第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営環境

 当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響やサプライチェーンの混乱など供給面の制約が景気の下押し要因となり、さらにロシア・ウクライナ情勢が悪化要因として加わったことで景気回復テンポが鈍化しました。しかしながら、年度後半においてはワクチン普及に伴い経済活動の再開が進むなど、全体的には景気回復に向けた持ち直しの動きがみられました。日本経済においても個人消費の持ち直しを中心に緩やかながら経済の回復が進みました。

 当社においては、航海気象事業では港湾混雑に伴い船舶の稼働率が鈍化したものの、年度後半にかけて徐々に正常化が進んだことで売上は堅調に推移しました。モバイル・インターネット気象事業では予報精度の向上や新コンテンツの充実によりアプリのダウンロード数が増加し、サブスクリプションサービス売上及び広告収入が堅調に推移しました。気象環境については、世界各地で極端気象や激甚災害の発生が継続しており、気象リスクに対する対応策ニーズが一層高まっています。当社は「いざというときに人の役に立ちたい」という理念を持つ企業として、気象技術をもとにした日々のサービス提供を通じ、気象リスクの低減、及び深刻化する気候変動の緩和に向けてCO₂排出量の削減など環境負荷低減への取り組みを進めています。

 

(2)対処すべき課題(中期経営計画)

1.中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは「全世界79億人の情報交信台」という夢に向かって、サポーターとともに最多・最速・最新の気象コンテンツサービスにより気象・環境に関する社会的リスクに対応する「気象コンテンツ・メーカー」になることを基本コンセプトとしており、気象コンテンツ市場のフロントランナーとして、独創的に新たな市場を創造しながら「サポーター価値創造」と企業価値の最大化を目指します。

 また、このコンセプトの実現のため、「世界最大のデータベース・世界No.1の予報精度・あらゆる市場でのRisk Communicator」をコアコンピタンスと考え、Full Service“Weather & Climate” Companyとなることが当社のミッションであると認識しています。

 

(事業分野別の戦略)

事業分野

事業戦略

航海気象

・10,000隻へルーティングサービスを拡大

航空気象

・欧州、米州市場への展開

陸上気象

・国内向けを中心とした極端気象に伴うサービス開発及びその強化

・道路鉄道分野におけるアジア市場への展開

環境気象

・環境エネルギー市場への需要予測サービスの展開

・流通小売市場への販売量予測サービスの展開

・日本、アジア、欧州市場への展開

モバイル・

インターネット気象

・日本における圧倒的No.1の気象コンテンツプラットフォーム

放送気象

・市場の維持とともに、放送局向け新サービスの検討

スポーツ気象

・国内外のスポーツ大会の運営支援、代表チームへのサポート

・アスリート向け新サービスの検討

 

 

2.対処すべき課題(中期経営計画の概要と進捗)

 当社では、2020年5月期からの4年間(2019年6月~2023年5月)を「革新性」をテーマに交通気象のグローバル展開を目指す第4成長期のStage3として中期経営計画を策定しており、以下の4点を重点テーマとして推進することで事業の土台を一層安定させるとともに、第5成長期を見据えた新規発展事業の創出を目指します。

 

1)既存事業の継続成長による収益基盤の強化

 既存事業である航海気象、航空気象、環境気象、モバイル・インターネット気象は当社の基盤事業かつグローバルビジネスのポテンシャルを有していると認識しています。これら既存事業の収益性の強化のため、トールゲート売上を一層増加させるとともに、BtoB事業においては国内:海外のトールゲート売上比率の50:50の達成を目指します。
 

<航海気象>

 当社は海運会社を中心とした顧客に対して航海気象サービスをグローバルに展開していますが、サービス提供船数は世界の外航船約20,000隻のうち30%程度です。第4成長期ではサービス品質を改善するとともに新サービスを開始し、世界の外航船約20,000隻の50%にあたる10,000隻へのサービス提供を目指します。

 本サービスはサービスを提供する航海毎に課金することからサービス対象となる隻数をKPI(重要業績評価指標)として設定し、売上だけでなく市場占有率を含めた市場におけるポジショニングを示しています。
 

<航空気象>

 日本・アジア市場を中心にサービス展開を進め、各国における当社のブランド認知度を高めています。欧州・米州市場においてはマーケティングを推進し、市場シェアの拡大及び当社のブランド認知度の向上を目指します。

 本サービスは航空会社毎に契約を締結しサービスを提供しており、目的地となる空港数で価格が決定するためお客様の就航路線により契約金額が異なります。市場占有率など市場におけるポジショニングと進捗を明確にするため、KPIは全世界の航空会社320社の約25%にあたる85社へのサービス提供を目指します。
 

