第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

①  全体の業績

当連結会計年度は、2014年4月の消費税増税に伴う駆け込み申込みによる反動減の影響が落ち着いたことや我が国経済が引き続き良好に推移したことなどを背景に、当社グループの売上も1年を通じて堅調に推移し、現金ベース売上高は201億3百万円(前年同期比12億5千6百万円増、同6.7%増)と、消費税増税による駆け込み申込みの反動減の影響があった前連結会計年度と比較し、大幅に増加する結果となりました。当社グループは4つのセグメント(個人教育、法人研修、出版、人材)で事業を展開しておりますが、そのすべてのセグメントにおいて売上高及び営業利益が前年同期を上回る結果となりました。前受金調整後の発生ベース売上高は、前受金調整額が9千6百万円の繰入(前年同期は6億9千万円の戻入)と現金ベース売上高を押し下げる方向に働いたことで200億7百万円となり、同4億6千9百万円の増加(同2.4%増)となりました。

売上原価は121億2千万円(同4百万円減、同0.0%減)、販売費及び一般管理費は72億7千8百万円(同2千6百万円増、同0.4%増)となりました。売上の増加及び販促活動の拡充等にともなって、市販外注費や広告宣伝費、人件費など一部の費目は前年同期を上回りましたが、本社ビルを取得したことによる賃借料の節減効果や継続的に取り組んでいるコスト削減努力によって、全体的な売上原価及び販売費及び一般管理費は、ともにほぼ前年並みの水準に抑えることが出来ました。これらの結果、営業利益は6億5百万円(同4億6千5百万円増、同331.0%増)となりました。

営業外収益に、受取利息1千3百万円、受取手数料4千万円、投資有価証券運用益4千7百万円等、合計1億1千5百万円、営業外費用に、支払利息7千3百万円、支払手数料1千1百万円等、合計8千5百万円を計上した結果、経常利益は6億3千5百万円(同2億3千1百万円増、同57.2%増)となりました。

特別利益に固定資産売却益を1百万円、特別損失に(株)医療事務スタッフ関西の買収時に生じたのれんの未償却残高1億6百万円の減損損失、投資有価証券評価損1千6百万円をそれぞれ計上しました。これらの結果、当期純利益は2億1千4百万円(同5百万円増、同2.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2億1千3百万円(同5百万円増、同2.6%増)となりました。

 

②  各セグメントの業績

当連結会計年度における当社グループの各セグメントの業績(現金ベース売上高)及び概況は、次のとおりであります。なお、当社ではセグメント情報に関して「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等の適用によりマネジメント・アプローチを採用し、下記の数表における売上高を、当社グループの経営意思決定に即した”現金ベース”(前受金調整前)売上高で表示しております。

現金ベース売上高は、連結損益計算書の売上高とは異なりますので、ご注意ください。詳細につきましては、注記事項「セグメント情報等」をご覧ください。

 

各セグメントの
現金ベース売上高

当連結会計年度
(自  平成27年4月1日  至  平成28年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

構成比(%)

個人教育事業

12,333,517

104.1

61.4

法人研修事業

4,440,802

106.2

22.1

出版事業

2,764,306

119.1

13.7

人材事業

623,933

114.7

3.1

全社又は消去

△59,308

△0.3

合計

20,103,251

106.7

100.0

 

(注) 1.上記金額には消費税等は含まれておりません。

2.各セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高を含めて記載しております。

 

 

(個人教育事業)

個人教育事業は、消費税増税による駆け込み申込みの反動減の影響が大きかった昨年と比較すると、特に第1四半期で現金ベース売上高は前年同期比13.1%増と前年を大きく上回りましたが、その後の第2四半期~第4四半期も含め、年間を通じて比較的好調に推移しました。特に好調だったのは簿記検定講座、公認会計士講座、不動産鑑定士講座、宅地建物取引士講座、社会保険労務士講座、公務員講座等ですが、この他にも当社が手掛けている多くの講座で前年を上回る結果となりました。一方、受験申込者数が長期低落傾向にある税理士講座、2010年に33,166人だった出願者数が2015年には21,754人と5年間で3割以上減少した司法書士講座等は前年を下回る結果となりました。

これに対して、講師料、教材制作のための外注費、賃借料等の営業費用に関しては、売上増加に伴う営業費用の増加を最小限に抑えるよう努めたほか、拠点床面積の見直しや業務効率の向上を図るなど、引き続きコスト管理を徹底しました。これらの結果、現金ベース売上高は123億3千3百万円(前年同期比4.1%増)、現金ベースの営業損失は9千9百万円(前年同期は10億4千4百万円の営業損失)となりました。

(法人研修事業)

企業研修売上は、良好な企業景気を背景にした新卒採用者数の増加や既存社員の人材育成に注力する企業が増えてきており、内定者研修、新人研修や職階別研修等の受注が好調に推移しました。また、企業における人事評価者のための研修や人事考課試験そのものをアウトソースする動きもあり、収益の幅が徐々に広がってきております。講座別では、宅建が前年同期比10.4%増、ビジネススクールが同17.3%増、証券アナリストが同13.8%増、CompTIAが同17.0%増、簿記が同1.1%減等となりました。地方の個人が主な顧客となる提携校事業は、会計士、公務員が好調でそれぞれ同23.9%増、同9.4%増となった一方、税理士は同8.8%減で、全体では同2.8%増となりました。大学内セミナーは年間を通じて堅調に推移し、簿記が同12.2%増、会計士が同27.6%増、公務員が同13.0%増、司法試験が同3.0%減、就職対策が同38.1%減となり、全体では同9.8%増となりました。自治体からの委託訓練は、景気回復による需要の減少で同13.0%の減少となったほか、昨年消費税のバージョンアップ特需があった税務申告ソフト「魔法陣」の売上は同8.1%の減少となりました。なお、当社と株式会社ハンドとの間で締結しておりました「魔法陣」の総販売代理店取引契約は平成28年3月31日をもって合意解約しております。これらの結果、法人研修事業の現金ベース売上高は44億4千万円(同6.2%増)、営業利益は12億8百万円(同14.2%増)となりました。

