当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等については、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社は設立以来、迅速で精度の高い検査を提供してまいりました。またその検査領域は、一般検査から特殊検査まで4,000項目以上に及んでおります。これは、「豊かな健康文化を創造する」との基本方針のもと、市場ニーズのキャッチ、先端技術の導入そして精度管理を積極的に推進してきた結果であります。
当社グループは今後も、臨床検査事業をメインに、この分野における「品質と生産性向上への弛まぬ挑戦」を続けることにより、持続的成長と更なる企業価値の向上に努めてまいります。
特に昨今、医療制度改革が急速に進展する中で、「医療の効率化」や「質の向上」が強く求められており、当社を取り巻く経営環境も大きく変化しております。こうした環境の変化に柔軟かつスピード感のある対応を図るとともに、潮流を的確に捉えたシステム、サービスの提供により、医療のIT化に貢献する企業をめざしてまいります。
また、ISO9001および臨床検査室に特化したマネジメントシステムである「ISO15189」を取得し品質の向上を図ることで顧客満足度を高めてまいります。更に企業の社会的責任の観点から、ISO14001の取得をグループ全体に拡大することにより環境保全にも積極的に取り組んでまいりたいと考えます。
連結売上高営業利益率 ‥‥‥‥‥‥ 8.5%以上
連結自己資本利益率 ‥‥‥‥‥‥ 8.0%以上
2024年度から第9次中期経営計画(2024~2028年度)がスタートしました。この第9次中期経営計画では、グループビジョンの実現に向けて「さらなる品質」、「ソリューション」および「相互の発展」の追求をキーコンセプトとし、「10年先を見据えた事業拡大を確固たるものにする」ことを目標に、事業の成長を維持しつつ集中投資による事業基盤の大幅な拡充も同時並行で進めてまいります。
具体的には、「次世代ラボ構築」を核として「売上・シェア拡大」「収益性向上」「事業ポートフォリオ最適化」「サービスレベル強化」「標準化推進」「高機能検査開発」の6つの基本戦略フレームワークに基づき計画を推進します。
「次世代ラボ構築」においては、2024年5月にBMLフード・サイエンス新検査棟、2025年1月にBML総合研究所新棟とピーシーエルジャパン新東京ラボが稼働しました。これにより今後10年先まで持続可能な検査能力の拡大を実現します。
「売上・シェア拡大」においては、営業リソースをマーケットに応じ適正に配備するとともに本部ソリューション機能を強化し、お客様の課題解決に取り組むことで取引の拡大を推進します。また、新たな検査項目・機能を拡充することでお客様のニーズに対応する体制を整備します。
「収益性向上」においては、当社の品質・サービスレベルの認知度を上げ、その価値に応じた価格設定を行い収益の改善を進めます。また、検体の集荷と結果報告・請求業務のプロセスを抜本的に見直すことで、業務コストの削減を推進します。さらに、次世代ラボの完成に伴い検査工程の効率化を進め、検査コストについても削減します。
「事業ポートフォリオ最適化」においては、臨床検査事業・食品衛生事業・医療情報システム事業のそれぞれの売上拡大を図りつつ、特に臨床検査事業についてコスト削減を進め大幅な収益改善を行うことで、バランスのよいポートフォリオ別収益の向上を目指します。
「サービスレベル強化」においては、結果報告にスピードが求められる細菌検査・病理細胞診検査の地方分散を進めサービス向上を図ります。また、検査・電子カルテの各コールセンター機能を増強しお客様の相談や要望への対応レベルを向上させます。さらに、電子カルテを利用されるお客様への保守・メンテナンス対応を行う人員を増員し、サポート体制を強化します。
「標準化推進」においては、全国の自社ラボを規模別に分類し、ラボの規模に合わせた標準機器の選定・配備を進めるとともに統一された標準作業手順書を整備します。これにより検査業務の標準化を進め品質の向上を図ります。
「高機能検査開発」においては、先進的ゲノム解析デバイスの導入やバイオ企業・大学および研究機関との連携を強化することで、各種ゲノム検査等の高機能検査開発を進めます。
また、当社では第8次中期経営計画から「顧客体験価値の向上」×「業務効率化」をDXとして定義づけてDXソリューションに取り組んでいます。すでにDigital Reporting System(DRS)、電子カルテ等で診療をサポートする機能を提供していますが、今後も顧客の業務効率向上に資する機能の強化を図るとともに、新たなIT製品ラインアップも充実させてまいります。このため10年間にわたり約100億円のDX推進投資を計画しています。また、デジタル人財育成においては従業員の各種資格取得を進めていますが、今後資格取得支援を充実させるとともに高度DX人財を採用・育成してまいります。
さらに、第9次中期経営計画ではESGへの取り組みを強化してまいります。
