文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、韓流ビジネスを主軸としたメディアコンテンツ企業として、人々の生活をより楽しく、より豊かにし、社会貢献することを経営理念としております。そして①常に利用者・顧客の視点に立ったサービスに努め、②社員をはじめとした構成員の自主性を尊重し、その資質を充分に発揮できる企業文化の育成に努め、③社会、株主、取引先、構成員等のステークホルダーに対し中長期的観点に立って利益の還元を行えるよう収益の確保と拡大に努め、企業価値向上を経営の基本方針としております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループの事業は、アーティストの活動(コンサートやイベントの開催時期、規模、回数)、大型ドラマ版権の市場価格・流通時期等による事業化の状況、放送事業はドラマ等の番組購入価格や放映時期等より、年度毎の業績変動が大きくなる傾向があります。当社は各事業の収益をプロジェクト単位で管理することで迅速な経営判断を行い、事業により利益率の差はありますが、全体での営業利益、営業利益率などの向上を目標としております。
また、高度の成長が期待される分野への経営資源の投入、効果効率を徹底的に追求した戦略的資源配分を行うことにより、激変する市場環境の中で売上高を伸張させ、利益を確保し続ける強固な企業体質を構築することを目指してまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、2020年8月にSMEアーティストのマネジメントやイベント開催を主な事業とする株式会社SMEJとの吸収合併を機に、総合メディアコンテンツ企業として事業IPと事業ポートフォリオを拡大してまいりました。
今後は、アーティストラインナップの拡充に加え、当社の強みであるIPコンテンツビジネスを一層強化し、エンターテインメント事業においてコンサート事業以外の分野を拡大していきます。さらに、2025年度以降は、当社オリジナルIPの創出をはじめ、音楽流通、音楽出版、旅行、ファンクラブ企画といった新規ビジネスを展開し、成長を加速させることで、事業規模および収益のさらなる拡大を目指してまいります。
(4) 経営環境
次期における当社グループに関連する事業環境につきましては、為替や物価高騰の影響を受けざるを得ないものの、国内コンサート市場の成長は継続し、その規模は拡大していくことが予想されています。また、K-POPの人気は依然高いことが予想され、概ね前期同様の経営環境になる見通しです。国内映像関連市場においては、前期同様、供給量に一定の制約はあるものの、韓国コンテンツの人気は継続し当社が保有するアーカイブ作品の視聴需要も高いことが期待されます。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
このような状況のもと、エンターテインメント事業におきましては、コンサート事業では、数か所に分け実施していた小規模会場におけるイベントを大中規模会場で一括し開催することで効率化を推進し、コンサート制作費用の削減による売上高の増加を図ってまいります。MD事業においては、日本オリジナルを含むグッズ販売に注力する他、アーティストIPの活用を継続して推進してまいります。前期に続き「オンラインくじ」の販売を検討し、収益の拡大を図ってまいります。新たな取り組みとして、エンターテインメント事業において旅行事業、Musicビジネス事業、エスエムアーティストファンクラブ企画事業を本格的に開始します。旅行事業では、当社主催のツアーやイベントに関連する宿泊や航空券といった手配ビジネスの内製化を推進するのみならず、国内宿泊事業者と協業の上、当社主催コンサートと連動したツアーパッケージも組成販売してまいります。Musicビジネス事業では、アーティストの原盤制作や配信、作品流通を内製化することで、収益基盤の強化を図ってまいります。共に初年度の利益貢献は限定的と見込まれますが、アライアンス企業とマーケティング施策を展開することで、これら事業の成長を目指します。ファンクラブ企画事業については、2024年12月25日付の「ファンクラブ事業に係る兄弟会社との取引開始に関するお知らせ」にて開示しましたとおり、ファンクラブからコンサートまでの一貫したサービスを提供し、シナジーの創出と収益の最大化を目指します。オリジナルIPの育成に関しては、バーチャルアーティストやガールズグループといった新人アーティストを育成中であり、一定のパフォーマンスレベルを確保しています。中でもガールズグループにつきましては、市場競争における優位性を確保するため、デビュー時の差別化を一層強化すべく、デビュー時期を2025年下半期へと見直し、引き続き育成を進めてまいります。
ライツ&メディア事業におきましては、ライツ事業では、継続し新作コンテンツの獲得営業を積極的に行うとともに、アーカイブ作品の販売を強化し、地上波・BS・CS放送やOTTサービスへの版権販売を推進してまいります。メディア事業においては、多チャンネル市場の縮小傾向により視聴者数の減少が予測され、事業環境の厳しさは継続する見通しです。この状況に対応するため、版権サプライチェーンの活用や固定費の削減を通じ、ライツ&メディア事業における利益の確保に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに対する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、現状、サステナビリティに係る基本方針を定めておりませんが、サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他の経営上のリスクと一体的に監視しており、その体制については、その他のコーポレート・ガバナンスの体制と同様となります。
体制等の詳細につきましては、
(2)戦略
当社グループは、「人」を付加価値の源泉として最も価値ある資本と捉え、人的資本を守り強化していくことが経営戦略上の最重要課題であると位置づけております。従業員が適応力と汎用性を習得し、様々な困難に対応できる人財に育つよう、従業員個々のハード面におけるスキルの開発促進、並びにソフト面における教育を支援してまいります。
また、当社グループは国籍を問わず優秀な人材を獲得していくことはもちろん、アーティストやクリエイターのみならず、従業員一人ひとりが持つ力を最大限に発揮し、社会とともに持続的な成長を築き、人権尊重を基盤にした働きやすい企業を実現してまいります。
多彩な人材獲得
