当事業年度におけるわが国の経済は、政府による経済政策や日銀の金融緩和策の効果により、良好な企業業績や雇用・所得環境の改善など、景気は緩やかな回復基調が続いております。一方、消費者物価の緩やかな上昇による実質消費支出の減少、中国株式市場の急落を発端とした日本を含む海外株式市場の下落、新興国景気の減速などが引き続き景気を下押しするリスクとなっており、先行きは依然として不透明な状況にあります。
このような状況の中、新たな中期経営計画「Dynamic Challenge 2017」に掲げる、高品質・高付加価値にこだわって毎年成長するという基本成長戦略を継続しつつ、新たなステージでの飛躍を目指すとともに、長期にわたり安定的・持続的に成長することで、社会的企業価値を高めるため全社一丸となって全力で邁進いたしました。
重点実行施策の一つとして掲げる「都市部ドミナント戦略×サービスポートフォリオ拡充」については、通期6教室の新規開校計画に対し、個別指導教室として、3月に川崎西口教室(神奈川県川崎市幸区)、6月に吉祥寺本町教室(東京都武蔵野市)、津田沼南口教室(千葉県習志野市)、仙川教室(東京都調布市)、石神井公園教室(東京都練馬区)、9月に武蔵境教室(東京都武蔵野市)、10月に調布北口教室(東京都調布市)の合計7教室を新規開校いたしました。今後も、人口が集中する都市部の顧客ニーズの高い地域を中心に、マーケティング効率を上げて集中的に開校することで、地域への更なる当社ブランドの浸透を目指します。また、サービスポートフォリオ拡充の観点から、7月に個別指導教室の石神井公園教室内に、クラスベネッセ石神井公園(東京都練馬区)をサービス併設型教室として開校いたしました。一方、好調な生徒募集のために手狭となった既存教室の増床・リニューアルなどを積極的に行い、規模・設備の拡大に努めました。更には、Webマーケティングによる効率の良い広告宣伝へのシフトを進め、テレビコマーシャルを当事業年度も3~4月に実施するなど、生徒獲得活動も積極的に行って参りました。
売上高は、8教室の新規開校に加え、マーケティング戦略の成功による問合せ増加により、入会者数を大幅に伸ばすことが出来ました。その結果、月末在籍生徒数は前年を毎月上回り、授業料売上等は毎月堅調に推移し、春期・夏期・冬期の講習会も堅調に推移いたしました。また、新規事業であるBenesseサイエンス・文章表現教室、クラスベネッセ、CCDnet(ネット教室)も概ね堅調であったことから、売上高は17,094百万円(前期比8.8%増)となりました。
損益面におきましては、新規開校による規模の拡大、テレビコマーシャルの実施等による新規生徒獲得活動を積極的に行う一方で、コストの効率化・適正化を更に追求いたしました。その結果、営業利益は2,217百万円(前期比28.6%増)、経常利益は2,223百万円(前期比28.6%増)、当期純利益は1,383百万円(前期比28.6%増)となりました。
当事業年度末の事業展開は、個別指導塾事業において、首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)172教室、関西地区(兵庫県、大阪府、京都府)40教室、東海地区(愛知県)8教室、九州地区(福岡県)5教室の225教室体制、Benesseサイエンス・文章表現教室事業は、東京都4教室、神奈川県2教室(うち、2教室は個別指導教室との併設)、クラスベネッセ事業は東京都2教室(うち、1教室は個別指導教室との併設)、CCDnet事業(本社内に併設のネット教室)となっております。
昭和60年(1985年)の創業以来、『個別指導塾のパイオニア』として、高品質な教育サービスを世の中にお届けしてきた私ども東京個別指導学院は、平成27年(2015年)8月3日をもちまして創業30周年を迎えました。これまで当学院にご在籍いただいた30万人以上の生徒さま、保護者さまをはじめ、ご支援いただいたすべての皆さまに厚く御礼申し上げます。
「『やればできるという自信』『チャレンジする喜び』『夢を持つ事の大切さ』我々は、この3つの教育理念を世界に広める事業を通じ、1人ひとりの大切な人生を輝かせる事に全力を尽くす。」との社是に基づいて今後も持続的な企業価値の向上を実現して参ります。
今後とも、より一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ262百万円増加し、3,399百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの原因は次のとおりであります。
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,644百万円の収入(前事業年度は1,509百万円の収入)となりました。
これは、主に、法人税等の支払い等があったものの、税引前当期純利益による収入があったことによるものであります。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
投資活動によるキャッシュ・フローは、513百万円の支出(前事業年度は4,483百万円の支出)となりました。
