当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
eコマース市場の拡大を背景に、効果的なマーケティングソリューションの需要が高まる中、当社グループは、情報技術をもちいて正しい情報を効率的につなぐことで、コマース事業者のパフォーマンス(流通総額)の向上に貢献するとともに、正しい情報を必要とする方々の意思決定をサポートすることを目指しております。今後も、将来にわたり成長し続けるため、未知の領域に果敢に挑みながら、集客から顧客維持までの効果的なマーケティングソリューションの提供に注力してまいります。
スローガン:Your Success is Our Value
ミッション:正しい情報を効率的につなぐ
ビジョン :最先端の技術で多様な選択ができる社会を創る
(2) 経営戦略等
当社グループは、限られた経営資源を選択と集中によって成長領域に重点投入し、事業基盤の強化を図りながら、中長期的な成長を目指してまいります。
今後の中長期的な経営戦略では、「情報技術で新たな価値を創造する」というミッションのもと、消費者が求める価値ある情報を、消費者の情報探索の文脈に沿って提供することで、(ⅰ)消費者の意思決定を支援するとともに、(ⅱ)コマース事業者が求めるマーケティング効果を最大化し、(ⅲ)価値ある情報を生産するメディア運営者に適切な報酬を提供するビジネスモデルを基盤に、よりいっそう事業を発展させてまいります。
(3) 経営環境
インターネット広告市場は2020年に一時的に新型コロナウイルス感染症の拡大による市況悪化の影響を受けつつも、ここ数年、年平均成長率14%(株式会社電通「2023年日本の広告費」)で伸長しております。また、ソーシャルコマースやリテールメディア等の広告カテゴリの台頭、従来型メディアからSNSメディアへのシフト等新しい潮流もみられます。
その一方で、外資系大手プラットフォーマーによる広告市場の寡占化も顕著であり、独自の購買データや行動データを駆使し、ターゲティング広告を高度化させており、広告主がこれらのプラットフォームに依存せざるを得ない状況が続いております。また、データプライバシー規制の強化やCookie廃止といった市場環境の変化に伴い、プラットフォーマーが持つファーストパーティデータの価値がさらに高まり、新規参入者にとって競争がますます厳しくなる懸念もあります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①マーケティングソリューションズ事業
成果報酬型広告「アフィリエイト」において、広告主のパフォーマンス(流通総額)向上のため、(ⅰ)集客力のある良質なメディアの拡大、(ⅱ)ソーシャルコマース領域への進出、(ⅲ)新たな適応市場の模索に取り組んでまいります。
また、虚偽情報サイトへの広告掲出リスクについては、広告掲載サイトに対する審査、監視によって、広告掲載サイトの品質管理に努めてまいります。
②ECソリューションズ事業
当社は、これまでオンラインモールのストア向けクリック課金型広告「StoreMatch(ストアマッチ)」及びCRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」(以下「両サービス」という。)において、当該オンラインモール及びストアのパフォーマンス(流通総額)向上のため、(ⅰ)大手ストアへの営業活動による利用拡大、(ⅱ)広告表示方法の多様化といったプロダクトの拡張を推進してまいりました。
一方で、当社の主要取引先であるLINEヤフー株式会社(以下「LINEヤフー」という。)が経営戦略を変更し、プラットフォームの一元化を行うべく両サービスに代わるサービス(以下「新サービス」という。)を自社開発する方針となったことに伴い、当社は、2025年1月31日開催の取締役会において、2025年7月31日付の両サービスに係る取引契約の終了及びLINEヤフーが開発する新サービスへの移行サポート業務の提供に係る基本合意書を締結することを決議いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)(オンラインモールのストア向けクリック課金型広告「StoreMatch(ストアマッチ)」及びCRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」に係るLINEヤフー株式会社との取引契約の終了及びこれに伴う移行サポート業務の提供に係る基本合意書の締結)」に記載のとおりであります。
③トラベルテック事業
宿泊施設向けのソリューションとして、AIを活用したデジタルトランスフォーメーション(DX)ソリューションの整備に注力してまいります。具体的には、宿泊施設や旅行業者向けに業務効率化や顧客体験の向上を実現するソリューションを展開する予定であります。
④自律的に行動する人材の育成と確保
