第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社グループは、韓流ビジネスを主軸としたメディアコンテンツ企業として、人々の生活をより楽しく、より豊かにし、社会貢献することを経営理念としております。そして①常に利用者・顧客の視点に立ったサービスに努め、②社員をはじめとした構成員の自主性を尊重し、その資質を充分に発揮できる企業文化の育成に努め、③社会、株主、取引先、構成員等のステークホルダーに対し中長期的観点に立って利益の還元を行えるよう収益の確保と拡大に努め、企業価値向上を経営の基本方針としております。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループの事業は、アーティストの活動(コンサートやイベントの開催時期、規模、回数)、大型ドラマ版権の市場価格・流通時期等による事業化の状況、放送事業はドラマ等の番組購入価格や放映時期等より、年度毎の業績変動が大きくなる傾向があります。当社は各事業の収益をプロジェクト単位で管理することで迅速な経営判断を行い、事業により利益率の差はありますが、全体での営業利益、営業利益率などの向上を目標としております。

 また、高度の成長が期待される分野への経営資源の投入、効果効率を徹底的に追求した戦略的資源配分を行うことにより、激変する市場環境の中で売上高を伸張させ、利益を確保し続ける強固な企業体質を構築することを目指してまいります。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、2020年8月にSMEアーティストのマネジメントやイベント開催を主な事業とする株式会社SMEJとの吸収合併を機に、総合メディアコンテンツ企業として事業IPと事業ポートフォリオを拡大してまいりました。

 今後はアーティストラインナップの拡充と当社の強みでもあるIPコンテンツビジネスの更なる強化を推進し、2022年度は新型コロナウイルス感染症の影響からの回復期、2023年度以降は成長期と捉え、事業並びに利益の拡大を目指してまいります。

 

(4) 経営環境

 次期における事業環境については、引き続き物価上昇の影響を受けざるを得ないものの、韓国コンテンツの人気は

継続し、コンサート需要も依然高くコロナ前の水準まで回復するものと思われます。エンターテインメント事業においては通期で165万人の動員を目標としており、第1四半期にはNCT127の東名阪ドームツアー、約1年半ぶりの開催となるSMTOWN LIVE(@東京ドーム)など、既に数件の大型コンサートの開催を発表しています。ライツ&メディア事業においては、多チャンネルサービス加入世帯減少、韓国コンテンツの版権獲得競争が継続し厳しい状況であると予想されますが、韓国作品の人気は継続し当社が保有するアーカイブ作品の視聴需要も引き続き高いと期待されます。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 このような状況の下、エンターテインメント事業ではコンサートの開催やグッズ販売等既存事業を強化することに加えて2組の新規アーティストの日本デビューを予定しています。今期、日本テレビやHulu等にて放送された番組からデビューが決まったNCT WISHは、2月に1stシングルの日韓同時リリースとともに、同月東京ドームで開催されるSMTOWN LIVEへの出演が確定しました。またRIIZEは日本デビュー前にもかかわらず、渋谷宮下パークで単独ポップアップストアを開催するなど高い注目を集めており、今後の活躍が期待されます。

 このようなSMEアーティスト以外にも、次期以降は日本オリジナル新規アーティストの発掘および育成に投資を行ってまいります。これまで多数の人気K-POPアーティストの国内マネジメントを担当してきた経験やSMEグループ会社としてのバリューを活かし、当社ならではの新人発掘・トレーニングシステムの構築を進めています。そのための資金の投入は欠かせないものの、日本オリジナルIPを拡大していくことで当社エンターテインメント事業の収益性改善が期待されます。

 ライツ&メディア事業においては、ライツ事業の新作獲得が厳しい状況が続いておりますが、国内でもファン層の厚い時代劇ドラマの獲得に取り組みつつ、アーカイブ作品の販売に注力してまいります。メディア事業では、加入者純増が期待できるK-POPプレミアムコンテンツを多数かつ定期的に放送することで、新規加入者の獲得と継続視聴の促進を図ってまいります。グループシナジーを活かした編成を行うことで、編成費用は抑えながらK-POPファンの獲得が期待できます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに対する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、現状、サステナビリティに係る基本方針を定めておりませんが、サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他の経営上のリスクと一体的に監視しており、その体制については、その他のコーポレート・ガバナンスの体制と同様となります。

 体制等の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。」

 

(2)戦略

 当社グループでは、最も価値ある資産は「人」と定めており、人的資本を守り強化していくことが、経営戦略上の最重要課題であると位置づけております。よって当社グループ資産において「人」は最も優先すべき事項の一つであり、従業員が豊かな成長を経験し、仕事と生活のバランスを取りながら業務に取り組め、長期にわたり働きやすい企業風土の構築を目指しております。安全で健康的な労働環境は、ビジネスの成果を生むために不可欠な要素であります。従業員の成長を積極的にサポートし、人権尊重を基盤にした働きやすい企業を実現してまいります。