<環境気象>

 全世界的な自然エネルギー利活用へ向けた構造変革を受け、顧客の新たなニーズを認識しています。日本、アジア、欧州のエネルギー企業に対し、需要予測サービスの提供を中心として環境気象市場の立ち上げ及び新規顧客の獲得を目指します。

 新規市場においては象徴的な顧客(Symbolic Customer)と共に当社サービスを構築し拡販サービスの開発に繋ぐことから、市場展開の進捗度を示すKPIにSymbolic Customerの数を設定し、顧客数を38社まで拡大することを目指します。
 

<モバイル・インターネット気象>

 気象庁から提供される観測データ(Observation)だけでなく、独自の衛星、レーダー、小型観測機、ライブカメラ等に加え、サポーターから送られてくる膨大な写真や体感データに代表される“感測”データ(Eye-servation)をAI・Deep LearningなどのIT技術を活用して解析し、他社には模倣できないコンテンツを創造していきます。これらの独自コンテンツを自社以外の多様化する様々なプラットフォームにも展開することでアプリ利用者数を伸ばし、アプリのサブスクリプションサービス売上及び広告収入を増加させます。

 アプリ「ウェザーニュース」の利用者数の増加が有料会員数の増加や広告事業のブランド向上に繋がると分析しており、継続的なサービス利用者を示す指標である月間利用者数(MAU)をKPIと設定し、MAU5,500万人の到達を目指します。

 

2)世界最高品質の予報精度の追究とコンテンツ生産力の飛躍的向上

 当社ではこれまで整備してきたWNI衛星・レーダーなどの独自インフラで観測した気象データ、顧客とコミュニケーションを交わす中で蓄積されてきた各市場のビジネスデータ、サポーターから送られる感測データ等から構成される世界最大規模の気象・気候データベースを保有しています。このデータベースと独自AIによる解析・予測等のIT技術を駆使することで90%以上の予報精度を維持し、当社の気象予報におけるブランド価値を高めるとともに、画一的ではない、市場毎のニーズに合わせた「世界No.1の予報精度」の実現を目指します。また、RC(Risk Communication)サービスの提供においても、従来の人による予測値の修正やコミュニケーションの一部をIT技術によって代替し、品質とコンテンツ生産力を高めて利益率の向上に繋げます。

 

3)マーケット展開を加速するITサービス基盤の整備

 全世界79億人がデバイスなどの環境に関わらず迅速かつグローバルに気象情報を活用できるインフラの整備を進めます。同時に、「事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)」を踏まえた事業の継続性の確保を目指して物理サーバからクラウドサーバへの移行を推進し、サーバの一極集中による災害時のシステム障害リスクに対するレジリエンスの強化を進めます。また、ITインフラのクラウド化を通じてサービス開発の高速化と迅速な顧客へのサービス提供及び気象情報の外部連携を可能にし、市場展開や他業種・グローバルでのコラボレーションなどマーケットへの価値創造サイクルを加速します。

 

4)気候変動に対応した新規発展事業の創出

 市場におけるビジネスリスクの調査と詳細分析、極端気象や気候変動による事業リスクに適応するサービスの創造等、気象リスクに対するあらゆる角度からのサービスの開発・提供を目指します。また、気象環境による事業運営リスクに対する従来型の支援に加え、継続的に経済的損害が発生するような事業構造リスクへの対応へと事業領域を拡大することで長期的な成長を実現します。

 

(3)今後の見通し

 次期2023年5月期においては、新型コロナウイルスワクチンの普及により感染拡大の勢いが一段落し、経済活動が正常化に向かうと見られる一方で、インフレの進行に加え、ロシア・ウクライナ情勢など不確実性が高まっています。

 このような事業環境において、売上面では、モバイル・インターネット気象事業の自社配信コンテンツの充実の継続と、広告事業の拡大による更なる成長を見込んでおります。また、航海気象事業では沿岸部の座礁リスクに対応するサービスであるNAR(Navigation Assessment & Routeing)の本格的な展開を見込むと同時に、環境運航支援を目的とした新たなサービスの開発を進めています。航空気象事業ではエアライン市場において需要回復の兆しがあるものの、不透明さが継続すると見ています。一方、国内ヘリコプター市場に関しては引き続き堅調に推移すると見込んでいます。利益面では、モバイル・インターネット気象事業における積極的な広告投資及び既存事業の海外展開推進に関する投資の継続や、全社的なソフトウエア開発の効率化を一層推進します。

 これらの結果により、2023年5月期は、売上高21,000百万円、営業利益3,200百万円、経常利益3,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益2,400百万円と見込んでいます。

 

(当期の進捗)

事業分野

KPI

進捗

23.5期末

目標

22.5期末

実績

BtoB事業全体の

トールゲート

売上比率

(国内:海外)

