文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
また、この経営方針、経営環境、対処すべき課題等には、将来に関する記述が含まれております。こうした記述は、現時点で当社が入手している情報を踏まえた仮定、予期及び見解に基づくものであり、既知及び未知のリスクや不確実性及びその他の要素を内包するものです。「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要素によって、当社の実際の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況が、こうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。
(1)経営方針・経営戦略等及び進捗状況
わが国経済は物価高が続く中で個人消費の伸びが鈍く、緩やかな持ち直しに留まりましたが、国内外におけるライブ市場は活性化する傾向となりました。また、インターネット、通信・放送等における技術の急速な進化や、人々の生活様式の変化により、エンターテインメントビジネスにおけるエコシステムは大きな変革期を迎えており、コンテンツ供給量の増加に伴う競争激化、マーケットのグローバル化など、その変化は今後もますます加速していくものと捉えております。
当社は現在の事業環境を好機と捉え、創立50周年となる2028年までの期間を「さらなる成長軌道を実現するための重要期間」として位置付け、より一層の企業価値向上を目指してまいります。
①経営方針
あらゆる才能と繋がり、世界に挑戦するプロデュースハウスへ
(a)世界を見据えた「アーティスト」の発掘、プロデュース強化
(b)世界と日本を繋ぐ「オリジナルコンテンツ」の創造
(c)世界に展開できる「Web3サービス/ソリューション」の開発
②経営方針の進捗状況
(a)世界を見据えた「アーティスト」の発掘、プロデュース強化
当社の特徴の一つとして、アーティストの所属年数が長いことが挙げられます(サザンオールスターズ47年間、三宅裕司40年間、福山雅治37年間など)。豊かなアーティストポートフォリオは、仮に特定のアーティストによる収益が一時的に減少したとしても、当社全体の収益を所属アーティスト全員で補填することができ、この構造は、所属アーティストの中長期的な活躍を念頭に置いたマネージメントを可能といたします。既に海外において精力的な活動を行っているアーティストも多数おりますが、今後は多言語を扱うアーティストの発掘・育成等に向けてより一層の力を注ぐとともに、音楽・役者・声優・文化人等をはじめとする幅広いジャンルにおいて実績を有する当社の強みを最大限に発揮して、アーティストの多角的な活動を推進してまいります。
(b)世界と日本を繋ぐ「オリジナルコンテンツ」の創造
所属アーティストを起点とするプロデュース作品、クリエイターを起点とする原作やキャラクター、デジタルを起点とするIP、ライフカルチャーを起点とする感動体験等、様々なコンテンツの自社開発を積極的に行ってまいります。また、それらの制作体制を強化するための資本業務提携やM&A等を積極的に実行するとともに、映画・番組を中心とする映像作品の流通においてはSNSやVOD等との連携をさらに拡充してまいります。
(c)世界に展開できる「Web3サービス/ソリューション」の開発
新たなテクノロジーの出現により、エンターテインメント業界においても大きな変化が生まれております。2022年に設立しました新会社「Kulture」によるデジタル起点での取り組みやサービス開発を加速させるとともに、ファンクラブ・グッズ・デジタルサービス・チケット等の自社サービスとかけあわせることで、アーティストの魅力が世界に届く導線をさらに太く強いものとしてまいります。
(2)経営環境及び優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループの属するエンターテインメント業界の市場環境は、日本における人口減少、少子高齢化による需要減少により、一層の競争激化が予想されます。一方、直接的な市場環境としては、コンサート市場は一般社団法人日本コンサートプロモーターズ協会正会員78社の2024年(2024年1月-12月)の総入場者数は5,939万人(前期比105%)、総売上は6,121億円(前期比119%)と、動員数はスタジアム・アリーナ公演の増加に伴って6,000万人に迫る過去最多となり、市場規模も6,000億円を上回りました。要因としては、関東圏(東京・横浜・千葉)における新設アリーナ6会場の稼働もあり、アリーナ会場の動員数が拡大した事や、海外アーティストの大規模公演が継続して開催され、売上も全体の22%を占めるなど市場規模の底上げに繋がったことが要因となっております。「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針・経営戦略等及び進捗状況」に記載した通りの施策を積極的に実行しながら、既存の枠に捉われない発想で、才能から生み出される良質なコンテンツをともに創り、世界中に届け続けてまいります。
音楽業界では、2024年(1月-12月)の音楽ソフト総生産額が2,051億円(前期比93%)、有料音楽配信売上は1,233億円(前期比106%)、合計金額は3,285億円(前期比97%)となっております(一般社団法人日本レコード協会)。
邦画・洋画の映像関連市場では公開本数が1,190本(前期比97%)と微減しておりますが、映画館スクリーン数は3,675スクリーンと前年より微増となりました。2024年(1月-12月)の興行収入は、2,069億8千万円(前期比94%)と減少しております。(一般社団法人日本映画製作者連盟)。また、ビデオソフト市場では、2024年(1月-12月)の総売上は973億6千万円(前期比85%)と減少しております(一般社団法人日本映像ソフト協会)。
有料音楽配信が堅調に推移している一方、ビデオソフト市場が減少していることからもわかるように、流通インフラやインターネット環境の進展等により、アーティストが創作する楽曲や権利保有楽曲、映画やライブ中継などの映像作品等を直接消費者に届けることができるようになっております。
市場・流通チャネルの環境変化に強いエンターテインメント企業としての立ち位置を最大限に活用しながら、当社運営の各アーティストのファンクラブサイトやECサイトのアスマート、オンラインライブの配信プラットフォームLIVESHIPに代表されるように、内製化したインフラや機能を活用することで、市場の変化や細かなニーズに対して迅速に対応するとともに、収益源の多様化・利益率の向上を図ってまいります。
以上のような課題に対処するのは、当社グループの人材です。当社では、音楽・映像・舞台等の様々なエンターテインメント領域で事業を行っており、その多様性が特徴の一つです。
引き続き、若年層の即戦力化、マネージメント能力の向上、多彩な人材が多様な働き方を選択できる人事制度の構築、ワークライフバランスの実現やストレス対策、健康管理など従業員の健康を考慮した施策など従業員と企業の両方が成長できる環境を整えることが課題です。優秀な人材が自律的・精力的に活躍することができる、働き方・職場環境・人事制度等を継続的に見直していくことが重要であると考えております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
サステナビリティの基本方針
当社の価値創造の源泉はアーティスト、社員といった「人」であり、当社の持続的な成長にとって最も重要な要素であると考えております。「人」がその才能や個性を発揮し、互いに高めあうことで、当社の価値は最大化します。人的資本をどのように守り、強化していくかは経営戦略上の最重要課題と認識しております。
