第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当社グループは、経営者が意思決定する際に使用する社内指標(以下、Non-GAAP指標)及びIFRSに基づく指標の双方によって、連結経営成績を開示しています。

Non-GAAP営業利益は、IFRSに基づく営業利益(以下、IFRS営業利益)から、当社グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したものです。経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。なお、非経常的な項目とは、将来見通し作成の観点から一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。その他の調整項目とは、適用する会計基準等により差異が生じ易く企業間の比較可能性が低い、株式報酬費用や子会社取得時に認識した無形資産の償却費等を指します。

(注) Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照していますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。

 

①  当期の経営成績(Non-GAAPベース)

当連結会計年度における世界経済は、米国金融政策正常化の影響等について留意する必要があるものの、緩やかに持ち直し基調が継続しました。日本経済についても、雇用や所得環境の改善傾向が続く中、緩やかな回復基調にあります。

このような環境下、当社グループは、2016年2月に発表した中期戦略「Vision 2020」を踏まえた施策を強力に進めています。インターネットサービスの主力である国内ECにおいては、顧客満足度向上のための取組、積極的な販促活動、スマートデバイス(スマートフォン及びタブレット端末)向けのサービス強化、楽天エコシステム(経済圏)のオープン化戦略等を実施し、売上収益の更なる成長に努めています。海外インターネットサービスにおいては、米国Ebates Inc.(以下、Ebates社)の順調な成長等により、業績は改善基調にあります。FinTechにおいては、『楽天カード』の会員基盤の更なる拡大により手数料収入が増加したほか、銀行サービスも拡大した結果、証券サービスが株式市況の影響を受けたものの、売上収益及び利益が堅調に増加しています。

この結果、当社グループの当連結会計年度における売上収益は781,916百万円(前連結会計年度比9.6%増)となりましたが、積極的な販促活動による費用増、前連結会計年度に計上した株式評価益の剥落及び株式市況の低迷の影響等により、Non-GAAP営業利益は119,080百万円(前連結会計年度比21.7%減)となりました。

 

(Non-GAAPベース)

     (単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

 

(自2015年1月1日

至2015年12月31日)

(自2016年1月1日

至2016年12月31日)

売上収益

713,555

781,916

68,361

9.6

Non-GAAP営業利益

152,153

119,080

△33,073

△21.7

 

 

 

②  Non-GAAP営業利益からIFRS営業利益への調整

当連結会計年度において、Non-GAAP営業利益にて控除される無形資産の償却費は7,789百万円、株式報酬費用は7,344百万円となりました。また、のれん及び無形資産等の減損等25,970百万円を非経常的な項目としています。なお、前連結会計年度における非経常的な項目43,054百万円は、のれん及び無形資産等の減損等の合計額です。

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

 

(自2015年1月1日

至2015年12月31日)

(自2016年1月1日

至2016年12月31日)

Non-GAAP営業利益

152,153

119,080

△33,073

無形資産償却費

△8,322

△7,789

533

株式報酬費用

△6,088

△7,344

△1,256

非経常的な項目

△43,054

△25,970

17,084

IFRS営業利益

94,689

77,977

△16,712

 

 

③  当期の経営成績(IFRSベース)

当連結会計年度における売上収益は781,916百万円(前連結会計年度比9.6%増)、営業利益は77,977百万円(前連結会計年度比17.6%減)、当期利益(親会社の所有者帰属)は37,995百万円(前連結会計年度比14.5%減)となりました。

(IFRSベース)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

 

(自2015年1月1日

至2015年12月31日)

(自2016年1月1日

至2016年12月31日)

売上収益

713,555

781,916

68,361

9.6

%

IFRS営業利益

94,689

77,977

△16,712

△17.6

%

当期利益
(親会社の所有者帰属)

44,436

37,995

△6,441

△14.5

%

 

 

④  セグメントの概況

各セグメントにおける業績は次のとおりです。IFRS上のマネジメントアプローチの観点から、セグメント損益をNon-GAAP営業損益ベースで表示しています。また、当第3四半期連結会計期間から、当社グループにおける社内カンパニー制導入に伴う内部報告管理体制の変更により、「その他」セグメントを構成していた事業を「インターネットサービス」セグメントを構成していた事業と一体化して管理しています。この結果、従来の3つの報告セグメントを、「インターネットサービス」及び「FinTech」の2つの報告セグメントに変更しています。

なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成しています。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4. セグメント情報 (1) 一般情報」をご参照ください。

 

(インターネットサービス)

当連結会計年度のインターネットサービスセグメントは、主力サービスの国内ECにおいては、新規ユーザー獲得や長期的なロイヤルカスタマーを育成するための積極的な販促活動の実施、顧客満足度向上のための取組、スマートデバイス向けのサービス強化、楽天エコシステムのオープン化戦略等を積極的に展開しました。海外インターネットサービスにおいては、Ebates社の順調な成長等により、業績は改善基調にあります。MVNO(仮想移動体通信事業者)サービス『楽天モバイル』においては、前第2四半期連結会計期間より本格化した積極的な販促活動が奏功し、売上収益が大幅に増加しています。

この結果、インターネットサービスセグメントにおける売上収益は560,555百万円(前連結会計年度比13.7%増)となったものの、積極的な販促活動による費用増及び前連結会計年度に計上した株式評価益の剥落等により、セグメント利益は55,568百万円(前連結会計年度比38.9%減)となりました。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

 

(自2015年1月1日

至2015年12月31日)

(自2016年1月1日

至2016年12月31日)

セグメント売上収益

492,836

560,555

67,719

13.7

%

セグメント損益

90,909

55,568

△35,341

△38.9

%

 

 

(FinTech)

当連結会計年度のFinTechセグメントは、クレジットカード関連サービスにおいては、『楽天カード』会員の増加に伴い、ショッピング取扱高やリボ残高が伸長し、売上収益及び利益が順調に増加しています。銀行サービスにおいては、ローン残高の伸長に伴う貸出金利息収益の増加や費用効率化により、マイナス金利政策の環境下にも関わらず利益拡大が継続しています。証券サービスにおいては、市況変動の影響が大きく、売上収益及び利益共に前連結会計年度を下回りました。

この結果、FinTechセグメントにおける売上収益は296,066百万円(前連結会計年度比7.6%増)、セグメント利益は65,587百万円(前連結会計年度比2.6%増)となりました。

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

 

(自2015年1月1日

至2015年12月31日)

(自2016年1月1日

至2016年12月31日)

セグメント売上収益

275,136

296,066

20,930

7.6

%

セグメント損益

63,899

65,587

1,688

2.6

%

 

 

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ47,240百万円増加し、548,269百万円となりました。このうち、銀行事業に関する日銀預け金は、前連結会計年度末に比べ28,805百万円増加し、376,879百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、30,700百万円の資金流入(前連結会計年度は78,245百万円の資金流入)となりました。これは主に、カード事業の貸付金の増加による資金流出が180,741百万円、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が141,756百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が139,162百万円、証券事業の金融資産及び同負債が変動したことによるネットの資金流入が59,983百万円(金融資産の増加による資金流出が11,725百万円、金融負債の増加による資金流入が71,708百万円)、税引前当期利益73,923百万円、減価償却費及び償却費44,257百万円等を計上したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、26,841百万円の資金流出(前連結会計年度は224,078百万円の資金流出)となりました。これは主に、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流入が98,790百万円(銀行事業の有価証券の取得による資金流出が249,291百万円、売却及び償還による資金流入が348,081百万円)となった一方で、無形資産の取得による資金流出が42,325百万円、子会社の取得による資金流出が33,612百万円、有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が32,361百万円(有価証券の取得による資金流出が53,213百万円、売却及び償還による資金流入が20,852百万円)となったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、45,200百万円の資金流入(前連結会計年度は221,831百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による資金流出が163,832百万円となった一方で、長期借入れによる資金流入が212,100百万円となったことによるものです。