(出版事業)

当社グループの出版事業は、当社が展開する「TAC出版」ブランド及び子会社の株式会社早稲田経営出版が展開する「Wセミナー」ブランド(以下、「W出版」という。)の2本立てで進めております。TAC出版では、従来の分かりやすさに見やすさ・理解しやすさを付加したフルカラー書籍(簿記・宅建士・FP・社労士等)が好評で年間を通じて売上に大きく貢献しました。また、マイナンバーに関する実用書やエンターテイメント系の書籍等、資格以外の分野での書籍を出版し収益の拡大に努めました。講座別では、全体的に好調な講座が多く、特に簿記、宅建、社労士、FPは売上が大きく増加しております。W出版では、会社法や商業登記法の改正関連書籍の貢献もあり、司法試験、行政書士が売上を伸ばしました。

販売促進の面では、「TAC定期便」等を通じた書店の売上サポートや緻密な情報提供、書店での棚作りまで含めた細やかな提案、「TACグループ資格祭り」の開催等による書店との連携強化、独学道場(独学者向けのオリジナル講座)の商品ラインナップ拡大に努めた他、更なる拡販を目指し12月に当社直販サイト(サイバーブックストア)をリニューアルいたしました。また、平成28年度以降に予定されている日商簿記検定の出題試験区分改定への対応をサポートする特設サイトや資格取得を独学で目指す方の応援サイトを設ける等、出版物以外の側面からも受験生を強力に支援する施策を展開しました。これらの結果、売上高は27億6千4百万円(前年同期比19.1%増)、営業利益は6億1千2百万円(同13.0%増)となりました。

(人材事業)

子会社の(株)TACプロフェッションバンクが手掛ける人材事業は、会計業界の人材不足を背景に監査法人や税理士法人などのニーズが旺盛で会計士・税理士向けの就職説明会が盛況だったことに加え、新たに始めた税理士法人等のプロモーションビデオ制作の受注も好調で求人広告売上が増加いたしました。人材紹介売上は第2四半期まで前年を下回っていましたが、昨夏の税理士試験後に試験受験者を対象に実施した就職相談会において多くの登録者を確保、秋以降の紹介成約につながったことで、通期では前年を上回る売上となりました。一方で人材派遣は、景気回復に伴う正社員志向の高まり等による派遣スタッフの低稼働の状態が年間を通じて続き、人材派遣売上は減少しました。医療系人材サービスは、医療事務の求人・転職情報サイト「TAC医療事務ナビ」の開設や折り込みチラシ等の販促に注力しましたが、登録者の確保が難しいことや病院・クリニック等が求める人材(求人)の条件と登録者(求職者)の希望条件の隔たりの解消に苦戦することが多く厳しい状況が続いております。これらの結果、人材事業の売上高は、6億2千3百万円(前年同期比14.7%増)、営業利益は2千1百万円(同225.8%増)となりました。

 

③  事業分野別の業績

当社グループの事業分野別の業績及び概況は、次のとおりであります。

 

事業分野

内容

当連結会計年度

(自  平成27年4月1日

至  平成28年3月31日)

金額
(千円)

前年同期比(%)

構成比
(%)

①財務・会計分野

公認会計士講座、簿記検定講座、建設業経理士講座、ビジネス会計検定講座

3,247,596

105.7

16.2

②経営・税務分野

税理士講座、中小企業診断士講座、IPO実務検定講座、財務報告実務検定講座

3,957,356

95.3

19.8

③金融・不動産分野

建築士講座、不動産鑑定士講座、宅建主任者講座、マンション管理士/管理業務主任者講座、FP(ファイナンシャル・プランナー)講座、証券アナリスト講座、DCプランナー講座、貸金業務主任者講座、ビジネススクール、相続アドバイザー講座

3,273,964

117.8

16.4

④法律分野

司法試験講座、司法書士講座、弁理士講座、行政書士講座、ビジネス実務法務検定講座、通関士講座、知的財産管理技能検定講座、法律関連講座

1,726,918

95.1

8.6

⑤公務員・労務分野

公務員講座(国家総合職・一般職、地方上級、外務専門職、警察官・消防官、理系技術職)、マスコミ・就職対策講座、社会保険労務士講座

5,073,721

98.4

25.4

⑥情報・国際分野

情報処理講座(ITパスポート、情報セキュリティスペシャリスト等)米国公認会計士講座、米国管理会計士・米国税理士講座、CompTIA講座、IT関連講座、CIA(公認内部監査人)講座、CFE(公認不正検査士)講座、個人情報保護士講座、BATIC(国際会計検定)講座、TOEIC(R)TEST講座

1,421,345

106.8

7.1

⑦医療・福祉分野

医療事務(医科・歯科)講座、介護職員初任者研修(提携講座)、医療事務スタッフ派遣事業

211,797

134.0

1.0

⑧その他

人材事業(人材派遣・人材紹介)、税務申告ソフト「魔法陣」、受付雑収入他

1,094,533

101.8

5.5

合計

20,007,234

102.4

100.0

 

(注) 1.上記金額には消費税等は含まれておりません。

2.主要な相手先別の販売実績等については、当該割合が10%以下のため記載を省略しております。

 

(財務・会計分野)

公認会計士試験については、大手監査法人は一昨年からの積極採用姿勢が続いており、本試験合格者はほぼ全員が採用される良好な状況となっております。当社においても、新規学習者向け入門コースの受講申込みは年間を通じて堅調に推移し、前年を大きく上回る申し込みを獲得いたしました。一方、受験経験者向けコースの申込みは一昨年までの急激な受験者の減少の影響により前年を下回ったことに加え、単科での受講を選択する受講生も増加いたしました。こうしたことから、現金ベース売上高は前年同期比9.9%増となりました。簿記検定は、ここ数年続いていた試験受験者数の減少傾向が落ち着き、受験回・受験級によっては前年同時期を上回る受験者数となる状況になっており、当社の講座売上も前年をやや上回りました。また、「スッキリわかる」「みんなが欲しかった!」「よくわかる」等の簿記関連書籍の売れ行きが好調で、現金ベース売上高は同8.6%増となりました。以上の結果、当分野の売上高(発生ベース)は同5.7%増となりました。