50:50

59:41

航空気象において新型コロナウイルス感染拡大の影響が継続したものの、海外売上をけん引する航海気象において売上が増加し海外比率が上昇。

1)既存事業の継続成長による収益基盤の強化

航海気象

(隻数)

9,200

6,300

運賃高騰で海運市況は活況。座礁リスク対応サービスであるNARが隻数増加をけん引するも、欧州での顧客獲得遅れの影響で計画を下回る。

航空気象

(顧客数)

85

65

新型コロナウイルス感染拡大の影響継続で東南アジアのエアライン顧客を中心に獲得計画数を下回る。

環境気象

(顧客数)

38

24

日本顧客の獲得が進むも、欧州において獲得計画数を下回る。

モバイル・インターネット気象

(MAU:万人)

5,500

4,516

開発効率向上によるコンテンツの充実や広告投資の効果で順調に推移。

2)世界最高品質の予報精度の追究とコンテンツ生産力の飛躍的向上

予報精度

(%)

90.0

以上

90.7

日本での予報精度90%維持を達成。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループは、世界中のあらゆる企業、個人の生命、財産に対するリスクを軽減し、機会を増大させることを実現する気象・環境サービスを目指し、全世界に向けてサービスを継続して提供していることから、事業継続性の担保は当社グループだけでなく社会経済においても重要であると認識しております。また、当社グループの事業において、世界各国の経済情勢、政治的又は社会的な要因等により、当社グループの事業や業績が影響を受け、その結果当社グループの株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループではリスクを「財務状況及び事業の発展性の観点で、事業継続に重大な影響を及ぼす事象」と定義し、事業活動に関わるあらゆるリスクを的確に把握し、リスクの発生頻度や経営への影響を低減していくことを目的に、リスクマネジメントを統括・推進する執行役員を置くとともに、リスクマネジメント委員会を設置する等、リスクに対する体制を整備しております。また、全社リスクを横断的に見て、事業活動への影響額及び発生頻度に鑑み、重要なリスクを特定しています。
 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りです。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

 (1)新型コロナウイルスの感染拡大

 新型コロナウイルスの影響については、経済活動の水準が緩やかに回復しつつあると認識しているものの、依然として収束時期が不透明な状態であることから、今後も社会経済の状況により当社グループの事業にも影響を及ぼす可能性があると考えております。

 当社グループでは、従業員の在宅勤務(リモートワーク)の推進や新型コロナワクチンの職域接種を実施し、当社グループ従業員やその家族ならびに当社グループに勤務する関係者の安全と感染拡大の防止を最優先としつつ、民間気象情報会社として、防災や天候の急変時のお客様へのサービス提供の継続を行うとともに、感染拡大に伴う新たな社会課題への取り組みを進めました。なお、資金調達においては金融機関からの借入枠を確保する等の対応を実施しております。
 上記の対応をしておりますが、特定の事業において従業員の病欠者が増加しサービス提供が滞ることや、感染拡大地域によってはサービスの提供に影響が出る可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があると考えております。一方で、当社グループの事業が気象・気候を通じた多岐にわたるサービスであることから、特定の事業における経済低迷は他事業で補填できる可能性はあり、今後感染拡大の状況や各国、各事業の政治経済の動向を注視しながら、当社グループ全体の事業展開の計画・実施・評価を進めていく予定です。
 また、引き続きリモートワーク推進を継続する等、社内外への感染拡大防止と従業員の安全確保に努め、ニューノーマル時代に対応した働き方に向けて業務のデジタル化を推進しています。また、新型コロナウイルスによる事業への影響に対しては、例年以上に社会経済の状況把握に努めるとともに、特にキャッシュ・フローについてグループ各社のきめ細かな状況把握に尽力し、いち早くリスクの顕在化時の資金手当等が可能となるように取り組んでまいります。なお、当連結会計年度への影響や今後の業績の見通しについては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照願います。

 

 (2)気候変動リスク

 当社グループでは、ESGの1つである「Environment(環境)」を重要な経営課題の1つと認識しております。昨今、世界各地で発生する大雨・台風・豪雪・乾燥等の極端気象は深刻化しており、気象・気候が与える社会への影響は年々強くなってきております。当社グループではこのような気象状況の変化に対し、気象・環境サービスを通じて世界中の企業・人々の生活に対する気象・環境リスクを軽減することや、気象・気候データやビジネスデータ等のビッグデータの解析をすることで環境負荷が少ないソリューションを提示する環境貢献に対する事業を継続してきました。