 

 

(3) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と、日本基準により作成した連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異

 当連結会計年度(自 2016年1月1日 至 2016年12月31日)

①売上収益

当社グループが顧客による継続的なアクセスやショッピングを促す目的等で展開するポイントプログラムにおけるポイントに関する将来の負担について、日本基準では、ポイント引当金繰入額として販売費及び一般管理費に計上していますが、IFRSでは、そのうち、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」に従って会計処理される、顧客に支払われる対価に該当するポイントは、付与時に売上収益から控除しています。この影響により、IFRSの売上収益は日本基準に比べ約48,851百万円減少しています。

当社グループにおける書籍等の販売等について、日本基準では売上高を計上し、関連する売上原価を総額表示していますが、IFRSでは、対象となる取引が、IFRS第15号に従って会計処理される、当社グループが他の第三者の代理人の立場で行われる取引に該当するものと判断されるため、売上収益を純額表示しています。この影響により、IFRSの売上収益は日本基準に比べ約38,113百万円減少しています。

②営業利益

のれんは、日本基準では一定の期間に亘って規則的に償却されますが、IFRSでは償却されず、減損テストの実施が求められています。この影響により、IFRSの営業利益は日本基準に比べ約17,839百万円増加しています。

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産実績

当社グループは、インターネット上での各種サービスの提供を主たる事業としており、生産に該当する事項が無いため、生産実績に関する記載はしていません。

 

(2) 受注実績

当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしていません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

インターネットサービス

560,555

13.7

FinTech

296,066

7.6

内部取引等

△74,705

合 計

781,916

9.6

 

(注) 上記金額には、消費税等は含まれていません。

 

3 【対処すべき課題】

「イノベーションを通じて、人々と社会をエンパワーメントする」企業グループとして、事業環境の変化に柔軟に対応し、持続可能な成長に向けた仕組みを構築することが、当社グループの対処すべき課題です。また、長期にわたる持続的な成長により当社グループの企業価値・株主価値の最大化を図るとともに、グローバル イノベーション カンパニーであり続けることを目指します。

 

(1) 経営体制

当社グループは、コーポレート・ガバナンスの徹底を最重要課題の一つと位置付け、様々な施策を講じています。

当社は、監査役会設置会社であり、経営の監査を行う監査役会は、全員が社外監査役によって構成されています。また、当社は、経営の監督と業務執行の分離を進めるため執行役員制を導入しており、取締役会は経営の意思決定及び監督機能を担い、執行役員が業務執行機能を担うこととしています。

当社の取締役会においては、独立性が高く多様な分野の専門家である社外取締役及び社外監査役を中心に、客観的な視点から業務執行の監督を行うとともに、経営について多角的な議論を自由闊達に行うことで、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めています。

2016年4月からは、取締役及び監査役を中心に、グループ経営戦略等に関する集中討議を取締役会とは別に四半期ごとに開催しており、短期的な課題や取締役会審議事項に捉われない中長期的視野に立った議論を行っています。また、業務執行における機動性の確保、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化を実現するため、社内カンパニー制を導入し、2016年8月には、取締役会での審議項目及び金額基準を全面的に見直しました。

加えて、当社グループの企業理念、価値観及び行動規範を定める「楽天主義」について、国内外の役職員に対し一層の浸透を図り、経営のスピードと品質を高めています。

当社グループでは今後もこうした取組を通じて、迅速な経営判断を可能にし、実効性の高いガバナンス機能を有する経営体制を構築していきます。

 

(2) 事業戦略

当社グループは、国内外において、楽天グループ会員を中心としたユーザーに対し様々なサービスを提供する楽天エコシステムの構築を基本的事業戦略としています。この楽天エコシステムにおいて、国内外の会員がEC、金融(FinTech)、デジタルコンテンツ等の複数のサービスを回遊的・継続的に利用できる環境を整備することで、会員一人当たりの生涯価値(ライフタイムバリュー)の最大化、顧客獲得コストの最小化等の相乗効果を目指します。これらを実現するため、既存サービスの顧客満足度向上、『楽天スーパーポイント』やビッグデータ等を活用したロイヤルティ向上を目指したマーケティング活動、スマートデバイス(スマートフォン及びタブレット端末)向けのサービス強化、楽天エコシステムのオープン化戦略等を積極的に実施していきます。

また、楽天ブランドを世界規模で更に高めていくために、スペインの名門サッカーチームである「FCバルセロナ」のグローバル メインパートナー及びグローバル イノベーション & エンターテインメント パートナーとなります。

 

① インターネットサービス

EC及び旅行予約をはじめとしたインターネットサービスにおいて、顧客満足度向上のための各種施策、スマートデバイス(スマートフォン及びタブレット端末)向けのサービス強化、楽天エコシステムのオープン化戦略に取り組むとともに、ビッグデータの活用等を通じて、新しい市場の創造をお取引先様と共に目指します。MVNO(仮想移動体通信事業者)やVIBER MEDIA LTD.で展開するメッセージングアプリ等の通信サービスにおいては、楽天エコシステムの会員基盤を拡大するとともに、ユーザーの利便性を更に向上させることを目指します。また、電子書籍サービス、ビデオストリーミングサービス等のデジタルコンテンツサービスを通じて、ユーザーに更なる価値を提供することを目指します。

 

② FinTech

クレジットカード関連サービス、銀行サービス、証券サービス等の金融サービスにおいて、グループ内シナジー等を通じて一層の成長を目指します。また、金融(Finance)とインターネット技術(Technology)の更なる融合を推進し、ユーザーに新しい価値を提供することを目指します。

 

(3) 技術開発

当社グループが保有するビッグデータ等の解析及びその応用や、AI等に関する研究開発を促進することで、楽天エコシステムの更なる強化や、革新的なサービスの提供を目指します。また、海外拠点も含めた開発体制の強化に努め、世界でもユニークな技術を有する会社になることを目指します。

 

 

4 【事業等のリスク】

以下において、当社グループ事業の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項及び投資者の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる事項を記載しています。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社の有価証券に関する投資判断は本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えています。

なお、以下の事項のうち将来に関する事項は、別段の記載のない限り本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。

 

1 事業環境に関するリスク

(1) インターネット業界の成長性について 

当社グループは、主にインターネット業界において、国内外で多様なサービスを提供しています。

世界のインターネット利用者数の増加、EC(電子商取引)市場の拡大等を背景として、当社グループサイト内の流通総額、利用者数等は今後も拡大傾向にあるものと認識していますが、インターネットの利用を制約するような法規制、個人情報管理の安全性を中心とした情報セキュリティに対する問題意識の拡がり等の外部要因、景気動向、過度な競争等により、インターネット業界全体及びEC市場の成長が鈍化し、それに伴い当社グループサイト内での流通総額等が順調に拡大しない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、インターネット広告等に係る売上高が一定の比率を占めていますが、広告市場は特に景気動向の影響を受けやすいものと考えられることから、景気が後退した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競合について

インターネットの利用者数の増加に後押しされ、多くの企業がインターネット関連サービスに参入し、商品カテゴリーやサービス形態も多岐にわたっています。また、当社グループの運営するインターネット関連サービス以外のサービスについても多数の事業者が参入しており、激しい競合状況にあります。

当社グループは、引き続き、顧客ニーズ等への対応を図り、サービス拡大に結び付けていく方針ですが、これらの取組が予測通りの成果をあげられない可能性や、画期的なサービスを展開する競合他社の出現、価格競争の激化、その他の競合等の結果、当社グループの売上高が低下する可能性がある他、設備投資や広告宣伝費等の費用の増加を余儀なくされる可能性もあり、かかる場合には当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 業界における技術変化等について

