第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

当連結会計年度におけるわが国経済は、設備投資の持ち直しの動きに足踏みがみられるなど、一部に改善の遅れがみられたものの、個人消費が総じてみれば底堅く推移すると共に、政府の経済政策及び金融政策によって企業収益や雇用情勢の改善傾向が続き、緩やかな回復基調が続きました。景気の先行きに関しましては、引き続き雇用及び所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあり、緩やかに改善していくことが期待されますが、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気の下振れや、英国のEU離脱問題など、海外経済の不確実性の高まり及び金融資本市場の変動の影響等が引き続き景気を下押しするリスクになっていること等から、依然として不透明な状況が続いております。

人材サービス業界を取り巻く環境においては、有効求人倍率が改善を続け、平成28年12月に、平成3年7月以来25年5か月振りの高水準となり、新規求人数が増加傾向にあること、加えて、完全失業率が緩やかな改善傾向を辿ったこと等、雇用情勢は着実に改善しております。先行きに関しましては、企業の雇用人員判断は、不足感が強まっており、企業が前向きな雇用スタンスを維持していること等から、人材不足感がさらに拡大し、雇用情勢は引き続き改善していくことが見込まれております。

このような環境のもと、当社グループは、当連結会計年度において、「主力サービスの伸張と生産性の向上による増益の実現」を目標としたグループ経営を行い、特に主力サービスである「アルバイト紹介(以下、「紹介」と言います。)」及び「アルバイト給与管理代行及びマイナンバー管理代行(以下、「代行」と言います。)」を中心にフルキャストグループ全体の収益を伸張させることを主眼とした営業活動を行ってまいりました。加えて、グループ全体の業務効率化を推し進め、生産性を高めることにより、増益を実現するための体制作りに取り組んでまいりました。

 

連結売上高は、短期業務支援事業における主力サービスである「紹介」及び「代行」を伸張させたことに加えて、「派遣」及び「請負」を伸張させたことを主因として25,340百万円(前期比12.0%増)となりました。

利益面では、主に短期業務支援事業における増収効果と共に、生産性向上に対する取り組みにより、販管費率を抑制できたことにより、連結営業利益は2,882百万円(前期比25.5%増)となりました。

連結経常利益は、持分法による投資利益を計上したことにより3,001百万円(前期比38.4%増)となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は、連結納税を導入し税負担を低下させた効果及び税効果区分の変更により、主として退職給付債務に係る繰延税金資産を計上した結果、法人税、住民税及び事業税が減少し2,529百万円(前期比43.3%増)となりました。

当社グループは、「持続的な企業価値の向上」を重要な経営課題の1つとして位置付けております。「企業価値の向上」は、株主及び投資家の皆様による当社への期待収益を反映した資本コストを上回るROEを実現することであるという考えのもと、ROEを「企業価値向上」を示す目標指標とし、資本効率を重視した経営の実践に取り組んでおります。なお、当社グループは、繰越欠損金に対する繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額の影響を除いた親会社株主に帰属する当期純利益を基に算定したROE(以下、「調整後ROE」と言います。)20%以上を目標指標としております。

当連結会計年度末時点におけるROEは30.2%でありましたが、調整後ROEは30.9%となり、前連結会計年度末時点の20.9%に比べ10.0ポイント改善いたしました。

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

また、当社グループは平成28年8月10日付で株式会社ディメンションポケッツの株式を取得し、連結子会社としておりますが、連結子会社のうち株式会社ディメンションポケッツの決算日は1月31日であります。連結財務緒表の作成にあたっては連結決算日現在で実施した仮決算に基づく財務諸表を使用しております。なお、その他の連結子会社の事業年度の末日は、連結決算日と一致しております。

 

事業別の状況

セグメント別の業績は次のとおりです。

なお、第3四半期連結会計期間において株式会社ディメンションポケッツの株式を取得し、新たに連結の範囲に含めたことに伴い、従来の「警備事業」を「警備・その他事業」にセグメント名称を変更しております。

 