 さらに、ESGへの取り組みとして、「いざというときに人の役に立ちたい」という理念を持つ当社は、人間社会・企業活動のみならず、地球環境がともに持続可能となる社会の実現を私たちのミッションとし、事業を通じた社会への価値創造として「気候変動の緩和」と「強靭な街づくり」を、次に社会への価値創造を推進するための重要な基盤として「技術革新&パートナーシップ」、「ダイバーシティ&インクルージョン」という4つのマテリアリティを制定し、ウェブサイトにて当社取り組みに関する情報発信を行っております。また、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識し、2022年6月にTCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明しました。気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、TCFDのフレームワークに基づいた情報開示(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)を進め、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーの皆様とともにサステナブルな社会の実現に取り組んでいきます。

 しかし、今後当社グループが深刻化する気候変動リスクの変化に適切に対応できなかった場合には、顧客離れや投資先としての信頼性が得られないなどの事態が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績等が影響を受ける可能性があります。

 

 (3)自然災害

 当社グループは、気象・環境サービスを世界各国の物流事業や公共交通機関、放送事業等に提供しており、社会的なインフラに対して密接したサービスとなっております。そのため、有事の際もサービスを継続して提供できるような体制の整備を進めてはいるものの、巨大地震や津波、竜巻、台風、寒波等の自然災害や戦争・テロ、紛争、その他の要因による社会混乱により、本社や主要な事業会社(拠点)が被災し、経営体制の本社機能もしくは各拠点の運営機能が麻痺することによるオペレーション上の事業継続リスクがあります。

 上記の通り、災害や事故等で被害を受けた際に、重要な機能を可能な限り中断せず、また中断した場合にもできるだけ早急に復旧できるよう、当社グループ全体で事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)を策定し、バックアップセンターや遠隔での運営が行えるような体制の構築やインフラ強化の対策等を整備すると共に、日頃から災害を想定した訓練を実施しています。しかしながら、これらの対策を講じたとしても、全てのリスクを完全に排除できるものではなく、当社グループの財政状態及び経営成績等が重大な影響を受ける可能性があります。

 

 (4)情報セキュリティ

 当社グループは、事業上の重要情報及び事業の過程で入手した個人情報や取引先等の秘密情報を保有しており、「個人情報保護法」、「EU一般データ保護規則(GDPR)」、その他の法令に基づき、個人情報保護に関する義務を課されています。当該情報の盗難・紛失などを通じた外部漏洩・第三者による不正流用の防止はもちろん、不適切な利用、改ざん等の防止のため、委託先の管理を含め、情報の取り扱いに関する管理の強化を行い、法規制強化への対応等も都度実施しています。

 また、個人情報の管理を事業運営上の重要事項と捉え、保護管理体制の確立に努めており、当社において個人情報管理規程等を制定し、個人情報の取り扱いに関する業務フローを定めて厳格に管理するとともに、当社グループの役職員を対象として社内教育を徹底する等、関連法令並びに当社に適用される関連ガイドラインの遵守に努め、個人情報の保護に積極的に取り組んでいます。新型コロナウイルスの感染拡大時に推進したリモートワーク時には、日頃の取り組みに加え、規程・ガイドラインを整備する等新しい働き方における情報管理の方針を策定しました。リモートワーク推進により、更に重要性が高まっている情報管理への社内意識向上を促す施策を積極的に整備しています。

 しかし、不測の事態によってこれらの情報の漏洩やインシデントが発生する可能性は完全には排除できず、また情報システムへのサイバー攻撃などによって、重要データの破壊、改ざん、流出、システム停止等を引き起こす可能性もあります。したがって、これらの事態が起こった場合には、業務効率の著しい低下や、事業継続、あるいはビジネスの伸長に困難を来すことが想定され、適切な対応を行うための相当なコストの負担、損害賠償による損失、社会的信用やブランドイメージの低下によって、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

 (5)社会・制度の大規模な変化

 当社グループは多岐にわたる業界・サポーターに対し世界中で気象・気候を軸とした様々なサービスを提供しており、各事業により事業環境が大きく異なることから、国内外の広範な社会環境・商慣習に従い事業活動を展開しております。また、それに伴い、税や各種規制といった法制度、各国の政治・経済動向、気候変動等、様々な要因の影響下にあります。これらの要因は当社グループが関与し得ない理由によって大きく変化する可能性があり、このような変化が生じた場合、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があることから、重要なリスクと認識しています。
 また、当社グループの事業は気象・環境サービスの提供を主体に行っていることから、各国の気象業務法の公的規制を受けております。そのため、今後予測できない大幅な規制変更が行われ、その変化に当社グループが対応できない場合、当社グループの事業に重大な影響が及ぶ可能性があります。

 

 (6)コンプライアンス(法令遵守)

