第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、事業者のバックオフィス業務の効率化と改善を使命とし、金融機関をはじめとする多様なパートナーと連携しながら支援を行っています。特に、日本の事業者の99%を占める個人事業主や中堅・中小企業に注力しており、情報不足による不利益を解消するための取り組みを積極的に進めています。これらの事業者が抱える課題に向き合い、実用性と価値の高いサービスを提供することで、持続可能な成長を支援してきました。

 当社グループの企業哲学である「サービスの水道哲学」は、顧客の多様なニーズを的確に捉え、リーズナブルな価格で報酬以上の価値を提供することを基本理念としています。この哲学に基づき、全社員が愛される人物となることを目指し、「関わる全ての人と企業を物心両面で豊かにする」という目標を掲げています。この目標の実現を通じて、顧客との信頼関係を深め、社会全体に貢献することを重視しています。

 また、事業活動を通じて、わが国経済の活性化に寄与することを目指した経営を行い、時代の変化に対応しながら顧客にとって価値ある存在であり続ける努力を続けています。今後も、社会に必要とされる企業として、顧客やパートナーとともに成長を追求してまいります。

 

(2)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、収益力の向上を最優先課題として認識しており、経営成績や事業の進捗を正確に把握するために、売上高営業利益率や売上高原価率の変動要因の分析を重視しています。また、全社的にストック型ビジネスモデルを基盤として事業を展開しているため、契約継続率を重要な指標として捉え、持続的な成長を目指しています。

 今後の施策としては、各セグメントにおいて、地域金融機関や税理士、社会保険労務士といった既存チャネルのさらなる深耕を進めるとともに、新たな販売チャネルの開拓を積極的に行うことで、営業機会の増強とトップラインの引き上げを図ってまいります。また、マーケットの拡大や顧客ニーズの多様化に対応するため、属人的なスキルやノウハウに依存しないサービス提供体制を構築し、効率的かつ高品質なオペレーションを実現します。さらに、各社員が持つ暗黙知を形式知へと変換し、これを活用することでサービスの品質を向上させます。そして、蓄積されたデータと顧客とのタッチポイントを戦略的に組み合わせることで、画一的でない、顧客ごとにカスタマイズされたサービスを提供し、顧客満足度を向上させるとともに営業効率の向上を図り、ストック収益の安定的な増加を目指してまいります。

 ビジネスソリューション事業においては、人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」シリーズのさらなる拡販を進めていきます。市場における認知度向上を図る一方で、ユーザビリティ向上のための追加機能開発や改善を継続的に行い、導入から稼働までの時間を短縮するためのフォロー体制を強化します。また、既存ユーザーに対しては、利用中のプロダクトの拡大を促進するエクスパンション施策を推進し、顧客生涯価値(LTV)の向上に努めてまいります。

 さらに、コストコントロールにおいては、各セグメントでAIの活用を促進しています。アカウンティングサービス事業における記帳処理工程の生産性の向上や、お客様との面談記録や事業計画の策定支援にAIを取り入れています。全社的にITツールの活用を進め、業務効率化とローコストオペレーションの実現を目指します。これらの取り組みにより、持続的な収益性の強化と事業基盤の安定化を図り、顧客と社会に価値を提供する企業として成長を追求してまいります。

 

(3)経営環境

 国内景気は、海外経済の回復基調に伴い一部の明るい兆しが見られるものの、物価高騰の影響は依然として続いており、消費者の節約志向や製造業の停滞が懸念されています。さらに、ウクライナ情勢の長期化、中東地域の緊張激化、円安の影響による原油・原材料価格の高騰が企業経営に負担を与え、厳しい経営環境が続いております。こうした状況下で、ゼロ金利政策の解除による金利上昇が中小企業の資金調達コストを押し上げ、特に資金繰りに課題を抱える企業にとって経営状況の悪化が懸念されています。これにより、中小企業経営は大きな転換期を迎えており、事業運営においては一層効率性が求められる時代となっています。

 事業運営においては、物価高への対応策として自社の強みを生かしたビジネスモデルの構築、省人化・デジタル化による労働生産性の向上が重要であるとともに、人材の採用・育成、従業員の賃上げなど働く環境の整備も喫緊の課題となっています。政府は2025年度の政策として、中小企業の付加価値向上や賃上げを促進するための支援策を拡充しており、継続的な賃上げを実現するための補助金や財政措置が強化されています。これらの施策は、ポストコロナ時代における経済社会の安定化を目指したものであり、当社グループはこうした政府方針に賛同し、その推進に積極的に取り組むことで、社会の発展に寄与してまいります。

 また、税制や行政手続きにおいても、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。2024年に完全施行された電子帳簿保存法に基づき、電子取引データの保存義務が求められるようになり、インボイス制度の本格運用により適格請求書発行事業者の登録が増加しました。これに伴い、多くの企業が請求書・領収書のデジタル化やキャッシュレス対応を進めています。さらに、2024年10月から適用が開始された従業員数51人以上の社会保険適用範囲拡大により、企業の管理業務が一層複雑化し、社会保険手続きの電子化が求められるようになりました。これらの法改正や制度変更は、企業にとって新たな負担となる一方で、業務効率化への取り組みを加速させる契機ともなります。当社グループはこうした変化をビジネスチャンスと捉え、効率化を支援するサービスを通じて、企業の負担軽減と生産性向上に寄与してまいります。

 社会全体でデジタル化が急速に進む中、企業のバックオフィス業務においても効率化や外部委託、ITツールの活用が進展しています。この流れは、当社グループが提供する「オフィスステーション」にとって市場拡大の好機となり、事業成長をさらに加速させる可能性を秘めています。「オフィスステーション」は、勤怠管理や給与計算、社会保険手続きなど、バックオフィス業務の効率化を実現するクラウド型ソフトとして、多くの企業にご活用いただいております。当社は創業以来培ってきたバックオフィス業務に特化したノウハウを活かし、このサービスの開発・提供を通じて、中小企業の労働生産性向上に貢献してまいりました。

 2025年度においては、企業が抱える課題に一層寄り添い、従来のサービスをさらに進化させることで、多様なニーズに応える体制を強化してまいります。これにより、社会に必要とされる企業としての役割を果たすとともに、持続可能な成長を目指して邁進してまいります。今後も各事業間のシナジーを高め、さらなるワンストップ・サービスの構築を図ってまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① チャネルの深耕とさらなるシナジーを生む事業体制の強化

 当社グループは、バックオフィス業務の効率化を通じて事業経営の持続的な成長を支援することを使命としております。昨今、物価高や金利上昇、法改正による労務管理の複雑化など、企業を取り巻く環境は厳しさを増しており、事業計画の策定、公的支援の活用、人材採用、教育体制の構築など、多岐にわたる課題への対応が求められています。こうした支援を行う上で、金融機関や税理士、公認会計士、社会保険労務士との連携は欠かせません。当社は全国の地域金融機関がパートナーであること、専門家ネットワークを有することを独自の強みとし、これらの課題解決と事業経営の成長支援に貢献してまいります。当社グループは今後も革新的なサービスを提供し、地域経済の活性化と中小企業の成長を支援してまいります。