当社グループがサービスを展開するインターネット業界においては、特に技術分野における進歩及び変化が著しく、新しいサービス及び商品が頻繁に導入されており、当社グループのサービスにおいてもこれらの変化等に対応していく必要があります。しかしながら、何らかの要因により、当社グループにおいて当該変化等への対応が遅れた場合、サービスの陳腐化、競争力低下等が生じる可能性があります。また、対応可能な場合であったとしても、既存システム等の改良、新たな開発等による費用の増加等が発生する可能性があり、これらの動向及び対応によっては当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ事業運営の障害となりうる技術が開発される可能性もあり、このような技術が広く一般に普及した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

2 国際事業展開に関するリスク

当社グループは、収益機会の拡大に向けてグローバル展開を主要な経営戦略の一つとして掲げ、米州、欧州、アジア等の多くの地域で金融サービスを含む各種サービスを展開しています。今後とも、在外サービス拠点及び研究開発拠点を拡大していくとともに、各国サービス間の連携強化等に取り組みながら、海外でのサービスの充実を図っていく予定です。また、国内外のユーザーが国境を越えて日本又は海外の商品及びサービスを購入するためのクロスボーダーサービス等も順次拡大していく予定です。

他方、グローバルにサービスを展開していく上では、言語、地理的要因、法制・税制度を含む各種規制、自主規制機関を含む当局による監督、経済的・政治的不安、通信環境や商慣習の違い等の様々な潜在的リスク及び特定の国や地域又はグローバルにおいて競争力を有する競合他社との競争が熾烈化するリスクが存在します。更には、外国政府及び国際機関により関係する諸規制が突然変更されるリスクも存在します。当社グループが、これらのリスクに対処できない場合、当社グループの国際事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、サービスの国際展開においては、サービスの立上げ時に、現地における法人設立、人材の採用、システム開発等に係る経費が新規に発生するほか、既存サービスにおいても、戦略的にビジネスモデルを変更する場合等においては、追加的な支出が見込まれることから、これらの費用が一時的に当社グループの収益を圧迫する可能性があります。また、新たな拠点において安定的な収益を生み出すためには、一定の期間が必要なことも予想されます。従って、かかる投下資本の回収に一定の期間を要する又は出来ない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

3 事業の拡大・展開に関するリスク

(1)『Rakuten』ブランドの統合等の推進について

当社グループは、流通総額の更なる拡大等を目的として、各サービスブランドの『Rakuten』ブランドへの統合推進や、会員データベースの一元化、ポイントプログラムの共通化を媒介とした会員IDの統合等を推進しています。ブランド名称や会員IDの変更に際しては既存会員のロイヤリティの低下や会員組織からの離脱を招く可能性もあり、これらの施策が期待通りの効果を得られない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 買収(M&A)等について

当社グループは、国外市場への進出、新規ユーザーの獲得、新規サービスの展開、既存サービスの拡充、関連技術の獲得等を目的として、国内外を問わず積極的な買収(M&A)や合弁事業の展開を行っており、これらを経営の重要戦略として位置付けています。

買収を行う際には、対象企業の財務内容、契約関係等について詳細なデュー・デリジェンスを行うことによって、極力諸リスクを回避するように努めていますが、案件の性質上時間的な制約等から十分なデュー・デリジェンスが実施できない場合もあり、買収後に偶発債務の発生や未認識債務が判明する可能性も否定できません。また、新規サービスの展開に当たってはその性質上、当該新規サービスによる当社グループの事業及び経営成績への影響を確実に予測することは困難であり、事業環境の変化等により計画通りにサービスが進展せず、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性や、投下資本の回収に一定の期間を要する又は出来ない可能性があります。

被買収企業の情報システムや内部統制システム等との融合、被買収企業の役職員や顧客の維持・承継等が計画通りに進まない可能性や、今後の投融資額が現在の事業規模と比較して多額となる可能性もあることから、財政状態等に関して当社グループ全般にわたるリスクが拡大する可能性があります。

また、合弁事業や業務提携の展開においても、パートナーとなる事業者について、経営成績や財政状態等について詳細な調査を行うとともに、将来の事業契約やシナジー効果について事前に十分に議論することによって、極力リスクを回避するように努めていますが、サービス開始後において経営方針に相違が生じ、期待通りのシナジー効果が得られないといった可能性も否定できません。そのような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性や、投下資本の回収に一定の期間を要する又は出来ない可能性があります。

この他、ベンチャー企業への投資等、様々な企業に対する投資活動を行っていますが、このような投資活動においても、経営環境の変化や投資先の業績停滞等に伴い期待通りの収益が上げられず、投下資本の回収可能性が低下する場合には、投資の一部又は全部が損失となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) サービス領域の拡大について

当社グループは、技術やビジネスモデルの移り変わりが速いインターネットを軸とした多岐にわたる産業をサービス領域としています。新しいサービスを創出し、また時代の流れに即したビジネスモデルを構築する目的で、新規のサービス領域に参入を行っています。従来行っていなかった新規サービスを開始するに当たっては、相応の先行投資を必要とする場合があるほか、そのサービス固有のリスク要因が加わることとなり、本項に記載されていないリスク要因でも、当社グループのリスク要因となる可能性があります。

新規に参入した市場の拡大スピードや成長規模によっては、当初想定していた成果を挙げることができない可能性があります。また、サービスの停止、撤退等においては、当該事業用資産の処分や償却を行うことにより損失が生じる可能性があります。かかる場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) のれんについて

当社グループは、2013年12月期第1四半期連結会計期間から、連結財務諸表について国際会計基準(IFRS)を適用していますが、IFRSにおいては、日本において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準と異なり、のれんの定額償却は不要となります。他方、のれんの対象会社における経営成績悪化等により減損の兆候が生じており、その効果である回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る場合には、のれんの減損処理を行う必要が生じる可能性があり、かかる場合には当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

4 各サービスに関するリスク

(1) マーケットプレイス型のサービスについて

『楽天市場』のようなマーケットプレイス型のサービスや、『楽天トラベル』のような宿泊予約サービス、『Ebates』のようなオンライン・キャッシュバック・サービス等においては、取引の場を提供することをその基本的性格としており、マーケットの健全性確保のため偽造品その他の権利侵害品の排除に努めていますが、当社グループは売買契約等の当事者とはならず、規約においても、販売者又は役務提供者と購入者又は役務利用者との間で生じたトラブルについて、当社グループは責任を負わず、当事者間で解決すべきことを定めています。しかしながら、マーケットプレイス型のサービスにおいて、他人の知的財産権、名誉、プライバシーその他の権利等を侵害する行為、詐欺その他の法令違反行為等が行われた場合には、問題となる行為を行った当事者だけでなく、当社グループも取引の場を提供する者として責任を問われ、更には、当社グループのブランドイメージが毀損される可能性があります。また、マーケットプレイス型のサービスにおいては、参加する販売者・役務提供者が、他のマーケットプレイス、自社サイト等に容易に移行できるため、利便性、信頼性の高いシステムに加え、集客力に優れた取引の場を継続的に提供しなければ、販売者・役務提供者が減少し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 直販型のサービスについて

当社グループが一般消費者に対して商品・役務を直接提供する『爽快ドラッグ』、『ケンコーコム』、『楽天ブックス』、『楽天kobo』、『楽天モバイル』等のサービスにおいては、当社グループは売買契約等の当事者となり、商品・役務の品質、内容に責任を負っています。商品の販売、役務の提供に際しては、関係法令を遵守し、品質管理に万全を期していますが、欠陥のある商品を販売し、又は欠陥のあるサービスを提供した場合、監督官庁による処分を受ける可能性があるとともに、商品回収や損害賠償責任等の費用の発生、信用低下による売上高の減少等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、商品については、予測された需要に従って、購入及び在庫水準の管理等を行っていますが、想定した需要が得られない場合や、技術革新や他社商品との競争の結果、商品価格が大きく下落する場合は、棚卸資産として計上されている商品の評価損処理等を行う可能性があります。