 当社グループの事業の根幹である気象・環境サービスは、各国の気象業務法及び関連法令の法的規制を受けています。今後、仮に気象業務法で定める認定基準等を満たすことができず、認定の取り消しを受けた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性があります。
 さらに、上記以外にも、事業活動を継続するうえで、様々な法的規制を受けています。これらの法令違反が発生した場合や社会的要請に反した場合により、経済的損失のみならず、当社グループの企業ブランドが著しく損なわれ、当社グループの経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。
 そのため、当社グループではこのような法令違反が発生しないようグループ全体の業務執行に関する方針・行動基準となる「天気街憲章」、社会的責任を明確にした「Weathernewsグループ 行動規範」を定めウェブサイトで公表し、積極的なSDGs貢献を推進する社会インフラ企業のスタッフとしての自覚を促し、法令と社会規範遵守についての教育・啓蒙・監査活動を実施しております。また、リスクマネジメント委員会にて総合的にリスク評価・対応策を検討しております。内部統制システムの整備に関しては基本方針を定め、社内にて内部統制の運用徹底・改善の取り組みを実施しております。詳細は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」をご確認ください。
 しかしながら、コンプライアンス上のリスクや、当社グループ従業員の全ての不正行為は完全に排除することはできない場合もあり、これらが法令等に抵触した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの財政状態及び経営成績等が影響を受ける可能性があります。

 

 (7)グローバル展開

 当社グループは、第4成長期からグローバル展開を推進しており、世界各国に拠点を設けてサービス展開を行っております。これらの海外拠点が存在する各国での予期せぬ公的規制の変更、テロ、戦争、その他予期し得ない政治・経済上の変動により、当社グループの経営成績、財務状況に影響が及ぶ可能性があります。具体的には、以下に掲げるいくつかのリスクが内在しています。

 ・政治的又は経済的要因

 ・事業・投資許可、租税、為替管制、国際資産の没収、独占禁止、通商制限など公的規制の影響

 ・他社と合弁・提携する事業の動向により生じる影響

 ・戦争、暴動、テロ、伝染病、ストライキ、マルウェア、その他の要因による社会的混乱

 ・地震、津波、台風等の自然災害の影響

 ・各国規制・制裁などの把握不全

 これらリスクに対して、現地の大使館・商工会議所などから情報収集を行い、各拠点の外部コンサルタントと連携し、適切な対応がとれるようにしております。なお、ロシア・ウクライナ情勢に関して、当連結会計年度末現在において直接的な当社事業への影響は無いものの、国際社会が協調し制裁措置を取る中で、それらを遵守しつつ各事業に取り組んでいます。

 

 (8)中期経営計画

 当社グループでは、2019年6月に「中期経営計画」を策定し、計画に基づいて事業を推進しております。これらの計画は、策定時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定されておりますが、こうした情報や分析等には不確定要素が含まれております。今後、事業環境の悪化その他の要因により、「中期経営計画」において示した売上高や営業利益の改善が未達であった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大及び長期化の影響を受け、中期経営計画策定時に前提とした当社グループの事業環境が大きく変化したため、計画の一部が想定通りに進捗していない状況を踏まえ、事業環境の変化に対する体制整備を進めるため、中期経営計画の期間を2020年5月期~2022年5月期の3年間から、2020年5月期~2023年5月期までの4年間に変更しております。

 

 (9)サービス品質

 当社グループは、気象・環境サービスを世界各国の物流事業や公共交通機関、放送事業等に提供しており、社会的なインフラに対して密接したサービスとなっています。そのため、運用中に社内外で障害が発生する等、システムやサービスが停止した場合、顧客や個人のサービス利用者に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、データにおいても、予報としての性格上不可知の要素を含んでいるため、BtoB事業においてサービスを提供するにあたっては、リスクコミュニケーションによる顧客との連携に努めるとともに、各契約において当社グループのリスクを限定的に制限しております。しかしながら、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクの蓋然性は高くはないものの、発生する可能性は完全には排除できず、社会的な影響度を踏まえると当社グループの財政状態のみならず、企業ブランドの信頼性を著しく損なう可能性が考えられます。
 当社グループでは、安定性のあるサービス提供のため事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)を策定し障害発生時には即時に対応策をとれるよう体制を整備するとともに、気象・環境サービスの品質向上のため、予報精度向上やシステム品質向上に日々努めています。

 

 

 (10)知的財産権

 当社グループは、気象が「水、エネルギー、交通、通信」に続く第5の公共資産=公共インフラであると考えており、また技術発展のための社会的責任として、できる限り情報を公開していく「情報民主主義」というポリシーを持っております。一方で、当社グループが目指す目標を達成するため、競合や第三者から当社グループの知的財産権を守ることや、当社グループ従業員の権利を守ることも重要と考えており、適切なバランスを考慮した対応を取る必要があります。
 当社グループは、トールゲート型ビジネスを主としておりますが、近年同様なビジネスの増加や、基礎技術開発の際に独自開発した技術が他社の知的財産権を侵害しているとして、損害賠償請求を受ける可能性等、リスクが顕在化する蓋然性は高くはありませんが皆無とは言えません。この場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があり、重要なリスクとなることを認識しています。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 気象リスクへの関心の高まり、世界的なテーマである気候変動への適応策・緩和策ニーズの増加や情報通信技術の発展によって、気象サービス市場は今後も成長を続けると当社は考えています。