 

② 業務効率化による利益率向上への取り組み

 利益率向上のため、業務処理工程の見直しや比較的単純な情報処理、顧客からの問い合わせへの一次対応、顧客属性に基づく情報発信などにITの積極活用を進めております。これにより、業務効率化を図るとともに、付加価値の高いサービス提供を実現してまいります。また、属人的なサービスは品質の均一性を欠きやすく、量的・質的な限界を迎えるリスクがあるため、オペレーション分野だけでなく営業分野においても効率化と提案内容の統一化を進め、より多くの顧客に効率的かつ適切にアプローチできる体制を構築しております。さらに、属人的なスキルやノウハウに依存しない全社的なサービス体制を追求することで、高品質なサービス提供を可能にするとともに、顧客満足度の向上に努めております。画一的ではなくパーソナライズされたサービスが求められていると認識し、顧客のエンゲージメントを高めるため、蓄積されたデータの活用や顧客との接点を戦略的に組み合わせることで、価値あるサービスを提供してまいります。

 

③ 付加価値の高いサービスの開発

 「オフィスステーション」シリーズは、HR領域における従業員情報の管理や季節ごとに発生する業務のIT化を支援するため、機能開発とシリーズ展開を進めてまいりました。企業の管理部門では、入社・退社に伴う各種申請、社会保険・年金の申告、年末調整といった労務業務に加え、従業員のスキルや資格の管理、評価制度の運用、キャリア形成支援など、人事全般にわたる業務が行われております。これらの業務は複雑化が進む一方で、効率化と精度向上が求められています。

 近年、HR領域では多くのツールが出現しておりますが、複数のツール併用による情報連携の複雑化や既存ツールとの機能重複が課題となるケースが増加しています。当社グループでは、労務から人事まで幅広い業務に対応しつつ、必要な機能を選択して導入できる「アラカルト方式」を採用し、企業の多様なニーズに応えています。また、顧客生涯価値(LTV)の最大化を目指して開発の優先順位を明確化し、機能改善を進めております。

 さらに、「オフィスステーション」シリーズを導入した企業がデータ活用とIT化を通じて労務管理や人材戦略に基づく課題解決を実現するためには、システムを使いこなせる状態にまで支援することが不可欠です。当社グループは、カスタマーサクセスの体制を強化し、導入から運用、さらには人材データ活用を見据えた伴走型支援を提供することで、企業の生産性向上と人材活用の最適化に貢献してまいります。

 

④ 優秀な人材の確保と育成

 当社グループのさらなる成長を実現するため、優秀な人材の確保と育成を重要な課題と認識しております。当社の最大の財産である「人」を基盤に、「他社で3年で学ぶことを1年でマスターする」という教育方針のもと、業務理解を進め営業力を強化すると共に、人間性を育むことで、社員一人ひとりの成長を支援しています。社員が能力を開発し続けることは、サービス品質の向上だけでなく、経営成績の向上を支える重要な原動力となります。また、育児・介護との両立が可能な環境の整備、有給休暇取得促進、成果を正当に評価する仕組みの構築など、全社員が能力を最大限発揮できる職場づくりを進めております。さらに、当社の理念やカルチャーに共感し、長期的に活躍できる人材を迎え入れることを目指しています。採用後は、早期に戦力化できる育成体制を整えることで、社員と会社双方が成長できる関係性を築きます。人材への中長期的な投資を継続することで、持続的な成長を支える組織体制の強化に取り組んでまいります。

 

⑤ セキュリティ体制の強化

 当社グループは、提供するサービスに関連してユーザーの個人情報や機密情報を取り扱っており、これらの保護を最重要課題として取り組んでおります。安心してサービスをご利用いただくために、セキュリティ監視体制の強化を図り、自社内の体制構築のみならず、外部業者による脆弱性診断を継続的に実施しております。これにより、最新の脅威やリスクへ迅速に対応し、必要な対策を講じることでサービスの安全性を確保しています。また、当社グループでは「情報セキュリティ基本方針」を定め、この方針に基づいて情報資産の管理と保護を徹底しております。具体的には、データの暗号化、アクセス権限の厳格な管理、不正アクセス防止を目的としたファイアウォールやセキュリティソフトの最新化など、技術的な対策を施しております。さらに、セキュリティ体制の向上には人的な取り組みも欠かせないものと認識し、全従業員を対象とした定期的な教育・研修を実施しております。これにより、セキュリティ意識の向上と実務知識の習得を促進し、内部からのリスク軽減を図っております。加えて、情報漏洩やサイバー攻撃のリスクを最小化するための内部監査や改善プロセスを整備し、継続的なチェックと改善を行っています。これらの取り組みを通じて、技術的・人的両面からの対策を高度化し、ユーザー企業からの信頼に応える体制を構築してまいります。今後も、セキュリティ対策の強化を事業運営の重要な柱と位置付け、安心・安全なサービス提供を目指してまいります。

 

⑥ コーポレート・ガバナンスの強化

 当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、コーポレート・ガバナンスの適切な機能を重要な経営課題と認識しております。事業活動においては、顧客の個人情報や会員企業の機密情報など、重要な情報資産を取り扱う機会が多く、これらの保護と管理が事業運営の根幹を支えるものと考えております。不正アクセスやサイバー攻撃、従業員の過誤などにより情報が漏洩した場合、当社グループの社会的信用が著しく低下し、経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼすリスクがあります。これらのリスクを回避するため、業務フローの厳格な運用、継続的かつ定期的な情報管理、インサイダー取引防止に関する社内教育の実施、保管データへのアクセス制限を徹底しております。さらに、コーポレート・ガバナンスの実効性を高めるため、内部監査体制を整備し、コンプライアンスに関する定期的なチェックと改善を進めております。これにより、適正かつ効率的な事業運営を実現するとともに、事業基盤の強化を図ってまいります。引き続き、ガバナンス体制のさらなる強化を通じて、社会的責任を果たし、企業価値の向上に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ

 当社グループは、これまで個人事業主と中堅・中小企業の支援に注力してまいりました。時流を捉え多様なニーズに応えうる有益で価値あるサービスを、リーズナブルな価格で提供する「サービスの水道哲学」を企業哲学として、いただいた報酬以上の価値を顧客に提供することを事業のコンセプトとしております。

 また、持続的発展が可能な社会の実現に貢献し、ステークホルダーおよび社会からの信頼を得ると共に、社会的責務を果たすため、サステナビリティに関するポリシーを定めております。

 

[サステナビリティに関するポリシー]

・地球環境の保全と企業活動との調和を目指す

・働く人々の安全衛生と健康を確保・推進して事業活動を行う

・腐敗行為および腐敗行為に加担する行為の防止を徹底する

 

