文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、「入社後活躍」の実現のため、徹底的にユーザー(求職者)目線に立った質の高いサービスを提供するとともに、顧客企業に対し、採用だけではなく教育・評価サービスの提供まで一貫して行うことにより、差別化要素を持った事業の創出に努めております。これらの結果が、ユーザー及び顧客企業の評価に繋がり、当社サービスの利用が促進され、売上高及び利益の増加に結びつくと考えております。
当社グループが属する国内人材ビジネス市場の基本的な環境は、生産年齢人口の減少や産業構造の変化等による構造的な人手不足が存在しており、企業の採用需要は底堅い状況にあるものと認識しております。更に、若手層を中心とした転職の一般化や終身雇用制度を始めとした日本型雇用制度の急激な変化により、雇用の流動化が一層進み、国内人材ビジネス市場にプラスとなると考えております。
海外における人材ビジネス市場は、当社が注力するベトナム、インドともに主要先進国を上回る経済成長をしており、人口が多く平均年齢も若いことから、中長期的な人材ビジネスの成長期待が高いと考えております。また、国を問わずIT・テクノロジー分野の市場成長期待及び同分野の人材ニーズは高く、オフショア開発等を含めてベトナム、インドの成長期待は高いものとみております。
短期的には新型コロナウイルスによる経済活動の停止、顧客企業の業績悪化、景気後退及び採用活動の停滞等により、当社グループの業績に大きな影響があると見込まれます。しかしながら、国内においては、上記の構造的な人手不足要因等により、海外においては経済成長の回復に伴う採用活動の再開等により、新型コロナウイルス収束後は徐々に採用需要が戻るものと考えております。このため、回復局面において市場成長を上回るための人材やサービスの質と量を保つことが重要と捉えております。
当社はこのような状況を踏まえ、今後は求職者及び採用企業によるサービス利用の多様化とともに選別も進むものと考えております。このため、「入社後活躍」をゴールとし、従来から強みとしているユーザーファーストなサービスの更なる向上を図るとともに、顧客企業の採用成功及び採用人材の入社後活躍による顧客企業の業績貢献に繋げることで、模倣が困難な差別化要素を持ったサービスにしてまいります。
また、「engage」等によるテクノロジーサービスへのシフトを進めることで、当社が従来アプローチすることが難しかった地域や企業規模の顧客に対して、効率的にサービスを提供することが可能となります。これにより、求職者の選択肢も広がることから、「入社後活躍」をより多くの顧客企業・求職者に提供することを目指してまいります。
更に、国内外問わずデジタル領域や今後成長が期待される人材サービス・非人材サービス領域においてM&Aや出資を強化していく方針です。これにより、当社既存事業との連携強化を図ることや、成長が期待できる有望な領域において迅速な参入及び成長を図ることを目指してまいります。
当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性がある主な事項を以下に記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資判断、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項について、投資家及び株主に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社グループの経営状況及び将来の事業についての判断は、以下の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(特に重要なリスク)
(1) 景気の変動と雇用情勢について
当社グループの事業は景気動向や雇用情勢等の影響を受けやすいものであり、当社グループの想定を超えた経済環境の変化があった場合は、当社グループの業績に影響を与えうるリスクであると考えております。特に、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大は、国内外の経済環境に大きな変化をもたらすものであると考えております。
当社グループでは、この事態に対応すべく、従業員及び顧客企業の安全確保と感染拡大防止の観点を重視しながら、様々な対策を実施しております。従業員に対しては、2020年4月6日以降、全事業所において雇用形態を問わず、原則在宅勤務とし、その後も必要に応じたローテーション勤務とし、感染リスクの低減に努めております。また、以前から利用しておりましたオンライン商談システムを、「with コロナ」に適合した営業ツールとして、より一層活用してまいります。
一方で、新型コロナウイルスが、国内および海外主要各国において収束に向かわず、感染拡大が長期間にわたり続いた場合には、経済に与える影響がより深刻なものとなり、当社グループの業績にも影響を与える可能性があります。ただ、現時点ではその収束時期を予想することは極めて困難であり、当社の通期業績計画を合理的に算定することは極めて困難ですので、通期業績予想は、可能な状況になり次第、速やかに公表する事とします。
(2) 個人情報保護について
個人情報の外部漏洩はもちろん、不適切な利用、改ざん等の重大なトラブルの発生は、当社グループの業績に影響を与えうるリスクと考えております。
