第2【事業の状況】

1【業績等の概要】

(1)業績

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、中国経済の先行き不安や欧州・中東における政治的混乱、資源安の影響から不透明感が広がった業種が多く、停滞した状況となりました。インターネット業界においては、スマートフォンやタブレットの需要に落ち着きが見える一方、IoT関連のビジネスの事業化が進み、また映像や音楽の定額配信サービスなどが話題になりました。こうした環境下、当社グループでは、動画配信やCDNサービスのサービスメニューの強化を進めつつ、ライブ配信、スマートフォン向け配信関連等の堅調な需要があるサービスの販売に注力いたしました。

 販売面においては、医薬系の業界を中心とした情報提供のためのライブ配信や関連した映像コンテンツ制作等の受注は、大口顧客からの受注減の影響があり微減となりましたが、メディア系の利用を中心に、その他の業界における受注は堅調に推移しました。ウェブサイトの構築、運用に関して比較的大口の案件の獲得が進みました。映像制作については制作業務を行う子会社においてメディア企業からの受注が減少したことから、前年を下回りました。

 費用面では、提案営業実施のための工数や経費の増加のほか、採用活動も含め積極的な人的投資に係る費用の増加や、将来的な事業規模の拡大に備えたオフィスの増床、新規事業開拓に向けた調査等の活動を実施したこと等に伴い、販売費及び一般管理費が増加しました。

 こうした環境下、当社グループでは、ライブ配信関連、スマートフォン向け配信関連等の堅調な需要があるサービスの販売促進を行いつつ、「J-Stream Equipmedia(イクイップメディア)」等、オンデマンド動画配信向けの各種付帯サービスの機能拡充を進めました。

 

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、連結売上高4,955百万円(前年同期比1.9%増)となりました。利益面においては、連結営業利益305百万円(前年同期比12.2%減)、連結経常利益307百万円(前年同期比13.7%減)となり、また、親会社株主に帰属する当期純利益は180百万円となり、前年同期比37.0%減となりました。

 

 なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13 日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。また、第4四半期においては法人向け動画配信ASPサービスを提供していたビムーブ株式会社の株式を完全取得し子会社化いたしました。当連結会計年度における損益への影響は軽微ですが、今後同社の営業基盤及び開発能力を活用し、グループ全体の動画配信サービスの販売展開の加速と開発能力の強化を進めてまいります。

 

セグメントの売上は次のとおりであります。
 

 

(配信事業)
 配信事業は、当社グループが保有する配信インフラ、ネットワーク、ソフトウェア資産を顧客に提供し、利用料を得る事業です。PC、携帯電話、タブレット端末、スマートフォン等の各種端末を対象とするライブ及びオンデマンドストリーミング、ダウンロードサービスや、配信に伴って利用される各種アプリケーションの提供等が含まれます。

 当連結会計年度においては、医薬系業界の企業によるオンライン講演会等の情報提供に関連するライブ配信案件の売上が、大口顧客からの受注減に伴い前年対比低調となりましたが、一般企業向けの「J-Stream Equipmedia」を主力サービスとしたオンデマンド配信は比較的堅調となりました。またメディア系のネットワーク利用も大口配信案件の増加に伴い増加いたしました。当事業の売上高は2,594百万円(前年同期比2.4%増)となりました。

 

(制作・システム開発事業)

 制作・システム開発事業は、ウェブサイトやシステム、コンテンツ等の制作・開発を顧客から受託し、成果物を提供する事業です。配信する映像等コンテンツの制作や、コンテンツを視聴する受け皿となるウェブサイトの制作、顧客が一般消費者向けに展開するコンテンツ配信ビジネスや情報提供サイトのシステム開発、運用等が含まれます。

 当連結会計年度においては、医薬系の映像制作や、子会社における収録や編集といった映像制作売上が低調となりました。メディア企業向けのサイト運用や、制作案件受注は安定して推移しました。当事業の売上高は2,255百万円(前年同期比2.4%減)となりました。

 

(その他)

 その他の売上には案件の進行に伴い随時発生する、上記2事業にあてはまらない売上が含まれます。当連結会計年度におけるその他の売上高は、動画広告ビジネスに関連する受注が獲得できたことから増加し、104百万円(前年同期比426.9%増)となりました。


