当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてUSSグループが判断したものです。
(会社の経営理念)
USSグループは、「1.公正な市場の創造、2.会員との共生、3.消費者への奉仕、4.株主への還元、5.社員の尊重、6.地域への貢献」を企業理念として掲げ、中古車流通総合企業として社会に貢献し、お客様や社会に信頼される企業を目指しております。
(会社の経営の基本方針)
「Challenge to Next Stage」
-USSは中古車流通業界をリードする総合企業に変わります-
① 社会に貢献できる中古車流通総合企業を目指します
② お客様や社会に信頼される企業を目指します
③ グループ総合力により変化に対応できる企業を目指します
④ 将来のUSSグループを担う自立した人材を育成します
⑤ 株主を重視した経営を行います
(目標とする経営指標)
健全な財務体質を維持し、資本効率を重視した経営を標榜し、自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標として捉え、中期的に20%以上の水準を目指してまいります。また、配当に関する基本方針である連結配当性向を60%以上、今後3か年(2026年3月期から2028年3月期まで)の株主還元方針として、総還元性向100%以上を掲げております。
(中長期的な会社の経営戦略)
USSグループは、会社の経営の基本方針に「Challenge to Next Stage」を掲げ、以下の重点課題に取り組んでまいります。
① 社会に貢献できる中古車流通総合企業を目指します
・ 最新の技術を開発・導入することにより、公正かつ透明性の高いオークションを運営します。
・ インターネットなどのチャネルを拡充し、全国共通のサービスを提供します。
・ 地球環境を守るため廃車の適正処理を行い、リサイクル事業を強化します。
② お客様や社会に信頼される企業を目指します
・ オークション運営の質を向上し、全国共通のサービスを提供します。
・ IT管理体制を再構築し、災害対策も含め情報セキュリティを強化します。
③ グループ総合力により変化に対応できる企業を目指します
・ グループ会社間の連携を強化し、事業環境の変化に対応します。
・ 中古車オークションを軸にして、他企業との連携を積極的に推進します。
・ 新事業に積極的に取り組みます。
④ 将来のUSSグループを担う自立した人材を育成します
・ 社員の自立を促す新たな人事制度を導入します。
・ 教育・研修制度を充実させ、将来の経営を担う人材を育成します。
⑤ 株主を重視した経営を行います
・ 株主への利益還元を最重要課題の一つとして認識します。
・ 配当に関する基本方針である連結配当性向を60%以上、2026年3月期から2028年3月期までの3か年に
おける株主還元方針として、総還元性向を100%以上とします。
これらの活動を通して、USSグループはさらなる事業成長を達成し、中古車流通業界をリードする総合企業を目指します。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)
当社は、中長期の経営目標であるオートオークション市場シェア50%(2024年暦年実績41.4%)の達成に向け、事業ポートフォリオの見直しを行い、オートオークション事業への集中投資を進めてまいります。
まず、2026年1月に新築建替えオープンを予定している横浜会場を皮切りに、全国最大級の出品台数を誇る東京会場、西日本最大規模のHAA神戸など、主要拠点においてオークション会場の新築建替え、最新鋭のセリシステムへの一新、出品車両ヤードの拡張など、大規模な成長投資を実行してまいります。あわせて、出品手続や車両検査のデジタル化を推進するため、オークション業務に関する基幹システムを再構築し、DX(デジタルトランスフォーメーション)を徹底して推進することで、会員利便性の向上と当社業務の効率化に取り組んでまいります。これらの施策により、オートオークション市場における当社の競争優位性をさらに高め、安定的かつ持続的な成長基盤の構築を図ってまいります。
また、中古自動車等買取販売事業、リサイクル事業、オートローン事業についても、オートオークション事業との相乗効果を図りながら、市場環境の変動に左右されず中長期にわたり安定的に収益を確保できる事業体制への再構築を目指してまいります。
資本効率については、中期経営目標である自己資本利益率(ROE)を15%以上から20%以上へと引き上げます。(2025年3月期ROE実績18.9%)
また、株主還元方針についても、連結配当性向を従来の55%以上から60%以上へ引き上げるとともに、2025年3月期から3か年で掲げた総還元性向80%以上の方針を改め、2026年3月期からの新たな3か年では総還元性向100%以上を掲げます。
さらに、キャッシュ・フロー創出力を重視したM&Aや他業種企業との連携も機動的に推進し、グループ全体の企業価値向上に努めてまいります。
USSグループは、中古車流通総合企業として社会に貢献し、お客様や社会に信頼される企業を目指して事業を行っております。その実現にあたっては、ステークホルダーの皆様がUSSグループに求めるものや期待することを適切に把握し、事業活動に反映していくことが重要であると考えています。
グループの内部では、透明性の高い経営体制と健全かつ安定的な財務状況を確立するとともに、事業を担う自立した人材の育成を進め、グループ総合力を高めていきます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(1) ガバナンス
① 取締役会
取締役会は、経営上のサステナビリティ関連のリスクおよび機会を含む重要事項の決定と、業務執行の監督について責任を負う機関です。取締役会の構成、構成する各個人のスキル、および監督責任を果たすために適切な取締役を選任するプロセスについては、
なお、サステナビリティ関連のリスクおよび機会に関しては、サステナビリティ関連施策、サステナビリティ関連開示が報告事項となっているほか、取締役会または社長が必要と認める事項が付議・報告されます。また、取締役会に付議される投融資案件が重要なサステナビリティ関連のリスクおよび機会を含む場合は、経済的側面だけでなく、環境・社会性面も含めて審議がなされています。
② 監査役会
監査役会は、会社法等諸法令や定款・諸規程等に基づき、サステナビリティに関する取組みも含めて、取締役の意思決定の過程や職務執行状況の監査を実施しています。
監査役会の構成、活動状況は、
(2) リスク管理
① 取締役会
当社は、事業が経済・社会・環境に与えるインパクトと当社が取り組むべき重要課題について、長期的な財務インパクト(リスク・機会)を視野に入れて検討し、取締役会において承認・決定しております。また、重要課題ごとに管理指標(KPI:Key Performance Indicator)を策定しており、その進捗についても取締役にて監督しております。
