当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
当社は、インターネットを利用した動画や音声の配信を一般的なメディアとして普及させることを目的に1997年5月に設立されました。この目的達成のため、事業開始から今日に至るまで、安定した配信・受信環境を提供するためのネットワークの構築を進めるとともに、コンテンツホルダーである当社顧客の様々な要望に応えながら多様な形式による配信サービスの拡充を図ってまいりました。インターネット環境が拡大し、回線の高速化やデバイスの多様化が進んだことから、インターネット動画はコモディティ化しました。また、新型コロナウイルス感染症の流行は、DXを推進し、利用者が動画を活用することに慣れる機会ともなりました。これに伴い、動画のビジネス利用も拡大、用途が多様化していく中、この市場における当社の役割はこれまで以上に重要になってくると認識しております。こうした変化を先んじて捉え、事業の拡大を図っていくことが当社の経営の基本方針であります。こうした変化を先んじて捉え、『最先端の動画ソリューションを提供し、企業活動の支援を通じて社会の発展に貢献する』ことが当社の経営の基本方針であります。
当社では、『もっと素敵な伝え方を。』をコーポレートメッセージとし、これを実現するための考え方と行動からなる『JストリームWAY』を社員の活動の指針として事業を推進しております。自社で構築した安定したネットワークを背景に、あらゆる形式の動画、音声(音楽)、画像コンテンツをあらゆる方法であらゆる端末へ配信できるストリーミング、ダウンロードサービス提供能力や、動画企画から制作・配信・分析までをカバーし、動画で達成したいあらゆるコミュニケーション上の課題に応えるソリューションの開発能力や、豊富な経験による専門性を有しております。当社は今後も予想される通信インフラの発展、ソフトウエアの技術革新などに対応しながら、最先端の動画ソリューション提供会社であり続けるよう努めてまいります。
顧客の成果に最大限コミットできるよう、自社サービスだけではなく、顧客の求めるソリューションを持つパートナーとの連携も推進し、あらゆる動画ニーズに応えられるエコシステムを創造して事業基盤の拡大に邁進いたします。
(2)経営戦略
当社グループでは、顧客の課題解決に向けてグループソリューションを結集し、動画活用を牽引する「The Streaming DX Company」を目指してまいります。あらゆる動画の利用シーンで一番に想起される企業グループとなるべく、以下の方針を設定しています。
・グループシナジーを最大化し、売上伸長と利益創出を図る
・データサイエンスとAI技術を駆使して、顧客への提供価値を最大化する
・卓越した動画インフラの知見で、収益の最適化を図り、かつ最高品質のサービスを提供する
・自社サービスを有機的に連携させ、課題解決力・市場競争力を高める
・インキュベーションとM&A、サービスの海外展開による事業拡大に取り組む
当社グループにおきましては、以下の3つを軸として市場認識をし、戦略を設定しております。
・EVC領域(医薬):医薬関連企業のマーケティング支援を中心としたサービス提供
・EVC領域(医薬以外):医薬以外の事業会社等のビジネス全般における動画コミュニケーション(EVC:Enterprise
Video Communication)を目的とした動画を中心とするソリューション・サービスの開発・提供
・OTT領域:OTTサービス(Over-the-Top media service:インターネット経由のメディアサービス)を提供する
放送局やコンテンツ事業者等に向けた配信基盤やソリューションの提供
これら3つの市場各々に向けて、DXの目的達成に最適化されたソリューションや、リアルと合わせたユーザー体験の高レベル化、セキュリティ強化等、安定して成果を挙げることにつながるソリューションを提供し、業容の拡大に努めてまいります。
EVC領域(医薬):医薬関連企業に向けては、グループ連携を強化し、デジタルソリューションを軸に、医療DXパートナーとして顧客提供価値を追求します。現在売上比率の高いWeb講演会関連市場の季節性に伴うリソース配分の難しさや需要の不確実性を受け、Web講演会以外の領域開拓も進めてまいります。
Web講演会におけるライブ配信は、コロナ期の集中的利用と比較すると取組に落ち着きが見られますが、依然企業と医療従事者を結び有用な情報を提供する最も効果的な手法の一つです。医師にとっても有用性が高いと当社調査でも判明しており、中長期的には十分な成長余地があります。この領域では、デジタルマーケティングや広告、サポート等の当社グループが比較優位を持つ点を中心に総合提案を実施し、既存大手顧客を確保した上で、中堅規模の取引顧客の規模拡大と、未取引大手企業への取引参入を進めます。デジタルマーケティングにおいては、「WebinarAnalytics」のデータ連携や講演内容のAIを活用した要約等の各種機能を向上させ、講演会とその後のコミュニケーションツールと合わせて提供することで顧客のマーケティングの上流工程へ貢献します。講演会集客にあたっては過去に集約・分析したデータに基づき、新興含めたメディアとの連携から最適な経路を選択し、成果の最大化を追求します。
医療機関における動画の活用も、製薬マーケティング領域以外の新規領域として展開を図ります。医師から患者に向けた説明の補助や疾患啓発等で有用な動画の活用法を開拓します。また、親会社であるトランス・コスモス株式会社や連結子会社株式会社ビッグエムズワイ、クロスコ株式会社を含めた企業グループとしてサービス領域拡大を図ります。
EVC領域(医薬以外):医薬以外の他事業会社のビジネス全般における動画コミュニケーションにおいては、動画を活用する企業と担当者にとってのベストソリューションパートナーを目指します。Equipmediaを中心としたSaaSサービスを利用する顧客の課題解決や活用提案を行う専任部署を設け、顧客の成功体験の拡大を図ります。
販促セミナーや株主総会等のセミナー関連用途に加え、企業での活用の広がりが期待される社内情報共有、教育・トレーニング用途には、Equipmediaに加えて「Webinar Stream」「J-Streamミテシル」等のサービス拡充を進めます。また「VideoStep」を通じて、新たな市場であるデスクレスワーカー向けの教育・トレーニングの支援を拡大します。
業務上の動画活用を支援するサービス「EQポータル」の機能を活かし、顧客企業に蓄積された動画等の有効活用を促進するとともに、プレゼンテーションを容易に動画化するなどの内製機能の提供拡大を通じて、SaaSサービスとしての活用範囲の拡大を目指します。販売面においては、大手顧客に対してSaaSと制作運用等の役務を組み合わせた高品質な運営を含めたアウトソーシングを提供するサービスへの拡大と並行して、内製機能を切り口とした低価格帯SaaSの市場拡大を両立させます。
OTT領域:インターネット動画サービス利用の普及拡大を受けて、更なる会員獲得に向け施策を打つ放送局・コンテンツ事業者をターゲットとします。技術・ビジネス両面で顧客の期待を超える提案と役務提供を通じて、これまでの「トータルテックパートナー」の先の、事業拡大のための「ビジネスパートナー」の立ち位置を目指します。
