当社は設立以来、迅速で精度の高い検査を提供してまいりました。またその検査領域は、一般検査から特殊検査まで4,000項目に及んでおります。これは、「豊かな健康文化を創造する」との基本方針のもと、市場ニーズのキャッチ、先端技術の導入そして精度管理を積極的に推進してきた結果であります。
当社グループは今後も、臨床検査事業をメインに、この分野における「品質と生産性向上への弛まぬ挑戦」を続けることにより、持続的成長と更なる企業価値の向上に努めてまいります。
特に昨今、医療制度改革が急速に進展する中で、「医療の効率化」や「質の向上」が強く求められており、当社を取り巻く経営環境も大きく変化しております。こうした環境の変化に柔軟かつスピード感のある対応を図るとともに、潮流を的確に捉えたシステム、サービスの提供により、医療のIT化に貢献する企業をめざしてまいります。
また、ISO9001および臨床検査室に特化したマネジメントシステムである「ISO15189」を取得し品質の向上を図ることで顧客満足度を高めてまいります。更に企業の社会的責任の観点から、ISO14001の取得をグループ全体に拡大することにより環境保全にも積極的に取り組んでまいりたいと考えます。
連結売上高経常利益率 ‥‥‥‥‥‥10%
連結株主資本利益率 ‥‥‥‥‥‥ 8%
キャッシュフローの重視
2022年度は、9ヵ年計画で進めてきました中期経営計画である第8次中期経営計画(2021年度~2023年度)の2年目となります。グループビジョンである「医療界に信頼され選ばれる企業をめざす」の飛躍期と位置づけており、第6次中期経営計画から取り組んでまいりました品質・サービスの向上をより一層推し進めてまいります。
第8次中期経営計画では3つのミッションを定めております。一つ目はCustomer Satisfaction(顧客満足度)として、品質・サービスを充実させ顧客満足を最大化させていきます。二つ目はSynergy (相乗効果)で、様々な企業と相互の発展を目指します。三つ目はSocial Responsibility(社会的責任)として、安定した検査機能を提供し社会・医療界への責任を果たすこととしております。当社グループでは第8次中期経営計画に取り組むとともに引き続き、検査品質管理(精度/工程)をさらに強化させることで、企業のプレゼンス向上を目指してまいります。
2024年8月に竣工を予定している新棟建設計画では、次世代の安定的な成長を支える基盤の構築を目指してまいります。まず、第一フェーズとしまして、浸水・震災などの自然災害に対するBCP対策の強化を図ります。また、環境負荷の低減を目的として、太陽光発電の設置や高効率熱源機器を取り入れ、温室効果ガス排出量の削減に取り組んでまいります。第二フェーズでは、検査の拡張性の確保と高効率な検査体制の確立を目指します。更なる業容拡大を目指していく中で、将来の業務量の増加に備え検査能力の拡充と、品質の向上を図りつつ高効率なローコスト体制の確立を目指してまいります。
②DXへの取り組み
DXへの対応として、DRS(Digital Reporting System)、クラウド型電子カルテ、臨床検査システムの3点に取り組んでまいります。具体的には、DRSによる集配プロセスの革新として、顧客の利便性の向上や業務負荷の低減を図ります。また、クラウド型電子カルテの普及、臨床検査システムの機能拡充により業務効率化を推進してまいります。環境変化に対応するため、デジタル技術の活用と中長期的なIT革新を可能とする体制・基盤を確立して、更なる「顧客体験価値向上」と「業務効率化」を実現してまいります。
③経営基盤の強化
経営基盤の強化への取り組みとして、取締役会の実効性向上や内部統制の強化・充実などにより、コーポレートガバナンスの強化に努めてまいります。また、人財開発・人材活用のため研修体制の充実を図るとともに、ダイバーシティの推進として、女性のキャリア形成を目的とした各種施策の実施を一層推し進めてまいります。さらに、従業員およびその家族の健康保持・増進を推進し、健康で働きやすい職場環境の構築を進めてまいります。
④新型コロナウイルスに対する取り組み
新型コロナウイルス感染症の影響から、先行きは依然として不透明な状況が続いております。当社グループにおいては、全国に配備している主要拠点ラボで新型コロナウイルス検査体制を早期に整え、地域医療体制の充実に向けたサービスの提供を実施いたしました。さらにBML総合研究所では変異株への対応として、変異スクリーニング検査やゲノム解析の受託を開始しております。引き続き新型コロナウイルスの感染防止に取り組みながら、検査事業環境の変化に対応し、日本医療の後方支援企業としての役割を果たしてまいります。
(1) 当業界に対する法的規制等に関するリスク
当社グループのメインビジネスである臨床検査事業は、「臨床検査技師等に関する法律」により、衛生検査所の開設および、その設備ならびに管理組織等において規制の対象となっております。今後この法律の変更や規制強化等が実施された場合には、その遵守のため当社グループの活動の制限やコスト増加につながる可能性があります。
(2) 保険点数の改定による価格下落リスク