①短期業務支援事業

短期業務支援事業の売上高は、取引顧客数の拡大に注力し、短期業務支援事業における全サービスが順調に伸張したことにより23,225百万円(前期比12.6%増)となりました。サービス区分別では、取引顧客数の拡大に注力したことで、主力サービスである「紹介」及び「代行」が伸張し、且つ、「マイナンバー管理代行」サービスの開始が「代行」の伸張に寄与いたしました。また、短期的なセールスプロモーション業務及び店舗棚卸し業務等を「請負」で受注したことで「請負」が伸張し、加えて、顧客企業の長期人材ニーズに応えたことで「派遣」が伸張いたしました。

利益面では、主力サービス及び「派遣」、「請負」の伸張による増収効果と共に、アルバイトの積極登用や日常業務の見直し等による生産性向上に対する取り組みにより、販管費率を抑制したことから、セグメント利益(営業利益) は3,478百万円(前期比23.4%増)となりました。

 

②警備・その他事業

警備・その他事業の売上高は、期を通じて、臨時警備案件の獲得数を増加させたことを主因として2,116百万円(前期比6.0%増)となりました。

利益面では、第3四半期連結会計期間において株式会社ディメンションポケッツ株式取得に伴うのれん(14百万円)の一括償却を行ったものの、増収効果が上回り、セグメント利益(営業利益) は108百万円(前期比40.5%増)の増益となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という。)は、前連結会計年度に比べて557百万円増加し(前期は122百万円の増加)、当連結会計年度末現在の残高は6,963百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益が2,995百万円、減価償却費が272百万円、法人税等の還付額が198百万円、未払費用の増加額が57百万円であったことに対して、法人税等の支払額が1,052百万円、持分法による投資利益が160百万円、売上債権の増加額が162百万円であったこと等により、営業活動により得られた資金は2,160百万円(前期は得られた資金が1,339百万円)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産の取得による支出が338百万円、無形固定資産の取得による支出が164百万円、投資有価証券の取得による支出が122百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が160百万円であったこと等により、投資活動の結果使用した資金は735百万円(前期は使用した資金が296百万円)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

配当金の支払額が767百万円、自己株式の取得による支出が100百万円であったこと等により、財務活動の結果使用した資金は868百万円(前期は使用した資金が921百万円)となりました。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 生産及び受注実績

当社グループは主として生産活動を行っておらず、また短期業務支援事業は、受注から売上計上までの期間が極めて短いため、受注規模を金額で示すことはしておりません。

 

(2) 販売実績

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自平成28年1月1日

   至平成28年12月31日)

(百万円)

前年同期比(%)

短期業務支援事業

23,225

12.6

警備・その他事業

2,116

6.0

合計

25,340

12.0

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

3 【対処すべき課題】

当社グループは「持続的な企業価値の向上」を実現するために、平成28年12月期を初年度とする「中期経営計画」を策定し、その実現に取り組んでおります。計画2年目である平成29年12月期は、「グループ総合力の展開と生産性向上による増益の実現」を主たる経営課題とし、その実現に取り組んでまいります。

 

(1) 持続的な企業価値の向上

当社グループは、「1 業績等の概要 (1)業績」 に記載したとおり、「持続的な企業価値の向上」を重要な経営課題の1つとして位置付け、当社グループの主力事業である短期業務支援事業における「紹介」及び「代行」サービスの更なる収益拡大を実現すると共に、株主還元を継続して行うことで適正な株主資本の額を維持し、資本効率性を重視した経営の実践に取り組んでまいります。

また、引き続きコンプライアンス最優先の経営を推進し、その維持・向上に努めると共に、全てのステークホルダーからの信頼構築を最優先事項として事業に取り組んでまいります。

 

(2)「中期経営計画(平成28年~平成32年)」の実現

当社グループは、平成28年12月期を初年度とする5か年計画である「中期経営計画(平成28年~平成32年)」に基づき、「中期経営計画の最終年度で、過去最高益の更新を目指す。」を目標に、その実現に取り組んでおります。

計画初年度である平成28年12月期は、「派遣」「請負」を指向する顧客要望に応えた結果、稼働者数は目標を下回る実績となりましたが、スタッフ1名あたりの就業回数が増加したことにより、連結売上高及び連結営業利益は計画を達成し、中期経営計画の初年度の目標を達成いたしました。引き続き、中期経営計画最終年度の目標の達成に向けて取り組んでまいります。

