第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

(1) 継続企業の前提に関する重要事象等について

 当社グループは、2023年12月期、2024年12月期及び当中間連結会計期間において営業損失及び親会社株主に帰属する中間(当期)純損失を計上しており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 営業損失及び親会社株主に帰属する中間(当期)純損失を計上した主な要因は、当社において事業持株会社としての管理コストの計上により営業損失を計上したこと、2023年10月からROAD101 Co., Ltd.を連結の範囲に含めましたが、同社のVFX事業がまだ安定的な利益計上ができる基盤が確立されておらず、営業損失を計上したこと及び㈱ツリーフルでは、ツリーハウス及びエアロハウスの建築による宿泊施設の拡大を進めている計画途上であり、営業損失を計上したこと、また、2024年12月期においては、上記に加えて、2024年11月12日に訂正報告書を提出したことに伴い決算訂正関連費用252,719千円を計上したこと及びのれんの減損損失397,491千円を計上したことによるものであります。

 当社グループは、当該状況を早期に解消又は改善すべく、以下の対応策を実施してまいります。

 ROAD101 Co., Ltd.については、VFX事業に集中し、映画の他、NetflixやDisney+のような動画配信サービスのコンテンツにおけるVFX制作も手掛けて事業の拡大を進めてまいります。また、㈱ツリーフルについては、ツリーハウス10棟でのサービス提供を目指してツリーハウスの建築を進めております。また、当中間連結会計期間末における現金及び預金は638,909千円となっており、資金繰りに懸念はありません。このため、継続的な事業運営に十分な資金が確保されており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績の状況

 当社グループの当中間連結会計期間における経営成績の概況は、連結売上高が1,144,069千円となり、前年同中間期比4.9%の減収となりました。これは、主にメタバース(※1)キャンパスプラットフォーム「UVERSE(ユーバース)」事業(以下、「Meta Campus事業」という。)の売上高が前年同中間期と比較して減少したことによります。

 売上原価は449,316千円となり、前年同中間期比3.5%の増加となりました。これは、主にHTML5ゲームに係る支払チャネリングフィー及びロイヤルティーの償却額が前年同中間期と比較して増加したことによります。

 販売費及び一般管理費は941,762千円となり、前年同中間期比8.2%の増加となりました。これは、主に連結子会社TREEFUL (CAMBODIA) Co., Ltd.において、許認可のためのコンサルタント報酬が生じたことによります。

 これらの結果、営業損失247,010千円(前年同中間期営業損失102,054千円)、経常損失290,564千円(前年同中間期経常損失31,424千円)、親会社株主に帰属する中間純損失186,676千円(前年同中間期親会社株主に帰属する中間純損失146,549千円)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績の概況は、次のとおりであります。

① 日本

 日本セグメントでは、連結子会社Gala Lab Corp.が開発したスマートフォンゲームアプリ「Rappelz(ラペルズモバイル)」について、2021年10月にアメリカ・カナダでのサービス提供を開始いたしましたが、2022年11月にサービス提供を一時終了いたしました。現在、「Rappelz(ラペルズモバイル)」にブロックチェーン技術を組み合わせてNFTゲーム/ブロックチェーンゲーム(※2)「Rappelz Universe(ラペルズユニバース)」にリニューアルし、グローバルエリアにおけるリリースに向けて準備を進めております。NFTゲーム/ブロックチェーンゲームは、ゲーム内のアイテム等が暗号資産基盤技術であるブロックチェーン(※3)により「NFT(※4)化」され、ユーザーがゲーム内で得たアイテム等を暗号資産に変えて取引所等で売買が可能となります。これにより、ゲームの魅力をより高め、ゲーム事業の収益化に向けて注力してまいります。現在、「Rappelz Universe(ラペルズユニバース)」のリリース準備を進めておりますが、ゲーム内で使用する暗号資産の韓国国内での法律面及び税務面での検討に時間を要しており、現在のところサービス開始日が未定となっております。

 また、連結子会社㈱ツリーフルが沖縄県名護市で行っているツリーハウスリゾート事業は、ツリーハウス単体又はツリーハウス及び地上の建築物であるエアロハウスを1つのセットとして宿泊者に提供するリゾート事業であります。㈱ツリーフルは、2021年7月に「旅館業法に基づく旅館業営業許可申請」が許可され、日本で初めて宿泊料を受けて宿泊が可能なツリーハウスリゾートとして2021年8月にオープンいたしました。その後、新しいツリーハウス及びエアロハウスの建築を進めており、2024年8月にエアロハウス2棟、2024年12月にツリーハウス1棟が完成し、現在、ツリーハウスとエアロハウスの3セット及びツリーハウス1棟のサービス提供を行っております。