 当社グループは従業員個々の才能や個性が最大限に発揮されることが、持続的な企業成長へ繋がると考えております。このような人的資本経営を推進し、優秀な人材を獲得、これらによって生ずる「人」のパワーを組織全体へ昇華させることで、競争力の強化を目指してまいります。エンターテインメントの源泉であるアーティストやクリエイターのみならず、従業員一人ひとりが持つ力を最大限に発揮することで、我々は社会とともに持続的な成長を築き、人権尊重を基盤にした働きやすい企業を実現してまいります。

 

多彩な人材獲得

 当社グループが継続的に事業を発展させるためには、多様な知見やスキル、価値観を持った人材の確保及び育成が重要と認識しております。そのため、当社グループでは、年齢・性別・国籍等に関係なく、人材の多様性を尊重し、活力ある人材を積極的に登用しております。

 当社グループが属するエンターテインメント業界におきましては、専門性の高い経験者(優秀なマネージャー及びプロデューサー)が慢性的に不足していることから、経験や経歴にとらわれない採用方針を採用し、若手の才能を発掘・育成するために大学生を対象にしたインターンシッププログラムを展開しております。実務経験を通してエンターテインメント業界に親しんでもらい、将来のキャリア形成を支援して参ります。中途採用の拡充のみならず、社内研修の機会などを設け、多様な従業員が持つ知識と経験を企業財産へと集約させてまいります。これは当社グループが「人」を最も価値のある資産と位置づけ、多様な人材が集まり、様々な才能や個性を持つ従業員一人ひとりの可能性を最大化させ、活力溢れる企業風土を生み出すために進めている人的資本経営の一環であります。

 仕事を通して社会へ貢献することで、個人と企業がともに成長する環境と風土醸成を積極的に推進していくことは、ビジネス活動のみならず、組織全体がともに発展し、持続的な成功を収めるための基盤であります。当社は今後、LGBTQ+の理解促進にも積極的に取り組んでまいります。ダイバーシティーの推進を一層強化させ、従業員やアーティストが多様な価値観を尊重し合える場を提供することで、性別や性的指向に関係なく、全ての従業員やアーティストが安心して働ける環境を整備してまいります。今後も人事の基本方針および人材育成方針のアップデートに努め、計画的な人材採用と育成を推進し、従業員一人ひとりが意欲と活力をもって働ける職場環境を築いてまいります。

 

女性の活躍推進及び男性の育休取得率向上

 当社グループの男女管理職比率は、男性61.3%、女性38.7%と男性に比べると女性の比率が低くなっております。これは主に男性従業員の勤続年数が女性従業員と比較し長いことに起因しておりますが、全体的なバランスに改善の余地があると考えております。現状を鑑み、リーダーシップの高い女性従業員が積極的にキャリアアップを築け、管理ポジションを目指せる環境の整備に向けて、引き続き注力してまいります。ライフスタイルの変化に影響を受けやすい女性の活躍をサポートするためには、外部講師によるキャリア開発研修や意識改革を実施し、管理監督者も含めた企業全体の意識改革にも積極的に取り組んでまいります。また、男性従業員の育児休業については、対象者が限定的であり、現時点における実績はありません。今後は育児休業への理解促進啓蒙活動や個別面談を通じ、取得率向上に取り組んでまいります。性別に囚われることのない働きやすさを追求し、キャリア採用及び従業員の教育・研修制度の拡充等の専門性の強化に向けた取り組みを実施してまいります。

 

 

健康経営

 当社グループでは、最も価値ある資産は「人」であることから、従業員一人ひとりが健康で活力溢れる生活を送ることで得られる、従業員と家族の幸せが、当社グループの事業発展には必要であると強く認識しております。お客様を笑顔にするエンターテインメントを提供するためには、当社グループで働く従業員が心身ともに健康であることが不可欠です。そのため、心と体の健康を維持するための環境を構築し、主体的な健康管理をサポートしております。特にメンタルヘルスに関する支援として、オンライン相談窓口「Smart相談室」を設置し、従業員の健康相談への対応や診断後のフォローアップを行っています。また、当社グループは、新たに入社した従業員が円滑かつ早期に組織に適応し、能力が発揮できるよう、定期的な個人面談を通じてフォローアップを実施しております。これにより、従業員の心身の健康を向上させるだけでなく、早期離職率の改善及び労働安全衛生の確保を図る等、従業員が安心して働ける環境の醸成に注力しており、今後も継続してまいります。さらに、ワークライフバランスの向上を重視するため、有給休暇のほかに年4日間のリフレッシュ休暇を設けています。リフレッシュ休暇は、従業員の業務に対する意欲と生産性の向上を図るため設置いたしました。当社グループは今後もワークライフバランスの向上に向けた施策を推進し、従業員一人ひとりが充実感を感じながら働ける環境を提供してまいります。

 

(3)リスク管理

 当社グループでは、サステナビリティ関連のリスク及び機会の識別は、常勤取締役及び常勤監査役で構成される「リスクマネジメント及びコンプライアンス委員会」で行われます。識別されたリスクのうち、特に経営に大きな影響を与える重要なリスクにつきましては、当該委員会より経営会議、代表取締役、取締役会に対して報告及び提言を行っております。