なお、平成29年12月期の計画値は見直したものの、現時点では、中期経営計画最終年度となる平成32年12月期の目標を達成するための前提条件に変更がないことから、各年度の計画値は据え置くことといたします。

 

 

    中期経営計画 初年度の実績

 

平成28年12月期

目標

平成28年12月期

実績

達成率

売上高

連結

246億円

253億円

102.8%

Ⅰ.短期業務支援事業

225億円

232億円

103.0%

紹介

42億円

38億円

90.7%

代行

25億円

24億円

94.5%

派遣

131億円

139億円

105.8%

請負

27億円

32億円

116.7%

Ⅱ.警備事業

21億円

21億円

100.0%

Ⅲ.新規&グローバル事業

-

0億円

-

目標

営業利益

26億円

29億円

109.6%

稼働者数

191,900人

187,922人

97.9%

人件費1円あたり売上総利益

2.4円

2.5円

104.4%

 

(注) 1. 「警備・その他事業」の売上高の内、株式会社ディメンションポケッツに係る売上高は、「新規&グローバル事業」に計上しております。

2.中期経営計画上の稼働者数目標は、株式会社フルキャスト及び株式会社トップスポットの「代行」を除くサービスに就業したユニーク人数です。

3.各サービス区分別売上高の数値は参考数値であり、監査法人の監査を受けておりません。

 

(ご参考)

「中期経営計画(平成28年~平成32年)」の概要は次の通りです。 

① 対象期間

  平成28年12月期を初年度とする5か年(平成28年12月期〜平成32年12月期)

 

② 経営理念及び目標

  経営理念:「すべての人をいちばん輝ける場所へ。」

  目標  :「中期経営計画の最終年度で、過去最高益の更新を目指す。」

 

③ 数値目標

 

平成27年12月期

実績

平成32年12月期

目標

増減率

営業利益

23億円

50億円

116%

稼働者数

165,304人

257,400人

56%

人件費1円あたり
売上総利益

2.4円

2.8円

20%

 

 

 

④ 中期経営計画最終年度に向けた戦略

 (短期業務支援事業)

  「コンプライアンスを遵守しながら、当社シェアを拡大する。」

  ・スタッフの採用力強化

  ・顧客との営業接点・組織力強化

  ・システム自動化によるマッチング効率化
   (警備事業)
   「業務提携と短期の臨時案件を積極的に受注し売上の拡大を目指す。」

  ・オリンピック特需の獲得

  ・業務提携で営業機会の拡大

  ・グループ力を活かし採用強化

 (新規事業及びグローバル事業)

  「顧客・スタッフとの接点を活かし、新規ビジネスを創出する」

  「まずは、グローバル人材の積極的な受け入れをはじめ、グローバル進出の足掛かりへ」

 

⑤ 主要な経営指標

  「持続的な企業価値の向上」を実現するための指標 : ROE20%以上維持

  「株主還元」に係る指標             : 総還元性向50%

  「資本政策の基本方針」を支える指標       : デッドエクイティレシオ0.5倍以下

  以上の指標を達成することにより、「持続的な企業価値向上」を実現する。 

     ※ 当社では、繰越欠損金に対する繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額の影響を除いた親会社株主に
           帰属する当期純利益を「調整後当期純利益」とし、「総還元性向」及び「ROE」算出の基礎として
           使用しております。

 

(3) 平成29年12月期目標

当社グループは、「グループ総合力の展開と生産性向上による増益の実現」を平成29年12月期の目標とし、主力サービスである「紹介」及び「代行」を中心にグループ全体の収益を伸張させ、増収を果たすと共に、グループ全体の業務効率化を推し進め、生産性を高めることで、増益を実現するため、平成29年12月期は以下の施策に取り組んでまいります。

 

① 「グループシナジーの強化による生産性向上」

・スタッフの多様な働き方のニーズに応えるため、事業会社間でのスタッフの同時登録及び求人情報の共有化の仕組みを整備し、運用する。

・営業活動における事業会社間の連携を強化し、顧客企業のニーズにグループ全体で応える体制を構築する。

・スタッフ及び顧客企業の両面において、グループ全体で対応することで業務効率化を図り、生産性を向上させる。

 