(2)キャッシュ・フロー

 当期における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ146百万円減少し、当連結会計年度末には2,072百万円となりました。
 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益306百万円の計上、減価償却費263百万円の計上、売上債権の増加111百万円、未払金の増加39百万円などがありました。この結果、営業活動によるキャッシュ・
フローは339百万円(前年同期比45.1%減)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動よるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得のほか、子会社株式の取得などにより、431百万円の支出(前年同期比116.3%増)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動によるキャッシュ・フローは、55百万円の支出(前年同期比5.8%増)となりました。

2【生産、受注及び販売の状況】

(1)受注状況

 当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

配  信

2,636,413

101.1

912,576

104.8

制作・システム開発

2,309,010

98.8

264,575

125.2

 報告セグメント計

4,945,423

100.0

1,177,152

108.8

そ の 他

104,420

494.6

4,038

90.7

合計

5,049,844

101.7

1,181,190

108.7

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 平成27年4月1日 至 平成28年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

配  信

2,594,839

102.4

制作・システム開発

2,255,747

97.6

 報告セグメント計

4,850,587

100.1

そ の 他

104,835

526.9

合計

4,955,422

101.9

 (注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

3【対処すべき課題】

 当社では、以下の点を重要な課題として掲げております。これらの重要課題への対応策を具体的な施策に反映させ、業容拡大や会社の健全な運営、社会貢献に努めてまいります。
 

・スマートフォン、各種携帯情報端末など各種配信先デバイスへの対応(クロスデバイス対応)

・企業のマーケティング活動への貢献に直結するサービス展開(集客支援、効果測定、高いユーザビリティー等)

・これらのサービスを利用した新規顧客層の効率的開拓

・新ネットワーク(IPv6、無線、NGN、P2P配信等)への対応

・コンテンツビジネスに対応するプラットフォーム作り

・海外向け配信の更なる拡充

・クリエイティブ(制作)競争力の向上と制作体制の強化

・新商品開発と新領域へのチャレンジ

・代理店施策の充実

・動画広告等の新しい事業領域の確立

 

ステークホルダーに信頼される企業となるための課題

・グループ経営の一層の効率化

・社員の働きがいの向上と能力開発

・新技術への取り組み・チャレンジの促進

・業界最先端の知識・スキル習得研修制度の充実

・充実した職場環境づくり

 

公共性への配慮と社会的貢献の為の課題

・内部統制システムの継続的改善

 

4【事業等のリスク】

 以下には、当社の事業展開上のリスクの要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、事業上のリスクとして具体化する可能性が低いと見られる事項を含め、投資者の投資判断上必要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社は、これらのリスクの発生の可能性を認識した上で、その発生の予防及び発生の際の対応に努力する方針ですが、本株式に関する投資判断は、以下の特別記載事項を慎重に検討の上、行われる必要があると考えられます。

 

 主に外部環境との関わりに伴うリスク

 

①事業環境の変化について

 

・ネットワーク構築について
 当社グループは、インターネットを利用した動画や音声をできるだけ多くのインターネットユーザーに快適にご利用いただくために、複数の大手IDCやブロードバンド事業者にサーバーを設置し、インターネットへの配信用回線を借用する契約を締結しております。当社グループはこれらの契約により各拠点からの配信を行っております。これらのIDCあるいはブロードバンド事業者の事業の状況やインターネットコンテンツ配信に対する戦略の変化などによって、サーバー設置料金の値上げや契約の解消などの事態が発生する可能性があります。これが当社グループのネットワークの品質の低下やコストの増加などにつながることにより、当社グループの事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

・モバイル領域のサービスについて
 モバイル領域のビジネスにおいては、対応するアプリケーションの開発や流通の過程において通信キャリアや、スマートフォンOS事業者の事業戦略、法制度を含む社会的要請を受ける度合いが高くなります。アプリケーションソフトウェアの認可や配信の可否、配信料金、配信フォーマット、取得したデータの管理手法への規制などについて当社グループが予期しない変更が行われ、それにより当社グループの売上に影響が及ぶ可能性があります。サービスの質が端末の性能に左右されることも、配信コンテンツの評価に影響を及ぼします。また端末に関しては頻繁にモデルや機種の更新が行われており、その都度当社グループが配信するコンテンツの動作確認が必要となったり、開発の難易度が高くなることが今後サービスの提供体制に影響し、利益率に影響を及ぼす可能性があります。

 

・動画コンテンツ視聴市場について
 当社グループは、インターネットを通じて映像コンテンツを提供するコンテンツプロバイダーにコンテンツ配信
サービスを提供しています。こうしたコンテンツを視聴する配信市場の成長が芳しくない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