また、昨今様々な社会課題が顕在化し、企業にも責任ある対応がより求められております。当社においても社会や時代の要請に積極的に対応することは当然のことながら、当社が強みとするエンターテインメント企業としての発信力を活かし、多くの人々に社会課題についての気づきや考える機会を提供することで、社会全体をより良い方向に導いていくことが、当社が果たすべき社会的責任と捉えております。
当社はこの「人的資本の強化」と「より良い社会を築くための発信力の活用」をサステナビリティの重要事項と位置付け、中長期的な企業価値の向上と、誰もが良く生きられる持続可能な世界の実現を目指してまいります。
Ⅰ)サステナビリティ全般
(1)ガバナンス
当社グループにおけるサステナビリティの取組をさらに促進するため、2022年度よりサステナビリティ委員会を設置し、重点テーマを中心に、グループ・部門横断で協議しております。
サステナビリティ委員会は社長直轄の委員会であり、代表取締役社長を委員長、経営企画部を事務局とし、グループ会社を含む部門責任者を中心として構成されております。委員会では四半期に1回程度の全体会に加え、具体的な目標を設定した分科会を随時開催しており、当該委員会で協議した内容は年1回取締役会へ報告しております。
また、採用や人事異動といった人的資本に関する重要事項については、人事部が中心となり、取締役との協議・報告体制をとっております。
(2)リスク管理
人的資本及びその他サステナビリティに係るリスクについては、コーポレートガバナンス委員会への報告を通じて全社的なリスク管理及び内部統制システムに取り込み検討しております。
人的資本に係るリスクについては、人事部から適時取締役への報告を行うことに加え、定期的にコーポレートガバナンス委員会へ報告しております。
また、その他サステナビリティの課題は広範にわたるため、サステナビリティ委員会内で「当社経営・事業に対する影響の重要度」及び「ファンの皆様、投資家などステークホルダーにおける重要度」の2つの軸で重要性を評価・議論しておりますが、その中でも特に重要であると認識したリスクは事務局からコーポレートガバナンス委員会に定期報告を行っております。
(3)戦略
当社では中期ビジョン「あらゆる才能とともに、世界に挑戦するプロデュースハウスへ」、およびサステナビリティの基本方針にもとづき、当社が今向き合うべき4つのカテゴリと9つの重要課題を策定いたしました。
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カテゴリ |
重要課題 |
方針 |
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1「人」を尊重する |
多様な人材が活躍できる環境づくり |
アーティスト・従業員エンゲージメントの向上/アーティスト・従業員一人ひとりの成長へのサポート/人権を尊重した企業経営 |
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多様なお客様・ステークホルダーへの対応 |
多様性を尊重したサービス提供 |
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2 公正である |
健全で透明な経営体制の強化 |
コーポレート・ガバナンスの強化/コンプライアンス遵守体制の強化/ステークホルダーエンゲージメントの強化 |
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3 世界に届ける |
デジタル社会、メディアの多様化への対応 |
最先端サービス・ソリューションの開発/デジタルリスク管理体制の強化 |
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グローバル化への対応 |
グローバルで活躍できるアーティストの発掘、育成/オリジナルIP、コンテンツ開発の強化 |
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4 次世代に繋ぐ |
環境課題への対応 |
気候変動への対応/持続可能な資源・電力の調達 |
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心と体の健康への貢献 |
事業を通じたウェルネスの推進 |
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地域コミュニティ活性化への貢献 |
事業を通じた地方創生 |
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平和への貢献 |
平和な世界を実現するための土壌づくり |
上記のなかでもアーティスト、従業員といった人的資本に係る戦略をサステナビリティの最重要項目と位置付けており、下記の取組を進めております。
・個性や能力を見つけ、磨くための取組
・多様な働き方を支援する取組
・ウェルビーイングを向上させるための取組
・チーム力を強化するための取組
・安心や安全を守る取組
・法令・コンプライアンス遵守のための取組
詳細は当社コーポレートサイト内サステナビリティページ
(https://www.amuse.co.jp/sustainability/materiality/people)をご覧ください。
(4)指標及び目標
当社グループでは、上記「(3) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に係る指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属する全ての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
1.アーティストに係る指標(連結グループにおける主要な事業を営む提出会社)
アーティストは当社価値創造の源泉ですが、数に拘るものではありません。長期視点にもとづき一人ひとりの才能や可能を最大化させることを基本方針としており、プロデュース体制の整備状況とあわせて注視しております。
① 契約アーティスト組数
2022年度 218組
2023年度 220組
2024年度 193組
※各年度末時点における所属アーティスト数
指標の解説 モノづくりの源泉であるアーティストの契約組数は当社にとっての重要な指標です。必ずしも数に拘るものではありませんが、魅力的な才能との出会いを積極的に創り、育んでまいります。
当期の状況 期中に会社分割を行ったことにより減少しておりますが、会社分割により算出対象から外れた㈱アミューズクリエイティブスタジオおよび㈱アミューズスポーツエージェンシーの期末時点での契約アーティスト組数を含めるとその合計は228組であり、実質的には増加しております。各マネージメントカンパニーが次のヒットに向けた精力的な新人開発を実施しております。
② 平均契約年数
2022年度 10.2年
2023年度 10.4年
2024年度 10.6年
※各年度末時点における所属アーティストの平均契約年数
指標の解説 当社では長期視点にもとづくマネージメントを方針としております。平均契約年数は、アーティストとの関係が短期的なものになっていないか、マネージメントの傾向を測る指標としております。
当期の状況 長期視点でのマネージメント方針を継続し、平均契約年数は10.6年となりました。
③ マネージャー1人あたりの担当アーティスト組数
2022年度 1.4組