② 「新ブランド展開及び新サービスを開始することによる事業の拡充」

・従来のフルキャストブランドとは異なるブランドとして新会社を展開することで新たなスタッフ及び顧客企業を取り込める効果を生かし、スタッフ採用及び営業活動におけるグループシナジーの更なる強化を図る。

・短期業務支援事業を行う新会社株式会社ワークアンドスマイルの拠点網を関西エリアに拡大する。

・新会社株式会社フルキャストシニアワークスの営業を平成29年3月1日より開始し、シニア層に特化した新たな人材サービスを展開することで、短期業務支援事業の拡充を図る。

・連結子会社化した株式会社エフプレインと当社グループ間における経営資源の相互活用を追求する。

③ 「BPO事業の拡充」

・「マイナンバー管理代行」サービスをブラッシュアップし、顧客企業にとって付加価値の高いサービスメニューを提供する。

・平成28年10月から開始した「年末調整事務代行」サービスを拡販し、収益化を図る。

・「従業員ペイロール」サービス等、顧客企業のニーズに合った新たなBPOサービスを開始し、BPO事業の拡充を図る。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループにおける事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項をここに記載しております。なお、投資者に対する積極的な情報開示の観点から、事業上のリスクに必ずしも該当しないと考えられる事項であっても投資者が投資判断をするうえで、あるいは当社グループの事業活動を理解するうえで重要であると考えられる事項を含めて記載しております。当社グループは、リスク発生の可能性の認識及び発生の回避並びに発生した場合における対応に最大限の努力を払う所存であります。下記事項には、将来に係るリスク要因が含まれておりますが、これらの事項は当有価証券報告書の提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) グループの事業展開方針について

当社グループは、コーポレートガバナンスの徹底と経営戦略の決定及び戦術実行の迅速化を図ることで企業競争力の強化に努めておりますが、経営戦略の決定及び戦術実行に予想以上の時間を要した場合や、収益への貢献が計画どおり進まなかった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

短期業務支援事業においては、平成24年10月1日から施行された労働者派遣法改正法に対応するため、「アルバイト紹介」「アルバイト給与管理代行」等新たなビジネスモデルを展開しております。加えて、新たなサービスとして、平成27年10月より「マイナンバー管理代行サービス」を、平成28年12月より「年末調整事務代行サービス」のサービス提供を開始しておりますが、事業収益が見込みどおりに推移しない場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

今後、当社グループは、既存事業の強化に加えて、新会社の設立や、M&A、業務提携等の手法により、新たな事業を開始する可能性がありますが、新規事業には不確定要因が多く、当該新規事業に係る法的規制や当社グループを取り巻く環境の変化等により、当初期待したシナジー効果が得られず、事業収益が見込みどおりに推移しない場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループは事業シナジーが見込まれない関係会社株式や投資有価証券は売却する方針でありますが、 株式保有先の業績悪化による時価又は実質価額の著しい下落などにより、減損処理を行うこととなった場合には、 当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(2) 法的規制について

① 法的規制の変更について

当社グループが行う事業に適用される労働者派遣法、労働基準法、職業安定法、労働者災害補償保険法、健康保険法及び厚生年金保険法、行政手続における特定個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)、その他の関係法令について、労働市場を取り巻く社会情勢の変化などに伴って、改正ないしは解釈の変更などが実施される場合、その内容によっては、当社グループが行う事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

② アルバイト紹介事業について

当社グループでは、職業安定法に基づき、厚生労働大臣の許可を受け有料職業紹介事業を行っております。許可の有効期間は5年であり、更新が必要となった際に第31条の許可の基準に適合せず非継続となった場合、また第32条に定められた許可の欠格事由に該当した場合や許可の取り消し事由に該当した場合には、サービスの提供を継続することができなくなることから、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 派遣事業について