これは、主に、新規開校8教室(個別指導教室7教室、クラスベネッセ1教室(個別指導教室との併設))、既存教室のリニューアル及び教室移転等に係る設備改善工事、並びに社内業務効率化のためのソフトウエア開発によるものであります。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
財務活動によるキャッシュ・フローは、868百万円の支出(前事業年度は380百万円の支出)となりました。
これは、配当金の支払いを行ったことによるものであります。
当社は、生徒に対しての授業を行うことを主たる業務としておりますので、生産、受注の実績は、該当事項はありません。
部門 | 第33期 (自 平成27年3月1日 至 平成28年2月29日) | 前年同期比 | |||
生徒数(人) | 金額(千円) | 構成比(%) | 生徒数(%) | 金額(%) | |
個別指導塾 |
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小学生 | 2,755 | 1,397,015 | 8.2 | 102.1 | 105.3 |
中学生 | 10,774 | 6,614,701 | 38.7 | 105.6 | 106.5 |
高校生 | 13,507 | 8,828,004 | 51.6 | 109.3 | 110.6 |
個別指導塾計 | 27,036 | 16,839,721 | 98.5 | 107.0 | 108.5 |
その他事業計 | ― | 254,517 | 1.5 | ― | 127.6 |
合計 |
| 17,094,238 | 100.0 | ― | 108.8 |
(注) 1 生徒数は、期中平均の在籍人数を記載しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
3 その他事業は、Benesseサイエンス・文章表現教室事業、クラスベネッセ事業、CCDnet事業であります。
当社は、平成27年4月に公表しました新中期経営計画「Dynamic Challenge 2017」を着実に実行することにより、業績回復に注力するフェーズから、更なる成長と新たな価値創出を目指すフェーズへの転換を果たして参ります。「Dynamic Challenge 2017」においては、「教育力の強化」「都市部ドミナント戦略×サービスポートフォリオ拡充」「ベネッセグループ連携による付加価値向上」の3つの成長戦略を展開しつつ、その土台となる「経営基盤の強化・効率化」にも取り組んで参ります。
「教育力の強化」においては、講師による教室年間計画の作成と運用を始めております。これは、講師自ら教室の年間運営のPDCAを回すとともに、教室間・地域間で横展開することによる全社的な教務力向上への取り組みであります。講師の目標や成果に対する意識を高め、教室としてのチームの成長による一層の講師力強化を実現します。加えて、進路指導センターを新たに設置しております。進路指導センターが教室との連携強化を図り、各教室へのサポートや情報提供を積極的に行うことで、更なる進路指導力の向上を目指して参ります。
「都市部ドミナント戦略×サービスポートフォリオ拡充」においては、個別指導塾事業を核とした積極的な出店、及びサービスポートフォリオ拡充による顧客接点の拡大を推進しております。人口集中が進む都市部において、引き続きドミナント戦略に基づき個別指導教室の新規開校、既存教室の増床・増席によるリニューアル等を行って参ります。なお、次期の新規開校は8教室を計画しております。サービスポートフォリオ拡充については、顧客ニーズの高い既存の個別指導教室への併設による「Benesse文章表現教室」を新規開校する等、マーケティング効率を高め、より幅広い学年層にアプローチすることで地域へのブランド浸透を図ります。
「ベネッセグループ連携による付加価値向上」については、ベネッセグループ企業として、引き続きグループ内で連携した効率的なマーケティングを行って参ります。また、自学自習をサポートするベネッセの「進研ゼミ」と当社の個別指導の優位性を融合させた新業態「クラスベネッセ」の展開、2020年教育改革を見据えた英語4技能に対応する事業の開発等も、グループ内に蓄積された教育に関するノウハウ、人材、スケールメリット等を活用して推進して参ります。学習サービスのバリエーションを拡大し、より多くのお子さまのサポートを行って参ります。
「経営基盤の強化・効率化」については、持続的な成長に不可欠な人材の採用、育成を積極的かつ効率的に進めて参ります。講師については、地域ごとに採用センターを設置することで安定的な採用を強化し、採用後の研修制度も更なる充実を図っております。IT基盤については、生産性向上・顧客価値向上を目指し、「業務プロセスの改善」「顧客サービスの強化」を図る投資を行って参ります。
更に、CSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)活動の取り組みも始めております。国内の児童養護施設において、CCDnet(ネット教室)を活用した学びの機会を創出しております。当社の事業活動を通じた社会への価値創造にも積極的に取り組む所存でおります。
これらの取り組みにより、次期の業績は、売上高18,000百万円、営業利益2,600百万円、経常利益2,603百万円、当期純利益1,665百万円を見込んでおります。