 

(4)指標及び目標

 前述のとおり、当社グループはサステナビリティ戦略として人的資本を最重要視しており、2025年度までにおける目標として、以下指標を設定しております。今後も従業員が豊かな成長を経験し、仕事と生活のバランスを取りながら業務に取り組め、長期にわたり働きやすい企業風土の構築を目指してまいります。

 

2023年度(現状)

2025年度(目標値)

有給休暇取得率

59%

70%

ストレスチェック受検率

69%

80%

男性労働者の育休休暇の取得率

-

100%

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及

びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりでありま

す。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避や発生した場合の適切な対応に努めてま

いります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 自然災害や感染症の流行等による影響について

 当社グループは、韓国有数のアーティストホルダーであるSMEアーティストの日本におけるマネジメントやイベント開

催を中心事業の一つとしております。しかしながら、ライブやコンサート等のオフラインイベントは地震や火災といった

自然災害等やウィルス感染症の影響を受けやすい事業であり、政府や自治体からの要請で当該イベントの中止や延期の判

断をせざるを得ない状況となります。そのため自然災害等の発生やウィルス感染症が流行した場合、ライブやコンサート

及びイベントの延期や中止、それに伴うチケットの払い戻し、営業時間短縮や臨時休業、コンテンツ制作やMDの生産販売

スケージュールへの影響が想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではそのよう

な事態に備え、オフラインイベント毎の保険加入等によるリスクヘッジを行っております。

 

(2) アーティストについて

 アーティストの活動が休止した場合は、当社グループの業績に影響がある可能性があります。特に当社グループの事業は「韓流コンテンツ」を中心としております。そのため主要な男性アーティストや男性アイドルが兵役のため一定期間芸能活動を休止せざるを得ない、グループでの活動を制限せざるを得ない状況によりファン離れが生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ヒットコンテンツの有無により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、アーティストとの契約は期間が限定されており、当該契約が継続されなかった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、アーティスト自身が法令違反や信用失墜行為等のトラブルを起こした場合や、そのようなトラブルを起こしたとの報道がなされた場合、或いはそのような風評が流布された場合にはレピュテーションリスクが生じる可能性があります。

 

(3) アーティストの発掘・育成について

 消費者の嗜好や流行の変化等によりアーティストの人気も影響を受けます。当社グループは特定のアーティストに依存することがないよう継続的なアーティストの確保と、様々な活動領域をもつアーティストの拡充を図るため、アーティストを発掘・育成する体制の整備を進めております。しかし、育成には長期に渡る先行投資が不可欠であり、また将来どの程度の収益を当社グループにもたらすかについては予測が困難です。そのため、収益次第では当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) ソーシャルネットワークサービス(以下、「SNS」といいます。)による情報発信について

 当社グループは、アーティスト及びサービスの情報を発信することを目的としてSNSを活用しております。しかしながら、SNSにて発信した情報が、本来の意図と異なった内容や誤った情報として拡散された場合、当社グループの事業活動に支障を来たし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 著作権等について

 当社グループが配信、放送及び商品化等するコンテンツは、著作権或いは肖像権等と深く係わっていることから、問題が発生しないよう契約段階から細心の注意を払い、厳重に取扱っております。しかしながら意図せずに第三者に著作権を侵害されたり、また、意図せずに第三者の著作権を侵害してしまう可能性があります。また、海外やインターネット上での権利侵害に対しては、法規制その他の問題から、知的財産権の保護を十分に受けられない可能性があります。そのような事態になった場合、取扱う著作物の著作権者や肖像権者等が損害を被り、当社グループに対して損害賠償や使用差止等の訴訟を起こす可能性があります。万が一、これらの訴訟を起こされた場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 個人情報について

 当社グループは、コンテンツ配信、ファンクラブ運営、e-コマースサイトでの物販等を行っているため個人情報を取得しております。提供サービスの信頼性を確保すべく、個人情報の外部への漏洩や、不適切な利用等防止のため、個人情報管理を事業運営上の最重要事項と捉えており、情報管理に関する社内規程の改定、外部委託先へのモニタリングの実施や改善要請、情報漏洩対応マニュアルの策定、従業員向けセキュリティハンドブックの策定と配布、従業員研修の実施、個人情報の取得・利用・管理・廃棄等に関する管理者の設定、システムセキュリティを強化する等、情報管理の強化に努めております。しかしながら、不測の事態により万が一情報漏洩等の事故が発生した場合には、当社グループの社会的信用力は失墜し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 欠陥商品・製品回収について

 当社グループは、所属アーティスト等のグッズ製作及び輸入販売を主としたMD事業を展開しており、その一部製品に欠陥、異物混入等が発生し、商品交換や製品回収等の事態になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) コンサート制作費等の高騰について

 円安や不安定な国際情勢、国内興行数の増加等外的要因による人件費や会場費、原油等といったコンサート制作に係る費用が高騰を続けた場合、その一部をチケット料金に反映し収益を確保する一方、十分に転嫁できる保証はなく、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)海外取引のリスクについて