「E:環境」においては、気候変動への対応を優先度の高い課題として認識し、IEA(国際エネルギー機関)が公表している気候変動シナリオを参照のうえ、2050年時点における気候変動の影響を分析しています。なお、地球温暖化の急速な進行に対して抜本的なシステム移行を含めた厳しい対策が必要であるとの認識に基づき、1.5~2℃/4℃シナリオを選択しています。これに基づきCO2排出削減をはじめ環境に関するKPIを設定し、その計画に基づいて活動を進めてまいります。
「S:社会」においては、人財開発・活用のため研修体制の充実を図るとともに、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進として、女性職員のキャリア形成を目的とした各種施策を実施してまいります。さらに、従業員とその家族の健康保持・増進を目的とした健康で働きやすい職場環境の構築にも取り組んでまいります。これらにつきましても、それぞれの項目にKPIを設定し、その計画に基づいて活動を進めてまいります。
「G:ガバナンス」においては、コーポレートガバナンス・コードや議決権行使助言方針を念頭に、取締役のダイバーシティ、監督・執行体制強化や内部統制レベルの強化を進めます。その一環として、当社は「監査等委員会設置会社」に移行する計画です。これにより取締役の監督機能を強化し、監視体制を確立することで一層のコーポレートガバナンスの充実を図ります。また、投資家説明会やIR活動をより積極的に行い投資家とのコミュニケーションを強化し相互理解を深めてまいります。
資本コストや株価を意識した経営の推進については、自社の資本コストと事業別の収益性を正しく認識しROEの改善を進めてまいります。具体的には、手元資金を次世代ラボ構築やDX等の成長投資に振り向け、その成果として収益向上を確実なものとします。一方、株主還元については従来の安定配当を継続しつつ還元性向をより充実させることで、投資と還元の適正化に取り組みます。これにより、資本コストを大きく上回るROE8.0%以上を達成します。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、実際の結果とは様々な要因により異なる可能性があります。
(1)ガバナンス
BMLグループでは、代表取締役副社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置し、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを行っています。サステナビリティ委員会は、当社グループ全体のサステナビリティの推進を目的としており、サステナビリティに関する方向性や計画等を討議・決定する機関です。委員会を四半期に1回開催して定期的に方向性の討議や活動の評価等を議論し、取締役会へ報告しています。また、必要に応じて、体制整備や推進計画の更新を行います。委員会メンバーは関係する本部の役員、部長で構成しています。
<サステナビリティ推進体制図>

BMLグループでは2022年、社会とともに持続可能な成長を遂げるため、6分野13個の重要課題(マテリアリティ)を特定いたしました。各マテリアリティテーマは目標を設定し、進捗状況の確認を行っています。事業を通じてこれら社会課題の解決に取り組むことで、企業価値の向上と持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
<マテリアリティ>

サステナビリティ委員会では、気候変動への対応を優先度の高い課題として認識し、気候変動のシナリオ分析(リスク・機会)を実施しています。なお、シナリオ分析に際しては、地球温暖化の急速な進行に対して、抜本的なシステム移行を含めた厳しい対策が必要であるとの認識より、1.5~2℃/4℃シナリオを選択しています。各部門との議論を通じてリスクの洗い出しを実施し、リスクのうち財務的影響と発生可能性から特に経営に大きな影響を与えるものを重要リスクとして識別し、気候変動に関するリスク・機会や目標とその進捗状況について議論し取締役会へ報告しています。
<気候変動リスク・機会>


BMLグループでは、急速に進む地球温暖化と気候変動への対応として、GHG排出量(CO2)の削減を目標に掲げています。グループ全体の2024年度GHG排出量(Scope1,2,3 カテゴリ1~7)は以下の通りです。
削減目標につきましては、2030年までの中期目標を『Scope1、2の25%削減』(2021年度比)と設定し、事業規模から当グループ内でCO2をより多く排出しているBML総合研究所を中心に、電力と燃料の見直しと新たな技術の活用を積極的に行い、一つ一つのテーマに着実に取り組んでおります。
また、Scope3についても重要な指標であるとの認識より今後目標設定に向けて取り組んでまいります。

【BMLグループの2024年度GHG排出量】
単位:t-CO2
※2024年度GHG排出量実績はBSIグループジャパン株式会社による第三者検証(限定的保証)を実施し「独立保証声明書」を取得しています。
