第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業集団が判断したものであります。

(1) 経営方針

 当企業集団は、「クライアントとともに社会問題をビジネスで解決する、価値共創企業」となることを方針として掲げております。これまで当社が培ってきた真の課題を探り出す能力、リソースの埋もれた価値を炙り出す能力、及び課題とリソースの最適な組み合わせを提案・実行し価値を最大化する能力、これら3つのケイパビリティをもとに、国内の民間企業のみならず、国内外の民間・政府・自治体へサービス提供を行います。そのために、既存事業の価値創造力の強化、新規事業への投資、及びM&Aを積極的に進めてまいります。

 

(2) 経営戦略等

 当企業集団は、IT/AI/IoTを中心とする幅広い事業領域のポートフォリオを通じて、とりわけ価値創造経営支援事業領域、IT/AI/IoT関連事業領域、及び社会問題解決型事業領域に注力しつつ、上記ケイパビリティをベースに顧客価値を最大化してまいります。グループ内の連携のみならず、各業界のスペシャリストやパートナー企業をはじめ社外と有機的に連携し、これを実現してまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当企業集団は、中長期的な企業価値の向上を図るという観点から、Non-GAAP指標における売上収益及び営業利益、投下資本利益率(ROIC)、及び資本コスト(WACC)を重要視しております。

 

(4) 経営環境

 社会全体において、将来の見通しが不透明で変化が激しく、新型コロナウイルスの影響も相まって、社会課題はますます複雑化してきております。このような中、企業や自治体等の公的機関は、その変化に適応できるよう更なるデジタル化に力を入れています。例えば、コンタクトセンターの受電業務や、申込書等書類の入出力作業等のAIによる無人化、ロボティクス技術を活用した省力化等へのデジタル投資が積極的に行われ、IT/AI/IoT市場は今後も急速な成長が続くことが予測されます。

 当企業集団としては、一面的なデジタル化だけではなく、IT/AI/IoTを中心としてヒト・モノ・カネ・情報に加え、それらを組み合わせた幅広い事業領域のポートフォリオとソリューションを通じ、新しいイノべーションを創出しつつ、社会課題やニーズを捉え、解決に導くことで、クライアント企業やパートナー等、あらゆる関係者とともに成長することを意識して事業を進めております。

 

(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題

① 人材採用・育成及び組織力の強化

 当企業集団は、人材を最も重要な資産として捉えております。今後も事業の成長を支える優秀な人材の採用・育成に注力しています。特に国内のIT人材の需要が増しており、人材リソースの確保が難しくなってきている中、年齢等属性を問わず、ポテンシャルが高く、新しい取り組みに意欲溢れたスタッフを採用するとともに、専門分野を有するエキスパートの採用を強化しています。

 更に、グループ内の適材適所への配置を柔軟に行い、グループ全体の生産性・機動性を高め、社内全体の士気向上、従業員のモチベーションアップ、ひいては組織力の強化に取り組んでまいります。

② M&Aや事業提携による成長

 当企業集団は、飛躍的・継続的な成長と競争優位性を確保するとともに、次の効果創出を目的としたM&Aや事業提携を積極的に実施してまいります。

(ⅰ) 持続的な成長の柱となりうる新規事業ドメインへの参入

(ⅱ) 顧客基盤の獲得、既存サービスのシェア拡大

(ⅲ) 新たなノウハウや技術の獲得、サービスラインナップの充実によるサービス力の強化

(ⅳ) 有能なエンジニアの補強、開発体制の強化

③ 積極的な投資と財務の強化

 継続的成長のための積極的な投資を進める当企業集団において、必要な資金の確保と財務体質の強化が重要となっております。これまでの投資による事業からの利益確保と投資のバランスを常に意識しながら、当企業集団全体の財務力の向上のため、各事業ごとの事業性評価とそれに対する細かなPDCAサイクルの実施及び金融機関との関係強化等に努めてまいります。

 

(6) 事業別の課題

① IT/AI/IoT/DX事業

(ⅰ) 技術開発リソースの確保

 DXによる課題解決等、ITニーズはますます増え続け、対応に必要な技術力は高度化する一方で、国内におけるIT人材不足により、生産力の確保のための人材獲得がますます困難になってきています。これに対し、国内の地方開発拠点によるニアショア開発及び国外でのオフショア開発拠点を増やすことにより、開発リソースの確保をしております。また、IT技術の適用・応用先として、社会課題解決型のDX案件が増えてきており、自身の開発が社会貢献につながることで、意識の高い技術者が集まるようになってきており、優秀な人材の採用が進んでおります。

(ⅱ) 技術力の向上

 IT技術の進化・発展はめざましく、あらゆる領域の技術力習得は困難な中で、特定領域の技術力への偏りは応用力や柔軟性が下がってしまいます。これに対し、新たな事業領域へのIT技術の適用においては、新たな技術力習得の機会が得られることが多く、ノウハウや経験も蓄積されます。そのため、当社が持つ事業ポートフォリオをはじめ、あらゆる事業領域に対するDX案件を獲得しながら、常に技術力向上に努めております。

(ⅲ) 共創による案件の創出

 IaaSやPaaSといった、クラウドにおける開発環境の進歩が進み、当社の事業領域であるSaaS/ASP業界において、新しいサービスの開発とサービスインまでのハードルは下がり、開発スピードが早くなってきています。そのため、競争が激化していくことにより、便利なサービスから過剰なサービスが低価格で提供される中、継続的な売上成長を実現するためにも、大型案件を獲得していく必要があります。一方で一時的な大型案件は大規模な開発体制が必要であり、リスクが拡大します。