② サステナビリティ関連のリスクおよび機会を識別、評価および管理するプロセス
イ.GRIスタンダードやSDGs(持続可能な開発目標)などを参照し、候補となる社会課題を網羅的に洗い出し。
ロ.当社グループの事業特性、長期的な事業戦略、およびステークホルダーの要請を踏まえて優先度を決定。
ハ.取締役会の承認を経て、5つの重点課題を特定し、マテリアリティごとに長期的なインパクトを明確化。
ニ.重点課題ごとに取り組みのPDCAを管理していくために、KPIを設定。
(3)TCFD提言への対応
USSグループは、地球温暖化を抑制して、自社グループの気候変動によるリスクの低減と、人やその他の生物が生息できる環境を守り持続可能な低炭素社会を形成していくため、エネルギー消費を抑え温室効果ガスの排出が少ないオークション運営をしていくことが、大きな社会的使命と考え、TCFDのフレームワークに基づき、情報開示(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)を進めています。
① ガバナンス
<取締役会の監督体制>
移行計画を含むUSSグループの気候変動問題に関する重要決定事項(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標に関連する内容)については、取締役会における決議事項としています。取締役会は、少なくとも四半期に1回以上、代表取締役社長より気候変動に関する課題への取組みおよび設定した目標への進捗状況に関する報告を受け、モニタリング・監督するとともに、経営戦略、経営計画、年間予算、収益目標等の代表取締役社長が重要と判断した事項については、必要に応じて気候変動のリスクと機会を検討したうえで取締役会にて意思決定がされています。
<気候変動に関する統括者>
気候変動に関する事項は、代表取締役社長が統括します。代表取締役社長は、定期的に各事業およびグループ会社の排出量の推移、SBT目標の達成に向けた排出量削減施策の進捗状況について報告を受けながら、モニタリングを行うとともに、次の事項に掲げた気候変動問題の実施責任を負い、USSグループの環境管理活動に対して指示を行います。
(1) 気候変動問題が事業に与える影響の評価の実施(少なくとも年1回以上)
(2) 特定したリスクの最小化と機会の獲得に向けた方針・戦略の策定、計画・予算・目標等への反映
(3) 排出量の削減目標を柱とする移行計画の策定
(4) 気候変動問題に関するKPIの設定、KPIの実績レビューなどの進捗状況の評価
(5) 気候変動問題に関する重要事項を取締役会に報告
②戦略
<気候関連のリスク・機会の特定と評価>
USSは、気候関連のリスク・機会の重要性評価に向け、「移行リスク」「物理リスク」「機会」の区分でリスク・機会を特定し、複数のシナリオを設定して評価を実施しました。
<シナリオ分析>
USSは、当社の事業およびステークホルダーにとって重要となる可能性のある気候変動リスク・機会を特定し、複数の気候変動に関するシナリオ群を参照しながら、当社の「1.5℃シナリオ」と「現行推移シナリオ」を策定しました。さらに、シナリオ群の根拠データ(パラメータ)と社内外の情報に基づき、気候変動リスク・機会による事業インパクトと財務的影響度を評価しております。
・対象範囲: オートオークション事業 ※サプライチェーン全体をカバー
・対象期間: 現在から2050年まで
<シナリオ群の定義>
|
1.5℃シナリオ |
現行推移シナリオ |
|
①政策・法規制の強化 ・カーボンニュートラルに向けた急速な排出量削減 ・炭素税の導入本格化 ②世界的なEV化の拡大 ・EV販売比率(乗用車)の急激な上昇 18%(2023年) → 95%(2035年) |
①世界的なEV普及の遅れ ・全世界のEV販売比率(乗用車) 18%(2023年) → 55%(2035年) ②気候変動の影響が顕在化 ・年平均気温: 約4.5°C上昇 ・大雨や短時間強雨の発生頻度: 約2.3倍増加 ・日本沿岸の平均海面水位: 約0.71 m上昇 |
<外部参照シナリオ>
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・IEA NZE、IEA STEPS |
IEA 「World Energy Outlook 2024」 (https://www.iea.org/reports/world-energy-outlook-2024) |
|
・RCP 1.9、SSP1-1.9、 RCP 8.5、SSP5-8.5 |
IPCC 「AR5」「AR6」 (https://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/)、(https://www.env.go.jp/earth/ipcc/6th) |
用語の定義補足
<顕在時期> 短期:5年以内 中期:5年~10年 長期:10年~30年超
<発生可能性> 高:発生可能性が高い 中:50%程度 低:発生可能性が低い
<財務的影響度> 小:1億円以内 中:1~50億円 大:50億円超
<重大な影響の定義> 発生可能性が「高」かつ財務的影響度が中または大
<リスク・機会一覧>
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区分 |
項目 |
シナリオ分析結果 |
顕在時期 |
発生可能性 |
財務的影響度 |
対応戦略 |
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|
1.5℃シナリオ |
移行リスク |
政策・法規制 |
温室効果ガスの排出量実質ゼロ実現のため、欧州に準ずる形で日本でも炭素税(カーボンプライシング)が導入され、エネルギーコストが増加 |
短~中 |
高 |
中 |
再生可能エネルギー(太陽光発電)導入の推進 |
|
ガソリン車の販売を禁止する国が増え、日本からの中古ガソリン車の輸出需要が低下するため、当社のオークションの成約率が低下 |
短~中 |
中 |
大 |
公正・公平な取引と資源循環のためのスキームを創造し続けるための事業ポートフォリオの拡充 ・リサイクル事業の拡大(循環型社会への貢献) ・オークションデータ(ビッグデータ)の有効活用 ・オークション周辺事業の創出(オートローン) |
|||
|
サーキュラーエコノミーの進展により、シェアリングサービスが普及し、EVを購入して保有する人が減る。また、EV製造メーカーが、自身のサプライチェーン内でEV流通の囲い込みを行う |
短~中 |
中 |
大 |
||||
|
評判 |
投資家による気候変動リスクを踏まえた投資行動や、投資先へSBT認定を求める動きが定着・拡大 |
短~中 |
高 |
中 |
SBT認定の取得(2023年10月にSBTイニシアチブによる認定取得) |
||
|
機会 |
エネルギー源・市場 |
脱炭素化に向け、ガソリン車からEVへの買い替え需要が加速し、当社のオークションへの出品台数が増加 |