当社グループが持続的に事業を発展させるためには、多様な知見・スキル・価値観を有する人材の確保と育成が不可欠であると認識しています。そのため、年齢・性別・国籍を問わず、多様性を尊重し、活力ある人材の積極的な登用を推進しています。その一環として、LGBTQ+の理解促進にも積極的に取り組み、ダイバーシティ推進のさらなる強化を図っています。従業員やアーティストが多様な価値観を尊重し合える環境を提供するため、外部講師を招いたLGBTQ+に関する研修を実施し、社内の意識向上を図りました。本研修では、LGBTQ+に関する基礎知識や職場における配慮、包括的な職場環境の実現に向けた具体的なアクションについて学びました。今後も、定期的な研修を実施し、性別や性的指向に関わらず、すべての従業員が安心して働ける環境の整備を進めてまいります。また、当社の事業特性上、韓国市場との連携が重要であることから、韓国出身者を含む外国籍スタッフの登用を積極的に推進しています。外国籍スタッフの採用を通じて、グローバルな視点を持った事業展開を加速させるとともに、海外市場の理解を深め、アーティストとの連携を強化してまいります。さらに、エンターテインメント業界では、専門性の高いマネージャーやプロデューサーの確保が慢性的に困難であり、即戦力人材の採用が重要な課題となっています。特に、新規事業の立ち上げにおいては、高度な専門知識と経験を持つ人材が不可欠です。こうした課題に対応するため、当社では一般的な職業紹介事業者に加え、音楽業界向けの専門職業紹介事業者を活用するほか、独自のネットワークを活かした採用活動を実施しています。その結果、音源流通・出版・旅行事業などの新たなビジネス領域への展開を開始しました。これらの新規事業を戦略的に推進するため、業界ネットワークや実績を有する本部長・部長クラスの即戦力人材を採用しています。一方で、これらの事業は現在立ち上げ段階にあり、本格的な展開は2025年度を予定しています。直近の業績への影響は限定的ですが、将来的には当社の収益基盤を強化する重要な成長ドライバーとなると見込んでいます。
当社は今後も、業界経験者の採用を強化し、新規事業のスムーズな立ち上げを支援するとともに、事業成長を加速させるための組織体制の強化に取り組んでまいります。
女性の活躍推進及び男性の育休取得率向上
当社グループの男女管理職比率は、男性61.3%、女性38.7%と男性に比べると女性の比率が低くなっておりますが、これは主に男性従業員の勤続年数が女性従業員と比較し長いことに起因しております。若手社員に対するキャリアプランの意識付けのほか、リーダーシップの高い女性従業員には積極的にキャリアアップを築くことのできる、環境や制度の整備に向け、引き続き注力してまいります。ライフスタイルの変化に影響を受けやすい女性の活躍をサポートするためには、外部講師によるキャリア開発研修や意識改革を実施し、管理監督者も含めた企業全体の意識改革にも積極的に取り組んでまいります。また、男性従業員の育児休業取得については、現時点で取得実績がないものの、今後の取得率向上に向けた取り組みを進めております。その一環として、外部講師を招いた育児休業に関する研修を実施しました。本研修では、男性の育児参画の重要性や、職場での理解促進のための具体的な施策について学び、管理職を含めた社内の意識改革を促しました。今後も、育児休業に関する理解促進のための啓発活動や個別面談を実施し、育児休業が取得しやすい環境を整えてまいります。
人的資本における健康経営
当社グループでは、人材の確保が重要な経営課題であることを認識し、最も価値ある企業資産は「人」であると考えています。そのため、従業員一人ひとりが健康で活力に満ちた生活を送ることが、ワークライフバランスの向上や定着率の向上につながり、ひいては当社グループの持続的な成長を支えると考えています。
当社では、OJT(On-the-Job Training)を中心に、従業員の成長に必要なスキルの強化を推進するとともに、一人ひとりが裁量を持ち業務に取り組むことで、やりがいの向上を図っています。事業規模とのバランスを考慮しながら、実効性の高い育成施策を推進しています。特に、即戦力となる外部経験者の採用を重視しつつ、従業員の成長をサポートする環境の整備に取り組んでいます。当社の状況を踏まえ、最も必要不可欠なプログラムから順次導入し、実践的なスキル向上を図る研修プログラムを実施してまいります。
また、メンタルヘルス支援として、オンライン相談窓口「Smart相談室」を設置し、従業員の健康相談や診断後のフォローアップを実施しています。さらに、新入社員が円滑かつ早期に組織へ適応し、能力を最大限に発揮できるよう、定期的な個人面談を通じたフォローアップを行っています。これにより、従業員の心身の健康維持だけでなく、早期離職率の改善や労働安全衛生の確保を推進し、従業員が安心して働ける職場環境の醸成に努めています。加えて、ワークライフバランスの向上を重視し、有給休暇に加え、年4日間のリフレッシュ休暇を導入しています。このリフレッシュ休暇は、従業員の業務に対する意欲向上や生産性の向上を目的として設置されました。
当社グループは今後も、ワークライフバランスのさらなる向上に向けた施策を推進し、従業員一人ひとりが充実感を持って働ける環境の提供に努めてまいります。
(3)リスク管理
当社グループは、「リスクマネジメント及びコンプライアンス規程」に基づき、各部門がリスクに対応する取り組みを実施している他、持続的な成長と企業価値の向上を図るため、人的資本リスクおよびコンプライアンスリスクの管理体制を次のようにとっています。リスクマネジメントの実施統括責任者は代表取締役社長とし、経営企画部門を運営統括部門として、リスクマネジメント及びコンプライアンスの推進を担っています。四半期ごとに常勤取締役及び常勤監査役で構成される「リスクマネジメント及びコンプライアンス委員会」を開催し、リスクの特定・評価及び機会の識別を行うことで、リスク管理の実効性を高めています。特に、人的資本リスクについては、労働市場の変化や人材の確保に関する課題を分析し、適切な対応策を検討する他、コンプライアンスリスクについては、定期的な内部監査や内部通報制度(ホットライン)を活用し、リスク事象の早期発見および適切な対応を図る体制を整えています。内部通報制度においては、社内窓口および外部の第三者機関を通じた通報体制を設け、匿名性を確保することで通報者が安心してリスク情報を提供できる環境を整えており、通報された内容については、取締役会及び監査役会へ報告され、必要に応じた是正措置が講じられます。さらに、リスクマネジメント及びコンプライアンス委員会では、特に経営に大きな影響を与える重要リスクにつきましては、経営会議および取締役会に報告することで、経営戦略との統合を図っています。これらの施策を通じて、当社グループは、持続可能な経営基盤の構築と企業価値の向上に取り組んでまいります。