 これに対し当社では、クライアント企業の成長が当社の成長にもつながる共創案件の拡大を意識しております。共創案件は、共同開発の形にすることで初期の開発売上は減少するものの、ともに事業を創出し成長することを前提としてその成果を共有するため、継続的な売上成長に繋がります。

 当社グループが社会課題解決型DXを進めると同時に、グループ全体のヒト・モノ・カネ・情報に関する事業セグメントと連携していることで、他社では獲得しにくい大規模で良質な案件を獲得ができ、今後の継続的な成長につなげることに注力しております。

 

② カスタマーサポート事業

 例えば通信サービスや金融サービス、保険等、ユーザーのニーズに沿ったきめ細かいサービスが増える中で、コールセンターの需要はますます高まっており、各社カスタマーサポートの品質向上にしのぎを削っています。これに対し当社では、リモートワーク下のコンタクトセンターに必要なAI、ITツール活用における課題解決の提案に加え、多くのパートナーとのフレキシブルかつ迅速な情報連携を武器とした、パンデミック禍等による突発的な人手不足における応急、恒久的なBPOの受託の提案を推進してまいります。従前型のコールセンター業務に代わるサービス、特にWithコロナの新時代のニーズを捉えたカスタマーサポート業務全般に対するコンサルティングを通じて支援し、このサービスの範囲拡大によって、サービス提供体制の強化に取り組んでおります。

 

③ 人材・教育事業

 人材事業においては、新型コロナウイルス流行の影響により、企業の人材採用活動でこれまで直接対面だった説明会や面接がオンラインになる等形態が変化してきている一方で、採用決定後のミスマッチを最小限にするために、企業と学生の双方において対面での開催を望んでいる声もあります。当社では、従前の採用支援や関連イベントの企画・運営支援とコロナ禍を見据えたそれらの対応にとどまらず、女子学生に特化した採用支援『女子キャリ』事業にも注力し、近時の女性活躍推進の流れを受けた顧客企業の取り組みを採用の面から支援してまいります。

 教育事業においては、子どもの人口が減ってきている中で、幼稚園・保育園における保育士の労働環境は依然厳しく、子どもに対する対応、教育が十分でない状況が続いております。これに対し、従来の幼保施設の運営やサービスにとどまらず、人の人格形成にとって重要な幼少期に子どもの成長に必要な学習の機会を与えるべく、付加価値が高い独自のサービスを築いてまいります。また、子育ては社会コミュニティの重要な構成要素であると考え、コミュニティ開発に積極的に取り組む企業との協業・連携も進めております。

 

④ EC事業

 EC事業が属するトレーディングカードゲーム(TCG)業界は非常に活況が続いています。一般社団法人日本玩具協会の発表によれば2021年度のTCG市場規模は過去最大の1,782億円に達しました。TCG業界の歴史は浅く、25年程度となる中、親子で遊ぶ等2世代型の遊びになっていることに加え、代表的なタイトルであるポケモンや遊戯王をはじめとしてスマホゲームの広がりに伴ってTCGへの新規流入がおき、ユーザーの裾野が広がっております。そのような状況下、当社はネットショップ大手としてサービスの研鑽に取り組んでおり、ユーザー向け買取販売攻略サイトのフロントエンド、バックエンド、そして物流拠点のフルフィルメント関連システムすべてを内製化していることによるシステムの拡張性、柔軟性を十二分に生かし、UI/UXの継続的な向上を図っています。しかしながら内製化ゆえに、常にIT技術開発人材の獲得に苦慮しており、十分な開発人材の獲得を果たせているとは言えません。引き続き、優秀なIT人材獲得に注力し、常に新たなテクノロジーの導入に取り組んでまいります。また、国内TCG業界においては海外ユーザーからの需要も高く、足元の円安環境下も相俟ってますますの活況を呈しております。このような海外ユーザーニーズに対してもネットショップという利点とテクノロジーカンパニーとしての特徴を活かし、ユーザーの裾野を広げてまいります。

 

⑤ 保険事業

 当社は、人の安心・安全及び暮らしの豊かさを提供するために、金融関連事業は必要と考えており、新たに保険事業に参入しました。保険サービスは、日常生活で発生するリスク(危険)に備えるもので、その加入者からの情報のデータベース化は進み、新たな保険商品の開発・設計等に活用されています。

 これに対し、当社が参入したペット保険事業では、保険料収入及び契約件数について、競合他社に負けない保険商品の提供により順調に推移しており、今後については、保険料収入の増加とロスレシオ(損害率)の改善に軸足を置き、収益性・成長性・健全性の確保に取り組んでまいります。また、ペットと人との幸福な共生の実現とペット業界のあるべき姿への変革を目指すとともに、その先の幅広い金融サービスとして、グループのIT/AI/IoT技術を活用したデータ解析・リスク分析によるクライアント企業の新たな事業創出におけるリスク移転等、最適なソリューションへの発展を目指します。

 

⑥ 投資・インキュベーション事業

 当企業集団の持続的な成長と企業価値向上につながるM&A等の投資活動、及び新規性のある事業やサービスの開発に向けたインキュベーションに取り組んでおります。

 特にコロナの影響もあり、国内のM&A実施の件数が増えてきている中で、体制が整っておらずM&Aを実施したくてもスムーズに進められていない企業もあります。そのような中、当社自身が実施するM&Aだけではなく、M&Aニーズのある企業のサポート・コンサルティング、実行支援を行うサービスを進めております。

 また、国内に限らず海外においても、共創による社会的意義のある事業の創出を推進している企業が増えてきている傾向があり、当社グループでは社会課題解決を意識した新しい官民共創の形態から派生する新規事業や、直接的な当社グループ内での新規事業開発、更には国外への展開にも取り組んでおります。