当社グループのメインビジネスである臨床検査事業は、大部分の検査項目について検査項目毎に診療報酬の基礎となる保険点数が定められております。この保険点数は、「健康保険法」の規定により厚生労働省が2年毎に改定することが慣例となっております。国民医療費の抑制策として、こうした診療報酬体系の変更や医療機関に対する料率引下げが実施された場合、当社グループの受託価格への影響から、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 品質管理に伴うリスク
当社グループのメインビジネスである臨床検査事業は、精度管理が極めて重要であるため、米国CAP(米国臨床病理医薬会)の認定施設としてサーベイプログラムを運用している他、ISO15189の認証を取得して厳格な精度管理体制を敷いています。しかしながら、不測の事態により検査精度が損なわれる等の可能性があります。こうした状況で賠償請求を受ける事態が生じた場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 事業戦略上のリスク
当社グループは、医療IT化のインフラである電子カルテの開発・販売等その事業確立のための投資を行っていますが、電子カルテを取り巻く環境の変化に当社の戦略が功を奏さずその投資が期待されるリターンをもたらさなかった場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 情報漏洩リスク
当社グループは、大量の患者個人情報およびその検査データを保有しておりますが、そのセキュリティーを確保し、安心して信頼性の高い情報を利用していただくことが医療情報サービス企業としての責務と考え、情報システムセキュリティーの制度であるISO27001および個人情報の適切な取扱いを整備するプライバシーマークの認証を取得しております。しかしながら、昨今の企業情報漏洩につながるサイバー攻撃等の犯罪の増加と悪質化のため、こうした個人情報が流出するなどの不測の事態が生じた場合は、企業の信用失墜および患者個人のプライバシーが侵害され、社会的制裁を受けることによる業績の悪化と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 新型コロナウイルスに関する影響
新型コロナウイルス関連検査は検査需要が継続しており、一般診療の検査数も回復傾向にありますが、今後の新型コロナウイルス感染症の動向によっては検査数の増減が予想されるため、当社グループの事業運営、財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
以上のリスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、不確実性を含むことから予見することが困難であるため記載しておりません。なお、将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況その他経営に重要な影響を及ぼす事象について、当社グループは「リスクマネジメント基本規程」および「リスクマネジメント推進規程」を定め、その基本方針に基づき代表取締役社長を最高責任者としてリスクマネジメント推進体制を整えて様々なリスクに対して管理を行っております。
基本方針に謳うリスクマネジメントの目的は「リスクを未然に防ぐこと」ですが、万が一危機が発生した場合は、「危機管理委員会規程」に則り組織横断的な危機管理委員会を開催して事態を沈静化させ、原因調査、対策の立案と実施、再発防止策の策定と実施を行います。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展や各種政策の効果もあり、景気の持ち直しの動きがあるものの、依然として一部に弱さがみられます。また、変異株の影響により感染が再拡大し、引き続き先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況のもと受託臨床検査業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により患者数が弱含みで推移していることや業者間競争が続いており、事業環境は引き続き厳しい状況にあります。しかしながら新型コロナウイルス関連検査の需要が伸張していることで市場規模は拡大しております。
こうした中で、当連結会計年度の業績は、売上高186,067百万円(前期比34.3%増)、営業利益48,889百万円(前期比145.2%増)、経常利益51,077百万円(前期比145.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益33,741百万円(前期比146.1%増)となり売上高および利益ともに大幅に増加いたしました。
以下に事業別の概況をご報告いたします。
臨床検査事業につきましては、新規獲得を図るとともに、新規検査項目、独自検査項目、重点検査項目拡販などの深耕営業を実施し、業績の拡大を図りました。新型コロナウイルス関連検査につきましては、新規感染者数の増加に伴いPCR検査の受注が増加いたしました。さらに変異株を特定するためのスクリーニング検査やゲノム解析の受託を開始しております。なお、新型コロナウイルス関連検査に関しては、今後の感染状況を予想することは困難ではありますが様々な状況の変化に対応できるよう検査体制を整えてまいります。これらにより、臨床検査事業の売上高は、前期比36.2%の増収となりました。