(経営・税務分野)

平成27年度の税理士試験の受験申込者数は47,145名(前年比5.5%減、平成27年12月18日 国税庁発表)と依然として減少傾向が続いております。当社においても、各種キャンペーンの実施やWEBフォローを標準装備にするなどの受講生サービスの拡充を図り申込者の獲得へ努めたことで、全体の受験者数の減少割合よりは減少幅を抑えることが出来ましたが、現金ベース売上高は同3.0%減となりました。中小企業診断士は、新規学習者向けコースの申込みが芳しくなかった一方、2次試験を目標とする受験経験者向けのコースの申込みが好調に推移したこと、オプション講座を追加設定する等の施策の実施したこと及び受験対策書籍の販売が好調に推移したことで、現金ベース売上高は前年並みとなりました。これらの結果、当分野の売上高(発生ベース)は同4.7%減となりました。

(金融・不動産分野)

当分野は景気回復や不動産市場の活発化の恩恵を受け現金ベース売上高は、宅建(同23.7%増)、不動産鑑定士(同32.6%増)、マンション管理士(同12.1%増)とそれぞれ大きく伸び、開講3年目の建築士も過去の合格実績や販促活動の成果もあり93.3%増となり、不動産系は好調に推移いたしました。また、証券アナリスト同10.2%増、FP講座は「みんなが欲しかった!FPの教科書」や「スッキリわかるFP」等のFP関連書籍の売れ行きが好調で同10.3%増、ビジネススクールは企業向け研修が好調で同16.9%増と金融系も順調に売上を伸ばしております。以上の結果、当分野の売上高(発生ベース)は同17.8%増となりました。

(法律分野)

平成28年度の司法試験予備試験出願者数は12,767名(前年12,543名、前々年12,622名)と、前年は前々年に比べて受験者数が若干減少しましたが、今年は再び増加に転じました。予備試験の受験者数は予備試験に対する人気を反映して安定した推移となっております。当社の司法試験講座は、徹底的に無駄を省き学習量を軽減した「4A基礎講座」は初心者から受験経験者まで幅広く支持を集め、また、過去問を徹底的に分析したオプション講義も好評で順調に受講者数を伸ばし、現金ベース売上高は同79.4%増となりました。行政書士は講座としては前年を下回る売上となりましたが、W出版の「合格革命」シリーズの売れ行きが好調で、現金ベース売上高は6.1%増となりました。一方、司法書士講座は新規学習者向けコースおよび学習経験者向けコースともに奮わなかったほか、弁理士講座も低調でそれぞれ現金ベース売上高は同19.0%減、同16.5%減となりました。以上の結果、当分野の売上高(発生ベース)は同4.9%減となりました。

(公務員・労務分野)

平成27年度の社会保険労務士試験受験申込者数は52,612名と前年の57,199名から大きく減少し、合格率も2.6%(前年9.3%)と難化しました。当社では、翌年以降の受験を諦めることなく勉強を続けていただくための受験生を応援する様々な施策を展開したことに加え、マイナンバー制度の創設などの社会情勢を受け社会保険労務士への注目度が上がっていることも相俟って、講座への申込みは堅調に推移しました。また、フルカラーに全面改訂した「必修テキスト」(TAC出版)の好調もあり、社労士講座全体の現金ベース売上高は同5.9%増となりましたが、前受金調整額が大きく減ったことで発生ベース売上高は同3.1%減となりました。また、公務員講座も、民間就職状況が好転し公務員を目指す方が減少傾向にある中で、新たに数的処理の講義を手厚くした商品の投入や早期に学習を開始することを希望する大学生の需要に対応したコース、受験を希望する地域別コースの強化などの販促に努めたことおよび学内セミナーの好調により現金ベース売上高は同7.4%増となった一方、前受金調整額が大きく減り発生ベース売上高は前年並みにとどまりました。国家総合職・外務専門職講座は同5.2%減となりました。以上の結果、当分野の売上高(発生ベース)は同1.6%減となりました。

(情報・国際分野)

情報処理講座は、個人向けではITパスポート・基本情報コースが奮いませんでしたが、試験要綱が改定され従来より受験しやすくなる応用情報コースや平成28年度春試験より新たに開始される「情報セキュリティマネジメント試験」コースの集客が好調でした。なお、第1回(平成28年度春期)情報セキュリティマネジメント試験の申込者数は22,903名となっております。法人向けの企業研修はほぼ前年並みで、講座全体での現金ベース売上高は同2.1%増となりました。また、CompTIA講座はメインの企業研修が好調でした。米国公認会計士、米国税理士(EA)、米国公認管理会計士(USCMA)TOEIC等の国際資格の現金ベース売上高は同7.7%増となりました。以上の結果、当分野の売上高(発生ベース)は同6.8%増となりました。

 

(医療・福祉分野)

2014年6月に医療事務スタッフの派遣を行う(株)医療事務スタッフ関西及び診療報酬明細書(レセプト)のチェックを行う(株)クボ医療を買収し医療分野に進出、同年12月には関東エリアで医療系人材サービスを提供する(株)TAC医療事務スタッフを新たに設立し医療分野における収益基盤の確立を図っております。医療系人材サービスでは、求職者(登録者)を確保するべくキャンペーンや個別相談会、インターネット媒体への掲載等の実施、診療報酬に係るコンサルテーションサービスやクラウドを利用したレセプトチェックサービスなどを展開する(株)TMMCとの資本・業務提携し営業力の強化を図るなど取り組んでまいりましたが、依然として(株)医療事務スタッフ関西および(株)TAC医療事務スタッフとも厳しい事業環境に置かれております。
なお、関西2社および関東1社の子会社の業績は、当期より12ヶ月分がフルに寄与しています。これらの結果、当分野の売上高(発生ベース)は同34.0%増となりました。