(4)指標及び目標
前述のとおり、当社グループはサステナビリティ戦略として人的資本を最重要視しており、2025年度までにおける目標として、以下指標を設定しております。今後も従業員が豊かな成長を経験し、仕事と生活のバランスを取りながら業務に取り組め、長期にわたり働きやすい企業風土の構築を目指してまいります。
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2024年度(現状) |
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有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及
びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりでありま
す。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避や発生した場合の適切な対応に努めてま
いります。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書の提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 自然災害や感染症の流行等による影響について
当社グループは、韓国有数のアーティストホルダーであるSMEアーティストの日本におけるマネジメントやイベント開
催を中心事業の一つとしております。しかしながら、ライブやコンサート等のオフラインイベントは地震や火災といった
自然災害等やウィルス感染症の影響を受けやすい事業であり、政府や自治体からの要請で当該イベントの中止や延期の判
断をせざるを得ない状況となります。そのため自然災害等の発生やウィルス感染症が流行した場合、ライブやコンサート
及びイベントの延期や中止、それに伴うチケットの払い戻し、営業時間短縮や臨時休業、コンテンツ制作やMDの生産販売
スケージュールへの影響が想定され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではそのよう
な事態に備え、オフラインイベント毎の保険加入等によるリスクヘッジを行っております。
(2) アーティストについて
アーティストの活動が休止した場合は、当社グループの業績に影響がある可能性があります。特に当社グループの事業は「韓流コンテンツ」を中心としております。そのため主要な男性アーティストや男性アイドルが兵役のため一定期間芸能活動を休止せざるを得ない、グループでの活動を制限せざるを得ない状況によりファン離れが生じた場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、ヒットコンテンツの有無により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、アーティストとの契約は期間が限定されており、当該契約が継続されなかった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、アーティスト自身が法令違反や信用失墜行為等のトラブルを起こした場合や、そのようなトラブルを起こしたとの報道がなされた場合、或いはそのような風評が流布された場合にはレピュテーションリスクが生じる可能性があります。
(3) アーティストの発掘・育成について
消費者の嗜好や流行の変化等によりアーティストの人気も影響を受けます。当社グループは特定のアーティストに依存することがないよう継続的なアーティストの確保と、様々な活動領域をもつアーティストの拡充を図るため、アーティストを発掘・育成する体制の整備を進めております。しかし、育成には長期に渡る先行投資が不可欠であり、また将来どの程度の収益を当社グループにもたらすかについては予測が困難です。そのため、収益次第では当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) ソーシャルネットワークサービス(以下、「SNS」といいます。)による情報発信について
当社グループは、アーティスト及びサービスの情報を発信することを目的としてSNSを活用しております。しかしながら、SNSにて発信した情報が、本来の意図と異なった内容や誤った情報として拡散された場合、当社グループの事業活動に支障を来たし、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 著作権等について
当社グループが配信、放送及び商品化等するコンテンツは、著作権或いは肖像権等と深く係わっていることから、問題が発生しないよう契約段階から細心の注意を払い、厳重に取扱っております。しかしながら意図せずに第三者に著作権を侵害されたり、また、意図せずに第三者の著作権を侵害してしまう可能性があります。また、海外やインターネット上での権利侵害に対しては、法規制その他の問題から、知的財産権の保護を十分に受けられない可能性があります。そのような事態になった場合、取扱う著作物の著作権者や肖像権者等が損害を被り、当社グループに対して損害賠償や使用差止等の訴訟を起こす可能性があります。万が一、これらの訴訟を起こされた場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 個人情報について
当社グループは、コンテンツ配信、ファンクラブ運営、e-コマースサイトでの物販等を行っているため個人情報を取得しております。提供サービスの信頼性を確保すべく、個人情報の外部への漏洩や、不適切な利用等防止のため、個人情報管理を事業運営上の最重要事項と捉えており、情報管理に関する社内規程の改定、外部委託先へのモニタリングの実施や改善要請、情報漏洩対応マニュアルの策定、従業員向けセキュリティハンドブックの策定と配布、従業員研修の実施、個人情報の取得・利用・管理・廃棄等に関する管理者の設定、システムセキュリティを強化する等、情報管理の強化に努めております。しかしながら、不測の事態により万が一情報漏洩等の事故が発生した場合には、当社グループの社会的信用力は失墜し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 欠陥商品・製品回収について
当社グループは、所属アーティスト等のグッズ製作及び輸入販売を主としたMD事業を展開しており、その一部製品に欠陥、異物混入等が発生し、商品交換や製品回収等の事態になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) コンサート制作費等の高騰について