当社グループは、個人情報の管理を事業運営上の最重要事項と捉え、個人情報を取り扱う際の業務フローや権限、組織体制を明確にし、個人情報保護規程をはじめとした規程や規則等を制定しております。また、従業員を対象としたe-ラーニングなどの社内教育を通じて関連ルールを周知徹底し、個人情報保護法及び関連法令等の法的規制の遵守に努めております。しかしながら、個人情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、契約内容にかかわらず法的責任を課せられる危険性があります。あるいは、法的責任まで問われない場合でもブランドイメージが毀損し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3) M&Aについて
当社グループは事業拡大の一環としてM&A等を展開しており、今後も必要に応じて実施してまいります。ただし、M&A等は、将来予測を基に実施するものであり、不確実性が伴います。
当社グループでは、M&A等を実施する場合には、対象企業の財務内容や契約関係等について詳細な事前調査・検討を行い、極力不確実性を排除するように努めております。しかしながら、M&A後に、偶発債務等の発生や事業環境の変化等により計画通りの事業展開を行えなかった場合は、のれんや関係会社株式の減損処理が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4) 内部管理体制の充実及び法令遵守について
当社グループは国内外において子会社、関係会社が増加しており、それに比例して不正行為等による法令違反の発生可能性が増加することが想定されます。
当社グループは、これらのリスクの低減のため、各種法令・ルールに則った規程等を制定するとともに、その遵守を担保するため、内部統制システムを整備しております。また、代表取締役社長直轄の独立した組織として内部監査室を設置し、国内外を問わず、監査を通じて当社グループ全体における法令・ルール等の遵守状況の確認等を行っております。しかしながら、人的要因及び急激な事業環境の変化により、内部統制に関する制度の構築、運用、モニタリングのいずれかが充分に機能しない場合、様々な事業リスクを適切に管理できず、業績に影響を与える可能性があります。また、内部統制に関する制度が完全にその機能を果たしたとしても、これらは違法行為のすべてを排除することを保証するものではなく、従業員による重大な過失、不正、その他の違法行為等が生じた場合には、訴訟や損害賠償等の発生により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) 技術開発に伴うサービスの陳腐化について
インターネット関連事業は技術革新が著しく、新技術、新サービスが常に生み出されております。当社グループ事業はインターネットと深く関わっており、競争力のあるサービスを提供し続けるためには、かかる新技術及び新サービスを適時に提供することが重要になります。
当社グループでは、ユーザーやクライアントから寄せられる様々なリクエストを吸い上げ、自社システムに反映することや、新技術を用いた質の高いサービスを提供するため、各企画部門が中心となり関係部署と協議の上、新規サービスを開発する体制をとっております。また、新技術を持ち当社サービスとシナジーが発揮できる企業と、業務資本提携やM&A等を実施することで、技術革新に積極的に対応しております。しかしながら、他社が極めて革新的な新サービスを開発し、かつこれに対抗するためのサービスの提供が遅れた場合には、業界内での競争力の低下を招き、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(重要なリスク)
(1) 第三者との係争について
当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守しておりますが、事業活動に関して重要な訴訟等が提起され、当社グループに不利な判断がなされた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2) 大規模自然災害、ネットワーク障害等について
当社グループの事業はコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や電力供給の停止、通信障害等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの対象事業を営むことができなくなる可能性があります。また、何らかの原因で一時的な過負荷によって当社グループ又はインターネット・サービス・プロバイダーのサーバーが作動不能に陥ったり、外部からの不正な手段によるサーバーへの侵入等の犯罪や役職員の過誤によるネットワーク障害が発生する可能性があります。これらの障害が発生した場合には当社グループに直接的損害が発生するほか、サーバーの作動不能や欠陥等に起因して、当社グループの信頼が失墜し取引停止等に至ったり、当社グループに対する訴訟や損害賠償請求等が発生することも想定されます。また、大規模なネットワーク障害、大地震等の災害が発生した場合、ユーザーにおける消費活動の萎縮などが生じえます。この場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3) 特有の法的規制等に係るものについて
当社グループは、自らが事業を展開する国又は地域の法令等を遵守する必要があります。また、一定の事業においては各国・地域の許認可等を取得する必要があります。
当社グループがこれら法令等の違反又は許認可等を失った場合には、対象事業を営むことができなくなる可能性があります。更に、将来当社グループに適用される法令等の新設又は改正、司法・行政解釈等の変更がある場合は、それに応じた体制整備を迫られ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(4) 海外子会社について