激しく変化する事業環境の中で本質的課題をとらえ、変革を恐れず、自律的に動いて結果にコミットする人材を育成・確保するため、挑戦を奨励する企業文化の醸成、成功体験を積む環境づくり、教育制度の充実、多様なキャリアパスの提供、適正な評価と処遇に取り組んでまいります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、成長投資を戦略的に実施することで、将来の売上高及び営業利益の増加に努めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループにとっての「サステナビリティ」とは、「事業の成長」を通じ、ステークホルダーとともに「持続可能な社会の実現」に寄与する企業活動を推進していくことであります。当社グループは、サステナビリティに関する取り組みを推進するため、社会からの要請を十分に考慮してリスクを適切に管理し、事業機会の最大化を図ってまいります。
(1) ガバナンス
当社グループは、サステナビリティへの取り組みを、ESG関連のリスクを十分に考慮して実行する統合リスク管理のもとで推進しております。
取締役会は、当社グループが持続的に事業を成長させる上で対処すべき課題への取り組み方針やその計画及び進捗について、年1回以上議論しております。
社外取締役(独立役員)で構成される監査等委員会は、当社グループにおけるサステナビリティに関する様々な課題をリスクとして識別し、業務執行部門に適宜報告を求めております。
組織横断的なリスク管理を実行するリスク管理委員会は、代表取締役社長を委員長とし、年4回以上協議し、当社及び連結子会社を対象に、サステナビリティに関するリスクの識別・評価を行っております。重要なリスクには、担当本部長が責任をもって対応しております。また、リスク管理委員会は、重要なリスクの対応状況について、取締役会に年4回報告しております。
ESG関連の推進に取り組むESG推進プロジェクトは、取締役 最高財務責任者をリーダーとし、リスク管理委員会、各部門(コーポレート部門、事業部門)及び連結子会社と連携し、ESG関連の施策を推進しております。
なお、コーポレート・ガバナンス全体の状況については、「
(2) リスク管理
サステナビリティにおけるマテリアリティの特定プロセスは、組織横断的なリスク管理のもとで、(ⅰ)全社戦略及び事業戦略の観点から、持続的に事業を成長させる上で対処すべき課題を抽出し、(ⅱ)抽出した課題について、当社グループにおけるマテリアリティを優先順位づけ、(ⅲ)変化する社会からの要請を考慮し、また、ステークホルダーとの対話を重ねた上で、毎年、課題を見直しております。
なお、マテリアリティは、「
また、マテリアリティを含む当社グループが持続的に事業を成長させる上で対処すべき課題を、注力する領域として「5つの活動テーマ」に集約しております。
「5つの活動テーマ」
環境・社会変化への対応
情報セキュリティの向上
事業継続危機への備え
ガバナンスの強化
多様性の尊重と人材育成
(3) 人的資本に関する戦略、指標及び目標
当社グループが持続的に事業を成長させる上で対処すべき課題として注力する領域の1つである「多様性の尊重と人材育成」に関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
①戦略
人的資本への投資等
(人材開発)
今後も当社グループが持続的に成長するためには、新たなサービス開発等、「モノづくり体制」の強化が必要不可欠であります。そのために、従業員のキャリア志向に合わせた人材開発を行っております。
(多様性の確保)
当社グループは、社内に異なる経験・技能・属性を反映した多様な視点や価値観が存在することが、当社グループの持続的な成長を確保する上での強みになり得ると認識しており、従業員一人一人がその能力を発揮でき、幅広く活躍できる環境づくりを推進しております。中でも、出産・子育て・介護等の様々なライフイベントに影響されず、キャリア継続が可能な職場環境の実現に取り組んでおります。
(人材育成、社内環境整備)
激しく変化する事業環境の中で本質的課題をとらえ、変革を恐れず、自律的に動いて結果にコミットする人材を育成・確保するため、挑戦を奨励する企業文化の醸成、育成制度の充実、多様なキャリアパスの提供、公正な評価と処遇の実現に取り組んでおります。
社内環境については、リモートワークを前提とした柔軟性ある職場環境の実現に努めており、条件つきで通勤時間や居住地域を限定しない人事制度(実家で親の介護をしながらの勤務等)を導入しております。
②指標及び目標
「①戦略」に記載した対策に関する目標及び実績は、次のとおりであります。なお、会社ごとの特性や業態の違いから、当社グループに属するすべての会社で目標の設定が行われていないため、当社グループにおける記載が困難であります。このため、対策に関する目標及び実績は、当社のものを記載しております。
提出会社
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対策 |