・動画配信に利用するソフトウェアについて
 当社グループの動画配信サービスの多くは、マイクロソフト社、アドビシステムズ社、アップル社などが提供する市販の配信ソフトウェアを利用して行っております。今後こうした配信ソフトウェアやその基盤となる基本ソフトウェアの変化に伴い市場に予想外の変化がおき、これらソフトウェアの価格が大幅に上がることなども考えられます。これにより当社グループの原価が上昇し、当社グループの想定している利益計画が悪化する可能性があります。

 

・動画配信関連プラットフォーム/アプリケーションサービスについて
 当社グループの動画配信サービスは、コンテンツの配信ウェブサイトの作成・運用を行うプラットフォームや、効果測定、アクセス制限、著作権管理等、各種の機能追加のためのアプリケーションを伴って提供される場合があり、当社グループではこれらの一部を外部から調達しております。今後こうした動画配信関連プラットフォーム/アプリケーションの進歩や提供される条件等に予想外の変化がおき、当社グループの原価が上昇し、当社グループの想定している利益計画が悪化する可能性があります。

 

・スマートフォン関連市場について
 スマートフォンや類似した機器に向けた情報発信やコンテンツ配信はこうした端末の普及とともに広がりを見せておりますが、こうした仕組みの普及やエンドユーザーによるコンテンツに対する支出等がフィーチャーフォン市場の減少を補える水準に至らない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

・特定業界や顧客への依存について
 当社グループの動画配信サービスは、医療、メディアなど特定の業界における動画利用のニーズに基づき利用される場合が増加してきており、こうした業界において販売促進、情報提供等の手法に大きな変化が起きて動画が利用されなくなったり、こうした市場の規模が縮小したり、当社サービスのこうした領域における競争力に低下がみられるなどの要因により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

②市場競争について

 

・競合他社及びサービスについて
 当社グループが事業とするインターネットを利用した動画や音声の配信市場は成長期にあると認識しています。当社グループに類似するビジネスモデルを有する競合会社は、動画向けに限らず広くCDNを提供する外資系を中心とした大手事業者、自社会員へのサービスとして配信を行っている大手ISPや、アマゾン社やマイクロソフト社に代表されるクラウドインフラを提供している事業者、動画配信プラットフォームを提供している事業者などになります。
 当社グループは動画配信に特化したビジネスモデルとノウハウを有しており、動画配信に関しては優位性を維持できるものと考えておりますが、今後競争が激化した際、単純な配信規模や、動画以外での総合的な対応能力などの点も考慮した場合は優位性を構築・維持できるという保証はなく、あるいは低価格競争を余儀なくされることにより、当社グループの売上が低下する可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、コンテンツプロバイダーがコンテンツ配信事業を開始するにあたり、配信部分について当社グループなどの企業に外注せず独自の配信網を構築して配信を実施する可能性があります。この結果コンテンツ配信市場の伸びが当社グループの売上の伸びにつながらなくなる可能性があります。配信サービスを副次的に提供するポータルサイト事業者が、大手コンテンツホルダーと包括的に提携することなどにより、当社グループの現在の業態では対応不可能な差別化要素をもつ競合会社となる可能性があります。
 また、インターネット上で動画を共有する、という名目で動画配信を行うサービスも広く利用されるようになってきております。当社グループにはセキュリティ、配信の安定性などについての差別化要因があると考えられますが、こうした要素を重視しない動画配信についてはこれらのサービスを利用する事例が増加してきており、こうした動きが支配的になるような場合には当社グループの経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

③親会社について

・トランス・コスモス株式会社グループにおける当社グループの位置付けについて
 トランス・コスモス株式会社は、コールセンターサービスをはじめ、ビジネスプロセスアウトソーシングサービス、デジタルマーケティングサービス、マーケティングチェーンマネジメントソリューションサービスなど、それぞれのサービスを単独または融合させることで、マーケティングの最適化及び効率化、売上の拡大、新規顧客の獲得を実現する総合的なITアウトソーシングサービスを提供しています。平成28年3月31日現在、トランス・コスモス株式会社は当社グループ株式の53.78%(議決権数に対する割合)を所有しています。当社グループはグループ内において、インターネットを通じた動画配信サービスを行う唯一の企業であり、独立した経営を行っておりますが、将来のグループの政策変更等により、当社グループの事業展開に影響が及ぶ可能性があります。

