第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 経営方針

 当社グループは、生成発展と新しい喜びや価値創造により「21世紀を代表する社会をより良い方向に変える会社」を目指すことを経営方針としております。

 また、更なる企画力・技術力・営業力の練磨と蓄積により、「お客様満足NO.1企業」を目指し、継続的に安定性のある強固な企業基盤の確立を図っていくことを経営の基本方針として掲げる他、企業活動の持続可能性を維持・発展させるために、企業の社会的責任(CSR)を包含したEnvironment(環境)・Social(社会)・Governance(企業統治)にも配慮し、次の取り組みを推進してまいります。

 

 ①環境(Environment)

CO2排出量の削減に向け、ペーパーレス化や消費電力の削減の他、事業活動におけるデジタル化支援サービスや再生可能エネルギー開発、水産資源の有効活用に向けた水産物ECサービス、リサイクル支援サービスに関する取り組みを推進してまいります。

 

 ②社会(Social)

多様な人材の活躍に向けて、適正な労働条件の整備や「働き方改革」を踏まえた就業環境づくりを推進し、また女性管理職の登用、健康管理・人事評価・教育制度の整備等、従業員の定着化及び離職防止に資する施策を講じることにより、事業を通じた社会貢献に努めてまいります。

 

 ③企業統治(Governance)

当社は経営の透明性・公平性向上に向けた取り組みとして、全てのステークホルダーへの的確な情報開示、企業理念に基づく企業倫理の浸透とコンプライアンスの徹底に努めてまいります。

 

 (2) 経営環境及び経営戦略等

当社グループは、「経営方針」に基づき、「クリエーション事業」及び「ソリューション事業」の両事業において、便利でお喜びいただける多種多様なサービスを創出・提供することで、社会全体のお役に立つことを目指しております。

当社グループを取り巻く経営環境について、原材料やエネルギー資源などの物価上昇、円安水準の継続等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続くと予想される一方で、ITサービス業界においては、高度なデジタル化、ネットワーク化に伴うニーズを背景に、モバイルコンテンツ関連市場の着実な成長と企業のDX(注)推進に伴う活発なIT投資等により堅調な拡大が見込まれる状況にあります。

このような状況の下、当社グループといたしましては、「クリエーション事業」における一般消費者向けコンテンツサービスについては、ライフスタイルやエンターテインメントを強みとした既存コンテンツの認知度向上、最適なプロモーション施策を講じていくことに加え、変化の絶えない消費者ニーズにアジャストした新規タイトルの投入を図ってまいります。

また「ソリューション事業」及び「クリエーション事業」におけるビジネスサポートサービスについても、自社コンテンツの運営で培ったノウハウ、開発力を活かした法人向けサービスの創出や受託開発等、法人のビジネス戦略をトータルにサポートするITソリューションの提供や、自社で保有する権利や資産を活用した法人向けサービスの提供を通じて、それぞれの顧客に寄り添った価値創造を推進してまいります。

これらの取り組みを積極的に推進し、今後の市場発展を見据えた事業領域を拡大していくことで、中長期的な

企業価値向上を図ってまいります。

 

(注)「Digital Transformation」の略

    「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念。

 

 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

当社グループの重視している経営指標は、売上高経常利益率であります。安定的な収益を確保し、当該収益の

一部を将来の収益基盤の構築・向上を図るための成長投資に活用し、業績に応じた配当を継続して行なうことができる収益体質の維持・強化に努めるため、売上高経常利益率10%以上を確保することを目標としております。

 

 (4) 優先的に対処すべき事業上の課題

当社の置かれる経営環境を踏まえ、今後、当社グループの事業を積極的に展開し、業態を拡大しつつ、安定的

な企業基盤を構築すべく、以下の点を主要課題として取り組んでまいります。

 