円安や不安定な国際情勢、国内興行数の増加等外的要因による人件費や会場費、原油等といったコンサート制作に係る費用が高騰を続けた場合、その一部をチケット料金に反映し収益を確保する一方、十分に転嫁できる保証はなく、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)海外取引のリスクについて
当社グループは、ドラマ等映像作品をはじめとした事業の収益源であるコンテンツを主に韓国から調達しております。そのため、外貨建の取引において為替レートリスクに晒されております。支払時期の調整等により為替レートリスクの軽減に努めておりますが、十分に回避できるものではありません。また著作権に関する法的規制、税法上の問題、並びに渉外上の法的事項について最大の留意をする必要性があります。これらのリスクに加え、国際関係等による影響により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)映像作品の買付・製作について
当社グループは、ドラマ等映像作品買付・製作のための投資については、大型案件に関しては原則として共同事業体方式を採っており、当社が幹事会社として出資を募る場合と、他社へ出資参加する場合があります。買付・製作した映像作品は、テレビ放映権、ビデオグラム化権、商品化権、イベント開催等、作品に係るより多くの権利を得ることで投資回収率を高めるよう努めております。また、過剰な先行投資がリスクであると認識し、投資残高に一定金額の制限を設けております。しかしながら、個々の作品の視聴率や投資から回収までの期間が長期化することなどによる収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合等には、損失が生じる可能性があります。また市場環境の変化による商品販売数の低迷などによる損失リスクもあります。また、韓流ブームが世界規模での拡大を見せる中、韓国コンテンツの価格高騰や市場供給量の減少により、以前にも増して版権の獲得が困難な状況におかれています。そのため当社グループは、市場は小規模ながら近年人気を高めている中国や台湾等の他アジア圏における良質なコンテンツの獲得や販売にも注力しておりますが、今後も人気の高い韓国コンテンツが獲得できない状況が続いた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)個々の作品やイベント等による業績変動について
大型イベントの開催は短期間での営業収入を急増させますが、開催時期が不定期であるため四半期毎や連結会計年度での業績変動が大きくなる可能性があります。また、インターネットを使った有料動画配信サービス市場(OTT市場)の急拡大に伴いDVD・BD市場は縮小の一途を辿っていることから、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)放送事業について
当社グループは、CS放送、CATV、IPTVにより有料放送サービスを提供しております。有料放送市場が成熟し成長ペースが減速する場合、放送サービスの加入者減少が懸念され、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、有料放送市場において競合チャンネルとの差別化を図り事業を展開しております。しかしながら、地上波放送、BS放送、CS放送、CATV、IPTVに加え、インターネットを使った動画配信サービスが次々と誕生している中、番組コンテンツの獲得や加入者の獲得での競争は年々激しくなっていることから、加入者数が想定に届かない場合等には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)人材の確保について
当社グループが継続的に事業を発展させるためには、多様な知見やスキル、価値観を持った人材の確保や人材育成が重
要と認識しております。特に当社が属するエンターテインメント業界におきましては、専門性の高い経験者(優秀なマネ
ージャー及びプロデューサー)が慢性的に不足していることから、労働環境や待遇面などに配慮しながら人材の確保と人
材育成に努めてまいります。当社ではエンターテインメント業界に特化した職業紹介事業者に加え、独自のネットワークを活用し採用活動を行っている他、従業員が安心して働ける職場環境の醸成に努め定着率のさらなる向上を図っているものの、当社のようなK-POPアーティストのマネジメントを行う企業は限られているため、人材獲得競争の激化により当社が求める人材を十分に獲得できない場合、また、必要な人材の流出が生じた場合には、当社グループの事業活動に支障又は制約が生じる可能性があり、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)ストック・オプションの権利行使による株式価値の希薄化について
当社は、業績の向上による長期的な企業価値向上を目的としたストック・オプションを取締役や従業員に対して発行し
ております。2024年12月31日現在におけるストック・オプションによる潜在株式数は13,611,000株であり、発行済株式総
数115,904,831株の11.7%に相当します。今後同時期にストック・オプションの権利行使が行われた場合、当社株式の価
値が希薄化する可能性があります。
(15)株式の流動性について
当社は、2021年12月17日に公表いたしました「新市場区分の上場維持基準の適合に向けた計画書」に記載のとおり、当
社株式を保有している親会社に対して取引市場及び取引市場外での売却を強く要請した他、投資家セミナーへ積極的に参
加して当社及び当社株式の周知を図ってまいりました。
その結果、2024年度におきましては親会社より計2回の株式売却(2024年4月に5,400,000株の売却、2024年12月に
5,000,000株の売却)が実施されました。また、国内6都市(札幌、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡)において開催さ
れた個人投資家セミナーに11回参加して、当社の事業内容や中期経営計画、株主還元策の考え方等について理解を深めて
いただきました。
これらの取組により、2024年12月末時点の流通株式比率は2023年12月31日現在の9.1%から17.9%まで改善いたしました
が、株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準である25%を満たしておりません。
当社は引き続き親会社並びに大株主である事業会社に対し、当社の上場維持への賛同並びに所有する当社株式の一部を