 

主に社内要因によるリスク

 

①経営戦略について

 

・特定事業への依存について
 現在、当社グループの売上高の大半は、動画配信そのもの、または動画配信に伴うウェブサイト等の制作・運用から生じております。また、当社グループは、将来的にもPCやスマートフォン等の各種端末に向けた動画配信需要が拡大することを見込み、今後も動画配信事業を当社グループ事業の中核として設備投資やシステム拡充を実施し、社内体制を構築しております(平成28年3月31日現在)。しかしながら、このように特定の事業に依存している現在の状況は、これを補いまたはいずれ代替する新しい事業を長期にわたり開拓できなかった場合や、動画配信市場の需要が当社グループの予測通りに伸びなかった場合に、当社グループの将来の業績につき不確実性を与える要因であると考えられます。

 

・商品開発・技術革新への対応について
 当社グループが主力事業として展開している動画配信事業において、全体の市場規模は拡大傾向が続いていますが、以下のような要因により、現時点において当社グループが想定する売上高あるいは経費の見通しに大きな相違が発生する可能性があり、その結果、当社グループの経営方針や経営戦略の変更を余儀なくされ、当社グループの業績に大きな影響が出る可能性があります。

(1) 技術革新が進む中で、当社が主力としているストリーミング形式の動画配信の優位性が急速に失われたり、ユーザーの嗜好が大きく変化する等、計画策定時の想定を超える不確定要素が顕在化した場合。

(2) 動画配信の価格や、配信に付帯して提供するコンテンツ制作、サイト運用、帯域判別、効果測定等の付帯サービスの内容・品質等の面で同業他社との差別化を図ることができず、ユーザー企業を計画通りに確保できない場合。または、同業他社との競争が熾烈なものになり、価格面での競争が激化する中で、コスト競争力を維持できずに売上規模を維持できない場合。

(3) ウェブサイトやコンテンツの制作コストが予想以上に増加し、効率的な開発体制を維持できず、収益が確保できない場合。

 

②販売・マーケティングに関するリスク

 

・営業活動の不振について
 当社グループの営業担当は、各企業のウェブ担当、広告宣伝担当及び販売促進、営業企画などの当社グループサービスを利用する可能性の高い部署へ連絡を行い、各企業や各部署のニーズを把握し、適切なサービスを提案するという形態の営業を行っております。これに際し企業ニーズの把握が不十分であることなどの理由から、当初予定したとおりの営業結果が出ず、売上が低下する可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

・コンテンツ配信ビジネスにおける販売リスクについて
 当社グループのビジネスにおいて、コンテンツ配信案件については、配信サービスの対価としてコンテンツ
ホルダーとのレベニューシェアによる方式をとる場合があります。この方式では当社グループがコンテンツの販売状況にかかるリスクの一部を負担することとなり、当該コンテンツの販売状況如何によっては利益率の悪化を招く可能性があります。

 

・販売代理店について
 当社グループでは顧客獲得のために販売代理店契約を複数の会社と締結し、当社グループサービスの販売を委託しております。主な販売代理店契約先といたしましては、親会社であるトランス・コスモス株式会社及び株主であるKDDI株式会社を始めとし、ウェブ制作会社、広告代理店、IR関連会社及び印刷会社などがあげられます。現在当社グループの売上高の大きな割合を占める特定の販売代理店はありませんが、将来において販売力の強い大きな販売代理店が当社グループの売上を左右することも考えられ、この場合販売代理手数料などが当社グループの計画以上の支払いになること、売上の多い販売代理会社が競合他社サービスの販売に転換すること、何らかの理由で販売代理店の売上が激減することなどによって当社グループの売上減が生ずるなどして、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③開発に関するリスク

 

・受託開発について
 当社グループのビジネスの大部分はASPサービスを法人顧客向けに提供する構造ですが、ビジネスの中には、顧客向けに特定用途のコンテンツ運用システム等を受託開発するケースもあります。こうした案件は内容の複雑さから開発が長期化、開発費が多額になる場合が多く、予定外の仕様変更、人的な入れ替わりなどプロジェクト進行上の問題により、予定通り開発が進まずに利益率が悪化するリスクがあります。

 