目標 |
実績 |
|
当社グループが持続的に成長するための人的資本の確保 |
「 |
2022年:35% 2023年:33% 2024年: |
|
限られた労働時間で成果を出し評価される環境づくり |
|
2022年:11時間 2023年:11時間 2024年: |
(*)当社の従業員数に対する「企画・技術・デザイン」人員の比率
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)トップリスク
当社グループは、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があると認識しているリスクのうち、「発生頻度又は発生可能性」及び「影響度」の観点から、特に重要度が高いリスクを「トップリスク」として選定し、管理しております。
|
財務リスク |
発生頻度又は発生可能性 |
影響度 |
関連する機会とリスク (○機会●リスク) |
主要な取り組み |
|
特定サービスへの依存(*) |
(*) |
8 |
●「Yahoo!ショッピング」等の特定サービスへの依存度が高いことによる、同サービスの停止又は業績低迷、当社と競合する機能等の影響 |
・同サービスに依存しない新規事業の検討 |
|
ビジネスモデル |
3 |
3 |
○独自のトラッキング技術による競合との差別化 ●クッキーを利用したトラッキングが制限されることによる広告効果の計測困難 |
・トラッキング規制及びブラウザーベンダーやWorld Wide Web Consortium(World Wide Webで使用される各種技術の標準化を推進する為に設立された団体)等の動向調査 ・独自トラッキングの技術開発、回避策の検討 |
|
その他の関係会社であるLINEヤフー株式会社 (*) |
(*) |
8 |
〇その他の関係会社であるLINEヤフー株式会社内でのシナジー効果による業績の向上 ●その他の関係会社であるLINEヤフー株式会社内において当社グループが行う事業に競合関係が生じた場合やその他の関係会社であるLINEヤフー株式会社の経営方針変更による提携関係解消に伴う業績への影響 ●主要株主以外の株主の利益毀損 |
・その他の関係会社であるLINEヤフー株式会社内での定期的な情報共有 ・社外取締役より構成される特別委員会で関連当事者間取引の相当性を審議・検討 |
|
グループガバナンス |
1 |
8 |
○当社グループ会社とのシナジー効果による連結業績の向上 ●当社グループ会社のガバナンス不足によるグループ経営の品質の低下や、連結業績への影響 |
・週次の事業報告、月次のステアリングコミッティ、四半期ごとのモニタリング実施によるガバナンスの強化 |
|
事業継続/危機対応 |
1 |
8 |
●大規模災害発生時等の物的資源(サーバ等)、情報システムの東京集中による事業継続の困難 |
・複数クラウドサービス利用によるデータセンターの分散化・多重化の実施 ・他地域への展開の検討 ・障害発生時の復旧手段の明確化 |
|
自然災害 |
1 |
8 |
●非常災害時におけるサービスの提供停止による業績への影響 ●災害後の事業復旧作業の遅れによる業績への影響 |
・リモートワーク下を意識したBCPの策定 ・BCPの定期的訓練 |
|
個人情報管理 |
1 |
8 |
●当社グループ又は委託先の関係者の故意・過失、悪意を持った第三者の攻撃又は不測の事態によるサービス利用者の個人情報の漏洩 |
・ISMS認証に基づくセキュリティレベルの維持・管理のための運用遵守 ・セキュリティチェックプロセス実施の徹底 ・従業員に対する教育の継続 |
|
データガバナンス |
1 |
8 |
〇データガバナンスにおける信頼の向上 ●データガバナンスの不徹底を原因とする、データの取得方法やデータ管理上のトラブルによる信用の毀損、顧客離れの発生 |
・データガバナンスの運用ルールの整備、規約の検討 ・データガバナンスに関する従業員教育の実施 |
|
サイバーセキュリティ |
1 |
8 |
●業務上の人為的ミス又は故意による不法行為、災害等によるシステム障害、マルウェア感染や標的型攻撃等のサイバー攻撃、システムや製品等の脆弱性等による、情報漏洩、データの破壊や改竄、サービス停止の発生 |
・システム管理体制の構築、継続運用 ・定期的バックアップの実施 ・脆弱性情報のチェックと対策実施 ・社外からのサイバー攻撃による不正アクセスの監視・防御 |
|
システム障害 |
1 |
8 |
●システムの不具合、仕様、運用の誤りに起因する集計ミスによる売上の毀損又は過大請求の発生 |
・開発レビュー、テストの徹底 ・精度の高いデータへの変更 ・定期的なモニタリング |
|
投資戦略 |
2 |
3 |
〇M&A及び新規事業による事業領域の拡大 ●市場環境や競争環境の変化による、M&A及び新規事業への投融資の回収遅延からなる連結業績や成長及び事業展開等への影響 |