 

 (3)  デジタルコンテンツサービスについて

デジタルコンテンツの提供を行う電子書籍サービス、ビデオストリーミングサービスにおいては、コンテンツ素材を調達する際に、当社グループの提供するサービスフォーマットへの変換を要する場合があるほか、映像等の許諾に加え、ライセンサー等に対する事前の最小保証料等支払いを求められる場合があり、かかる先行的な費用の支出が一時的に当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、コンテンツ収入が当該調達費用を下回る場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (4)  物流サービスについて

当社グループは、ユーザー及び出店企業の利用満足度を一層高めるべく、出店企業の物流業務の受託サービスの拡大等を通じた配送品質の向上にも注力しています。

物流拠点の拡大については賃貸等を活用しており、倉庫内設備投資等に際しては、将来見込まれる受注量を予測して実施していますが、当該設備の構築、稼動開始までには一定の時間を要するため、かかる支出は先行的な投資になる場合があるほか、実際の受託業務での収益が予測を下回る場合には先行費用を補えず、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、設備の移転、廃止等が決定された場合においては、当該資産の処分や償却を行うことにより損失が生じる可能性があります。

 

(5)金融サービスについて

① 法的規制等について

当社が営む金融サービス並びに楽天カード(株)、楽天銀行(株)、楽天証券(株)及び楽天生命保険(株)等の金融サービスを営む子会社においては、「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」、「銀行法」、「利息制限法」、「貸金業法」、「割賦販売法」、「金融商品取引法」、「金融商品販売法」、「商品先物取引法」、「信託業法」、「保険業法」、「資金決済に関する法律」、「犯罪収益移転防止法」その他の法令、金融関連諸法規、監督官庁の指針、各証券取引所や業界団体等の自主規制機関による諸規則等の適用を受けています。サービスを提供するために必要な許認可につき、将来、何らかの事由により業務の停止、免許等の取消等があった場合、また、法令諸規則、監督官庁の政策、規制、監督指針が新設され、又はこれらにつき当該サービスにとって不利益な変更が行われた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

楽天カード(株)の2007年12月31日以前の貸付契約のごく一部には、利息制限法上の上限利息を超過する利息の定めがあるため、何らかの要因により、楽天カード(株)の引当金算出の前提となる平均請求額等が増加する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② 事業環境について

当社が営む金融サービスにおいては、クレジットカード決済等における加盟店契約業務を提供しており、加盟店からの手数料を主な収入源としているため、加盟店契約獲得の減退、競争激化による加盟店の流出等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。またクレジットカードの不正利用等の増加により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

楽天カード(株)においては、主に個人顧客を対象とし、また、運転資金の調達を債権流動化と金融機関の借入金等により賄っていることから、経済環境が悪化し、消費低迷による借入需要の減退、失業率の上昇による自己破産又は多重債務者の増加等が生じた場合、金融市場の情勢変化による金融機関の与信方針の変更があった場合、当社グループの信用状態が悪化した場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、貸倒リスクを軽減するための与信管理システムの維持・運営や、債権回収のノウハウを持つ人材の確保に重大な問題が生じた場合、サービス及び経営成績に支障が生じる可能性があります。

楽天銀行(株)においては、有価証券が当該事業の運用資産の一部を占めており、運用収益に一定程度影響を及ぼす可能性があります。運用資産としては、貸出債権の他に、債券、証券化・流動化商品等の多様な金融商品での運用を行っています。金融商品の運用による収益は、金利、外国為替、市場変動、債務者の信用リスク等により大きく影響を受けることがあり、これらの運用により当該事業が損失を計上した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、貸出債権については、経済動向の悪化、債務者の信用状況の悪化、会計基準の変化、保証会社の信用状況の変化、保証履行状況の変化により貸倒引当金及び保証料等与信関連費用が増加する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

楽天証券(株)においては、個人顧客を対象に、株式信用取引、外国為替証拠金取引、投資信託販売、債券取引、先物・オプション取引、海外先物取引、商品先物取引等のサービスを提供しており、委託手数料をその主要な収入源としているため、証券市場等の金融市況の影響を受けています。金融市況は、経済情勢、世界各国の市場動向、政治動向及び規制動向、並びに投資家心理等の影響を受けており、市場低迷が生じた場合や、株式相場の急激な変動等に伴う信用取引高の減少及び顧客への信用取引貸付金等の未回収等が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

楽天生命保険(株)においては、主に個人向け保障性生命保険商品を販売しており、保険契約者からの保険料収入を主な収入源としています。当該サービスは、保険料設定時の予測を超えた死亡率・入院率等保険事故発生率の増加、資産運用環境等の変化による運用資産価値の減少、新規契約の減少や解約契約の増加等による保有契約の著しい減少が生じた場合、また法令上求められる将来の保険金・給付金の支払いに備えた責任準備金がその前提となる状況の変化によって積立不足を生じ、繰入額の増加が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

③ 資金流動性について

楽天銀行(株)では、インターネット・バンキングサービスを行っています。当該サービスにおいては、普通預金の引出し、定期預金の解約、他の金融機関への送金又は振込がインターネット上で行えるため、当該子会社及び当社グループのレピュテーションに影響を及ぼす風評が流布される等、不測の事態が発生した場合には、預金の流出が通常の銀行と比較して速いペースで進展する可能性があり、予想を超えた著しい資金流出が起こった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ リスク管理の有効性について

近年金融市場においては、市場の急激かつ大規模な変動や混乱がたびたび生じています。楽天カード(株)、楽天銀行(株)、楽天証券(株)及び楽天生命保険(株)においては、リスク管理方針及び手続を整備し運用していますが、これら会社におけるリスク管理方針及び手続の一部は、金融市場において将来発生する種々のリスクを必ずしも正確に予測することができず、有効に機能しない可能性があり、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)第三者との業務委託・提携等について

① 金融機関等との委託・提携について

当社が営む金融サービスは、(株)ジェーシービー、米Mastercard, Inc.、米Visa, Inc.等のクレジットカードの国際ブランド会社との契約に基づき提供していますが、提携先との関係が悪化した場合には経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

楽天銀行(株)は、独自のATM網を有していないため、ATMの利用に関わる契約を締結している(株)三菱東京UFJ銀行、(株)みずほ銀行、(株)セブン銀行、(株)ゆうちょ銀行及び(株)イオン銀行等との関係が悪化した場合又はこれらの業務もしくはシステムに支障が生じた場合等、当社グループの事業や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

② 旅行関連事業者との連携について

トラベルサービスにおいては、航空会社、鉄道会社との連携、グローバル化の推進等、国内外の旅行関連事業者との連携により、総合的な旅行関連サービスの強化を図り、サービスを展開していく方針ですが、提携先との関係が悪化した場合や新たな提携先との協議が順調に進まない場合には、当該事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 電気通信事業者の相互接続協定について

楽天コミュニケーションズ(株)は、電気通信役務の円滑な提供のために他の電気通信事業者の通信設備と同社の通信設備を相互接続するための相互接続協定を結んでいます。現状において、電気通信設備を有する者は他事業者に対して原則として接続義務を有していますが、電気通信事業法等の改正等により、接続義務の撤廃や緩和等の措置が取られ、同社の負担すべき使用料及び相互接続料等が増加する、又は同社にとって不利な形で条件変更がなされた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

④ MVNO(仮想移動体通信事業者)サービスの通信キャリア回線利用について

当社が提供する『楽天モバイル』サービスは、楽天コミュニケーションズ(株)が他の電気通信事業者の回線を借り受け、そのサービスを提供していますが、何らかの理由により、提携する電気通信事業者が回線の利用料を引き上げた場合や当該電気通信事業者との提携が終了するに至った場合等には、当社が提供するサービスに支障をきたす可能性があるほか、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 商品、コンテンツ及び技術等の供給について

