文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、情報技術(IT)の新たな価値を顧客の成功のために活用する企業グループとして、製造業を始めとする幅広い業種にわたる顧客のビジネス変革を支援しております。
高度化・複雑化・グローバル化する顧客のニーズに応えるべく、先端技術の評価・導入を通して、高品質のソフトウェア製品やサービスの提供に努めて参ります。
(経営理念)
顧客満足を第一としたプロフェッショナル集団として、新たな価値創造を通じて社会に貢献する。
(ブランドステートメント)
未来まで、よりそい抜く
(パーパス)
世の中に創造業を増やす
当社グループは、継続的な業容の拡大を通じた企業価値の向上を経営目標としております。経営指標といたしましては、自己資本当期純利益率(ROE)を重視し、その向上に努めて参ります。
① 経営環境と中長期的な当社グループの経営戦略
当社グループは、主要顧客である製造業のビジネス環境の変化に対し、当社グループの強みを活かした製品・サービスで製造業を支援すべく、経営計画「経営Vision 2026 改訂版」の「4つの柱」の戦略に取り組んで参ります。
<顧客のビジネス環境の変化>
1.デジタル・トランスフォーメーション
「2025年の崖」、COVID‐19の影響に対応する術としてのデジタル・トランスフォーメーションが今後もさらに加速。
2.製造業のビジネスモデル変革
大量生産・大量消費の時代の終焉とともに社会の価値観がシフトするなかで、製造業のビジネスモデル変革が進行。
3.グローバリゼーション
世界経済の多極化と日本市場の縮小に伴い、海外移転が進行。COVID‐19の影響により、グローバルサプライチェーンに対するニーズが変化。
4.持続可能な社会の実現(サステナビリティ)
持続可能な社会の実現に向けて、地球環境への負担を減らし、社会課題の解決に向けた取り組みが企業に求められる。
<B-EN-Gの強みとリソース>
・製造業のIT支援の実績
20年以上にわたり、製造業のIT化を支援してきた実績。(※1)
・自社プロダクトの製品企画・開発力
技術力とノウハウを活かし、高い評価を得られる自社製品の開発力。
・顧客との信頼関係
20年の間に積み上げてきた信頼に基づく顧客との強固な関係と課題解決力。
・グローバル展開の実績
世界25か国での展開実績をベースとした豊富な経験とノウハウを活かし、グローバル展開を支援。
※1 当社が事業を開始した1999年4月以前より、当社の前身である東洋エンジニアリング株式会社の工場システム化支援事業からの30年以上の実績を有する。
<4つの柱>
1.「ものづくりデジタライゼーション」(※2)の拡大
「ものづくりデジタライゼーション」による業務効率化のためのDXを推進し、製品・サービスの最適な提供を図る。
2.「変革のためのDX」の推進
顧客のビジネスモデル変革を支援するとともに、新しい形のビジネス創出により自社のビジネス変革を図る。
3.グローバル支援の強化
日系製造業のグローバル展開を継続的に強化し、ビジネス拡大を図る。
4.サステナビリティへの貢献
当社の強みを活かした社会課題解決への取り組みを通じて、持続可能な社会の実現に貢献する。
※2 「ものづくり」に関わる業務のデジタル化によって効率化を実現し、ビジネスの変革につなげること。

② 対処すべき課題
緩やかな景気の回復が続くと見込まれるもとで、引き続き情報化投資は総じて堅調に推移することが期待されます。
このような状況において、上述の経営計画「経営Vision 2026 改訂版」を推進し、事業機会の創出と取扱い商材・サービスの拡充に取り組むとともに、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を実現するため、次に取り組んで参ります。
・システムインテグレーションの品質・生産性の向上と採算確保、不採算案件の抑制。
・顧客との関係深化、顧客ニーズを捉えた提案力・課題解決力の強化、顧客との共創ビジネス推進、有力パートナーとの連携強化、ビジネスパートナーとの関係強化。
・顧客の利用形態(所有型・利用型)ニーズに対する柔軟性向上。SaaS型の製品・サービスの拡充によるSaaSビジネスの強化。
・製造業のサステナビリティを支える、社会課題解決に貢献する製品・サービスの拡充。
・人材採用、人材育成・定着、エンゲージメント向上、働き方改革およびダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン等による人的資本経営の推進。
・サステナビリティ活動およびマテリアリティへの取組み推進、コーポレート・ガバナンスの継続的な改善、事業継続活動の強化。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティ全般に関するガバナンスおよびリスク管理