①事業の拡大

当社グループの主要市場である移動体通信業界では、生成AIやIoT、クラウド技術の進化により、人々のより良い生活に資する多様なITサービスが経済や社会活動へ浸透し、求められるサービスやソリューションも日々変化しております。当社グループがこうした変化に対応し、持続的な成長を遂げるためには、既存事業の深化に加えて、新たな価値創造に向けて挑戦し続けていくことが不可欠であり、そのためには事業領域の拡大が重要な課題であると認識しております。この課題に対処すべく、既存事業における需要の深掘りと付加価値の向上に努めるとともに、積極的に外部企業とのアライアンス強化、業務提携、M&Aを推進してまいります。

 

②企画力・技術力の強化

社会全体でDX化が加速し、顧客ニーズが多様化する中、より便利で豊かな社会の実現に貢献するサービスを提供していくためには、当社グループが創出するサービスの付加価値をさらに高めるとともに、新たなサービスを創出するための企画力・技術力を強化することが重要な課題であると認識しております。顧客ニーズに対する感度を一層高め、積極的な提案活動や情報収集に取り組むとともに、先進技術の活用に向けた社内教育や研修体制の充実に努めてまいります。

 

③人材の確保・育成

当社グループは、DX時代に即した新たな事業への対応が求められるため、優秀な人材確保と同時に、従業員が各々の専門性を高め、付加価値の高い人材へと成長するための育成が重要な課題であると認識しております。特にIT業界においては、顧客ニーズの多様化に加え、技術革新が著しく、それらに対応する営業力を有する人材や、高度な技能を有するIT人材の獲得競争が激化していることから、当社グループでは採用手法の多様化を進めております。また、育成においては、社内研修の継続的な実施に加え、外部の教育制度を積極的に活用することで個人の成長を支援しております。併せて、福利厚生の充実や働きがいのある職場づくり、組織の活性化に資する施策にも積極的に取り組んでまいります。 

 

④内部統制の強化・充実

当社グループの持続的な成長と中長期的な企業価値向上のために、内部統制の強化・充実が重要な課題であると認識しております。金融商品取引法に基づく内部統制報告制度への適切な対応を推進するとともに、財務報告に係る内部統制が有効且つ適正に行われる体制の運用・評価を継続的に行うことで、業務の有効性及び効率性を高め、グループ全体での業績管理体制を確立し、更なる内部統制の強化に努めてまいります。また、将来的なプライム市場への上場を視野に改訂コーポレートガバナンス・コードの主旨を踏まえ、各種施策に積極的に取り組み、多様なステークホルダーとの間で建設的な対話が進むための実効性ある体制を整備してまいります。

 

⑤リスクマネジメント体制の強化

情報セキュリティ、システム開発、サービス提供に伴うリスクや自然災害等、事業に関するリスクは多様化しております。当社グループが永続的に成長・存続するためには、これらのリスクの予防、迅速な対応が重要な課題であると認識しております。当社グループにおいては、経営に重大な影響を及ぼすおそれのあるリスクを適切に認識・評価するため、リスク管理規程を設ける他、リスク管理チームを設置し、今後も一層リスクマネジメント体制の強化に努めてまいります。

 

⑥働き方改革の推進

当社グループでは、「21世紀を代表する社会をより良い方向に変える会社でありたい」という経営ビジョンのもと、当社グループの技術・サービスを通じて持続可能な社会の実現に貢献する取り組みを推進し、企業価値の向上を目指しております。これらを中長期的に実現していくためには、当社グループの成長を支える原動力である従業員の心身の健康を維持し、能力を最大限に発揮できる職場環境の整備が重要な課題であると認識しております。そのため、従業員の心身の健康をサポートし、ワークライフバランスに配慮した各種支援制度の整備、ワークフローの改善やペーパーレス化等による業務の生産性・効率性向上に資する施策を講じ、働き方改革を推し進めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティにつきまして、全てのステークホルダーの皆様とのコミュニケーションを通じて社会の要請や課題を把握し、適切に対応するべく努めております。

