文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
当社グループは、「私たちは、全従業員の物心両面の豊かさを追求するとともに、日本と世界の教育・文化の向上、社会の進歩と善良化に貢献する」という経営理念のもと、「絶えざる革新」により、変化する環境に対応した経営を行っています。また、新たに定めた「ステキな大人が増える未来をつくる」のグループビジョンの実現を目指し、「学び」の持つ力で人々の人生の質を高め、全てのステークホルダーへの貢献を追求しています。
(組織価値観)
(2) 優先的に対処すべき事実上及び財務上の課題
我が国においては、急速な少子高齢化に伴い、学齢人口の縮小や保育市場での待機児童が減少していく一方で、介護を必要とする高齢者が増加し、国内での外国人就労者の増加や日本語学習へのニーズの高まりが見込まれます。
こうした状況において、変化する社会環境に対応し対人サービスを主体とする当社グループが今後も持続的な成長を続けていくためには、既存事業の強化と新規事業の創出、顧客サービスの担い手となる有能な人材の採用力強化、組織の中核となるミドルマネージャーの育成を喫緊の経営課題と認識しております。
セグメントごとの課題については以下のとおりです。
学習塾事業
1.少子化による顧客数減少への対応
学習塾市場は地域によっては急速に縮小傾向にありますが、出店エリアの再評価や統合による大規模校舎の設立、人口が増加している首都圏への個別指導塾の展開を進めることで、生徒数の増加を図り、収益拡大を目指します。
2.既存校舎の設備修繕・改修を通じたサービスの向上
既存の校舎・教室について修繕や改修・移転等により、教育環境の向上を図り、顧客への提供価値を高めます。
3.新規事業や事業モデルの刷新
AI技術を活用した高品質な学習コンテンツと当社の生徒指導対応ノウハウを融合したハイブリッド型の個別指導塾「コノ塾」の関西地域における展開や、新たな教育形態に関する研究開発による付加価値の高い教育の提供で、新しい収益モデルの確立を目指します。
語学関連事業
1.市場ニーズに応じた英会話教室の展開
英会話事業は市場の需要が依然として高いため、地域・市場のニーズに合った魅力的な教育コンテンツの提供と運営の効率化で、収益強化を行います。
2.日本一の学生数を目指した日本語学校の拡大
日本への外国人留学生や就労希望者の増加を背景に、日本語学校のさらなる拡大を目指しています。監督官庁の変更による法令や制度改正に対応しながら、高品質な教育を提供することで、さらなる留学生の増加に取組むことが課題です。
3.グローバル教育事業のさらなる展開
海外での語学教育市場の拡大を目指しています。オーストラリア国内における複数拠点の展開やその他の国における展開についても積極的に開拓し、市場競争力を強化します。
4.競争優位性確立による国際人材交流事業の拡大
国際人材交流事業では、入国する外国人材に対する、日本語学習の支援や良質な求人の開拓等を通じて独自の価値を確立し、他社との差別化を図る必要があります。また、インド、ネパール、ミャンマーなど新たな地域で事業展開を開始しており、積極的な事業拡大の推進がこれからの課題です。
保育・介護事業
1.保育事業における質的改善と差別化戦略
安全で安心できる保育環境の提供、独自の教育プログラムやサービスの強化を通じて、「選ばれる保育園」の実現を目指し、ブランド価値を向上させます。
2.介護事業の拡大と地域密着モデルの構築
質の高いサービス提供と新たな施設の開設を積極的に行い、地域ニーズに応じた密着型モデルを構築することで、競争力を高め、「安心できる介護」の実現を目指します。
3.高齢者向けの新規サービスの展開
介護予防を目的とした新たなリハビリ特化型デイサービス事業の立ち上げを足がかりに、既存の介護領域と教育領域のノウハウを融合させた新規サービスなど、高齢者の健康寿命延伸に寄与する新たな事業展開を進めます。
(3) 中長期的な経営戦略
当社グループは、経営理念とビジョンの実現に向け、時代の変化に対応した革新に挑み、持続的成長を目指しています。少子高齢化による学齢人口減少、労働人口減少という社会構造変化は、学習塾事業や保育事業にとって厳しい未来をもたらす一方、介護事業や外国人労働者を中心とした日本語教育においては需要の拡大が予測されます。
このような状況において、時代と社会課題の変化に対応し、収益性向上や効率化を進めながら、より強固な企業グループを目指してまいります。「地域一、日本一、世界一」を目指し、各事業で経営品質向上や顧客満足度向上を念頭に、収益性と従業員満足度を両立させる取り組みを進めます。事業を通じて顧客や社会へ価値を提供し、社会の進歩と善良化に貢献し続ける企業としての基盤を強化してまいります。