 ツリーハウスリゾートのコンセプトは、「サステイナブル(持続可能な)リゾート」であり、化石燃料を使用せず、代わりに電気を使用し、使用量よりも多くの太陽光発電により持続可能な社会を構築することを目指しております。当社グループは、ツリーハウスビジネスを日本のみならず海外にも普及させ、森林ビジネスの価値を生み出すことにより海外における森林破壊を食い止めていきたいと考えております。ツリーハウスリゾート事業の海外展開のファーストステップとして㈱ツリーフルは、2023年11月において、カンボジアにTREEFUL (CAMBODIA) Co., Ltd.を設立いたしました。TREEFUL (CAMBODIA) Co., Ltd.は、持続可能な高級リゾートホテルとして、ツリーハウスを通じて安定した収益を上げ、森と人間社会の共存の道を目指しております。

 費用面では、主にTREEFUL (CAMBODIA) Co., Ltd.において、高級リゾートホテルプロジェクトに係る許認可のためのコンサルタント報酬が生じたこと及び前期に取得した物件に係る減価償却費の計上等により販売費及び一般管理費が増加いたしました。

 これらの結果、日本セグメントにおける売上高は90,558千円(内部取引を含む)と前年同中間期比で52,060千円(135.2%)の増加となり、セグメント損失が327,420千円(前年同中間期は236,085千円のセグメント損失)となりました。

 

② 韓国

 韓国セグメントでは、2022年5月にサービス提供を開始したHTML5ゲーム「Flyff Universe(フリフユニバース)」について、売上高が535,588千円となり前年同中間期比で22,117千円(4.0%)の減収となりました。しかしながら、HTML5ゲーム「Flyff Universe(フリフユニバース)」は、2022年のグローバルリリース以降、累積利用者数は500万人を突破し、地域・言語を問わず着実にユーザーが拡大しており、強固なブランド力を構築しております。毎年開催されるグローバルイベント「Flyff Universe World Championship(FWC)」では、単なるゲーム大会に留まらず、世界中のユーザーがリアルタイムで競い合い、交流を深めるグローバルPvP(Player vs Player)トーナメントとして定着しております。今年開催予定の2025年大会では、総額11万ドルの賞金が用意され、年中シーズン制で運営される予選を通じて、本選進出チームが選抜される形式となっており、本タイトルがeスポーツプラットフォームとしての可能性を拡大する重要な機会となっております。

 さらに、HTML5ゲーム「Flyff Universe(フリフユニバース)」については、サービス提供エリアの拡大を目指し、2025年4月に韓国でのサービス提供を開始いたしました。また、Gala Lab Corp.は、2024年12月に中国のゲームパブリッシング専門会社RUIWO TECHNOLOGYと中国地域におけるパブリッシング契約を締結いたしました。現在、同地域におけるリリースの準備を行っております。

 HTML5ゲームは、ダウンロード不要でPC及びスマートフォン等、様々なデバイスからプレイが可能な接近性が高いゲームであります。Gala Lab Corp.は、2023年7月にBPMG Co., Ltd.及びWemade Connect Co., Ltd.との間でHTML5ゲーム「Flyff Universe(フリフユニバース)」のHTML5ゲームの要素にブロックチェーン技術によるPlay To Earn(P2E)(※5)要素を組み合わせたNFTゲーム/ブロックチェーンゲーム「Flyff Universe(フリフユニバース)」について、パブリッシング及びゲーム事業に関する戦略的提携契約を締結いたしました。現在、リリースに向けて準備を進めておりますが、「Rappelz Universe(ラペルズユニバース)」と同様の理由によりNFTゲーム/ブロックチェーンゲーム「Flyff Universe(フリフユニバース)」について、現在のところサービス開始日が未定となっております。