食品検査事業につきましては、食品コンサルティング、ノロウイルス検査等で足元の状況に持ち直しの動きがみられたことで、売上高は前期比5.1%の増収となりましたが、今後も新たな変異株が発生した場合には店舗点検の延期や中止等が予想される等、事業環境は引き続き厳しい状況にあります。
以上の結果、検査事業の売上高は前期比35.2%の増収となりました。
医療情報システム事業の売上高につきましては、新規販売において営業活動の制限を受けているもののオンライン資格確認の受注件数が増加したことや、設置施設数の増加に伴い保守売上が堅調に推移したことにより前期比14.3%の増収となりました。なお、2022年4月に新たにクラウド型電子カルテをリリースいたしました。
その他事業の売上高につきましては、調剤薬局事業で診療報酬改定(薬価)の引き下げの影響を受けたものの、新型コロナウイルス感染拡大に伴い外来患者数が減少した前年の反動を受け前期比3.7%の増収となりました。
当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ28,506百万円増加し、88,360百万円となりました。各活動区分別のキャッシュ・フローの状況及び主な増減要因は、以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、45,603百万円の資金収入(前期比26,029百万円収入増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が29,326百万円収入増となった一方で、法人税等の支払額が6,345百万円の支出増となったことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,297百万円の資金支出(前期比2,712百万円支出増)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、9,828百万円の資金支出(前期比6,445百万円支出増)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出が4,818百万円、配当金の支払額による支出が1,627百万円、それぞれ増加したことなどによるものです。
③生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績を検査区分別に示すと、次のとおりであります。
検査の受託から報告までの所要日数が極めて短いため、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績を検査区分別に示すと、次のとおりであります。
(注) 総販売実績に対する売上の割合が10%以上の相手先はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a.売上高
売上高は前連結会計年度に比べ、47,495百万円増加(34.3%増収)の186,067百万円となりました。
以下に事業別の概況をご報告いたします。
臨床検査事業につきましては、新規獲得を図るとともに、新規検査項目、独自検査項目、重点検査項目拡販などの深耕営業を実施し、業績の拡大を図りました。新型コロナウイルス関連検査につきましては、新規感染者数の増加に伴いPCR検査の受注が増加いたしました。さらに変異株を特定するためのスクリーニング検査やゲノム解析の受託を開始しております。なお、新型コロナウイルス関連検査に関しては、今後の感染状況を予想することは困難ではありますが様々な状況の変化に対応できるよう検査体制を整えてまいります。これらにより、臨床検査事業の売上高は、前期比36.2%の増収となりました。
食品検査事業につきましては、食品コンサルティング、ノロウイルス検査等で足元の状況に持ち直しの動きがみられたことで、売上高は前期比5.1%の増収となりましたが、今後も新たな変異株が発生した場合には店舗点検の延期や中止等が予想される等、事業環境は引き続き厳しい状況にあります。
以上の結果、検査事業の売上高は前期比35.2%の増収となりました。
医療情報システム事業の売上高につきましては、新規販売において営業活動の制限を受けているもののオンライン資格確認の受注件数が増加したことや、設置施設数の増加に伴い保守売上が堅調に推移したことにより前期比14.3%の増収となりました。なお、2022年4月に新たにクラウド型電子カルテをリリースいたしました。
その他事業の売上高につきましては、調剤薬局事業で診療報酬改定(薬価)の引き下げの影響を受けたものの、新型コロナウイルス感染拡大に伴い外来患者数が減少した前年の反動を受け前期比3.7%の増収となりました。
b.売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は前連結会計年度に比べ、15,313百万円増加の99,116百万円となりました。売上原価率は前連結会計年度と比べ7.2%減少の53.3%となりました。
販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ3,229百万円増加の38,061百万円となりました。販売費及び一般管理費率は前連結会計年度と比べ4.7%減少の20.5%となりました。