取引市場及び取引市場外で売却するよう、状況改善に向けて今以上の働きかけを行ってまいります。
しかしながら、株式会社東京証券取引所の定める上場維持基準の経過措置が終了するまでに当該要件を充たすことがで
きない場合には、グロース市場において当社株式の上場を維持することができず、株価又は流動性に悪影響を及ぼす可能
性があります。
(16)親会社グループとの関係について
当社グループの親会社は株式会社エスエム・エンタテインメント・ジャパン及びその親会社であるSM ENTERTAINMENT
Co.,Ltd.並びにその親会社であるKakao Corp.(以下、「親会社」といいます。)であり、当社グループは連結子会社と
して親会社グループに属しております。
したがって当社グループの親会社は3社となりますが、当社グループの経営方針や事業展開等に係る意思決定にあたっ
ては、親会社から事前承認を必要とする事項はなく、当社の取締役(独立社外取締役を含む。)が独自の経営判断に基づ
き行っております。当社グループは、親会社からの一定の独立性を確保しており、当社グループや少数株主の利益を害す
ることはないと判断しております。
なお、親会社は当社と連結関係を維持するために必要となる株式数を継続的に所有する方針であり、そのため、当社の
取締役の選任・解任、合併その他の組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社グループの定款の変更及び剰余金の配当等
の基本的事項の決定権又は拒否権に関して、他の株主の意向にかかわらず親会社が影響を与える可能性があります。
①親会社グループにおける当社グループの位置付け
親会社グループは、韓国を代表する総合エンターテインメント企業であるSM ENTERTAINMENT Co.,Ltd.を中心とした
SMEグループと韓国の大手IT企業であるKakao Corp.を中心としたグループ(以下、「Kakaoグループ」といいます。)があります。SMEグループは、音楽制作、音楽著作物出版、音楽著作権管理、作家・演奏家・歌手・俳優のマネジメント及びプロデュース、オーディションによるタレントの発掘及び育成、コンサート及び音楽イベントの企画制作等を主な事業としております。中でも日本のマーケットを重要視しており、当社グループはSMEアーティストの日本におけるマネジメント事業を独占的に受託しております。
一方、Kakaoグループは、前述の「カカオトーク」を中心にeコマース、モビリティ、オンライン決済サービス、オン
ラインゲーム、音楽制作、音楽配信、電子書籍など事業の多角化を推進する大規模企業グループでありますが、当社グ
ループの事業に影響を与える競合はないものと考えております。
しかしながら親会社のグループ会社に対する考え方に変更が生じた場合には、当社グループの事業や業績に影響を及
ぼす可能性があります。
②当事業年度末現在の親会社及び親会社グループとの関係について
(1)資本関係
親会社である株式会社エスエム・エンタテインメント・ジャパンの持株比率(直接保有)は66.1%(76,568,000
株)、その親会社であるSM ENTERTAINMENT Co.,Ltd.(間接保有)は73.2%(84,844,525株)、その親会社である
Kakao Corp.(間接保有)は73.2%(84,844,525株)を保有しており、当社グループに対する大株主としての一定
の権利を有しております。このことから、当社株式の議決権行使により当社の経営等に影響を及ぼし得る立場にあ
り、親会社の利益は他の株主の利益と一致しない可能性があります。
(2)人的関係
[役員の兼任]
当社役員につきましては、当社取締役2名が親会社グループの取締役を兼任しております。当社取締役の山田政彦
氏は、親会社グループの戦略レベルの情報を入手する目的で株式会社エスエム・エンタテインメント・ジャパンの取
締役を兼任しております。また、当社取締役の金亨柱氏は、株式会社エスエム・エンタテインメント・ジャパンの取
締役と株式会社SMEJ Plusの代表取締役を兼任しております。株式会社SMEJ Plusは取締役会非設置会社であり、取締
役は金亨柱氏1名のみであります。株式会社SMEJ Plusの前代表取締役の辞任に伴い、急遽同社の代表取締役に就任
いたしました。親会社の取締役兼任は2名となりましたが、当社グループの事業活動上の制約はなく、経営判断にお
いては自主独立が尊重されております。
なお当社は、金享柱氏が代表取締役を兼任している株式会社SMEJ Plusに対して自社開発したファンクラブ専用シス
テムを賃借しておりますが、その取引額は僅少であり、当社グループへの影響はありません。
[出向者]
当社は2025年1月1日から1年間、当社の兄弟会社である株式会社SMEJ Plusから7名の出向者を受け入れてお
り、当社が2024年12月26日より株式会社SMEJ Plusより業務委託を請け負うファンクラブ事業の企画業務に従事して
おります。なお、当該出向者の中に当社グループの重要な意思決定に大きな影響を与える職位の者はおりません。
その他、親会社グループからの出向者はおりません。
(3)取引関係
親会社とは、下表の取引をはじめ番組制作やブランド使用に係る取引が発生しており、取引高は2023年12月期における当社グループ仕入高の約68%、2024年12月期仕入高の約73%を占めております。今後も親会社との取引が増加することが見込まれますが、親会社から当社への事業上の制約はなく、親会社に対して主体的に日本でのイベント開催等の企画や提案を行うなど対等な取引関係構築に努めておりますが、後の親会社の事業方針の転換や財政状況の悪化が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、その他の親会社以外の親会社グループとは番組制作や版権購入に係る取引がありますが、全体に占める割合は低く当社事業に与える影響は低いものと認識しております。
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種類 |
会社等の名称又は氏名 |
所在地 |
資本金 (百万ウォン) |
事業の内容又は職業 |
議決権等の所有(被所有)割合(%) |
関連当事者との関係 |
取引の内容 |
取引金額 (千円) |
科目 |
期末残高 (千円) |
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親会社 |
SM ENTERTAIN MENT Co.,Ltd. |
大韓民国 ソウル市 |
11,915 |
エンターテインメント事業 |
(被所有) 間接 (73.2) |
マネジメント契約関係 |
ロイヤリティの支払
