎施設関連及び情報システムに係る設備投資、並びに持続的な成長のための投資等があります。

今後の資金需要の内、設備投資につきましては、「第3設備の状況 3設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。

 

(資金管理)

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と源泉を安定的に確保することを基本としております。

運転資金は自己資金及びグループ内融資を基本としており、設備投資の調達につきましては、自己資金及び必要に応じ金融機関からの長期借入を基本としております。

資金は、原則として当社で集中管理し、当社グループ内の余剰資金の有効活用を図っております。当社グループ内における新規の設備投資資金の調達については、諸条件を勘案し決定いたしますが、すべて当社の事前承認に基づいております。

当連結会計年度末における借入金及びリース債務等を含む有利子負債の残高は482百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7,166百万円となっております。

 

5【重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。