 当社グループの唯一最大の財産は「人」であります。持続的な成長を支える重要資本である人材に対する中長期的な投資を継続し、全社員が愛される人物となることを目指します。そして、「関わる全ての人と企業を物心両面で豊かにする」ことで、わが国経済の活性化に貢献し、当社グループにとどまらないサステナビリティを実践してまいります。

 

① ガバナンス

 当社グループは、持続的な成長と企業価値向上のためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが不可欠であると認識しております。当社グループの事業活動では、顧客の個人情報や会員企業の各種機密情報等を扱うことが多くあります。これらの情報が、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入や、従業員等の過誤によって漏洩するリスクを回避するため、以下の取り組みを行っております。

 

・業務フローの厳格な運用

・継続的かつ定期的な情報管理及びインサイダー取引に関する社内教育の実施

・保管データへのアクセス制限などのシステム運用整備

・データを取り扱う外部委託先に対する秘密保持契約の取り交わし

 

 また、企業を取り巻く環境が大きく変化する中、当社グループは持続可能な社会の実現と当社グループの中長期的な企業価値向上を目指し、ESGの取り組みを推進するため、ESG委員会を設置し、以下のポリシーを定めております。

 

[ESG委員会]

・委員長:常務取締役(奥村 美樹江)

・事務局長:管理本部長(松尾 麻希)

・事務局:管理本部

・委員:各事業本部および連結子会社から選出(9名)

 

[ESGポリシー]

・環境ポリシー

・健康・安全に関するポリシー

・腐敗防止ポリシー

・反社会的勢力対応ポリシー

 

 今後も事業規模の拡大に対応した内部管理体制の整備を進め、より適正かつ効率的な経営を遂行し、事業基盤の強化に努めてまいります。

 

② リスク管理

 当社グループは、会社のリスクに関する統括責任者として担当取締役を任命し、リスク管理担当取締役を補佐する統括責任部署を総務部とし、組織横断的リスク状況の監視並びに全社的対応を行っております。リスク管理担当取締役は、必要に応じて全社的リスク管理の進捗状況と内部監査の結果を、取締役会及び監査等委員会へ報告します。

 リスクの発生事項については、管轄する部門または委員会が情報収集および資料作成を行い、情報開示責任者である管理本部長を通じて、取締役会へ報告・付議し、取締役会で決議します。その後、情報開示責任者の指示により、管轄する部門または委員会より速やかに情報開示を行っております。

 

 なお、管轄する部門または委員会については、以下の通りです。

 

・経理部:決算情報および投資有価証券・流動性リスクの管理

・各事業部門の営業管理部:営業債権の管理

・ESG委員会:ESGを含むサステナビリティ全般

・コンプライアンス委員会:法令・内部諸規則の遵守および不正の防止等のコンプライアンス全般

 

(2)人的資本

 当社グループでは、「他社で3年かけて学ぶことを1年でマスターする」ことを掲げ、全社員が「成長し続ける環境」を整えております。新入社員であっても、入社して早い段階で多くの顧客を担当するなど大きな裁量を与え、圧倒的な場数を踏みます。大きな裁量を与えられることで、仕事に当事者意識が生まれ、強い責任感を持って仕事に取り組めるようになります。

 それぞれが圧倒的に成長し、自分の価値を高めることで関わるすべての人と企業を豊かにすることが可能になります。それぞれが社会から必要とされ続ける人として発展を重ねていくことで、当社グループとして大きな社会貢献を目指しております。

① 戦略

A.人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針

 当社グループでは、持続的な成長を支えるため、人材の採用および育成が非常に重要な事項であると考えております。人材の採用および育成に関する具体的な取り組み内容は、以下のとおりです。

[人材の採用]

 新卒採用では、書類選考は一切なく、面接での採用を重視しております。学歴等では当人の魅力はわからないため、応募者全員に必ずお会いして判断しております。

 インターンシップや面接では、本人の良かった点と改善点をそれぞれ2つ以上フィードバックしております。改善点については、他人からの指摘を好意的に受け止められるかどうか、またそれが改善できるようになるかということの確認でもあります。

 採用プロセスについては、以下の通りです。

プロセス

内容

エントリー

 

インターンシップ

(2日間)

当社グループで実際に支援した実例も含め中小企業の経営課題を題材にグループワークを中心としたプログラムを実施しています。学生同士の交流により、学生自身は学びを深め、当社グループは学生の素の部分を見ることを目的にしております。

会社説明会

代表取締役社長が自ら当社グループの魅力を存分に語ると共に、入社1年目の先輩社員がなぜ当社グループへの入社を決めたのかと従事している業務内容について説明します。また、当社グループの面接を希望する学生には全員に、面接時のポイントを解説しております。これは、学生本人の面接時のパフォーマンスを最大化させたいためのものです。

1次選考

(グループ面接)

事前に「自己PR」という面接でのテーマをあらかじめ伝えております。準備したうえで、どこまでPRできるかを確認する機会としております。

2次選考(個人面接)

3次選考(個人面接)

4次選考(個人面接)

2次選考以降では、面接の前半の時間を、学生からの質問時間としております。当社グループに対する疑問や不安を解消し、志望度を高めてもらうことを目的としております。また、質問の内容によって、本人の価値観を把握するためでもあります。

最終選考

(個人面接+筆記試験)

最終面接の前後には、面接ではなく「カジュアル面談」をオンラインまたは対面で複数回実施しております。学生の本音を引き出し、当社グループにマッチする人材かを、お互いにすり合わせ、本人の不安を取り払うことを目的としております。

定期的な研修及び個人面談

内定者には、入社直前まで毎月オンラインまたは集合形式で研修を実施しております。また、定期的に採用担当者が内定者と個人面談を行っております。集合研修の際には、食事を先輩社員と一緒にすることもあります。これらは、入社後に必要となる知識やスキルの範囲やレベル、働くイメージのギャップを埋め、辞退や退職を防ぐことを目的としております。

内定式

 

 

[人材の育成]

 研修制度として、入社前から始まる内定者向け、キャリア採用者向け、年次別、階層別等を設けており、研修を介して企業文化が浸透される環境を整えております。

制度

内容

内定者研修

採用内定後入社までの期間は、ビジネスパーソンとしての市場価値を高めることを目的とした研修を月に1~2回のペースで実施しております。実際にエフアンドエムクラブの会員企業向けに有料で行っているマネジメント研修やビジネスマナー研修をはじめ、入社後必要となる会計の知識も身に付けられるようにサポートしております。学生時代に経営について学ぶ機会がなかった学生でも無理なく必要な知識を習得できる環境を整えております。

フェロー研修

入社1~6年目の社員を対象に、3ヶ月に一度のペースで年次別の研修を実施しております。当社グループは「他社で3年で学ぶことを1年でマスターする」を教育方針としております。自分自身の成長について振り返り、3倍速の成長を実現させるために必要な取り組みを自ら設定しております。業務内容や勤務地域が異なる同期入社の社員と、日頃の創意工夫を共有することでモチベーションが高まり、息切れすることなく3倍速の成長を続けられる機会となっております。