(その他)

税務申告ソフト「魔法陣」の売上は、昨年は消費税増税に伴うバージョンアップが需要があったため同8.1%減、受付雑収入は同5.7%減となりました。一方、人材子会社TACプロフェッションバンクが行う人材ビジネスについては、会計業界の人材ニーズが旺盛で会計士・税理士向けの就職説明会が活況であったことや新たに始めた税理士法人等のプロモーションビデオ制作の受注が好調で、求人広告売上が増加いたしました。人材紹介売上は下期に多くの成約を得ることが出来たことで前年比プラスとなった一方、人材派遣景売上は年間を通して低調に推移しました。以上の結果、当分野の売上高は同1.8%増となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度比5億3千1百万円増加し、68億4千5百万円となりました。また、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは1億4千2百万円(同30億6千万円増加)となりました。

 

(注)  フリー・キャッシュ・フローは、以下の計算式を使っております。

フリー・キャッシュ・フロー=親会社株主に帰属する当期純利益+減価償却費(のれん償却費含む)-設備投資額-運転資本増加額-配当金の支払額

なお、運転資本は、売掛金+受取手形+たな卸資産-買掛金-支払手形で算出しております。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動におけるキャッシュ・フローは同17億3千8百万円増加し、11億3千5百万円の収入となりました。増加要因の主なものは、税金等調整前当期純利益の増加、投資有価証券運用益の減少、前受金の増加、法人税等還付額の増加、法人税等の支払額の減少等であります。減少要因の主なものは、売上債権の増加、利息及び配当金の受取額の減少等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動におけるキャッシュ・フローは同24億1千4百万円増加し、1億9千7百万円の支出となりました。増加要因の主なものは、有形固定資産の取得による支出の減少、定期預金の預け入れによる支出の減少等であります。減少要因の主なものは、有価証券の取得による支出の増加、投資有価証券の売却および償還による収入の減少等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動におけるキャッシュ・フローは同36億9千5百万円減少し、3億9千7百万円の支出となりました。増加要因の主なものは、子会社の自己株式の取得による支出の減少であります。減少要因の主なものは、長期借入金の借入れによる収入の減少、長期借入金の返済による支出の増加、短期借入金の純増減額の減少等であります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 拠点数と収容能力

当社グループの個人教育事業及び法人研修事業に関する通学講座の開講地区は、下記のとおり平成28年3月末現在、22拠点で展開しております。当連結会計年度は立川校、梅田校で若干面積を減少させ、当連結会計年度末の収容能力は合計16,659坪(前連結会計年度比2.8%減)となりました。また、座席数は26,314席(同1.7%減)となりました。

 

 

当連結会計年度末
(平成28年3月31日)

教室数

収容座席数

 

前年同期比(%)

札幌校

10

526

100.0

仙台校

8

454

99.1

水道橋地区(注)

14

1,160

100.0

渋谷校

35

3,050

99.6

新宿校

26

2,307

98.8

池袋校

22

2,178

99.8

八重洲校

20

1,932

100.0

早稲田校

7

501

99.8

町田校

9

673

96.6

横浜校

22

2,102

100.0

立川校

10

771

81.2

中大駅前校

3

230

100.4

日吉校

6

312

99.7

大宮校

12

764

100.1

津田沼校

12

771

100.0

名古屋校

22

1,823

99.9

京都校

23

1,601

100.0

梅田校

25

2,111

90.9

なんば校

18

1,198

101.2

神戸校

15

968

99.2

広島校

10

337

101.8

福岡校

13

545

100.0

合計

342

26,314

98.3

 

(注)  水道橋地区は、水道橋校及び本部の合計であります。

 

 

また、受講者数の推移は次のとおりであります。

当連結会計年度における受講者数は216,359名(前連結会計年度比11.2%増)となり、消費税増税前の駆け込み申込みによる反動減の影響が残った前年同期を大きく上回りました。個人受講者は146,888名(同12.9%増、16,471名増)、法人受講者は69,471名(同7.7%増、4,964名増)となりました。個人・法人を合わせた講座別では、不動産鑑定士講座が同18.5%増、宅地建物取引士講座が同8.9%増、公務員(国家一般職・地方上級)講座が同14.7%増、情報処理講座が同9.3%増と大きく伸長したほか、簿記検定講座、証券アナリスト講座、マンション管理士講座、司法試験講座、CompTIA講座等で受講者数が増加しております。

一方、受講者数が減少した講座は、公認会計士講座(同7.7%減)、社会保険労務士講座(同5.3%減)、司法書士講座(同11.3%減)、行政書士講座(同4.7%減)等であります。法人受講者は、通信型研修が同8.4%増、学内セミナーが公務員講座を中心に同17.8%増、提携校が前年並みとなった一方、委託訓練は景気回復に伴い同20.6%減と大幅な減少となりました。

 

 

当連結会計年度末
(平成28年3月31日)

人数(名)

前年同期比増減(名)

前年同期比(%)

個人受講者数

146,888

+16,471

112.9

法人受講者数

69,471

+4,964

107.7

合計

216,359

+21,705

111.2

 

 

(2) 受注実績

該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

販売実績については、「第2  事業の状況  1  業績等の概要  (1)業績」に記載のとおりであります。

 

3 【対処すべき課題】

① 新規事業の開発並びにコストコントロール

当連結会計年度は、消費税増税による駆け込み申込みの反動減のあった前連結会計年度との比較となるため、売上高は増加する結果となりました。しかしながら当業界は、主な顧客である大学生や社会人層の資格に対する価値観の変化や、モバイル端末の急速な普及を始めとした情報通信技術の飛躍的な発達により消費者ニーズが多様化しており、既存事業を展開していくだけでは売上を成長させていくことが難しい状況にあります。そのような中で、当社グループが成長し更なる発展をしていくためには、新規事業・新規講座の開発に積極的に取り組むことで次世代の成長の芽を育てていく必要があると考えております。また、一定の利益を確保するという観点からはコストの適切なコントロールが不可欠であり、直営校各校の床面積の最適化や経費等の見直しを通じたコスト管理は継続的して実施してまいります。

