膨らみ続ける国民医療費を抑制すべく受託臨床検査業界におきましても、様々な医療制度改革が実施されております。当事業年度は2年毎に実施されている診療報酬改定年度に当たり、診療報酬本体に係る保険点数は、引き上げが行われたものの検体検査につきましては引き下げとなりました。また、激しい業者間競争が続いていることから事業環境は引き続き厳しい状況にあります。
当社としましては、第7次中期経営計画(2018年度~2020年度)の初年度にあたり、第6次中期経営計画よりグループビジョンとしております『医療界に信頼され選ばれる企業をめざす』を継続し、引き続き品質・サービス向上に取り組んでおります。
こうした中で、当第3四半期連結累計期間の業績は、売上高89,115百万円(前年同期比2.8%増)、営業利益8,776百万円(前年同期比9.8%増)、経常利益9,090百万円(前年同期比9.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益5,637百万円(前年同期比9.9%増)となりました。
以下に事業別の概況をご報告いたします。
臨床検査事業につきましては、自然災害や営業日数が少なかったこと等の影響もありましたが、新規獲得の強化を図るとともに、既存ユーザーへの重点検査項目拡販などの深耕営業を実施し、業績の拡大を図りました。この結果、臨床検査事業の売上高は、前年同期比2.6%の増収となりました。
食品検査事業につきましては、㈱BMLフード・サイエンスで、腸内細菌検査、商品品質コンサルティング並びに食品コンサルティングが堅調に推移していることから、売上高は前年同期比4.6%の増収となりました。
以上の結果、検査事業の売上高は84,660百万円と前年同期比2.7%の増収となりました。
医療情報システム事業につきましては、診療所版電子カルテ「クオリス(Qualis)」と「メディカルステーション(MS)」のリプレイスが順調だったことや、設置台数の増加に伴い保守売上が堅調に推移していることから、売上高は前年同期比10.9%の増収となりました。
その他事業につきましては、㈱岡山医学検査センターの調剤薬局事業の売上が、薬価(公定価格)の引き下げの影響で減少し、その他事業全体の売上高は前年同期比11.1%の減収となりました。
なお利益面につきましては、増収の効果もあり増益となりました。
当第3四半期連結会計期間期末の連結財政状態は、総資産113,711百万円(前期末比4,273百万円増)、純資産80,296百万円(前期末比4,073百万円増)、自己資本比率67.2%(前期末比0.9%増)となっています。
主な増減項目は、資産の部では、流動資産で現金及び預金が3,366百万円、受取手形及び売掛金が1,085百万円、それぞれ増加しています。負債の部では、支払手形及び買掛金が1,466百万円増加し、賞与引当金が1,136百万円減少しています。純資産の部では利益剰余金が4,082百万円増加しています。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は206百万円であります。
当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の重要な変更は、次のとおりです。
当期の研究開発活動の成果として、大きく3つのテーマで進展がありました。
1つめは、急性骨髄性白血病(Acute Myeloid Leukemia:以下、AMLと表記)治療に関するNPM1遺伝子変異解析およびKIT遺伝子変異解析です。
AMLは様々な因子により、予後良好群・中間群・予後不良群に層別化され、染色体核型だけでなく種々の遺伝子変異も予後因子として重要であることが示唆されています。染色体核型が予後良好群・中間群に分類されていたとしても、遺伝子変異を伴った症例では予後予測が変わってくる可能性があることから、遺伝子変異を加えたAMLの予後層別化が重要となりつつあります。今般の新規2項目の検査受託により、AML治療に一定の効果が出ることが期待されます。
2つめは、若年発症型両側性感音難聴の遺伝子解析です。
この症状の原因遺伝子としてACTG1遺伝子、CDH23遺伝子、COCH遺伝子、KCNQ4遺伝子、TECTA遺伝子、TMPRSS3遺伝子、WFS1遺伝子が知られており、これらの遺伝子の一部の変異は、既に先天性難聴の遺伝子検査の解析対象となっていますが、鑑別診断のためには全ての遺伝子変異を網羅的に解析する必要があります。信州大学医学部耳鼻咽喉科学教室の宇佐美真一教授との連携により保険診療の体制作りを進めてきた結果、2018年度の診療報酬改定により、指定難病の遺伝学的検査として保険適用が可能となりました。本検査の商業受託化は国内初の成果であり、難聴患者の遺伝子診断率の向上と正確な診断に基づく個別化医療に貢献できるものと期待しております。
3つめは、抗PD-1抗体医薬ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)による治療の適応判断を目的とした、マイクロサテライト不安定性(MSI)の検査です。
マイクロサテライトと呼ばれる1~数塩基の反復配列は、DNA複製時に反復数の増減が発生しやすく、ミスマッチ修復機構の欠損(dMMR)を有する腫瘍細胞では正常細胞に比べて反復数の違い(不安定性)がより明確に表れます。高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)は、大腸・胃・膵臓などの消化器系の癌や子宮内膜癌でよく認められ、乳癌・前立腺癌・膀胱癌・甲状腺癌などでも認められることがあります。ペムブロリズマブは、MSI-HまたはdMMRの癌種によらない進行固形癌を対象とした臨床試験において、組織型によらず持続的な効果が報告されており、本検査でその薬剤の適応を判定することができます。