 当社グループは、ドラマ等映像作品をはじめとした事業の収益源であるコンテンツを主に韓国から調達しております。そのため、外貨建の取引において為替レートリスクに晒されております。支払時期の調整等により為替レートリスクの軽減に努めておりますが、十分に回避できるものではありません。また著作権に関する法的規制、税法上の問題、並びに渉外上の法的事項について最大の留意をする必要性があります。これらのリスクに加え、国際関係等による影響により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)映像作品の買付・製作について

 当社グループは、ドラマ等映像作品買付・製作のための投資については、大型案件に関しては原則として共同事業体方式を採っており、当社が幹事会社として出資を募る場合と、他社へ出資参加する場合があります。買付・製作した映像作品は、テレビ放映権、ビデオグラム化権、商品化権、イベント開催等、作品に係るより多くの権利を得ることで投資回収率を高めるよう努めております。また、過剰な先行投資がリスクであると認識し、投資残高に一定金額の制限を設けております。しかしながら、個々の作品の視聴率や投資から回収までの期間が長期化することなどによる収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合等には、損失が生じる可能性があります。また市場環境の変化による商品販売数の低迷などによる損失リスクもあります。また、韓流ブームが世界規模での拡大を見せる中、韓国コンテンツの価格高騰や市場供給量の減少により、以前にも増して版権の獲得が困難な状況におかれています。そのため当社グループは、市場は小規模ながら近年人気を高めている中国や台湾等の他アジア圏における良質なコンテンツの獲得や販売にも注力しておりますが、今後も人気の高い韓国コンテンツが獲得できない状況が続いた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)個々の作品やイベント等による業績変動について

 大型イベントの開催は短期間での営業収入を急増させますが、開催時期が不定期であるため四半期毎や連結会計年度での業績変動が大きくなる可能性があります。また、インターネットを使った有料動画配信サービス市場(OTT市場)の急拡大に伴いDVD・BD市場は縮小の一途を辿っていることから、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)放送事業について

 当社グループは、CS放送、CATV、IPTVにより有料放送サービスを提供しております。有料放送市場が成熟し成長ペースが減速する場合、放送サービスの加入者減少が懸念され、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、有料放送市場において競合チャンネルとの差別化を図り事業を展開しております。しかしながら、地上波放送、BS放送、CS放送、CATV、IPTVに加え、インターネットを使った動画配信サービスが次々と誕生している中、番組コンテンツの獲得や加入者の獲得での競争は年々激しくなっていることから、加入者数が想定に届かない場合等には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)人材の確保について

 当社グループが継続的に事業を発展させるためには、多様な知見やスキル、価値観を持った人材の確保や人材育成が重

要と認識しております。特に当社が属するエンターテインメント業界におきましては、専門性の高い経験者(優秀なマネ

ージャー及びプロデューサー)が慢性的に不足していることから、労働環境や待遇面などに配慮しながら人材の確保と人

材育成に努めてまいります。しかしながら、当社のようなK-POPアーティストのマネジメントを行う企業は限られて

いるため、人材獲得競争の激化により当社が求める人材を十分に獲得できない場合、また、必要な人材の流出が生じた場

合には、当社グループの事業活動に支障又は制約が生じる可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)ストック・オプションの権利行使による株式価値の希薄化について

 当社は、業績の向上による長期的な企業価値向上を目的としたストック・オプションを取締役や従業員に対して発行し

ております。2023年12月31日現在におけるストック・オプションによる潜在株式数は13,841,000株であり、発行済株式総

数115,904,831株の11.9%に相当します。今後同時期にストック・オプションの権利行使が行われた場合、当社株式の価

値が希薄化する可能性があります。

 

(15)株式の流動性について

 当社は、2021年12月17日に公表いたしました「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」に記載のとおり、当

社株式を保有している親会社に対して取引市場及び取引市場外での売却を強く要請した他、投資家セミナーへ積極的に参

加して当社及び当社株式の周知を図ってまいりました。一方、当社は「合併等による実質的存続性の喪失に係る猶予期間

入り銘柄」に指定されており、2023年12月31日までに猶予期間入り銘柄から解除されない場合は上場廃止となる可能性が

ありました。当社の猶予期間入り銘柄の解除は当社株式のスムーズな売却を行うためにも必須であることから、親会社も

当該解除の状況を慎重に見極めており、当社は2023年6月15日付で猶予期間入り銘柄から解除されましたが、2023年1月

から2023年12月までの間、親会社からの株式売却は実行されませんでした。また、2023年12月31日時点の株主名簿におい

て10%以上を保有する大株主が増加したこともあり、2023年12月31日時点の流通株式比率は9.1%と、上場維持基準であ

る25%を大きく下回る結果となりました。

 当社は今回の結果を重く受け止め、当初提出した「上場維持基準の適合に向けた計画書」に記載の計画期間を2025年12

月末まで延長し、当該期間中、親会社並びに大株主である事業会社に対し、当社の上場維持への賛同並びに所有する当社

株式の一部を取引市場及び取引市場外で売却するよう、状況改善に向けて今以上の働きかけを行ってまいります。

 しかしながら、株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準の経過措置が終了するまでに当該要件を充たすことがで