短~中 |
高 |
大 |
EVの出品台数拡大に向けた施策推進 ・EVの評価基準や車両検査体制などの確立に向けた研究開発
オークション出品時の出品票のデジタル化の拡大を初めとする業務の効率化推進 |
|
|
製品・サービス |
EVに関する業界をリードする新検査技術やルールの開発により、当社のオークションへの出品台数が増加 |
短~中 |
中 |
中 |
|||
|
現行推移シナリオ |
物理的リスク |
急性 |
台風等によってオークション会場等への被害が発生し、営業停止などが起こる。また、設備復旧への追加コスト等が発生する。損害保険料も増加 |
中~長 |
低 |
中 |
BCP(事業継続計画)の定期的な見直し |
|
慢性 |
海面上昇に伴って洪水や高潮が増加し、沿岸部にあるオークション会場が被害を受けることで、オークション会場の建て替えや移転などの対応コストが発生 |
中~長 |
低 |
大 |
|||
|
平均気温が上昇し、従業員の熱中症リスクが増加 |
中~長 |
高 |
小 |
||||
<気候変動に対する移行計画>
USSグループは、気候変動を緩和するための移行計画(ロードマップ)を策定し、取締役会にて審議・決議して2023年6月より運用を開始いたしました。USSグループの移行計画の中核をなすロードマップについては、最新の社内外の環境変化を見直し、必要に応じて更新することで、計画の精度を高めてまいります。また、移行計画に対する進捗状況を毎年取締役会に報告することで、取締役会より適切な監督を受ける体制としております。
<目標の達成に向けた移行計画(ロードマップ)>
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|
2023年度までの取り組み |
2024年度の進捗 |
2030年度に向けた取り組み |
|
科学的根拠に 基づく目標設定 |
SBT認定取得(2023年10月) |
毎年の排出量・対策進捗の報告 |
SBTで定められた5年ごとの目標見直し検討 |
|
検証付きの スコープ1・2・3 排出量 |
スコープ1・2・3の第三者検証実施 (2022年度より) |
スコープ1・2・3の第三者検証継続 |
GHG排出量以外の第三者検証の実施検討 |
|
スコープ1・2 排出量の削減 |
CO2フリー電気の購入開始(2会場)
オンサイトの太陽光発電導入開始(7会場) |
高効率な省エネ空調機器への更新(3会場)
非化石証書の購入開始 |
太陽光発電の推進
高効率な省エネ機器の導入
非化石証書の活用 |
|
スコープ3 排出量の削減 |
スコープ3排出量全カテゴリの算定開始 (2020年度より) |
カテゴリ11における算定方法の精緻化 |
スコープ3の具体的な削減施策の実施 |
|
情報開示 の拡充 |
TCFD開示に移行計画を追加(2023年) |
スコープ3の具体的な削減施策開示 |
気候変動開示の更新・拡充 |
|
外部評価 |
2023 CDP 気候変動スコア「B」 |
2024 CDP 気候変動スコア「A-」 |
CDPへの回答継続 |
<GHG排出量削減に向けた取り組み>
|
スコープ1・2 |
1.再生エネルギー由来の電力の活用 (1)オンサイトの太陽光発電導入の推進 新たな再生可能エネルギー電源を世の中に追加し増やしていくことで、社会の脱炭素化に貢献するという観点から、オークション会場の屋根にオンサイトPPAの太陽光発電設備導入を推進しています。(2025年3月末時点: 全19会場のうち7会場) (2)CO2フリー電気の購入 オンサイトの太陽光発電で賄えない電力については、再生可能エネルギー由来の電力メニュー購入を進めております。(2025年3月末時点: 全19会場のうち2会場) (3)非化石証書の活用 オンサイトの太陽光発電、CO2フリー電気に加え、2025年3月期の排出量より、FIT非化石証書の活用による排出量の間接的な削減を実施しています。 |
|
2.高効率な省エネ設備機器への更新 空調機器等について、最新の省エネ機器への更新により、消費エネルギーの削減を実施。 |
|
スコープ3 |
1.カテゴリ11(販売した製品の使用) Scope3のうち、カテゴリ11の排出量が最も多く、50%以上を占めており、具体的には、販売した自動車の走行に伴う燃料消費が主要な排出源となります。 日本政府は、「2035年までに、乗用車新車販売で電動車100%を実現する」という目標を掲げており、今後5~10年間で、電動車(EV、FCV、PHEV、HEV)の販売比率が大きく向上することが見込まれます。これら電動車の排出量を正確に算定するため、2025年3月期の排出量より、算定方法の精緻化を行っております。 |
|
2.カテゴリ2(資本財) 購入した設備などの資本財に関する排出であるカテゴリ2についても、以下に挙げた施策等を組み合わせて削減を行っていきます。 ・オンプレミス型ソフトウエアや自社サーバでの運用から、クラウド型への切り替え検討 (自社保有ハードウエアの調達・償却・保守に伴う排出の削減) ・オークション会場設備の修繕等による継続使用の検討 (固定資産に関するライフサイクル排出の抑制) |
|
|
3.その他のカテゴリ その他のカテゴリについては、請求書の電子化(カテゴリ1: 通信費削減)、オンライン会議の活用促進(カテゴリ6: 出張排出量削減)、デジタル出品の促進(カテゴリ5: 廃棄物削減)等の施策を継続的に行うとともに、削減効果がある業務改善についても積極的に実施していきます。 |
③リスク管理
<気候変動のリスクと機会を特定し評価する仕組み>
気候変動に関する事項を統括する代表取締役社長は、気候変動の影響について、社内の関係部署とグループ会社の協力を仰ぎながらリスクと機会の特定を主導し、状況の把握を行います。リスクの評価については、検討した対応方法とともに、少なくとも年1回以上、また必要に応じて取締役会に報告されます。取締役会は、リスク管理の状況と対応を含めた気候変動に関する事項について、代表取締役社長より報告を受け、課題への取り組みや設定した目標を監督します。
<気候変動のリスクを管理する仕組み>
気候変動に関する事項を統括する代表取締役社長は、気候変動の影響を特定・評価するプロセス、特定した影響を管理する仕組み、組織全体のリスク管理の中に統合する仕組みを含め、気候変動に関する企画・立案、管理を行い、取締役会に報告・提言するとともに、全社的な気候変動への対応を推進します。また、特定した気候変動の影響と対応について、少なくとも年1回以上、また必要に応じて取締役会へ報告・提言を行うことで、気候変動の影響を全社リスクに統合する役割を担っています。
取締役会は、報告・提言された気候変動の影響と対応について審議を行い、評価します。さらに、特定したリスクの最小化に向けた方針・戦略の策定、計画・予算・目標等への反映など、全社的なリスク管理の観点から適切に適応していくための審議・調整を行います。
④指標と目標