② 新規開講講座の収益化

講座をスタートして3年目を終えた建築士講座は、これまでの販促活動による認知度の向上や着実に積み上げてきた合格実績をもとに、当年度は前年度に対して売上高が大きく増加しました。さらなる売上の獲得を目指し歩を進めてまいります。3年目に入っている教員採用試験対策講座も徐々に知名度は上がりつつありますが、少しでも多くの市場を獲得できるよう商品ラインナップの拡充や受講生サービスの向上に引き続き務めてまいります。また、15年1月に開講した医療事務講座も医療系人材サービスとのシナジーを発揮できるよう連携して取り組んでまいります。

③ M&A、業務提携をテコにした成長

当社はこれまで、Wセミナーからの事業譲受、(株)増進会出版社との資本・業務提携、関西エリアでの医療事務系人材サービスで実績のある(株)医療事務スタッフ関西及び(株)クボ医療の買収と、それに伴い両社のノウハウを得ながら関東圏でも事業展開を行う(株)TAC医療事務スタッフの新規設立等を実施しております。今後も成長が見込める案件についてはM&Aや業務提携を推進してまいります。

 

③ ネット教育の加速と資格試験市場への刺激

モバイル環境の進展に伴い、インターネット上に新たな教育コンテンツを構築する大小さまざまな事業者が増加するとともに、一部コンテンツの低価格化が進みつつあります。当社グループにおいても、(株)オンラインスクールが低価格(一部無料)によるオンライン学習サービスの提供を行っており、会員を獲得するための講座開発に積極的に取り組んでおります。また、日本商工会議所が日商簿記試験の試験区分を改訂したことに伴い、全国の高校を対象に日商簿記受験のための支援プログラムを全社を挙げて取り組んでおり、商業高校の普通化に伴って全国レベルで進む簿記学習者の減少に歯止めをかけるとともに、これまで主な顧客だった大学生よりもより低年齢の高校生に対してTACブランドの浸透を図ってまいります。

 

以上のような売上高増大のための施策を継続して実施することにより、早期に結果を出していくことが当社に求められている課題であると認識しております。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループに関する事業等のリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成28年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 教育訓練給付制度の動向

教育訓練給付制度は、労働者の主体的な能力開発の取組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とした雇用保険の給付制度であり、厚生労働省が主管しております。一定条件を満たす雇用保険の一般被保険者等がいったん全額受講料を支払い、講座修了後、出席率等一定条件を満たしている場合に、入会金・受講料の一定割合に相当する額が雇用保険からハローワーク(公共職業安定所)を通じて支給されるものであります。
 給付基準は数年に一度変更されることがあり、現在は被保険者期間が3年以上(初回利用に限り1年以上)の方は一律20%、10万円が限度とされています。給付基準の変更により、講座申込みに駆け込み需要が生じることがあり、その後反動減が発生する等、短期的に業績が影響を受けますが、その影響額を想定することは非常に困難であります。

(2) 前受金について

当社の行う資格取得支援事業は、受講申込者に全額受講料をお支払いいただき(現金ベースの売上)、当社はこれをいったん前受金として貸借対照表・負債の部に計上しておきます。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金を月ごとに売上に振り替えられます(発生ベースの売上)。一般的に、現金ベースの売上が拡大していく局面では前受金残高が増大していき、当該会計期間以降、前受金戻入が多額になることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が強まりますが、現金ベースの売上が減少していく局面では前受金残高が減少していき、当該会計期間以降、前受金戻入が少なくなることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が弱まる傾向があります。さらに、現金ベースの売上が減少局面から増加局面に変わる期においては、発生ベースの売上に対する減少効果が増幅される場合があり、発生ベースで計算される当社の業績に影響を与えることになります。

(3) 特定商取引法・消費者契約法と行政の動向

平成19年中に特定商取引法の規制を受ける大手英会話スクールが破綻する事件があったほか、解約・返金に関する訴訟で最高裁の判決が出ております。当社の属する資格取得スクール業界は、パソコンスクール・TOEIC(R)TESTなど一部の講座を除き、直接、特定商取引法で定められた特定継続的役務提供の規制を受けるわけではありません。

一方、消費者契約法については広い範囲の事業者が対象となっており、消費者庁主導のもと消費者保護政策が強化される傾向にあります。当社としても、業界他社と足並みを揃えつつ無理由での解約・返金等に応じているほか、受講者に安心して受講いただけるよう平成20年に前受金保全信託制度を導入しております。本制度においては、毎月末に未経過の受講期間に対応する前受金残高の一定割合を翌月に信託するしくみとしており、当社に万が一事業を継続できなくなる事態が生じた場合には、信託財産が受益者代理人を通じて各受講者に返還されます。ただし、受講者にお支払いいただいた前受金の残額については、他の債権者との関係から受講者に返還できない場合があります。また、今後の法令改正等、消費者行政の動向等によっては、当社のビジネス・モデルに大きな影響を与える可能性があります。

 

(4) 個人情報保護法への対応

平成17年4月に「個人情報の保護に関する法律」が全面施行され、当社グループの個人顧客のみならず、法人顧客の関心も極めて高いため、当社グループとしてコンプライアンス体制の維持の観点から積極的に対応してまいりました。その結果、当社及び子会社の株式会社TACプロフェッションバンクともに、財団法人日本情報処理開発協会(JIPDEC)よりプライバシーマークを取得いたしました。平成28年1月からはマイナンバー制度も運用がスタートし、社会の個人情報保護への関心はますます高まっております。当社は、今後も引き続き、個人情報管理責任者のもと、情報流出等を防止する厳重なセキュリティ対策を維持するとともに、従業員への教育を継続することによって、個人情報の保護に努めてまいります。万一、流出事故が発生した場合は、当社グループへの社会的信用を失うこととなり、業績へ深刻な影響を及ぼす可能性があります。