サステナビリティを巡る課題への取組みは、当社グループの持続的な成長や強固な事業基盤構築に向けた重要な経営課題と認識しており、その取組みの概要を経営計画に盛り込むとともに、サステナビリティを巡る取組みに関する基本方針を策定し、継続的に取り組んでおります。
基本方針において、当社グループは、当社の企業理念「顧客満足を第一としたプロフェッショナル集団として、新たな価値創造を通じて社会に貢献します。」のもと、サステナビリティを巡る課題への取組みを重要な経営課題と位置づけています。社会的責任の遂行と事業活動を通じた社会価値の創造を通じて、社会的課題解決に寄与するとともに中長期的な企業価値の向上を図り、顧客、取引先、株主・投資家、従業員、地域社会等の多様なステークホルダーから信頼を得、支持されるグループ企業を目指しております。当社グループと当社グループのステークホルダーに影響を与える重要な課題を特定し、その実践に向け、行動指針や経営計画等に盛り込んでおります。また、ESG関連方針を制定し、サステナビリティに関する取組みを推進するために必要な方針を整備しております。
サステナビリティに関する取組みを推進するため、2023年6月にサステナビリティ委員会を設置いたしました。委員会は社長を委員長とし、常勤取締役、所管・関連本部長、グループ子会社社長等を委員として構成しております。その下にサステナビリティ推進事務局を設置し、活動の企画・管理・推進をいたしました。また、2024年4月にサステナビリティ推進室を設置し、推進体制を強化しております。委員会は原則として年2回開催しており、サステナビリティに関する方針の策定、活動の計画立案、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する方針の策定、施策の立案、サステナビリティにおける重要課題の特定と見直し、サステナビリティ関連情報の開示等、気候変動への対応を含む様々なサステナビリティ推進活動の取り組みを審議しております。委員会で審議した内容、進捗状況およびその他必要な事項については取締役会に適時・適切に報告する体制を整備しており、取締役会ではその内容について確認・意見交換のうえ、サステナビリティに関する取組みを監督し、必要な事項の決議を行っております。
「サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題である」との認識のもと、当社グループが社会的課題解決に取り組むうえで想定されるリスクについて、各種会議や委員会活動を通じた把握・対応を実施し、社長を委員長とするリスク管理委員会において評価・管理を行い、内部統制システムの運用状況に係る報告に含めております。取締役会は、行動規範の遵守状況のレビュー、内部統制システムの運用状況に係る報告や経営計画の進捗確認等を通じてサステナビリティを巡る課題への取組み状況を把握し、監督を行っております。また、サステナビリティ委員会での審議を経て、取締役会にて審議・決議のうえマテリアリティ(重要課題)を特定し、マテリアリティに係る機会およびリスクの把握を行っております。気候変動に係るリスクを含め、サステナビリティに関するリスクへの対応状況の詳細は、サステナビリティ委員会においてモニタリングされ、その内容は取締役会へ報告され、監督されます。
(2) マテリアリティ(重要課題)の特定
当社グループは、持続可能な社会の実現を目指し継続的に価値を提供していくために、特に重要であり優先すべき課題を以下のとおり特定しております。特定したこれらの重要課題に対するアクションと目標を設定し、具体的な社会課題解決に取り組んで参ります。なお、特定した課題は、それぞれの項目において、当社グループにとっての機会およびリスクを持つものと考えております。
(3) 人的資本に関する戦略ならびに指標および目標
当社グループは、人材こそが当社グループの競争力の源泉であるという認識のもと、人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上を図るため、人材採用、人材育成・定着、エンゲージメント向上、働き方改革およびダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン等による人的資本経営の推進に取り組んでおります。
当社グループにおける人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