 売上面では、モバイル・インターネット気象事業において、積極的な広告投資を通じた認知度向上、予報精度の改善、独自コンテンツの充実によりアプリ利用者数が増大し、サブスクリプションサービス売上及び広告収入が引き続き好調に推移しました。また、航海気象事業において、コロナ影響による港湾混雑等で荷動きの鈍化が残るものの、運賃高騰など海運市況の回復が進み既存顧客へのサービス提供数が増加したことや円安が進んだ影響により売上が増加しました。その結果、当期の連結売上高は19,650百万円(前期比4.3%増)となりました。

 利益面では、テレビCMやネット広告等の積極的な広告投資やソフトウエア開発能力の継続的強化に伴う人財投資を増加させました。一方、ソフトウエア開発のインハウス化・アジャイル化による開発体制の効率化や、多様な働き方の一つとしてリモートワークを推進すると同時にオフィスの一部返却による最適化を図りました。その結果、営業利益は2,904百万円(前期比18.8%増)、経常利益は3,063百万円(前期比19.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益はソフトウエア開発計画の見直しに伴う減損損失及び投資有価証券評価損などの特別損失を計上し、2,157百万円(前期比15.9%増)となりました。

 

(事業別の状況)

 

<航海気象>

港湾の人員不足による滞船状況の改善が見られなかったものの、コンテナ船の運賃高騰などで海運市況全体としては回復の動きを見せました。サービス提供数に相関する船舶の稼働率についても緩やかながら改善し、アジア・欧州のコンテナ船、アジアのバルク船、日本の自動車船の既存顧客を中心に売上が増加しました。

 

<航空気象>

エアライン市場ではコロナ影響による市況低迷が継続していることからアジア顧客を中心に売上が減少したものの、国内ヘリコプター市場では動態管理システムの拡販で顧客獲得が進み、航空気象事業全体の売上は横ばいとなりました。

 

<陸上気象>

サービスの主要な提供先である国内の鉄道及び高速道路市況は、回復傾向となるものの従来水準までは戻らず厳しい状況が継続しました。また、一部顧客への売上及び一時的な受託調査業務が減少しました。

 

<環境気象>

エネルギー供給の不安定化に伴う価格高騰が継続し、再生可能エネルギーの発電量予測サービスへの引き合いが日本及び欧州で増加しました。また、製造、小売向けにはマーケティング強化を継続し、全体では増収となりました。

 

<その他BtoB気象>

スポーツ気象事業において、東京オリンピック・パラリンピックにおける気象情報提供に関する業務の委託を受けた結果、売上が増加しました。

 

<モバイル・インターネット気象>

テレビCM放映やネット広告などの積極的な広告投資による認知度の向上によってアプリ利用者数が順調に増加しました。また、日本国内における天候が比較的安定する中で、自社配信コンテンツの充実、アプリのUI/UXの継続的な改善などを通じてユーザーのアプリ満足度・活用度を向上させる各種取り組みを行った結果、サブスクリプションサービス売上及び広告収入が増加しました。

 

 なお、広告収入における地域別売上高の集計方法に関して、従来は顧客の会社所在地に紐づけて集計しておりましたが、ビジネスの展開地域の実態と合わせるために、前連結会計年度及び当連結会計年度ともに実際のサービス提供地域に紐づけた集計方法に変更しております。また、「収益認識に関する会計基準」を適用したことにより、当連結会計年度のモバイル・インターネット気象事業の広告事業において従来の会計処理方法に比べて売上高及び費用がそれぞれ159百万円の減少となっています。

 

<放送気象>

主要顧客である放送業界の業績は昨年のコロナ影響の反動で回復を見せ、放送局向けシステムの更新サイクルの影響でシステム販売が増加したものの、放送局の構造的変化によるコスト見直しの影響を受け、売上は横ばいとなりました。

 

 

事業区分

前連結会計年度

(自 2020年6月1日

至 2021年5月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日)

(百万円)

増減率

(%)

SRS

トールゲート

合計

SRS

トールゲート

合計

合計

 

航海気象

18

4,779

4,798

3

5,198

5,202

8.4

 

航空気象

119

807

927

55

878

934

0.8

 

陸上気象

470

3,180

3,651

243

3,019

3,262

△10.6

 