大規模配信、サイト運用等を総合的に担当している放送局等に対しては、新たなテクノロジーを利用したサービス提案、マルチCDN等を利用した配信品質の向上や、安定したサイト運用体制の提供を行います。BS/CS局や、スポーツ、各種公営競技等のコンテンツ事業者には、配信品質やセキュリティ強化といった今後重要性が高まるサービス等の提案を通じて新たな取引の拡大を図ります。そのほか、「マルチアングル配信」等のエンターテインメントに適した多様な配信機能に加え、コンテンツ配信用オーダーメイド型CMS「Stream BIZ」や課金機能による収益機会の増加、キャンペーン展開ツール「マストバイシステム」、さらに海外SaaSとの機能連携により、高度化する顧客ニーズの充足を図ります。また、セキュリティ対策ソリューションや、動画配信QoE(Quality of Experience)とQoS(Quality of Service)、リアルイベントでの動画活用など、今後需要拡大が見込まれるサービスの開発を進めます。
これら3市場については、コロナ環境下で急伸した医薬企業関連の市場が大きな比率を占める状況が続きましたが、中長期的には他2領域のニーズを的確に捉えて成長を実現することを通じ、医薬市場だけに依存しないポートフォリオの構成を目指します。
経営管理面におきましては、企業の成長と合わせ、適切なコーポレート・ガバナンスの浸透を図りつつ、グループ経営の統制を強化し、効率化を図ります。コロナ環境下で定着したテレワークについての適切な運用を推進し、一人一人の事情に合わせた時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を実現すると同時に、社員の健康管理・人事労務管理、セキュリティ管理面の向上と業務効率化を進め、必要な業務に邁進できる、快適で働きやすい職場環境を実現します。優秀な人材を育成・獲得するために、評価制度や社内研修制度を継続的に改善し、社員の能力向上を支援すると同時に、魅力ある就職先としての情報発信も継続してまいります。
投資、支出面においては、将来のニーズを予想しさらにスピードを上げて対応するとともに、需要の拡大に応える案件対応能力、開発能力等、企業体制をより充実させていくことが重要な課題であると認識しております。こうした方面への投資を効率的に行うと同時に、動画を利用して業務DXを図るSaaS企業等を主なターゲットとし、M&Aを通じた事業領域の強化、拡大を追求します。
(3)経営環境
インターネットを通じた各種コンテンツ配信の市場や動画を利用したマーケティング活動や情報発信、情報共有は成長基調にありますが、利用される領域が非常に広範であり、どの領域の活動においても、紙媒体や相対による手段から、ウェブ化、さらに動画の利用が進むことが想定できる状況にあります。こうした市場環境下においては、市場規模の拡大に合わせて各種の類似サービスが現れますが、当社グループとして健全な成長を遂げるためには、顧客の動画利用用途に適合し、顧客が意図する成果を挙げることに貢献できるソリューションを常に提供し、市場において確固たる地位を占め続けることが重要であると認識しております。
医薬企業関連の市場においては、コロナ環境下でデジタルシフトが急速に進行したマーケティングが、政府の薬価政策、為替等の影響等を考慮しつつ、今後の展開を検討する状況にあります。当社グループとしては、顧客の活動動向を注視しつつ、マーケティングのより上流のプロセスに参加、提案を行い、変容の兆しを早期に捉える営業活動・情報収集を行います。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループにおいては、インターネットを通じた各種コンテンツ配信の市場や、動画を利用したマーケティング活動や情報発信、情報共有は成長基調にあると認識しております。こうした環境下においては、導入顧客の動画利用を促進する知識や情報を提供し、利用実績を積み重ねることで目的達成への効果を実感頂き、取引規模を順次拡大していくことが重要であると判断しております。この方針の達成状況を判断するために重視している指標は、特に継続的売上と利益が期待できる配信系のプラットフォーム売上高や取引先数(サービスによっては同一企業に複数アカウントを発行する場合もあるため、アカウント数)、既存取引先の維持率、また新規の取引先獲得数であります。また、構築した配信基盤を利用して、こうした顧客に適切なサービスを提供して利益を上げられているかの目安として、営業利益率を重要な指標としております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社では、以下の点を重要な課題として掲げております。これらの重要課題への対応策を具体的な施策に反映させ、業容拡大や会社の健全な運営、社会貢献に努めてまいります。
<配信能力、サービス提供にかかる課題>
・医薬企業関連のウェブ講演会のオプションメニューの充実や、データ分析等のデジタルマーケティング・プロモーション領域における専門組織やサービス、ソリューションの確立
・主力サービスJ-Stream Equipmediaの配信基本機能向上と、株主総会、販売促進セミナー、学会などに代表される顧客の動画利用用途夫々に特化した機能開発、動画内製支援機能の強化や有力SaaSとの連携による活用対象用途・販路の拡大
・企業自身による動画利用をサポートする、AIを活用した動画内製サービスの開発展開
・ライブ案件に関連する制作の合理化・共通化による効率向上と費用削減
・コンテンツ配信向け開発運用についてのキャパシティ増強や、双方向配信、超低遅延配信、管理制作機能、エンタメ向け販促支援ソリューション等の、メディアのニーズに対する対応
・ネットワークキャパシティの増強とトラフィック原価削減、監視体制、耐障害性の充実
・通信量の増加へ対応するネットワーク制御技術開発
・映像制作表現やクオリティの向上、提案力の向上
<営業力強化のための課題>
・医薬企業における新しいチャネルの構築やメディア開拓を通じた販路の拡大
・一般企業のDX推進、特にイベント配信や社内コミュニケーション活性化、教育の充実といった目標達成を支援するためのプロデュース力の強化と、カスタマーサクセスに寄与する活動の強化
・一般企業向け市場における、代理店ほか各種ベンダー向けを含めた情報発信、共同提案体制の強化、導入支援等を通じた顧客開拓力の強化
・放送局を中心としたメディア事業者向け市場におけるコンテンツ配信需要や、番組供給事業者、公営競技等個別のコンテンツプロバイダの事業展開を支援し、収益機会とするための関係強化
<新しい事業領域開拓のための課題>
・M&Aを通じた新領域の開拓、海外市場向けの展開
<経営管理・財務にかかる課題>
・事業展開、M&A等を通じたROEの改善
・顧客需要動向の把握の精度向上
・適切な外注比率、外注費のコントロール
・グループ統制の更なる強化浸透
・新サービス開発・既存サービスの改善のための開発メンバーやネットワークエンジニア育成
・成果を維持しながら労働時間を短縮する手段、人材採用・維持するための多様な働き方、キャリアパスに即した研修等の能力開発等を補助するシステムの安定した運用
・テレワーク環境に適応した、AI、RPA等も活用した業務のシステム化と合理化