・M&A及び新規事業投資における当社グループの既存事業とのシナジー効果、事業計画、財務内容及び契約関係等の慎重な調査・検討 |
(*)「特定サービスへの依存」の財務リスクについて、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)(オンラインモールのストア向けクリック課金型広告「StoreMatch(ストアマッチ)」及びCRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」に係るLINEヤフー株式会社との取引契約の終了及びこれに伴う移行サポート業務の提供に係る基本合意書の締結)」に記載のとおり、当社と当社の主要取引先であるLINEヤフー株式会社(以下「LINEヤフー」という。)との間におけるオンラインモールのストア向けクリック課金型広告「StoreMatch(ストアマッチ)」及びCRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」(以下「両サービス」という。)に係る取引契約が、2025年7月31日をもって終了することとなりました。これに伴う2025年12月期の両サービスを通じた売上高の減少は、2024年12月期の8月から12月までの実績より概算で73億円を見込んでおります。その影響を最小化すべく、当社としてはこれまでに蓄積したオンラインマーケティングに関するノウハウと技術力を活かし、ソーシャルコマース領域及びリテールメディア領域の強化、並びにトラベルテック事業の拡大により業績回復に努めてまいります。
(2)発生頻度又は発生可能性及び影響度
「発生頻度又は発生可能性」及び「影響度」それぞれのレベル選択の目安は以下のとおりであります。
|
発生頻度又は発生可能性 |
影響度 |
||
|
レベル |
目安 |
レベル |
目安 |
|
1 |
(低い) 5年に1回程度発生、又は今後5年以内に発生する可能性が高い |
1 |
(軽微) “事業に多少の影響が出る/事業に直接的な影響が生じない”ようなリスク
・収益への影響 売上高等の主要な経営指標の1%程度の軽微な損失、又は直接的に生じない ・信用への影響 顧客からの問い合わせ等による極めて限定的な影響、又はほとんど生じない等 |
|
2 |
(偶発的) 1年~2年に1回程度発生、又は今後1年~2年以内に発生する可能性が高い |
3 |
(限定的) “事業に一定の影響が出る”ようなリスク
・収益への影響 売上高等の主要な経営指標の5%~10%程度の損失 ・信用への影響 不祥事や事故が一部メディアで報道されて一定程度毀損される、SNSのユーザー投稿等に基づく炎上による限定的な影響、秘密・極秘には至らない情報の漏洩や消失、主要でないサービスの停止等 |
|
3 |
(高い) 6ヶ月に1回程度発生、又は今後6ヶ月以内に発生する可能性が高い |
8 |
(重大) “長期的に経営に大きな影響が出る/主要な事業の継続が危ぶまれる”ようなリスク
・収益への影響 売上高等の主要な経営指標の20%程度の損失 ・信用への影響 不祥事や事故が主要メディアで報道される等して毀損される、秘密・極秘情報の漏洩や消失、主要なサービスの停止等 |
|
4 |
(頻発) 1ヶ月~2ヶ月に1回程度発生、又は今後1ヶ月~2ヶ月以内に発生する可能性が高い |
10 |
(深刻) “経営の存続が危ぶまれる”ようなリスク
・収益への影響 売上高等の主要な経営指標の60%程度以上の巨額な損失 ・信用への影響 不祥事や事故が多くの主要メディアで報道される等して著しく毀損される、秘密・極秘情報の大規模な漏洩や消失、主要なサービスの回復が困難なレベルでの停止等 |
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
記載事項のうち将来に関する事項については、別段の記載がない限り、当連結会計年度末現在において入手し得る情報に基づいて判断したものであります。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要としますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回る場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては事業計画に基づき慎重に検討しておりますが、市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件又は仮定に変更が生じ、事業計画を見直した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(のれんの減損)