環境気象

149

719

869

114

780

894

2.9

 

その他 BtoB

7

6

13

16

48

65

388.2

BtoB事業 計

765

9,493

10,259

433

9,925

10,359

1.0

 

モバイル・インターネット気象

18

6,087

6,106

15

6,806

6,821

11.7

 

放送気象

513

1,963

2,477

561

1,908

2,470

△0.3

BtoS事業 計

532

8,051

8,583

576

8,714

9,291

8.2

合 計

1,297

17,545

18,843

1,010

18,640

19,650

4.3

 

 

(参考)地域別売上高

地域区分

前連結会計年度

(自 2020年6月1日

至 2021年5月31日)

(百万円)

当連結会計年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日)

(百万円)

増減率

(%)

SRS

トールゲート

合計

SRS

トールゲート

合計

合計

 

日本

723

5,817

6,540

401

5,873

6,275

△4.1

 

アジア

3

1,718

1,722

-

1,927

1,927

11.9

 

欧州

38

1,652

1,691

32

1,833

1,865

10.3

 

米州

-

304

304

-

290

290

△4.6

BtoB事業 計

765

9,493

10,259

433

9,925

10,359

1.0

 

日本

532

7,562

8,094

576

8,041

8,618

6.5

 

アジア

-

485

485

-

672

672

38.4

 

欧州

-

2

2

-

1

1

△63.8

 

米州

-

0

0

-

-

-

-

BtoS事業 計

532

8,051

8,583

576

8,714

9,291

8.2

合 計

1,297

17,545

18,843

1,010

18,640

19,650

4.3

(注)トールゲート:高速道路の料金所に例えた当社独自の事業形態。サービス提供の対価として継続的に発生する売上

SRS(Stage Requirement Settings):将来のトールゲート売上につながる一時的な調査やシステム販売

BtoS事業:個人向け事業(Sはサポーターの意)を指す

 

② キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等891百万円を支払う一方で、税金等調整前当期純利益2,931百万円を計上したことなどにより3,573百万円の収入(前期2,479百万円の収入)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産や無形固定資産の取得による支払などにより395百万円の支出(前期615百万円の支出)となりました。

 また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより1,098百万円の支出(前期1,094百万円の支出)となりました。

 現金及び現金同等物に係る換算差額93百万円を加算し、現金及び現金同等物の当期末残高は11,422百万円(前期末9,249百万円)となりました。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績及び受注実績

当社グループの主な事業は、気象情報を中心とした総合的なコンテンツ提供サービスです。加えて、継続的にサービスを行うトールゲート型ビジネスを主に展開しているため、受注生産方式を採用していません。このため、生産実績、受注実績を数量、金額で示すことはしておりません。

 

b. 販売実績

当連結会計年度における事業別売上高は下記のとおりであります。

事業区分

前連結会計年度

(自 2020年6月1日

至 2021年5月31日)

当連結会計年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日)

増減率

 

百万円

百万円

BtoB事業

10,259

10,359

1.0

BtoS事業

8,583

9,291

8.2

合計

18,843

19,650

4.3

(注)当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

当連結会計年度

(自 2021年6月1日

至 2022年5月31日)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社NTTドコモ

2,363

12.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

<1>経営成績の分析

当社グループは「Global Business (BtoB事業での国内:国外のトールゲート売上比率 50:50)」の基本戦略のもと、4ヵ年の中期経営計画を策定しております。3年目となる当期における進捗については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。

 

<2>財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金などの増加により、前連結会計年度末に比べて1,434百万円増加し、19,127百万円となりました。負債は、契約負債などの増加により、前連結会計年度末に比べて30百万円増加し、2,283百万円となりました。

 純資産は、前期末及び当中間期末に配当1,098百万円を行う一方で、親会社株主に帰属する当期純利益2,157百万円を計上したことなどにより、前連結会計年度末に比べて1,404百万円増加し、16,843百万円となりました。これらの結果、当連結会計年度末の自己資本比率は87.6%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

<1>キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの状況は、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 

<2>所要資金の調達方針

 当社グループの所要資金の調達は、当社グループにおける財務安定性及び資本コストの適正性を勘案して行うことを方針としております。また、グループにおける資金需要を当社にて一元把握し、調達することとしております。基本的に、多額な設備投資以外の資金需要は「営業活動によるキャッシュ・フロー」により確保することとし、子会社(グローバルビジネスモデルにおけるSSB)にて資金の不足が生じる場合には、当社からの貸付けによって補うことを原則としております。

 なお、グローバルビジネスモデルにおけるSSBは、本来的に戦略性に重点をおいた販売拠点展開として投資しているため、資金を固定的に用いるのではなく、その販売拠点の戦略性の変化に対してダイナミックに変化させることができるものとなっております。