2023年度 1.2組
2024年度 1.3組
※各年度末時点における所属アーティスト組数を同時点でのマネージャー数で除して算出
指標の解説 アーティストとの長期的なパートナーシップを実現するためには、アーティスト一人ひとりと十分に向き合うことができるマネージメント体制が不可欠です。アーティストの活動内容によっても必要となるマネージャー数は異なりますが、全体的なマネージャー人員確保のための指標としております。
当期の状況 マネージャー1人あたりの担当アーティスト数は2組以下であり、適正値であると考えております。
2.従業員に係る指標(連結グループにおける主要な事業を営む提出会社)
指標の解説 当社では属性・経歴等を問わず、意欲と能力を伴った優秀な人材が活躍しております。その多様性の維持・向上について、「女性比率」「入社形態」「年齢層」等を指標とし、定期的にその制度・環境を見直し、拡充を目指してまいります。
当期の状況
1)従業員数 252人(183人)
2)平均勤続年数 10.61年
3)平均年間給与 7,082,534円
(注)1.従業員数は就業人員であり、( )内は平均臨時雇用者数で外数となっております。
2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。
4)男女の賃金の差異
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正規雇用労働者: |
女性6,222,127円 |
男性7,903,522円 |
(対男性賃金差異78.7%) |
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非正規雇用労働者: |
女性4,125,279円 |
男性5,505,193円 |
(対男性賃金差異74.9%) |
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全労働者: |
女性5,414,933円 |
男性7,288,162円 |
(対男性賃金差異74.3%) |
5)男女の平均勤務継続年数の差異
女性10.72年 男性10.48年(対男性平均継続勤続年数+0.24年)
6)女性管理職比率
目標 40.0%
当期の状況 41.5%
7)中途採用比率
目標 70.0%
当期の状況 68.6%
8)新卒入社者と中途採用者の管理職比率
目標 新卒入社者30.0%:中途採用者70.0%
当期の状況 新卒入社者28.9%:中途採用者71.1%
9)プロデュース部における30代以下の管理職比率
目標 50.0%
当期の状況 45.7%
10)外国籍社員比率
目標 2.0%
当期の状況 1.0%
Ⅱ)気候変動への対応(TCFD提言に沿った開示)
当社では気候変動が事業やステークホルダーに対して様々な影響を及ぼし、重大な損害を引き起こすリスクがあると捉え、気候変動への取り組みを重要課題の一つと位置付けております。
主な取り組みとしては、ガバナンス体制の整備、気候変動リスクと機会の特定・評価、シナリオ分析、リスク管理体制の見直し、Scope1および2の算定を実施しております。
今後は、気候変動リスクと機会が事業に与える影響の定量的な評価やGHG排出量算定対象範囲の拡大など、さらなる取り組みの強化に努めてまいります。
1.ガバナンス
当社グループでは、代表取締役社長を委員長、経営企画部を事務局とし、コーポレート・ガバナンス担当者やグループ会社を含む部門責任者を中心として構成されるサステナビリティ委員会を設置しております。四半期に一回程度開催されるサステナビリティ委員会においては、気候変動リスクと機会の特定・見直し、方針・戦略の策定、対策の実施と進捗管理を行っています。
特定した気候変動リスクのうち、特に重要事項とされるものに関しては、コーポレートガバナンス委員会に報告し、協議を行っております。サステナビリティ委員会で協議した内容は、その後、定期的に取締役会へ付議・報告を行うことにより、その活動状況を取締役会が監督しています。
■サステナビリティ推進体制
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会議体 |
主なメンバー |
気候変動に関する 主な役割 |
開催頻度 |
2024年度 開催実績 |
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取締役会 |
議長:代表取締役社長 社内取締役6名 社外取締役3名 |
気候変動に関する取り組みの監督 |
月1回 |
13回 |
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コーポレートガバナンス 委員会 |
委員長:代表取締役社長 事務局:内部監査部 委員:委員長により選任された取締役、各管理部門長 |
サステナビリティ委員会で特定した気候変動リスクの評価 |
四半期に1回程度 |
3回 |
|
サステナビリティ 委員会 |
委員長:代表取締役社長 事務局:経営企画部 委員:各カンパニー、部門、子会社社員 |
気候変動対策の立案・審議・決定・実行・報告・管理 |
四半期に 1回程度 |
5回 |
2.戦略
当社グループでは、気候変動に関連するリスクと機会を評価するために、TCFD提言に基づき複数の気候変動シナリオを用いたシナリオ分析を行っています。シナリオ分析では、温暖化の進行度や規制の変化など、異なるシナリオを想定し、中長期的な視点でそれぞれのシナリオが当社事業に与える影響を評価しています。これにより、将来の気候変動に対する潜在的なリスクや機会を把握し、事業戦略の調整やリスク管理の強化が可能となり、適切な戦略や対策を策定することにつながっています。
当社では、シナリオ分析の結果を基に、持続可能なビジネスモデルの構築と気候変動への適切な対応を推進してまいります。
■シナリオの概要と参照したシナリオ
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シナリオ |
概要 |
参照したシナリオ |
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1.5℃ |
21世紀末の世界の平均気温の上昇が、産業革命以前と比較して1.5℃以内に抑えられるシナリオ。 温室効果ガスの排出量削減に向けた規制が強化され、脱炭素社会への移行が進展する。 |
・IEA WEO NZE2050(IEA) ・SSP1-1.9(IPCC) |
|
4℃ |
21世紀末の世界の平均気温の上昇が、産業革命以前と比較して4℃程度上昇するシナリオ。 地球温暖化対策が遅れ、異常気象や自然災害などの物理的な影響が増大する。 |
・IEA WEO STEPS(IEA) ・SSP5-8.5(IPCC) |
■気候変動リスクと機会及び対応策
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リスク項目 |
指標 |
リスク・機会 |
対応策 |
顕在化する |
影響度 |
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|
1.5℃ (2℃) |
4℃ |
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移行 |
炭素価格 |
支出 |
・炭素税導入によって事業活動により排出されるGHG排出量に税金が課せられ、事業コストが増加しP/Lに影響が出る。 |
・中長期的なCO2排出量削減目標の策定 ・目標達成に向けた削減計画の立案と各種施策の実施 |
長 |
中 |
中 |
|