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業集団が判断したものであり、当企業集団に関するすべてのリスクを網羅しているものではありません。また、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当企業集団の経営成績等の状況に与える影響の内容につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。

 

(1) 事業環境に関するリスク

① 経済情勢に関するリスク

 当企業集団の連結売上収益はIT/AI/IoT/DX事業が約49%を占めております。当事業の主要顧客である国内大手企業は、事業環境の変化に迅速に対応するため積極的なIT投資を進め、当企業集団が提供するサービスの利用も着実に増加しておりますが、主要顧客のIT投資の状況は国内の景気情勢との相関性が高く、当事業は国内の経済情勢に大きく影響されます。今後、国内の経済情勢が悪化した場合、国内大手企業のIT投資金額が減少する可能性があります。

 当企業集団の事業においては、今後も業界における優位性を高めてまいりますが、今後の景気動向により、当企業集団が扱うサービスの受注減や、販売価格低下圧力の増大等が生じた場合、当企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 技術革新への対応に関するリスク

 当企業集団は、外部環境の変化に迅速に適応し、IT/AI/IoTを活用した事業を継続的に展開していく方針です。常に最新の技術動向に目を向け、新機能の開発や新たなサービスのリリースを積極的に進めておりますが、この業界は技術が進歩する速度や変化が非常に激しいことから、予想を超える革新的な技術が出現した場合や、更に新技術への対応に多額の資金を要するにもかかわらず迅速な資金調達ができなかった場合には、対応に遅れが生じる可能性も否定できません。この場合、当企業集団が提供するサービスの陳腐化、競争力の低下等が生じ、当企業集団の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) サービス・製品開発に関するリスク

 IT/AI/IoT/DX事業においては、案件の大型化・複雑化が進むことで、標準サービス化による再利用が困難となり、月額売上のストック収益よりも一時的な売上収益が増加することがあります。システム開発においても、受注金額が大きい案件の場合など、完成までに長期間を要するものがあり、顧客からの要求仕様の変更や追加要求により開発の進行が大幅に遅れる可能性が生じる場合があります。これらの事象が発生した場合、当企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) サービス運用に関するリスク

① SLA(サービスレベルアグリーメント)を充足できない場合の賠償請求に関するリスク

 当企業集団は、提供しているSaaS/ASPサービスについて、サーバの稼働、障害発生時の対応、及びメンテナンス実施時の連絡等に関する一定の保証水準を定め、これをSLAとして予めお客様に対して提示しております。お客様に安心してサービスをご利用頂ける万全の体制を構築し、係る保証水準の維持に努めておりますが、将来においてSLAに定める水準を達成できなかった場合、多額の賠償を請求される可能性があり、当企業集団の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 通信ネットワーク及びシステムに関するリスク

 当企業集団のIT/AI/IoT/DX事業においては、インターネット、電話、FAX等の通信インフラを最大限に活用したサービスを提供しており、こうしたサービスの迅速な開発や安定した運用及び当企業集団の事業運営は、通信環境やコンピュータシステムに大きく依存しているため、コンピュータシステムのバックアップシステムの構築や、顧客数増加に伴うサーバ等の設備の増強や老朽化への対応等の対策を講じております。

 しかしながら、ハードウエア・ソフトウエアの不具合や障害、事故・不正等による人為的ミス、通信回線の障害、通信事業者に起因するサービスの中断や停止、コンピュータウィルス、サイバーアタックの他、自然災害等によるシステム障害等、現段階では予測不可能な事由によりコンピュータシステムがダウンした場合には、業務の遂行及びサービスの提供が不可能となる可能性や当企業集団の保有する情報の外部漏洩・不正使用等が発生する可能性が生じ、売上の低下や復旧に係る費用負担が増大する恐れ及び社会的信用が失墜する恐れがあることから、当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 情報セキュリティ・個人情報保護に関するリスク

 当企業集団が提供するサービスにおいては、お客様が収集・保有する個人情報を含む情報資産を、予めお客様の同意を得て、その依頼に基づき当企業集団が保有する場合があります。

 当企業集団では、必要に応じて情報セキュリティに関する国際規格である「ISO/IEC27001」、また個人情報管理に関する日本工業規格である「JISQ15001」や一般財団法人日本情報経済社会推進協会の「プライバシーマーク」の認証を取得し、これを継続しており、グローバルスタンダードな第三者の視点を取り入れた情報セキュリティ対策を実施し、当企業集団が保有する情報資産について、社内マネジメントシステムに基づき管理の徹底に努めております。

 しかしながら、外部からの不正アクセスや当企業集団における情報管理体制の瑕疵等により個人情報を含む情報資産の漏洩等が発生した場合、当企業集団への損害賠償請求や社会的信用の失墜等の可能性があり、これによって当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) コンプライアンスに関するリスク

① 知的財産権の侵害に関するリスク

 当企業集団では、事業の遂行にあたり、過去もしくは現時点において、第三者の知的財産権の侵害に関する通知請求や訴訟を起こされた事実はありません。

 しかしながら、今後、当企業集団が事業を遂行する上で必要となる知的財産権等の権利について、当該第三者より損害賠償及び使用差止等の訴えを起こされる可能性、特許等に関する対価(ロイヤリティ)の支払い等が発生する可能性並びにライセンス等を受けられずに特定の技術の使用やサービスの提供が不可能となる可能性があります。それらの場合、当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 法的規制に関するリスク

 当企業集団の事業や今後提供する新しいサービスにつき、監督官庁による許認可や法的規制が加えられる可能性があります。この場合、法的費用の発生や事業活動の制約が発生する可能性があり、当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 内部統制に関するリスク

 当企業集団は、業務における人為的なミスや、内部関係者等による違法行為、不正行為等の不祥事が発生することの無いよう、内部管理の基準を策定・運用する等の対策を実施しております。