そのための具体的な戦略は以下の通りです。
1.既存事業の革新
当社グループは、「絶えざる革新」を社是としているとおり、既存事業の再構築で市場ニーズの変化に適応してまいります。具体的には、学齢人口減少への対応として学習塾拠点の統廃合と拠点の規模拡大を実現することで収益性の向上を目指しています。すでに、京都市内において近隣校舎を統合し、大規模校へと転換することでサービスレベルと収益性を向上に成果がみられ、今後その他の拠点においても、校舎の大規模化、集約化で収益性向上を進めてまいります。また、AI技術を活用したハイブリッド型個別指導塾「コノ塾」の関西における事業運営を受託し、生徒の学力向上において顕著な成果を上げています。一方、介護事業では、超高齢社会に対応すべく新規出店を進めるほか、高齢者向けのリハビリ特化型デイサービスの展開を開始し、高齢者の健康寿命の伸長をサポートしています。これらの取り組みを通じて、幅広い世代や顧客層に価値あるサービスを提供し、事業のさらなる成長を促進してまいります。
2.顧客価値の向上
当社グループは顧客価値経営に基づく活動を行い、新たな価値を付加する取り組みを進めております。各事業部門において、外部団体主催の経営品質賞受賞に向けた活動を行うことで、より一層のサービスの質向上を目指しています。2024年度には日本語教育事業部の「日本一通いたい、日本一働きたい日本語学校」を目指した取り組みが評価され、関西経営品質賞ブロンズを受賞しています。日本語学校No.1、国内10%のシェア獲得を目指した活動が進行中です。他の事業部門においても、さらなる経営品質賞の受賞に向けた活動を通じて、顧客価値を向上させる仕組みづくりを行っています。
また、IT・AI技術を積極的に活用して業務効率化を進め、「人にしかできないこと」にリソースを集中することで顧客体験の質を高めてまいります。さらに、学童保育や介護予防サービスなど新たな価値を創造する領域でも、顧客ニーズに合わせた質の高いソリューションを提供しています。環境の変化に適応しながら、創業以来大切にしているお客様ひとりひとりを大切にする姿勢を貫くことで、持続的な企業価値の向上と社会価値の実現に努めます。
3.新規事業の創出
当社グループは、既存事業の強化に加え、社会の変化を捉えた新規事業の積極的展開を推進しています。これまでも、外国人労働者の受け入れ制度における社会課題に着目し、日本語教育や外国人材紹介事業に15年以上前から取り組み、事業を拡大してきました。また、介護予防のデイサービスなど、介護分野の革新も進め、地域社会に根差した「新しい価値」の創出と、多様化する社会のニーズに対応しています。今後は、社会課題となっている「小1の壁」へのソリューションとしての学童保育事業の展開を進めます。今後も、当社グループの教育事業で培った学びのノウハウを活かし、新たな柱となる事業を増やすべく、新規事業の創出に取り組んでまいります。
4.グローバルな事業展開
当社グループは、国内市場に留まらず、海外市場への展開を加速しています。グローバルな視点を活かし、日本語教育や英会話において、オーストラリアやその他の国々での校舎拡大も視野に入れています。さらに、国際人材交流事業では、インドやネパールとの国家機関と提携し、日本国内での就労を支援する人材紹介事業を展開しています。他国の政府系機関との連携やビジネスパートナーとともに外国人材への教育と職業紹介・受入れに関する事業の強化による同業他社との差別化で、シェアの拡大を図り、2030年までに1万人の入職者支援を目指しています。国内外で持続可能かつ競争力のあるサービスを展開することにより、日本と世界をつなぐ架け橋として、当社グループの価値を最大化し、グローバルな成長を実現してまいります。
5.人的資本投資
当社グループは、人材は何にも勝る重要な成長の原動力ととらえ、人的資本投資を重視した取り組みを進めています。当社グループでは、経営の重要課題を解決に導く手法として3つのフレームワーク「成長の3本柱(リーチング・アメーバ経営・経営品質向上活動)」を使用しており、社員教育においてもこのフレームを基盤として、個人と組織の成長を支援しています。組織価値観の中で、”全従業員の物心両面の豊かさの追求“と”高い志を持ち、仕事を通じた成長“を掲げ、成長意欲の創出と成長のためのさまざまな機会を提供しています。また、グループ50周年を機に組織内の一体感を醸成する施策を展開するとともに、処遇改善を進めることで、従業員の満足度(ES)を向上させ、個々の成長意欲の増進を高めてまいります。これにより、自ら考え行動できる組織を構築し、グループ全体のさらなる成長を目指してまいります。