廃棄物・ リサイクル規制の強化 |
支出 |
・プラスチック等の梱包材・製品への規制が各国で導入され、対応コストが増加する。 ・コンサートグッズ等の廃棄に対しての規制(リサイクル含む)による処理コストが増加する。 |
・製品におけるリサイクル率向上の推進 ・安価で効率のよい包装材の代替品の導入 ・川上・川下顧客とのスクラップ回収スキームの確立 |
長 |
小 |
小 |
|
|
エネルギー価格の上昇 |
支出 |
・電力価格の高騰によりオフィスや、イベント等事業での電力コストが増加する。 |
・燃料転換・電力会社の切り替え等省エネ改善 |
長 |
中 |
小 |
|
|
消費者/投資家の行動変化 |
収益資本 |
「リスク」 ・環境先進国から環境対策に消極的であると判断され、当該国での事業の機会が低下する。 ・投資家から環境対策に消極的であると評価された場合、資本調達が行いにくくなり、資本調達コストが増加する。 「機会」 ・環境に配慮した企業や団体と、広告宣伝やCM、アンバサダーなど協業の機会が増加する。 ・環境系のイベントなどの需要が高まる。 ・低炭素・環境配慮型の事業に移行し、十分な発信を行った結果、投資家から環境対策に積極的であると評価された場合、ESG投資等資本調達が容易になり、資本調達コストが低下する。 |
・環境対応への注力 ・気候変動情報の積極的な開示 ・環境課題に係るアーティストや従業員への啓蒙 ・環境負荷の少ないイベント、コンテンツの制作 |
中 |
中 |
小 |
|
|
物理的 |
原料価格の高騰 |
支出 |
・主に繊維系統(綿、ポリエステル)の原料が高騰しグッズ製造のコストが増加する。 |
・より安価な調達先への変更 ・より安価な素材への変更 ・製造コストを安く抑えられるグッズの開発 ・価格の見直し |
中・長 |
中 |
中 |
|
平均気温の上昇 |
収益支出 |
・熱中症防止の観点から物販・イベントの中止が想定され収益が減少する。 ・気温上昇への対策として冷房設備など環境整備のためのコストが増加する。 ・アーティストやスタッフの体調悪化への懸念が高まる。また、熱中症等リスクに伴いイベント等での人件費が高騰する。 |
・熱中症を考慮した時期・時間・場所でのイベント等開催 |
中・長 |
中 |
大 |
|
|
異常気象の激甚化 |
収益 |
・異常気象の激甚化から災害被害などが発生しイベント中止や影響範囲の消費者のチケット払い戻しなどにより収益が減少する。 |
・オンラインライブの活用 |
長 |
中 |
中 |
|
|
感染症の増加/拡大 |
収益支出 |
・感染症の拡大に伴うイベント中止やアーティストの活動停止により収益が減少する。 ・感染対策への設備投資などのコストが増加する。 |
・アーティストやイベント時の感染症対策の整備と徹底 |
長 |
大 |
大 |
|
※影響度に関しては、IPCCやIEAなどの外部レポート及び当社財務データを用いて一部定量的な評価も交えながら、定性的な評価を実施しています。
3.リスク管理
気候変動リスクについては、サステナビリティ全般のリスクと共に管理しております。詳細については、
4.指標と目標
当社グループでは、2030年までに温室効果ガス排出量(Scope1及び2)を本社オフィスが完成した2023年度比で30%削減することを目指しており、さらには2050年までにカーボンニュートラルを実現することを目標としています。
目標達成の一環として、2024年度からは本社オフィスの電力の一部を水力発電由来の再生可能エネルギーへ切り替えております。また、豊島研修所では太陽光発電を導入し、使用電力の一部を再生可能エネルギーで賄っております。2024年度の再生可能エネルギーの使用割合は50.7%%※となり、2050年までに使用電力の100%を再生可能エネルギー化することを目指しております。
2024年10月に新東京オフィスに移転し、現時点では通常電力を使用しておりますが、電力プランの切り替えを含め、今後もGHG排出量削減に努めてまいります。
また、排出量算定においては、今後は連結グループへと算定対象範囲の拡大を図り、Scope3排出量の開示に向けて取り組んでまいります。
※2024年度の再生可能エネルギーの割合は、豊島研修所の太陽光発電の自家消費量は含めておりません。
■指標と目標
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指標 |
目標 |
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温室効果ガス排出量削減 |
2030年度:Scope1及び2の排出量を2023年度比30%削減 2050年度:グループ全体でカーボンニュートラル達成 |
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再生可能エネルギーの割合 |
2050年度:100%達成 |
■温室効果ガス排出量実績(提出会社)
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(単位:t-CO2) |
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温室効果ガス排出量 |
2022年度 |
2023年度 |
2024年度 |
前年対比(%) |
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Scope1 |
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△24.9 |
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Scope2 |
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△2.0 |
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Scope1+2 |
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△13.1 |
※2024年度のScope1の前年比減少は、宿泊施設も兼ねる山梨本社における灯油及びガスの使用量の減少に起因しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下であると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)主要アーティスト及び契約アーティストについて
主要アーティストの活動が休止・停止した場合や、主要アーティストとの専属契約が更新に至らなかった場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社は契約アーティストに対して必要な研修を行い、コンプライアンスの遵守に努めておりますが、契約アーティストが、法令違反、信用失墜行為、取引先との契約違反となるようなトラブルを起こした場合や、そのようなトラブルを起こしたとの報道がなされた場合あるいはそのような風評が流布された場合には、契約アーティスト及び当社グループの評判が悪化することなどにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクは、アーティストとの関係性を良好に保ち、アーティストへのコンプライアンス研修を行うなどで発生を抑えるべく努力しておりますが、完全に防止することは難しいと考えております。アーティストポートフォリオの拡充を積極的に行い、収益基盤を分散させることで、有事の際の業績への影響を最小限にとどめてまいります。