 当社グループでは、「21世紀を代表する社会をより良い方向に変える会社でありたい」という経営ビジョンを掲げ、当社グループの技術・サービスによって、社会からの信頼獲得と経済的な成果を継続的にあげることを目指しており、そのような事業活動を通じて持続可能な社会の構築に貢献するよう取り組んでおります。

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、常勤取締役及び部長以上の幹部社員が出席する経営委員会において、当社グループのサステナビリティに関する様々なリスク及び機会について、他のリスク及び機会と合わせて一元的に俯瞰し、これらの監視及び管理に努めるとともに、新たな想定リスク及び機会の抽出、対応方法の協議等を行うこととしております。経営委員会の議論の内容のうち重要事項は取締役会に報告を行うこととしており、これらの監視及び管理体制が適切に機能しているかは取締役会において管理・監督する体制となっております。

 

(2)戦略

①サステナビリティに関する戦略

当社グループは中長期的な企業価値向上の観点から、サステナビリティを巡る課題への対応は重要な経営課題であると認識しております。現在推進している太陽光発電やブロックチェーン技術を用いたエネルギーマネジメントシステムの構築のみならず、AIやRPA等の技術を活用した人的作業の省力化に繋がるサービスの提供などサステナブルな社会の実現に貢献する各種サービスの開発及び品質向上に努めてまいります。

②人的資本に関する戦略

a.人材育成方針

当社グループが、クリエーション事業及びソリューション事業の各種サービスを提供し、「持続可能な社会の実現」への貢献を果たすに際しては、多様なスキルとバックグラウンドを有する人材が、継続的に成長し、自らの価値を高めることが重要であります。そのため、当社グループでは、性別、年齢、国籍、学歴などにとらわれない採用活動に取り組み多様性の確保に努めるとともに、能力や適性、実績等を重視した管理職への登用や公正な人事評価を行い、また、従業員が各々の専門性をより高め、付加価値の高い人材となるための人材育成に努めることを基本方針としております。

b.社内環境整備方針

当社グループの従業員にとってより働きやすい社内環境の整備方針として、従業員の心身の健康サポートやワークライフバランスに配慮した各種支援制度の整備(出産・育児・介護支援、有給休暇取得、在宅勤務体制等)、資格取得支援制度やスキルアップのための教育研修などの様々な成長機会の提供に努めることを基本方針としております。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、当社経営に係わるリスクを適切に認識・評価するため、「リスク管理規程」を定めており、サステナビリティ経営の推進において想定されるリスクをその他のリスクと合わせて一元的に俯瞰し、必要な対策を講じることとしております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、上記(2)に記載した人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

2026年5月まで25

21.7

男性労働者の育児休業取得率

2026年5月まで100

100.0

労働者の男女の賃金の差異

2026年5月まで80

73.2

 なお、当社においては関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みが行われているものの、当社グループに属するすべての会社では行われていないため、当社グループにおける記載が困難であります。従って、上記指標に関する目標及び実績は、提出会社のものを記載しております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 市場環境に関するリスク

①競合について

IT関連市場は、近年のDXの推進を背景に新規参入企業の急激な増加や既存企業の事業拡大が見込まれることに加え、同市場の急激な変化や成長の不確実性により、当社グループが提供するサービスにおいて必ずしも優位性を維持できるという保証はなく、競合企業との競争が激化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②投資活動について

IT関連市場は、今後も技術革新が進むことにより提供サービスの進化、市場拡大が予想されております。このような環境において、当社グループは企業価値を向上させるために、外部企業の買収や事業の譲受等のM&Aや設備投資、研究開発等の投資活動は効果的な手段の一つと考えております。これら投資活動の実施にあたっては、事前に市場環境や顧客ニーズを勘案し、十分に検討を行いますが、想定どおりに事業を展開できない場合、投資を十分に回収できないリスクや投資活動に伴い発生したのれん及びその他の固定資産の減損損失が発生するなどのリスク等が存在しており、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