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社では、「Jストリーム行動規範」の中で、IT産業特有の情報通信技術を提供して社会に貢献する旨と、環境保全に自主的・積極的に取り組む旨を定めております。創業後まもなく、当初描いていたネットコンテンツ配信という事業像に、インターネット動画のビジネス利用が加わり、以降、常にネット動画を利用したビジネスコミュニケーションの活性化を行い、リアルなコミュニケーションを代替、又は補足するというビジネスモデルをあらゆる業種の企業向けに展開しております。
現時点において、当社及びグループ企業は、IT領域に特化した企業集団であり、物品の生産設備や輸送機器を保有しておらず、主要な保有設備であるサーバ群についても、自社でのデータセンター施設はなく、通信事業者等のデータセンターに自社サーバを設置しております。また、ビジネスモデルが、企業活動におけるDX実現から収益を上げるものであり、当社サービスの利用は基本的に人の移動を削減し、エネルギー消費を効率化・抑制する効果があるものと認識しております。気候変動への取組については、当社の業態・事業規模を踏まえた上で、優先順位、取組手法を設定しております。
また当社では、「Jストリーム行動規範」及び「リスク管理規程」の下、代表取締役社長を委員長とする「リスク管理委員会」を設置しており、必要に応じ社内にデータ提供等を求めつつ課題検討、実績の確認、経営メンバーへの共有、取締役会における報告を行っております。
(2)リスク管理
当社では、前掲のとおり、リスク管理に関して必要な事項を定め、リスクの防止及び会社損失の最小化を図ることを目的とし、代表取締役社長を委員長とするリスク管理委員会を設置しております。同委員会の管理するリスク項目の中では、気候関連リスクが「国内外の災害・事件・事故に関するリスク」及び「環境に関するリスク」として定義づけられており、他のリスク要因とともに管理、リスクの防止、会社損失の最小化を図っております。
[リスク管理委員会の構成]
①委員長 社長(リスク管理最高責任者)
②事務局長 管理本部長(リスク管理責任者)
③委員 社長が指名する役員及び社員
④オブザーバー 常勤監査役
⑤事務局 法務・広報部
また、気候関連リスクを含む関連する情報を基に、具体的なリスクの存否と程度、対策の要否とその内容等についての検討を行い社内施策への反映を図るとともに、決算説明会や当社コーポレートサイトを通じてその取組みを開示しております。
(3)重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は
以下のとおりであります。
①環境
②社会
③ガバナンス(企業統治)
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
①環境
気候変動への対策
当社では、業務上利用する主要な機器であるサーバ、PC等電気・電子機器に関してグリーンPCをはじめとした環境保全に配慮した備品調達を行っております。当社事業は、主要な市場として認識している3市場のうち、特に
・医薬企業の医師向けマーケティング活動を中心とした動画コミュニケーション(EVC: Enterprise Video
Communication)に関連するライブ配信サービス、コンテンツ制作サービス等の提供
・医薬以外の業種全般における動画コミュニケーション(EVC)に向けた動画ソリューションの開発・提供
の2市場に関しては、その基本的なビジネスモデルが、企業活動におけるDXの実現から収益を上げるものであり、当社サービスの利用は基本的に人の移動を削減し、エネルギー消費を効率化・抑制する効果があるものと認識しております。
こうした背景から、環境項目は、当社の企業価値(経済的利益)とCO2削減という社会価値(社会的利益)が一致する点であり、CSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)が実現できていると考えております。当社が実際に携わっているウェブセミナー参加者のアクセス地域を測定し、ウェブ利用により実移動を行わないで済むことに伴いCO2排出を削減できる効果を試算した結果、例えば参加者1,000人規模の全国セミナーをネット開催しますと、一度で東京ドーム435個分の森林が一日に吸収するほどの量のCO2排出を削減できることが判明しました。今後も、気候温暖化対策への貢献度の可視化や、会社としての消費資源、主に電力消費の可視化と削減に取り組む方針です。
当社グループの温室効果ガス排出量については、Scope1(事業による直接排出)はなく、Scope2(電力消費による間接排出)は、オフィスにおいて使用する電力消費によるものであり把握済みであります。当社では2021年3月期においてテレワークの本格的導入とオフィス面積の大幅削減を行っており、既に相応の成果を得ておりますが、引き続き削減の取組を進めてまいります。当連結会計年度においては、当社グループのScope3(Scope1、Scope2以外の間接排出:企業の事業活動に関連した間接的な責任範囲)についての排出量の試算と把握を行いました。引き続き排出量削減目標設定、削減・開示のあり方等について検討を進めてまいります。
②社会
災害に強いインフラ、新しい技術の開発と産業化
当項目においても、当社は企業価値(経済的利益)と社会における情報インフラの安定や災害時拠点強靭化への支援という社会価値(社会的利益)の一致があり、CSVが実現できていると認識しております。当社では、動画ソリューションの一部として、通信キャリアのデータセンターなどに設置しております配信インフラを用いて構築したCDN(Content Delivery Network)を提供しております。安定性・堅牢性をもち円滑なコンテンツ配信を実現するネットワークシステムであるCDNは、2015年から推進されている自治体情報セキュリティクラウドの強化において主要な役割を果たしております。また、大雨により避難が必要な地域の情報提供、大雪による交通機関停止時の復旧情報へのアクセス集中による障害回避等、災害時の重要な情報提供にもCDNは貢献しております。当社のCDNサービスである「J-Stream CDNext」においては、導入しやすい地方公共団体向けプランを設定しており、本報告書提出時点において、全国260を超える数の市区町村に導入されており、災害時拠点強靭化に向けたインフラ支援策となっております。
技術革新に向けた当社技術の適用
また、当社では技術革新に向けた当社技術の適用を意図し、ネットワーク技術を中心とした各種の実証実験、調査研究に参画しております。
・オープンキャッシングの実証実験
・IPv6アドレスの地理情報を用いた動画配信制御の実証実験
・CDN技術を活用したインターネットトラフィック分散に関する共同実証実験
等を実施、又は現在実施中であり、今後も当社の専門能力を活かし、産業におけるイノベーションに貢献していきます。
だれもが健康で幸せな生活を
当社では、スポーツは社会の健全な発展に有益であるとの認識の下、SDGs採択以前から各種支援を実施してまいりました。2014年から、小中学生ラグビー選手の基礎力鍛錬のための私塾「FUNDAMENTAL エリートアカデミー 藤田塾」の活動に協賛しております。
③ガバナンス(企業統治)
働きがいも経済成長も
当社では、公益通報者保護法、個人情報保護法の各法令及びその改正に対応した体制を講じ、法令等違反による事業停止を防ぐ施策を講じております。また、法令遵守の枠組みより広い形で企業としての方向性を維持形成し、事業会社として長期的に成長していくために、コーポレートメッセージ「もっと素敵な伝え方を。」を定め、この下で、マネジメントに対する共感度や働きがいを高める取組を展開しております。