また、当社グループの契約アーティストに法令違反、信用失墜行為、取引先との契約違反等の問題がない場合であっても、スポンサーや広告主、テレビ局等の取引関係者や興行関係者等にそのような問題が生じた場合やそのような問題が生じたとの報道がなされた場合には、当社グループ、当社グループが属する業界又は当社グループの契約アーティストのイメージに影響を及ぼし、その結果、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(2)コンサート活動や個々の作品による業績の変動について
当社の主力事業のひとつである大規模なコンサートの実施は、その期間の営業収入を急増させます。また、映画は上映後数週間、音楽作品・映像作品は発売直後に収入が集中する傾向にあります。ヒットがあると収入が急増しますが、予測が困難なビジネスの為、計画的な投資回収が出来ない場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、幅広いアーティストのポートフォリオを確保し、より多くの音楽作品・映像作品のタイトルを確保することで安定的な収入の計上ができるよう努めておりますが、コンサートの実施時期、音楽作品・映像作品の発売時期、映画等の公開時期等により、業績の変動が大きくなる可能性があります。
(3)契約アーティストが出演する興行事業について
当社グループのアーティストはコンサート、映画、ドラマ、舞台、ミュージカル等の様々な興行に出演しておりますが、出演アーティストの健康上の理由や不慮の事故等により出演が不可能になることがあります。そのような事態においては、代役の出演、興行の延期その他の代替措置が常に可能であるとは限らず、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4)異常気象や災害、感染症の流行等による業績変動について
近年増加傾向にある異常気象を含む災害に見舞われた際には、コンサート等やアウトドア事業が開催もしくは実施できない、又は交通機関の停止などにより来場できないお客様に対しての払戻し対応などが発生する可能性があります。
また、感染症などの流行に伴い、政府又は自治体からの要請が発出された場合等は、コンサート等やアウトドア事業の開催又は実施を中止せざるを得ません。
当社グループは、上記について可能な限りの事前対策は講じておりますが、チケットの払戻し、製作費や諸費用の負担及びお客様への補償などを完全に回避することは難しく、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。オンラインライブの積極的な活用などによって影響の軽減に努めてまいります。
(5)ヒットビジネスとアーティストの育成について
ヒットビジネスは、お客様の趣味、嗜好、流行の影響を受けます。当社グループは、様々なタイプのアーティストと契約し、また従来からの専属契約以外の契約形態も提案するなど、 継続的に新人アーティストを発掘・育成する体制を整えておりますが、計画通りにアーティストへの投資が回収できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)技術革新への対応について
当社グループは、テクノロジー(いわゆる生成AI等を含みます。)を活かした新たなビジネスの可能性を追求しておりますが、その遂行過程において、適時における必要な人員確保の困難性や、技術革新や競合の出現等による事業環境の急激な変化、事後的に顕在化する予測困難な問題等(適用法令の不存在や公権解釈の予測困難性を含みます。)により、リスクが発生する可能性は否定できず、これにより当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7)優秀な人材の確保について
当社グループの中長期的な成長は、従業員の能力に大きく依存しております。
お客様や社会に価値を提供し、持続的な成長を実現していくためには、多様な人材の確保・育成と社内環境の整備が極めて重要な課題であると認識しております。また国内の人口動態の変化による労働力不足への対応は、将来の持続可能性にも関わる大きな課題です。
当社グループの成長戦略を推進していくためには、多様な知見・スキル・価値観を有する人材を確保・育成していく必要がありますが、社会情勢や雇用環境の変化により、相応しい人材を継続的に採用することが困難になる場合には、事業における売上確保や成長戦略の推進に支障が生じるなど、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8)コンテンツへの出資・製作・買付について
有望な原作・舞台・ミュージカルや映像作品、その他コンテンツの買い付け・出資は競争が激しく、必ずしも獲得できるとは限りません。
また、投資金額の上限の設定や、パートナーの出資を募ることでのリスク分散、映像化権・インターネット配信化権等の権利を獲得・活用することで投資回収率の向上に努めておりますが、出資・製作・買付したコンテンツの興行成績・販売実績によっては、投資した資金の回収期間が予想に反して長期に亘ることや、損失が生じる可能性があります。その際には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9)ソーシャルネットワーキングサービス(以下「SNS」といいます。)等による情報拡散について
当社グループでは、アーティスト及び当社グループの情報をより多くの皆様へお届けする方法として、SNSを非常に有用なツールと位置付けております。一方で、SNSなどを通じて当社グループについての批判や誤った情報が拡散した場合には、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。
(10)知的財産権の侵害について
当社グループが保有する知的財産権を第三者により侵害される、又は当社グループが意図せずに第三者の知的財産権を侵害してしまう可能性があります。
当社グループが保有する知的財産権の侵害に対しては、関係部署が連携して対応しておりますが、海外やインターネット上での権利侵害に対しては、法規制の観点から、保護を十分に受けられない可能性があり、侵害が長期かつ大規模にわたる場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループによる意図せぬ知的財産権侵害(海外における知的財産権侵害を含みます。)についても、関係部署が連携して予防対策をしておりますが、従業員による過誤や法解釈の相違等により侵害が生じてしまった場合には、国内外における司法手続に服する可能性も含め、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(11)海外事業展開について
当社グループは、アーティストの海外活動、海外アーティストの育成・マネージメント、他社コンテンツの海外展開サポート、海外作品への出資や映画・番組の共同製作など、海外事業に積極的に取り組んでおり、海外での事業展開は今後の当社グループの成長のために重要なものと位置づけております。しかしながら、各国の法令、政治・社会情勢、文化、宗教、嗜好や商慣習の違い、為替変動などの潜在的リスクに対処できない場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(12)コストの上昇について