当社グループの中には海外子会社がありますが、海外子会社の運営に際しては為替変動リスクがあるほか、各国及び各地域等の経済情勢、政治情勢、法規制、税制等の変化による影響や、ビジネス慣習の違い等、特有の業務上のリスクがあります。今後、当社グループ内に占める海外子会社の売上、利益の割合が増加し、各国及び各地域等の経済情勢等に変動があった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) 新規事業について
当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を実現するために、新規事業を開拓していく方針であります。実施にあたってはリスクを軽減するために必要な情報収集及び検討を実施しておりますが、不確定要素が多く存在する可能性があり、新規事業の展開が予想通りに進まない場合、また、新規事業への取り組みに付随したシステム投資・研究開発費・広告宣伝費・人件費等の追加的な支出が発生した場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(6) 事業領域について
当社グループは、「人材採用・入社後活躍」を支援する企業としてこれまで培ってきたノウハウ及びブランド力を活用できる領域を中心に事業を推進しております。しかしながら、当該市場規模の縮小や成長鈍化、又は当社グループにおける各種サービスの競争力低下や価格下落等の要因により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7) 競合について
当社グループが事業を展開する市場では、各分野において多数の競合他社が存在しております。これらの競合他社が当社グループより低い価格で同水準のサービスを展開した場合や、個人ユーザーを取り込む斬新なサービスを提供した場合、当社グループのシェアが下がり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(8) 人的資産について
当社グループが成長に向けて企業基盤を拡充するためには、営業体制の強化や技術開発が不可欠であると考えていることから、優秀な人材の確保・育成には重点的に取り組んでおります。今後、更なる業容拡大を目指す上で、必要な人材を確保・育成できない場合や事業ノウハウを持った人材が社外へ流出した場合には、当社グループの事業活動及び業績に影響を与える可能性があります。
また、人材の確保・育成が順調に進んだ場合でも、人件費、設備コスト等の固定費が当社グループの想定以上に増加した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(9) ストック・オプション制度による株式価値の希薄化について
当社グループはストック・オプション制度を採用しており、今後ストック・オプションが行使された場合には、株式価値が希薄化する可能性があります。
今後これらストック・オプションが行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が最大で0.30%希薄化する可能性があります。
(10) 検索エンジンへの対応について
インターネットユーザーの多くは、検索サイトを利用して必要な情報を入手しており、当社グループの各サービスにおいても、これら検索サイトから多くの利用者を集客しております。当社グループでは、担当部署を設け検索エンジンの仕様変更等に対応できる体制を整えております。しかしながら、今後、検索エンジン運営者における上位表示方針の変更やシステムトラブル等、何らかの要因によって検索結果の表示が当社グループにとって優位に働かない場合には、当社グループの集客効果は減退し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11) 特定の取引先業種との取引について
当社グループは特定業種に拘らず幅広い業種・職種を対象として営業活動を行っております。しかし、求人求職サービスの需要はその時々の経済情勢と密接な関係があり、特定の産業に偏るといった結果になることが予想されます。今後も幅広い業種・職種を対象として営業活動を展開する方針ですが、特定業種の好不況が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(12) 広告宣伝活動について
広告宣伝活動は、一般に効果を予測することが困難であり、過大な広告宣伝費の支出は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループの事業拡大には、当社グループのブランド認知度を向上させることが重要であり、専門部署による適切な管理のもと、既存媒体を含めた広告宣伝活動を積極的に展開しております。しかしながら、広告宣伝活動の内容によっては費用の増大に繋がるリスクがあります。
(13) 知的財産権侵害等について
当社グループは、提供する各種サービスの名称等における商標権やコンテンツにおける著作権等、多数の知的財産権を保有しております。当社グループは、知的財産権における権利の保護、維持、取得を適正に行っておりますが、第三者との間で知的財産権に関する訴訟の当事者となる可能性があり、その結果、損害賠償等の費用が発生し、当社グループの事業遂行及び業績に影響を与える可能性があります。
逆に、第三者が当社グループのサービスと同一・類似の名称を無断で使用した場合には、ユーザーの誤謬を招いたり、当社グループの評判・信用が毀損され、業績に影響を与える可能性があります。