きない場合には、グロース市場において当社株式の上場を維持することができず、株価又は流動性に悪影響を及ぼす可能

性があります。

 

(16)親会社グループとの関係について

 当社グループの親会社は株式会社エスエム・エンタテインメント・ジャパン及びその親会社であるSM ENTERTAINMENT

Co.,Ltd.並びにその親会社であるKakao Corp.(以下、「親会社」といいます。)であり、当社グループは連結子会社と

して親会社グループに属しております。Kakao Corp.は韓国最大の無料通信メッセンジャーアプリである「カカオトー

ク」を展開する大手IT企業であり、同社の連結子会社であるKakao Entertainment Corp.と共に2023年3月28日までにSM

ENTERTAINMENT Co.,Ltd.の普通株式9,501,041株(SM ENTERTAINMENT Co.,Ltd.の発行済株式の39.87%、同社の自己株式

を除いた議決権所有割合40.53%)を取得したことにより当社グループの親会社となりました。これにより当社グループ

の親会社は3社となりましたが、当社グループの経営方針や事業展開等に係る意思決定にあたっては、親会社から事前承

認を必要とする事項はなく、当社の取締役(独立社外取締役を含む。)が独自の経営判断に基づき行っております。当社

グループは、親会社からの一定の独立性を確保しており、当社グループや少数株主の利益を害することはないと判断して

おります。

 なお、親会社は当社と連結関係を維持するために必要となる株式数を継続的に所有する方針であり、そのため、当社の

取締役の選任・解任、合併その他の組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社グループの定款の変更及び剰余金の配当等

の基本的事項の決定権又は拒否権に関して、他の株主の意向にかかわらず親会社が影響を与える可能性があります。

 ①親会社グループにおける当社グループの位置付け

  親会社グループは、韓国を代表する総合エンターテインメント企業であるSM ENTERTAINMENT Co.,Ltd.を中心とした

 SMEグループと韓国の大手IT企業であるKakao Corp.を中心としたグループ(以下、「Kakaoグループ」といいます。)があります。SMEグループは、音楽制作、音楽著作物出版、音楽著作権管理、作家・演奏家・歌手・俳優のマネジメント及びプロデュース、オーディションによるタレントの発掘及び育成、コンサート及び音楽イベントの企画制作等を主な事業としております。中でも日本のマーケットを重要視しており、当社グループはSMEアーティストの日本におけるマネジメント事業を独占的に受託しております。

 一方、Kakaoグループは、前述の「カカオトーク」を中心にeコマース、モビリティ、オンライン決済サービス、オン

 ラインゲーム、音楽制作、音楽配信、電子書籍など事業の多角化を推進する大規模企業グループでありますが、当社グ

 ループの事業に影響を与える競合はないものと考えております。

  しかしながら親会社のグループ会社に対する考え方に変更が生じた場合には、当社グループの事業や業績に影響を及

 ぼす可能性があります。

 ②当事業年度末現在の親会社及び親会社グループとの関係について

  (1)資本関係

   親会社である株式会社エスエム・エンタテインメント・ジャパンの持株比率(直接保有)は75.0%(86,968,000

  株)、その親会社であるSM ENTERTAINMENT Co.,Ltd.(間接保有)は82.2%(95,244,525株)、その親会社である

  Kakao Corp.(間接保有)は82.2%(95,244,525株)を保有しており、当社グループに対する大株主としての一定

  の権利を有しております。このことから、当社株式の議決権行使により当社の経営等に影響を及ぼし得る立場にあ

  り、親会社の利益は他の株主の利益と一致しない可能性があります。

  (2)人的関係

 [役員の兼任]

   当社役員につきましては、当社取締役2名が親会社グループの取締役を兼任しております。当社取締役の山田政彦

  氏は、親会社グループの戦略レベルの情報を入手する目的で株式会社エスエム・エンタテインメント・ジャパンの取

  締役を兼任しております。また、2023年3月22日開催の当社第53回定時株主総会において新たに当社取締役に就任し

  た金亨柱氏は、株式会社エスエム・エンタテインメント・ジャパンの取締役と株式会社SMEJ Plusの代表取締役を兼

  任しております。株式会社SMEJ Plusは取締役会非設置会社であり、取締役は金亨柱氏1名のみであります。株式会

  社SMEJ Plusの前代表取締役の辞任に伴い、急遽同社の代表取締役に就任いたしました。親会社の取締役兼任は2名

  となりましたが、当社グループの事業活動上の制約はなく、経営判断においては自主独立が尊重されております。

  なお当社は、金享柱氏が代表取締役を兼任している株式会社SMEJ Plusに対して自社開発したファンクラブ専用シス

  テムを賃借しておりますが、その取引額は僅少であり、当社グループへの影響はありません。

 [出向者]

