第2 【事業の状況】

 

1 【業績等の概要】

(1) 業績

①  全体の業績

当連結会計年度は、我が国の良好な景気を背景に当社グループの売上も1年を通じて堅調に推移し、現金ベース売上高は206億2千7百万円(前年同期比5億2千3百万円増、同2.6%増)となりました。平成28年3月31日をもって販売を終了している税務申告ソフト「魔法陣」の年間売上が前年度に3億円程度あったことを考慮しますと、実質的には8億円を上回る増収となっております。前受金調整後の発生ベース売上高は、前受金調整額が1億8千7百万円の繰入(前年同期比9千万円増、同94.8%増)と現金ベース売上高を押し下げる方向に働いたことで204億4千万円となり、同4億3千2百万円の増加(同2.2%増)となりました。

売上原価は122億9千5百万円(同1億7千5百万円増、同1.4%増)、販売費及び一般管理費は74億4千6百万円(同1億6千8百万円増、同2.3%増)となりました。売上の増加にともなう売上原価の増加に加え、販売した書籍の返品や廃棄に備えて設定する返品関連の引当金繰入額が大きく増加しました。また、販促活動の拡充等に伴い広告宣伝費や人件費、租税公課などの費目において前年同期を上回りました。一方、のれんは前連結会計年度に減損処理を行っているため当連結会計年度以降の償却負担はなくなっております。これらの結果、営業利益は7億1千3百万円(同1億7百万円増、同17.7%増)となりました。

営業外収益に、受取利息1千9百万円、投資有価証券運用益4百万円、その他8百万円等、合計4千3百万円、営業外費用に、支払利息6千4百万円等、合計6千4百万円を計上した結果、経常利益は6億9千2百万円(同5千7百万円増、同9.0%増)となりました。

特別利益に、税務申告ソフト「魔法陣」の総販売代理店契約の解約に伴う受取和解金を1億2千万円及び固定資産取得に係る補助金収入1千4百万円等、合計1億3千4百万円、特別損失に投資有価証券評価損4千7百万円及び減損損失3百万円等、合計5千2百万円をそれぞれ計上しました。これらの結果、当期純利益は4億9千1百万円(同2億7千6百万円増、同128.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億9千万円(同2億7千6百万円増、同129.6%増)となりました。

 

②  各セグメントの業績

当連結会計年度における当社グループの各セグメントの業績(現金ベース売上高)及び概況は、次のとおりであります。なお、当社ではセグメント情報に関して「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等の適用によりマネジメント・アプローチを採用し、下記の数表における売上高を、当社グループの経営意思決定に即した”現金ベース”(前受金調整前)売上高で表示しております。

現金ベース売上高は、連結損益計算書の売上高とは異なりますので、ご注意ください。詳細につきましては、注記事項「セグメント情報等」をご覧ください。

 

各セグメントの
現金ベース売上高

当連結会計年度
(自  平成28年4月1日  至  平成29年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

構成比(%)

個人教育事業

12,481,085

101.2

60.5

法人研修事業

4,156,113

93.6

20.1

出版事業

3,335,555

120.7

16.2

人材事業

718,300

115.1

3.5

全社又は消去

△63,955

△0.3

合計

20,627,099

102.6

100.0

 

(注) 1.上記金額には消費税等は含まれておりません。

2.各セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高を含めて記載しております。

 

 

(個人教育事業)

個人教育事業は、第3四半期連結会計期間(10月~12月)において現金ベース売上高が前年を若干下回ったものの、第1四半期連結会計期間(4月~6月)及び第2四半期連結会計期間(7月~9月)並びに第4四半期連結会計期間(1月~3月)では前年を上回り、結果として、1年を通じて概ね堅調に推移いたしました。講座別では、簿記検定講座、公認会計士講座、不動産鑑定士講座、宅地建物取引士講座、建築士講座、司法試験講座、公務員講座を中心に、多くの講座で前年同期を上回る現金ベース売上高を獲得しました。一方、税理士講座及び司法書士講座は全体的な受験者数の減少の影響を受け、また、米国公認会計士講座は試験制度の変更の影響でそれぞれ前年を下回りました。

コスト面では、講師料、教材制作のための外注費、賃借料等の営業費用は、前年並みの123億8百万円(前年同期比1.0%減)となりました。これらの結果、現金ベース売上高は124億8千1百万円(同1.2%増)、現金ベースの営業利益は1億7千2百万円(前年同期は9千9百万円の営業損失)と、3期ぶりに黒字を達成しました。

(法人研修事業)

企業研修売上は、企業における採用競争の激化や採用後の人材育成に加え、企業活動のグローバル化、情報セキュリティや個人情報保護への対応などで社員教育の必要性が一層高まってきており、当社の企業向け研修も1年を通じて堅調に推移しました。講座別では、宅建が前年同期比14.4%増、CompTIAが同7.9%、FPが3.0%増となりました。一方、証券アナリストは同9.4%減、ビジネススクールが同10.9%減等となりました。地方の個人が主な顧客となる提携校事業は、会計士、公務員が好調でそれぞれ同3.6%増、同6.2%増となった一方、税理士は同13.7%減と、当社の直営校舎と同様の傾向となっております。提携校事業全体では前年並みとなりました。大学内セミナーは、新卒採用が良好な状況にあることもあり学内講座での集客が難しくなってきていることに加え、競合他社との競争も厳しさが増してきており、同3.3%減となりました。自治体からの委託訓練は、失業率の改善にともないそもそもの需要が減少傾向にあり、同5.9%減となりました。なお、税務申告ソフト「魔法陣」は(株)ハンドとの総販売代理店取引契約の合意解約(平成28年3月31日をもって販売終了)により約3億円の減収となっております。これらの結果、法人研修事業の現金ベース売上高は41億5千6百万円(同6.4%減)、現金ベースの営業利益は11億1千万円(同8.1%減)となりました。