③システムダウンについて

当社グループは、コンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークにより、情報通信サービスを提供しておりますが、自然災害や不慮の事故によりデータセンター等で障害が発生した場合には、当該サービスを利用する一般ユーザーや法人顧客等に対して様々な損害をもたらす可能性があります。また、予期しない急激なアクセス増等の一時的な過負荷によってサーバが作動不能に陥った場合、当該サービスが停止する可能性があります。さらには、ウイルスを用いた侵害行為や、当社グループの管理し得ないシステム障害が発生する可能性も否定できません。これらにより、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業に関するリスク

①移動体通信事業者・プラットフォーム運営事業者等との取引について

当社グループのコンテンツサービスにおいては、一般ユーザーにコンテンツを提供するため、各移動体通信事業者及びプラットフォーム運営事業者等へ当該コンテンツを展開しております。当社グループといたしましては、今後もこれらの事業者等との安定的な取引の継続に向け、良好な関係維持に努めてまいりますが、当該事業者等におけるコンテンツの提供条件や、事業戦略の変更等の事由により、当社グループとの取引条件の変更または取引が継続できなくなった場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②情報料の取扱いについて

当社グループのコンテンツサービスにおいては、情報料の回収を各移動体通信事業者に委託しております。この内、株式会社NTTドコモ及びKDDIグループ等に委託しているものについては、同社らの責に帰すべき事由によらず情報料を回収できない場合は、当社グループへ情報料の回収が不能であると通知し、その時点で同社らの当社グループに対する情報料回収代行義務は免責されることになっております。なお、当社グループのコンテンツサービスは、移動体通信事業者から回収可能な情報料を売上として計上しておりますが、移動体通信事業者が回収できない情報料が増減した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③サービスの陳腐化について

当社グループが提供するサービスは、IT関連の技術革新や利用ニーズの変化の影響を受けるため、必ずしもライフサイクルが長いとは言えず、新技術への対応に遅れが生じた場合や利用ニーズと乖離したサービスを提供した場合、当社サービスの陳腐化を招くため、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④個人情報の流出について

当社グループが提供する情報通信サービスは、一般ユーザーの個人情報や画像データ等をサーバ上に保管する場合があり、採用している様々なネットワークセキュリティにも拘らず、不正アクセスによる個人情報の流出等の可能性は存在しております。このような個人情報の流出等が発生した場合、当社グループに対する損害賠償の請求、訴訟、行政官庁等による制裁、刑事罰その他の責任追及がなされる可能性があります。また、これらの責任追及が社会的な問題に発展し、当社グループが社会的信用を失う可能性があります。

 

⑤スマートフォン向けサービスについて

当社グループのコンテンツサービスは、主にスマートフォン向けに多様なアプリ、サービスを企画・開発し、一般ユーザーに提供しております。当社は、移動体通信事業者向けに各種コンテンツを提供してきたノウハウを活かし、ユーザーニーズに合致した開発・提供に努めておりますが、一般ユーザーの嗜好の移り変わりが激しい中、魅力的なコンテンツを適時に提供できない場合や競合の状況等により、想定どおりに普及・課金が進捗しない可能性があることから、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥法人顧客向けサービスについて

当社グループは法人顧客向けに受託開発・運用業務の他、高度人材による業務支援、スマートフォン等の端末に係る周辺サービスを提供しております。今後におきましても、近年のDXの推進を背景とした企業のIT投資意欲が引き続き高い中、当社グループの開発体制を強化していく他、これまで培ったノウハウや子会社の有する技術・開発力を積極的に活用し事業領域の拡大に努めてまいりますが、新規事業領域への参入においては、開発した製品・サービスが顧客に受け入れられない、競合製品・サービスとの差別化が図れない、開発が進捗しない、市場の拡大が見込めない場合等、当社が想定した事業拡大が図れない場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) その他リスク