昨今、人件費の上昇、原油価格の高騰、円安、不安定な国際情勢等の理由により、当社グループの事業に伴う製造原価その他のコストが上昇しておりますが、当社グループが置かれた競争環境その他の事情から、それらコストの上昇について、当社グループは適時にかつ十分に転嫁できるとの保証はなく、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(13)システムリスクについて
当社グループは、お客様へのサービスの提供及びグループ内のICT機器及びメール・グループウェア等の社内サービスをITシステム部で管理しており、ICTに係るリスクの発生を未然に防止できるよう高い情報セキュリティレベルを確保していると認識しております。
しかしながら、サイバー攻撃は日々高度化、巧妙化しており、マルウェアや不正アクセス及び当社グループに対するサイバー攻撃によって関連システムのセキュリティを脅かされた場合には、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。サイバー攻撃以外の原因(サーバー等への一時的な過負荷や社員の過誤を含みます。)によるシステム障害や通信障害が発生した場合にも、一定期間の収益低下、お客様からの信用低下及びブランドイメージの毀損等により、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。
また、システム障害等(原因は問いません。)が生じた場合に、解決や復旧のために外部システム業者の助力が必要なことがありますが、外部システム業者の人的資源も有限であり、解決や復旧に時間を要することにより、当社グループの事業活動に影響が生じる可能性があります。
(14)個人情報漏洩について
当社グループは、お客様の個人情報を取り扱います。そのため、個人情報の取扱いに関する規程を設けるとともに、社員研修の実施等により、セキュリティへの意識の喚起や情報リテラシーの向上に努めております。しかしながら、個人情報漏洩が発生する可能性がないとの保証はなく、万が一、そのような事態が生じた場合には、損害賠償やイメージの毀損等によって、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、個人情報漏洩がなくても、個人情報漏洩を防ぐためのコストにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(15)新規事業や事業拡大について
当社グループは、より強固な収益基盤を構築すべく、積極的に新規事業に取り組み、また事業拡大を図っております。起こりうる様々なリスクを想定してそれらを実施しておりますが、新サービス・新規事業の展開や事業拡大が計画通りに進まない場合や期待した収益性を実現できない場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
また、買収、提携、合弁等を通じてそれらを実施する場合において、期待されたシナジーが実現できないこと、計画された収益の創出とコスト改善を果たせないこと、主要人員の喪失、買収等の相手方との企業文化の違い等によって、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(16)法的規制について
当社グループが事業を行うにあたり、会社法、労働基準法、金融商品取引法、著作権法、商標法、特許法、不正競争防止法、景表法、独占禁止法、下請法、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(いわゆるフリーランス法)、食品衛生法、個人情報保護法、特定商取引法、消費者保護法等の法令(いずれも、これらに相当する海外の法令を含みます。)の適用を受けます。当社グループは、法令を遵守するために、コンプライアンス体制を構築し、内部通報制度を導入するなどしておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとの保証はありません。
また、これらの法令等が改正され規制が強化されたり、新たに当社の事業活動を規制する法令が制定されたりした場合には、事業への制約や追加的な対応が生じることにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(17)特定経営者への依存について
当社創業者であり代表取締役会長兼社長である大里洋吉は、当社の大株主であるとともに、当社グループの経営戦略の立案・決定や、重要な取引先及びアーティストとの契約等において重要な役割を果たしております。何らかの理由で同氏が当社グループから離脱した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減 |
増減率 |
|
営業収入 |
54,813 |
68,186 |
13,372 |
24.4 |
|
営業利益 |
1,367 |
2,798 |
1,430 |
104.6 |
|
経常利益 |
1,777 |
2,963 |
1,185 |
66.7 |
|
親会社株主に帰属する 当期純利益 |
391 |
1,648 |
1,256 |
320.9 |
〔経営成績の分析〕
当連結会計年度のわが国経済は、物価高が続く中で個人消費の伸びが鈍く、緩やかな持ち直しにとどまりました。設備投資は増加傾向にあるものの、輸出は伸び悩み、年度後半には、賃金・物価の持続的な上昇を見極め、金融政策の正常化も始まりました。実質GDP成長率は小幅なプラスとなる見込みとなりました。当社グループの経営成績は営業収入681億8千6百万円(前期比24.4%増)、営業利益27億9千8百万円(前期比104.6%増)、経常利益29億6千3百万円(前期比66.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益16億4千8百万円(前期比320.9%増)となりました。
〔当社グループの事業概況〕
当連結会計年度においては、大型コンサートツアー開催によるイベント収入及びグッズ・商品収入、FC会員収入増加の他、番組制作収入やライブ・ビューイングの好調による映像製作収入の増加により、営業収入は増収となりました。営業利益については、営業収入に係る営業原価や販売費及び一般管理費が増加したものの、増収要因により増益となりました。経常利益については、上記の営業利益の増益に伴い増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、「事業構造改革費用」や「関係会社株式評価損」、「投資有価証券評価損」の計上及び「法人税等」の増加はあったものの、「関係会社株式売却益」の計上及び増収要因により増益となりました。
<営業収入>
・ イベント収入が増加
・ グッズ・商品収入が増加
・ FC会員収入が増加
・ 印税収入が増加
・ 番組制作収入が増加
・ 映像製作収入が増加
・ 出演料収入が増加
<営業利益>
営業収入に係る営業原価や販売費及び一般管理費が増加したものの、増収要因により増益となりました。
<経常利益>
上記の営業利益の増益に伴い増益となりました。
<親会社株主に帰属する当期純利益>
「事業構造改革費用」や「関係会社株式評価損」、「投資有価証券評価損」の計上及び「法人税等」の増加はあったものの、「関係会社株式売却益」の計上及び増収要因により増益となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(営業収入)
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減 |
増減率 |
|
イベント関連事業 |
31,626 |
42,055 |
10,428 |
33.0 |
|
音楽・映像事業 |
16,887 |
19,747 |
2,860 |