 続いて、スマートフォンアプリ事業では、売上高が162,262千円となり前年同中間期比で12,092千円(8.1%)の増収となりました。Gala Lab Corp.は、スマートフォンゲームアプリ「Flyff Legacy(フリフレガシー)」に加えて、2025年6月にFlyffの新作モバイルゲーム「飛飛:重逢(フリフ・リユニオン)」を中国でのサービス提供を開始いたしました。また、連結子会社Gala Mix Inc.は、歩数計アプリ「winwalk(ウィンウォーク)」、スマートフォンアプリ「winQuiz(ウィンクイズ)」及びスマートフォンアプリ「Poll Cash(ポールキャッシュ)」を提供しており、「winwalk(ウィンウォーク)」については、Google PlayによるAndroid版の既存サービスに加えて、2025年5月にApple StoreによるiOS版(20ヵ国、8言語)のサービス提供を開始いたしました。今後も、グローバルなネットワークを活かした多言語展開による配信を進めてまいります。

 また、オンラインゲーム事業では、Gala Lab Corp.の主力ゲーム「Flyff Online(フリフオンライン)」及び「Rappelz Online(ラペルズオンライン)」について、サービス提供を行っており売上高が244,214千円となり前年同中間期比で13,845千円(6.0%)の増収となりました。現在、Gala Lab Corp.は、「Flyff Online(フリフオンライン)」について、ライセンス展開及びチャネリング(※6)展開を進めており、2025年6月に台湾、香港及びマカオ地域でのサービス提供を開始いたしました。

  一方、Gala Lab Corp.が、韓国における大手電機通信事業会社LG Uplus Corp.及び韓国最大規模のデジタルIT企業であるMegazone Corporationと進めているメタバース(※1)キャンパスプラットフォーム「UVERSE(ユーバース)」事業(以下、「Meta Campus事業」という。)は、売上高が16,313千円となり前年同中間期比で156,730千円(90.6%)の減収となりました。Meta Campus事業は、メタバースプラットフォームによる仮想キャンパスを開発・構築し、大学等の教育機関に生徒のコミュニティ空間や大学入試説明会等のイベントの場としてメタバースプラットフォームを提供していく事業であります。業務の役割分担は、Gala Lab Corp.がメタバースプラットフォームの開発、LG Uplus Corp.が学校誘致及びマーケティング、Megazone Corporationがクラウド等のインフラ提供を担当いたします。現在、複数の有名大学にサービスを提供しております。

 また、連結子会社ROAD101 Co., Ltd.が行っているVFX事業は、売上高が101,509千円となり前年同中間期比で67,528千円(198.7%)の増収となりました。VFXとは、視覚効果を意味するvisual effectsの略で、映画やテレビドラマなどの映像作品において、現実には見ることのできない画面効果を実現するための技術のことをいいます。VFX事業は、VFX技術を用いた映画・CMコンテンツ等の制作事業であります。現在、映画及び数多くの韓国ドラマ製作を進めております。

 費用面では、主にマーケティング活動の増加に伴う広告宣伝費が増加したことにより販売費及び一般管理費が増加となりました。

 これらの結果、韓国セグメントの売上高は1,100,404千円(内部取引を含む)と前年同中間期比で87,762千円(7.4%)の減収となり、セグメント利益が80,317千円(前年同中間期は162,307千円のセグメント利益)となりました。

 

(※1)メタバース(Metaverse)は、超を意味するメタ(meta)と宇宙を意味するユニバース(universe)から作られた合成語で、多人数が参加可能で、参加者がその中で自由に行動できるインターネット上に構築された多人数参加型の3次元仮想空間です。利用者はアバターと呼ばれる自分の分身を介して仮想空間に入ることでその世界の探索、他の利用者とのコミュニケーションを図ることができます。また、ユーザーが独自のゲームを作成し、他のユーザーにプレイさせて収益化することやユーザーがゲーム内のアイテム等をNFT(※4)として他のユーザーと暗号資産により売買することができる仕組みを構築できます。

(※2)NFTゲーム/ブロックチェーンゲームとは、暗号資産基盤技術であるブロックチェーン(※3)を利用し、ゲーム内アイテムが「NFT化」されているゲームをいいます。GameFi(GameとDecentralized Finance:ゲームと分散型金融を掛け合わせた造語)とも言われております。

(※3)ブロックチェーンとは、分散型ネットワークを構成する複数のコンピューターに暗号技術を組み合わせ、取引情報等のデータを同期して記録する手法であり、一定期間の取引データをブロック単位にまとめ、コンピューター同士で検証し合いながら正しい記録をチェーン(鎖)のようにつないで蓄積する仕組みであります。