 また、業務の適正性を確保するため、内部統制・情報セキュリティ推進本部を設置・運営する等、必要な内部統制システムを構築し、法令遵守の徹底及びリスクマネジメントの強化を進めております。加えて、内部監査部を設置し、当社グループのリスクマネジメント体制や内部統制システムの実効性を監視しております。

 しかしながら、内部統制システムが有効に機能せず、業務の有効性や効率性、財務報告の信頼性等を確保できない事態あるいは違法行為・不正行為等が生じた場合には、係る信頼を回復するための運営費用の増加や、各部門の業務工数が増大する可能性を含め、当企業集団の業績・財政状態及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 訴訟等に関するリスク

 当企業集団は、現在においてその業績に重大な影響を与え得る訴訟・紛争には関与しておりませんが、様々な要因により今後直接又は間接的に、何らかの訴訟・紛争に関与することとなる可能性は否定できません。当企業集団が訴訟・紛争に関与した場合、その経過・結果如何によっては、当企業集団の業績・財政状態及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 投資リスク(M&A)

 当企業集団は、既存事業の拡充、関連技術の獲得及び新規顧客の獲得等の事業シナジーが期待できる企業の買収を、経営の重要課題として位置付けております。

 買収を検討する際には、対象企業の財務内容や取引関係等についてデューデリジェンスを行うことによって、極力リスクを回避するように最大限努めております。しかしながら、すべての重要事実が共有ないし開示されない場合もあり、買収後の統合段階に、偶発債務の発生や未認識債務の存在が判明する可能性も否定しきれません。

 また、買収後に、デューデリジェンスのタイミングでは想定不可能であった買収先企業の事業環境の急激な変化等により、計画通りに事業展開が進まない可能性があります。

 このような場合には、場合によっては買収金額を超える損失が発生するリスクがあり、また、買収会社の事業活動や経営成績によっては、当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 人材確保及び育成に関するリスク

 当企業集団の事業の発展のためには、優秀な人材の確保や育成が重要な課題の一つと認識しており、新卒採用に加えて中途採用を実施する等、多様な人材を確保するように努めております。また、採用後は入社後研修をはじめとする様々な研修を定期的に実施する等、教育制度の充実にも取り組んでおります。

 しかしながら、こうした採用や育成ができず、事業上必要な人材が確保できない若しくは退社した場合には、当企業集団の優位性や事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、人員の増加に伴い固定的な人件費も増加する可能性があり、人件費の増加を上回る売上増加を達成できなかった場合には、当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 災害等に関するリスク

 当企業集団は、サービス提供に必要なサーバ等の保管業務を外部のデータセンターに委託しております。当該データセンターについては、地震・台風・津波等の自然災害や停電や火災等の災害に対して十分な耐性を有するかどうか慎重に検討した上で選定しております。

 しかしながら、当該データセンターは、当企業集団の想定を超える規模の災害が発生し、その結果、当該データセンターが壊滅する、あるいは保管中のサーバに保存されたデータが消失する等により、当企業集団のサービスの提供が不可能となる等の事態が生じた場合は、当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当企業集団においては、自然災害等が発生した場合に備え、事業継続計画を策定しておりますが、様々な災害の発生による影響を完全に回避できる保証はなく、係る災害による物的又は人的損害が甚大である場合は、当企業集団の事業の継続自体が困難又は不可能となる可能性があります。

 

(8) 新型コロナウイルス感染拡大に関するリスク

 当企業集団は、近時の新型コロナウイルス感染拡大の影響により、従来型の対面中心による営業活動やサービスの提供ができなくなる他、人材・教育事業においては対面型の採用支援イベントが開催できなくなる、幼保施設やスポーツ教室の運営が阻害される等の事態が発生しております。今後の感染状況や政府等の対応如何によって、当企業集団の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 自然環境・気候変動に関するリスク

 気候変動の影響は年々深刻さを増しており、企業においても社会的責任に対する取り組みがこれまで以上に求められております。当企業集団としましても、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース:Task Force on Climate- Related Financial Disclosures)の提言に賛同し、持続可能な社会の実現と企業活動の永続的な成長を図る観点から、現在、中長期的な気候変動が当企業集団の事業に与えるリスク及び機会について、シナリオ分析等を継続的に進めており、今後に向けて積極的な情報開示に努めてまいります。

 当企業集団の気候変動に関する取り組みが不十分であった場合や、ステークホルダーからの理解が十分に得られなかった場合において、当企業集団の業績・財政状態及び社会的信用に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

 当企業集団は、国際会計基準(IFRS)を適用しております。

 また、国際会計基準(IFRS)に加えて、より実態を把握することができる指標(以下、Non-GAAP指標)を採用しており、双方で連結経営成績を開示しております。

 

 当連結会計年度において、当企業集団(当社及び当社の関係会社)が営む事業の内容について、前連結会計年度の有価証券報告書に記載した内容からの重要な変更は、以下の通りであります。

 当企業集団は日本ペット少額短期保険株式会社(以下「日本ペット少額短期保険社」)の連結子会社化に伴い、「保険事業」を報告セグメントに追加することといたしました。その結果、当連結会計年度より「IT/AI/IoT/DX事業」、「カスタマーサポート事業」、「人材・教育事業」、「EC事業」、「保険事業」、「投資・インキュベーション事業」の6つの報告セグメントに区分しております。

 また、当社は、当連結会計年度において、不採算事業の整理のため連結子会社である株式会社スカラワークスを解散及び清算することを決議し、同社の事業について非継続事業に分類しました。これに伴い、売上収益、営業利益、税引前利益は、非継続事業を除いた継続事業の数値を記載しております。前連結会計年度につきましても、同様に組み替えております。