キャリア採用者向け研修

キャリア採用で入社した1~3年目の社員を対象に、年に2回の研修を実施しております。配属された部門のことだけでなく、当社グループが展開する事業内容や、大切にしている企業文化を理解する機会となっております。キャリア採用者は、年齢も地域も採用時期も異なることから横のつながりが薄く、孤立しがちになる傾向にありますが、研修を介して一体感を醸成し、日頃から情報交換できる環境を構築します。

事業本部研修

各事業本部にて、定期的に集合型で研修を実施しております。それぞれの成功体験やノウハウを共有することで、活動内容のレベルアップを図ることを目的としております。また、政府が行う支援策等については随時内容が更新されるため、タイムリーな情報共有や提案内容のブラッシュアップを行うことで、より強固な経営体制を築きます。

本部長研修

全事業本部長を対象とした研修を毎月実施しております。人材育成や組織運営など、全ての部門で共通する重要課題について議論を行い、それぞれの経験や知見を共有する場を設けています。この取り組みにより、事業全体の運営力を強化し、持続的な成長を支える経営基盤を構築することを目的としています。

スタッフ研修

各事業本部のスタッフ部門の社員を対象に、四半期に一度のペースで研修を実施しております。この研修では、社員が持つ知識や見識を互いに持ち寄り、共有することで、部門を超えた連携を強化するとともに、双方向で支援し合う仕組みを構築しています。こうした取り組みを通じて、組織全体の知識基盤を強化し、より効率的かつ柔軟な業務遂行を実現することを目指しています。

 

 

B.社内環境整備に関する方針

 当社グループでは、当社グループ自体が従業員・社会から愛されるため、従業員の安全および健康、ならびに会社の風土は非常に重要な事項であると考えており、具体的な取り組み内容は、以下のとおりです。

[従業員の安全および健康]

 有給休暇の取得促進や、当社グループ独自のメンター制度により、従業員の安全と健康を守ります。

制度

内容

セルフ大型連休制度

年間2回、有給休暇を5日連続で取得することができる制度。5日連続で有給休暇を取得すると、前後の土曜・日曜日と連続するため、最低でも9日間連続の大型連休となります。ルールとして、一定の強制力を持って全社員の有給休暇取得を進めております。

リフレッシュ休暇

5年に一度、最大10日間の連続した休暇を取得できる制度。心身ともにリフレッシュし、休暇明けから集中して業務に取り組める制度となっております。

語る&知る

当社グループ社員の発案から生まれたメンター制度をはじめ、「話そう、つよく繋がろう」をテーマに、社員がお互いのことを理解し合い、より強固な協力体制を築くためのコミュニケーション向上施策です。仕事もプライベートも、何でも相談できる先輩社員が入社後2年間フォローするもの、事業本部内でのチームビルディングや組織力強化を目的とするもの、事業本部を超えた交流を図ることで、お互いの事業や活動内容への理解を深め、現場レベルでの相互支援を行うことを目的とするもの、会社主導の組み合わせメンバーで交流できる機会を設け、そこでのシナジーを期待するものがあります。

両立支援プログラム

仕事も子育てもどちらも全力で楽しむための一助として、妊娠から復帰までのスケジュールやすべきこと、身体のケアの仕方、経済的な支援や制度の申請方法、周囲のメンバーとのコミュニケーションの取り方等についてまとめた「ワーキングママ&パパガイド」を配布し、必要な情報を提供しています。また、育児休業中の社員を対象にワークショップを開催し、復職後の仕事と育児の両立に向けたサポートを行っております。これらの取り組みを通じて、社員が安心して仕事と家庭の両方に向き合える環境づくりを目指しています。

 

[会社の風土]

 性別・年次にかかわらず成果に対して報いる制度や、一般社員が当社グループの代表取締役社長と気軽に交流できる機会を持つことで、風通しの良い組織風土を醸成します。

制度

内容

優績者旅行

優秀な成績を収めた社員を海外・国内旅行に招待する制度。評価対象期間は半期ごとで、年2回実施しております。これまで海外はハワイ、グアム、カナダ、オーストラリア、バリ、香港など、国内は石垣島や京都などの実績があります。

MVP表彰

毎年、各事業本部から最も活躍した社員を年次に関係なく選出し、全社員の前で表彰する制度。受賞は、その中でもMVPゴールドとMVPシルバーに分かれ、それぞれに応じた報奨金を贈呈しております。

MEET THE CEO

「社長としてではなく人生の先輩として話したい」という当社グループの代表取締役社長の想いで開催するイベント。話を聞くだけではなく、社員が自分の考えを伝えたり、アイデアを披露したり、仕事やプライベートの悩みを相談してアドバイスをもらう機会となっております。当社グループでは、社員一人ひとりが直接代表取締役社長と対話できる機会を大切にしております。

 

 

② 指標及び目標

 当社グループでは、上記「① 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績

2024年3月期

2025年3月期

(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合 (注)1

2029年3月期までに30

13.8%

15.3

男性労働者の育児休業取得率 (注)2

2029年3月期までに85

73.1%

61.9

労働者の男女の賃金の差異 (注)3

60.8%

63.4

(うち正規雇用労働者)

61.6%

64.3%

(うちパート・有期労働者)

39.9%

37.9%

(うち総合職)

2029年3月期までに90%

86.6%

87.5%

(うちアソシエイト職)

2029年3月期までに88%

83.4%

87.0%

(うちアルバイト)

2029年3月期までに88%

90.4%

85.8%

年間有給休暇取得割合

(注)4

2025年3月期 77%

2026年3月期 80

68.6%

71.7

(注)1.連結子会社は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定による公表をしないため、提出会社のみの実績となります。なお、実績の詳細については「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載の通りであります。

2.連結子会社は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表をしないため、提出会社のみの実績となります。なお、実績の詳細については「第1 企業の概況 5 従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載の通りであります。

3.目標については、雇用区分(正規雇用労働者、パート・有期労働者)ごとではなく、職種(総合職、アソシエイト職、アルバイト)ごとに定めております。なお、総合職は転勤を含むジョブローテーションを重ねてキャリアを積み、その過程で新しいサービス及び仕組み作りや判断が求められる業務を主に担当し、アソシエイト職は総合職の補佐的業務を担当するものであります。

4.「年間有給休暇取得割合」については、総合職およびアソシエイト職の有給休暇付与日数に対する取得日数割合を計算しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)主要事業の対象マーケットについて

 アカウンティングサービス事業における生命保険会社営業職員のマーケットは、過去10年間で18万人から20万人の間を推移し、増減を繰り返してきました。しかし、各生命保険会社の施策や経営環境の変化により、将来的には減少する可能性が懸念されています。