c.流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は137,070百万円(前連結会計年度末98,950百万円)となり、38,120百万円増加しました。主たる原因として現金及び預金が28,647百万円、受取手形及び売掛金が5,995百万円、それぞれ増加したことなどによるものです。
d.固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は42,130百万円(前連結会計年度末40,224百万円)となり、1,906百万円増加しました。主たる原因として有形固定資産の建物及び構築物が572百万円増加したことなどによるものです。
e.負債
当連結会計年度末における負債の残高は57,516百万円(前連結会計年度末46,051百万円)となり、11,465百万円増加しました。主たる原因として、支払手形及び買掛金が1,366百万円、未払法人税等が6,844百万円、未払金が2,842百万円増加したことなどによるものです。
f.純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は121,684百万円(前連結会計年度末93,123百万円)となり、28,561百万円増加しました。主たる原因として利益剰余金が29,237百万円増加したことなどによるものです。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フロー及び資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
g.キャッシュ・フロー
当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ28,506百万円増加し、88,360百万円となりました。各活動区分別のキャッシュ・フローの状況及び主な増減要因は、以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、45,603百万円の資金収入(前期比26,029百万円収入増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が29,326百万円収入増となった一方で、法人税等の支払額が6,345百万円の支出増となったことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,297百万円の資金支出(前期比2,712百万円支出増)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、9,828百万円の資金支出(前期比6,445百万円支出増)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出が4,818百万円、配当金の支払額による支出が1,627百万円、それぞれ増加したことなどによるものです。
h.資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主たるものは、当社グループが検査を行うために使用する試薬及び容器の購入のほか、製造活動及び一般管理活動に伴う人件費ならびに経費等の営業費用によるものであります。
i.財務政策
当社グループは、現在運転資金については営業キャッシュ・フローで賄うことを目標としております。借入れによる資金調達に関しましては、運転資金について期限一年以内の短期借入金で調達することが一般的であります。生産設備などで資金に不足が生じた場合には原則として長期借入金で賄うこととしております。
当社グループは、その健全な財政状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出すことにより、借入金に関しては設備投資資金充当後の余剰資金を順次返済に充てて借入金残高を減少させることにしております。
重要性が乏しいと考えられることから、記載を省略しております。
当社グループにおきましては、検査事業において、臨床検査の検査技術に係る研究開発活動を提出会社及び一部の連結子会社において集中的に行っております。その活動内容は次のとおりであります。
当連結会計年度の研究開発活動の成果としては、NGS法によるヒトゲノム解析の領域において、家族性高コレステロール血症の遺伝子変異解析が遺伝学的検査の保険適用項目の一つとして、2022年4月の診療報酬改定において5,000点の保険算定が可能となりました。
また、この領域では遺伝性結合組織疾患(HCTD)の網羅的遺伝子変異検出パネル(保険適用可能な7疾患を含む計22疾患、52遺伝子をNGSで解析)を前年より信州大学医学部遺伝子医療研究センターと共同開発を進めた結果、2022年3月にBML総合研究所での受託解析体制を整えることができました。新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)PCR検査においては、感染拡大に備えてBML総合研究所だけで1日に約30,000件の検査能力を維持しつつ、新たな変異株の出現と拡大の監視を目的として、NGS法によるウイルスのフルゲノムシークエンス解析ラインを強化しております。
当連結会計年度の研究開発費の総額は