16.9 |
|
出演・CM事業 |
6,299 |
6,383 |
84 |
1.3 |
|
合計 |
54,813 |
68,186 |
13,372 |
24.4 |
(セグメント利益又は損失(△))
(単位:百万円)
|
|
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
増減 |
増減率 |
|
イベント関連事業 |
△135 |
846 |
982 |
- |
|
音楽・映像事業 |
965 |
1,503 |
537 |
55.7 |
|
出演・CM事業 |
538 |
448 |
△90 |
△16.7 |
|
調整額 |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
1,367 |
2,798 |
1,430 |
104.6 |
〔イベント関連事業〕
営業収入420億5千5百万円(前期比33.0%増)、セグメント利益8億4千6百万円(前期は1億3千5百万円のセグメント損失)となり、増収増益となりました。
[主な事業]
・ イベント収入:<コンサート>
福山雅治、サザンオールスターズ、SEKAI NO OWARI、Perfume、IVE、
ポルノグラフィティ、BEGIN、BABYMETAL、FLOW、NOA、藤原さくら、
爆風スランプ、神はサイコロを振らない、折坂悠太のコンサートツアー
<舞台・公演>
地球ゴージャス「儚き光のラプソディ」
熱海五郎一座「スマイルフォーエバー~ちょいワル淑女と愛の魔法~」
舞台「死の笛」
「REONJACK5」
「無伴奏ソナタ -The Musical-」
ブロードウェイミュージカル「IN THE HEIGHTS イン・ザ・ハイツ」
・ 商品売上収入:福山雅治、サザンオールスターズ、ポルノグラフィティのコンサートツアーグッズなど
・ ファンクラブ収入:サザンオールスターズ、福山雅治、星野源、Perfume、ポルノグラフィティなど
<営業収入>
・ イベント収入の増加
(前期はポルノグラフィティ、BABYMETAL、SEKAI NO OWARI、Perfumeのコンサートツアー、熱海五郎一座による公演など)
・ グッズ・商品収入の増加
・ FC会員収入の増加
上記要因などにより増収となりました。
<セグメント利益>
イベント収入及びグッズ・商品収入に係る営業原価の増加はあったものの、増収要因により増益となりました。
〔音楽・映像事業〕
営業収入197億4千7百万円(前期比16.9%増)、セグメント利益15億3百万円(前期比55.7%増)となり、増収増益となりました。
[主な事業]
・ 印税収入(新譜・旧譜):サザンオールスターズ、桑田佳祐、福山雅治、ポルノグラフィティ、
BABYMETAL、Perfume、星野源など
・ レーベル収入:BABYMETALのライブBlu-ray&DVDなど
・ 番組制作収入:Netflix映画「Demon City 鬼ゴロシ」などの映画・ドラマ制作、レギュラー番組や単発番組の制作・受託など
・ 映像製作収入:イベント興行の中継及び上映収入など
・ 映像作品販売収入:映画「月の満ち欠け」などのBlu-ray&DVD販売収入
<営業収入>
・ 番組制作収入が増加
・ 映像製作収入が増加
・ 印税収入(旧譜)が増加
・ レーベル収入が減少
上記要因などにより増収となりました。
<セグメント利益>
番組制作収入に係る営業原価の増加はあったものの、増収要因により増益となりました。
〔出演・CM事業〕
営業収入63億8千3百万円(前期比1.3%増)、セグメント利益4億4千8百万円(前期比16.7%減)となり、増収減益となりました。
[主な事業]
・ 出演収入・CM収入:大泉洋、福山雅治、吉高由里子、ホラン千秋、安田顕、Perfume、星野源、
サザンオールスターズ、DEAN FUJIOKA、桜田通、三吉彩花、清原果耶、
堀田真由、小関裕太、山田杏奈など
<営業収入>
出演料収入の増加により増収となりました。
<セグメント利益>
出演料収入に係る営業原価の増加等により減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ22億2千5百万円減少し、当連結会計年度末には274億6千6百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は下記のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は4億3千3百万円(前期は3億1千3百万円の使用)となりました。
これは、主に営業債権の増加はあったものの、税金等調整前当期純利益の計上による資金増加要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6億1千1百万円(前期は17億2千9百万円の使用)となりました。
これは、連結子会社であった㈱A-Sketch株式の売却による収入があったものの、主に有形固定資産の取得による支出や有価証券の取得による支出による資金減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は20億5千9百万円(前期は7億3千2百万円の使用)となりました。
これは、主に当社株主及び非支配株主への配当金の支払による資金減少要因によるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
1) 生産実績及び受注状況
該当事項はありません。
2) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
イベント関連事業(百万円) |
42,055 |
33.0 |
|
音楽・映像事業(百万円) |
19,747 |
16.9 |
|
出演・CM事業(百万円) |
6,383 |
1.3 |
|
合計(百万円) |
68,186 |
24.4 |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.数量の表示は、取扱い品目が多岐にわたり記載が困難であるため省略しております。
3.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
GMOペイメントゲートウェイ㈱ |
5,976 |
10.9 |
- |
- |
4.相手先は決済代行業者であり、個人からの代金回収を代行しております。
5.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1) 経営成績の分析
当社グループの経営成績は営業収入681億8千6百万円(前期比24.4%増)、営業利益27億9千8百万円(前期比104.6%増)、経常利益29億6千3百万円(前期比66.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益16億4千8百万円(前期比320.9%増)となりました。
当連結会計年度においては、サザンオールスターズや福山雅治、Perfume、SEKAI NO OWARI、IVE等の大型コンサートツアーによる売上の増加や㈱極東電視台、㈱ライブ・ビューイング・ジャパン等の増収により営業収入は増収となりました。また、原材料価格や人件費の高騰による営業原価の増加に加え、東京オフィス移転等の事業構造改革費用による特別損失の影響があったものの、増収となったことや㈱A-Sketchの株式売却益もあり、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はともに増益となりました。