 コンサルティング事業では中小企業を主要なマーケットとしておりますが、原油・原材料価格の高騰、部材調達の困難、人手不足といった供給面の制約により、依然として厳しい状況が続いています。このような環境下で、政府は中小企業に対する支援策を継続的かつ多方面から講じており、これらの支援を必要とする事業者が全国に多数存在しています。中小企業を取り巻く経営環境が急激に改善することは現実的ではないため、行政による支援が継続すると考えられます。ただし、支援規模が大幅に縮小する場合には、当社が提供する一部サービス内容を見直さざるを得ない可能性もあります。

 ビジネスソリューション事業においては、政府が進める行政のデジタル化に加え、企業がHR領域で業務の生産性向上を目的にIT化を加速していることが、「オフィスステーション」シリーズの拡販におけるマーケット拡大の追い風となっています。

 これらの動向を背景に、当社グループは成長機会を捉え、製品の競争力をさらに高める取り組みを推進してまいります。

(2)海外での業務委託について

 当社グループでは原価低減策のひとつとして、アカウンティングサービス事業の記帳処理作業をはじめとし、各セグメントで発生するデータ入力作業の一部を中華人民共和国のシンセンに位置する企業に業務委託しております。こうした海外への業務委託においては、予期せぬ法律または規制の変更、テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱等のリスクが内在しております。このような事象が発生した場合、当社グループのサービスが円滑に提供できなくなり、経営成績に悪影響を与える可能性があります。

(3)個人情報の管理について

 当社グループが一般個人及び法人向けに提供するサービスにおいて、その従業員等を含む個人情報等をサーバー等で管理する場合があり、採用しているさまざまなネットワークセキュリティにも拘らず、不正アクセス及びその他事由により個人情報の流出等の可能性は存在しております。このような事案が発生した場合、当社グループに対する損害賠償の請求、訴訟、行政官庁等による制裁、刑事罰、その他の責任追及がなされる可能性があります。また、これらの責任追及が社会的な問題に発展し、当社グループが社会的信用を失う可能性があります。

(4)減損会計について

 当社グループでは、本社が所在する自社所有物件のほか、全国に営業拠点やパソコン教室直営店舗などが所有する事業用固定資産があり、また毎期積極的に開発費を投じている社内業務システムや販売用システムがあります。将来的に不動産の下落及び経営成績によってそれらの減損処理が必要となった場合は、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

(5)許認可を要する事業について

 当社グループの事業の一部においては、経営革新等支援機関などの関係省庁での許認可を必要とする事業を行っております。今後関連法規の改正などによっては、同事業の提供する一部のサービスを継続できなくなる可能性があります。

(6)業績の季節変動について

 当社グループのサービスはバックオフィスの支援や改善を目的としたものですが、年末調整や確定申告などサービス導入のきっかけとなる主だった手続きが下半期に集中する傾向があります。このことにより、連結会計年度における各四半期の売上高、営業利益等の間に変動があり、今後も同様の傾向が続くため、上半期に比べて下半期の業績が通期業績に与える影響も大きいものと見込んでおります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、賃金、雇用情勢の改善が続くなど個人消費を取り巻く環境は一定の前進を見せました。しかしながら、物価高の影響が長引き、消費支出の低迷が懸念される状況が続きました。また、輸出の低迷や海外経済の減速が国内製造業に影響を及ぼし、中小企業庁の「中小企業景況調査」によると業況判断DIは3期連続で低下するなど、特に中小企業の経営環境は依然厳しい状態にあります。

 このような経済状況のもと、当社グループは、収益の安定化と持続的成長を目指し、主要事業の会員数の増加及びサービス内容の拡充と業務の効率化に取り組んでまいりました。

 

(財政状態)

(ⅰ)資産

当連結会計年度末における流動資産は72億69百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億73百万円増加しました。これは主に現金及び預金が6億12百万円、売掛金及び契約資産が1億21百万円増加したことなどによるものです。

固定資産は100億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億29百万円増加しました。これは主にソフトウエアが11億23百万円、投資有価証券が90百万円増加したことなどよるものです。

この結果、総資産は173億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億2百万円増加しました。

(ⅱ)負債

当連結会計年度末における流動負債は39億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億93百万円増加しました。これは主に未払法人税等が3億15百万円、その他(流動負債)が1億79百万円増加したことなどによるものです。

固定負債は1億59百万円となり、前連結会計年度末に比べ14百万円増加しました。これは主に退職給付に係る負債が15百万円増加したことなどによるものです。

この結果、負債合計は40億92百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億7百万円増加しました。

(ⅲ)純資産

当連結会計年度末における純資産合計は132億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億95百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益18億14百万円、自己株式処分差益2億99百万円が計上された一方、剰余金の配当5億73百万円が計上されたことなどによるものです。

この結果、自己資本比率は76.4%(前連結会計年度末は76.4%)となりました。

なお、特筆すべき重要な資本的支出の予定及びそれに伴う資金の調達は当面ありません。

 

(経営成績)

 当連結会計年度の経営成績は、売上高170億66百万円(前連結会計年度比14.8%増)、営業利益27億16百万円(同27.7%増)、経常利益27億41百万円(同27.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益18億14百万円(同12.7%増)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

(ⅰ)アカウンティングサービス事業

 アカウンティングサービス事業は、生命保険営業職員を中心とする個人事業主及び小規模企業に対する記帳代行等の会計サービスの提供となります。同事業では、各生命保険会社が新入社員向けに随時行っている研修に参加し、確定申告の制度や必要経費の考え方等についての講座を担当しています。その後サービス提案を行っておりますが、従来は四大生命保険会社を対象にしておりました。これを中堅・外資系生命保険会社にも拡大することで、営業機会を確保しました。その結果、当連結会計年度末(2025年3月31日)の会計サービス会員数は102,276名(前連結会計年度末比10,231名増)となりました。

 この結果、アカウンティングサービス事業における当連結会計年度の売上高は49億21百万円(前連結会計年度比12.0%増)、営業利益は16億10百万円(同25.2%増)となりました。

 

(ⅱ)コンサルティング事業

 コンサルティング事業は、中堅・中小企業の総務経理部門に対する各種情報提供サービス「エフアンドエムクラブ」の運営、ISO及びプライバシーマークの認証取得支援、「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」「中堅・中小成長投資補助金」をはじめとした補助金申請支援、資金繰り改善のための経営改善計画の策定支援等になります。