当社グループでは、顧客や社会から評価された結果としての集客及び収益性の向上を目指しており、経営指標としては、各事業において顧客数・売上高・営業利益を重視しております。長期的な経営指標の目標としては、顧客数・売上高の成長と同時に経常利益率の向上を重視しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
「日本と世界の教育・文化の向上、社会の進歩と善良化に貢献する」ことを経営理念として掲げる当社グループにとってのサステナビリティとは、事業を通して社会課題の解決に寄与することであり、当社グループの持続的な成長が、社会の持続的な発展に貢献できるような状態を目指すことです。その実現に向けて、顧客、取引先、従業員、株主はもちろん、環境や社会とのエンゲージメントも非常に重要であると考え、1975年の創業以来、あらゆるステークホルダーとのエンゲージメントを大切に、サステナビリティを重視した経営を実践しております。
企業価値を高め、社会からの信頼を得ることが持続的な成長の実現に繋がると考えております。その実現のため、経営環境の変化に対応した迅速な意思決定と経営の健全性を追求する体制を構築しております。
当社グループでは、代表取締役社長 立木康之が議長を務める内部統制会議を2か月に1回開催しております。構成メンバーは、取締役、執行役員、補欠の監査等委員である監査部長です。内部統制会議では、持続可能性の観点で当社グループの企業価値を向上させるため、サステナビリティに係る当社グループの在り方を提言することを目的として、サステナビリティに係る課題や方針等の検討、協議を行い、取締役会へ報告します。
代表取締役社長 立木康之が議長を務める経営会議においては、サステナビリティに関する重要課題に関するリスク及び機会に対応するための実行計画の立案、目標の進捗管理を行い、その内容を、毎月取締役会へ報告しております。
取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しております。経営会議及び内部統制会議で協議・決議された内容の報告を受け、当社グループのサステナビリティのリスク及び機会への対応方針及び実行計画等についての審議・監督を行っております。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社グループでは、乳幼児から、小中学生・高校生、社会人、高齢者までを対象とした保育、語学教育、学習指導、介護等のサービスを提供しています。したがって、「人」こそが、最大の資源であり、個人の成長が、組織の成長に繋がるという基本的な考え方に立って、人的資本経営を進めております。さらに海外での事業展開や、保育園の運営等を通じ、多様な人材が活躍できるよう推進しています。
1)経営理念と人材への考え方
「私たちは、全従業員の物心両面の豊かさを追求するとともに、日本と世界の教育・文化の向上、社会の進歩と善良化に貢献します」という経営理念を掲げ、また、行動原則でもある「3つの原則」には「私たちは、高い志を持ち、仕事を通じて成長します」と謳っています。従業員への還元を約束し、自ら成長する企業風土を醸成しています。
育成と成長の3本柱として、「経営品質向上活動」「アメーバ経営」「リーチング」を掲げて取り組んでいます。
研修制度は、階層別、職種別、入社年度別等に、体系的に設計を行っています。上位職を目指すための研修は立候補制で行っており、自ら成長意欲を持って参加してもらう機会を設けています。

自律的にキャリア構築をすることと、新たなチャレンジを推奨するために、下記のような取組を行っています。
経営理念「物心両面の豊かさ」に則り、心身ともに健康で働き続けられるための職場環境や、制度設計を行っています。風土形成においては、従業員についても「ひとりひとりを大切に」という考え方を土台に、「感謝、謙虚、誠実、利他」の精神をもって下記のような取り組みを行っています。
当社グループにおいて、全社的なリスク管理は、リスク管理委員会において行っております。
当社グループで選定して設置したリスク管理委員会は下記の通りです。
各委員会で課題となった重要なリスクは、年2回実施しているリスク管理委員会で報告します。同委員会での協議を経て戦略、計画に反映し、対応状況は、内部統制会議においてモニタリングし、その内容を適宜取締役会へ報告します。
サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、当社グループに与える財務的影響、当社グループの活動が環境・社会に与える影響、発生可能性を踏まえ、当社の将来の持続的発展に影響を与える事業リスクについて内部統制会議の中でより詳細な検討を行い、共有しております。