(5) タームローンの財務制限条項

当社は平成26年9月30日付で、本社ビル取得用資金調達のため、株式会社三菱東京UFJ銀行ほか2行と30億円のタームローン契約を締結いたしました。本契約には財務制限条項が付されており、これに抵触した場合、増担保物件に対して根抵当権を設定することがあります。

a 各連結会計年度に係る連結損益計算書上の経常損益の金額から有価証券評価損による営業外損失の金額を除いた金額が0円以上であること。

b aの要件が2期以上連続して不充足となっていないこと。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 提携校契約

提携校契約とは、提携先が「TAC」の商号及び当社の教材を使用して講座運営ができる契約であります。当連結会計年度においては、平成28年3月に小倉校を閉校しております。前連結会計年度末までに提携校契約を行っている13校(群馬校、松本校、金沢校、富山校、岡山校、福山校、高松校、徳島校、大分校、熊本校、宮崎校、鹿児島校、沖縄校)については、契約更新期限が到来したものから順次、当連結会計年度において契約を更新しております。

 

(2) 前受金保全信託契約

当社では、法令及び取引所の求める規則に基づき財務状況を公表し透明性を高めるとともに、受講者に安心して受講していただける環境の整備に努めております。最近でも大手英会話スクールが経営破綻したことにより、多くの受講者が前払いした受講料が返還されない事態が発生しておりました。

当社の属する資格取得スクール業界においても、かつて米国公認会計士講座を提供する事業者が破綻したことがあり、受講者の保護のため、仮に事業者の継続的なサービス提供が困難になった場合であっても、受講者に未経過分の受講料を返還することができる体制を整えることが必要であると当社は考え、「前受金保全信託制度」を導入しております。

①  契約締結日:平成20年9月9日

②  契約締結当事者の名称:

委託者  TAC株式会社

受託者  株式会社三井住友銀行

③  主たる契約の内容:

・受講期間が1年を超える受講者を対象に、未経過受講期間が1年を超える期間分の受講料を当社の保有財産から切り離して、株式会社三井住友銀行を受託者とする信託勘定で分別管理しております。具体的には、毎月末に未経過受講期間が1年を超える期間分の受講料を信託するとともに、未経過受講期間が1年以内となった受講料については信託財産から償還されます。

・経営破綻など、当社に万が一の事態が生じた場合には、信託契約が終了し、受益者代理人(社外弁護士)に信託財産が償還されます。受益者代理人は、その時点で初めて各受講者に連絡を発し、未経過受講料の金額・振込先の銀行口座等を確認し、未経過受講料を返還いたします。

 

 

(3) タームローン契約

当社は、平成26年9月9日開催の取締役会において、固定資産(本社ビルの土地・建物)の取得を決議し、平成26年9月30日付で当該資金調達のためのタームローン契約書を締結いたしました。

① 借入先の名称

株式会社三菱東京UFJ銀行
株式会社東京都民銀行
株式会社千葉銀行

② アレンジャー兼エージェント

株式会社三菱東京UFJ銀行

③ 借入額

3,000,000千円

④ 契約締結日

平成26年9月30日

⑤ 借入実行日

平成26年12月17日

 

なお、本契約には以下の財務制限条項が付されており、これに抵触した場合、増担保物件に対して根抵当権を設定することがあります。

a 各連結会計年度に係る連結損益計算書上の経常損益の金額から有価証券評価損による営業外損失の金額を除いた金額が0円以上であること。

b aの要件が2期以上連続して不充足となっていないこと。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度において、研究開発活動は行われておりません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

① 講座に関する売上計上基準

当社の提供する資格試験講座においては、原則として受講者の申込時点で講座受講料を全額前納していただいており、受取った受講料をいったん全額負債としての前受金に計上し、受講期間に応じて受講者にサービスを提供していく都度、月割りで前受金を取崩し売上計上しております。当社の主力である公認会計士・税理士等の難関国家資格講座は、受講期間が1年を超えるものも多く、したがって前受金は1年以上にわたり各月の売上に振り替えられていくことになります。

② フリーレントの会計処理

当社は、資格取得スクールを展開するため多くのビルを賃借しております。貸主からフリーレントを受ける場合、フリーレント期間が長期化し金額的な重要性が増しているため、賃借料の要支払額を賃借期間で按分して会計上の費用として計上しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

①  講座の増減収要因

当連結会計年度の講座への申込みの動向は、消費税増税の駆け込み申込みの反動減が発生した前連結会計年度に比べ安定的に推移し、当社が展開している多くの講座において1年を通じて堅調でありました。特に、第1四半期の現金ベース売上高は前連結会計年度比13.1%増と前年度大きく上回りました。分野別では、全体的な試験受験者数の減少傾向に落ち着きが見えてきた簿記検定や試験合格者が監査法人に就職できる状況が続き初学者が戻って来た公認会計士試験などの財務・会計分野、良好な企業景気に支えられ市場が活発化している不動産鑑定士、宅建士などの不動産分野は好調であった一方で、税務分野及び法律分野は依然として減収を続けております。景気回復に伴う民間就職状況の好転により公務員講座の売上はやや減少しました。また、前連結会計年度より、2014年6月に買収した(株)医療事務スタッフ関西及び(株)クボ医療、2014年12月に設立した(株)TAC医療事務スタッフが行う医療事務スタッフの派遣、レセプトの確認請負、医療事務講座等の事業をまとめて、医療・福祉分野として計上することとしております。前連結会計年度は第2四半期以降の9か月間で1億6千8百万円の売上高を、当連結会計年度は1年間の売上として2億2千万円を計上しております。

これらの結果、当社グループの当連結会計年度における現金ベース売上高は201億3百万円(前連結会計年度比6.7%増)となりました。前受金調整後の発生ベース売上高は、前受金調整額が9千6百万円の繰入(前連結会計年度は6億9千万円の戻入)と現金ベース売上高を押し下げる方向に働いたことで、200億7百万円(同2.4%増)となりました。