当社グループでは、労働者派遣法に基づき、厚生労働大臣の許可を受け労働者派遣事業を行っております。許可の有効期間は5年であり、更新が必要となった際に第7条の許可の基準に適合せず非継続となった場合、また、関係法令違反や、第6条に定められた許可の欠格事由に該当した場合及び第14条に定められた許可の取り消し事由に該当した場合には、許可の取消、事業廃止命令または事業停止命令を受けることがあります。

当社グループでは、企業コンプライアンス及びリスクマネジメントの強化を図り法令違反を未然に防止するよう努めておりますが、将来何らかの理由により許可の取消等があった場合には、サービスの提供を継続することができなくなることから、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

④ アルバイト給与管理代行及びマイナンバー管理代行事業について

当社グループにおいては、業務委託契約に基づき、当該契約の顧客企業から独立して委託を受けた業務を行っておりますが、委託業務の未完了や報告遅延により損害賠償債務を負う可能性があります。損害賠償金額によっては、事業効率化などの内部努力によるコスト削減などによって吸収できない場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 請負事業について

当社グループにおいては、請負契約に基づく請負事業者として、当該契約の顧客企業から独立して請け負った業務を完遂しております。その業務の遂行にあたっては、労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)その他の関係法令に従っております。

請負事業の特性上、生産性のリスクや不良品発生リスクを負っておりますが、このことに対し、事業効率化などの内部努力によるコスト削減などによって吸収できない場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 社会保険料負担について

平成28年10月1日より、短時間労働者に対する健康保険及び厚生年金保険(社会保険)の適用範囲が拡大されました。当該法改正に伴う連結業績への影響は軽微でありますが、今後、法改正により社会保険及び雇用保険の適用範囲が更に拡大された場合や、顧客企業における人材不足が恒常化し、短期的な人材ニーズがより長期化することで、派遣事業及び請負事業が拡大した結果、社会保険被保険者が増加した場合には、社会保険料負担額が増加することとなります。また、取得・喪失手続きの処理対象件数自体が増加し、事務処理費用が増加する可能性があります。これらに対し、顧客に対する請求金額への転嫁や業務効率化などの内部努力によるコスト削減などによって吸収できない場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 顧客企業及びスタッフのデータベース管理について

当社グループは、顧客企業のニーズに合った最適任者の迅速なマッチングを行い、スタッフ配置の効率化を図るため、スタッフの勤務態度や職種ごとの経験並びに顧客企業に関する情報などをデータベース化し管理しております。

データベース化した情報は、サーバーの故障などに備えバックアップを行っており、またサーバー自体は万が一のトラブルに陥った場合に備え複数台での冗長化された構成にて運用しておりますが、地震などの災害やその他の原因によりサーバーが同時に停止するなどのトラブルが発生し、システムが停止する事態に陥った場合、業務に支障をきたす結果となり、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。

今後とも必要に応じて情報化投資を進め、コストやサービス面での差別化を図っていく計画でありますが、これらの投資が必ずしも今後の売上増加に結びつくとは限らず、投資効率が悪化する可能性があります。

個人情報を含むデータの管理につきましては、明確な取扱基準を定めるとともに、システムに対するアクセス権限の厳格化や内部監査の強化などを通じて、個人情報への不正アクセス、または個人情報の紛失、改ざん、漏洩等の予防に努めておりますが、何らかの原因により情報が漏洩する事態が発生した場合、当社グループに対する社会的信用が失墜し、売上高の減少や損害賠償の請求などをもたらす結果となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) スタッフに係る業務上の災害及び取引上のトラブルについて

① アルバイト紹介事業について

求人に応募したスタッフの選定において、当社の過失により顧客先企業の求人条件を逸脱したスタッフを紹介した場合に、顧客先企業より契約違反により訴訟の提起またはその他の請求を受ける可能性があります。当社グループは、法務担当者を配して法的危機管理に対処する体制を整えておりますが、訴訟の内容及び金額によっては当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 派遣事業について

スタッフが派遣先での業務遂行に際して、または派遣先での業務に起因して、死亡、負傷した場合、または疾病にかかった場合には、労働基準法及び労働者災害補償保険法その他の関係法令上、使用者である当社グループに災害補償義務が課せられます。(なお、顧客企業にあたる派遣先事業主には、労働安全衛生法上の使用者責任があり、スタッフに対して民事上の安全配慮義務があります。)