   当社は、親会社である株式会社エスエム・エンタテインメント・ジャパンより1名出向者を受け入れており、企業

  セミナーの資料作成や投資家対応等のIR関連業務に従事しておりますが、当社グループの重要な意思決定に大きな

  影響を与える職位ではありません。その他、親会社グループからの出向者はおりません。

  (3)取引関係

   親会社とは、下表の取引をはじめ番組制作やブランド使用に係る取引が発生しており、取引高は2022年12月期における当社グループ仕入高の約43%、2023年12月期仕入高の約68%を占めております。今後も親会社との取引が増加することが見込まれますが、親会社から当社への事業上の制約はなく、親会社に対して主体的に日本でのイベント開催等の企画や提案を行うなど対等な取引関係構築に努めておりますが、後の親会社の事業方針の転換や財政状況の悪化が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、その他の親会社以外の親会社グループとは番組制作や版権購入に係る取引がありますが、全体に占める割合は低く当社事業に与える影響は低いものと認識しております。

 

種類

会社等の名称又は氏名

所在地

資本金

(百万ウォン)

事業の内容又は職業

議決権等の所有(被所有)割合(%)

関連当事者との関係

取引の内容

取引金額

(千円)

科目

期末残高

(千円)

親会社

SM ENTERTAIN

MENT

Co.,Ltd.

大韓民国

ソウル市

11,915

エンターテインメント事業

(被所有)

間接

(82.2)

マネジメント契約関係

ロイヤリティの支払

 

 

制作費の

立替

4,718,016

 

 

 

377,463

 

買掛金

前渡金

 

その他(流動資産)

3,938,083

4,000

 

 

137,913

 

 

当社は、すべての親会社グループとの取引において、第三者との取引同様の交渉プロセスを経て価格決定を行い、その取引が当社の経営の健全性を損なっていないか、合理的判断に照らし合わせて有効であるか等に留意しております。また親会社から独立した立場の社外取締役が出席する取締役会において、定期的な価格交渉・審議の上、当社独自の判断で意思決定を行うことで、公正で適切な取引関係の維持に努めております。

 

以上に記載いたしました影響を与える事項について、当社グループが対応できなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における当社グループに関連する市場につきましてはコンサート市場については新型コロナウイルスからの社会経済活動の正常化が進み大型コンサートの開催数および動員数は増加傾向にありコロナ前の水準まで戻りつつありますその一方で不安定な世界情勢の長期化等による物価上昇が続くなどコンサート制作費の上昇が続いていますメディア業界では多チャンネルサービス加入世帯は減少し続けているもののOTTサービスなど新しいメディアの利用は増加しています特に韓国コンテンツの人気は堅調で新作のみならず旧作の視聴ニーズも高い状況が続いています

 このような経営環境の中当社グループの当連結会計年度におきましてエンターテインメント事業ではスタジアムやドームなどの大型公演を含む計128公演のコンサートを行い本年度のKPIである約155万人の動員を達成しました特に大きな公演としてはNCTグループ初となる全ユニットが出演するコンサートを味の素スタジアムとヤンマースタジアム長居で計4日間行い約22万人を動員しました

 ライツ&メディア事業ではライツ事業においてはアーカイブ作品の販売を強化しており特に上期には新規OTTサービスへの大型納品をした他地上波およびBS・CS放送への版権販売も引き続き行いました放送事業ではKNTVにてK-POPプレミアムコンテンツを計17作品放送しKPIを超過達成しました

 この結果当連結会計年度の売上高は8,910百万円(前年同期比25.9%増)営業利益は181百万円(前年同期は381百万円の営業損失)経常利益は191百万円(前年同期は366百万円の経常損失)親会社株主に帰属する当期純利益は261百万円(前年同期は303百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました

 

 セグメント別の業績は次のとおりであります。

(エンターテインメント事業)

 コンサート事業においては大型コンサートを含む128公演開催し約155万人を動員しました東方神起の全国ツアーNCT初のスタジアムコンサートaespaによるデビュー後最速東京ドーム公演を含む日本ツアー等それぞれ20万以上を動員した超大型コンサートも開催しました動員目標は達成したものの制作費の高騰によりコンサート事業の売上高は当初予想を下回りましたがこのような大型公演を開催したことによりMD販売が想定より好調に推移しました

 下期には日本テレビやHulu等で放送されたサバイバルオーディション番組からNCTの新ユニットとなるNCT WISHがプレデビューし全国9都市24公演のファンイベントを行いました彼らは2024年2月に正式デビューを発表しており今後日本を中心に活動予定です

 MD事業では大型コンサートを多数開催したためコンサートグッズの販売が好調に推移しました他にもポップアップストアの展開やアミューズメント専用景品の制作などアーティストIPを活用しコンサートの開催有無に関わらず収益をあげられるビジネスも積極的に強化しています

 音楽事業では6タイトルの音源を発売しました2月にはNCT DREAMの日本初となるシングルBest Friend Everをリリースしオリコン週間ランキング1位を獲得しましたその他には東方神起のシングルPARALLEL PARALLEL」「Lime & LemonやCHEN(EXO)の1stミニアルバムポラリス等を発売しいずれもオリコン週間ランキングの上位を獲得しています