①各種規制について

当社グループの属する事業者を規制対象とする新法令・新条例の制定等の状況によっては事業活動範囲が狭まることや監督官庁の監視、検査が厳しくなることが考えられます。また、当社グループの属する事業者間における自主的なルール等が、当社グループの事業計画を阻害する可能性があります。その結果、当社グループの事業や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②知的財産権について

当社グループが提供するサービスにおいては、特許や著作権、商標等の知的財産権の確保が重要であり、独自の技術・ノウハウ等の保護・保全や第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な注意を払っておりますが、今後、当社グループの事業分野における第三者の特許等が成立した場合、また当該事業分野において認識していない特許等が既に成立している場合、第三者より損害賠償及び使用差止め等の訴えを起こされる可能性及び特許に関する対価(ロイヤリティ)の支払等が発生する可能性があります。この結果、当社グループの経営成績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社では、当社役職員に対するインセンティブを目的とした新株予約権を発行しております。それらの権利が行使された場合、株式価値の希薄化が起こり、当社株価に影響を及ぼす可能性があります。

 

④減損会計について

当社グループでは、ソフトウエアを中心にその資産性を検討した上で、事業用資産を計上しております。当該資産については、固定資産の減損に係る会計基準に従い、定期的な保有資産の将来キャッシュ・フロー等を算定し、減損損失の認識・測定を行っています。経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、対象となる資産に減損損失を計上する必要が生じた場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、インバウンド消費の拡大、賃上げによる雇用・所得環境の改善等により、引き続き景気回復の動きが継続しております。一方で、米国の関税等の政策による世界的な景気後退リスク、金融資本市場の変動リスク、国内の物価上昇の懸念等により先行きは依然として不透明な状況が続いております。

このような経済情勢の下、当社グループに関連するITサービス業界は、デジタルを活用した業務効率化の他、カスタマーエクスペリエンス(注1)提供を目的としたニーズの高まりを背景に、生成AI等最新テクノロジーの活用促進、企業のDX(注2)投資等により堅調に拡大しております。

これらの状況において、当社グループといたしましては、クリエーション事業(コンテンツサービス、ビジネスサポートサービス等)及びソリューション事業(システム開発サービス、業務支援サービス、その他サービス)を推進し、事業規模及び収益拡大に努めてまいりました。

 

各セグメントの経営成績は次のとおりであります。

 

<クリエーション事業>

自社で保有する権利や資産を活用したサービスを提供する当事業は、一般消費者向け「コンテンツサービス」においては、月額コンテンツがプロモーション強化で増加に転じた他、通信キャリアの定額制コンテンツが販促強化及び新タイトル投入により増収となりました。

法人向け「ビジネスサポートサービス」においては、交通情報、キッティング支援(ツール販売)が増加したものの、キッティング支援(代行サービス)、コミュニケーション及びEC・ASPサービス等の減少により減収となりました。

以上の結果、クリエーション事業の売上高は17億99百万円(前連結会計年度比1.1%増)、セグメント利益は3億68百万円(同20.0%減)となりました。

 

<ソリューション事業>

法人向けシステムの受託開発・運用を主な業務とする当事業は、「システム開発サービス」においては、サステナビリティ経営に向けた企業のDX推進に伴い、AIやIoT(注3)等、様々な技術を組み合わせたシステム開発の需要が増大する中、スマートフォンアプリ及びサーバ構築の豊富なノウハウと実績が評価され、アプリ開発、WEB構築、サーバ構築、システム運用・監視、デバッグ、ユーザーサポート、販売促進等クリエーション事業で培ったノウハウを活かした受託開発・ラボ型開発(注4)を推し進めたものの、復調の遅れ等により減収となりました。

人手不足問題にマッチした「業務支援サービス」においては、大手通信キャリア等に対し、高度IT人材による上流工程の常駐型支援サービス等の増進により増収となりました。

また「その他サービス」においては、ガラスコーティング剤の販売等が伸長したものの、前第1四半期連結累計期間における特需(ソリューション関連機器)の剥落等により減収となりました。