・外部委託について
 当社グループでは、エンコーディング作業、コンテンツ制作、ライブ現場対応、システム監視、撮影、ウェブ制作等の業務において、外部委託を利用しております。コンテンツにかかわる部分の外部委託も行っている関係上、秘密保持契約を結んだ上で信頼のおける業者を利用しておりますが、相互連絡の齟齬に伴う開発の遅延、故意の違法なコンテンツ流用や情報漏洩などの可能性は存在します。またシステムの一部を外部委託する場合には、ネットワーク負荷が高い場合などに、当社グループの想定しないトラブルが発生する可能性があります。こうしたことによる当社グループの信用の失墜が、当社グループの事業や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当該外部委託の運営に支障が生じた場合や、代替先への引継ぎが遅延した等の場合には、当社グループの業務遂行に支障をきたす可能性があります。

 

④管理面のリスク

 

・債権回収等のリスクについて
 当社グループにおいては、顧客、業務提携先や販売代理店を含めた様々な取引先に対して、社内規程等に基づいた与信管理を行い、債権の保全に努めております。しかしながら、顧客及び販売代理店の中には、業歴が浅く、財務状態の情報が十分でないものもあり、予期せぬ経営破綻等により貸倒損失の発生や、売上高の減少が生じた場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

・子会社の管理について
 当社グループは、子会社に対し、業容の拡大に応じて適宜必要な人員の確保や組織体制の強化を図っていく方針です。当社グループは、当社グループ全体としての目標が達成できるように、子会社に対して経営管理面でのサポートを横断的に行ってまいります。しかしながら、何らかの理由で子会社における体制整備が遅延した場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

・人材の獲得・育成について
 当社グループでは、事業の拡大や多様化に伴い、積極的に人員の増強、内部管理体制の一層の充実を図る方針であります。しかし、IT業界全体で人材が不足する中、コンピューター技術あるいはインターネットビジネスに精通しているなど、当社グループが必要とする人材を獲得したり、また育成することは容易でなく、新たな人材の獲得・育成が順調に進まなかったり、様々な理由により人員が減少する事態が発生するような場合には、適切かつ十分な組織的対応ができず、事業の拡大及び業務の管理に支障をきたす可能性があります。また、人材の獲得・育成が順調に行われた場合においても、人件費、教育及び管理関連コストの増大など、固定費の増加によって利益率が低下する可能性があります。

 

⑤事故、トラブルに関するリスク

 

・情報漏洩について
 当社グループが顧客から預かるデータの中には、特定の会員だけを対象にしたもの、有料で配信されるもの、無料で公開されてはいるがコピーされてはいけないものなど、情報管理が重要なコンテンツが存在します。当社グループではシステムの設計上や運用方式上でこれらの情報が漏洩することのないように厳重に運用しております。こうした活動の一環として、運営しているウェブサイトに外部機関による脆弱性検査を実施したり、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)よりプライバシーマーク付与の認定を受けるなど、管理体制の整備運用に努めております。しかしながら、不正なアクセスによる意図的な侵害や、人的ミスなどによる情報漏洩の可能性が存在し、これにより当社グループの信頼が低下し事業に大きな影響を与える可能性があります。

 

・サイバー攻撃について
 政府や企業を標的にした標的型攻撃や、サービス妨害攻撃等、情報を窃取したりサービス提供を不能にすること、また攻撃そのものを目的としたサイバー攻撃の事例が増加しています。当社グループでは、提供するサービスや社内システムの状況把握をし、攻撃のリスクを勘案して強化が必要な個所については随時強化を実施しておりますが、こうした攻撃の対象となった結果、当社サービスの提供に不具合がおきたり、その結果当社グループの信頼が低下し事業に大きな影響を与える可能性があります。

 

・システムトラブルについて
 当社グループのサービスは公共的に幅広く利用されることから、サーバーメンテナンス時を除きネットワークシステムを24時間年中無休で運営するように取り組んでおります。システム障害などが発生することのないように日々監視を行い、また二重化できるものについてはシステム、ネットワークにかかわらず準備をし、また万一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できるように体制を整備しております。しかしながら、電力供給不足、自然災害や不慮の事故などによって通信ネットワークが利用できなくなった場合、また人的ミスなどが発生した場合などには、当社グループサービスの提供が困難となり当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。また当社グループが利用しているデータセンターなどで障害が発生した場合など、当社グループの管理し得ないシステム障害が当社グループ事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