 音楽事業以外の活動におきましてはNCT 127の日本人メンバーYUTAがテレビ東京系ドラマ25クールドジ男子にて初主演を務めた他NCT 127が大塚製薬ボディメンテのCMに出演する等積極的にメディアに露出する機会を増やしアーティストの認知度向上による新たなファン獲得に向け活動してまいりました一方で弊社がマネジメントを行う他社アーティスト(俳優等)については予定していたイベントの開催ができず当初売り上げ予想を下回りました

 この結果売上高は6,330百万円(前年同期比70.5%増)セグメント利益は541百万円(前年同期比635.2%増) となりました

 

(ライツ&メディア事業)

 ライツ事業では韓国作品の需要上昇による価格高騰が続いており新作獲得競争が激化していますが、「朝鮮弁護士(原題)等の国内でもファン層の厚い新作時代劇ドラマやSMEアーティストが出演するバラエティaespaのSynk Road等を獲得し販売しましたまた当社が既に保有している多数のアーカイブ作品の販売を強化しており収益に貢献しています上期においては新規OTTサービスに対して大型納品を行った他下期では当社保有の夫婦の世界(原題)がフジテレビにて放送、「御史(オサ)とジョイがNHK BS等にて放送されましたその他の人気作品も地上波およびBS・CSチャンネルから多数放送されました

 メディア事業においてはグループシナジーを活用したK-POPプレミアムコンテンツの放送に注力しKPIを上回る計17作品を放送しましたKNTVでは従来韓国ドラマを中心に編成をしておりましたがK-POPプレミアムコンテンツの放送によりドラマファンのみならずK-POPファンの新規獲得も図っています12月には国内でも高い人気を誇る東方神起のデビュー20周年記念コンサートを生放送した他韓国の年末授賞式も多数放送し開局以来最高の加入者純増を記録していますしかしながら加入者数は月によって増減があり通年では当初予想を下回る結果となりました来期においては多くの加入者純増が期待できるK-POPプレミアムコンテンツの編成をより強化してまいります

 この結果売上高は2,579百万円(前年同期比23.2%減)セグメント利益は328百万円(前年同期比121.0%)となりました

 

(その他事業)

 その他事業では、売上高0百万円(前年同期比91.2%減)セグメント損失31百万円(前年同期は41百万円の営業損失)となりました。

 

 また、当連結会計年度末における総資産は12,675百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,607百万円増加いたしました。流動資産は10,426百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,302百万円増加いたしました。その主な要因は、現金及び預金が1,002百万円減少したものの、売掛金が2,468百万円増加したことによるものであります。また、固定資産は2,248百万円となり、前連結会計年度末に比べ305百万円増加いたしました。その主な要因は、投資有価証券が260百万円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末の負債は5,464百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,089百万円増加いたしました。流動負債は4,821百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,982百万円増加いたしました。その主な要因は、買掛金が1,821百万円増加したことによるものであります。また、固定負債は642百万円となり、前連結会計年度末に比べ107百万円増加いたしました。その主な要因は、繰延税金負債が102百万円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末の純資産は7,210百万円となり、前連結会計年度末に比べ517百万円増加いたしました。その主な要因は、その他有価証券評価差額金が115百万円、非支配株主持分が64百万円、また親会社株主に帰属する当期純利益261百万円により増加したものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,002百万円減少し、2,413百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は、1,044百万円(前期は113百万円の使用)となりました。

収入の主な内訳は、仕入債務の増加額1,821百万円、支出の主な内訳は、売上債権の増加額2,468百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果獲得した資金は、39百万円(前期は222百万円の使用)となりました。

収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入51百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、0百万円(前期は17百万円の使用)となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

 当社グループは、エンターテインメント事業として、マネジメント事業、音楽制作事業、イベント事業、ファンクラブ運営事業、МD事業及びライツ&メディア事業として、ドラマ等版権事業、放送事業、オンライン配信事業を主体とする会社であり、生産能力を測定することが困難なため、生産能力の記載は行っておりません。

b. 受注実績

 当社グループは受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。

c. 販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比 (%)

エンターテインメント事業 (千円)

6,330,452

70.5

ライツ&メディア事業  (千円)

2,579,981

△23.2

    報告セグメント計 (千円)

8,910,433

26.0

その他事業 (千円)

485

△91.2

合計 (千円)

8,910,919

25.9

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

エイベックス・エンタテインメント株式会社

1,570,130

22.2

2,276,806

25.6

エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ株式会社

1,446,311

16.2

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度末における総資産は12,675百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,607百万円増加いたしました。流動資産は10,426百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,302百万円増加いたしました。その主な要因は、現金及び預金が1,002百万円減少したものの、売掛金が2,468百万円増加したことによるものであります。また、固定資産は2,248百万円となり、前連結会計年度末に比べ305百万円増加いたしました。その主な要因は、投資有価証券が260百万円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末の負債は5,464百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,089百万円増加いたしました。流動負債は4,821百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,982百万円増加いたしました。その主な要因は、買掛金が1,821百万円増加したことによるものであります。また、固定負債は642百万円となり、前連結会計年度末に比べ107百万円増加いたしました。その主な要因は、繰延税金負債が102百万円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末の純資産は7,210百万円となり、前連結会計年度末に比べ517百万円増加いたしました。その主な要因は、その他有価証券評価差額金が115百万円、非支配株主持分が64百万円、また親会社株主に帰属する当期純利益261百万円により増加したものであります。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度の60.1%から50.7%に減少し、1株当たり純資産は52円23銭から55円50銭と増加しております。また、流動比率、当座比率についても一定の水準を満たしており、当社グループの健全な財務の安定性を維持していると認識しております。