当社グループは、のれんについて、5年間の均等償却を行っております。その資産性については事業計画に基づき慎重に検討しておりますが、市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件又は仮定に変更が生じ、事業計画を見直した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(2) 経営成績等の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
①経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、一部に足踏みが残るものの、景気の緩やかな回復がみられました。一方で、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなり、物価上昇や金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がありました。
こうした環境の下、当社グループは、ミッション「正しい情報を効率的につなぐ」に基づき、多くの情報から正しい情報を導き出し、その情報を必要とする方々へ効率的に届けることに注力した結果、連結経営成績は次のとおりとなりました。
当連結会計年度の売上高は、30,410百万円(前期比3.4%増)となりました。
成果報酬型広告「アフィリエイト」については、金融分野の一部の広告主に広告出稿意欲の緩やかな回復がみられ、前期比で増収となりました。また、オンラインモールのストア向けクリック課金型広告「StoreMatch(ストアマッチ)」についても、メーカー向け広告機能「StoreMatch Pro(ストアマッチプロ)」の利用の増加等により、前期比で増収となりました。
販売費及び一般管理費は、中期経営計画に基づく戦略投資の実施等により、5,823百万円(前期比18.4%増)となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費の増加等により、4,160百万円(前期比20.5%減)となりました。
経常利益は、投資事業組合運用益13百万円を計上したものの、販売費及び一般管理費の増加及び自己株式の公開買付け関連費用の計上等により、4,121百万円(前期比21.0%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等1,258百万円の計上等により、2,855百万円(前期比16.0%減)となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
a.マーケティングソリューションズ事業
マーケティングソリューションズ事業は、コマース事業者のECサイトへの「集客」を軸とするソリューションを提供する事業であります。主要なサービスは、成果報酬型広告「アフィリエイト」であります。
当連結会計年度におきましては、「アフィリエイト」について、金融分野の一部の広告主に広告出稿意欲の緩やかな回復がみられ、売上高を押し上げましたが、戦略投資の実施等により、セグメント利益は前期比で減少しました。この結果、セグメント売上高は12,201百万円(前期比3.5%増)、セグメント利益は1,401百万円(前期比24.4%減)となりました。
また、プロダクト企画・開発の主な取り組みとして、2024年3月にインフルエンサーを対象としたLink in bioサービス(注)「VLINK(ブイリンク)」の提供を開始し、11月に登録ユーザーが1万人を突破しました。さらに、5月に株式会社018より事業譲受した、SNS特化型モニターキャンペーン&クチコミ生成サービス「monicam(モニキャン)」と、インフルエンサーマッチングサービス「Castbook(キャストブック)」の提供を開始する等、インフルエンサーマーケティングのソリューション拡充を図りました。
そのほか、「アフィリエイト」において、これまでに蓄積したデータ群を活用し、AIがメディア運営者それぞれに最適な広告主を選定する「パーソナライズレコメンド機能」の提供を開始しました。
(注)主にSNSのプロフィール欄からほかのWebサイトへ遷移するためのURLリンクをまとめたページを設置できるサービスであります。
b.ECソリューションズ事業
ECソリューションズ事業は、コマース事業者のECサイト上での「販売促進」を軸とするソリューションを提供する事業であります。主要なサービスは、オンラインモールのストア向けクリック課金型広告「StoreMatch(ストアマッチ)」及びCRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」であります。そのほか、ECサイト運営支援「B-Space(ビースペース)」を含んでおります。