当社の経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1) 業績の季節性による変動について
当社は、夏、冬、春の講習会及び2月、3月、4月に生徒募集活動を通常よりも活発に行っております。その結果、生徒数、各種売上高は増加する傾向にあります。また、経費面でも生徒募集の広告宣伝費、その他経費も集中して発生する可能性があります。
(2) 少子化と当社の今後の方針について
当社の属する学習塾業界は、長期にわたる出生率低下に伴う少子化により、学齢人口の減少という大きな問題に直面しております。少子化による影響は、同業間での生徒数確保に向けた競争の激化という直接的な影響だけでなく、一部の学校を除いて入学試験の平易化及び推薦入試等、入試選抜方法の多様化により、入試を目的とした生徒・保護者の入会、通塾に対する動機の希薄化に向かう可能性があります。このような状況の下、当社は新たな中期経営計画「Dynamic Challenge 2017」に掲げる、新たなステージでの飛躍を目指すとともに、長期にわたり安定的・持続的に成長するために、人口集中地域への新規開校を行い、更なる規模の拡大を目指しますが、今後、少子化が急速に進展した場合及び生徒・保護者のニーズが大幅に変化した場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(3) 人材確保及び育成について
当社は、事業展開上約7千人のアルバイト講師を雇用しております。もし、優秀な講師の継続的採用及び育成が困難になった場合、業績に多大な影響を与える可能性があります。
(4) 個人情報の取扱いについて
当社は、効率的な学習指導を行うため、2万人を超える生徒・保護者の個人情報をデータベース化し管理しております。もし、何らかの原因によって情報が流出した場合には、信用を失い、業績に多大な影響を与える可能性があります。
(5) 自然災害のリスクについて
当社は、9都府県(個別指導教室229教室、Benesseサイエンス・文章表現教室6教室、クラスベネッセ2教室)に出店し、生徒へ学習指導を行なっております。もし、地震や台風などの大規模な自然災害等により、教室における直接の被害の発生や、各種規制などによって通常の営業活動の継続に支障をきたす場合、今後の業績に影響を及ぼす可能性があります。
資本業務提携契約
株式会社ベネッセホールディングスと、資本業務提携契約を締結しております。
資本業務提携契約の要旨は次のとおりであります。
内容 | ・顧客獲得及び教材開発・販売に関する相互協力 ・データベース及びLMS(Learning Management System:ラーニング・マネージメント・システム)等個別指導サービス開発に関する相互協力など |
提携先 | 株式会社ベネッセホールディングス(岡山県岡山市北区) |
該当事項はありません。
(1) 重要な会計方針および見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
その作成には、資産、負債、収益及び費用の報告数値、並びに偶発債務の開示に影響を与える見積りを必要とします。主に売債債権、たな卸資産、投資その他の資産、法人税等、及び偶発債務について見積り、継続して評価を行っております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。
(2) 財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況
〔資産〕
資産合計は10,415百万円(前事業年度末比517百万円の増加)となりました。
この増加は、主に、増収による増益に伴う現金及び預金、並びに関係会社預け金(ベネッセグループのキャッシュ・マネジメント・サービスの利用による余剰資金の運用)によるものであります。また、敷金及び保証金、有形固定資産、並びに無形固定資産が増加しておりますが、これは、主に、新規開校8教室(個別指導教室7教室、クラスベネッセ1教室(個別指導教室との併設))、既存教室のリニューアル及び教室移転等に係る設備改善工事、並びに社内業務効率化のためのソフトウエア開発によるものであります。
〔負債〕
負債合計は2,244百万円(前事業年度末比2百万円の増加)となりました。
この増加は、主に、未払消費税等及び未払金が減少したものの、未払法人税等及び前受金が増加したことによるものであります。
〔純資産〕
純資産合計は8,171百万円(前事業年度末比514百万円の増加)となりました。
この増加は、剰余金の配当金支払いを行ったものの、当期純利益を計上したことに伴う利益剰余金の増加によるものであります。これにより、自己資本比率は78.5%(前期は77.4%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの分析
当事業年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況、1 業績等の概要、(2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(4) 経営成績の分析
当事業年度の業績の概況につきましては、「第2 事業の状況、1 業績等の概要、(1) 業績」をご参照ください。