当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当中間連結会計期間における我が国経済は、春闘の賃上げ率の高い伸びが徐々に賃金に浸透しつつあることに加え、夏のボーナス支給額が堅調に増加し、定額減税の実施によって可処分所得が増加するなど、個人消費の押し上げに貢献することが予想されます。その一方で、コスト上昇分を価格に転嫁できないこと、日銀が追加の利上げを決めたことを受けて、国内の大手銀行の間で「短期プライムレート」を引き上げる動きが広がり、企業向け融資の金利上昇、さらに海外経済減速や人手不足による供給制約といったマイナス材料が加われば、中小企業にとって厳しい状況が長期化する可能性もあります。
このような経済状況のもと、当社グループは主要事業の会員数の増加およびサービス内容の拡充と業務の効率化に取り組んでまいりました。
(財政状態)
(ⅰ)資産
当中間連結会計期間末における流動資産は60億96百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億99百万円減少しました。これは主に有価証券が99百万円、その他(流動資産)が91百万円増加した一方、現金及び預金が4億91百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が1億11百万円減少したことなどによるものです。
固定資産は92億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億43百万円増加しました。これは主にソフトウエアが1億47百万円、その他(無形固定資産)が3億70百万円増加したことなどによるものです。
この結果、総資産は153億46百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億43百万円増加しました。
(ⅱ)負債
当中間連結会計期間末における流動負債は30億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億53百万円減少しました。これは主に未払法人税等が97百万円、その他(流動負債)が2億72百万円減少したことなどによるものです。
固定負債は1億51百万円となり、前連結会計年度末に比べ6百万円増加しました。これは退職給付に係る負債が6百万円増加したことなどによるものです。
この結果、負債合計は32億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億47百万円減少しました。
(ⅲ)純資産
当中間連結会計期間末における純資産合計は121億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億91百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する中間純利益4億4百万円、自己株式処分差益2億99百万円が計上された一方で、剰余金の配当を2億77百万円行ったことなどによるものです。
この結果、自己資本比率は78.9%(前連結会計年度末は76.4%)となりました。
なお、特筆すべき重要な資本的支出の予定及びそれに伴う資金の調達は当面ありません。
(経営成績)
当中間連結会計期間の経営成績は売上高71億33百万円(前年同期比5.6%増)、営業利益6億25百万円(同33.4%減)、経常利益6億38百万円(同32.6%減)、親会社株主に帰属する中間純利益4億4百万円(同36.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(ⅰ)アカウンティングサービス事業
アカウンティングサービス事業は、生命保険営業職員を中心とする個人事業主及び小規模企業に対する記帳代行等の会計サービスになります。同事業では、各生命保険会社が新入社員向けに随時行っている研修への参加を、従来は四大生命保険会社を対象にしておりましたが、中堅・外資系生命保険会社にも拡大することで、営業機会を確保しました。その結果、当中間連結会計期間末(2024年9月30日)の会計サービス会員数は100,794名(前期末比8,749名増)となりました。
この結果、アカウンティングサービス事業における当中間連結会計期間の売上高は19億86百万円(前年同期比10.8%増)、営業利益は5億41百万円(同25.1%増)となりました。
(ⅱ)コンサルティング事業
コンサルティング事業は、中堅中小企業の総務経理部門に対する各種情報提供サービスの「エフアンドエムクラブ」、ISO及びプライバシーマークの認証取得支援、「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「中堅・中小成長投資補助金」をはじめとした補助金申請支援、資金繰り改善のための経営改善計画の策定支援等になります。
「エフアンドエムクラブ」については、2024年9月末時点で220行庫の地域金融機関と連携契約し、好連携事例の共有や勉強会の開催、結果報告などによる情報共有の強化によって稼働促進を図ることで、営業機会の増強に努めました。採用競争力を高めるための求人票添削などの採用支援、労務管理体制の整備による就業環境の改善、採用後の定着率やパフォーマンス向上のための人事考課制度策定支援、設備投資や人的投資に関わるキャッシュ・フローの分析などのサービスが中小企業経営者のニーズを掴んだことが、新規の会員獲得に貢献しました。また、2024年7月22日に三菱UFJ銀行と中小企業の経営支援を目的とした協働ビジネスの開始を発表しました。協働ビジネスにおける連携強化のため当社から営業担当者を出向させ、中小企業の経営支援連携を推進しています。並行して、2024年3月から公募が始まった「中堅・中小成長投資補助金」についても支援を開始しました。会員企業向けには、企業の課題に対応するサービスの提案や実行すべき作業管理のため、個社担当によるオンライン面談の強化と、会員専用サイト上で会員企業のタスクを共有し遅延や漏れを当社が把握することでサービス利用を促進する体制の構築を進めました。また、本格化しているコロナ融資返済期の資金繰り支援アドバイスも強化しています。その結果、当中間連結会計期間末(2024年9月30日)のエフアンドエムクラブ会員数は12,553社(前期末比1,361社増)となりました。