(※4)NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)とは、「偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ」のことであり、暗号資産と同じく、ブロックチェーン上で発行及び取引されるデジタルデータであります。

(※5)Play To Earn(P2E)とは、ブロックチェーンゲーム内で得た収入やポイントを暗号資産に変えて取引所等で売買が可能であり、このゲームで遊んで収入が得られることが「Play To Earn」(P2E)と呼ばれております。

(※6)チャネリングとは、オンラインゲーム等に関して、他社のゲームポータルサイトにてプレイできるようになるサービスをいいます。

 

(2)財政状態の状況

 当社グループの当中間連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べて308,975千円減少し、1,493,592千円となりました。

 主な増減は、資産では、現金及び預金が168,150千円、その他流動資産が137,669千円減少した一方で、売掛金が283,757千円増加いたしました。その他流動資産は主に未収消費税の回収による減少によるものであります。売掛金は、主にHTML5ゲーム「Flyff Universe(フリフユニバース)」によるものであります。

 負債では、未払金が132,981千円、前受金が113,191千円、短期借入金が39,798千円増加した一方で、前受収益が95,264千円、課徴金引当金が64,950千円減少いたしました。未払金は、主に一時的なコンサルタント報酬の発生によるもの、前受金は、VFX等の新規案件に係る契約金の入金によるもの、短期借入金は、新規借入によるもの、前受収益は、収益化によるもの、課徴金引当金は、支払によるものであります。

 純資産では、主に利益剰余金が186,676千円、非支配株主持分が117,211千円減少いたしました。利益剰余金は、親会社株主に帰属する中間純損失の計上によるもの、非支配株主持分は、主に非支配株主に帰属する中間純損失の計上によるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末残高に比べて145,307千円減少し当中間連結会計期間末には371,986千円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

① 営業活動によるキャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、118,156千円の資金使用(前年同中間期は133,182千円の資金使用)となりました。主な内訳は、未払金の増加143,123千円、前受金の増加112,251千円、未収消費税等の減少107,540千円、減価償却費74,984千円の収入要因に対して、税金等調整前中間純損失297,003千円、売上債権の増加278,031千円、前受収益の減少92,445千円、課徴金の支払額64,950千円の支出要因によるものであります。

 

② 投資活動によるキャッシュ・フローの状況

 投資活動によるキャッシュ・フローは、77,564千円の資金使用(前年同中間期は220,129千円の資金使用)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出56,081千円、貸付けによる支出30,000千円の支出要因によるものであります。

 

③ 財務活動によるキャッシュ・フローの状況

 財務活動によるキャッシュ・フローは、60,595千円の資金獲得(前年同中間期は528,756千円の資金獲得)となりました。主な内訳は、短期借入金の増加41,998千円、非支配株主からの払込による収入27,455千円の収入要因によるものであります。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 なお、評価につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき実施しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

(5)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、外部機関より当社の連結子会社であるGala Lab Corp.において2016年3月期から資産計上を開始し、2021年3月期に減損損失228,257千円を計上したソフトウェアの資産計上の妥当性について疑義があるとの指摘を受けたため、2024年5月30日付で当社と利害関係の無い外部の有識者で構成される特別調査委員会を設置して調査を行い、2024年9月9日付で特別調査委員会から調査報告書を受領いたしました。

 当該調査結果を踏まえ、当社は、再発防止策を策定し、2024年10月30日付で公表しております。また、2024年11月12日付で過去に提出済みの有価証券報告書等について訂正を行っております。さらに、2025年1月20日付で改善報告書、2025年7月23日付で改善状況報告書を株式会社東京証券取引所に提出しております。

 今後、これらの施策を引き続き実行すると共に、適正な内部統制の整備及び運用のさらなる強化に真摯に取り組み、再発防止に努めてまいります。

 

(7)研究開発活動

 当中間連結会計期間における主要なセグメントの研究の目的、主要課題、研究成果および研究開発費等につきまして、次のとおりであります。

 なお、当中間連結会計期間の研究開発費の総額は73,459千円となっております。

① AI関連プロジェクト等(韓国セグメント)

 当社グループは、連結子会社Gala Lab Corp.において、AI関連プロジェクト、ショートドラマプラットフォーム等に係る開発を行っております。

 

(8)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び設備投資資金であります。運転資金及び設備投資資金については、主に自己資本により調達することを基本としております。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。