2017年の創業20周年を機に、企業としての一体性の向上、社員のエンゲージメントを高めるためのプログラムとして「JストリームWAY」(業務上判断に迷った際に参考になるような行動方針をカジュアルな形で共有するもの)をボトムアップで作成。この告知、普及活動を行うエヴァンジェリストを社員から選定し、現在3期目の活動に入っております。
人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針
当社では、人材を会社が最も大切にすべきものであり、当社の競争力の源泉であると位置づけ、人的資本経営の思想に基づき、当社で働く人材の成長支援・人材開発を重視することを基本方針としております。そのための社内環境整備にあたっては、2021年の人事制度改革で明確化した「5つの基本方針」に則り、多様な人事施策を推進しております。
<5つの基本方針>
①会社の成長ステージとともに、人事制度も常に見直し続ける
②社員と会社は、日々の業務の中で成長競争を繰り広げる関係である
③人事制度の中心にあるのは、人材開発である
④チャレンジした人を評価し、チャレンジする風土を醸成する
⑤JストリームWAY行動に満ち溢れた組織を実現させる
2022年度には「自ら考え、周囲の力を借りながら、自ら一歩前に踏み出すような活躍を、楽しみながらし続けられる人」を目指す人材育成像として定め、人事部が中心となって様々な施策を展開しています。また、2024年1月には7項目からなる「ダイバーシティ推進宣言」を打ち出し、多様な人材がお互いに受け入れられ、一人一人が大切な個人として尊重され、それぞれの能力を発揮して組織に溶け込み、そして組織に貢献できている、まさにダイバーシティ&インクルージョンが実現できている状態を目指して取組を続けています。
<多様な人材のモチベーションと社員力を高めていくための取組(一部)>
マネジメント強化施策 部課長の組織管理強化のための支援と開発の取組
(新任組織管理者向けライセンス研修と同ライセンス更新研修)
新任マネジメント層向けマネジメント/リーダーシップ研修
JST(ジェイスト)マネジメント・ミラー、360度評価とフィードバック研修
全体の社員力底上げ施策 主任格社員向けミニMBA的研修
新卒者向け1年目終期のフォロー研修、3年目研修
各事業本部で実施する専門的人材育成施策に沿った追加研修等の実施による支援
人事制度による施策 「飛び級昇格」の制度化、社内公募制度の導入、新卒社員のジョブ型採用
テレワーク・ロケーションフリー制度の運用、ワークシフト手当の支給
絶対評価に基づく評価制度、各種メンタルケア施策
キャリア自律支援施策 副業の自由化、セルフ・キャリアドックの導入、キャリア面談制度の導入
社員交流促進施策 JSTプレイス…参加社員同士の対話を重視したオンライン「研修型交流」プログラム
レクチャー型研修を原則廃して、対話型の研修として学びつつ対話・交流を促進
当社グループでは、上記において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、連結グループにおける記載が困難であるため、連結グループにおける主要な事業を営む当社単体の記載をしております。
ここ数年は、2021年に整備した人材開発体制を定着・強化させることを重要課題と認識し、社内における人事部主催研修の多様性と量的な充実を目指し、2022年度に49回開催だったものを拡充し、2023年度に70回(前年比142.9%、目標は60回)、2024年度に92回(前年比131.4%、目標は80回)実施してきました。これをもって研修の開催回数は一定レベルに達したと判断し、次の課題として社員の「キャリア自律支援」の推進を掲げています。現場における上司と社員のキャリア自律支援の対話ツールとして「キャリアシート」を従来から提供していましたが、その活用率は2024年度上期46%、2024年度下期56%にとどまっています。これを2025年度には90%超の水準まで引き上げることを目標とします。また、「キャリアシート」を用いた上司と部下とのキャリア面談をより効果的に実施するための研修も提供していきます。当社としては、一人ひとりの社員がキャリアの自律度を高めることが、社員のエンゲージメントとウェルビーイングを高めるだけではなく、目指す人材像である「自ら考え、周囲の力を借りながら、自ら一歩前に踏み出すような活躍を、楽しみながらし続けられる人」にもつながると認識しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資家の皆様に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。また、以下の記載は当社株式の投資に関連するリスクを網羅するものではありません。
なお、記載中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①事業環境・市場に関するリスク
・特定業界や顧客への依存について
当社グループの動画配信サービスは、現時点では医薬、メディアなど特定の業界における動画利用のニーズ拡大に基づく利用の比率が高い状況にあります。これらの業界において医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)、円安や日本の製薬市場の世界的比重の低下、放送法やその他自主規制等の要因から、販売促進、情報提供、コンテンツ配信等の手法の大きな変化による動画利用の減少、若しくは企業間提携や支配的な企業の出現によるこうした特定の領域における当社競争力の低下により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。当社では、医薬領域において現在大きな売上があるWeb講演会(ライブ配信)だけでなく、マーケティングプラットフォーム関連のコンテンツや、マーケティングに有益な統合データを提供する体制整備を進め、より上流の工程に関与することでこの領域での収益源の多様化を推進しております。また、プレイヤーの限定されるメディア業界においては、この領域において特に重視される実績を基盤にした安定性、継続した新機能の提供を通じて顧客との関係強化をし、医薬領域に依存しない構成を追求しております。
・新型コロナウイルス感染症の影響の反動による需要の不確実性について
新型コロナウイルス感染症沈静化に伴い、コロナ環境下において売上が伸長した領域における、反動減の現出についての懸念が存在します。直近3年度においては、2021年3月期の感染症拡大直後に主にEVC関連業種において特需的に需要が増加したライブ配信、映像制作やコンテンツ制作に反動減が現れ、減少傾向の実績となりました。アフターコロナ環境となった2024年3月期を経て、今後においては、コロナ期需要の反動要素的はなくなり、動画利用の有効性認識や利用習慣をベースに、EYC(医薬)領域においては創薬や上市のタイミング、EVC(医薬以外)においてはマーケティング、DXの推進等の通常の要因での需要変動が当社サービスの需要動向、季節性に影響していくものと判断しております。
・動画コンテンツ視聴市場について