 

 

(1) 当期(2022年6月期)の経営成績

① IFRSに基づく経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症に対するワクチン接種の普及により、緩やかな景気回復を背景に投資再開の広がりによる経済活動正常化の動きも見られましたが、新たな変異株による急速な感染拡大を受け、未だ収束の見通せない状況が続いております。また、2月下旬以降のウクライナ情勢の国内外への影響、世界的な半導体不足、エネルギー関連を中心とする世界的な物価上昇等により、国内においても景気の先行きが不透明な状況が継続しております。

 このような事業環境のもと、当企業集団は、2019年8月の中期経営計画で掲げた「クライアントとともに社会問題をビジネスで解決する、価値共創企業」への展開を目指し、国内の民間・地方自治体との「共創」の形で新規サービスの創出及び拡大への取り組み並びに既存ビジネスの強化に努めるとともに、M&Aに積極的に取り組んでまいりました。

 その結果、当連結会計年度における売上収益は10,015百万円(前期比15.0%増)となりました。これはカスタマーサポート事業で大幅な減収となったものの、M&AによりIT/AI/IoT/DX事業での増収や保険事業が新たに当企業集団に加わったこと及びEC事業が引き続き好調に推移したことによるものです。

 利益につきましては、営業損失は393百万円(前期は413百万円の営業利益)となりました。これは主に、EC事業での大幅な増益があったものの、IT/AI/IoT/DX事業にて新たな事業開発につながる共創案件の共同開発等の積極的な投資を継続していることによる一時的な減益及び投資・インキュベーション事業での各種アドバイザリー費用、成長に向けての開発や人件費等の先行費用の増加や投資事業有価証券評価損の計上によるものです。また、IT/AI/IoT/DX事業及び人材・教育事業においては、一部の連結子会社において当初の収益計画ほどの成長が見込めず再評価したことにより、のれん減損損失357百万円を計上しております。金融費用においては期中借入平均残高が減少して推移したことにより支払利息が減少しましたが、税引前損失は411百万円(前期は381百万円の利益)となり、非継続事業からの当期損失を152百万円計上したことで、当期損失は526百万円(前期は3,225百万円の利益)、親会社の所有者に帰属する当期損失は523百万円(前期は3,065百万円の利益)となりました。

 

(国際会計基準(IFRS)ベース)                       (%表示は対前年同期増減率)

 

売上収益

営業利益

税引前利益

当期利益

親会社の所有者に帰属する当期利益

 

百万円

百万円

百万円

百万円

百万円

2022年6月期

10,015

15.0

△393

-

△411

-

△526

-

△523

-

2021年6月期

8,712

-

413

-

381

-

3,225

428.8

3,065

854.4

 

 

② Non-GAAP指標に基づく経営成績

 Non-GAAP指標は、国際会計基準(IFRS)から当企業集団が定める非経常的な項目やその他の調整項目を控除したものです。

 Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当企業集団の恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で、有益な情報を提供できると判断しております。

 なお、非経常的な項目とは、一定のルールに基づき将来見通し作成の観点から除外すべきと当企業集団が判断する一過性の利益や損失のことです。

 Non-GAAP指標の開示に際しては、米国証券取引委員会(U.S. Securities and Exchange Commission)が定める基準を参照しておりますが、同基準に完全に準拠しているものではありません。

 

 営業利益以下の各項目において投資事業有価証券にかかる損益を控除し、当期利益以下の各項目において非継続事業からの当期利益を控除調整しております。

 前連結会計年度のNon-GAAP指標においては、上記の他、当社連結子会社であったソフトブレーン株式会社の普通株式の譲渡に伴う費用(財務アドバイザリー及び弁護士等の業務費用)及び子会社の移転に伴う費用(有形固定資産の除却費用等)61百万円を控除しております。

 当連結会計年度のNon-GAAP指標においては、上記の他、M&Aに伴う費用、子会社の移転に伴う費用及びのれん減損損失等424百万円を控除しております。

 

(Non-GAAPベース)                           (%表示は対前年同期増減率)

 

売上収益

営業利益

税引前利益

当期利益

親会社の所有者に帰属する当期利益

 

百万円

百万円

百万円

百万円

百万円

2022年6月期

10,015

15.0

99

△78.9

81

△81.6

41

△89.3

44

△88.5

2021年6月期

8,712

-

471

-

440

-

383

-

387

-

 

 

 

 各セグメントの業績については以下の通りです。

 なお、売上収益及びセグメント利益は国際会計基準(IFRS)に基づいて記載しております。

 

(ⅰ) IT/AI/IoT/DX事業

 当事業におきまして、主に㈱スカラコミュニケーションズ、㈱スカラネクスト、新たに子会社化した㈱エッグにおきましては、大手企業、地方自治体、政府、官公庁のDX推進に向けた新規サービスの企画、システム開発をはじめ、既存SaaS/ASサービスの提案、導入支援、提供、改善を推進しております。

 主なプロジェクトとしては、㈱シノケングループの不動産テック子会社である㈱REaaS Technologiesに当事者型署名方式と立会人型署名方式が選択できるハイブリッド型の不動産売買電子契約プラットフォーム「トラストDX」をリリースいたしました。不動産売買の電子契約において、マイナンバーカードと連携したデジタルIDアプリ(xID)を使用し、個人認証を完了させる仕組みは業界初となります。

 また、大手製薬会社、大手損保会社との共創プロジェクトとして、「スマートヘルスケアプラットフォーム」の構築を目的とした協業を開始し、その第一歩として企業の健康経営をサポートするヘルスケアサービスの開発が進行しております。その他、畜産DXとして取り組んでいる「U-メディカルサポート」は、遠隔診療に関連する機能開発が決まっており、更なる高度化を目指しております。乳牛ゲノム検査結果データ活用アプリ「EGゲノム(仮称)」においても開発が佳境となっており、リリースに向けて最終段階を迎えております。