制作費の 立替 |
5,529,407
179,573
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買掛金 前渡金
立替金
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4,765,809 191,097
154,325
|
当社は、すべての親会社グループとの取引において、第三者との取引同様の交渉プロセスを経て価格決定を行い、その取引が当社の経営の健全性を損なっていないか、合理的判断に照らし合わせて有効であるか等に留意しております。また親会社から独立した立場の社外取締役が出席する取締役会において、定期的な価格交渉・審議の上、当社独自の判断で意思決定を行うことで、公正で適切な取引関係の維持に努めております。
以上に記載いたしました影響を与える事項について、当社グループが対応できなかった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループに関連する市場環境につきましては、エンターテインメント業界では、制作費の高騰や為替の影響が続いているものの、2025年にはライブエンタメ市場規模がコロナ前を超えて大きく拡大していくことが予想され、2024年上半期におきましてはK-POPアーティストの公演数は、前年と比較し増加傾向にあります。放送業界では、OTTサービス利用の増加による視聴者層の分散や若年層のテレビ離れが相次いでおり、多チャンネルサービスの加入世帯減少や広告収入の減少など市場環境は厳しい状況が続いています。
このような経営環境の中、当連結会計年度におけるエンターテインメント事業では、東京ドームにて約10万人を動員した「SMTOWN LIVE」をはじめ、計116公演のコンサートを開催し、約157万人を動員しました。コンサート事業以外のビジネスにおきましては特に好調に推移しており、MD事業では主要グッズのリニューアルなどにより平均客単価が計画を上回り業績をけん引した結果、エンターテインメント事業の増収増益に大きく寄与いたしました。
当連結会計年度におけるライツ&メディア事業においては、ライツ事業で新作コンテンツの獲得営業を積極的に行うとともに、継続しアーカイブ作品の販売を強化してまいりました。メディア事業では、2024年11月28日付「本店オフィスビルの最適化及びメディア事業の事務所移転による固定費削減に関するお知らせ」にて開示したとおり、事業収益の効率化を図り、利益の確保に成功し黒字を維持しています。一方で、多チャンネル市場の縮小による影響は大きく、結果として前年比で累計総視聴者数は減少基調にあります。
また、2024年12月17日付「配当予想の修正(初配)に関するお知らせ」のとおり、2024年12月期の期末配予想を1株あたり1円00銭に修正し、2025年3月25日開催の当社第54回定時株主総会に付議し可決されました。今後も財政状態および経営成績等を総合的に勘案し、事業成長に伴った、継続的な配当を行ってまいります。
この結果、当連結会計年度の売上高は9,716百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益は364百万円(前年同期比 100.1%増)、経常利益は374百万円(前年同期比96.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は787百万円(前年 同期比200.8%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(エンターテインメント事業)
コンサート事業においては、アーティストのソロ活動におきましては小規模会場を中心に展開したため制作費が嵩むなどしましたが、東京ドームなどの大規模会場での公演も実施し、概ね計画通りの結果となりました。
MD事業においては、ペンライトのリニューアルや価格改定、「ランダムトイ」といった新規商品の企画販売に加えアーティストの人気上昇も手伝って客単価が向上し、好調な推移を見せました。中でも、収益率の高かった「オンラインくじ」は、ファンの皆様から高い評価を得ており当社の予測を上回る購入数を記録し、今後のMD事業の成長を牽引する重要な要素となりました。
音楽事業では、リリースした作品がオリコン週間ランキング1位を獲得するなど順調に推移した他、当初計画外であった作品のリリースも発生し、印税収入が予想を上回る結果となりました。
音楽以外の事業では、広告出演の専門部署を設置したことにより、アーティストの広告起用も増加し売上のみならずアーティストの認知度向上にも寄与しました。加えて、他社主催イベントへの出演による収益も、業績にプラスの影響を与えています。
当社では、コンサート事業に限定されない収益基盤の拡大を成長戦略と位置付け、MD事業に加え、音楽事業や広告起用などのコンサート事業以外の領域にも注力しています。その結果、エンターテインメント事業におけるコンサート事業以外の売上比率は、前期の33%から49%へと増加しました。
この結果、売上高は7,264百万円(前年同期比14.7%増)、セグメント利益は679百万円(前年同期比25.5%増)となりました。
(ライツ&メディア事業)
ライツ事業においては、韓国ドラマの供給量に一定の制約がある他、競合との獲得競争もあったものの営業の強化を図った結果、大型韓国時代劇のみならずバラエティや中華圏ドラマといった他ジャンルの獲得も成功しました。その結果、計21の作品を獲得し、対前期比約50%増を達成しました。
メディア事業においては、日本初放送やプレミアムコンテンツの放送により視聴者の新規獲得および解約防止を図っていますが、多チャンネル市場縮小の影響を受け、売上高は引き続き減少しています。一方、人気俳優出演のイベント番組版権販売や、費用削減、字幕権利の販売を通じた視聴料外収益の確保を進めるとともに、前述のとおりオフィス移転によるコスト削減にも取り組んだ結果、黒字を維持しました。
この結果、売上高は2,451百万円(前年同期比5.0%減)、セグメント利益は261百万円(前年同期比20.5%減)となりました。
(その他事業)
その他事業では、売上高0百万円(前年同期比100.0%減)セグメント損失4百万円(前年同期は31百万円の営業損失)となりました。