当社グループは、製造業を主とした幅広い業種に、ERPシステムを中心とした多様なシステム・サービスを展開しております。技術革新著しいIT業界において当社グループの事業拡大を目指すうえでは、イノベーションや新しい価値創造の源泉として中核人材の多様性の確保に努める一方で、性別、国籍や新卒採用・中途採用等の別に拘らず、多様な専門性と高度な知識・技術を有する優秀な人材を確保・育成することが経営の重要課題となります。
また、当社はグローバルに事業を展開する製造業顧客のIT化を支援するために、中国・東南アジアを中心に現地法人を置き、現地でのIT支援体制を整備しており、このための外国人技術者の確保・育成にも積極的に取り組んでおります。
「人財育成」、「働きやすい職場づくり」、「ダイバーシティ」の3つのテーマを掲げ、次世代を担う人財を育成し、継続的に成長するための施策に取り組んでおります。
人財育成に関しては、人材開発、研修カリキュラムの整備・充実などの教育体制の整備、資格取得に対する補助制度の整備、各種スキル取得の支援などの自己啓発支援、キャリアプラン制度による長期的なキャリア支援などのキャリア開発支援を行っております。
働きやすい職場づくりに関しては、社員の健康増進への取り組みなどの心と身体の健康増進、クラブ活動支援制度、各種イベントの開催、社員エンゲージメントの向上に向けた活動などを通じたコミュニケーション促進、柔軟な働き方の選択を可能にする制度、在宅勤務制度等の整備などのワークライフ・バランスの向上に取り組んでおります。
ダイバーシティに関しては、仕事と育児・介護の両立支援、女性活躍支援などの多様な働き方の推進、海外出身人材の登用、海外現地法人での採用活動などの多様な人材の登用、従業員に対するコンプライアンス教育の実施などを通じた人権の尊重の取組みを推進しております。
当社グループでは、前述の人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、主に次の指標を用いております。なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標および実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
(4) TCFD提言に基づく気候変動への取組
当社グループでは、気候変動への対応を重要課題の一つと捉え、TCFDの提言するフレームワークに基づいた分析を行い、気候変動による当社事業にとっての機会およびリスクを以下のとおりと認識しております。なお、開示内容の詳細については当社コーポレートサイトの「サステナビリティ」ページ(https://www.b-en-g.co.jp/jp/sustainability/initiatives/environment.html)にて公開しております。
① ガバナンス
「(1) サステナビリティ全般に関するガバナンスおよびリスク管理」に記載のとおり、気候変動に関するガバナンスを行っております。
② 戦略
IEA、IPCC等の機関が公開しているシナリオを用いたシナリオ分析を行い、当社の事業における気候変動のリスクと機会、および影響度を下記のとおり特定しております。なお、分析に使用したシナリオは産業革命前からの平均上昇気温が1.5℃および4℃の2種を用いております。
<1.5℃シナリオ>
<4℃シナリオ>
③ リスク管理
「(1) サステナビリティ全般に関するガバナンスおよびリスク管理」に記載のとおり、気候変動に関するリスク管理を行っております。
④ 指標と目標
<GHG(温室効果ガス)排出量の推移>
当社グループの事業活動の推進に伴って排出されるGHGの量を定期的に測定、公開しております。また、GHG排出量の開示にあたり、信頼性を高めるため2022年度から第三者保証を取得しております。
(単位:t-CO2e)
(注) 1 Scope3排出量の算定にあたりましては、調達金額に環境省の原単位を乗じて算定しており、活動量の増加に比例して排出量も増加する計算式となっております。
2 2022年度のScope3カテゴリ2の実績につきましては、2022年度の第三者保証取得後に追加で算定したカテゴリとなり、第三者保証取得の対象外となっております。
3 2023年度の実績につきましては、有価証券報告書提出日現在において第三者保証機関により検証中であるため、変更となる可能性があります。
<GHG排出量の削減目標>
パリ協定と合致した脱炭素に向けた取り組みを推進し、2050年のカーボンニュートラル実現を目指します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、次のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
国内外の社会情勢・経済情勢の変動等による顧客企業の情報化投資動向、同業他社との競合状況等により、当社グループの経営成績、キャッシュ・フローの状況および財政状態(以下、「経営成績等」といいます。)は大きく変動する可能性があります。