ISO及び第三者認証取得支援については、個人情報保護法の改正やサイバー攻撃等による情報セキュリティニーズが高まり、プライバシーマークならびにISO27001の取得の問い合わせが顕著に増加しています。これらの旺盛なニーズへの対応に注力しました。
「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」「事業再構築補助金」「中堅・中小成長投資補助金(中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金)」をはじめとした補助金受給申請支援については、当中間連結会計期間では「中堅・中小成長投資補助金」の1次公募19件、2次公募40件、「事業再構築補助金」の第12回公募456件の申請支援を行いました。その結果、「中堅・中小成長投資補助金」の1次公募では6件、2次公募では2件が採択されました。なお、2次公募については2024年10月15日に採択発表があったため、当中間連結会計期間での売上計上はありません。また、前期中に申請支援を行っていた「ものづくり補助金」の17次締切については2024年5月20日に採択結果が発表となり、3件が採択、18次締切については2024年6月25日に採択結果が発表となり、102件が採択されました。それに伴う売上が当中間連結会計期間に計上されております。
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補助金名 |
締切 |
採択数 |
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ものづくり補助金 |
17次 |
3件 |
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18次 |
102件 |
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中堅・中小成長投資補助金 |
1次 |
6件 |
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2次 |
2件 |
資金繰り改善のための経営改善計画書の策定支援については、経営改善計画の策定費用が補助される405事業(経営改善計画策定支援事業)を活用した支援を行うことで、より多くの中小企業の財務改善の実現をサポートできるよう取り組んでおります。
この結果、コンサルティング事業における当中間連結会計期間の売上高は30億49百万円(前年同期比4.9%減)、営業利益は7億41百万円(同28.6%減)となりました。
(ⅲ)ビジネスソリューション事業
ビジネスソリューション事業は、士業向けコンサルティング、及び企業・士業向けITソリューションの提供等になります。
士業向けコンサルティングは、認定支援機関である税理士・公認会計士事務所の対応力向上を支援する「経営革新等支援機関推進協議会」等となります。「経営革新等支援機関推進協議会」では、税理士・公認会計士の顧問先である中小企業への「優遇税制支援や財務支援」「人材の採用・育成・定着のノウハウ」「自事務所の業務改善の支援」を必要とする税理士・公認会計士の継続的なニーズが、営業機会の確保につながりました。その結果、当中間連結会計期間末(2024年9月30日)の「経営革新等支援機関推進協議会」の会員数は1,727件(前期末比19件増)となりました。
企業・士業向けITソリューションの提供としては、人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」シリーズの販売となります。社会保険労務士事務所マーケットの深耕については、各都道府県の社労士会へのアプローチを推し進め、社労士会主催の展示会に出展することで新規商談機会を創出しました。企業向けには新規商談機会の創出のために展示会へ出展しました。HR領域の市場規模は拡大しておりますが、各社従業員の情報は、人事・給与・勤怠など、それぞれの業務ソフトに分散されている傾向があります。それらの情報を一元化することで「業務の効率化」や「データベースを活用した人事戦略」が可能となります。展示会では、オフィスステーションを利用することで企業の要望を実現できることをPRし、新規リードの創出につなげてまいりました。また、フィールドセールスとカスタマーサクセスが連携を密にすることで、契約までのリードタイムの短縮や成約率向上を図りました。一方で、既存ユーザーに対しては、一社あたりの登録従業員数の増加、他プロダクトの提案をすることで売上増加に努めました。また、企業・士業いずれの既存のユーザーに対しても、ストレスなくオンボーディングできる体制を強化し、不明点を短時間で解決できるようにサポートデスクの充実を推し進めました。
その結果、当中間連結会計期間末(2024年9月30日)の「オフィスステーション」シリーズの利用は、無料で提供している「オフィスステーション 労務ライト」の利用を含み、企業が40,128社(前期末比3,397社増)、士業が3,132件(前期末比119件増)となりました。