 また、当連結会計年度に買収した㈱エッグにおいて、地方自治体からのふるさと納税業務システムの開発、提供、BPO業務の受託が堅調となっております。更には、自治体向けに提供しているフレイル(※)早期発見システム「ASTERⅡ」啓発版を使用した高齢者へのフレイル度チェックの実証実験を福島県本宮市と開始いたしました。厚生労働省が保健事業と介護予防の一体的実施でも訴えていることからも分かるように「フレイルの予防と対策」は、高齢者の健康寿命延伸と介護予防において重要な焦点となっており、高齢者一人一人のフレイル状態と、地域全体でのフレイル傾向を理解した上で、適切なアプローチをする必要があります。まずはASTERⅡ啓発版で、地域住民のフレイル状態を数値化して、自治体、地域ごとの状態を把握することを提案しております。フレイル早期発見システムはその他数十の自治体への提供に向けて、検討が進んでおります。

※フレイル:日本老年医学会が2014年に提唱した概念で、「Frailty(虚弱)」の日本語訳。健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のことを指しますが、適切な治療や予防を行うことで要介護状態に進まずにすむ可能性があります。

 ㈱コネクトエージェンシーでは、ソフトフォンサービスのラインナップ拡充、及び既存顧客に対するリテンション活動に取り組んでまいりました。ラインナップに加わった音声認識を持つコールセンター向けソリューションを筆頭に新規の引き合いも増加しており、現在7社に対して提案を進めております。

 以上の結果、売上収益は4,875百万円(前期比17.6%増)となりました。利益につきましては、252百万円ののれん減損損失を計上したため、全社費用配賦前セグメント利益は831百万円(同20.2%減)、全社費用配賦後セグメント利益は236百万円(同68.8%減)となりました。

 なお、のれん減損損失を調整したNon-GAAP指標では、全社費用配賦前セグメント利益は1,084百万円(前期比4.0%増)、全社費用配賦後セグメント利益は488百万円(同35.4%減)となりました。

 

(ⅱ) カスタマーサポート事業

 当事業におきましては、コロナ禍で継続していたコールセンターニーズの減少傾向も改善が見られ、新たに複数のコールセンター案件の引き合いがあり、2023年6月期より業務スタートとなる案件の獲得が推捗しております。引き続き、新規案件の開拓に努めるとともに、運営する沖縄コールセンターへの案件の移管によるコスト改善や、RPAを活用した各種BPO業務の効率化等により、利益率の改善に取り組んでまいります。

 以上の結果、売上収益は1,357百万円(前期比26.1%減)となり、全社費用配賦前セグメント損失は28百万円(前期は32百万円のセグメント利益)、全社費用配賦後セグメント損失は31百万円(前期は12百万円のセグメント損失)となりました。

 

(ⅲ) 人材・教育事業

 当事業におきましては、主に(1)体育会学生や女子学生に特化した新卒採用支援及び合同説明会やキャリアセミナー等のイベントの企画・運営を行う新卒採用支援サービス、(2)保育園『みんなのほいくえん』、インターナショナル幼保園『Universal Kids』、国際感覚を養う学童『UK Academy』、放課後等デイサービス『ラルゴKIDS』等の保育・教育サービス、(3)子ども向けスポーツ教室、スポーツイベントの企画・運営及びオンラインによるスポーツ教育サービス等から構成されております。

 

 新卒採用支援サービスにおいては、2022年大卒求人倍率がコロナ禍でも前年とほぼ変わらず底堅い状況にあり、大企業を中心に採用意欲が回復していたことから、新卒学生向けの支援体制の強化及びサービス提供に注力してまいりました。また、アフターコロナを見据えた企業においては、2023年大卒向けの採用活動に向けた活発な動きもあり、合同説明会等のイベントの開催を積極的に実施してまいりました。

 保育・教育サービスにおいては、学童『UK Academy』の児童確保に力を入れるとともに、保育園等においては、イベントを開催する等により、保護者及び幼児たちがコロナ禍でも楽しめる施策を推進する他、タイ王国における事業展開を推進してまいりました。

 スポーツ教育サービスにおいては、従前から継続してきた各種スポーツ教室の運営等の他、プロバスケットボールチーム「さいたまブロンコス」の運営、国や自治体と連携したスポーツ行政関連事業の検討等を推進してまいりました。

 以上の結果、売上収益は1,468百万円(前期比10.2%増)、利益につきましては105百万円ののれん減損損失を計上したため、全社費用配賦前セグメント利益は112百万円(同20.6%減)、全社費用配賦後セグメント利益は61百万円(同472.4%増)となりました。

 なお、子会社の移転に伴う費用及びのれん減損損失を調整したNon-GAAP指標では、全社費用配賦前セグメント利益は227百万円(前期比31.6%増)、全社費用配賦後セグメント利益は176百万円(前期比317.3%増)となりました。

 

(ⅳ) EC事業

 当事業におきましては、トレーディングカードゲーム(TCG)の買取と販売の機能及び攻略情報サイトの機能を備えたリユースECサイトを運営しております。コロナ禍におけるオンライン売買ニーズが継続する中、SEOをはじめとしたデジタルマーケティングへの取り組みが功を奏しており、売上収益、利益ともに前年を大幅に上回る水準で推移しております。また、前期末にリリースしたiOSアプリは順調にユーザー数を伸ばしており、続けてAndroidアプリも開発中です。加えて快適な購買体験、買取体験を追求するために、ウェブサイトの表示スピード、処理スピードを格段に速めることのできるパブリッククラウドサーバーへの切替が完了いたしました。また、強固なセキュリティを完備したパスワードレスログインソリューションを開発中です。当該ソリューションを導入することでパスワード失念等によるパスワード再発行が大幅に減少することとなり、UI/UXが向上します。今後も最新のテクノロジーの導入検討を積極的に推進し、快適なUI/UXの追求を継続してまいります。