・訴訟に関わるリスクについて
 当社グループは事業活動を展開する中で、常に当社グループ及び第三者の権利等に留意し、調査等を行い適法に対応しておりますが、当社の調査や対応が十分でかつ妥当であるとは保証できません。万が一、知的財産権、労務等に関連する訴訟その他様々な訴訟が当社グループに対して提起された場合には、これに対応するための費用が生じるほか、かかる訴訟において当社グループに不利な判断が下された場合には、判断の結果が当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥投資に関するリスク

 

・事業投資、設備投資について
 当社グループでは、事業強化につながる領域に限って、公募増資資金、営業活動によって獲得した資金、新株予約権の権利行使によって払い込まれた資金等を原資に投資を行ってまいりました。今後も当社グループが行う事業投資は、従来どおり当社グループの事業強化につながる領域に限って行うことについてその方針には変更はありません。しかしながら、今後、当社グループが事業強化を目的として行う投資について、必ずしも期待どおりの成果をあげられる保証はなく、その場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。

 また、当社グループは、サーバー、映像機器・システム等の導入を行っております。こうした領域における技術革新が当社グループの予想を超えて進行し、保有する機器・設備等が陳腐化して新たな設備投資が必要となる場合には、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループでは、当社の配信事業統括本部が中心となり、新サービス開発の前提となるソフトウェアや技術力のある企業の調査、実証実験、ネットワーク運用実験などを実施してまいりました。当連結会計年度における研究開発費は、47百万円です。主な研究開発活動は以下のとおりであります。なお、当社グループの行っている研究開発活動は、各事業に共通するものであり、セグメント毎の記載は行っておりません。
 ユーザーの多様な動画配信ニーズに応えるウェブ上の表現手法や、動画配信サイトの構築・運用を助けるプラットフォームや各種ツール、アプリケーションソフトウェアに関する調査と開発を進めております。サービス品質向上のために当社独自の運用プログラムなどを随時構築し、動画配信ソフトウェアの24時間監視プログラム、負荷分析プログラム及び負荷分散プログラムなど、大規模インターネット配信で必要な独自のプログラム類を構築しております。大規模ネットワークを構築するための負荷分散装置、負荷分散ソフトウェア等については技術部が中心となり、実証実験を含め常に最新の装置、ソフトウェアを調査し、テストを行っております。

 

7【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。

 

(1)重要な会計方針
 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。

(2)財政状態
 当連結会計年度末の総資産は4,130百万円となり、前連結会計年度末に比べ134百万円増加いたしました。主な変動要因は、以下のとおりであります。
 流動資産は、子会社株式取得などにより前期末に比べ資金が減少し、当連結会計年度末の流動資産合計は前連結会計年度末より25百万円減少の3,159百万円となりました。

 無形固定資産は、ソフトウェアの開発及び取得により、前連結会計年度末に比べ129百万円増加し、511百万円となりました。

 投資その他の資産は、敷金の増加などにより前連結会計年度末に比べ32百万円増加し、148百万円となりました。

 これにより、当連結会計年度末における固定資産合計は、前連結会計年度末に比べ160百万円増加の971百万円となりました。
 当連結会計年度末における負債合計は668百万円となり、前連結会計年度末に比べ58百万円減少いたしました。主な要因は、未払消費税の減少などによるものであります。
 当連結会計年度末における純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益180百万円の計上などにより、前連結会計年度末に比べ193百万円増加し、3,462百万円となりました。

 

(3)経営成績
 当連結会計年度の売上高は4,955百万円、営業利益は305百万円となっており、そのセグメントの実績は、「第2 事業の状況、1 業績等の概要」及び「第5 経理の状況、セグメント情報」に記載のとおりであります。経常利益は307百万円となりました。営業外損益の主な項目は、資産運用に伴う受取利息7百万円であります。
法人税、住民税及び事業税を計上し、非支配株主に帰属する当期純利益を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は180百万円となりました。

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
 インターネット上の動画を利用したマーケティング活動や情報発信、各種コンテンツ配信の市場は成長基調にあり、このような環境下において当社グループの業績が長期的に急激に悪化する可能性は低いと認識しております。こうした市場環境下にある企業として健全な成長を遂げるためには、市場において確固たる地位を占め続けることが重要であると認識しております。
 これを阻害する外部要因、内部要因については「4 事業等のリスク」をご参照ください。