以上の結果、ソリューション事業の売上高は26億42百万円(前連結会計年度比9.4%減)、セグメント利益は2億75百万円(同26.5%減)となりました。

 

<連結決算の概況>

当連結会計年度における売上高は44億42百万円(前連結会計年度比5.4%減)、営業利益は67百万円(同74.4%減)、経常利益は89百万円(同68.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は21百万円(同89.6%減)となりました。

売上高については、「コンテンツサービス」「業務支援サービス」が増加したものの、「システム開発サービス」「ビジネスサポートサービス」「その他サービス」の減少に伴い減収となりました。

営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益については、通信キャリアの定額制コンテンツ、キッティング支援(ツール販売)等の増収が収益の改善に寄与したものの、システム開発サービスの復調の遅れ等による売上高が減収した他、定額制コンテンツにおける運営管理費の増加、月額コンテンツ会員を拡大路線へ転換させる積極的な広告宣伝費の投下及びベースアップ実施に伴う人件費の増加等に伴い減益となりました。

 

(注1)商品やサービスを購入し、使用・利用、アフターサポートまでの過程における体験にフォーカスを

    当てるマーケティング手法

(注2)「Digital Transformation」の略

    「ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という概念

(注3)「Internet of Things」の略

    モノをインターネットに接続して制御・認識などを行う仕組み

(注4)専任のITエンジニアチームによる開発支援形態

 

②財政状態

当連結会計年度末における資産、負債、純資産の状況は以下のとおりです。

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して3億60百万円減少し、55億91百万円となりました。流動資産は、主に現金及び預金の減少額5億63百万円、電子記録債権の減少額36百万円により前連結会計年度末と比較して5億94百万円減少し、47億11百万円となりました。固定資産においては、主に投資有価証券の増加額2億14百万円及び無形固定資産の増加額53百万円により前連結会計年度末と比較して2億34百万円増加し、8億80百万円となりました。

負債につきましては、主に1年内返済予定の長期借入金の減少額21百万円、長期借入金の減少額1億38百万円により前連結会計年度末と比較して1億88百万円減少し、6億94百万円となりました。また、純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純利益の計上がありましたが、その他有価証券評価差額金の減少額88百万円及び剰余金の配当により前連結会計年度末と比較して1億72百万円減少し、48億96百万円となりました。

なお、安全性に関する指標は、自己資本比率84.7%、流動比率774.3%、固定比率18.6%となり健全な水準を維持しております。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益92百万円(前連結会計年度比69.8%減)、減価償却費1億11百万円(同3.5%増)、売上債権の減少額57百万円(前連結会計年度は売上債権の増加額1億41百万円)等による資金の増加が、法人税等の支払額88百万円(同79.0%増)等の資金の減少を上回ったことにより、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは1億57百万円の資金の増加(前連結会計年度は2億72百万円の資金の増加)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資有価証券の売却による収入2億2百万円(同51.6%減)がありましたが、クリエーション事業に係るソフトウエア開発を中心に無形固定資産の取得による支出1億27百万円(同68.3%増)、投資有価証券の取得による支出5億3百万円(同28.7%増)等により、当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは4億36百万円の資金の減少(前連結会計年度は74百万円の資金の減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

株主の皆様への利益還元といたしまして配当に1億15百万円(同50.6%増)を支出したことに加え、長期借入金の返済による支出1億59百万円(同580.6%増)等により、当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは2億86百万円の資金の減少(前連結会計年度は1億8百万円の資金の減少)となりました。

 