(14) 代表取締役への依存について
当社の代表取締役会長である越智通勝及び代表取締役社長である鈴木孝二は、当社グループの経営方針や事業戦略全般の策定等、多方面において重要な役割を果たしております。当社グループは、代表取締役に過度に依存しない経営体質の構築を進めておりますが、何らかの理由により代表取締役に不測の事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度の売上高は、主に海外子会社の新規連結寄与及び国内の求人サイト並びに人材紹介の増加により、56,848百万円(前期比16.7%増)となりました。総費用は、海外の新規連結子会社の費用増及び中長期的な事業成長に向けた先行人員増に伴う人件費、HR-Tech事業におけるプロモーション費用の積極投下等により、45,843百万円(前期比23.7%増)となりました。
これらの結果、営業利益は11,005百万円(前期比5.6%減)、経常利益は11,057百万円(前期比6.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、7,125百万円(前期比12.5%減)となりました。
(単位:百万円)
① 売上高
国内の求人サイトは、人材紹介会社向けサイト及び派遣会社向けサイトの伸長により、前連結会計年度を上回る売上高となりました。
国内の人材紹介は、主に子会社のエンワールド・ジャパン株式会社の伸長により、前連結会計年度を上回る売上高となりました。
海外事業は、インドのIT派遣会社 Future Focus Infotech社(以下FFI社)の新規連結化、注力国であるベトナムの伸長により、前連結会計年度を上回る売上高となりました。
HR-techは、当連結会計年度より「engage」の一部有料化を開始し、四半期毎に売上高が拡大いたしました。
これらの結果、売上高は前連結会計年度比16.7%増の56,848百万円となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、IT派遣事業を展開するFFI社の新規連結化に伴い、派遣人員の労務費及び業務委託費が加わったことから、前連結会計年度比123.2%増の10,451百万円と大幅な増加となりました。
販売費及び一般管理費は、中長期的な事業成長に向けた先行人員増に伴う人件費、これに関連した地代家賃及びサイト運用関連費用等が増加しました。また、広告宣伝費はHR-Tech事業において積極的な投資を行ったものの、国内求人サイトにおいて売上高に連動したコストコントロールを行った結果、微増となりました。
これらの結果、販売管理費及び一般管理費全体では、前連結会計年度比9.3%増の35,392百万円となりました。
③ 営業利益
売上高が増加したものの、次年度以降の本格的な売上成長を目的として、人材紹介において先行投資となる人員増加を図ったこと、HR-techの「engage」にプロモーションを中心とした積極的な先行投資を行ったこと等により総費用の増加が上回ったことから、営業利益は前連結会計年度比5.6%減の11,005百万円となりました。
④ 経常利益
営業利益が減少したこと、営業外費用として非連結子会社への貸付金に対し、貸倒引当金を計上したこと等から、経常利益は前連結会計年度比6.6%減の11,057百万円となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
経常利益が減少したこと、特別損失として投資有価証券の評価損を計上したこと等から、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比12.5%減の7,125百万円となりました
当社グループの報告セグメントは、「採用事業」と「教育・評価事業」に区分しておりましたが、当連結会計年度より、「人材サービス事業」の単一セグメントに変更しております。このため、主要な事業の概況について、管理会計ベースの数値を用いて下記に記載いたします。
主要な事業の概況
(単位:百万円)
※各事業の売上高合算と連結売上高との差異は、事業間調整及び連結調整等によるものであります。
(国内求人サイト)
「エン転職」は、当期の戦略方針に基づき、顧客企業に対する効果面の優位性を活かして、採用予算が大きい顧客企業内のシェアを拡大したことから、平均掲載単価の上昇に繋がりました。一方で、中小顧客企業においては、想定よりも競合企業による掲載期間延長及び価格割引が強まったことを受け、掲載件数が減少しました。第4四半期においては「engage」とのセット販売等により、掲載件数は回復基調となりましたが、通期の売上高は前年を若干下回りました。
人材紹介会社向け求人サイトは、「ミドルの転職」において、下期に景況感悪化懸念に伴い、顧客の人材紹介会社の成約数が弱まったものの、課金体系の変更及び顧客企業のサイト活用度の向上により、通期では順調な売上高の増加となりました。若手ハイキャリア向けサイト「AMBI」は、ブランド認知の向上及びターゲット会員・企業双方が順調に増加したことから、大幅な増収となりました。
派遣会社向け求人サイトは、「エン派遣」が大手派遣会社内における高いシェアを維持し、安定的な売上高成長、「エンバイト」が介護領域等の拡大による大幅な売上高成長となりました。
なお、各求人サイトともに3月から新型コロナウイルスの国内拡大による事業への影響を受けたものの、2020年3月期における業績影響は限定的でありました。
これらの結果、国内求人サイトの売上高は前期比2.3%増の32,126百万円となりました。
(国内人材紹介)