USSグループでは、気候関連リスク・機会の管理に用いる目標として、SBT基準に基づくGHG排出量の削減目標を設定し、2023年10月にSBTイニシアチブによる認定を取得しました。
この目標を達成するため、再生エネルギー由来電力比率の目標を設定し、オンサイトの太陽光発電設備導入やCO2フリー電気への切り替え、高効率な省エネ機器の導入等によるGHG排出量の削減に取組んでいます。
|
項目 |
目標 |
基準年 |
|
温室効果ガス排出量(スコープ1+2) |
2031年3月期までに42%削減 |
2022年3月期 |
|
温室効果ガス排出量(スコープ3) |
2031年3月期までに25%削減 |
|
|
再生エネルギー由来電力比率 |
2031年3月期までに50%達成 |
- |
(4) 人的資本に関する取り組み
①人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
USSグループの成長性や競争力を支えているのは、一人ひとりの社員です。このため、社員が持てる能力を最大限に発揮し、積極的に業務を遂行できる環境を整えています。
また、社員が安心して働くことができ、互いに尊重し合いながら能力を伸ばすことができるような職場づくりや評価・処遇制度の構築にも力を入れています。
(女性活躍方針)
当社グループでは、雇用機会や待遇において、性別に関わらない公平の実現に努めています。採用については、将来性のある人材を多数採用するとともに、中途・新卒に関わらず、優秀な人材を積極的に登用しています。また、当社の取締役のうち2名は女性の社外取締役で、取締役における女性比率は28.5%となっています。
2022年5月には、女性の活躍を促すための研修をスタートしました。管理職層と女性社員のそれぞれに対し、組織づくりや働き方改革に関する研修を実施しています。2024年度の女性管理職比率は3.9%ですが、2025年度に5%、2030年度に10%を目指しています。
女性管理職比率の実績および目標(株式会社ユー・エス・エス単体)
|
|
当連結会計年度末(実績) |
2025年度(目標) |
2030年度(目標) |
|
管理職(課長職以上) |
3.9% |
5%以上 |
10%以上 |
|
管理職候補層※ |
全体 320名 (うち女性62名) |
- |
- |
※ 次世代の管理職候補となる役職者(課長補佐、係長、主任、副主任)を管理職候補層として定義しております。
(外国人の管理職への登用)
外国人については、採用者が若干名であるため、管理職への登用に関する具体的数値目標を設定しておりませんが、今後、更なる多様性の確保に向け、その設定の必要性について継続して検討を進めてまいります。
(中途採用者の管理職への登用)
当社は、中途採用者の割合が高く、既に中途採用者が管理職の中で相当程度の割合を占めております。このため、中途採用者の管理職への登用に関する具体的数値目標を設定しておりませんが、中途採用・新卒採用に関わらず、優秀な人材の積極的な登用を徹底しています。
(多様性の確保に向けた人材育成方針、社内環境整備方針、その状況)
当社グループは、企業の構成員として、互いに人種、民族、国籍、性別、宗教、信条、障がいの有無、性的指向・ジェンダーアイデンティティなどによって差別してはならないことを「USS行動・倫理規範」で明文化し、徹底を図っています。
当社グループは、経営方針として、将来の当社グループを担う自立した人材の育成を打ち出しております。これを実現するため、新入社員教育、接客マナー・身だしなみ教育、管理職向け研修、車両検査員の教育・育成などを実施しています。
また、当社グループでは、繁忙期における長時間労働を削減し、働きやすい職場を目指して、残業の管理を徹底してきました。長時間労働を防止・改善するため、業務の効率化やシフト制を導入するほか、会場ごと、子会社ごとの労働時間について取締役会等で報告を行うとともに、必要に応じて対策を協議しています。2023年度の月間平均残業時間は29.2時間、2024年度の月間平均残業時間は30.0時間となっております。引き続き、月間平均残業時間20.0時間以内を目標として、業務の効率化や先進技術の導入により、働きやすい職場環境づくりを進めてまいります。
(検査員育成制度の導入)
当社は創業以来、公正・公平なオートオークション運営に取り組んでおり、当社検査員が出品車両を10段階で厳正に評価しております。各会場では、当社独自の資格を取得した車両検査員が検査を担当しております。当該資格を取得するまでに平均2年以上かかっておりましたが、出品台数の増加、検査品質の向上および就業環境の改善等に対応していくため、2023年4月より「検査員養成研修制度」を導入しました。名古屋会場にて集合研修を行い、8か月での検査員育成に取り組んでおります。
②指標及び目標
USSグループでは、上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人的資本に関する目標および方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりです。
|
指標(KPI) |
対象範囲 |
実績(年度) |
目標 |
||
|
2022 |
2023 |
2024 |
|||
|
|
株式会社ユー・エス・エス |
255 |
272 |
|
|
|
|
株式会社ユー・エス・エス |
26 |
15 |
|
|
|
女性の役職者登用(%) (副主任以上) |
株式会社ユー・エス・エス |
7.6 |
8.9 |
|
社員全体の |
|
|
株式会社ユー・エス・エス |
0.0 |
0.0 |
|
2030年度10%以上 |
|
|
株式会社ユー・エス・エス |
63.3 |
69.6 |
|
|
|
|
株式会社ユー・エス・エス |
2.48 |
2.25 |
|
法定雇用率( |
|
|
株式会社ユー・エス・エス |
29.3 |
29.2 |
|
|
|
|
株式会社ユー・エス・エス |
6.0 |
6.0 |
|
|
|
労働災害件数(件) |
株式会社アビヅ |
3 |
2 |
9 |
0件 |
|
休業災害度数率 |
株式会社アビヅ |
9.33 |
6.27 |
27.28 |
6.0以下 |
|
休業災害強度率 |
株式会社アビヅ |
0.05 |
0.00 |
0.08 |
0.5以下 |
|
外部研修受講率(%) 正社員以上対象(出向者除く) |
株式会社アビヅ |
100.0 |
46.0 |
64.0 |
50%以上 (2023年度から実施方法を集合研修からeラーニングに変更し、対象者の受講促進に取り組んでおります。) |
※2023年度より外部研修の方法を集合研修から時間や場所を問わずに受講者の都合のよいタイミングで学習に取り組むことができ、幅広い受講内容を提供できるeラーニングに変更しました。
(5) サステナビリティ課題への取組みに対する社外からの評価