当社グループは、スタッフに対する安全衛生教育を徹底するとともに、怪我や病気を未然に防ぐため、作業に関する注意事項の掲示及び配布を実施することで、安全に対するスタッフの意識向上を促しております。また、労働者保護の観点から、労災上積保険として、事業総合賠償責任保険などに加入しておりますが、これらの保険がカバーする範囲を超える災害が万が一発生した場合、労働契約上の安全配慮義務違反や不法行為責任などを理由に、当社グループが損害賠償責務を負う可能性があります。

 また、スタッフによる派遣先での業務遂行に際して、スタッフの過失による事故や顧客企業との契約違反またはスタッフの不法行為により訴訟の提起またはその他の請求を受ける可能性があります。当社グループは、法務担当者を配して法的危機管理に対処する体制を整えておりますが、訴訟の内容及び金額によっては当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。

  

(5) 従業員確保と定着について

当社グループでは、従業員の定着を図るため、従業員研修の充実化や、従業員のモチベーションを向上させるための施策などに取り組んでおりますが、今後、当社グループの人材が必要以上に流出するような場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 警備・その他事業におけるその他の事業(ホテル及びレストラン事業)について

当社グループは、平成28年8月10日付で株式会社ディメンションポケッツの株式を取得し、新たに連結の範囲に含めたことに伴い、当期より、警備・その他事業におけるその他の事業として、ホテル及びレストラン事業を展開しております。それに伴い、以下の事業上のリスクが新たに発生しております。なお、平成28年12月期の警備・その他事業の業績の規模は短期業務支援事業と比較すると小規模であることから、以下の事業上のリスクの当社グループの業績への影響は限定的であると判断しております。

 

① 自然災害と感染症の発生について

大規模な地震や台風等の自然災害の発生は、当社グループが運営する建物、施設等に損害を及ぼし、一時的な営業停止による売上減や修復のための費用負担が発生する可能性があります。また、新型インフルエンザやSARS等新たな感染症の発生や蔓延は、遠距離移動や団体行動の制限が予想され、当社グループの業績に影響する可能性があります。

 

② テロ、戦争の勃発について

テロ行為や国際的な戦争の勃発等の世界情勢の変化は、海外渡航の自粛による外国人利用客の減少、レジャーや祝事に対する消費マインドの減退が予想され、当社グループの業績に影響する可能性があります。

 

③ 食の安全に関わる問題について

食品の安全性及び消費期限、賞味期限、産地、原材料等の表示については日頃より十分な注意を払っておりますが、万一食中毒が発生した場合、あるいは表示に誤りがあった場合、信用の失墜につながり当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 個人情報や営業上の秘密情報の漏洩について

顧客の個人情報や営業上の秘密情報の管理は、社内の情報管理、監視部門が中心になり、外部への流出防止を行っておりますが、情報の漏洩が発生した場合、当社グループへの信用の失墜とブランドの低下並びに損害賠償等の費用負担により、当社グループの業績に影響する可能性があります。

 

 

⑤ 法的規制について

当社グループの警備・その他事業におけるその他の事業として展開しているホテル、レストラン等は、旅館業法、建築基準法、消防法、食品衛生法等の法的規制を受けております。当社グループは、これらの法令等の遵守に努めておりますが、当該規制の強化や改正或いは新たな規制が設けられた場合には、規制を遵守するために必要な費用や営業上の制約が発生する可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 固定資産の減損について

当社グループは、警備・その他事業におけるその他の事業としてホテルや飲食店等を事業展開している特性上、土地、建物及び設備等の不動産を固定資産として保有しております。保有している当該資産について、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」の適用により、各施設の収益低迷や時価が下落する状況に陥った場合には減損処理が必要となる可能性があり、その場合には当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 有利子負債について

当社グループは、事業基盤と収益力の拡充による中長期的な企業価値の向上のため、ホテル、レストラン等の施設の新設や既存施設のリニューアルを中心とした投資を実施しております。今後、既存施設の改装や新規施設開発等にかかる設備投資を行うにあたり、借入金等が増加した場合、当社グループの財政状態が変動する可能性があります。

 