子会社のエンワールド・ジャパン株式会社は、期中に景気減速懸念からメーカーを中心とした顧客の需要減が見られたものの、他業界へのシフト等を進めていたことから第4四半期は再び増収へ転じました。
エン・ジャパンの人材紹介「エン エージェント」は、期初に増員した人員の業績貢献が高まったことや、組織・運用体制の構築が進んできたことから、第4四半期に反転増収となりました。
なお、両人材紹介サービスともに3月から新型コロナウイルスの国内拡大による事業への影響を受けたものの、2020年3月期における業績影響は限定的でありました。
これらの結果、国内人材紹介の売上高は前期比6.5%増の11,878百万円となりました。
(海外事業)
海外事業は、非注力国において前期を下回る売上高となったものの、注力国であるベトナム及びインドは、通期で想定を上回る売上高となり、好調に推移いたしました。また、インドにおいては当連結会計年度よりIT派遣事業を展開するFFI社の業績が反映されております。
なお、海外子会社は3ケ月遅れて業績を取り込んでいるため、新型コロナウイルスによる、2020年3月期の業績影響はありません。
これらの結果、海外事業の売上高は前期比131.8%増の10,745百万円となりました。
(HR-Tech)
人事・採用プラットフォームの「engage」は、積極的なプロモーション活動を行ったことにより、利用社数は27万社(2020年3月現在)と順調に増加いたしました。また、2019年4月より開始した有料プランは、有料利用社数が順調に増加したこと、応募数の増加施策が奏功したことから売上高は前四半期比で116.4%増の大幅増収となり、通期の売上高は475百万円となりました。
なお、「engage」は新規サービスであり、新型コロナウイルスによる業績影響を比較分析することが困難でありますが、上述の通り四半期売上高は順調に増加しており、影響は無かったと判断しております。
(新型コロナウイルスによる当社業績への影響)
2020年3月期においては、新型コロナウイルスによる当社業績への影響は限定的でありました。
次期、2021年3月期の現時点における当社見通しは下記の通りです。
短期的には新型コロナウイルスに起因した顧客企業の採用需要減少や採用の見合わせにより、当社業績は大きな影響を受けることが想定されます。構造的な人手不足要因等により、コロナ収束後は徐々に採用需要が回復するものとみておりますが、新型コロナウイルスに関しては、その収束時期を予想することは極めて困難であり、現時点で当社の通期業績計画を合理的に算定することも極めて困難であります。
以上のことから、直近の動向を踏まえて、第1四半期連結会計期間のみの業績予想を開示することが最も適切であると判断いたしました。第1四半期連結会計期間の売上高は10,000百万円(前年同期比△27.3%)、営業利益は115百万円(前年同期比△96.0%)、経常利益は142百万円(前年同期比△95.1%)、親会社株主に帰属する四半期純利益は3百万円(前年同期比△99.8%)を予想しております。
売上高については、国内求人サイトが前年同期比44%程度の減収、国内人材紹介が前年同期比10%程度の減収、海外子会社が前年同期比20%程度の減収を想定しております。これらは主に新型コロナウイルスに起因した、経済活動の停止による企業の採用ニーズ減少及び採用プロセス長期化が影響しております。HR-Techに関しては前年同期比約8倍の増収を想定しております。
費用に関しては、売上高の状況及び広告効率の改善により、広告宣伝費や業務委託費等の変動費を中心に抑制を図りますが、業務委託費関連の本格的なコスト削減は、第2四半期連結会計期間からとなる予定です。
以上のことから、第1四半期連結会計期間においては、売上高の減少に対する費用の減少は限定的であり、営業利益は大幅な減益を想定しております。
当社グループの主たるサービスは、求人サイトの運営及び人材紹介であるため、生産に該当する事項がありません。よって、生産実績に関する記載はしておりません。
当連結会計年度における受注実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社グループの事業は単一セグメントであります。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
3.関係会社間取引については相殺消去をしております。
4.派遣形態は、サービスの提供量に応じて対価を得るため受注実績には含まれておりません。
当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注)1.当社グループの事業は単一セグメントであります。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,043百万円増加し、51,896百万円となりました。
このうち流動資産は190百万円減少し、37,065百万円となりました。これは現金及び預金が328百万円減少し、貸倒引当金が112百万円増加したこと等によるものであります。また、固定資産は2,234百万円増加し、14,830百万円となりました。これは、投資有価証券が988百万円、のれんが382百万円、ソフトウエアが281百万円増加したこと等によるものであります。
(負債)
負債合計につきましては、前連結会計年度末に比べ1,137百万円減少し、13,247百万円となりました。このうち流動負債は1,511百万円減少し、11,762百万円となりました。これは未払金が1,228百万円、未払法人税等が189百万円減少したこと等によるものであります。また、固定負債は374百万円増加し、1,485百万円となりました。これはリース債務が224百万円、長期未払金が146百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ3,181百万円増加し、38,648百万円となりました。これは利益剰余金が4,092百万円、資本剰余金が594百万円増加したものの、自己株式が1,457百万円増加したこと等によるものであります。