また、内部統制会議においては、上記の他、労務環境についての報告、協議や、内部監査及び外部の財務諸表監査についての報告と共有など、当社グループのガバナンス強化に関係する重要なテーマについても取り上げ、協議を行っております。
当社グループでは、上記の(3)戦略 2)~4)に記載をした人材に関する取り組みに関して、当社においては、継続的かつ具体的な取り組みを行っておりますが、連結グループへは展開途上にあるため、連結グループにおける記載が困難であります。したがって、次の指標及び目標については、提出会社のものを記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
・顧客、従業員の安全・安心
当社グループは、何よりも安全・安心を重要と考えています。全校舎電子錠システムを採用し、モニターカメラを設置しチェックする体制の確立など、学習塾事業においては、安全に安心して通える環境の提供は必須であります。保育事業、介護事業、フードサービス事業においては、アレルギー性物質の混入や食中毒等が発生しないよう各種マニュアルの制定・研修の実施等、体制を整えています。その他の事業でも、お客様が安全に安心してご利用いただけるサービスの提供を最重要事項として位置づけ、活動を行っています。また、従業員が安全・安心に働けることも重視しており、特に心のケアができる体制を強化することが重要であり、外部の相談窓口等とも提携し体制を整えています。しかしながら、顧客や従業員の安全を脅かす事態が発生した場合、社会的信用の低下により業績等に大きな影響を与える可能性があります。
・海外事業
当社グループでは、海外にて学習塾事業、語学関連事業の拠点を運営しています。海外での事業は、各国の法律・規則、税制などの変化、自然災害の発生、政治情勢及び経済情勢の変化、商習慣や文化の相違、戦争や紛争、テロの発生等により影響を受ける可能性があります。当社グループでは、拠点のある各国、地域の動向等情報収集に努めているものの、これらの国・地域において上記事象が発生・顕在化することにより、事業継続に支障をきたし、業績等に影響を与える可能性があります。
・個人情報の取り扱い
当社グループでは、多数の個人情報を有しております。これらに関しては、顧客情報保護方針に基づいた管理を徹底し、内部監査部門の各拠点監査等により漏洩等の未然防止を徹底しております。しかしながら、何らかの原因により情報が流出した場合は、社会的信用の低下により業績等に影響を与える可能性があります。
当社グループが事業を展開している地域において、大規模な地震・水害等の自然災害、火災等の事故災害、大規模な感染症の流行が発生した場合、当社は対面によるサービス提供を中心としており事業継続が困難となる可能性があります。当社グループでは、事業拠点における施設・設備の安全対応、災害マニュアルの浸透徹底や訓練の実施、従業員等安否確認システムの整備や各事業所へ備蓄品を配備、一部事業においてはオンラインでのサービス提供の整備など、お客様及び従業員の安全確保と事業が継続できる体制の構築に努めております。しかしながら、想定を上回る事態により事業活動の運営が困難になった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
・子育て支援にかかる法的規制
当社グループが展開する保育事業において、国や地方自治体の子育て支援事業に関連する方針が変更され、保育所の設置・運営に関する法律の改定が行われた場合や、補助金制度の見直しが行われた場合、当社グループの保育事業活動が制約を受ける可能性があります。また、何らかの事由により、現在運営している認可保育所や東京都認証保育所などの許認可が取り消された場合には、業績等に影響を与える可能性があります。
・外国人受け入れにかかる法的規制
当社グループが展開する日本語教育事業、海外の語学関連事業において、入国管理局及び国の外国人受け入れに関連する法的規制の制定・改定が行われた場合、計画どおりの留学生の受け入れができず、当社グループの語学教育活動が制約を受ける可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症のように想定外の事態が顕在化した場合においても、入国制限及び行動制限措置等により、計画どおりの留学生の受け入れができなくなった場合には、業績等に影響を与える可能性があります。
・介護事業にかかる法的規制