⑧ 金利の変動リスクについて

当社グループは、金融機関等から資金調達をしており、その一部を変動金利で調達しております。今後、急激かつ大幅な金利変動が生じた場合、金利負担が増加し、当社グループの財務状態に影響を与える可能性があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。

 

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1) 財政状態について

①キャッシュ・フロー

主な項目の分析は、「第2 事業の状況  1 業績等の概要  (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

②流動性

資産の部では、流動資産が前連結会計年度末に比べて685百万円増加し10,875百万円となりました。これは主に前期連結会計年度に比べて繰越欠損金に対する税効果の認識額が減少したことで、繰延税金資産が131百万円減少し332百万円となったことに対し、現金及び預金が557百万円増加し6,963百万円となったこと及び受取手形及び売掛金が195百万円増加し3,107百万円となったこと並びに未収入金が35百万円増加し264百万円となったことを主因として流動資産におけるその他が65百万円増加し476百万円となったこと等によるものです。

負債の部では、流動負債が前連結会計年度末より183百万円減少し3,428百万円となりました。これは主に未払費用が61百万円増加し799百万円となったこと、社会保険料預り金が19百万円増加し139百万円となったこと及び源泉所得税預り金が30百万円増加し47百万円となったことを主因として流動負債におけるその他が67百万円増加し240百万円となったことに対し、未払法人税等が310百万円減少し194百万円となったこと等によるものです。

以上の結果、当連結会計年度末の運転資本(流動資産-流動負債)は前連結会計年度末に比べ867百万円増加し7,447百万円、流動比率(流動資産÷流動負債×100)は前連結会計年度末の282.2%から317.2%となりました。

 

③資本的支出

当連結会計年度において実施した設備投資額は、前期比138百万円増加し502百万円となりました。その主な内訳は、サーバー及びシステム機器等購入に伴う有形固定資産の取得で21百万円、営業拠点の新規出店に伴う有形固定資産の取得で55百万円、警備・その他事業におけるホテル・レストラン事業の事業拡大を目的とした有形固定資産の取得で262百万円、社内利用目的の各種ソフトウエア等購入に伴う無形固定資産の取得で164百万円であります。

平成29年12月期の重要な設備投資につきましては、特に予定はございません。

 

④有利子負債

当連結会計年度末の有利子負債の総額は前期比84百万円増加し1,084百万円となりました。これは主に株式会社ディメンションポケッツを新たに連結子会社としたことに伴い、同社の保有する有利子負債分が増加したことによるものです。

 

⑤純資産

当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べて1,742百万円増加し9,272百万円となりました。これは主に、当連結会計年度において剰余金の配当を768百万円実施した一方で、2,529百万円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことにより、利益剰余金が1,761百万円増加したことによるものです。

 

以上の結果、デット・エクイティ・レシオ(有利子負債÷自己資本(注)×100)は前期末の13.3%から11.8%、自己資本比率(自己資本÷総資産×100)は前期末の64.8%から69.3%となりました。

    (注)  自己資本=純資産の部の合計-新株予約権-非支配株主持分

 

⑥利益配分に関する基本方針

当社は、調整後当期純利益(※1)に対する総還元性向50%を目標とし、株主への利益還元の充実化を図る方針であります。

今後も、収益力を強化し、経営効率の一層の向上を図ると共に、配当と自己株式取得を合わせた調整後当期純利益に対する総還元性向50%を目標とした株主還元を実施することにより、調整後ROE(※2)20%以上を「企業価値の向上」を示す目標指標とし、その実現を目指してまいります。

当期の配当につきましては、前期比3円増配、配当予想比1円増配となる1株あたり21円の配当を通期で実施し、期末では1株につき11円の配当及び株式の取得価額の総額498百万円を上限に自己株式の取得を実施することを平成29年2月10日開催の取締役会で決議しております。その結果、平成28年12月期の調整後当期純利益に対する総還元性向は50.4%以上となる予定であります。

※1:調整後当期純利益は、繰越欠損金に対する繰延税金資産の計上に伴う法人税等調整額の影響を除いた親会
    社株主に帰属する当期純利益を言います。
 ※2:調整後ROEとは、調整後当期純利益を基に算定したROEを言います。