当社グループが顧客に納入するシステムの多くが顧客の重要な基幹システムであり、万が一、重大なシステム上の不具合が発生した場合には、改善のための追加対応費用や損害に対する賠償金が生じ、当社グループの経営成績等が悪化する可能性があります。また、当社グループは、グループ横断でプロジェクトマネジメントの強化に取り組んでおりますが、予期せぬ事態の発生等により、見積からの乖離や納期の遅延が生じた場合、費用が想定を大きく上回り、当社グループの経営成績等が悪化する可能性があります。
(3) 技術革新に関するリスク
当社グループは、IT分野における急速な技術革新に対応するため、提供サービス・製品の機能強化を進めるとともに、新規事業のための商材調査・研究開発活動に注力しておりますが、想定外の技術革新が進み適切な対応がとれなかった場合には、当社グループの経営成績等が悪化する可能性があります。
(4) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループでは、情報セキュリティルールの整備、定期教育の実施およびサイバー攻撃への対策を含む技術的な施策に全社的に取り組み、情報漏洩等の防止に注力しております。それにも係わらず、個人情報や機密情報の漏洩等が発生した場合、損害に対する賠償金の発生、当社グループの信用低下等により、当社グループの経営成績等が悪化する可能性があります。
当社は、SAPジャパン株式会社との間にSAP製品・サービスの提供等に係る契約を締結し、同社と安定した取引関係を継続しておりますが同社の市場訴求力に大きな変動が生じた場合には、当社グループの経営成績等が悪化する可能性があります。
当社グループの事業は、技術力と専門性を有する多様な人材の確保状況により、大きな影響を受けます。積極的な採用活動と人材育成、働き方改革の推進および業務の一部を委託している協力会社との連携強化に努め、優秀な人材の確保に注力しておりますが、これらが想定通りに進まない場合や、IT人材の需要が高まるなかで人材獲得競争が想定以上に激化した場合には、当社グループの経営成績等が悪化する可能性があります。
当社グループの持続的な成長に向け、ソフトウェア・サービスの開発投資を積極的に行うとともに、関係会社の設立や協業関係強化を目的とした他企業への投資・出資を行っております。投資効果やリスク等を十分検討したうえで実行し、事業計画の確認・見直しを行いながら運営しておりますが、当社開発ソフトウェア・サービスの販売が計画に劣後し、また、投資先・出資先の企業価値が低下した場合には、当社グループの経営成績等が悪化する可能性があります。
当社グループの事業継続の強化に取り組んでおりますが、大規模な災害や感染症等により、当社グループの多くの社員および協力会社社員が被害を受け、もしくは罹患した場合や、主要な事業所、設備等に重大な損害が生じた場合には、当社グループの事業活動に停滞や停止が生じ、当社グループの経営成績等が悪化する可能性があります。
(9) コンプライアンスに関するリスク
当社グループの行動規範やコンプライアンス行動基準を策定し、これらの周知・浸透に努めるとともに、定期的なコンプライアンス教育を実施しておりますが、重大なコンプライアンス違反や事業活動に際し法令等に触れる事態が発生した場合には、当社グループの信用低下や損害に対する賠償金等の発生により、当社グループの経営成績等が悪化する可能性があります。
なお、上記は当社グループの事業その他に関し予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、これらに限定されるものではありません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、一部に弱めの動きがみられたものの、企業収益は改善しており、業況感は良好な水準を維持するもとで、景気は緩やかに回復しています。
情報サービス産業におきましては、顧客のデジタル変革(DX)に対する投資意欲は底堅く、製造業の情報化投資は堅調に推移しました。
このような経営環境において、当社グループは、2026年度を最終年度とする6ヵ年の経営計画「経営Vision 2026 改訂版」のもと、主要顧客である製造業のビジネス環境の変化に、当社グループの強みを活かした製品・サービスで支援すべく、製造業のDX推進やグローバル展開等の経営課題解決に取り組むとともに、サステナビリティへの貢献にも取り組んでおります。
当連結会計年度の主な取組みは次のとおりです。
・ERPシステムと多様なシステム・サービスとを連携した複合型ソリューションの提供を通じて、顧客の業務効率化を推進するとともに、多様な商材の知見・ノウハウの蓄積を図りました。