②  コスト要因

コストについては、売上原価で同4百万円減(同0.0%減)、販売費及び一般管理費で同2千6百万円増(同0.4%増)と、全体的にはともに前連結会計年度と同水準となりました。売上原価における教材印刷費・ダビング代等の外注費、販売費及び一般管理費における広告宣伝費や人件費等で増加した一方、本社ビル取得による賃借料負担減で販売費及び一般管理費における賃借料や継続的な取り組みによるコスト削減努力で売上原価、販売費及び一般管理費の各種費用を削減しております。これらの結果、営業利益は6億5百万円(同4億6千5百万円増、同331.0%増)となりました。

③  法人研修事業の業績推移

法人研修事業に係る受講者数、売上高及び営業利益の推移は以下のとおりであります。なお、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等の適用によりマネジメント・アプローチを採用しており、下表では現金ベース(前受金調整前)の売上高及び営業利益で表示しております。

 

 

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期(当期)

受講者数

(名)

62,627

64,507

69,471

売上高

(千円)

4,258,085

4,180,548

4,440,802

営業利益

(千円)

1,232,002

1,058,139

1,208,263

 

法人研修事業は、現金ベース売上高が44億4千万円(前年同期比6.2%増)となりました。良好な企業景気を背景に企業研修が同9.4%増となったほか、大学内セミナーが同9.8%増、提携校事業が同2.8%増となりました。一方、地方の専門学校向けコンテンツ提供が同4.0%減、自治体等の委託訓練は景気回復による需要の減少で同13.0%減、昨年消費税のバージョンアップ特需があった税務申告ソフト「魔法陣」の売上は同8.1%減となりました。

④  人材ビジネスの業績推移

当社100%子会社の株式会社TACプロフェッションバンク(以下、TPBという。)においては、人材派遣・人材紹介・求人広告の3つの柱で事業を行っております。TPBは、当社の資格取得講座の受講者・合格者を中心に会計・経理分野に強みを持つ人材供給会社として認知されております。当連結会計年度は、会計業界の人材不足を背景に求人広告売上が好調でしたが、景気回復に伴う正社員志向の高まり等により登録スタッフが減少しており、人材派遣売上は減少しました。

また、前連結会計年度より人材事業に医療事務関連の人材事業を含めております。平成26年6月に買収した(株)クボ医療及び(株)医療事務スタッフ関西並びに平成26年12月に設立し平成27年4月より本格的に営業を開始した(株)TAC医療事務スタッフの3社の業績が加わっておりますが、医療事務として働く登録者の確保が難しくなってきていることに加え、病院・クリニック等が求める人材(求人)の条件と登録者の希望条件の隔たりを解消するには多くの時間を要すること等から厳しい状況が続いております。

以上の結果、人材事業の発生ベース売上高は6億2千3百万円(同14.7%増)、発生ベースの営業利益は2千1百万円(同225.9%増)となりました。なお、医療事務関連人材事業の置かれている厳しい状況に鑑み、(株)医療事務スタッフ関西の買収時に生じたのれんの未償却残高の全額を減損損失として特別損失に計上しております。

 

 

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期(当期)

売上高

(千円)

430,515

544,092

623,933

営業利益

(千円)

97,275

6,441

21,286

 

(注)前連結会計年度より、医療事務関連の売上を含む人材事業セグメントの売上高及び営業利益を計上しております。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

①  受験者数の推移

当社の取扱う資格試験の受験者数は、直近の底である平成17年の271万人から平成22年には308万人にまで13.8%増加しました。これは簿記検定試験が53万人から73万人にまで増加したほか、FP試験が21万人増加したこと等が主な要因です。一般的には、不況期に資格受験者は増加する傾向があり、特に当社が強みを有する会計系資格(公認会計士・税理士・簿記検定)においては、平成17年の61万人から平成22年には81万人と32.6%も増加しております。

しかしながら、公認会計士試験合格者の未就職者問題、簿記検定試験の東日本大震災をきっかけにした受験者大幅減少の継続等により、会計系資格受験者数は平成27年には60万人(26.5%減)となっております。これは、平成15~17年頃の安定的な市場レベルとほぼ同水準であります。これに伴い、当社の取扱う資格試験全体の受験者数も、ピーク時の308万人から急速に減少し、平成27年は251万人となっております(18.6%減)。

当社の取扱う各資格試験の受験者数は、社会情勢などを反映しながらそれぞれ固有の動きをしており、現在学習中の方を含めますと受験者数の数倍の市場規模と想定されますので、当社の各講座の売上高及び営業利益も各資格試験の受験者の動向に影響を受けてまいります。

②  試験制度の改正等の受験環境

平成18年の公認会計士試験制度の改正の前後で、新試験制度に向けた申込み控えや新試験2年目から始まった大量合格傾向、さらには監査法人の採用数減少による未就職者問題などにより、当社主力の公認会計士講座の売上高は大きく影響を受けてきました。平成24年の合格者削減に至り、ようやく未就職者問題は収束しました。このほか、中小企業診断士試験における大量合格者が生じたことによる再受験者の申込み減少、平成23年に司法試験予備試験が開始され順調に受験者が増加した結果、平成27年には12,500人を超えており、今後の司法試験受験環境やニーズへ影響を及ぼすことが考えられます。このように当社の取り扱う資格試験制度の改正内容、新試験の合格率や難易度等の結果によって、当社の経営成績は大きな影響を受けることがあります。

 