当社がこれまで継続してきた、事業を通じたサステナビリティ課題への取組みに対し、第三者機関から高い評価をいただいております。特に、CDP(気候変動)については、着実にスコアアップを実現しております。今後も持続的な企業価値向上のために、サステナビリティ課題に積極的に取り組んでまいります。
第三者機関からの評価の推移
|
|
2022 |
2023 |
2024 |
|
MSCI ESG レーティング |
A |
AA |
A |
|
CDP(気候変動) |
C |
B |
A- |
USSグループの経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてUSSグループが判断したものであります。
(公的規制等)
USSグループは、国内において、古物営業法、環境・リサイクル関連法等の法的規制の適用を受けております。USSグループにおきましては、法的手続きによる権利の保全にも万全を期しておりますが、将来において、現在予測し得ない法的規制が設けられる可能性があり、これらの法的規制に係る指摘を受けた場合、USSグループの事業活動が制限されるおそれがあり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(会員およびオークション参加の勧誘および確保について)
USSグループの事業にとって、新会員の勧誘、既存会員の確保、会員のオークション参加促進は重要な施策となります。しかし、下記の場合などには、これらの施策に支障が生じる可能性があります。
・ 競合他社がUSSグループの提供しないサービス、施設または便益を提供する場合
・ オークション会場での出品台数・成約率が競合他社と比べて低い場合
・ 役員および従業員の行為がUSSグループの評判に悪影響を与える場合
・ 大口出品業者が、何らかの理由で他の販路を選ぶ場合
(出品車両の調達について)
オートオークション事業はオークション出品車両の調達に大きく依存しており、車両の供給が不足する場合には、最適な規模でのオークション開催ができない可能性があります。
現状、出品車両の調達は大口出品業者にある程度依存しており、USSグループはこれらの業者の参加促進のために、手数料の大口割引制度を実施しています。将来USSグループが手数料などの条件を変更した場合には、これらの大口出品業者等の出品台数に影響を与える可能性があります。また、今後とも必要な出品台数を確保できるという保証はなく、これが事業および経営成績に影響を与える可能性があります。
(成約率の低下について)
USSグループは、過去において成約率(オークション出品車両のうち売買契約が締結された割合)の低下を経験しています。成約率の低下は、出品台数に影響を与える可能性があります。
(既存設備拡張の限界について)
USSグループの既存設備における事業拡張については、必要とする駐車スペースの確保等の面で能力に限界があります。駐車スペースの拡張には、土地の購入、賃借または立体駐車場の建設など、大規模な設備投資が必要となります。
(新しい施設に関連するリスクについて)
USSグループはオークション会場の新設ならびに同業者の買収により事業を拡大しておりますが、今後とも事業拡大のために、会場の新設、同業者の買収や提携を進める可能性があります。このような事業拡大には下記のようなリスクをともないます。
・ 新設や買収したオークション会場で十分な量の会員または出品車両を確保できない可能性があります。
・ 買収や合併に際しては、偶発債務もしくは簿外債務、経営上の問題、権利の瑕疵など、不確実な要因が残る場合があります。
・ 事業の拡張によって拡大、複雑化する組織を適切に監督するため、当社の経営負担は増大する可能性があります。
・ オークション会場の拡張や移転をするためには、当局による各種許認可を取得する必要があります。これらの許認可の取得に支障が生じた場合には、計画を遅延または中止しなくてはならない可能性があります。
(資産の減損)
企業買収などにより取得したのれんをはじめ、USSグループの保有する減損会計の対象となる資産について、将来キャッシュ・フローにより資産の帳簿価額を回収できないと判断される場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上することになります。保有資産に係る将来キャッシュ・フローの見込みにより、減損損失を計上することとなった場合、USSグループの事業展開、経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(市場全体の成長の限界について)
現在、日本における自動車流通市場は成熟しており、成長の余地は大きくはないものと考えられます。USSグループの事業は、オートオークションの利用者にとって有益な自動車流通システムを開発し、これを浸透させることが重要でありますが、USSグループが競合他社を凌ぎ、市場シェアを拡大することができない場合には、収益の減少、成長率の低下等に結びつく可能性があります。
これまでUSSグループは各営業地域のオークション会場において高いシェアを確保してきました。しかし、競合他社が積極的な事業の拡大を行ったり、合併や提携を進めた場合、これらの企業がUSSグループにとって対抗できない大規模な施設、サービス、その他便益を提供する可能性があります。一方、自動車メーカー等がその系列販売会社の流通網を活用し、新たな中古自動車の流通形態を構築したときには、強力な競争相手となり得ます。競争の激化はUSSグループの成長性、収益性に悪影響を与えかねません。またUSSグループが設定する手数料および各種料金は、常に競合他社よりも低水準であるという保証はありません。
(急激な技術革新について)
現車オークション、専用端末およびインターネットを通じたオークション情報提供に関しては、急激な技術革新と顧客の需要の変化が市場の特徴となっており、USSグループの将来の成功は、急激な技術革新、サービス競争の激化、需要レベルの高度化に対応していくことができるか否かによって決まります。しかしながらこれらの変化に順応できない場合、USSグループの事業、財政状態および業績は影響を受ける可能性があります。さらに競合するオークション会場が一層高度な電子商取引技術等を広範に取り入れた場合、USSグループはその対応のために相当な出費を余儀なくされる可能性があります。これらの出費はUSSグループの財源を圧迫し、事業計画の変更や、財政状態および業績に影響を与えるということもあり得ます。また、USSグループがこれらの技術を利用した競争力のあるサービスの提供を行うことができるという保証はありません。
(USSグループの集中管理について)
当社の連結対象子会社の管理業務全般は、当社統括本部にて集中管理をしており、データのバックアップをとるなどの対策を講じているものの、システムに何らかの支障が生じた場合には、業務に影響を与える可能性があります。
(会員情報の管理について)
USSグループのオークションは会員制オークションであり、会員の多くは中古自動車販売業を営んでおります。これらの会員の情報は、個人情報が含まれているため、個人情報保護方針に基づき厳正に管理をしておりますが、万一、漏洩した場合には、USSグループに対する信用の失墜につながり、業績に影響を与える可能性があります。