・自社開発製品の機能強化と有力パートナーとの連携推進により、ソリューションポートフォリオの拡充と製造業のデジタル化を指向する「ものづくりデジタライゼーション」の推進に取り組み、提供ソリューションの高付加価値化に努めました。
・自社開発ERPパッケージ「mcframe」シリーズ製品の機能強化・拡充に努めました。特に2024年4月の機能強化版リリースに向け、「mcframe」のSaaS型製品の開発を促進いたしました。
・製造業のビジネスモデル変革や革新的なサービスの開発を支援するために、システム導入後に蓄積されるデータの価値を最大化するビジネスやユーザー共創型ビジネスを推進しました。特に、進化する医薬品製造(細胞医療、連続生産等)への対応に向けて、製薬業界との共創に取り組みました。
・海外においては、現地の受注活動や開発体制の強化を図るべく、東京本社と現地法人・現地パートナーとの一体的な顧客支援体制を一層拡充しました。さらに、フィリピン、ベトナムでの「mcframe」シリーズ製品の販売拡大を目指し、現地パートナーへの出資を行うことで関係強化を図りました。また、従来の顧客の海外拠点のIT化に加え、日本本社と海外拠点の連携を可能とするクラウドを活用したシステム・サービスの提供を強化いたしました。
・人材こそが当社グループの競争力の源泉であるという認識のもと、人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上を図るため、人材採用、人材育成・定着、エンゲージメント向上、働き方改革およびダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン等による人的資本経営の推進に取り組みました。
・顧客の社会課題解決に寄与するデジタル化支援やサステナビリティ活動を支援する製品・サービスの開発・提供に努めました。また、ESG関連方針の制定やマテリアリティ(重要課題)の特定を行ったほか、温室効果ガス排出量(Scope1+2)の削減目標を設定し、当社グループのサステナビリティを巡る課題への対応を進めました。
・中長期的な成長と企業価値の向上を目指し、主に製品開発、人材・人的資本、技術力・体制の強化、これら三つの領域に対し重点的に投資を行いました。
当連結会計年度の業績につきましては、受注・売上・利益ともに過去最高を連続更新いたしました。
受注高および売上高につきましては、堅調な情報化投資のもとで、ソリューション事業の受注・売上増加と、プロダクト事業のライセンス販売増加等により、受注高19,955百万円(前期比3.8%増)、売上高19,493百万円(前期比5.3%増)となり、ともに過去最高を連続更新いたしました。また、ライセンス販売が好調に推移し、mcframeライセンス売上高は4,364百万円(前期比14.9%増)となり、過去最高を連続更新いたしました。利益面につきましては、売上高増加による利益増に加え、ソリューション事業においてプロジェクトの採算性が向上したことやプロダクト事業のライセンス販売が伸長したほか、システムサポート事業の採算性も向上していることなどから、営業利益3,885百万円(前期比19.7%増)、経常利益3,877百万円(前期比19.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,625百万円(前期比12.8%増)となり、各々8期連続で過去最高益を更新いたしました。
当社グループは、継続的な業容の拡大を通じた企業価値の向上を経営目標としており、経営指標といたしましては、自己資本当期純利益率(ROE)を重視し、その向上に努めております。当連結会計年度末のROEは、前連結会計年度末と比較して1.9ポイント減少し25.9%となりました。
また、経営計画に照らした対応につきましては「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営戦略および対処すべき課題 ② 対処すべき課題」に記載しております。
1) 売上高
当連結会計年度の売上高は、前期比5.3%増加し19,493百万円となりました。
2) 売上総利益
当連結会計年度における売上総利益は、売上高が増加したこと等により、前期比12.3%増加し7,852百万円となりました。また、売上総利益率は売上原価率の減少により前連結会計年度の37.8%から2.5ポイント増加し、40.3%となりました。
3) 営業利益
当連結会計年度における営業利益は、売上総利益が857百万円増加したこと等により、前期比19.7%増加し3,885百万円となりました。
4) 経常利益
連結会計年度における経常利益は、営業利益が639百万円増加したこと等により、前期比19.3%増加し3,877百万円となりました。