(5)人的資本に関する「戦略」および「指標・目標」
①戦略
当社は、「働きやすく・働きがいのある職場の実現」と「活気あふれる人財と組織の実現」に向けて、人財への投資と組織風土の改革および職場環境の整備に取り組んでいます。

a.人財投資および風土改革
経営戦略の実現に向け、当社の成長を支える戦略分野に必要な人財像を具体的に定義し、その人財が活躍するフィールドに相応しい人事制度を導入(2023年4月)したうえで、社外から積極的な採用を行っています。
また、組織の持続的な成長を実現するため、全従業員に対してアップスキリングやリスキリングを推奨し自律的な成長を促すとともに、職位に応じた役割責任を理解させることで、組織力の底上げに取り組んでいます。具体的には、アップスキリングやリスキリングに関しては、①学ぶ意欲を有する従業員に外部学習コンテンツ費用の70%補助、②月4回のe-Learning研修の実施、③取得奨励資格の拡充、④ITリテラシー向上を目的とした全社的な関連資格の取得奨励等を行っています。また、役割責任の理解に関しては、⑤人事制度における役割等級毎の責任を明確に定義し直し、社内教育やOJTを通じて全従業員に浸透させるとともに、⑥人事考課と直結させることで自責の文化を醸成し、役割認識を高め、組織力向上につなげています。
b.環境整備
多様な人財が活躍できるよう、働きやすい職場環境の整備に積極的に取り組み、誰もが公正かつ公平に働くことができる職場づくりに努めています。具体的には、①ワークライフバランス活動による時間外労働の削減、②時間単位有給休暇制度や積立有給休暇制度等様々な休暇制度を充実させています(図1)。特に、女性従業員に対しては、③キャリアデザイン研修や④管理職登用のための選抜研修の機会を用意し、キャリアアップの意識付けを行っています。そのうえで、⑤各本部の責任者と人事部によりサクセッションプランを策定し、計画的な人財育成を通じて女性人財の登用を進めています(図2)。2024年度からは、「ワークインライフにおけるキャリアをポジティブに描き、周囲の仲間(組織)に良い影響を与える人財を、ともに目指す」取組みとして、"BML Women's Workshop"をスタートし、毎月活動を行っています。
また、従業員が健康で「いきいき」と働けるようにするため、健康意識の増進に向けた施策を展開しています。具体的には、①健康アプリの導入、②睡眠に関する認識を深める定期通信の配信、③女性特有疾病研修や④ビジネスケアラー研修の実施、⑤労働安全体制の強化等に取り組んでいます。
労働時間の削減や年次有給休暇および男性育児休業の取得率の向上を図り(図3)、働き甲斐とともに働きやすさを追求していくことで、従業員のエンゲージメントを高め、「活気ある人財と組織」を実現してまいります。
(図1) (図2) (図3)

②指標・目標
人的資本に関する主な指標と目標は以下のとおりです。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 当業界に対する法的規制等に関するリスク
当社グループのメインビジネスである臨床検査事業は、「臨床検査技師等に関する法律」により、衛生検査所の開設およびその設備、並びに管理組織等において規制の対象となっており、同法律を始め、関連する法改正時にはその対応が求められています。今後、関連する法律の改正や規制強化等が実施された場合には、その遵守のため当社グループの活動の制限やコスト増加につながる可能性があります。
(2) 保険点数の改定による価格下落リスク
当社グループのメインビジネスである臨床検査事業は、大部分の検査項目について検査項目毎に診療報酬の基礎となる保険点数が定められています。この保険点数は、「健康保険法」の規定により厚生労働省が2年毎に改定することが慣例となっています。国民医療費の抑制策として、こうした診療報酬体系の変更や医療機関に対する料率引下げが実施された場合、当社グループの受託価格への影響から、業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 品質管理に伴うリスク
当社グループのメインビジネスである臨床検査事業は精度管理が極めて重要であるため、米国CAP(米国臨床病理医薬会)の認定施設としてサーベイプログラムを運用している他、ISO15189の認証を取得して厳格な精度管理体制を敷いています。しかしながら、不測の事態により検査精度が損なわれる等の可能性があります。こうした状況で賠償請求を受ける事態が生じた場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 事業戦略上のリスク
当社グループは、医療IT化のインフラである電子カルテの開発・販売等その事業確立のための投資を行っていますが、電子カルテを取り巻く環境の変化に当社の戦略が対応できずその投資が期待されるリターンをもたらさなかった場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 情報セキュリティリスク