また、当連結会計年度末における総資産は14,405百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,730百万円増加いたしました。流動資産は12,778百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,352百万円増加いたしました。その主な要因は、売掛金が1,040百万円増加及びコンテンツ事業権が801百万円増加したことによるものであります。また、固定資産は1,627百万円となり、前連結会計年度末に比べ621百万円減少いたしました。その主な要因は、投資有価証券が729百万円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は6,622百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,158百万円増加いたしました。流動負債は6,189百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,368百万円増加いたしました。その主な要因は、買掛金が1,033百万円増加したことによるものであります。また、固定負債は432百万円となり、前連結会計年度末に比べ210百万円減少いたしました。その主な要因は、繰延税金負債が209百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は7,783百万円となり、前連結会計年度末に比べ572百万円増加いたしました。その主な要因は、その他有価証券評価差額金が306百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益787百万円により増加したものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ38百万円増加し、2,452百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は、562百万円(前期は1,044百万円の使用)となりました。
収入の主な内訳は、仕入債務の増加額1,033百万円、支出の主な内訳は、売上債権の増加額1,040百万円、棚卸資産の増加額664百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は、598百万円(前期は39百万円の獲得)となりました。
収入の主な内訳は、投資有価証券の売却による収入631百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1百万円(前期は0百万円の使用)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは、エンターテインメント事業として、マネジメント事業、音楽制作事業、イベント事業、ファンクラブ運営事業、МD事業及びライツ&メディア事業として、ドラマ等版権事業、放送事業、オンライン配信事業を主体とする会社であり、生産能力を測定することが困難なため、生産能力の記載は行っておりません。
b. 受注実績
当社グループは受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
前年同期比 (%) |
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エンターテインメント事業 (千円) |
7,264,152 |
14.7 |
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ライツ&メディア事業 (千円) |
2,451,852 |
△5.0 |
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報告セグメント計 (千円) |
9,716,004 |
9.0 |
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その他事業 (千円) |
0 |
△100.0 |
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合計 (千円) |
9,716,004 |
9.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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エイベックス・エンタテインメント株式会社 |
2,276,806 |
25.6 |
- |
- |
|
エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ株式会社 |
1,446,311 |
16.2 |
2,610,425 |
26.9 |
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株式会社ON THE LINE |
- |
- |
1,187,180 |
12.2 |
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株式会社LIFE DESIGN COMPANY |
- |
- |
1,097,661 |
11.3 |
(注)主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては
記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度末における総資産は14,405百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,730百万円増加いたしました。流動資産は12,778百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,352百万円増加いたしました。その主な要因は、売掛金が1,040百万円増加及びコンテンツ事業権が801百万円増加したことによるものであります。また、固定資産は1,627百万円となり、前連結会計年度末に比べ621百万円減少いたしました。その主な要因は、投資有価証券が729百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の負債は6,622百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,158百万円増加いたしました。流動負債は6,189百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,368百万円増加いたしました。その主な要因は、買掛金が1,033百万円増加したことによるものであります。また、固定負債は432百万円となり、前連結会計年度末に比べ210百万円減少いたしました。その主な要因は、繰延税金負債が209百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末の純資産は7,783百万円となり、前連結会計年度末に比べ572百万円増加いたしました。その主な要因は、その他有価証券評価差額金が306百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益787百万円により増加したものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度の50.7%から48.0%に減少し、1株当たり純資産は55円50銭から59円64銭と増加しております。また、流動比率、当座比率についても一定の水準を満たしており、当社グループの健全な財務の安定性を維持していると認識しております。