当社グループは、インターネットを通じて映像コンテンツを提供するコンテンツプロバイダにコンテンツ配信サービスを提供しています。Z世代を中心にネットによる動画視聴習慣が定着し、放送局やコンテンツプロバイダもそういった世代をターゲットとしたサービスの拡充を進めていることから、コンテンツの提供、視聴の勢いは継続すると考えておりますが、当社が主要顧客とする国内放送局やコンテンツプロバイダのユーザー獲得状況が芳しくない場合には、当社グループの成長性に影響を及ぼす可能性があります。
②市場競争・サービスの商品力に関するリスク
・競合他社及び競合するサービスについて
当社グループが事業とするインターネットを利用した動画や音声の配信市場において、当社グループに類似するビジネスモデルを有する競合会社は、動画向けに限らず広くCDNを提供する外資系を中心とした大手事業者、自社会員へのサービスとして配信を行っている大手ISPや、アマゾン社やマイクロソフト社、アルファベット社に代表されるクラウドインフラを提供している事業者、動画配信プラットフォームを開発・提供している事業者などになります。
当社グループは動画配信に特化したビジネスモデルとノウハウを有しており、動画配信に関しては優位性を維持できるものと考えておりますが、今後競争が激化した際、単純な配信規模や、動画以外での総合的な対応能力などの点を考慮した場合は、優位性を構築・維持できるという保証はなく、或いは低価格競争を余儀なくされることにより、当社グループの収益が低下するといった、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループで開発、提供している動画配信プラットフォームの利便性・信頼性、配信に付帯して提供するコンテンツ制作、サイト運用、帯域判別、効果測定等の付帯サービスの内容・品質等の面で同業他社との差別化を図ることができず、ユーザー企業を計画通りに確保できない場合、当社グループの業績に影響が出る可能性があります。
インターネット上で動画を共有する、という名目で動画配信を安価に行うサービスも広く利用されております。当社グループにはセキュリティ、配信の安定性など企業が配慮すべき事項についての差別化要因があり、無償サイトでの展開には不向きなコンテンツも多く存在しているため当社グループの競争力は確保されていると考えられますが、こうした要素を重視しない動画配信においては当社グループで受注できないこともあり、そのような動画利用形態が増加した場合には、当社グループの成長率が市場全体に比較して低い水準となる可能性があります。
いわゆるWeb会議システムについては、比較的少人数での多対多ミーティングに用いられることが大半であり、当社が提供している動画配信プラットフォームは基本的に1対多、同時多数の視聴や高品質な映像を重視していることから、ユーザー企業は機能的にこれらを使い分けており、競合する場面は多くない状況にあります。しかしながら将来においてWeb会議システムが上記のような当社が重視し優位性を持っている領域へサービスを拡大してきた場合には、当社の成長に影響を及ぼす可能性があります。
EVC領域(医薬)
当社グループのこの領域における売上の主力である本社開催のWeb講演会ライブ中継については、高い配信品質とミスのないイベント運用の精度の高さ、さらにそれらの実績が非常に重視されます。当社は2010年前後にこの領域への取組が開始された直後から順調に取り扱いを拡大、大手企業から相当規模の受注を行っており、業界内で一定の地位を確立していると考えております。しかしながら非上場企業を含めた競合企業は存在しており、顧客の乗り換えリスクや価格競争のリスクは存在します。当社グループとしては高品質配信や安定したイベント運営の積み重ねに加え、情報の受け手である医師のニーズに即した提案の実施や効果測定・データ分析等顧客企業のマーケティング全般にかかる提案ができるサービスや体制の構築を進めることでこうした点に対応しております。
EVC領域(医薬以外)
医薬以外の事業会社による動画コミュニケーション市場は利用使途の幅が広く、動画配信についても低価格から無料のものも含め多くのサービス提供者が存在します。関連するWeb制作についても同様の状況となります。こうした企業との競合関係は不可避ですが、当社グループとしては、提供する大規模ネットワーク、十分なセキュリティ対策、安定した配信品質等への需要がある顧客の獲得を行うと同時に、動画以外の機能を複合的に提供し、顧客ニーズにワンストップで応えることや、充実したサポート体制、企業サイドの動画内製を支援するサービス投入等の措置を通じて、優位性を確保し幅広い顧客獲得を図ります。
OTT領域
放送局やコンテンツプロバイダがコンテンツ配信事業を行うにあたり、配信部分について当社グループなどの企業に外注せず、独自の企業体や配信網を設けて配信を実施する可能性が存在します。この結果、コンテンツ配信市場の伸びが当社グループの売上の伸びにつながらなくなる可能性があります。実績、信頼性が重視される顧客層であり、既存顧客向けの実績の積み重ねと運用体制向上により信頼度を向上させ、さらにマネタイズや販促に活用できる新サービスを提供することを通じて、新規案件の獲得や乗り換えリスクの低減を図っております。
・動画配信関連プラットフォーム/アプリケーションサービスについて
当社グループの動画配信サービスは、コンテンツの配信ウェブサイトの作成・運用を行うプラットフォームや、効果測定、アクセス制限、著作権管理等、各種の機能追加のためのアプリケーションを伴って提供される場合があり、当社グループではこれらの一部を外部から調達しております。今後こうした動画配信関連プラットフォーム/アプリケーションの進歩や提供される条件、或いは法改正等による制約、為替変動に伴う仕入れ価格の変更等、予想外の変化への対応により当社グループの原価が上昇し、当社グループの想定している利益計画が悪化する可能性があります。
③サービス等開発に関するリスク
・受託開発について
当社グループのビジネスの大部分はプラットフォームサービスを法人顧客向けに提供する構造ですが、ビジネスの中には、顧客向けに特定用途のコンテンツ運用システム等を受託開発するケースがあります。こうした案件は内容の複雑さから開発が長期化、開発費が多額になる場合が多く、予定外の仕様変更、人的な入れ替わりなどプロジェクト進行上の問題により、予定通り開発が進まずに利益率が悪化するリスクがあります。
・外部委託について
当社グループでは、ライブ現場対応、撮影、ウェブ制作、エンコーディング、システム監視等の業務において、各々の専門性に特化した外部委託を利用する場合があります。コンテンツに携わる外部委託が発生する関係上、秘密保持契約及び業務委託契約を結んだ上で信頼のおける外部委託業者を利用しておりますが、相互連絡の齟齬に伴う開発の遅延や当社規程のフローに沿わない故意の、又は過失による違法なコンテンツ流用や情報漏洩などの可能性は存在します。またシステムの一部を外部委託する場合には、ネットワーク負荷が高い場合などに、当社グループの想定しないトラブルが発生する可能性があります。こうしたことによる当社グループの信用の失墜が、当社グループの事業や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当該外部委託の運営に支障が生じた場合や、代替先への引継ぎが遅延した等の場合には、当社グループの業務遂行に支障をきたす可能性があります。
④事故、トラブルに関するリスク