5) 親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が627百万円増加したこと等により、前期比12.8%増加し2,625百万円となりました。
セグメント別の業績は次のとおりです。
なお、当社グループは2023年4月1日付で組織改正を行っており、プロダクト事業からソリューション事業へ一部案件を移管しております。前連結会計年度との比較・分析にあたっては、当該組織改正を遡って適用した後の数値を用いております。
1) ソリューション事業
他社開発ERPパッケージ製品をベースとしたコンサルティング、システム構築等を主に行う事業です。
・継続的な顧客との関係深化に取り組み、顧客のニーズを中長期的な視点で捉えた積極的な提案活動に注力いたしました。機械・精密機器、製薬、食品、化学等の多様な業界からの受注獲得を図りました。
・ERPシステムを主に、製造実行管理システム、サプライチェーン・経営管理の計画立案やデータ分析を行うシステムおよびクラウドベースのソリューションの提供に注力いたしました。
・当事業が強みを持つ付加価値の高い領域に注力するとともに、プロジェクト採算性向上に努め、利益面は伸長いたしました。
当セグメントの受注高は12,980百万円(前期比0.9%増)、売上高は12,767百万円(前期比2.4%増)、セグメント利益は3,244百万円(前期比13.3%増)となりました。
2) プロダクト事業
自社開発ERPパッケージ「mcframe」シリーズ製品をビジネスパートナーを通じて販売するとともに、同製品をベースとしたコンサルティング、システム構築等を行う事業です。
・主力製品「mcframe 7」の機能強化をはじめとして、顧客のグローバルビジネス展開やデジタル化推進に寄与する機能の強化に取り組むとともに、製造現場の作業効率向上や作業技能習得に寄与するIoTサービスの機能強化を図るなど、「mcframe」ブランドの訴求力向上に注力いたしました。
・多数のイベント・セミナーを開催し、積極的な販売促進活動を展開いたしました。
・長期的にビジネスパートナーおよびエンジニアリングパートナーの拡大と関係強化に取り組んできたことが新規顧客・案件の獲得につながりました。また、主力製品の「mcframe 7」およびその周辺ソリューションの販売が増加したことで、ライセンス販売は伸長しました。
当セグメントの受注高は6,477百万円(前期比8.5%増)、売上高は6,326百万円(前期比12.8%増)、セグメント利益は2,024百万円(前期比22.3%増)となりました。
3) システムサポート事業
顧客に導入したシステムの運用・保守を主に、これらを通じた提案・追加開発等を行う事業であり、子会社のビジネスシステムサービス株式会社が展開しています。
・顧客システムのライフサイクルサポートの充実に取り組みました。
・安定した収益・利益の基盤構築を目指し、新規顧客・案件の拡大に努めるとともに、サービス品質および生産性の向上に注力し、採算性が向上いたしました。
当セグメントの受注高は497百万円(前期比29.3%増)、売上高は398百万円(前期比5.9%減)、セグメント利益は498百万円(前期比10.7%増)となりました。
② 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次の通りであります。なお、最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績のうち、当期販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。
(2) 財政状態の状況
1) 資産の部
流動資産につきましては、現金及び預金の増加、受取手形、売掛金及び契約資産の増加等により、前連結会計年度末と比較して1,761百万円増加し、12,583百万円となりました。なお、当連結会計年度末の総資産に占める流動資産の比率は80.1%であります。
また、固定資産につきましては、無形固定資産の取得が無形固定資産の減価償却額を上回ったこと、投資有価証券の取得による増加、有形固定資産の取得が有形固定資産の減価償却額を上回ったこと等により、前連結会計年度末と比較して548百万円増加し、3,135百万円となりました。
これらの結果、資産の部の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末と比較して2,309百万円増加し、15,718百万円となりました。
セグメント情報に記載された区分ごとの状況では、ソリューション事業につきましては、前連結会計年度末と比較して180百万円増加し、2,973百万円、プロダクト事業につきましては、前連結会計年度末と比較して314百万円増加し、2,323百万円、システムサポート事業につきましては、前連結会計年度末と比較して357百万円増加し、1,962百万円となりました。