介護サービス事業は介護保険法の影響を強く受けており法律の制定・改定が行われた場合、当社グループの事業活動が制約を受ける可能性があります。当社グループでは、介護サービスを提供する関連会社において、マニュアルの整備や研修を充実させ、適切な事業経営に努めております。しかしながら、何らかの理由により指定の取消又は停止処分を受けた場合には、業績等に影響を与える可能性があります。
・人材の不足
当社グループでは人材が重要な経営資源であり、サービス提供を行う従業員の確保と育成は提供価値の質に関わるものであり、企業規模の拡大成長には不可欠で重要な要素となっております。また、保育事業における保育士、介護事業における介護支援専門員(ケアマネジャー)・介護福祉士等、有資格者によるサービスが法的に義務付けられている事業もあります。当社グループでは、要員計画に基づいた採用活動で人材要件に沿った人材確保をするとともに、育成についても、職種別・階層別等のさまざまな研修の充実を行い、独自のリーダー育成制度等により人材育成に努めております。しかしながら、今後、採用環境の急激な変化により人材の確保や育成が計画どおりに行えない場合には、出店計画の遂行やサービスの提供に支障をきたし、業績等に影響を与える可能性があります。
・システムトラブル
当社グループでは、コンピュータネットワークシステム上で基幹システムを構築しており、顧客情報の管理、請求管理等を行っております。また、インターネット上で提供しているオンラインサービスも実施しています。災害や事故の発生に備えてシステム会社とのメンテナンス契約、バックアップ体制を整えております。しかしながら、予期せぬ規模の災害等によりシステムトラブルが発生した場合には、顧客へのデータ提供等に支障をきたし、業績等に影響を与える可能性があります。
・集客時期の偏り
当社グループの学習塾事業、語学関連事業では、入学や卒業等により生徒数が大きく変動し、学校の新学期である春期が最も少なく、その後増加していく傾向にあります。新学期開始時期と、その他の季節講習の時期は、新規顧客の集客時期となります。集客時期に想定外の事態が発生し、集客が進まなかった場合、通期の業績等に影響を与える可能性があります。
・出店計画の変更
拠点の開設に当たっては、中長期の出店計画とマーケティングデータをもとに、顧客の安全性の確保等を重視して物件選定を行っております。競合環境の大きな変化や物件確保が計画どおりに進まない場合、出店計画が変更になり、業績等に影響を与える可能性があります。
・のれんの減損や子会社株式の評価減
当社グループでは、成長戦略の一環として積極的なM&Aを行っており、のれんや子会社株式を保有しております。買収した子会社の業績不振により、のれんの減損や子会社株式の評価減を行った場合、業績等に影響を与える可能性があります。
・固定資産の減損
当社グループでは、事業所の新設等に伴い設備投資を行っており、設備等の有形固定資産を有しております。当該資産への投資が将来的に回収できるかどうかを定期的に検討し、将来的に投資金額を回収できないと判断する場合、減損を認識することとなります。このような場合、業績等に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、インバウンド需要の回復や雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調を維持しました。一方で、物価高による個人消費の低迷や長期化する国際情勢の不安定さから、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く事業領域においても、急速に進む少子高齢化や労働人口の減少といった経営環境に直面する中、社会環境の変化に応じたサービスの変革が求められています。
学習塾業界では、少子化の進行に伴う市場縮小が進む一方、大学入試改革や公立高校入試制度の変革、私立高校の無償化といった政策変更が市場に影響を及ぼしています。特に、大学入試では推薦入試や年内入試が全国的に広がったことで一人当たりの受験校数が減少し、当社グループにおいても受験制度の動向に応じた柔軟な対応が求められています。
語学関連事業では、小学校での英語教育必修化に伴う短期的な子ども向けの英会話ブームは収束しつつありますが、英語学習へのニーズは世代を問わず依然として高い水準にあります。また、日本語教育市場では日本語教師が国家資格化されたことにより注目度が増しましたが、需要の増加に伴い、教師不足が目立つ状況となっております。このほか、国内の労働力不足を背景に、優秀な外国人材を活用した人材紹介サービスへの需要が増加しております。