・システムトラブルについて
当社グループのサービスは公共的に幅広く利用されることから、サーバメンテナンス時を除きネットワークシステムを24時間年中無休で運営するように取り組んでおります。システム障害などが発生することのないよう日々監視を行い、また二重化できるものについてはシステム、ネットワークに関わらず対応し、万が一トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できるようにシステム・人的ともに体制を整備しております。しかしながら、電力供給不足、自然災害や不慮の事故などによって通信ネットワークが利用できなくなった場合、サービスプログラムやハードウェアに意図しない挙動が発生した場合、或いは規定フローに沿わない人的ミスなどが発生した場合などには、サービスの提供が停止又は不調となることで顧客の活動に支障が及び、結果として当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。また当社グループが利用しているデータセンターなどで障害が発生した場合等、当社グループが直接管理し得ないシステム障害が、当社グループ事業に影響を及ぼす可能性があります。
・データセキュリティ/サイバーセキュリティについて
当社グループが顧客から預かるデータの中には、特定の会員だけを対象にしたもの、有料で配信されるもの、無料で公開されてはいるがコピーが認められないものなど、情報管理が重要なコンテンツが存在します。当社グループでは、システムの設計上や運用方式上でこれらの情報が漏洩することのないように厳重に管理運用しております。こうした活動の一環として、運営しているウェブサイトに外部機関による脆弱性検査の実施、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)よりプライバシーマーク付与の認定を受けるなど、管理体制の整備運用に努めております。しかしながら、不正なアクセスによる意図的な侵害や、人的ミスなどによる情報漏洩の可能性、規制の強化に伴う対応体制整備の遅れの可能性が存在し、これにより当社グループの信頼が低下し事業に大きな影響を与える可能性があります。
政府や企業を標的にした標的型攻撃、サービス妨害攻撃等、情報の窃取やサービス提供を不能にすること、また攻撃そのものを目的としたサイバー攻撃の事例が増加しています。当社グループでは、提供するサービスや社内システムの状況把握をし、攻撃のリスクを勘案して強化が必要な箇所については随時強化を実施しており、また社内CSIRTプロジェクトによる抜き打ちテストとフィードバック研修を行う等、社員向けの教育も徹底をしておりますが、こうした攻撃の対象となった結果、当社サービスの提供に不具合が発生し、それにより当社グループの信頼が低下し事業に大きな影響を与える可能性があります。
・訴訟に関わるリスクについて
当社グループは事業活動を展開する中で、常に当社グループ及び第三者の権利等に留意し、調査等を行い適宜対応しておりますが、当社の調査や対応が第三者にとって十分でかつ妥当であるとは保証できません。万が一、知的財産権、労務等に関連する訴訟その他様々な訴訟が当社グループに対して提起された場合には、これに対応するための費用が生じるほか、かかる訴訟において当社グループに不利な判断が下された場合には、当社グループの業績及び財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤社内管理面のリスク
・事業投資、設備投資について
当社グループでは、事業強化につながる領域に限って、営業活動によって獲得した資金、公募増資資金、新株予約権の権利行使によって払い込まれた資金等を原資に投資を行ってまいりました。今後も当社グループが行う事業投資は、従来どおり当社グループの事業強化につながる領域に限って行うことについてその方針には変更はありません。しかしながら、今後、当社グループが事業強化を目的として行う投資について、必ずしも期待どおりの成果を上げられる保証はなく、その場合、当社グループの財政状態や経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、顧客へ提供するソフトウエアの開発及び当社サービスを提供するために必要となるサーバ、映像機器・システム等への投資を実施しております。顧客の要件の変化、或いはこうした領域における技術革新が当社グループの予想を超えて進行し、当社提供サービス及び保有する機器・設備等が早期に陳腐化、又は大規模な変更若しくは増強の必要が生じ、新たな投資が必要となる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、政治的な、或いは災害等によるサプライルートの混乱や資源価格の高騰、急激な為替変動等に伴い、必要とされる機器類の調達に滞りが出る可能性があります。サーバ等設備投資は、随時部分的に更新を行っているため、短期間で大きな影響が出る可能性はありませんが、混乱に伴う機材の受領遅れが長期にわたったり、調達価格が急騰するような事態となった場合は、利益面に相応の影響が及ぶ可能性があります。
・人材の獲得・育成について
当社グループでは、事業の拡大や多様化に伴い、積極的に人員の獲得と育成を行い、内部管理体制の一層の充実を図る方針であります。しかし、IT業界全体で人材が不足する中、プログラミング、ネットワーク技術やライブ配信イベントのプロデュース業務、コンピューター技術に精通しているなど、当社グループが必要とする人材を獲得したり、また育成することは相応の難易度が伴うものとなっております。新たな人材の獲得・育成が順調に進まなかったり、様々な理由により人員が減少する事態が発生するような場合には、適切かつ十分な組織的対応ができず、事業の拡大及び業務の管理に影響を与える可能性があります。また、人材の獲得・育成が順調に行われた場合においても、人件費、教育及び管理関連コストの増大など、固定費の増加によって利益率が低下する可能性があります。
⑥グループ管理におけるリスク
・子会社の管理について
当社グループは、子会社に対し、業容の拡大に応じて適宜必要な人員の確保や組織体制の強化を図っていく方針です。当社グループは、当社グループ全体としての目標が達成できるように、子会社に対して経営管理面でのサポートを横断的に行っております。しかしながら、何らかの理由で子会社における体制整備が遅延した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦親会社に関するリスク
・トランス・コスモス株式会社グループにおける当社グループの位置付けについて
トランス・コスモス株式会社は、デジタルマーケティングサービス、ECワンストップサービス、コンタクトセンターサービスからなるCXサービス、ビジネスプロセスアウトソーシング、グローバルサービスからなるBPOサービスを軸に、顧客企業の事業パートナーとして、売上拡大とコスト最適化を総合的かつグローバルに支援するアウトソーシングサービスを提供しています。2025年3月31日現在、トランス・コスモス株式会社は当社グループ株式の50.35%(議決権数に対する割合)を所有する親会社であります。同社は株主総会の決議等に大きな影響を及ぼす可能性があります。