なお、セグメントの概況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載されているとおりであります。
2) 財政状態の分析
(総資産)
当連結会計年度末の総資産は608億4千1百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億3千6百万円増加いたしました。主な増加要因は、流動資産「受取手形及び営業未収入金」及び固定資産「建物(純額)」の増加によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は237億2千万円となり、前連結会計年度末に比べ23億1千6百万円増加いたしました。主な増加要因は、流動負債「契約負債」の増加によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は371億2千万円となり、前連結会計年度末に比べ3億7千9百万円減少いたしました。主な減少要因は、㈱A-Sketchの連結除外に伴う「非支配株主持分」の減少によるものであります。この結果、自己資本比率は56.6%となりました。
3) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、以下のものがあげられます。
アーティストの活動・契約状況、アーティストから生み出される作品のヒット状況等が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。大規模なコンサート・舞台は短期的に営業収入を増加させますが、開催が不定期であり、自然災害・天候・感染症等の要因に影響されることもあります。同様に、音楽や映像のパッケージ・配信等の発売時期も業績変動の要因となります。特に舞台・映像などの出資作品は回収期間が長期にわたることもあり、制作状況や外部環境の変化等により、リスクが増大することがあります。当社グループが保有している資産は、市場価格の下落や事業収益性の悪化が起こった場合、減損会計の適用により減損損失が発生し、業績や財務状況に影響を与える可能性があります。
当社グループは、積極的に新規事業に取り組み事業拡大を図っております。様々なリスクを想定して実施しておりますが、新規事業の展開等が計画通りに進まない場合、業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
日本国内の人口は減少を続けていることから、国内市場の成長性は不透明な状況です。海外への事業展開を積極的に進めておりますが、政治的・経済的な要因、法律・制度や各種規制、テロ・戦争等の予期し得ない事態が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
4) 資本の財源及び資金の流動性
・当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載されているとおりであります。
・当社グループの財務政策は、運転資金及び将来の事業拡大を目的とする投資資金として、内部資金を財源とすることを基本方針としておりますが、財務状況により機動的な運転資金の調達先として銀行借入を選択する場合もあります。
5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループの事業は、非常に多岐にわたっております。各事業を小単位に分け、事業毎の営業利益管理を行っており、全体としての営業利益・営業利益率・株主資本利益率などの向上を目標としております。
当社グループの次期の業績見通しは、次の通りであります。
<営業収入>
子会社における大型コンサート案件の減少や㈱A-Sketchが連結子会社から外れたことにより減収となる見込みです。
<営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益>
上記同様の理由により、減益となる見込みです。
6)経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは総合エンターテインメント企業として、これまで培ったノウハウ・サービスを応用・展開することで、あらゆる人々に夢と感動を届けることを基本方針としております。
当社グループを取り巻く事業環境は、生活様式やエンターテインメント市場の変化、デジタル技術の進展等により目まぐるしく変化しており、より迅速かつ明確な経営判断が益々求められております。
アーティストポートフォリオの拡大、マネージメントの強化、新時代に適合したソリューションの創出を図りながら、新しいビジネスモデルを開発するとともに、展開してまいります。
また、社会的・環境的・経済的な持続可能性の追求、クリエイティブな環境づくり、透明性の高いガバナンス体制に努め、企業価値の増大を図っていく所存であります。
②重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社グループは、貸倒債権、棚卸資産、投資、法人税等、退職給付債務、偶発事象や訴訟等に関する見積り及び判断に対して、継続して評価を行っております。当社グループは、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収入費用の報告数字についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。
(簡易吸収分割)
当社は、2024年8月27日開催の取締役会において、2024年10月1日付で簡易吸収分割の方法により、当社のグッズ制作事業を当社の完全子会社である㈱希船工房(現:㈱アミューズプロダクトワークス)に、デジタルビジネス事業及びEコマース事業を当社の完全子会社である㈱Kultureに、それぞれ承継させることを決議し、同日付で吸収分割契約を締結いたしました。当該契約に基づく会社分割(簡易吸収分割)は、2024年10月1日付で完了しております。
なお、詳細につきましては「第5 経理の状況(1)連結財務諸表等「注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
(簡易新設分割)
当社は、2024年8月27日開催の取締役会において、2024年10月1日付で簡易新設分割の方法により、当社のIP開発事業、映像企画製作事業及び舞台製作事業を㈱アミューズクリエイティブスタジオに、海外ライブ事業を㈱アミューズミュージックエンタテインメントに、ビジネスアライアンス事業を㈱アミューズコミュニケーションデザインに、スポーツ事業を㈱アミューズスポーツエージェンシーに、それぞれ承継させることを決議し、同日付で新設分割契約を締結いたしました。当該契約に基づく会社分割(簡易新設分割)は、2024年10月1日付で完了しております。
なお、詳細につきましては「第5 経理の状況(1)連結財務諸表等「注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
(子会社株式の譲渡)
当社は、2025年2月14日開催の取締役会において、当社の連結子会社である㈱A-Sketchについて、当社が保有する全株式をユニバーサルミュージック合同会社に譲渡することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。当該契約に基づく株式譲渡は、2025年3月31日付で完了しております。
なお、詳細につきましては「第5 経理の状況(1)連結財務諸表等「注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
特記すべき事項はありません。