保育・介護事業では、依然として人材確保が重要な課題となっています。保育事業では、都市部での待機児童問題が徐々に改善されつつあり、これまで以上に質の高いサービス提供を実現する保育園が求められる時代へ移行しています。一方、介護事業では高齢化が進行する中、高齢者向けの多様なサービスが拡大しており、健康な高齢者を中心に介護予防へのニーズも高まりを見せています。
このような経営環境のもと、当社グループでは2020年に掲げたグループビジョン「ステキな大人が増える未来をつくる」の実現を目指し、「学び」を土台として人の一生に寄り添い、人々の人生の質の向上に取り組んでおります。2025年、創業50周年を機に、グループの一体感の醸成を進めています。グループが一体となることでシナジーを生み、新たな社会価値の創出と経済価値の向上を目指してまいります。
当連結会計年度は、保育・介護事業の売上の増加により、創業以来最高売上高を9期連続で更新しました。しかしながら、賃上げ・処遇改善に伴う人件費の増加、新規出店・設備改修に伴う費用の増加により、当連結会計年度の営業利益は前年を下回る結果となりました。また、業績不振となった拠点における固定資産、及び閉鎖・移転等が決定した拠点に関する固定資産に対する減損損失として131百万円を計上しました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は26,455百万円(前年比1.4%増)となり、前年に比べ356百万円増加しました。営業利益は508百万円(前年比41.8%減)となり、前年に比べ364百万円減少しました。経常利益は343百万円(前年比59.3%減)となり、前年に比べ500百万円減少しました。親会社株主に帰属する当期純利益は93百万円(前年比81.6%減)となり、前年に比べ411百万円減少しました。期中平均の顧客数(フランチャイズ事業部における末端生徒数含む。)は、35,875名(前年同期比2.3%減)となりました。
セグメント別の概況は、以下のとおりです。
<学習塾事業>
学習塾事業においては、市場の人口動態に合わせて出店戦略を見直し、関東エリアへの新規出店、新しいサービス業態の展開、校舎の大規模化といった取り組みを進めております。当連結会計年度は、集合塾部門の一部校舎において既存の小規模校を統合し大規模校を新規開校することで収益性向上に成果が見られましたが、全体としては入会数が前年に及ばなかったことから、期中平均生徒数は前年同期比97.0%となりました。
この結果、当連結会計年度のセグメントの経営成績は、売上高9,835百万円(前年比2.0%減)、セグメント利益は1,166百万円(同17.1%減)となりました。
<語学関連事業>
国内の英会話事業においては、新規の入会数が前年に及ばず、また、海外の英会話事業においても、オーストラリア政府の学生ビザ厳格化の影響を受け、英会話事業全体の期中平均生徒数は前年同期比96.2%となりました。一方で、日本語教育事業においては、新規の学生の募集が好調に進み、期中平均生徒数は前年同期比105.4%となり、売上・利益ともに前年同期を上回りました。また、国際人材交流事業においては、インドの政府関連機関との業務提携や、当社のネパール支社の設立が決定するなど、外国人材の紹介事業に関して大きく進展しました。
この結果、当連結会計年度のセグメントの経営成績は、売上高4,342百万円(前年比0.8%減)、セグメント利益は76百万円(同22.2%減)となりました。
<保育・介護事業>
保育事業においては、政府の人事院勧告に伴う公定価格の上昇により自治体からの運営委託収入が増加し、売上・利益ともに前年を上回りました。介護事業においては、サービス利用率の向上に努め、高齢者施設の入居率は高い状態を維持しており、期中平均顧客数は前年同期比100.5%と増加し、売上・利益ともに前年を上回りました。フードサービス事業では、コメ価格高騰の影響を受けながらも、新規顧客獲得に向けた販路拡大の営業活動とメニュー構成を見直す等、収益率向上に取り組みました。
この結果、当連結会計年度のセグメントの経営成績は、売上高12,277百万円(前年比5.1%増)、セグメント利益は846百万円(同1.4%増)となりました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は22,028百万円となり、前連結会計年度末に比べ291百万円増加しました。流動資産は7,235百万円となり同466百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金の増加475百万円、その他の流動資産の減少59百万円、売掛金の増加44百万円等です。固定資産は14,792百万円となり、同174百万円減少しました。そのうち、有形固定資産は10,623百万円(同140百万円減少)となりました。主な要因は、建物及び構築物の減少440百万円、リース資産の増加255百万円等です。無形固定資産は857百万円(同154百万円減少)となりました。主な要因は、のれんの減少131百万円等です。投資その他の資産は3,311百万円(同120百万円増加)となりました。主な要因は、繰延税金資産の増加93百万円、投資有価証券の増加35百万円等です。