トランス・コスモスグループ内においては、インターネット関連サービスを展開する企業は他にも存在しますが、当社は動画配信サービスを行う唯一の企業であって独立した経営を行っており、これらの企業との事業における競合なく、様々な場面で協働する関係にあります。しかしながら将来のグループの政策変更等により、当社グループの事業展開に影響が及ぶ可能性は存在します。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、雇用・所得環境の改善が見られ、円安に起因するインバウンド需要も景気を後押ししていますが、物価・各種コストの上昇傾向や、ウクライナ情勢の長期化や米国の政治動向、為替相場の不安定さなどの不確実性があります。インターネット業界においては、生成AIのビジネス利用が注目され、各種コンテンツ生成に加え、デジタルトランスフォーメーション(DX)における活用によって、関連市場が広がっております。
こうした環境下で、当社グループは動画ソリューション事業において、放送局をはじめとするメディアコンテンツ事業者の事業展開や、企業・団体等が実施する各種イベント等のインターネットライブ配信、社内情報共有・教育等の動画活用ニーズに対応するため、「ライブ中継サービス」、「J-Stream Equipmedia」等の動画配信サービスとともに、関連するシステム開発、制作・運用受託などの役務提供を進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末の総資産は13,185百万円となり、前連結会計年度末に比べ682百万円増加いたしました。
このうち流動資産は10,439百万円となり、前連結会計年度末より793百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が増加したことによるものであります。
また、固定資産は2,746百万円となり、前連結会計年度末より110百万円減少いたしました。これは主に償却により、のれんが減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は2,127百万円となり、前連結会計年度末より495百万円増加いたしました。これは主に未払法人税等、未払消費税等、流動負債その他に含まれる前受金が増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は11,058百万円となり、前連結会計年度末に比べ186百万円増加いたしました。これは主に剰余金の配当により397百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益550百万円を計上したことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度の業績は、連結売上高11,800百万円(前年同期比4.7%増)、連結営業利益916百万円(前年同期比61.7%増)、連結経常利益951百万円(前年同期比62.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益550百万円(前年同期比84.7%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ971百万円増加し、7,832百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と資金の増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,089百万円の収入(前年同期比157.3%増)となりました。これは主に法人税等の支払額が153百万円あったものの、税金等調整前当期純利益951百万円の計上、減価償却費685百万円の計上、その他負債の増減額に含まれる前受金の増加などの資金の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、617百万円の支出(前年同期比52.8%減)となりました。これは主に有形及び無形固定資産の取得による支出が630百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、500百万円の支出(前年同期比1.5%増)となりました。これは主に配当金の支払額が397百万円、リース債務の返済による支出が71百万円あったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度の受注状況を示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
動画ソリューション事業 |
12,884,240 |
109.1 |
3,932,696 |
112.1 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
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金額(千円) |
前年同期比(%) |
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動画ソリューション事業 |
11,800,312 |
104.7 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
当連結会計年度における財政状況の分析につきましては「4 経営者による財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」を参照ください。当期利益の計上により資金は前年に比べ充実しており、積極的な事業展開と投資実施により事業の成長を図ります。
2) 経営成績
(売上高)
販売面においては、戦略市場を医薬業界のEVC(Enterprise Video Communication)領域、医薬以外の金融等各業種のEVC領域、放送・メディアコンテンツ業界を中心としたOTT領域、の3領域に区分して営業活動を展開しました。
EVC領域(医薬)においては、主力であるWeb講演会用途のライブ配信、Web講演会実施に伴う集客や諸手配の関連業務など、製薬企業のDX展開に伴う受注は継続しておりますが、薬価改定や、円安に伴う日本市場の相対的な地位低下に加え、製剤の上市や販売状況等によってDX展開への注力度合いは製薬各社で差異が見られます。第3四半期連結会計期間においては、12月決算の外資系企業を中心に、期末を意識したWeb講演会の開催や、集客のための広告出稿が活況となりました。しかしながら通期全体の傾向としては、前年度対比で大型のWeb講演会を中心としたプロモーションが少なく、販促活動費の絞り込みを行う企業が多く見られました。こうした状況に対応するため、医薬品マーケティングのためのプロモーション計画・実施に有効なインサイトを提供するデータ分析ツール「WebinarAnalytics」、及びグループ会社が中心に専門性の高いコンテンツ制作を組み合わせて受注獲得に努めましたが、上述の市況を受けて年度累計では前年に及ばない水準となりました。