 「エフアンドエムクラブ」については、2025年3月末時点で223行庫の地域金融機関と連携契約し、好連携事例の共有や勉強会の開催などによる情報共有の強化によって稼働促進を図ることで、営業機会の増強に努めました。採用競争力を高めるための求人票添削などの採用支援、採用後の定着率やパフォーマンス向上のための人事考課制度策定支援、労務管理体制の整備による就業環境の改善、設備投資や人的投資に関わるキャッシュ・フローの分析などのサービスが中小企業経営者のニーズを掴んだことで、新規の会員獲得に繋がりました。2024年7月22日に開始した三菱UFJ銀行との協働ビジネスは、中小企業の経営支援を両社で強力に推し進めるべく、当社から営業担当者を出向させております。また、信用金庫のセントラルバンクである信金中央金庫と連携することで、全国の信用金庫との提携および企業支援を促進しております。会員企業向けには、企業の課題に対応するサービスの提案や会員企業サイドで実行すべき取り組み管理のため、個社担当によるオンライン面談の強化と、会員専用サイト上で会員企業のタスクを共有し遅延や漏れを当社が把握することでサービス利用を促進する体制の構築を進めました。また、本格化しているコロナ融資返済期の資金繰り支援・アドバイスの強化、事業把握のためのビジネス俯瞰図の作成支援を行いました。その結果、当連結会計年度末(2025年3月31日)のエフアンドエムクラブ会員数は13,705社(前連結会計年度末比2,513社増)となりました。

 ISO及び第三者認証取得支援については、食品の輸出増加を背景に食品安全管理ニーズの高まりからISO22000の問い合わせが増加しています。情報セキュリティニーズを背景としたプライバシーマークならびにISO27001の取得の問い合わせも引き続き好調で、これらの旺盛なニーズへの対応に注力しました。

 「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」「事業再構築補助金」「中堅・中小成長投資補助金(中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金)」をはじめとした補助金申請支援については、「中堅・中小成長投資補助金」の1次公募19件、2次公募40件、「事業再構築補助金」の第12回公募456件の申請支援を行いました。その結果、「中堅・中小成長投資補助金」の1次公募では6件、2次公募では2件、「事業再構築補助金」の第12回公募については180件が採択されました。また、前期中に申請支援を行っていた「ものづくり補助金」の17次締切については2024年5月に採択結果が発表となり、3件が採択、18次締切については2024年6月に採択結果が発表となり、102件が採択されました。2025年3月26日に公募締切となった「事業再構築補助金」の第13回公募については89件の申請支援を行いました。補助金交付候補者の採択発表は2025年6月下旬から7月上旬頃に予定されています。また、2025年4月28日に申請受付が締切になった「中堅・中小成長投資補助金」の3次公募については6件、2025年4月25日に申請受付が締切になった「ものづくり補助金」の19次公募については171件の申請支援を行いました。

 

補助金名

締切

採択発表

採択数

ものづくり補助金

17次

2024年5月

3件

18次

2024年6月

102件

19次

2025年7月下旬

予定

発表待ち

事業再構築補助金

第12回

2024年11月

180件

第13回

2025年6月下旬

~7月上旬予定

発表待ち

中堅・中小成長投資補助金

1次

2024年6月

6件

2次

2024年10月

2件

3次

2025年6月下旬

予定

発表待ち

 

 

 資金繰り改善のための経営改善計画書の策定支援については、経営改善計画の策定費用が補助される405事業(経営改善計画策定支援事業)を活用することで、より多くの中小企業の財務改善の実現をサポートできるよう取り組んでおります。

 この結果、コンサルティング事業における当連結会計年度の売上高は66億18百万円(前連結会計年度比11.5%増)、営業利益は16億63百万円(同30.9%増)となりました。

 

(ⅲ)ビジネスソリューション事業

 ビジネスソリューション事業は、士業向けコンサルティング、及び企業・士業向けITソリューションの提供等になります。

 士業向けコンサルティングとしては、認定支援機関である税理士・公認会計士事務所の業務対応力向上を支援する「経営革新等支援機関推進協議会」を中心に活動しています。同協議会では、税理士・公認会計士を通じて中小企業の「優遇税制支援や財務支援」、「人材の採用・育成・定着に関するノウハウ提供」、さらに自身の事務所における「AIを活用した業務改善」や「職員向けの研修」の提供を行っています。これらの取り組みにより、税理士・公認会計士の事務所を対象とした継続的なニーズを把握し、それを営業機会として確保することに成功しています。その結果、当連結会計年度末(2025年3月31日)の「経営革新等支援機関推進協議会」の会員数は1,714件(前連結会計年度末比6件増)となりました。

 また、企業・士業向けITソリューションとしては、人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」シリーズの販売を行っています。このシリーズは、株式会社MS-Japanが運営する管理部門および士業向け専門サイト「Manegy」の実施する「全国の管理部門で働く人が選んだ 本当に!使ってよかったサービス・システム『管理部門大賞2025』」において「人事部門」の第1位を獲得しました。HR領域の市場規模は拡大を続けており、その背景には、人事・給与・勤怠といった各業務ソフトに分散されている従業員情報を一元化することで、データベースを活用した業務効率化や人事戦略の実現を目指す企業が増加している点が挙げられます。この市場環境に対応するため、展示会への出展を通じて新規商談機会を創出するとともに、フィールドセールスとカスタマーサクセスが密接に連携することで、契約までのリードタイムを短縮し、成約率向上を実現しました。既存ユーザーに対しては、一社あたりの登録従業員数の増加を促進するとともに、他のプロダクトの提案を通じてクロスセルを図りました。また、企業・士業を問わず既存ユーザーがストレスなくオンボーディングできるよう体制を強化しました。不明点を迅速に解決するためのサポートデスクの充実も推進し、顧客満足度の向上に努めました。士業向け市場では、特に社会保険労務士事務所のマーケット深耕に注力しました。全国の社労士会へ積極的なアプローチを行い、社労士会主催の展示会への出展を通じて新規商談機会を創出しました。これらの活動を通じて、士業向けITソリューションのさらなる普及を目指し、顧客基盤の拡大に成功しています。その結果、当連結会計年度末(2025年3月31日)の「オフィスステーション」シリーズの利用は、無料で提供している「オフィスステーション 労務ライト」の利用を含み、企業が43,862社(前連結会計年度末比7,131社増)、士業が3,327件(同314件増)となりました。

 この結果、ビジネスソリューション事業における当連結会計年度の売上高は50億71百万円(前連結会計年度比22.7%増)、営業利益は6億71百万円(同22.3%増)となりました。

 

(ⅳ)不動産賃貸事業

 不動産賃貸事業は、当社が所有するオフィスビルの賃貸収入で安定した収益を計上しております。当連結会計年度の売上高は1億8百万円(前連結会計年度比2.1%増)、営業利益は29百万円(同4.0%減)となりました。

 

(ⅴ)システム開発事業

 システム開発事業は、連結子会社エフアンドエムネット株式会社のシステム開発事業等になります。エフアンドエムネットでは、「オフィスステーション」シリーズを中心としたエフアンドエムが販売する商品などのグループ内向け開発が大部分を占めました。

 この結果、システム開発事業における当連結会計年度の売上高は2億87百万円(前連結会計年度比22.2%増)、営業利益は39百万円(同49.2%減)となりました。

 