当社グループは、大量の患者個人情報およびその検査データを保有していますが、そのセキュリティーを確保し、安心して信頼性の高い情報を利用していただくことが医療情報サービス企業としての責務と考え、情報システムセキュリティーの制度であるISO27001および個人情報の適切な取扱いを整備するプライバシーマークの認証を取得しています。しかしながら、こうした個人情報が流出するなどの不測の事態が生じた場合は、企業の信用失墜および患者個人のプライバシーが侵害され、社会的制裁を受けることによる業績の悪化と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 自然災害および気候変動等に起因するリスク
当社グループのラボが地震、風水害、津波、大雪等の自然災害により検査ができなくなる可能性があります。このような場合に備え、当社では基幹ラボである埼玉県川越市の総合研究所(以下総研)の水害、地震対策を進め、強靭化対策を図ると共に、各メインラボと総研が連携し、災害が発生しても総研で検査を継続実施できる体制を構築中です。
(7) 検査コストの上昇リスク
当社グループのメインビジネスである臨床検査事業で使用する検査機器、検査試薬および容器等の調達において、仕入先からの価格の値上げによる検査コストの上昇を適正な受託価格に十分に転嫁できない結果、当社グループの収益性に影響を及ぼす可能性があります。
以上のリスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に連結会社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、不確実性を含むことから予見することが困難であるため記載しておりません。なお、将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象または状況、その他経営に重要な影響を及ぼす事象について、「リスクマネジメント基本規程」および「リスクマネジメント推進規程」を定め、その基本方針に基づき代表取締役社長を最高責任者としてリスクマネジメント推進体制を整え管理を行っております。
基本方針に謳うリスクマネジメントの目的は「リスクを未然に防ぐこと」ですが、万が一危機が発生した場合は、「危機管理委員会規程」に則り組織横断的な危機管理委員会を開催して事態を沈静化させ、原因調査、対策の立案と実施、再発防止策の策定と実施を行います。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境が改善する下で各種政策の効果もあって緩やかな回復傾向が続きました。しかしながらロシア・ウクライナ、中東情勢等の地政学的リスクやアメリカの政策動向に起因した不安定な国際情勢があり、原材料価格やエネルギーコストの高止まりが懸念される等、引き続き不透明な状況が続くものと予想されます。
このような経済環境のもと受託臨床検査業界におきましては、2年毎に実施されている診療報酬改定の年度にあたり、診療報酬(検体検査)の引き下げに加えて、人件費をはじめ各種コストの上昇や業者間競争が続いていることから事業環境は引き続き厳しい状況にあります。
こうした中で、当連結会計年度の業績は、売上高143,191百万円(前期比3.8%増)、営業利益9,364百万円(前期比2.1%増)、経常利益9,970百万円(前期比3.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益6,263百万円(前期比3.8%増)となりました。売上高につきましては、新型コロナウイルス関連検査の受託数は減少しましたが、新型コロナウイルス関連検査以外の受託数が堅調に推移したことにより増収となりました。また、利益につきましては、新棟の稼働(2025年1月)に伴い引っ越し費用や減価償却費が増加したものの、増収に加えて収益性向上に関する各種取り組みの効果もあり増益となりました。
以下に事業別の概況をご報告いたします。
臨床検査事業につきましては、新規獲得の強化を図るとともに、既存ユーザーに対する新規検査項目・重点検査項目拡販等の深耕営業や販売価格の適正化に取り組み業績の拡大を図りました。この結果、臨床検査事業の売上高は前期比3.5%の増収となりました。
食品衛生事業につきましては、食品コンサルティングで店舗点検の受注が増加したことや、腸内細菌検査・微生物検査等の受託数が堅調に推移したことで、売上高は前期比5.5%の増収となりました。
以上の結果、検査事業の売上高は前期比3.6%の増収となりました。
医療情報システム事業につきましては、リプレイス需要に確実に対応できたことにより、前期比12.4%の増収となりました。
その他事業につきましては、治験実施医療機関支援(SMO)業務で大型案件への対応が終了したことに加えて、調剤薬局事業で診療報酬(薬価)引き下げの影響で売上高が減少しました。これらにより、前期比7.6%の減収となりました。