当社グループは、直販型のサービスにおける販売商品、運営するウェブサイトにおける検索エンジンやニュース等の一部のコンテンツ、サービスに利用する技術等について、外部の事業者から供給又はライセンスを受けています。今後、当該事業者との関係の悪化、倒産、需要の増大、経済環境の変化、契約変更その他の要因により、供給が中断された場合、有力コンテンツを円滑に導入できなかった場合、供給価格が高騰した場合、ライセンスが停止された場合等には、サービス提供に支障をきたす可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 商品の配送について

『楽天市場』等のマーケットプレイス型及び『楽天ブックス』等の直販型サービスでは、販売者から購入者への商品配送は、主に外部の配送事業者に依存しています。今後、配送料金の値上げ、配送条件の悪化等、配送に関するユーザー及び出店企業の満足度が悪化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 コンプライアンスに関するリスク

(1) 法的規制等の適用の可能性について

当社グループが展開する各サービスにおいては、「4(5)①法的規制等について」の各項目に記載の他、「不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「特定商取引に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」、「消費者契約法」、「下請代金支払遅延等防止法」、「古物営業法」、「旅行業法」、「電気通信事業法」、「職業安定法」、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」、「資金決済に関する法律」、「米国海外腐敗行為防止法」、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)」等の各種法令や、監督官庁の指針、ガイドライン等による規制を受けています。こうした法令の制定や改正、監督官庁による許認可の取消又は処分、新たなガイドラインや自主的ルールの策定又は改定等により、当社グループの事業が新たな制約を受け、又は既存の規制が強化された場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループの提供するサービス規模が大きい場合、販売者、役務提供者その他の取引先に対して健全な取引環境を維持するために当社グループが行う施策の実施、又はその根拠となる規約の内容等が、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」に照らして問題とされる可能性があり、その場合には当社グループのサービスが新たな制約を受け、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは法令遵守を重要な企業の責務と位置付け、コンプライアンス体制を強化して法令遵守の徹底を図っていますが、役員及び従業員による個人的な不正行為等を含めコンプライアンスに関するリスクもしくは社会的に信用が毀損されるリスクを回避できない可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 訴訟等の可能性について

当社グループがサービスの展開を図る上で、販売者、購入者及びその他の利用者による違法行為やトラブルに巻き込まれた場合、又はシステム障害等によって販売者、購入者及びその他の利用者や消費者に損害を与えた場合等、当社グループに対して訴訟その他の請求を提起される可能性があります。電子書籍端末等については、その製造について提携企業への委託を行っているものの、製造物の欠陥等に伴う、損害賠償等の製造物責任等が当社グループに発生する可能性があります。また、当社グループのサービスに関連する技術革新のスピードが速く、新たに発生した又は今まで顕在化しなかったビジネスリスクによって、現在想定されない訴訟等が提起される可能性もあります。

一方、当社グループが第三者に何らかの権利を侵害され、又は損害を被った場合に、第三者の権利侵害から当社が保護されない可能性や、訴訟等による当社グループの権利保護のために多大な費用を要する可能性もあります。かかる場合には、その訴訟等の内容又は請求額によっては、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

6 無形資産に関するリスク

(1) 当社グループのブランドについて

当社グループは、多様なサービス展開、広告宣伝活動等を通じて『Rakuten』ブランドの確立を図っており、消費者等に対して一定の認知が得られているものと認識していますが、今後実施する施策等が想定通りの成果をあげられない場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、サービス展開におけるトラブル、役職員による不正等が発覚した場合、当社グループのブランドの信頼性を毀損し、結果として当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 知的財産権等について

当社グループは、特許権、商標権、著作権、ドメインネームその他の知的財産権の取得、又は知的財産権のライセンスを受けることで、当社グループが使用する技術・ブランド・コンテンツ等についての保護を、国内はもとより国際展開を進める各国においても図っていますが、知的財産権等が取得できずに当社グループが使用する技術・ブランド・コンテンツ等を保護できない場合、又は知的財産権のライセンスの取得等のために多額の費用が発生する場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが使用する技術・ブランド・コンテンツ等について、知的財産権等の侵害を主張され、当該主張に対する防御又は紛争の解決のための費用又は損失が発生する可能性があり、また、将来当社グループによるサービスの提供等に関連する技術・ブランド・コンテンツの利用に制限が課せられ、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

7 マーケットに関するリスク

(1) 金利等変動リスク

当社グループは、当社、楽天カード(株)、楽天銀行(株)、楽天証券(株)、楽天生命保険(株)等の子会社において、当該事業資金の調達は金利変動の影響を受ける可能性があります。また、一部の金融子会社においては、資金を有価証券、貸出金等で運用しています。このため、金利市場等の動向が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 有価証券等の価格変動リスク

当社グループは、有価証券、金銭信託等の金融商品を多く保有しています。これらの有価証券等は、金融商品市場の動向等による価格変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 為替変動リスク

当社グループが行う外貨建投資及び外貨建取引について外貨建で実行するものは、為替変動リスクをヘッジすることを目指しています。また、当社グループの海外関係会社の業績、資産及び負債について現地通貨で発生したものは、円換算した上で連結財務諸表を作成していますが、完全に当該リスクを回避することは難しく、外国為替相場の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

8 資金調達に関するリスク

当社グループの締結しているローン契約、コミットメントライン契約等借入に係る契約には財務制限条項が規定されている場合もあり、当社グループの経営成績、財政状態又は信用力が悪化した場合には、これらの条項に基づき既存借入金の一括返済、金利及び手数料率の引上げ又は新たな担保権の設定を迫られる可能性があります。今後の資金調達については、金融市場が不安定な場合や、当社グループの信用力の悪化により格付機関から当社に付与されている信用格付が引き下げられた場合等においては、当社グループにとって好ましい条件で適時に資金調達をできる保証はなく、当社グループのサービス展開の制約要因となる可能性があるほか、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

9 繰延税金資産に関するリスク

当社及び一部の連結子会社においては、国際会計基準(IFRS)に基づき、将来における税金負担額の軽減効果を繰延税金資産として計上しています。繰延税金資産の計算は、事業の見通しに基づく将来の課税所得に関する見積りを含めた様々な予測・仮定に基づいており、実際の結果が係る予測・仮定とは異なる可能性があります。将来の課税所得の見積りに基づいて、当社及び当該子会社が繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断された場合や税制及び会計基準の変更が行われた場合、当該繰延税金資産は減額され、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

10 財務報告に関するリスク

当社グループは、信頼ある財務報告を作成するため、「金融商品取引法」が定める内部統制報告制度に基づき、財務報告に係る内部統制を強化し、内部統制の評価を実施しています。しかしながら、当社グループの内部統制が適切に機能しない、または、内部不正を阻止できないなど、重要な不備が発見された場合、当社グループの社会的信用が低下し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

11 人材に関するリスク

当社グループのサービスにおいては、インターネットや金融をはじめとした各サービス分野において専門性を有する人材が必要であり、今後とも業容拡大及び国際展開に応じて継続した人材の確保を行うことが欠かせません。今後、各サービス分野及び地域における人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、優秀な人材の獲得が困難となる場合や、在職する人材の社外流出が生じた場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社の創業者で、代表取締役会長兼社長である三木谷浩史が離職又は業務執行が困難となるような事態が生じた場合、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

12 情報セキュリティ、システム及び通信ネットワークに関するリスク

当社グループは、運営する各種サービスにおいて、住所、氏名、電話番号、クレジットカード番号等の利用者個人を特定できる情報を取得しています。当社グループは、利用者のプライバシー及び個人情報の保護に最大限の注意を払い、適切な情報管理を行っていますが、不正アクセス等による情報の外部への漏洩や悪用等の可能性を完全に排除することは困難であり、これらが発生した場合に法的紛争に巻き込まれる可能性があるほか、内外監督官庁からの処分を受ける可能性があり、かかる場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループサービスの多くは、コンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークを通じて提供されていますが、通信ネットワークに生じた障害や、ネットワーク又はコンピュータシステム上のハードウエアもしくはソフトウエアの不具合・欠陥、コンピュータウィルス・マルウェア等外部からの不正な手段によるコンピュータシステム内への侵入等の犯罪行為や役職員の過誤等により、正常なサービスの提供に支障を生じる可能性があるほか、当社サービスの不正な利用、重要なデータの消去又は不正取得等が発生する可能性もあります。