2) 負債の部
負債の部の当連結会計年度末残高は、未払法人税等の増加、前受金の増加等により、前連結会計年度末と比較して646百万円増加し、4,767百万円となりました。
3) 純資産の部
純資産の部の当連結会計年度末残高は、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる増加、剰余金の配当による減少、役員向け株式交付信託による自己株式の取得による減少等により、前連結会計年度末と比較して1,663百万円増加し、10,950百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末と比較して0.4ポイント増加し、69.7%となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
1) 現金及び現金同等物
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して1,414百万円増加し、8,381百万円となりました。
2) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益3,877百万円を計上し、法人税等の支払額767百万円、減価償却費703百万円、売上債権の増加265百万円、未払消費税等の減少199百万円、前受金の増加184百万円等により、全体として3,553百万円の収入(前期比274百万円収入増)となりました。
3) 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得及び無形固定資産の取得(自社開発ERPパッケージ「mcframe」の開発投資等)による支出、投資有価証券の取得による支出等により、全体として1,127百万円の支出(前期比431百万円支出増)となりました。
4) 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払による支出等により、全体として1,003百万円の支出(前期比454百万円支出増)となりました。
5) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金につきましては、手元資金及び金融機関からの借入により調達しております。
また、資金の流動性につきましては、当連結会計年度末における流動比率は262.6%となっており、十分な流動性を確保しております。
営業活動で得た資金につきましては、企業価値向上に資する投資及び配当へ充当しております。投資につきましては、主に当社開発ERPパッケージの商品力強化に充てており、事業基盤の安定と業績の向上に活用しております。配当につきましては、累進配当および連結配当性向が中長期的に35%を上回るよう努めることとしています。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度における研究開発活動として、当社グループは各セグメントの競争力向上を目的とした技術・機能の調査・検証、およびセグメントに特定されない先端情報技術・新規商材を対象とした調査・研究を実施いたしました。
当連結会計年度の研究開発費の総額は、
① ソリューション事業
SAPジャパン株式会社のERPパッケージ「SAP製品」について、新しい機能の調査・検証を通じ、ソリューションの強化に取り組みました。
また、データを活用した新しいソリューションの提供に向けた調査・研究に取り組みました。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、
② プロダクト事業
自社開発ERPパッケージである「mcframe」の商品力強化を目的として、主力商品である「mcframe 7」シリーズ、海外向け会計システム「mcframe GA」および「mcframe IoT」シリーズの機能強化に取り組むとともに、ライセンサーとしてのサービス強化を目的とした調査・研究を実施いたしました。
また、当社のクラウド型ビジネスの強化に向けて、クラウドサービス関連技術に関する調査・研究および「mcframe」のSaaS対応版である「mcframe X」の開発に取り組みました。なお、これらに要した費用は無形固定資産(ソフトウェア)へ計上しております。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、
新規基盤技術、ソリューションに関する調査・研究を目的として、IoT(Internet of Things)やAI等のデジタル関連技術に関する調査・研究に取り組みました。
当連結会計年度における研究開発費の金額は、15百万円であります。