以上のとおり、当連結会計年度は営業活動で増加した資金を効果的な設備投資に投入するとともに、株主の皆様への利益還元として配当に充当いたしました。これにより、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末比5億64百万円減少し、38億24百万円となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

   a.生産実績

当社グループは、自社で保有する権利や資産を活用するサービスや、受託開発等のITソリューションの提供により、クライアントのニーズに合った価値を提案し、新たなライフスタイル、ビジネススタイルを創造する事業を主体とする企業であり、生産設備を保有していないため生産実績の記載はしておりません。

 

 

   b.仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年6月1日

 至 2025年5月31日)

仕入実績(千円)

前年同期比(%)

クリエーション事業

192,899

110.4

ソリューション事業

17,602

123.3

合計

210,501

111.4

(注)1.上記の仕入実績は、情報等使用料及び商品仕入であります。

2.情報等使用料とは、当社グループが配信する画像、ゲーム、音楽著作物及びソフトウエアの権利保持者及び代理人に支払う料金であります。

 

   c.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年6月1日

 至 2025年5月31日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

クリエーション事業

1,800,389

101.1

2,700

135.0

ソリューション事業

2,642,781

90.2

53,659

100.4

 

   d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2024年6月1日

 至 2025年5月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

クリエーション事業

1,799,689

101.1

ソリューション事業

2,642,565

90.6

合計

4,442,255

94.6

 (注)主な販売先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 会計期間

 相手先

 金額(千円)

 割合(%)

 前連結会計年度

 (自 2023年6月1日

  至 2024年5月31日)

 株式会社NTTドコモ

 UTグループ株式会社

 トレンドマイクロ株式会社

1,137,690

219,625

192,540

24.2

4.7

4.1

 当連結会計年度

 (自 2024年6月1日

  至 2025年5月31日)

 株式会社NTTドコモ

 NTTコミュニケーションズ株式会社

 株式会社KDDIテクノロジー

1,214,587

192,317

162,656

27.3

4.3

3.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 [経理の状況] 1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表] [注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」及び「第5 「経理の状況」 1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表] [注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

   a.当連結会計年度の経営成績等に関する認識及び分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」及び「②財政状態」に記載のとおりであります。

 

   b.経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループ経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 [事業の状況] 3[事業等のリスク]」に記載のとおりであります。

 

   c.資本の財源及び資金の流動性

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 [事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費、外注費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、新規及び機能の追加等によるソフトウエアの開発費用等によるものであります。

当社グループにおける現在の現預金残高を考慮しますと、当面の運転資金は自己資金で賄う予定でありますが、将来の収益に繋がる設備投資や利益成長が見込める分野への投資につきましては、当座勘定借越契約を活用した銀行借入金など、資金需要に合った対応を図ってまいります。

なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は38億24百万円となっております。

 

   d.経営者の問題認識と今後の方針

経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 [事業の状況] 1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等]」に記載のとおりであります。

 

   e.中長期的な会社の経営戦略

わが国の景気は緩やかな回復が続くと期待されているものの、各国の通商政策等の影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は極めて高く、景気の先行きは依然として不透明な状況が続くと予想されます。

このような状況下、当社グループは、自社IPを活用したサービスの提供を通じて新しいライフスタイルを創造するクリエーション事業と、ITソリューションを通じてお客様のビジネスに新しい価値を提供するソリューション事業を積極的に推進してまいります。

 

   <クリエーション事業>

一般消費者向け「コンテンツサービス」については、月額コンテンツのバリュー向上と広告投資の最適化により増収トレンドへ大きく飛躍させるとともに、引き続き定額制コンテンツの販促強化及び新タイトル投入等により、大幅な増収を図ってまいります。

法人向け「ビジネスサポートサービス」については、キッティング支援、交通情報等を積極的に推進してまいります。特に、キッティング支援については、ツール販売、代行サービスともに既存顧客への深耕により拡販させるとともに、かねてより推進してきたクライアントのニーズに合わせたオーダーメイド型カスタムツールの販路拡大で、増収してまいります。

 