これら事由によるサービスの停止や機能低下が生じた場合、収益機会の喪失、当社グループのシステム自体への信頼性低下又は損害賠償請求等が生じる可能性のほか、監督官庁からの処分等を受ける場合があります。

更に、当社サービスの不正な利用については、適切な求償先を求めることができない場合、当社グループの損害となります。かかる場合には、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

13 災害紛争事故に関するリスク

地震、台風、津波等の自然災害、火災、停電、未知の感染症の拡大、国際紛争等が発生した場合、当社グループのサービス運営に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの主要な拠点である日本の首都圏、米国東海岸及び西海岸等において大規模な自然災害等が発生した場合には、サービスの提供等が停止する可能性もあり、かかる場合には、当社の信頼性やブランドイメージを毀損するだけでなく、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループにおいては、自然災害等が発生した場合に備え、事業継続計画の策定等有事の際の対応策について検討及び準備を推進していますが、各種災害等の発生による影響を完全に防止できる保証はなく、各種災害等による物的、人的損害が甚大である場合にはサービスの継続自体が困難又は不可能となる可能性があります。

 

14 事務・オペレーションリスク

当社グループは、業務の遂行において各種情報システムの活用や担当者以外の第三者が業務内容を二重に確認する再鑑制度の実施等、業務の正確性、効率性を高めるための様々な取組を実施しています。しかしながら、一部においては専用の情報システムが導入されておらず人的な対応に委ねられている業務もあり、役職員の誤認識、誤操作等により事務手続きのミスが発生する可能性があります。業務の性質によっては、事務手続きのミスが安定的なサービスの供給の妨げ、経済的な損失、個人情報等の流出等に繋がる可能性があり、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、社内規範や事務手続きの標準化及び文書化に取り組んでいますが、当社グループの急速な拡大に伴う事務量の増加、新サービスの導入等により、業務遂行に必要な知識の共有、継承が不十分になる可能性があり、その結果生じ得る事務手続きのミスの増加や生産性の低下が、当社グループの事業、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

15 風評リスク

当社グループを対象に、当社グループに関する様々な内容の報道や情報の流布が行われることがあります。これら報道や情報の流布については、必ずしも正確な情報に基づいていないものや、憶測に基づいたものも含まれていますが、それらの内容の正確性や当社グループの該当有無に関わらず、当社サービスの利用者や投資者等の認識又は行動に影響を及ぼす可能性が考えられます。これらの報道や情報の流布の内容、規模等によっては、当社グループの事業、経営成績及び株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2016年10月28日開催の定時取締役会において、当社子会社によるCareem Inc.の株式取得を決議し、新株購入契約を締結しました。

また、当社は、2017年2月20日開催の定時取締役会において、会社法第459条第1項第1号の規定による定款の定めに基づき、自己株式の取得に係る事項を決議しました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 47. 後発事象」に記載のとおりです。

 

6 【研究開発活動】

当社の研究開発活動は、当社及び当社グループの開発業務への貢献を目的とし、個々の事業とは別に研究を行っています。日本の拠点に加え、2010年6月には米国ニューヨーク市に、2014年2月にはフランスのパリ市に、2015年7月には、シンガポールと米国ボストン市に研究拠点を設け研究体制の拡大を図っています。研究のテーマは、今後のインターネットの拡大の方向性についてのビジョンに基づき、AI・ディープラーニング、ユーザーインタラクション・AR/VR、大規模・分散処理、そしてそれらを組み合わせた研究領域として、IoT、ドローン技術の4つの研究領域を設定しており、その具体的な内容は下記のとおりです。なお、当社グループの研究開発は、インターネット関連の基礎技術に関するものであり、特定のセグメントに区分することが困難なため、セグメント別には記載していません。当連結会計年度の研究開発に要した費用の総額は9,977百万円です。

 

①AI・ディープラーニング

AI・ディープラーニングでは、当社グループが所有する豊富なテキストデータおよびマルチメディアデータを高度に自動解析する技術や、それらを元に様々なサービスを最適化していく技術を開発することで、各事業に横展開可能な多様なサーチ・レコメンデーション・広告・言語処理のプラットフォーム開発につなげています。

 

②ユーザーインタラクション・AR/VR

ユーザーの技術環境の変化に伴う様々なデバイスやセンサーに対応した、リッチなコンテンツ体験として実現するためのユーザーインタラクションを開発し、当社及び当社グループのサービスレベルを全体的に向上させています。本研究分野はAR/VRなどの最新インタラクションも含みます。

 

③規模・分散処理

当社及び当社グループのシステムの拡大に従って、大量に増え続けるログや顧客・商品データを圧倒的効率性で解析するための、並列・分散等のインフラ処理基盤を開発し、競争力を生み出しています。

 

④IoT、ドローン技術

上記3つの研究技術群の研究領域を組み合わせながら、IoT技術基盤や、ドローン技術の研究開発を行っています。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の資産合計は4,604,672百万円となり、前連結会計年度末の資産合計4,269,953百万円と比べ、334,719百万円増加しました。これは主に、銀行事業の有価証券が100,454百万円減少した一方で、カード事業の貸付金が180,888百万円増加、銀行事業の貸付金が141,756百万円増加したことによるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末の負債合計は3,924,326百万円となり、前連結会計年度末の負債合計3,605,940百万円と比べ、318,386百万円増加しました。これは主に、銀行事業の預金が139,162百万円増加、証券事業の金融負債が72,395百万円増加、社債及び借入金が61,909百万円増加したことによるものです。

 

(資本)

当連結会計年度末の資本合計は680,346百万円となり、前連結会計年度末の資本合計664,013百万円と比べ、16,333百万円増加しました。これは主に、外国為替相場の変動等によりその他の資本の構成要素が19,599百万円減少した一方で、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益を37,995百万円計上したこと等により利益剰余金が33,720百万円増加したことによるものです。

 

(2) 経営成績の分析

(売上収益)

当連結会計年度における売上収益は781,916百万円となり、前連結会計年度の713,555百万円から68,361百万円(9.6%)増加しました。これは、インターネットセグメントにおいて、国内既存事業の堅調な成長に加え、『楽天モバイル』やEbates社の売上収益が順調に増加したこと、FinTechセグメントにおいて、『楽天カード』会員の増加に伴い、ショッピング取扱高やリボ残高が伸長したこと等によるものです。

 

(営業費用)

当連結会計年度における営業費用は677,598百万円となり、前連結会計年度の601,001百万円から76,597百万円(12.7%)増加しました。これは、事業の拡大に伴い、商品及び役務提供に係る原価、広告宣伝費及び販売促進費、従業員給付費用が増加したこと等によるものです。

 

(その他の収益)

当連結会計年度におけるその他の収益は5,323百万円となり、前連結会計年度の26,991百万円から21,668百万円(80.3%)減少しました。これは、前連結会計年度に計上した株式評価益の剥落等によるものです。

 

(その他の費用及び減損損失)

当連結会計年度におけるその他の費用及び減損損失は31,664百万円となり、前連結会計年度の44,856百万円から13,192百万円(29.4%)減少しました。これは、のれん等の減損損失が12,776百万円減少したこと等によるものです。

 

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は77,977百万円となり、前連結会計年度の94,689百万円から16,712百万円(17.6%)減少しました。これは、売上収益が増加した一方、積極的な販促活動による費用増や、前連結会計年度に計上した株式評価益の剥落及び株式市況の低迷の影響等によるものです。