当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ6,410百万円減少し、63,928百万円となりました。各活動区分別のキャッシュ・フローの状況及び主な増減要因は、以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、15,809百万円の資金収入(前期比1,362百万円収入増)となりました。これは主に、減価償却費で1,015百万円の収入増となったこと、売上債権の増減額で1,862百万円の支出(前年同期は1,773百万円の収入)となったこと、仕入債務の増減額で982百万円の収入(前年同期は1,362百万円の支出)となったこと、法人税等の支払額で1,271百万円の支出減となったことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、16,793百万円の資金支出(前期比4,344百万円支出減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が3,866百万円減少したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,426百万円の資金支出(前期比307百万円支出減)となりました。これは主に、配当金の支払額が390百万円の支出減となったことなどによるものです。
③生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績を検査区分別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価額にて算出しており、消費税等は含まれておりません。
検査の受託から報告までの所要日数が極めて短いため、常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績を検査区分別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額には、消費税等は含まれておりません。
2.総販売実績に対する売上の割合が10%以上の相手先はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
a.売上高
売上高は前連結会計年度に比べ、5,226百万円増加(3.8%増)の143,191百万円となりました。
以下に事業別の概況をご報告いたします。
臨床検査事業につきましては、新規獲得の強化を図るとともに、既存ユーザーに対する新規検査項目・重点検査項目拡販等の深耕営業や販売価格の適正化に取り組み業績の拡大を図りました。この結果、臨床検査事業の売上高は前期比3.5%の増収となりました。
食品衛生事業につきましては、食品コンサルティングで店舗点検の受注が増加したことや、腸内細菌検査・微生物検査等の受託数が堅調に推移したことで、売上高は前期比5.5%の増収となりました。
以上の結果、検査事業の売上高は前期比3.6%の増収となりました。
医療情報システム事業につきましては、リプレイス需要に確実に対応できたことにより、前期比12.4%の増収となりました。
その他事業につきましては、治験実施医療機関支援(SMO)業務で大型案件への対応が終了したことに加えて、調剤薬局事業で診療報酬(薬価)引き下げの影響で売上高が減少しました。これらにより、前期比7.6%の減収となりました。
b.売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は前連結会計年度に比べ、4,993百万円増加の97,329百万円となりました。売上原価率は前連結会計年度と比べ1.1%増加の68.0%となりました。
販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ36百万円増加の36,497百万円となりました。販売費及び一般管理費率は前連結会計年度と比べ1.0%減少の25.5%となりました。
c.流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は102,259百万円(前連結会計年度末107,977百万円)となり、5,717百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が6,552百万円減少したことなどによるものです。
d.固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は75,247百万円(前連結会計年度末63,014百万円)となり、12,233百万円増加しました。これは主に、建物及び構築物が16,166百万円増加したことなどによるものです。
e.負債
当連結会計年度末における負債の残高は43,734百万円(前連結会計年度末40,851百万円)となり、2,882百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金が982百万円、未払法人税等が1,331百万円、それぞれ増加したことなどによるものです。