(自然災害、事故災害に関するリスクについて)
地震、台風、津波等の自然災害や火災等の事故災害が発生し、USSグループの拠点等が被災した場合、その一部または全部の操業が中断し、サービスの提供や販売ができなくなる可能性があります。また、被災した建物、設備等を復旧するために多額の費用が発生するおそれもあり、その結果、USSグループの事業、財政状態および業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(パンデミックに関するリスクについて)
USSグループは、オークション会員や従業員の健康と安全確保を最優先とし、事業継続に必要な対策を講じてまいりますが、政府および地方自治体からの要請や指導等によっては、対面サービスをすべて休止し、インターネット等を活用した外部落札型オークションへ切り替える可能性や、オークション運営を休催または停止する可能性があります。
また、新車販売台数の低迷や、中古車輸出の仕向地における国境封鎖などによる中古車輸出台数の減少が国内のオークション取引を急激に縮小させる可能性があります。
併せて、USSグループのオークション会員が感染症の影響により財政状態が悪化し、その結果、事業継続が困難となった場合、安定的に推移していた取引の消失や債権の回収が困難となる可能性があります。
ただし、これらはすべてのリスクを網羅したものではなく、記載した事項以外の予見しがたいリスクも存在します。
(1) 経営成績等の状況の概要
①財政状態および経営成績の状況
当連結会計年度における国内自動車流通市場は、国内自動車メーカーの認証試験不正問題により続いていた一部車種の出荷停止が解消したことや、新車販売の受注残の積極的な解消を図る動きなどから、新車登録台数(軽自動車含む)は4,575千台(前期比1.0%増)となりました。
中古車登録台数(軽自動車含む)は、新車の一部車種において納期の長期化が続いており、即時納車が可能な中古車への需要は引き続き堅調であったことなどから、6,467千台(前期比0.3%増)となりました。((一社)日本自動車販売協会連合会、(一社)全国軽自動車協会連合会調べ)
中古車輸出市場は、主にニュージーランド、ロシア向けの台数が減少したことにより、1,579千台(前期比1.5%減)となりました。(財務省貿易統計調べ)
オートオークション市場における出品台数は7,623千台(前期比1.9%減)、成約台数は5,301千台(前期比1.3%増)、成約率は69.5%(前期実績67.3%)となりました。((株)ユーストカー調べ)
このような経営環境の中、USSグループの当連結会計年度における経営成績は、売上高104,021百万円(前期比6.6%増)、営業利益54,206百万円(前期比10.8%増)、経常利益54,883百万円(前期比10.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益37,636百万円(前期比14.4%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
オートオークション
オートオークションの出品台数は3,202千台(前期比3.8%増)、成約台数は2,145千台(前期比8.0%増)、成約率は67.0%(前期実績64.4%)となり、出品台数および成約台数が増加したことに加え、インターネット経由の落札手数料の改定によりオークション手数料収入が増加したことなどから増収増益となりました。
この結果、オートオークションのセグメントは、外部顧客に対する売上高81,843百万円(前期比9.0%増)、営業利益53,274百万円(前期比12.4%増)となりました。
中古自動車等買取販売
中古自動車買取専門店「ラビット」は、販売台数が増加したことなどから増収増益となりました。
事故現状車買取販売事業は、販売台数が増加したものの、台当たり粗利益が減少し増収減益となりました。
この結果、中古自動車等買取販売のセグメントは、外部顧客に対する売上高12,651百万円(前期比10.7%増)、営業利益276百万円(前期比16.6%減)となりました。
リサイクル
資源リサイクル事業は、非鉄金属相場が高値圏で推移したことで増収となった一方、業務委託費が増加したことなどから増収減益となりました。
プラントリサイクル事業は、大規模な解体工事の受注件数が減少したことにより減収減益となりました。
この結果、リサイクルのセグメントは、外部顧客に対する売上高8,407百万円(前期比20.1%減)、営業利益542百万円(前期比53.4%減)となりました。
財政状態の分析状況は、次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は267,348百万円となり、前連結会計年度末と比較して4,209百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が4,210百万円、営業貸付金が2,806百万円増加した一方、オークション貸勘定が10,751百万円減少したことによるものです。
(負債)
負債合計は59,993百万円となり、前連結会計年度末と比較して12,541百万円減少しました。これは主に、未払法人税等が1,087百万円増加した一方、オークション借勘定が13,744百万円減少したことによるものです。
(純資産)
純資産合計は207,354百万円となり、前連結会計年度末と比較して8,332百万円増加しました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を37,636百万円計上した一方、剰余金の配当を19,695百万円実施したことから利益剰余金が17,941百万円増加したこと、自己株式の取得などにより自己株式が9,660百万円増加したことによるものです。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して2,210百万円増加し、104,719百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は38,157百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益54,955百万円(前期比12.9%増)、法人税等の支払額16,445百万円(前期比14.5%増)によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は5,995百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,771百万円(前期比32.2%増)、定期預金の純増加額2,000百万円(前期実績-百万円)、無形固定資産の取得による支出1,499百万円(前期比163.1%増)によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は29,951百万円となりました。これは主に、配当金の支払額19,695百万円(前期比18.7%増)、自己株式の取得による支出10,000百万円(前期比21.2%減)によるものです。