(ⅵ)その他事業

 その他事業は、パソコン教室の本部運営及びFC指導事業等になります。パソコン教室の本部運営及びFC指導事業においては、受講生に対する積極的なカウンセリング、資格取得のためのサポートなどを強化することで継続率の向上に努めました。

 この結果、その他事業における当連結会計年度の売上高は58百万円(前連結会計年度比3.2%減)、営業利益は4百万円(同5.4%減)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ6億12百万円増加(前年同期比11.7%増)し、58億34百万円となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は37億43百万円(同14.8%増)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益27億42百万円、減価償却費16億31百万円、その他の流動負債の増加1億1百万円などがあった一方、売上債権の増加1億27百万円、その他の流動資産の増加60百万円、法人税等の支払6億35百万円などがあったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は29億6百万円(同20.0%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1億97百万円、無形固定資産の取得による支出25億71百万円、投資有価証券の取得による支出1億83百万円などがあった一方、有価証券の償還による収入1億円などがあったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は2億25百万円(同57.1%減)となりました。これは主に配当金の支払5億72百万円があった一方、自己株式の処分による収入3億47百万円があったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 該当事項はありません。

b.受注実績

 該当事項はありません。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年4月1日

 至 2025年3月31日)

前年同期比(%)

アカウンティングサービス事業(千円)

4,921,746

112.0

コンサルティング事業(千円)

6,618,842

111.5

ビジネスソリューション事業(千円)

5,071,104

122.7

不動産賃貸事業(千円)

108,949

102.1

システム開発事業(千円)

287,262

122.2

報告セグメント計(千円)

17,007,905

114.9

その他(千円)

58,467

96.8

合計(千円)

17,066,373

114.8

(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 主要3セグメントにおいては、いずれも会員制ビジネスであるため、主たる売上は会費収入となります。売上高の伸長は会員数の増加と原則的に比例するため、会員数を安定的に増加させることが、事業の成長には不可欠な要素となります。また、収益力の向上を図ることが優先課題であると認識していることから、売上高営業利益率と売上高原価率を注視し、その変動要因の把握に努めております。これらについてのセグメントごとの具体的な取り組みと振り返りは次の通りとなります。

 

[アカウンティングサービス事業]

 主なマーケットである生命保険営業職員のチャネルで会員数が増加しました。なお、同営業職員数は18.5万人(2022年度月平均実働数 出所:株式会社保険研究所『インシュアランス生命保険統計号(令和5年版)』)であり、今後も拡大の余地は十分に見込めるものと考えております。いずれの生命保険会社においても年間を通して積極的な採用活動を行うことは継続しております。新入社員に向けては随時研修が実施されておりますが、当社は各生命保険会社で行われている同研修において、継続して一部のプログラムを担当しております。生命保険営業職員は個人事業主であり、個人で納税の手続きが必要であることについて、研修で詳細の説明を受けることになりますが、当社が確定申告やそのために必要な事柄についての研修を担当することで営業機会の確保に努めております。研修では当社で開発したアプリを活用し、確定申告についての理解を深めていただいた上で、自分で対応するのが難しいと判断された方が、当社サービスをスムーズご利用いただけるよう提案に繋げております。また、契約に関する一連の手続きはオンラインで完結できるため、効率的な営業活動を展開しております。

 また、売上高原価率の改善のため、AIの活用による処理工程の業務効率化を進めました。AI技術を活用した自動仕訳の精度向上に注力し、処理の自動化範囲を拡大することで、業務効率を向上させ、原価抑制に貢献しております。

 近年は、インボイス制度がスタートしたことで、企業・個人事業主だけではなく、税理士・会計士業界においても、業務負担が増大しております。今後はAIによる処理精度の向上と共に、処理実績とノウハウを活用することにより、シェアードサービスやアウトソーシングを希望する企業・税理士・会計士の受け皿として機能し、新たな売上を創出していきます。

 

[コンサルティング事業]

 ベースとなる収益は、エフアンドエムクラブ等の会費売上によるものです。売上拡大には、会員数の増大が必要であるため、新規会員企業獲得のための営業活動の強化ならびに営業人員の増強を行うと共に、サービスを長く利用いただくための取り組みが重要であるとして、契約継続率に注目しております。従来、中小企業の経営課題として上位に位置している、労務管理や人手不足などに対処したいとする経営者のニーズを掴んだ提案を行ったことも貢献しました。会員企業に向けては、企業の課題に対応するサービスの提案や実行すべき作業管理のため、個社担当によるオンライン面談の強化と、会員専用サイト上で会員企業のタスクを共有し遅延や漏れを当社が把握することでサービス利用を促進する体制の構築を進めました。また、本格化しているコロナ融資返済期の資金繰り支援・アドバイスの強化、事業把握のためのビジネス俯瞰図の作成支援を行いました。

 

 

2023年3月期

2024年3月期

2025年3月期

期末会員数

増減数

期末会員数

増減数

期末会員数

増減数

エフアンドエムクラブ会員数

9,047

1,449

11,192

2,145

13,705

2,513

 

 2021年3月から公募が開始された「事業再構築補助金(中小企業等事業再構築促進事業)」は、第10回公募から要件の緩和や申請枠の新設など公募要領の大幅な改訂が行われ、より多くの企業が利用できる補助金となりました。当社においては、第12回公募については456件の申請支援を行い、180件が採択されました。2025年3月26日に公募締切となった第13回公募については89件の申請支援を行い、補助金交付候補者の採択発表は2025年6月下旬から7月上旬頃に予定されています。営業機会の増強にはパートナーとなる地域金融機関との連携が重要となりますが、活動実績を高く評価いただいていることから業務提携の締結は順調に進み、業務提携済みの地域金融機関は223行庫となりました。2024年7月22日に開始した三菱UFJ銀行との協働ビジネスは、中小企業の経営支援を両社で強力に推し進めるべく、当社から営業担当者を出向させております。また、信用金庫のセントラルバンクである信金中央金庫と連携することで、全国の信用金庫との提携および企業支援を促進しております。契約継続率については、ビジネス俯瞰図の作成支援から企業の状況を把握し伴走型支援を深化させることで継続率の改善が実現するものと見込んでおります。

 エフアンドエムクラブの拡販は地域金融機関との連携によるところが大きいため、それに伴う手数料の支払いが発生しますが、あくまでも変動費であり、営業基盤と販売力強化のためには必要な費用だと認識しております。2024年12月に令和6年度補正予算が成立し、中小企業向け支援策として5,600億円の予算が組まれました。地域金融機関と共により多くの企業の支援体制を構築することが、営業機会の増強につながります。翌期はさらなる「エフアンドエムクラブ」の営業活動強化と、「ものづくり補助金」や新設される「新事業進出補助金」「中小企業成長加速化補助金」等をはじめとした各補助金の申請支援を行うことが業績に貢献する見通しです。

 

[ビジネスソリューション事業]