(4) その他、財政状態及び経営成績に関する分析

①  前受金について

当社の行う資格取得支援事業は、受講申込者に全額受講料をお支払いいただき(現金ベースの売上)、当社はこれをいったん、前受金として貸借対照表・負債の部に計上しておきます。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金を月ごとに売上に振り替えます(発生ベースの売上)。一般的に、現金ベースの売上が拡大していく局面では前受金残高が増大していき、当該会計期間以降、前受金戻入が多額になることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が強まりますが、現金ベースの売上が減少していく局面では前受金残高が減少していき、当該会計期間以降、前受金戻入が少なくなることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が弱まる傾向があります。さらに、現金ベースの売上が減少局面から増加局面に変わる期においては、発生ベースの売上に対する減少効果が増幅される場合があり、発生ベースで計算される当社の業績に影響を与えることになります。前受金及びその他の財政状態の指標の推移は以下のとおりであります。

 

 

 

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期(当期)

総資産(A)

(千円)

18,631,326

21,304,945

21,632,475

前受金(B)

(千円)

6,515,502

5,938,577

6,056,417

前受金比率(B/A)

(%)

35.0

27.9

28.0

自己資本(C)(注)

(千円)

4,153,317

4,384,487

4,536,677

自己資本比率(C/A)

(%)

22.3

20.6

21.0

 

(注)  自己資本は、純資産の額から非支配株主持分の額を控除して算出しております。

当連結会計年度においては、総資産及び前受金ともに前連結会計年度とほぼ同水準であったことから、前受金比率は前連結会計年度比0.1ポイントの上昇となっております。

前受金に見合う資金は、徐々に取り崩されて営業活動に使用されます。そのため、事業活動に必要な自己資本は相対的に低い水準で済み、自己資本比率は相対的に過小である傾向があります。当連結会計年度は、2億1千3百万円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上し、自己資本比率は0.4ポイント上昇いたしました。

 

②  前受金保全信託受益権について

消費者保護の考え方の高まりに対応して、当社は平成20年8月末を基準に前受金保全信託制度を新たに導入しました。本制度においては、受講期間が1年を超える受講者を対象に、未経過受講期間が1年を超える期間分の受講料を全額保全し、当社財産と分別管理するしくみとしており、当社に万が一事業を継続できなくなる事態が生じた場合には、信託財産が受益者代理人を通じて、各受講者に返還されます。ただし、受講者にお支払いいただいた前受金のうち未経過受講期間が1年以内に対応する受講料については、他の債権者との関係から受講者に返却できない場合があります。

当連結会計年度末における前受金保全信託受益権は、資産の部・流動資産の区分に4億4千2百万円計上されており、前連結会計年度から20.3%増加いたしました。これは、主に受講期間の長い公認会計士講座の初学者コースが好調に推移していること等によるためであります。

 

 

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期(当期)

前受金(A)

(千円)

6,515,502

5,938,577

6,056,417

前受金保全信託受益権(B)

(千円)

365,638

368,209

442,777

前受金保全比率(B/A)

(%)

5.6

6.2

7.3

 

 

③  差入保証金について

当社グループの事業所は原則として賃借によっております。したがって、当社は、教育サービスを提供する教室確保のための直営校各拠点を賃借するために、資産の部・固定資産の「投資その他の資産」の区分に差入保証金を多額に計上しております。

 

 

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期(当期)

差入保証金(A)

(千円)

3,151,532

3,032,758

2,915,989

前受金(B)

(千円)

6,515,502

5,938,577

6,056,417

保証金比率(A/B)

(%)

48.4

51.1

48.1

 

 

賃借契約は原則として2年であり、受講者数の増加に伴い教室スペースの確保のため各拠点の増床や新規拠点の開設を行うと、差入保証金は増加することになります。当連結会計年度においては、小幅な拠点面積の削減等がありましたが、差入保証金はほぼ横ばいであります。

 

④  資産除去債務について

当社グループの事業所は賃借ビルが多いため、「資産除去債務に関する会計基準」に基づいて、各賃借ビルの原状回復義務等を資産除去債務として負債の部に多額に計上しております。また、同時に資産の部に計上された資産除去債務相当額からは、その関連する有形固定資産の減価償却方法に準じて減価償却費が発生し、毎期計上されます。これにより、将来、原状回復義務を履行した場合の費用または損失が一時に計上されずに、使用する各期間に費用配分されることになりますが、結果として、各期の減価償却費が押し上げられ、固定費負担が重くなっております。

 

 

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期(当期)

総資産(A)

(千円)

18,631,326

21,304,945

21,632,475

資産除去債務(B)

(千円)

638,684

587,687

627,190

資産除去債務比率(B/A)

(%)

3.4

2.8

2.9

減価償却費のうち資産除去債務関連

(千円)

47,708

42,267

56,360

 

 

⑤  運用有価証券について

前受金が増加していくことは、受講者からの預り資金が増加することを意味します。そのうちの一部は、教室スペース確保のための差入保証金に充当されております。残額は、順次サービスを提供していくため、講師料、賃借料等のほか、教材の印刷費・DVDのダビング費・広告費等に消費されます。そうした消費のタイミングまでは、前受金の一部の資金は現金及び預金または有価証券等の金融商品で保有されます。当社の有価証券投資の方針は運用規程に定められており、元本確保型の安全性を重視した金融商品であって、かつ、利回りを追求した金融商品を中心に運用しております。

過去3期間の運用有価証券の推移は、以下のとおりであります。

 

 

平成26年3月期

平成27年3月期

平成28年3月期(当期)

有価証券

(千円)

166,113

87,773

185,834

投資有価証券

(千円)

1,318,131

444,805

651,793

合計

1,484,245

532,579

837,628

 

 

(5) 戦略的現状と見通し

「対処すべき課題」において説明しておりますとおり、売上高の増加が喫緊の課題であります。そのため、①新規事業の開発並びにコスト・コントロール、②新規開講講座の収益化、③M&A、業務提携をテコにした成長、④ネット教育の加速と資格試験市場への刺激の4点を柱として、売上高増大のための施策を実行してまいります。

 

(6) キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。

 

なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末において入手可能な情報に基づき当社グループが合理的であると判断したものであります。したがって、将来や想定に関する事項には不確実性を内在しており、将来における実際の業績は様々な要因により大きく異なる結果となる可能性があります。