f.純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は133,772百万円(前連結会計年度末130,140百万円)となり、3,632百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が2,754百万円、退職給付に係る調整累計額が703百万円、それぞれ増加したことなどによるものです。
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フロー及び資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
g.キャッシュ・フロー
当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ6,410百万円減少し、63,928百万円となりました。各活動区分別のキャッシュ・フローの状況及び主な増減要因は、以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、15,809百万円の資金収入(前期比1,362百万円収入増)となりました。これは主に、減価償却費で1,015百万円の収入増となったこと、売上債権の増減額で1,862百万円の支出(前年同期は1,773百万円の収入)となったこと、仕入債務の増減額で982百万円の収入(前年同期は1,362百万円の支出)となったこと、法人税等の支払額で1,271百万円の支出減となったことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、16,793百万円の資金支出(前期比4,344百万円支出減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が3,866百万円減少したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,426百万円の資金支出(前期比307百万円支出減)となりました。これは主に、配当金の支払額が390百万円の支出減となったことなどによるものです。
h.資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主たるものは、当社グループが検査を行うために使用する試薬及び容器の購入の他、製造活動及び一般管理活動に伴う人件費並びに経費等の営業費用によるものであります。
i.財務政策
当社グループは、現在運転資金については営業キャッシュ・フローで賄うことを目標としております。借入れによる資金調達に関しましては、運転資金について期限一年以内の短期借入金で調達することが一般的であります。生産設備などで資金に不足が生じた場合には原則として長期借入金で賄うこととしております。
当社グループは、その健全な財政状態、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出すことにより、借入金に関しては設備投資資金充当後の余剰資金を順次返済に充てて借入金残高を減少させることにしております。
重要性が乏しいと考えられることから、記載を省略しております。
当社グループにおきましては、検査事業において、臨床検査の検査技術に係る研究開発活動を提出会社及び一部の連結子会社において集中的に行っております。その活動内容は次のとおりであります。
当連結会計年度の研究開発活動の成果として、遺伝学的検査の分野では、先天性難聴の新たな検査拡充として保険適用が可能な症候群性難聴の8疾患について2024年9月より受託を開始しました。
また、診療報酬改定により、症状の類似した複数の指定難病に対する遺伝学的検査を特別な保険点数で一度に実施できるようになりましたので、当社では成長障害・知的障害・特徴的な顔貌群や筋力低下群など6種類の疾患群について2024年秋より医療機関を限定して順次受託の案内を始めています。
悪性腫瘍の分野では、MYD88遺伝子のL265P変異およびCD79B遺伝子のY196変異を検出する検査を2024年9月より開始しました。MYD88遺伝子はワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)の診断確定に、また、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)においてもMYD88やCD79B遺伝子の変異確認は病型分類や予後予測に有用です。
さらに、骨髄増殖性腫瘍(MPN)の診断補助検査である既存の「MPN遺伝子変異解析」に、新たにCALR遺伝子の6変異とJAK2遺伝子エクソン12の8変異を加えて検出率を向上させたVer.2項目を2024年10月より開始しました。
感染症の分野では、2024年6月より、STDマルチPCR/定性検査の受託を開始しました。本検査は、非クラミジア性非淋菌性の性感染症(STD)の原因となるマイコプラズマ4種類、および性器ヘルペスウイルス感染症の原因ウイルスであるHSV-1とHSV-2の計6種類の病原体を同時に検出します。
当連結会計年度の研究開発費の総額は