当連結会計年度におきましては、「StoreMatch(ストアマッチ)」については、メーカー向け広告機能「StoreMatch Pro(ストアマッチプロ)」の利用の増加等により、前期比で増収となりました。また、「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」については、前期並みの水準となりました。一方で、「B-Space(ビースペース)」について、第2四半期連結会計期間より一部の受託業務から撤退したこと等により、セグメント利益は前期比で減少しました。この結果、セグメント売上高は16,948百万円(前期比3.8%増)、セグメント利益は4,635百万円(前期比3.6%減)となりました。
また、プロダクト企画・開発の主な取り組みとして、2024年11月にリテールメディアネットワークサービスの提供を開始しました。
c.トラベルテック事業
トラベルテック事業は、連結子会社であるダイナテック株式会社を中心に、主に宿泊施設向けのソリューションを提供する事業であります。主要なサービスは、宿泊予約システム「Direct In(ダイレクトイン)」及び宿泊管理システム「Dynalution(ダイナリューション)」であります。
当連結会計年度におきましては、宿泊施設の投資意欲の回復がみられたものの、新たな事業領域への投資や宿泊管理システム移行による投資先行により、セグメント損失となりました。この結果、セグメント売上高は1,268百万円(前期比0.4%減)、セグメント損失は193百万円(前期はセグメント利益5百万円)となりました。
また、プロダクト企画・開発の主な取り組みとして、2024年9月に「Direct In(ダイレクトイン)」において、自社宿泊プランと航空券の同時予約が可能なダイナミックパッケージ機能の提供を開始し、11月に多言語AIチャットボット機能との連携を実現しました。さらに同月に「Dynalution(ダイナリューション)」において、CRM機能の提供を開始しました。
②生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、マーケティングソリューションを提供する事業を展開しており、提供するサービスの性格上生産実績の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前連結会計年度の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
前期比(%) |
|
マーケティングソリューションズ事業(百万円) |
12,201 |
103.5 |
|
ECソリューションズ事業(百万円) |
16,948 |
103.8 |
|
トラベルテック事業(百万円) |
1,260 |
99.0 |
|
合計(百万円) |
30,410 |
103.4 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) |
||
|
金額 (百万円) |
割合(%) |
金額 (百万円) |
割合(%) |
|
|
LINEヤフー株式会社 |
3,740 |
12.7 |
3,582 |
11.8 |
(注)2023年10月1日付で、当社の親会社であるZホールディングス株式会社は同社を存続会社として、同社、同社の完全子会社であるヤフー株式会社及びLINE株式会社を中心としたグループ内組織再編を実施し、LINEヤフー株式会社に商号変更しております。この取引により兄弟会社であったヤフー株式会社は、事業を承継させた上で消滅しております。前連結会計年度の販売実績についてはヤフー株式会社に対する販売実績及びLINEヤフー株式会社に対する販売実績を合算して記載しております。
③財政状態
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は19,592百万円となり、前連結会計年度末と比べて8,759百万円減少しました。
流動資産は17,642百万円となり、前連結会計年度末と比べて9,022百万円減少しました。これは、主に現金及び預金が9,758百万円減少したことによるものであります。
固定資産は1,949百万円となり、前連結会計年度末と比べて263百万円増加しました。これは、主にソフトウエアが160百万円、投資有価証券が108百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は6,731百万円となり、前連結会計年度末と比べて844百万円増加しました。
流動負債は6,671百万円となり、前連結会計年度末と比べて869百万円増加しました。これは、主に買掛金が350百万円、未払金が315百万円、未払法人税等が322百万円増加したことによるものであります。
固定負債は59百万円となり、前連結会計年度末と比べて25百万円減少しました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は12,860百万円となり、前連結会計年度末と比べて9,603百万円減少しました。これは、主に利益剰余金が剰余金の配当により1,446百万円減少し、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により2,855百万円増加したものの、自己株式が10,996百万円増加したことによるものであります。
④キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は11,775百万円となり、前連結会計年度末と比べて9,758百万円減少しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は3,461百万円(前期は3,499百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益が4,114百万円であり、プラス要因として、減価償却費が370百万円であったものの、マイナス要因として、売上債権の増加額が446百万円、法人税等の支払額が977百万円であったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は708百万円(前期は404百万円の使用)となりました。これは、主に無形固定資産の取得による支出が347百万円、投資有価証券の取得による支出が163百万円、事業譲受による支出が130百万円であったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は12,511百万円(前期は1,745百万円の使用)となりました。これは、主に自己株式の取得による支出が11,063百万円であったことによるものであります。
⑤キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「④キャッシュ・フロー」をご覧ください。
当社グループの資金需要の主なものは、顧客であるコマース事業者のパフォーマンス(流通総額)を最大化するためマーケティングソリューションの効果向上及び今後の成長に向けた新たな領域等へのサービス開発・投資のほか、事業規模の拡大に伴い需要が高まる運転資金であります。これらの資金需要は自己資金で賄うことを基本とし、必要に応じて外部からの資金調達を実施します。
(公開買付応募契約)
当社は、2024年3月11日開催の取締役会において、会社法第459条第1項の規定による当社定款の定めに基づき、自己株式の取得及びその具体的な取得方法として、自己株式の公開買付け(以下「本公開買付け」という。)を行うことを決議し、同日付でZホールディングス中間株式会社(以下「ZHD中間」という。)と公開買付応募契約を締結いたしました。
なお、2024年3月12日より本公開買付けを実施し、2024年4月9日付で終了いたしました。
また、本公開買付けの決済は、2024年5月2日付で完了いたしました。
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契約会社名 |
相手方の名称 |
契約締結日 |
契約内容 |
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バリューコマース 株式会社(当社) |
ZHD中間 |
2024年3月11日 |
当社が本公開買付けを開始した場合、ZHD中間が所有する当社普通株式の一部である10,689,990株を本公開買付けに応募することを定めた契約 |
(オンラインモールのストア向けクリック課金型広告「StoreMatch(ストアマッチ)」及びCRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」に係るLINEヤフー株式会社との取引契約の終了及びこれに伴う移行サポート業務の提供に係る基本合意書)
当社は、2025年1月31日開催の取締役会において、当社と当社の主要取引先であるLINEヤフー株式会社(以下「LINEヤフー」という。)との間におけるオンラインモールのストア向けクリック課金型広告「StoreMatch(ストアマッチ)」及びCRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」(以下「両サービス」という。)に係る取引契約が、2025年7月31日をもって終了する旨、及びこれに伴い、LINEヤフーとの間で、当社がLINEヤフーに対して、LINEヤフーが開発する両サービスに代わるサービスへの移行に関するコンサルティング業務及びその他業務を提供する旨の基本合意書を締結することを決議し、同日付で基本合意書を締結いたしました。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)(オンラインモールのストア向けクリック課金型広告「StoreMatch(ストアマッチ)」及びCRMツール「STORE's R∞(ストアーズ・アールエイト)」に係るLINEヤフー株式会社との取引契約の終了及びこれに伴う移行サポート業務の提供に係る基本合意書の締結)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。