また、当連結会計年度の売上高は8,910百万円(前年同期比+25.9%増)、営業利益は181百万円(前年同期は381百万円の営業損失)、経常利益は191百万円(前年同期は366百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は261百万円(前年同期は303百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 経営成績の状況とそれらの要因につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a. キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b. 資金需要

 当社グループの事業活動における資金需要は、営業活動については、放送事業での番組、版権事業でのコンテンツ事業権等の棚卸資産の購入及び製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資活動については、事業伸長、生産性向上等への設備投資への取得等であります。

c. 財務政策

 当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。営業活動及び投資活動とも内部資金を財源として行うことを基本としておりますが、財務状況により機動的な資金の調達先として銀行借入を選択する場合もあります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、下記の重要な会計方針が連結財務諸表の作成に当たって使用される重要な見積り及び判断に大きな影響を及ぼすと考えております。当社グループの経営陣は、連結財務諸表等の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに事業年度における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び判断を行わなければなりません。しかしながら、当社グループの経営陣は、過去の実績、現在の経済環境、その他の様々な要因に基づいて見積り及び判断を行っているため、実際の業績とは大きく異なる可能性があります。

  当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの事業は、ライツ&メディア事業は大型ドラマ版権の市場価格・流通時期等による事業化の状況、ドラマ等の番組購入価格や放映時期の状況、エンターテインメント事業はアーティストの活動等により、年度毎の業績変動が大きくなる傾向があります。当社は各事業の収益をプロジェクト単位で管理することで迅速な経営判断を行い、事業により利益率の差はありますが、全体での営業利益、営業利益率などの向上を目標としております。

 

 当社グループは、衛星放送契約者数の減少傾向が続くことによる視聴料収入の伸び悩みや大型案件の終了に伴うファンクラブ事業収入への影響等、厳しい経営環境の中において、既存事業の業績改善に積極的に取り組むとともに、一部業務の内製化による費用削減を進め、今後の成長に向けた専門的人材の採用やコンテンツ開発等の先行投資も行っております。今後は各事業の継続的且つ安定的な収益確保に加え、アーティストとメディアとの連携による付加価値の創出並びに他SMEグループとの連携強化等により、継続的な増収増益を目指してまいります。

 

 次期の各事業部門見通しについては次のとおりであります。

(エンターテインメント事業)

 エンターテインメント事業においては通期で165万人の動員を目標としており第1四半期にはNCT127の東名阪ドームツアー約1年半ぶりの開催となるSMTOWN LIVE(@東京ドーム)など既に数件の大型コンサートの開催を発表しています

 エンターテインメント事業ではコンサートの開催やグッズの販売等既存事業を強化することに加えて2組の新規アーティストの日本デビューを予定しています今期日本テレビHulu等にて放送された番組からデビューが決まったNCT WISHは2月に1stシングルの日韓同時リリースとともに同月東京ドームで開催されるSMTOWN LIVEへの出演が確定しましたまたRIIZEは日本デビュー前にもかかわらず渋谷宮下パークで単独ポップアップストアを開催するなど高い注目を集めており今後の活躍が期待されますこのようなSMEアーティストIP以外にも次期以降は日本オリジナル新規アーティストの発掘および育成に投資を行ってまいりますこれまで多数の人気K-POPアーティストの国内マネジメントを担当してきた経験やSMEグループ会社としてのバリューを活かし当社ならではの新人発掘・トレーニングシステムの構築を進めていますそのため資金の投入は欠かせないものの日本オリジナルIPを拡大していくことで当社エンターテインメント事業の収益性改善が期待されます

 

(ライツ&メディア事業)

 ライツ&メディア事業においては多チャンネルサービス加入世帯減少韓国コンテンツの版権獲得競争が継続し厳しい状況であると予想されますが韓国作品の人気は継続し当社が保有するアーカイブ作品の視聴需要も引き続き高いと期待されます

 このような状況の下、ライツ事業におきましては新作獲得が厳しい状況が続いておりますが国内でもファン層の厚い時代劇ドラマの獲得に取り組みつつアーカイブ作品の販売に注力してまいりますメディア事業では加入者純増が期待できるK-POPプレミアムコンテンツを多数かつ定期的に放送することで新規加入者の獲得と継続視聴の促進を図ってまいりますグループシナジーを活かした編成を行うことで編成費用は抑えながらK-POPファンの獲得が期待できます

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。