当連結会計年度末の負債合計は18,128百万円となり、前連結会計年度末に比べ277百万円増加しました。そのうち、流動負債は9,678百万円となり、同691百万円増加しました。主な要因は、未払金の増加417百万円、短期借入金の増加100百万円、その他の流動負債の増加207百万円等です。固定負債は8,450百万円となり、同413百万円減少しました。主な要因は、長期借入金の減少313百万円、リース債務の増加268百万円、繰延税金負債の減少160百万円、役員退職慰労引当金の減少159百万円等です。
当連結会計年度末の純資産合計は3,899百万円となり、前連結会計年度末に比べ13百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金の減少58百万円、退職給付に係る調整累計額の増加42百万円、為替換算調整勘定の増加36百万円等です。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末17.9%から0.2ポイント下降し、17.7%になりました。
当連結会計年度の現金及び現金同等物は、以下に記載のキャッシュ・フローにより5,121百万円となり、前連結会計年度末に比べ493百万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費902百万円、法人税等の支払額431百万円、未払金の増加415百万円等が発生しました。この結果、営業活動によるキャッシュ・フローは、1,484百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出313百万円、無形固定資産の取得による支出145百万円、連結の範囲変更を伴う子会社株式の売却による収入100百万円等が発生しました。この結果、投資活動によるキャッシュ・フローは、421百万円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出1,575百万円、長期借入れによる収入1,200百万円、配当金の支払額150百万円等が発生しました。この結果、財務活動によるキャッシュ・フローは、567百万円の支出となりました。
当社グループは、サービスの提供を主たる業務としておりますので、生産及び受注の実績については、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.顧客数は、期中平均の在籍人数を記載しております。
3.販売の数量につきましては、表示すべき適当な指標はありませんので、記載を省略しております。
4.学習塾事業の顧客数には、京進の個別指導「スクール・ワン」のフランチャイズ教室の末端生徒数を含めて記載しております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を目指し、その財源として安定的な営業活動によるキャッシュ・フローの創出を最優先事項と考えています。事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金は主に手元の自己資金及び借入金により充当しています。
また、当社グループは、将来の営業活動及び債務の返済等の資金需要に備え、十分な資金を確保するために、資金調達及び流動性の確保に努めています。必要な資金は、主に営業活動によるキャッシュ・フローの他、金融機関からの借入金によって調達しており、資金の流動性については、主に営業活動により得られた資金を新規出店に係る設備投資に充当することで確保しています。
なお、今後の不測の事態に備えて金融機関からは十分な融資枠を確保しています。中長期的に将来の成長が見込める分野についてはM&Aや事業基盤強化のための投資等を今後も積極的に推進していきたいと考えています。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積り、判断及び仮定を必要としています。これらの見積りについて過去の実績や合理的と判断される入手可能な情報等を勘案し、合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度において、重要な契約等の決定又は締結等はありません。
該当事項はありません。