③生産、受注および販売の実績
当連結会計年度における実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(a) オートオークション
(1) オートオークションの実績
|
区分 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減率(%) |
|
出品台数(台) |
3,084,529 |
3,202,002 |
3.8 |
|
成約台数(台) |
1,986,643 |
2,145,158 |
8.0 |
|
成約率(%) |
64.4 |
67.0 |
- |
|
成約車両金額(百万円) |
2,096,794 |
2,587,517 |
23.4 |
|
開催回数(回) |
879 |
882 |
0.3 |
(注)成約車両金額は、オートオークションによる成約(落札)車両取扱高であり、車両代金(消費税等を含まず)の総額であります。
|
(2) 登録会員数 |
(単位:社) |
|
区分 |
前連結会計年度末 (2024年3月31日現在) |
当連結会計年度末 (2025年3月31日現在) |
増減率(%) |
|
現車オートオークション登録会員数 |
48,123 |
48,160 |
0.1 |
|
USS JAPAN登録会員数 |
1,774 |
1,964 |
10.7 |
|
CIS登録会員数 |
34,367 |
35,148 |
2.3 |
|
(3) 1台当たり手数料の実績 |
(単位:円) |
|
区分 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減率(%) |
|
出品手数料 |
5,702 |
5,782 |
1.4 |
|
成約手数料 |
8,830 |
8,760 |
△0.8 |
|
落札手数料 |
13,350 |
14,232 |
6.6 |
(注)1.出品手数料および成約手数料につきましては、大口出品会員に対する手数料割戻制度を有しており、割戻後の金額を記載しております。
2.上記手数料につきましては、連結相殺前の数値をもとに算出しております。
(4) JBAバイクオークションの実績
|
区分 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減率(%) |
|
出品台数(台) |
136,957 |
143,209 |
4.6 |
|
成約台数(台) |
117,377 |
122,530 |
4.4 |
|
成約率(%) |
85.7 |
85.6 |
- |
|
開催回数(回) |
98 |
98 |
0.0 |
(5) 販売(営業収益)の実績
|
① 種類別販売(営業収益)の実績 |
(単位:百万円) |
|
区分 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減率(%) |
|
出品手数料 |
17,501 |
18,416 |
5.2 |
|
成約手数料 |
17,436 |
18,675 |
7.1 |
|
落札手数料 |
26,501 |
30,511 |
15.1 |
|
バイクオークション手数料 |
1,098 |
1,172 |
6.7 |
|
商品売上高 |
2,530 |
2,375 |
△6.1 |
|
その他の営業収入 |
9,997 |
10,691 |
6.9 |
|
合計 |
75,066 |
81,843 |
9.0 |
(注)1.顧客との契約から生じる収益およびそれ以外の収益を区分して記載しておりません。
2.バイクオークション手数料は、株式会社ジャパンバイクオークションが運営するバイクオークションの手数料であります。
|
② 会場別販売(営業収益)の実績 |
(単位:百万円) |
|
区分 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減率(%) |
|
名古屋会場 |
10,499 |
11,257 |
7.2 |
|
九州会場 |
4,906 |
5,559 |
13.3 |
|
東京会場 |
16,763 |
18,784 |
12.1 |
|
岡山会場 |
1,639 |
1,731 |
5.6 |
|
静岡会場 |
2,318 |
2,322 |
0.2 |
|
札幌会場 |
3,279 |
3,583 |
9.3 |
|
埼玉会場 |
1,135 |
1,318 |
16.1 |
|
群馬会場 |
1,228 |
1,369 |
11.5 |
|
東北会場 |
1,370 |
1,583 |
15.5 |
|
大阪会場 |
3,951 |
4,297 |
8.8 |
|
福岡会場 |
735 |
717 |
△2.5 |
|
横浜会場 |
4,676 |
5,003 |
7.0 |
|
R-名古屋会場 |
2,211 |
2,123 |
△4.0 |
|
神戸会場 |
2,144 |
2,358 |
10.0 |
|
北陸会場 |
402 |
392 |
△2.4 |
|
新潟会場 |
933 |
991 |
6.2 |
|
JAA |
1,210 |
1,198 |
△1.0 |
|
HAA神戸 |
5,839 |
6,836 |
17.1 |
|
物流サービス |
462 |
524 |
13.3 |
|
USS JAPAN |
1,024 |
1,183 |
15.5 |
|
CIS |
6,776 |
7,066 |
4.3 |
|
金融サービス |
265 |
267 |
1.1 |
|
バイクオークション |
1,291 |
1,372 |
6.2 |
|
合計 |
75,066 |
81,843 |
9.0 |
(注)1.顧客との契約から生じる収益およびそれ以外の収益を区分して記載しておりません。
2.HAA神戸には四国会場の営業収益を含めております。
(b) 中古自動車等買取販売
|
(1) 中古自動車買取店舗数 |
(単位:店舗) |
|
区分 |
前連結会計年度末 (2024年3月31日現在) |
当連結会計年度末 (2025年3月31日現在) |
増減率(%) |
|
直営店 |
15 |
16 |
6.7 |
|
フランチャイズ店 |
123 |
125 |
1.6 |
|
合計 |
138 |
141 |
2.2 |
|
(2) 種類別販売(営業収益)の実績 |
(単位:百万円) |
|
区分 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減率(%) |
|
中古自動車買取販売 |
6,865 |
7,307 |
6.4 |
|
事故現状車買取販売 |
4,566 |
5,344 |