 「経営革新等支援機関推進協議会」では、今後も税理士・公認会計士を通じて中小企業の優遇税制支援や財務支援、人材の採用・育成・定着に関するノウハウ提供、さらに事務所向けのAIを活用した業務改善や職員向けの研修の提供を拡充してまいります。これらの取り組みを通じて、税理士・公認会計士事務所からの継続的なニーズを収集し、事務所ごとの問題点を解決するために「個別コンサルティングサービス」の提供をスタートいたします。これらを新たな営業機会として取り込み、事業拡大を図ります。

 「オフィスステーション」シリーズについては、HR領域での生産性向上を目指したペーパーレス化やDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が市場で一層進むことを見据え、スモールスタートを希望する企業にも柔軟に対応した提案活動を強化します。特に、アラカルト型の特徴を活かして既存システムとの併用を可能にし、企業の業務効率化やコスト削減を支援する姿勢をさらに徹底していきます。士業事務所向けには、大規模事務所への提案活動を引き続き強化し、社労士業界内での認知度を一層高めるとともに、会員数のさらなる増加を目指します。今後は、オフライン展示会へ積極的に出展し、有効リードの獲得を進め、営業機会を最大化する方針です。さらに、既存ユーザー向けには利用機会の拡大を提案し、顧客満足度の向上や継続率の改善に注力します。並行して、「オフィスステーション」シリーズで未導入のプロダクトの提案を積極的にしていくことで、ARR(年間経常収益)やLTV(顧客生涯価値)の向上を図り、持続可能な成長基盤を構築します。

 また、「オフィスステーション」シリーズの利便性をさらに高めるため、機能追加や新製品の開発を計画的に進め、ユーザー体験の向上を目指します。新たな開発については、コストコントロールを徹底し、効率的な運営を維持しながら市場のニーズに迅速に対応してまいります。今後も、顧客と市場の要望を的確に捉えた製品展開と支援策により、事業の成長を加速させることを目指して取り組んでまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、強固な財務体質を保持しつつ、企業価値向上に資する成長投資を行うべく、戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。強固な財務体質の維持については、自己資本比率を指標としております。当連結会計年度の自己資本比率は76.4%と、リスク耐性及び健全性において問題のないレベルだと認識しておりますが、円安や物価上昇、金融資本市場の変動等の影響により社会経済活動や事業環境の先行きは見通しづらい状況が続いているため、キャッシュ・フローの状況を注視しつつ財務規律を堅持してまいります。

 経営資源の配分については、収益力の高い既存事業の強化・成長に貢献する投資と、事業経営の基盤である人材採用及び育成への投資を最優先しながら、生産性向上のためのIT活用及び新規事業育成のための投資も継続して行います。投資については、フリー・キャッシュ・フローを有用な指標と考えております。当社グループではフリー・キャッシュ・フローを、営業活動により獲得されたキャッシュ・フローと投資活動により支出されたキャッシュ・フローの合計として定義しております。この指標は戦略的投資や負債返済に充当可能な資金の純額となると考えており、以下の通りフリー・キャッシュ・フローを算出しております。

(単位:百万円)

 

2024年3月期

2025年3月期

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

3,260

3,743

483

投資活動によるキャッシュ・フロー

△2,421

△2,906

△484

フリー・キャッシュ・フロー

838

837

△1

 

 当連結会計年度においては、営業活動は順調で、各セグメントの会員数とともにキャッシュ・インは増加しておりますが、「オフィスステーション」シリーズの開発を継続したことがキャッシュ・アウトを増加させました。企業規模を問わずHR領域では急速なIT化が進んでおり、「オフィスステーション」シリーズの拡販にとっては引き続き追い風であり、成長力・収益力の両面から今後も成長エンジンであると考えております。翌期以降も着実な拡販や収益力の強化に万全を期すことで、投資回収をしてまいります。その他のセグメントも含め、利益成長によるキャッシュの創出力を高めながら、資本コストと財務の柔軟性のバランスを考慮した資本構成を維持してまいります。

 資金調達については、円滑な事業活動に必要なレベルの流動性の確保と財務の健全性・安定性維持を基本方針としております。当社グループのビジネスモデルでは大型の設備投資は発生しないため、そのための資金調達の必要性はありませんが、事業展開に伴う資金需要には機動的に対応するため、充分な現金及び現金同等物を保有しております。現金及び現金同等物の保有額については厳密な目標を設けておりませんが、金融情勢などを考慮しつつ、安全性ならびに流動性の高い短期金融商品を中心に運用しております。

 株主還元については、安定的・継続的な利益還元に努めていくことを原則とし、事業活動を通じて創出した利益を成長分野へ投資することで、長期的なEPSの成長と配当水準の向上に努めてまいります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

5【重要な契約等】

 当連結会計年度において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。

 

資本業務提携契約

 当社は、中小企業の経営支援を目的として、当連結会計年度において、新たに弥生株式会社と資本業務提携契約を締結いたしました。

 当社は、あらゆる事業者のバックオフィス業務の改善に貢献することを目指し、金融機関をはじめとしたさまざまなパートナーと連携し、多くの事業者の経営支援を行っております。なかでも、中小企業のバックオフィス業務に特化した経営支援に注力しております。

 弥生㈱は、「事業コンシェルジュ」をビジョンとして掲げ、中小企業・個人事業主・起業家の会計・商取引・給与計算等のバックオフィス業務を支援するソフトウエア「弥生シリーズ」や起業から事業の継続と成長を支援する「事業支援サービス」を提供しております。

 近年、原油、原材料費が高騰する一方で価格転嫁が進まないことなどから、中小企業は厳しい経営環境に置かれています。そこで、当社と弥生㈱は業務提携を行い、当社の持つ中小企業向けのバックオフィスに特化したコンサルティングノウハウや人事労務領域でのサービスと、弥生㈱の持つ会計・給与・販売ソフトウエアとの相互連携により、中小企業が抱える生産性向上における課題の解決を目指します。

 また、かかる業務提携の目的を達成するために、より安定的な関係を構築すべく、弥生㈱が当社の普通株式を保有する資本関係を築く必要があると判断したため、資本業務提携を行うことといたしました。

 

契約会社名

相手方

の名称

国名

契約品目

契約

締結日

契約内容

契約

期間

㈱エフアンドエム

(当社)

弥生㈱

日本

資本業務提携契約書

2024年8月22日

中小企業の経営支援を目的とした資本業務提携契約

 

 

6【研究開発活動】

 当社グループは顧客である中堅・中小企業及び個人事業主へ提供するサービスの品質向上を目的に、研究開発活動を行っておりますが、当連結会計年度は研究開発活動の金額はありませんでした。

 当社グループでは特にアカウンティングサービス事業において、帳票の処理工程でのAI技術活用をさらに推進し、生産性向上を図っていきたいと考えております。そのため連結子会社であるエフアンドエムネット株式会社において、AIシステム構築を目的としたさまざまなツールやサービスの調査等の研究開発の取り組みは継続いたします。それに伴い今後グループとして研究開発活動費が計上されることがあります。