   <ソリューション事業>

法人向けシステムの受託開発・運用を主な業務とする「システム開発サービス」については、AI、IoT関連システムなど企業によるIT投資は引き続き増加傾向にあり、総合的な技術と顧客業務へのコンサルティングが求められるDX関連開発に対し、クリエーション事業で培ったノウハウを活かしたトータルソリューションサービスを通じて、お客様のビジネスに新しい価値を提供してまいります。

人手不足問題にマッチした「業務支援サービス」については、高度IT人材の継続的な採用・育成に注力する他、金融・生成AIをはじめとした顧客ニーズに合った領域へサービスを広げることで更なる増収を推し進めてまいります。

 

5【重要な契約等】

(1)移動体通信事業者との重要な契約

コンテンツサービスにおいて、移動体通信事業者との間で、以下の契約を締結しており、当社が移動体通信事業者を介して一般ユーザーにコンテンツを提供するため及び当社が提供するコンテンツの情報料を移動体通信事業者が当社に代わって一般ユーザーから回収することを目的として締結されたものであります。

相手方の名称

契約の名称

契約内容

契約期間

株式会社NTTドコモ (注)1

スゴ得コンテンツに関する契約書

株式会社NTTドコモにコンテンツを提供するための契約。

2013年10月15日から

2018年10月14日まで。

いずれかが期間満了日の3ヵ月前までに契約の終了の意思表示をしない限り、本契約は1年間同一条件にて自動的に延長されるものとし、以後も同様とする。(以降、1年ごとに自動更新)

情報サービス提供契約

株式会社NTTドコモにコンテンツを提供するための契約。

また、当社が提供するコンテンツ情報料を株式会社NTTドコモが当社に代わって利用者より回収することを目的とする契約。

2011年9月8日から
2012年9月7日まで
(以降、1年ごとに自動更新)

KDDI株式会社 (注)2

コンテンツ提供に関する契約書

KDDI株式会社及び沖縄セルラー電話株式会社にコンテンツを提供するための内容・提供条件・提供可能範囲、コンテンツの確認等に関する契約。

2000年7月1日から
2001年3月31日まで
ただし、期間満了の60日前までに書面による意思表示がない場合は、半年間同一条件をもって更新し、以後も同様とする。

auかんたん決済利用規約

KDDI株式会社及び沖縄セルラー電話株式会社に当社が提供するコンテンツ情報料をKDDI株式会社及び沖縄セルラー電話株式会社が当社に代わって利用者より回収することを目的とする契約。

2011年3月7日から

契約に従う解除日まで

(注)1.株式会社NTTドコモは、2013年10月1日付で商号を株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモから変更しております。

2.KDDI株式会社は、株式会社ディーディーアイが2001年4月1日付けで商号を変更しており、同社は、2000年10月1日付けで第二電電株式会社、KDD株式会社及び日本移動通信株式会社が合併しております。また同社は、2001年10月1日付けで株式会社エーユー、2005年10月1日付けで株式会社ツーカーセルラー東京、株式会社ツーカーセルラー東海及び株式会社ツーカーホン関西を吸収合併しております。

 

(2)道路交通情報における重要な契約

コンテンツサービス及びビジネスサポートサービスにおいて、当社が一般ユーザー及び法人ユーザーに対して道路交通情報コンテンツを提供するため、以下の相手方から道路交通情報の提供を受けることを目的として締結されたものであります。

相手方の名称

契約の名称

契約内容

契約期間

公益財団法人

日本道路交通情報センター

道路交通情報提供に関する契約書(テキスト型・簡易図型)

オンラインで道路交通情報の提供を受け、エンドユーザーや二次事業者に道路交通情報を提供する事業を行うことについて了解すべき事項を定める契約。

2022年11月1日から

2023年3月31日まで

いずれかが期間満了日の1ヶ月前までに契約の解除または契約内容の変更を申し出なかった場合には、更に1年間延長されるものとし、以後も同様

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度において、特記すべき研究開発活動はありません。