また、当連結会計年度の売上高は9,716百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益は364百万円(前年同期比 100.1%増)、経常利益は374百万円(前年同期比96.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は787百万円(前年 同期比200.8%増)となりました。
経営成績の状況とそれらの要因につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 資金需要
当社グループの事業活動における資金需要は、営業活動については、放送事業での番組、版権事業でのコンテンツ事業権等の棚卸資産の購入及び製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資活動については、事業伸長、生産性向上等への設備投資への取得等であります。
c. 財務政策
当社グループは、事業活動の維持拡大に必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。営業活動及び投資活動とも内部資金を財源として行うことを基本としておりますが、財務状況により機動的な資金の調達先として銀行借入を選択する場合もあります。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。また、下記の重要な会計方針が連結財務諸表の作成に当たって使用される重要な見積り及び判断に大きな影響を及ぼすと考えております。当社グループの経営陣は、連結財務諸表等の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに事業年度における収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び判断を行わなければなりません。しかしながら、当社グループの経営陣は、過去の実績、現在の経済環境、その他の様々な要因に基づいて見積り及び判断を行っているため、実際の業績とは大きく異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの事業は、ライツ&メディア事業は大型ドラマ版権の市場価格・流通時期等による事業化の状況、ドラマ等の番組購入価格や放映時期の状況、エンターテインメント事業はアーティストの活動等により、年度毎の業績変動が大きくなる傾向があります。当社は各事業の収益をプロジェクト単位で管理することで迅速な経営判断を行い、事業により利益率の差はありますが、全体での営業利益、営業利益率などの向上を目標としております。
当社グループは、衛星放送契約者数の減少傾向が続くことによる視聴料収入の伸び悩みや大型案件の終了に伴うファンクラブ事業収入への影響等、厳しい経営環境の中において、既存事業の業績改善に積極的に取り組むとともに、一部業務の内製化による費用削減を進め、今後の成長に向けた専門的人材の採用やコンテンツ開発等の先行投資も行っております。今後は各事業の継続的且つ安定的な収益確保に加え、アーティストとメディアとの連携による付加価値の創出並びに他SMEグループとの連携強化等により、継続的な増収増益を目指してまいります。
次期の各事業部門見通しについては次のとおりであります。
(エンターテインメント事業)
エンターテインメント事業におきましては、コンサート事業では、数か所に分け実施していた小規模会場におけるイベントを大中規模会場で一括し開催することで効率化を推進し、コンサート制作費用の削減による売上高の増加を図ってまいります。MD事業においては、日本オリジナルを含むグッズ販売に注力する他、アーティストIPの活用を継続して推進してまいります。前期に続き「オンラインくじ」の販売を検討し、収益の拡大を図ってまいります。新たな取り組みとして、エンターテインメント事業において旅行事業、Musicビジネス事業、エスエムアーティストファンクラブ企画事業を本格的に開始します。旅行事業では、当社主催のツアーやイベントに関連する宿泊や航空券といった手配ビジネスの内製化を推進するのみならず、国内宿泊事業者と協業の上、当社主催コンサートと連動したツアーパッケージも組成販売してまいります。Musicビジネス事業では、アーティストの原盤制作や配信、作品流通を内製化することで、収益基盤の強化を図ってまいります。共に初年度の利益貢献は限定的と見込まれますが、アライアンス企業とマーケティング施策を展開することで、これら事業の成長を目指します。ファンクラブ企画事業については、2024年12月25日付の「ファンクラブ事業に係る兄弟会社との取引開始に関するお知らせ」にて開示しましたとおり、ファンクラブからコンサートまでの一貫したサービスを提供し、シナジーの創出と収益の最大化を目指します。オリジナルIPの育成に関しては、バーチャルアーティストやガールズグループといった新人アーティストを育成中であり、一定のパフォーマンスレベルを確保しています。中でもガールズグループにつきましては、市場競争における優位性を確保するため、デビュー時の差別化を一層強化すべく、デビュー時期を2025年下半期へと見直し、引き続き育成を進めてまいります。
(ライツ&メディア事業)
ライツ&メディア事業におきましては、ライツ事業では、継続し新作コンテンツの獲得営業を積極的に行うとともに、アーカイブ作品の販売を強化し、地上波・BS・CS放送やOTTサービスへの版権販売を推進してまいります。メディア事業においては、多チャンネル市場の縮小傾向により視聴者数の減少が予測され、事業環境の厳しさは継続する見通しです。この状況に対応するため、版権サプライチェーンの活用や固定費の削減を通じ、ライツ&メディア事業における利益の確保に努めてまいります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。