この結果、ビジネスソリューション事業における当中間連結会計期間の売上高は18億65百万円(前年同期比19.3%増)、営業損失は1億18百万円(前年同期は71百万円の営業損失)となりました。
(ⅳ)不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は当社が所有するビルの賃貸収入で、安定した収益を計上しております。当中間連結会計期間の売上高は53百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益は14百万円(同2.5%減)となりました。
(ⅴ)システム開発事業
システム開発事業は、連結子会社エフアンドエムネット株式会社のシステム開発事業等になります。エフアンドエムネットでは、「オフィスステーション」シリーズを中心としたエフアンドエムが販売する商品などのグループ内向け開発が大部分を占めました。
この結果、システム開発事業における当中間連結会計期間の売上高は1億48百万円(前年同期比38.3%増)、18百万円の営業損失(前年同期は10百万円の営業利益)となりました。
(ⅵ)その他事業
その他事業は、パソコン教室の本部運営及びFC指導事業等になります。パソコン教室の本部運営及びFC指導事業においては、受講生に対する積極的なカウンセリング、資格取得のためのサポートなどを強化することで継続率の向上に努めました。
この結果、その他事業における当中間連結会計期間の売上高は29百万円(前年同期比6.5%減)、営業利益は2百万円(同25.0%減)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ4億91百万円減少(前連結会計年度末比9.4%減)し、47億31百万円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は8億22百万円(前年同期比36.2%減)となりました。これは主に税金等調整前中間純利益6億38百万円、減価償却費7億65百万円があった一方、未払消費税等の減少1億1百万円、その他の流動負債の減少2億22百万円、法人税等の支払3億4百万円があったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は13億85百万円(前年同期比17.4%増)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出11億89百万円、投資有価証券の取得による支出96百万円があったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、得られた資金は70百万円(前年同期は2億47百万円の支出)となりました。これは配当金の支払2億76百万円があった一方、自己株式の処分による収入3億47百万円があったことによるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額はありません。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。
資本業務提携契約
当社は、中小企業の経営支援を目的として、当中間連結会計期間において、新たに弥生株式会社と資本業務提携契約を締結いたしました。
当社は、あらゆる事業者のバックオフィス業務の改善に貢献することを目指し、金融機関をはじめとしたさまざまなパートナーと連携し、多くの事業者の経営支援を行っております。なかでも、中小企業のバックオフィス業務に特化した経営支援に注力しております。
弥生㈱は、「事業コンシェルジュ」をビジョンとして掲げ、中小企業・個人事業主・起業家の会計・商取引・給与計算等のバックオフィス業務を支援するソフトウエア「弥生シリーズ」や起業から事業の継続と成長を支援する「事業支援サービス」を提供しております。
近年、原油、原材料費が高騰する一方で価格転嫁が進まないことなどから、中小企業は厳しい経営環境に置かれています。そこで、当社と弥生㈱は業務提携を行い、当社の持つ中小企業向けのバックオフィスに特化したコンサルティングノウハウや人事労務領域でのサービスと、弥生㈱の持つ会計・給与・販売ソフトウエアとの相互連携により、中小企業が抱える生産性向上における課題の解決を目指します。
また、かかる業務提携の目的を達成するために、より安定的な関係を構築すべく、弥生㈱が当社の普通株式を保有する資本関係を築く必要があると判断したため、本資本業務提携を行うことといたしました。
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契約会社名 |
相手方 の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約 締結日 |
契約内容 |
契約 期間 |
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㈱エフアンドエム (当社) |
弥生㈱ |
日本 |
資本業務提携契約書 |
2024年 8月22日 |
1.中小企業向けバックオフィス支援事業の拡大 両社の顧客である中小企業へのさらなる価値提供を目指し、両社のアセットや顧客基盤を活用することで新たな顧客を開拓・創出し、両社ともに収益拡大を目指す。 2.労務・人事支援領域の強化 人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」のシステムを活用し、弥生㈱の新ブランド「弥生 Next」での労務サービスの展開を想定し、支援可能領域を拡張。また、中小企業の人的資本経営に資する人事領域での連携も模索。 |
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