17.0 |
|
合計 |
11,431 |
12,651 |
10.7 |
(c) リサイクル
|
種類別販売(営業収益)の実績 |
(単位:百万円) |
|
区分 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減率(%) |
|
資源リサイクル |
5,345 |
5,362 |
0.3 |
|
プラントリサイクル |
5,181 |
3,044 |
△41.2 |
|
合計 |
10,526 |
8,407 |
△20.1 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるUSSグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、連結財務諸表に基づいて分析したものであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り
USSグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成には、決算日における資産・負債の報告数値、各連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定の設定を行っております。主にのれん、貸倒引当金、退職給付に係る負債、繰延税金資産等に対して、継続して評価を行っており、これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果と異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
国内自動車メーカーの認証試験不正問題により続いていた一部車種の出荷停止が下半期において解消されたことに加え、新車販売の受注残の早期解消に向けた取り組みなどにより、新車登録台数が前年を上回る水準となりました。東京会場のセリレーン増設による出品台数の増加や大口出品店の出品台数の増加などにより、USSグループのオートオークションの出品台数は3,202千台(前期比3.8%増)、成約台数は2,145千台(前期比8.0%増)、成約率は67.0%(前期実績64.4%)となりました。また、インターネット経由の落札手数料の改定によりオークション手数料収入が増加したことなどから、USSグループの当連結会計年度の売上高は、前期と比較して6,415百万円増加し、104,021百万円(前期比6.6%増)となりました。
売上原価は、前期と比較して628百万円増加し、39,199百万円(前期比1.6%増)となりました。増加した主な要因は、中古自動車等買取販売において販売台数が増加したほか、オートオークションにおいて出品車引廻しに係る業務委託費が増加したことによるものです。
販売費及び一般管理費は、前期と比較して518百万円増加し、10,615百万円(前期比5.1%増)となりました。増加した主な要因は、オートローン事業において貸倒引当金繰入額が増加したほか、オートオークションにおいて販売促進費が増加したことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前期と比較して5,268百万円増加し、54,206百万円(前期比10.8%増)となりました。
営業外収益は、不動産賃貸料648百万円などにより881百万円、営業外費用は204百万円となりました。
特別利益は326百万円、特別損失は254百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前期と比較して4,729百万円増加し、37,636百万円(前期比14.4%増)となりました。
USSグループの資本の財源および資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して2,210百万円増加し、104,719百万円となりました。これは、営業活動により得られた資金38,157百万円に対して、有形固定資産の取得など投資活動により支出した資金5,995百万円、配当金の支払いおよび自己株式の取得など財務活動により支出した資金29,951百万円によるものであります。
なお、USSグループは、必要な運転資金および設備投資資金について自己資金または銀行借入により調達するものとし、当連結会計年度末における有利子負債残高は2,246百万円であります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、次のとおりです。
当連結会計年度の業績は、2025年2月4日に公表した業績予想に対して、売上高は1,121百万円の増加(1.1%増)、営業利益は1,036百万円の増加(1.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は986百万円の増加(2.7%増)となりました。この主な要因は以下のとおりです。
売上高は、オートオークションにおいて出品台数が増加したことに加え、中古自動車等買取販売において販売台数が増加したことから予想を上回りました。
営業利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、オートオークションにおいて売上高が増加したことから予想を上回りました。
当社の目標とする経営指標である自己資本当期純利益率(ROE)は予想を上回る18.9%となりました。なお、中期経営目標としてROEの目標を20%以上に引き上げております。
|
|
2025年3月期 (実績) |
2025年3月期 (予想) |
増減 |
増減率(%) |
|
出品台数(台) |
3,202,002 |
3,125,500 |
76,502 |
2.4 |
|
成約台数(台) |
2,145,158 |
2,090,200 |
54,958 |
2.6 |
|
成約率 |
67.0% |
66.9% |
0.1ポイント |
- |
|
売上高(百万円) |
104,021 |
102,900 |
1,121 |
1.1 |
|
営業利益(百万円) |
54,206 |
53,170 |
1,036 |
1.9 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 (百万円) |
37,636 |
36,650 |
986 |
2.7 |
|
自己資本当期純利益率(ROE) |
18.9% |
18.2% |
0.7ポイント |
- |
(注)2025年3月期(予想)は2025年2月4日に発表した予想であります。
セグメントごとの財政状態および経営成績の状況に関する認識ならびに分析・検討内容は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態および経営成績の状況」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
特記すべき事項はありません。