 

(税引前当期利益)

当連結会計年度における税引前当期利益は73,923百万円となり、前連結会計年度の91,987百万円から18,064百万円(19.6%)減少しました。これは、営業利益で説明した要因等によるものです。

 

(法人所得税費用)

当連結会計年度における法人所得税費用は35,922百万円となり、前連結会計年度の47,707百万円から11,785百万円(24.7%)減少しました。これは、課税所得の減少等によるものです。

 

 

(当期利益)

以上の結果、当期利益は38,001百万円となり、前連結会計年度の44,280百万円から6,279百万円(14.2%)減少しました。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は37,995百万円となり、前連結会計年度の44,436百万円から6,441百万円(14.5%)減少しました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ47,240百万円増加し、548,269百万円となりました。このうち、銀行事業に関する日銀預け金は、前連結会計年度末に比べ28,805百万円増加し、376,879百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な変動要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、30,700百万円の資金流入(前連結会計年度は78,245百万円の資金流入)となりました。これは主に、カード事業の貸付金の増加による資金流出が180,741百万円、銀行事業の貸付金の増加による資金流出が141,756百万円となった一方で、銀行事業の預金の増加による資金流入が139,162百万円、証券事業の金融資産及び同負債が変動したことによるネットの資金流入が59,983百万円(金融資産の増加による資金流出が11,725百万円、金融負債の増加による資金流入が71,708百万円)、税引前当期利益73,923百万円、減価償却費及び償却費44,257百万円等を計上したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、26,841百万円の資金流出(前連結会計年度は224,078百万円の資金流出)となりました。これは主に、銀行事業の有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流入が98,790百万円(銀行事業の有価証券の取得による資金流出が249,291百万円、売却及び償還による資金流入が348,081百万円)となった一方で、無形資産の取得による資金流出が42,325百万円、子会社の取得による資金流出が33,612百万円、有価証券の取得及び売却等によるネットの資金流出が32,361百万円(有価証券の取得による資金流出が53,213百万円、売却及び償還による資金流入が20,852百万円)となったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、45,200百万円の資金流入(前連結会計年度は221,831百万円の資金流入)となりました。これは主に、長期借入金の返済による資金流出が163,832百万円となった一方で、長期借入れによる資金流入が212,100百万円となったことによるものです。

 

(4) 収益の認識および表示方法

当社グループは、インターネットサービス及びFinTechサービスを有するグローバル イノベーション カンパニーであり、EC(電子商取引)事業を中心に複数のビジネスを行っています。これらのビジネスから生じる収益は顧客との契約に従い計上しており、変動対価等を含む売上収益の額に重要性はありません。また、約束した対価の金額に重要な金融要素は含まれていません。

 

インターネットサービス

 

インターネットサービスセグメントにおいては、『楽天市場』、『楽天トラベル』、『Ebates』、『楽天ブックス』、『ケンコーコム』、『OverDrive』、『楽天コミュニケーションズ』、『東北楽天ゴールデンイーグルス』等のサービスを提供し、主な収益を下記のとおり認識しています。

 

楽天市場及び楽天トラベル

マーケットプレイス型ECサービスである『楽天市場』や、旅行予約サービスである『楽天トラベル』等においては、取引の場を顧客に提供することをその基本的な性格としています。当社グループは、これらのサービスの運営にあたり、出店者・旅行関連事業者への出店サービス及びシステム利用に関するサービス、当社グループを通じた販売拡大のための広告関連サービス、出店者・旅行関連事業者と消費者の決済に関する決済代行サービス等を提供しています。また、これらのサービスは諸規約に基づき、サービス内容や当事者間の権利と義務が定められており、サービスの内容の区分可能性や顧客への移転パターンに基づき、主な履行義務を下記のとおりに識別して、収益を認識しています。

 

システム利用に関するサービスについて、当社グループは規約に基づき、出店者・旅行関連事業者に対して出店者・旅行関連事業者と主として楽天会員との間での個々の取引の成立に関するサービスの提供を行う義務を負っています。当該履行義務は、出店者・旅行関連事業者と主として楽天会員との個々の取引の成立時点で充足されるものであり、当該履行義務の充足時点で、流通総額(出店者・旅行関連事業者の月間売上高)にサービス別・プラン別・流通総額の規模別に定められている料率を乗じた金額にて収益を計上しています。当該金額は、履行義務の充足時点である取引成立時点から概ね3ヶ月以内に支払いを受けています。

 

広告関連サービスについて、当社グループは広告規約に基づき、出店者・旅行関連事業者に対し期間保証型の広告関連サービスを提供しており、契約で定められた期間に渡り、広告を掲示する義務を負っています。当該履行義務は時の経過につれて充足されるため、当該契約期間に応じて期間均等額で収益を計上しています。広告料金の支払いは、原則として広告掲載開始日が属する月の翌々月末までに行われます。

 

決済代行サービスについて、当社グループは、カード決済規約に基づき、楽天グループのサービスを利用する消費者と出店者・旅行関連事業者との間での決済代行サービスを提供しています。当該サービスにおいては、クレジットカードによる取引代金決済のための取引承認、代金決済情報やキャンセル等のデータを送受信・処理する義務を負っています。当該サービスについては、主に消費者のカード利用取引が生じた時点が履行義務の充足時点となると判断し、同時点で手数料収益を計上しています。当該手数料の支払いは、履行義務の充足後、支払区分に基づいた請求締切日から1ヶ月半以内に受領しています。

 

『楽天市場』への出店サービスについて、当社グループは規約に基づき出店者に対し契約期間に渡り、楽天グループのマーケットプレイス型ECウェブサイトへの出店サービス及び出店コンサルティングサービス等を提供する義務を負っています。当該履行義務は、契約期間に渡り時の経過につれて充足されるものであり、収益は当該履行義務が充足される契約期間において、出店形態別に定められた金額に基づき、各月の収益として計上しています。なお、取引の対価は3ヶ月、半年あるいは1年分を履行義務の充足前である契約時に前受けする形で受領しています。

 

Ebates

『Ebates』においては、Ebates会員に対するキャッシュバックを通じ、Ebates会員による小売業者(顧客)のウェブサイトでの購入を促進するサービス(以下「キャッシュバックサービス」)、ウェブサイトにおける広告掲示、個人向けターゲティングメールサービス等を提供しています。主なサービスであるキャッシュバックサービスに関しては、契約に基づきEbates会員による小売業者のウェブサイトでの購入を促進する義務を負っており、当該履行義務はEbates会員による購入時点が履行義務の充足時点となると判断しています。Ebates会員の購入を確認した時点で購入金額に一定の料率を乗じた金額を手数料として収益計上しており、同時にEbates会員に対するキャッシュバック費用を計上しています。当該サービスの提供により生じる収益及び費用は、『Ebates』が顧客及びEbates会員とのそれぞれに対して価格設定を含む取引の裁量権を有していることから総額にて計上しており、手数料は履行義務の充足時点である注文確定月の月末から概ね3ヶ月以内に支払いを受けています。

 

楽天ブックス及びケンコーコム

インターネットサービスのうち、当社グループが主に楽天会員に対して商品を提供するインターネット通販サイト『楽天ブックス』及び『ケンコーコム』等のサービスにおいては、当社グループが売買契約の当事者となります。これらの直販型の取引においては顧客に商品が到着した時点で収益を計上しています。また、履行義務の充足時期である商品到着後、概ね2ヶ月以内に支払いを受けています。なお、楽天ブックスのうち、国内における書籍(和書)販売については、再販売価格維持制度を考慮すると代理人取引としての性質が強いと判断されるため、収益を関連する原価と相殺のうえ、純額にて計上しています。

 