EVC領域(医薬以外)においては、企業や団体が実施するウェブセミナーやオンラインイベント、企業・団体内部での教育や情報共有に向けた動画の活用が底堅く推移しました。これに伴い、動画等の配信・共有機能を提供する主力サービス「J-Stream Equipmedia」や「J-Stream CDNext」等の定常的な利用が堅調に推移しました。また、企業の販促・情報提供向けのWebサイトや映像制作、周年記念や大規模なオンラインミーティングのような社内イベントや、展示会場を交えたハイブリッドなライブ配信、ディスプレイを含む多様な制作についても大口の受注がありました。6月に需要が集中するバーチャル株主総会については、新型コロナウイルス感染症対応で実施してきた一部企業ではリアル回帰する動きも見られましたが、前年を上回る実績を確保しました。これらの結果、この領域全体では前年を上回る結果となりました。
OTT領域においては、放送・メディアコンテンツ業界におけるシステム開発、サイト運用や関連する制作運用業務、配信ネットワークの売上が中心となりました。顧客各社の動画配信サービスの拡大を背景に、この領域におけるシステム開発、高度なノウハウを必要とする運用業務には引き続き高い需要があります。第2、4四半期連結会計期間においては、大口のシステム機器納品と関連するSI業務を実施しました。また、放送局のネット配信サービスの拡充や大規模イベント中継に伴う配信ネットワーク売上、既存システムの更新や新機能導入に伴うシステム開発売上に加え、放送局や専門チャンネル事業者に対する運用サービス提供を通じた継続的な売上により、前年を上回る結果となりました。
これらの結果、前連結会計年度に比べ4.7%増の11,800百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価については、EVC領域(医薬)において、グループ子会社を中心に内製比率が高いコンテンツの制作が好調であったことにより外注費が減少したほか、サービス開発の一巡により、業務委託手数料についても削減できました。サービス開発進展に伴うソフトウエアを中心とした償却費の増加や、クラウドインフラ利用の増大と円安による外貨建てロイヤリティ支出の増加はありましたが、前年度の子会社を含めたオフィス面積縮小、移転に伴う費用削減効果が発揮されたこともあり、売上総利益率は前年比で改善できました。人員に関しては、新卒を除いた新規増員採用を抑制し、経費節減と組織運営効率化に注力しました。これらの結果、全体では前年同期を若干上回り、7,259百万円(前年比1.2%増)となりました。売上増加幅が原価の上昇を上回ったことから、売上総利益率は前年比2.2ポイント向上しました。
販売費及び一般管理費については、営業支援のための活動費用や、イベント出展やセミナー実施、広告出稿や関連するデジタルマーケティング等の各種販売促進活動に伴う支出が前年比で増加しましたが、人員増抑制もあり、全体では売上増に対し経費の増加は抑制できました。販売費及び一般管理費は3,624百万円(前年比2.8%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の経常利益は951百万円と前連結会計年度に比べ62.6%の増加となりました。税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ63.1%増の951百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ84.7%増の550百万円となりました。
3) キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
4) 資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、受注から開発納品、顧客からの支払受領までの期間と、外注支払等とのギャップ部分の運転資金に加え、各事業についての一般管理費などがあります。設備資金の需要としては、サーバ等の設備、比較的少額のオフィス等の機器に関する設備資金需要があります。無形固定資産に関連するものでは、サービスソフトウエア関連の開発投資、サービス開発投資に加え、社内のシステムに関する開発投資に関する資金需要があります。この他、企業や事業の買収に関する資金需要があります。
(財務政策)
近年の売上増大に伴う運転資金需要の増加や、ソフトウエア開発等の資金需要は自己資金で賄っております。運転資金につきましてはグループ企業を含め事業拡大に伴い需要が増加しておりますため、借入等短期資金を効率的に確保する手法を検討いたします。M&Aによる人材・開発能力の確保や新規事業開拓等に伴う資金については、2021年3月期におきまして自己株式の処分による調達を実施し、その後の投資環境、実績を鑑み、2023年3月期第4四半期において、その支出時期を2028年3月までと延長いたしました。こうした状況を鑑み、当面不足は発生しないものと判断しております。
5) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループにおいては、インターネット動画を利用したマーケティング活動や情報発信、情報共有や、各種コンテンツ配信市場は成長基調にあると認識しております。こうした環境下においては、導入顧客の動画利用を促進する知識や情報を提供し、利用実績を積み重ねることで目的達成への効果を実感頂き、取引規模を順次拡大していくことが重要であると判断しております。この方針の達成状況を判断するために重視している指標は、特に継続的売上と利益が期待できる配信系のプラットフォーム売上高や取引先数(サービスによっては同一企業に複数アカウントを発行する場合もあるため、アカウント数)、既存取引先の維持率、また新規の取引先獲得数であります。また、構築した配信基盤を利用して、こうした顧客に適切なサービスを提供して利益を上げられているかの目安として、営業利益率を重要な指標としております。営業利益率については、人員増の影響や管理系システム開発費用の影響が大きく、当連結会計年度において7.8%となり、前期比2.8ポイント向上しております。
当社の主力サービスである「J-Stream Equipmedia」については、競合企業対策、顧客への配慮から現時点での契約アカウント数は公開しておりませんが、サービス利用の累計アカウント数を随時公表しております。2024年6月末時点で4,000件を超えており、イベントによるスポット的利用には波があるものの、企業内コミュニケーションのインフラとしての定常利用は着実に獲得が進んでおります。
②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループでは、当社のプラットフォーム本部が中心となり、新サービス開発の前提となるソフトウエアや技術力のある企業の調査、実証実験、ネットワーク運用実験などを実施してまいりました。当連結会計年度における研究開発費は、
ユーザーの多様な動画配信ニーズに応えるウェブ上の表現手法や、動画配信サイトの構築・運用を助けるプラットフォームや各種ツール、アプリケーションソフトウエアに関する調査と開発を進めております。サービス品質向上のために当社独自の運用プログラムなどを随時構築し、動画配信ソフトウエアの24時間監視プログラム、負荷分析プログラム及び負荷分散プログラムなど、大規模インターネット配信で必要な独自のプログラム類を構築しております。大規模ネットワークを構築するための負荷分散装置、負荷分散ソフトウエア等についてはプラットフォーム本部が中心となり、実証実験を含め常に最新の装置、ソフトウエアを調査し、テストを行っております。