(5)経営戦略の現状と見通し

 当社は、インターネットを利用した動画や音声の配信を一般的なメディアとして普及させることを目的に平成9年5月に設立されました。この目的達成のため、事業開始から今日に至るまで、安定した配信・受信環境を提供するためのネットワークの構築を進めるとともに、コンテンツホルダーである当社顧客の様々な要望に応えながら多様な形式による配信サービスの拡充を図ってまいりました。ブロードバンドインターネット環境が拡大し、様々な利用方法が生まれていく中で、この市場における当社の役割はこれまで以上に重要になってくると認識し、事業の拡大を図っていくことが当社の経営の基本方針であります。

 当社では、「もっと素敵な伝え方を。」をコーポレートメッセージとして、あらゆる形式の動画、音声(音楽)コンテンツをあらゆる方法であらゆる端末へ配信できるストリーミング、ダウンロードサービス提供能力をベースに、企業や個人が生み出すネットワーク上のコミュニケーションをダイナミックにしていくことに注力しております。また、PCインターネットのみならず、各種の携帯端末への配信サービスについても、大手各キャリアとの連携を図りながらサービス向上を図っております。

 顧客ニーズに基づいたきめ細かな配信サービスを提供するとともに、今後も予想される通信インフラの発展、ソフトウェアの技術革新などに対応しながら、これまで蓄積されてきた配信運用技術力を更に充実させ、事業基盤の拡大に邁進する所存であります。

 

 中長期的な経営戦略として、以下の点に注力してまいります。

 

 第一に当社グループが提供する動画配信プラットフォームの商品力を強化し、外部の販売パートナーとの連携も含めて顧客基盤を拡充することであります。

 当社グループが顧客に向け常に最先端の動画ソリューションを提供できるよう、「J-Stream Equipmedia」「J-Stream CDNext」等の機能を継続強化し、他社の提供する営業支援システムや学習管理システム等の多様なビジネスアプリケーションプラットフォームとの連携を行うためのAPI開発にも注力致します。こうした連携を通じて、Jストリーム単独では解決策を提供できない顧客の課題にも対応し、顧客基盤を拡大することに努めてまいります。

 

 第二にコンテンツ企画制作・開発力の向上と、制作サービスのプラットフォーム化の推進であります。
 顧客の目的達成の為の企画からその制作、必要とされるシステム開発に関するグループとしての対応総合力を高め、総合的ソリューションを提供して顧客の成果達成に貢献することに注力致します。大量の映像制作ニーズや企業内のコミュニケーションにおける動画の利用が増大していることを鑑み、これらの領域に対応できる制作サービスのメニューを構築し、潜在顧客に訴求、顧客基盤を拡大することに努めてまいります。

 

 第三に広告領域の開拓の継続、並びに新規事業の開拓であります。
 動画広告はその市場が急速に拡大しつつあり、顧客から求められるサービスの内容も急速な変化を続けています。当社グループとしては、動画配信・制作を実施できる専業会社であることにとどまらず、動画を配信する場所や機器の選定から、コンテンツの制作や制作にかかるコンサルティング、効果測定と分析に至るまでの、動画を軸にした広告にかかるトータルソリューションを顧客に提供できる体制を築き、成長する市場において独自の地位を確立することを目指してまいります。
 動画広告に加えた更に新しい領域の事業開拓についても推進致します。担当する専任部署を設置し、動画配信の周辺領域を中心に自社開発に因われず多様な手法で事業開拓を進めてまいります。

 

 第四に人材の育成及び社内管理体制の充実であります。
 インターネットを利用した動画や音声の配信業界での先駆者的立場において、継続的に売上を拡大していくためには、営業スタッフの育成による営業力の強化が不可欠であります。また、ネットワーク技術者がインターネット業界では不足しており、サービス拡大にあわせた技術者養成も必要であります。更に付加価値サービスの提供に不可欠な映像制作を中心としたマルチメディア制作者を充実させていくことが重要になってきております。こうした業務拡大、サービス拡充にそった社内スタッフの確保、育成、研修には今後とも注力していくこととしております。
 また、内部管理体制の充実も重要な課題としております。子会社を含めた利益管理体制の強化、技術部門においては原価削減のための工数管理、内製と外注のバランス管理、他社との協業体制を進めることにより、利益幅を拡大するべく努めてまいります。
 また、グループにおける内部統制体制の充実は重要な課題であり、継続して体制改善を進めてまいります。

 

(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
 「1 業績等の概要」、(2)キャッシュ・フローをご参照ください。

(7)経営者の問題認識と今後の方針について
 「3 対処すべき課題」をご参照ください。