 以上の結果、売上収益は1,654百万円(前期比26.1%増)、全社費用配賦前セグメント利益は281百万円(同40.4%増)、全社費用配賦後セグメント利益は239百万円(同47.0%増)となりました。

 

(ⅴ) 保険事業

 2022年4月26日に日本ペット少額短期保険社を子会社化したことにより、同日より連結を開始しております。当事業におきましては、主に、同社が展開するペット保険「いぬとねこの保険」の運営をしております。

 ペット保険を含むペット関連産業は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う巣ごもり需要やリモートワークの定着化により引き続き大きな成長が見込まれており、また、特徴ある商品設計により、契約件数が順調に推移するとともに保険収益も増加しております。一方で、支払保険金については、ペットの病気やケガによる医療機関への受診回数の増加や医療費の高騰等により増加傾向にあるため、保険契約数の増加及び業務効率化等によるコスト削減に取り組んでいく方針です。

 以上の結果、売上収益は452百万円、セグメント損失は28百万円となりました。

 

(ⅵ) 投資・インキュベーション事業

 当事業におきましては、㈱スカラによる事業投資、㈱ソーシャル・エックスによる地方自治体と民間企業とが連携した官民共創の新たなサービスの構築・推進、ジェイ・フェニックス・リサーチ㈱による投資先発掘から投資実行や企業価値創造に向けたエンゲージメント、㈱スカラパートナーズによる新規事業開発、ワーケーションを通じた企業の働き方改革推進や地方創生、合同会社SCLキャピタルが運営する、価値共創エンゲージメントファンドのSCSV1号投資事業有限責任組合での投資及びその投資に関連するバリューアップ等を行っております。

 ㈱ソーシャル・エックスでは、「逆プロポ」の各種サービスを通じて官民共創による社会課題解決型の新規事業を創出しております。代表の2名が「ARCH」(森ビル㈱が運営するインキュベーションセンター)に参画する100社超の新規事業開発部門のメンターを務めており、官民共創の知見や地方自治体とのリレーションを活かした共創を進めております。また、経済産業省が公募した「令和4年度地域・企業共生型ビジネス導入・創業促進事業」の事務局を受託しており、社会課題を解決する19のプロジェクトに対し、㈱ソーシャル・エックスの理念に賛同する多士済々で多様なバックグラウンドを有する10名のコンサルタントとともにプロジェクトをサポートしてまいります。

 

 「逆プロポ」の更なる展開のために、官民共創/公民連携において困りごとを抱える自治体に向けた相談サービス「逆プロポ・コンシェルジュ」、官民共創による社会課題解決型新規事業を開発する上でのコツ、ノウハウを学べる企業向け研修プログラム「逆プロポ・Learning」企業と自治体をつなぐオープンイノベーションプログラムにより、自治体の抱える社会課題や隠れた魅力と企業の強みをその場で掛け合わせ、新規事業のアイデア創出及び実証実験へとスピーディーに繋げる「逆プロポ・ツアー」を新たにリリースいたしました。

 ㈱スカラパートナーズでは、ワーケーション施設紹介サイトKomforta Workationの運営を通じ、アフターコロナ時代に適した「場所にとらわれない新しい働き方」の提案や、大学機関との連携によるフレックスプレイス研究会の立ち上げ及びワーケーション実施効果の検証、小中学生の学びの選択肢拡大に向けた体験型親子ワーケーションの開発等に取り組んでおります。

 また、三井住友海上火災保険㈱と、新たな働き方における保険商材の開発及び企業の働き方改革推進を目的とした包括連携協定を締結し、企業サポートの充実や移動に伴うリスクの軽減について検討を開始する等、他事業者や自治体との共創に積極的に取り組むことで更なるサービスの強化を推進しております。

 価値共創エンゲージメントファンドである SCSV1号投資事業有限責任組合においては、投資先に対して、中期経営計画の策定等を含むIR支援やデジタルトランスフォーメーションを推進する等のバリューアップに取り組んでおります。しかしながら、コロナ禍やウクライナ情勢等、世界情勢の悪化により、株式市場の全体が不安定化しており、バリューアップの効果は一時的となっております。

 また当社は、M&Aを活用した事業拡大を成長戦略の一つとして注力しており、引き続き積極的に案件のソーシング、デューディリジェンスを行っております。加えて、これまでのM&Aの経験とグループにおけるDXのノウハウを掛け合わせ、仲介ではなくM&Aのアドバイザーとして、グループの共創の考え方に基づいた「共創型M&Aアドバイザリー事業」を開始しております。更に、M&Aを成長戦略としている一方で人材やノウハウの不足により、思うようにM&Aを実行できていない企業に対して、当社のM&Aに関する一連の実績を活かし発展させた、実務支援型M&A推進サービス「特命M&A部」を開始しております。

 以上の結果、売上収益は206百万円(前期比143.7%増)となりました。利益面に関しましては、㈱スカラによる事業投資に伴う各種アドバイザリー費用、成長に向けての開発や人件費等の先行費用の増加、SCSV1号投資事業有限責任組合における投資先上場企業の株価の低下等により、全社費用配賦前セグメント損失は478百万円(前期は153百万円のセグメント損失)、全社費用配賦後セグメント損失は866百万円(前期は387百万円のセグメント損失)となりました。これらの損失は成長に向けた次のステージへと展開するための先行投資によるものであり、一過性のものと考えております。