 

<3>資金調達の方法

 運転資金につきましては、「営業活動によるキャッシュ・フロー」を原資として、必要な場合は金融機関からの短期的な借入を行い、設備投資・投融資資金につきましては、金融機関からの長期借入金・社債及び証券市場を通じての増資等により調達することとしております。また、より効率的な資金調達を行うため、取引金融機関とコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しております。

 

<4>資金の流動性について

 当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性の維持及び機動的・効率的な資金の確保を財務活動の方針としております。当連結会計年度は、現預金及びコミットメントラインを十分に確保し、資金の流動性を維持しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は11,422百万円となっております。また、流動比率は707.7%となっております。

 

③ 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用等、開示に影響を与える判断と見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社グループが採用している重要な会計方針(「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載)のうち、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼす事項であると考えております。

 

<1>貸倒引当金の計上

 当社グループは、債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。将来、顧客の財政状態の悪化等の事情によってその支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上等による損失が発生する可能性があります。

 

<2>固定資産の減損処理

 当社グループは、事業用資産について、内部管理上、キャッシュ・フローを生み出す最小単位を基準として資産のグルーピングを行っております。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その減少額を減損損失として計上しております。減損兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討してまいりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、追加の減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

<3>繰延税金資産の回収可能性

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、課税所得がその見積り額を下回る場合、繰延税金資産が取崩され、税金費用が計上される可能性があります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、民間の気象情報会社として「全世界79億人の情報交信台」という夢を掲げ、気象が水・エネルギー・交通・通信に続く第5の公共資産=公共インフラであると考え、世界中のあらゆる企業、個人の生命、財産に対するリスクを軽減し、機会を増大させることを実現する気象サービスを目指しています。すでにグローバルに展開している航海気象に加えて、航空気象、陸上気象、環境気象についてもグローバル展開を推進していく今後を見据えて、革新的な気象サービスを実現する技術及びインフラの構築に注力しています。研究開発活動においては、技術的な側面にとどまらず、事業の立ち上げを視野に入れ、市場創造を実現する体制の構築に取り組んでいます。

 

(1)革新的サービスを実現する技術開発及びインフラ構築

 航海気象事業では、造船工学手法を活用した船舶性能の推定精度向上やビッグデータとAI的評価を活用した最適航路抽出ロジック構築など、運航最適化を支援する航路計画策定システムの開発を行っています。公益財団法人の無人運航船プロジェクトに参画し、開発したシステムと超高解像度予測モデルを用いて、航海気象専門の気象予報士が陸上から運航を支援し、世界屈指の海上交通過密海域である東京湾内での実証実験に成功しました。

 また、陸上気象事業では、自動車会社と共同で、気象とコネクティッドカーから得られる車両データを活用した道路の凍結箇所を把握するための実証実験を行いました。過去にも道路冠水検知や、ワイパーデータを用いた実証実験を行っており、継続してドライバーの安全性向上に向けた取り組みを行っています。

 観測インフラについては、高頻度観測小型気象レーダー「EAGLEレーダー」の実証実験を開始しました。本レーダーで周囲360度を高速スキャンし、雲の立体構造を高頻度で観測することで、ゲリラ豪雨や大雪などの突発的な気象をリアルタイムで把握することが可能です。除雪作業判断支援サービスへの活用に向けた準備を進めています。設置は日本のみならずアジアへ展開しており、第一弾としてベトナムのハノイに設置しました。ベトナムでは、洪水リスクの早期検知や予測精度の向上に活用します。さらに、雨・雪・雲(霧)を自動判別する世界初の多周波気象レーダーの開発を新たに開始しました。ドローンや空飛ぶクルマなど次世代空モビリティの発展を見据えて、低高度の雲の内部の観測を可能にすることを目的としています。

 

(2)革新的サービスを実現する予報モデル及びAI技術開発

 気象災害による被害を減らすべく、超局地的な予測モデルや短時間予報解析モデル等、より高解像度・高頻度の予測モデルを開発し、継続的に予報精度の改善を行っています。また、AIを利用することで、既存のモデルで上手く表現されなかった地形効果による雲の発達や衰弱・速度変化も反映されるようになりました。さらに、雨雲レーダーの高解像度化により、ゲリラ豪雨などの局地的かつ突発的な現象など従来モデルでは困難だった現象の捕捉や地域への天気予報精度を向上させています。具体的には、過去の発電量実績データと気象データのAI学習を通じて構築した高精度な統計モデルによる日射量予測のAPI提供を開始しています。また、過去の浸水災害のビッグデータを活用し、96時間以内の浸水被害リスクをピンポイントで予測する技術も開発しました。

 

 なお、当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は534百万円であります。