OverDrive

『OverDrive』においては、図書館・教育機関向けに電子書籍及びオーディオブック等のコンテンツ配信サービスを提供しています。主要な顧客である図書館との契約において、当社グループは契約に基づきコンテンツ配信、ホスティングに係るサービス及びカスタマーサポートを提供する義務を負っています。コンテンツ配信は、図書館によるコンテンツの購入時点が履行義務の充足時点となると判断しており、当該時点にて関連する収益を計上しています。当該履行義務に関する支払いは、請求月から概ね2ヶ月以内に受領しています。ホスティングに係るサービス及びカスタマーサポートの履行義務は、契約期間に渡り時の経過につれて充足されるものであり、収益は当該履行義務が充足される契約期間において、期間均等額で収益を計上しています。なお、取引の対価は各年度において履行義務の充足前に前受けする形で受領しています。

 

 

楽天コミュニケーションズ

『楽天コミュニケーションズ』においては、中継電話事業を中心とした電話関連サービス及びインターネット接続サービス等を提供しています。電話関連サービスについては、契約に基づき、契約者に対して常時利用可能な回線を提供し、当該回線を利用した通話サービスの提供を行うことを履行義務として識別しています。常時利用可能な回線を維持する履行義務については時の経過に基づき、通話サービスの提供については回線の利用に応じて履行義務が充足されると判断しています。したがって、回線の提供については契約期間に渡って期間均等額により収益として計上するとともに、通話サービスの提供については回線の利用状況に応じた回線使用料を各月の収益として計上しています。また、インターネット接続サービスについては、契約期間に渡り、契約者へのインターネット回線の提供を行うことを履行義務として識別しており、回線使用料を各月の収益として計上しています。各月の収益として計上された金額は、利用者により選択された決済手段に従って、クレジット会社等が別途定める支払条件により履行義務充足後、短期のうちに支払いを受けています。

 

東北楽天ゴールデンイーグルス

『東北楽天ゴールデンイーグルス』においては、プロ野球チームの運営を通じて、チケットの販売や関連グッズ等の商品販売、スタジアムにおける広告の掲載等のサービスを提供しています。チケットの販売に関しては、試合が行われる毎に履行義務が充足されると判断しており、当該時点において収益を認識しています。チケット代金は、予約申込成立後、購入者が選択した決済方法に従って、クレジット会社等が別途定める支払条件により支払いを受けています。商品販売については、商品の引渡時点において履行義務が充足されると判断しており、当該引渡時点において収益を認識しています。商品代金は履行義務の充足時点である商品引渡時に受領しています。広告サービスについては、契約で定められた期間に渡り、広告を掲示する義務を負っています。当該履行義務は時の経過につれて充足されるため、当該契約期間に応じて期間均等額で収益を計上しています。広告料金の支払いは、原則として契約期間の開始後4ヶ月以内に行われます。

 

FinTech

 

FinTechセグメントにおいては、『楽天カード』、『楽天銀行』、『楽天証券』、『楽天生命』等の金融サービスを提供し、主な収益を下記のとおり認識しています。

 

楽天カード

『楽天カード』においては、主としてクレジットカード関連サービスを提供しています。主にクレジットカード利用者と加盟店間の資金決済を通じて得られる加盟店手数料、クレジットカード利用者から得られるリボルビング払い手数料、分割払い手数料及びキャッシング手数料を得ています。加盟店手数料に関しては、カード会員のショッピング取引後、加盟店から楽天カード(株)へ売上データが送信されたタイミングにおいて、決済サービスの提供という履行義務が充足されるため、同時点でクレジットカードの決済金額に一定の料率を乗じた手数料収益を計上しています。また、取引価格の1%分の通常ポイントをカード会員に付与しており、これらのポイント費用は加盟店手数料から控除しています。楽天カード(株)はカード会員から基本的に1ヶ月に1回所定の日にカード利用代金の回収を行うため、履行義務充足後、概ね2ヶ月以内に実質的に支払いを受けることとなります。リボルビング払い手数料及び分割払い手数料と融資収益に含まれるキャッシング手数料に関しては、リボルビング残高、分割支払回数及びキャッシング残高に対してそれぞれ一定の料率を乗じた利息収益を、IFRS第9号に従いその利息の属する期間に認識しています。

 

楽天銀行

『楽天銀行』においては、インターネットを通じた銀行業務(預金、貸出、為替)及びその他様々なサービスを提供しています。貸出については、個人向けローンである「楽天スーパーローン」及び住宅ローンである「楽天銀行住宅ローン(金利選択型)」等を取り扱っており、貸出金利息収入を得ています。また、資金運用から生じる有価証券利息等の利息収入も得ています。貸出金利息や有価証券利息等の資金運用収益は、IFRS第9号に従い、その利息の属する期間に収益を認識しています。為替手数料等については、取引が行われた時点で履行義務が充足されるため、同時点において手数料収益を認識しています。

 

楽天証券

『楽天証券』においては、金融商品取引業務とその他の付随業務を提供し、これら取引に付随して発生する手数料やトレーディング損益、利息等を収益の源泉としています。金融商品取引業務には、国内株式取引に加え、外国株式取引、投資信託の販売等、様々な取引が存在し、それぞれの手数料体系は異なっています。現物株式に関する委託取引、信用取引及び投資信託の販売取引等に関連して発生する手数料に関しては、約定日等の取引成立時において履行義務が充足されるため、同時点において手数料収益を計上しています。現物株式取引から生じる手数料については、原則として履行義務の充足後3営業日以内に、信用取引及び先物取引から生じる手数料は建玉の決済が行われる半年から概ね1年以内に受領しています。また、IFRS第9号に従い、外国為替証拠金取引については、公正価値で測定された利得及び損失が売上収益及び営業費用にそれぞれ計上され、国内株式信用取引の建玉に対する金利収益については、その利息の属する期間に収益を認識しています。

 

楽天生命

『楽天生命』においては、生命保険業務を行っており、主たる商品である個人向け保障性生命保険契約からの保険料等収入及び有価証券利息を中心とした資金運用収益を計上しています。保険料等収入を構成する保険料は、IFRS第4号に従い、個別契約ごとに予め定められた保険料率により算定された金額を収益として計上しています。また、資金運用収益については、IFRS第9号に従い、その発生期間に収益を認識しています。

 

(5) 繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産は、それらが利用される将来の課税所得を稼得する可能性が高い範囲内で、全ての将来減算一時差異及び全ての未使用の繰越欠損金及び税額控除について認識しています。当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価にあたり行っている見積りは合理的であり、繰延税金資産が回収可能な額として計上されていると判断しています。ただし、これらの見積りは当社グループとしても管理不能な不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化などにより回収可能性の評価に関する見積りが変化した場合には、将来当社グループが繰延税金資産を減額する可能性もあります。

 

(6) 公正価値で測定する金融資産

当社グループの証券事業の金融資産は、主に短期間で決済されるものであり、公正価値は帳簿価額に近似していることから、当該帳簿価額を公正価値としています。

当社グループの銀行事業の有価証券、保険事業の有価証券及び有価証券については、これらのうち、上場株式の公正価値については連結会計年度末日の市場の終値、非上場株式の公正価値については類似業種比較法等、適切な評価技法を用いて算定しています。債券等の公正価値については、売買参考統計値、ブローカーによる提示相場等、利用可能な情報に基づく合理的な評価方法により算定しています。

当社グループのデリバティブ資産のうち、為替予約については、先物為替相場等に基づき連結会計年度末日の公正価値を算定しています。また、金利スワップの公正価値は、将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び連結会計年度末日の金利スワップの利率により割り引いた現在価値により算定しています。なお、金利スワップ契約の取引相手先は高格付けを有する金融機関に限定しており、信用リスクは僅少であるため、公正価値の算定にあたり考慮していません。

なお、その他の金融資産は、主に短期間で決済されるものであり、公正価値は帳簿価額に近似しています。