 

 (2) 経営成績について

①売上高

連結売上高は、短期業務支援事業における主力サービスである「紹介」及び「代行」を伸張させたことに加えて、「派遣」及び「請負」を伸張させたことを主因として25,340百万円(前期比12.0%増)となりました。これをセグメント別に見ますと次のとおりです。

 

・短期業務支援事業

短期業務支援事業の売上高は、取引顧客数の拡大に注力し、短期業務支援事業における全サービスが順調に伸
張したことにより23,225百万円(前期比12.6%増)となりました。サービス区分別では、取引顧客数の拡大に注力したことで、主力サービスである「紹介」及び「代行」が伸張し、且つ、「マイナンバー管理代行」サービスの開始が「代行」の伸張に寄与いたしました。また、短期的なセールスプロモーション業務及び店舗棚卸し業務等を「請負」で受注したことで「請負」が伸張し、加えて、顧客企業の長期人材ニーズに応えたことで「派遣」が伸張いたしました。

 

・警備・その他事業

警備・その他事業の売上高は、期を通じて、臨時警備案件の獲得数を増加させたことを主因として2,116百万円(前期比6.0%増)となりました。

 

②営業費用及び営業利益

売上原価は前連結会計年度に比べ1,720百万円増加し16,083百万円(前期比12.0%増)となった一方で、売上原価率については63.5%と、前連結会計年度とほぼ同水準となりました。販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べて417百万円増加し6,376百万円(前期比7.0%増)となりましたが、その売上高に対する比率は前連結会計年度の26.3%から1.2ポイント減少し25.2%となりました。その結果、営業利益は前連結会計年度に比べ586百万円増加し2,882百万円(前期比25.5%増)となりました。これをセグメント別に見ますと次のとおりです。

 

・短期業務支援事業

主力サービス及び「派遣」、「請負」の伸張による増収効果と共に、アルバイトの積極登用や日常業務の見直し等による生産性向上に対する取り組みにより、販管費率を抑制したことから、セグメント利益(営業利益)は3,478百万円(前期比23.4%増)となりました。

 

・警備事業・その他事業

第3四半期連結会計期間において株式会社ディメンションポケッツ株式取得に伴うのれん(14百万円)の一括償却を行ったものの、増収効果が上回り、セグメント利益(営業利益)は108百万円(前期比40.5%増)の増益となりました。

 

③営業外損益及び経常利益

営業外損益は前連結会計年度の129百万円の損失(純額)から119百万円の収益(純額)となりました。経常利益は前連結会計年度に比べて833百万円増加し、3,001百万円(前期比38.4%増)となりました。

 

④特別利益及び特別損失並びに税金等調整前当期純利益

特別利益から特別損失を控除した純額は、6百万円の損失となりました。結果、税金等調整前当期純利益は2,995万円(前期比35.6%増)となりました。

 

⑤法人税等及び当期純利益

税効果会計適用後の法人税等は前連結会計年度に比べ24百万円増加し468百万円となり、当期純利益は2,527百万円となりました。

 

⑥親会社株主に帰属する当期純利益

株式会社ディメンションポケッツを新たに連結子会社としたことに伴い、非支配株主に帰属する当期純損失2百万円が当連結会計年度より発生しております。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ764百万円増加し2,529百万円(前期比43.3%増)となりました。1株当たり当期純利益は、65円92銭(前連結会計年度は45円85銭)となりました。

 

 (3) 資金需要及び資金調達

当社グループでは、事業活動を維持するための適切な資金の確保と、適正水準の流動性の維持及び健全な財政状態の維持を財務の基本方針としつつ、多様な資金調達手段の確保に努めております。

当社グループが事業活動の維持・拡大を図っていくために必要となる運転資金や設備投資資金の調達は、営業活動から得られるキャッシュ・フローと金融機関からの借り入れにより十分可能であると考えております。

なお、当社は運転資金の効率的な調達を行うため、取引先銀行4行と総額5,500百万円を限度とした当座貸越契約を締結しております。

有利子負債の状況については、「第2 事業の状況 7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 財政状態について ④有利子負債」に記載のとおりであります。