なお、当社グループでは各セグメントの資産情報を資源配分や業績評価のために使用することはないことから、セグメント別資産情報は作成しておりません。
(3) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度に比べて1,175百万円減少し、28,766百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
① キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、8,044百万円のプラス(前連結会計年度は10,680百万円のプラス)となりました。これは、税金等調整前当期純利益10,608百万円、法人税等の支払額3,599百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、4,127百万円のマイナス(前連結会計年度は4,556百万円のマイナス)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出1,590百万円、投資有価証券の取得による支出1,459百万円、定期預金の預入による支出1,111百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、5,036百万円のマイナス(前連結会計年度は2,237百万円のマイナス)となりました。これは、配当金の支払額3,012百万円、自己株式の取得による支出1,586百万円があったこと等によるものであります。
当社グループでは、主として営業活動によるキャッシュ・フローにより、必要とする資金を調達しております。また、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行1行と当座貸越契約(極度額1,000百万円)を締結しておりますが、当連結会計年度末日における借入実行残高はございません。
上記に加え、取引銀行1行とコミットメントライン契約(極度額5,000百万円)を当連結会計年度末日後に締結しております。
なお、重要な設備の新設等の計画はございません。
② 財務方針
当社グループは、財務の安全性を担保した上で中長期的な利益成長の観点から、事業ステージに応じた適切な投資を図りつつ、M&Aや出資など戦略的な投資も行っていくことを基本方針としております。これとともに、株主の皆様への還元を重要な施策と捉えていることから、「配当性向50%」を基本方針としております。また、財務状況、戦略投資の進捗状況及び株式市場動向等を総合的に踏まえ、自己株式の取得を適宜検討いたします。
なお、今後の景気動向及び業績動向により、上述の財務方針は変更される場合もございます。
③ 資金使途
主に人件費及び広告宣伝費を中心とした運転資金、法人税の支払い、配当金の支払いに資金を充当しております。また、テクノロジー分野を中心としたM&A及び出資を強化する方針に基づき、資金を充当しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、事業用資産等について継続的に収支の把握を行っている管理会計上の区分に基づきグルーピングを行っており、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上しています。
固定資産の回収可能価額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
当社グループでは、その他有価証券のうち、取得原価に比べ時価又は実質価額が著しく下落したものについては、回復可能性があると判断される場合を除き、減損処理を行っております。
時価のあるものについては、決算日現在の時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満下落した場合には、個別銘柄ごとに株価の推移、市場環境の動向、最高値・最安値と購入価格との乖離状況、発行会社の業績の推移等を総合的に勘案し、回復可能性を判断しております。
時価のないものについては、発行会社の実質価額が取得原価に比べて50%以上低下した場合には、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられる場合を除き、減損処理を行っております。
経営者は、回復可能性の判断が適切なものであると判断しておりますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落又は投資先の財政状態及び経営成績の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。
当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は各社、各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されております。
経営者は、当該計上額が適切なものであると判断しておりますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社、各納税主体の経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。