 なお、M&Aに伴う費用及び子会社の移転に伴う費用等を調整したNon-GAAP指標では、全社費用配賦前セグメント損失は353百万円(前期は138百万円のセグメント損失)、全社費用配賦後セグメント損失は741百万円(前期は373百万円のセグメント損失)となりました。

 

(2) 当期の財政状態の分析

(資産)

 資産につきましては、前連結会計年度末に比べ486百万円増加し、20,816百万円となりました。その主な要因は、子会社株式取得による現金及び現金同等物の減少1,325百万円及び減損損失計上によるのれん減少476百万円があったものの、日本ペット少額短期保険社を子会社化したことによる再保険資産の増加363百万円、M&Aによるのれん及び無形資産の増加1,914百万円及び投資事業有価証券の増加263百万円等によるものであります。

(負債)

 負債につきましては、前連結会計年度末に比べ1,951百万円増加し、11,810百万円となりました。その主な要因は、日本ペット少額短期保険社を子会社化したことによる保険契約負債の増加644百万円、営業債務及びその他の債務の増加250百万円、M&A等を目的とした金融機関からの資金調達による非流動負債の社債及び借入金の増加1,025百万円等によるものであります。

(資本)

 資本につきましては、前連結会計年度末に比べ1,464百万円減少し、9,006百万円となりました。その主な要因は、譲渡制限付株式報酬による新株発行及び新株予約権の行使等による資本金の増加28百万円、資本剰余金の増加30百万円があったものの、評価額が減少したことによるその他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産の減少200百万円、自己株式の取得による減少174百万円、また、親会社の所有者に帰属する当期損失523百万円の計上及び配当による利益剰余金の減少634百万円によるものであります。

 

(3) 当期のキャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ184百万円減少し、9,625百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、2,048百万円の流入(前期は720百万円の流入)となりました。この主な要因は、税引前損失411百万円、非継続事業からの税引前損失136百万円(前期は381百万円の税引前利益、ソフトブレーン株式売却益等により、2,662百万円の非継続事業からの税引前利益)、減損損失476百万円の他、減価償却費及び償却費684百万円(ソフトブレーン株式売却による連結除外により、前期比298百万円の減少)、法人所得税の還付額1,229百万円(前期は法人所得税の支払額△1,746百万円)等が生じたことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,893百万円の流出(前期は4,429百万円の流入)となりました。この主な要因は、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出△1,325百万円(前期比1,260百万円の支出増加)、投資有価証券の取得による支出△392百万円(前期比159百万円の支出増加)の他、無形資産の取得による支出△60百万円(ソフトブレーン株式売却による連結除外により、前期比572百万円の支出減少)等が生じたことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、339百万円の流出(前期は3,160百万円の流出)となりました。この主な要因は、増配により配当金の支払額△633百万円(前期比109百万円の支出増加)となった一方で、M&A等を目的とした資金調達により新規の借入金が約定弁済額を超過したことによる資金の増加914百万円(前期は約定弁済やソフトブレーン株式売却に伴う繰上弁済により2,137百万円の資金の減少。「短期借入金の純増減額」、「長期借入れによる収入」、「長期借入金の返済による支出」、「社債の発行による収入」、「社債の償還による支出」の合計)等によるものであります。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

(ⅰ) 生産実績

 当企業集団で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

(ⅱ) 受注実績

 当企業集団で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

(ⅲ) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

IT/AI/IoT/DX事業

4,875,982

117.6

カスタマーサポート事業

1,357,543

73.9

人材・教育事業

1,468,256

110.2

EC事業

1,654,561

126.1

保険事業

452,463

-

投資・インキュベーション事業

206,711

243.7

合計

10,015,519

115.0

 

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.本表には非継続事業からの実績は含んでおりません。

3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下の通りです。

 なお、当連結会計年度のSOMPOホールディングス㈱に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

SOMPOホールディングス㈱

1,001,750

11.5

-

-

 

(5) 重要な会計方針及び当該見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当企業集団は、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。

 なお、当連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載の通りであります。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当企業集団の主な資金需要は、中期経営計画で掲げた「クライアントとともに社会問題をビジネスで解決する、価値共創企業」への展開を実現するために必要となる、M&A・資本業務提携、新規事業開発、優秀な人材採用、マーケティング費用等の戦略投資資金の他、運転資金、借入金の返済及び支払利息等があります。

 運転資金については自己資金の活用により賄い、戦略投資資金については、自己資金に加え、金融機関からの借り入れや社債発行等により調達を行うこととしております。資金調達については、多様な資金調達手段から、調達時の状況に応じて最適な手段を選択し、安定的な資金の確保、資本コストの最適化に努めてまいります。なお、当社は、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行1行と2,000百万円のコミットメントライン契約を締結しており、当該契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高は500百万円であります。

 2022年6月30日現在の契約債務の概要は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32.金融商品(4)流動性リスク管理」に記載の通りであります。

 

(7) 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当企業集団の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

1.株式譲渡契約

(1)㈱エッグの完全子会社化

 当社は、2022年1月31日開催の取締役会において、㈱エッグの全株式を取得して子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。なお、2022年2月28日に全株式取得が完了しております。

 詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.企業結合」をご参照ください。

 

(2)日本ペット少額短期保険㈱の完全子会社化

 当社は、2022年2月14日開催の取締役会において、日本ペット少額短期保険㈱の全株式を取得して子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。なお、2022年4月26日に全株式取得が完了しております。

 詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.企業結合」をご参照ください。

 

2.コミットメントライン契約

 当企業集団は、効率的な運転資金の調達のため、取引銀行1行と2,000百万円のコミットメントライン契約を締結しております。なお、当該契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高は500百万円であります。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。