(出版事業)

当社グループの出版事業は、当社が展開する「TAC出版」ブランド及び子会社の株式会社早稲田経営出版が展開する「Wセミナー」ブランド(以下、「W出版」という。)の2本立てで進めております。TAC出版では、資格対策書籍としての高いクオリティに営業力・販促活動を強化したことによる効果が加わり、簿記、宅建士、社労士、FP等を始めとして多くの資格対策書籍の売上が増加しました。また、旅行本「おとな旅プレミアム」は平成28年5月に10タイトルを刊行した後、平成29年3月末までに合計24点を刊行しております。W出版では、前年度は会社法や商業登記法の改正による需要があった司法試験や司法書士試験対策の書籍の売上が減少しました。これらの結果、売上高は33億3千5百万円(前年同期比20.7%増)と5期連続で増収を達成しました。営業利益は、売上増加にともない制作費などの売上原価及び返品や廃棄に備えた引当金の設定額(戻入額と繰入額相殺後の純繰入額)の増加、販路拡大のための積極的な販促活動による販促費等の増加がありましたが、6億4千1百万円(同4.7%増)と増益を達成しました。

(人材事業)

子会社の(株)TACプロフェッションバンクが手掛ける人材事業は、会計業界の人材不足を背景に監査法人や税理士法人などのニーズが旺盛で、人材紹介売上、人材派遣売上及び広告売上のいずれも前年同期を上回る好調な結果となりました。医療系人材サービスは、(株)医療事務スタッフ関西の売上が前年を若干下回りました。(株)TAC医療(平成29年2月1日より、社名を(株)TAC医療事務スタッフ から(株)TAC医療に変更しております。)は、これまでに行ってきた販促活動などの取り組みの成果が徐々に表れ始め、人材派遣を中心に徐々に売上を伸ばしてきております。また、平成28年6月よりサービスを開始した看護師の人材サービスは、業界全体的な看護師不足を背景に引き合い(求人)も多く頂いておりますが、求職者の確保及びマッチングには時間を要するため、売上への貢献は来期以降になる見込みであります。これらの結果、人材事業の売上高は7億1千8百万円(同15.1%増)、営業利益は9千2百万円(同333.3%増)と、大幅に増収増益となりました。

 

③  事業分野別の業績

当社グループの事業分野別の業績及び概況は、次のとおりであります。

 

事業分野

内容

当連結会計年度

(自  平成28年4月1日

至  平成29年3月31日)

金額
(千円)

前年同期比(%)

構成比
(%)

①財務・会計分野

公認会計士講座、簿記検定講座、建設業経理士講座、ビジネス会計検定講座

3,563,477

109.7

17.4

②経営・税務分野

税理士講座、中小企業診断士講座、IPO実務検定講座、財務報告実務検定講座

3,763,532

95.1

18.4

③金融・不動産分野

建築士講座、不動産鑑定士講座、宅建主任者講座、マンション管理士/管理業務主任者講座、FP(ファイナンシャル・プランナー)講座、証券アナリスト講座、DCプランナー講座、貸金業務主任者講座、ビジネススクール、相続アドバイザー講座

3,629,938

110.9

17.8

④法律分野

司法試験講座、司法書士講座、弁理士講座、行政書士講座、ビジネス実務法務検定講座、通関士講座、知的財産管理技能検定講座、法律関連講座

1,676,973

97.1

8.2

⑤公務員・労務分野

公務員講座(国家総合職・一般職、地方上級、外務専門職、警察官・消防官、理系技術職)、マスコミ・就職対策講座、社会保険労務士講座

5,158,510

101.7

25.2

⑥情報・国際分野

情報処理講座(ITパスポート、情報セキュリティスペシャリスト等)米国公認会計士講座、米国管理会計士・米国税理士講座、CompTIA講座、IT関連講座、CIA(公認内部監査人)講座、CFE(公認不正検査士)講座、個人情報保護士講座、BATIC(国際会計検定)講座、TOEIC(R)TEST講座

1,444,040

101.6

7.1

⑦医療・福祉分野

医療事務(医科・歯科)講座、医療事務スタッフ・看護師等の派遣・紹介事業等

294,820

139.2

1.4

⑧その他

人材事業(人材派遣・人材紹介)、受付雑収入他

908,802

83.0

4.5

合計

20,440,094

102.2

100.0

 

(注) 1.上記金額には消費税等は含まれておりません。

2.主要な相手先別の販売実績等については、当該割合が10%以下のため記載を省略しております。

 

(財務・会計分野)

公認会計士については、試験合格者の良好な就職状況を背景に、平成22年度をピークに5年連続で減少していた公認会計士試験の申込者数は、平成28年度は10,256人(前年度から76人増加)と6年ぶりに前年度の申込者数を上回りました。また、平成28年12月に実施された1回目の短答式試験の申込者数は7,818人(前年は7,030人)、平成29年5月に実施される2回目の短答式試験の出願者数は8,214人(前年は7,968人)と、いずれも前年度から増加しています。当社の新規学習者向けの入門コースへの申し込み状況も1年を通して好調に推移しました。また、受験経験者向けのコースは過年度の少ない時期の受験生がベースとなるため年間累計では前年度を下回りましたが、下期(10月~3月)の6ヶ月間の比較では前年同期並みの申し込みを獲得しており下げ止まりの兆しも見えてきております。これらの結果、公認会計士講座の現金ベース売上高は前年同期比6.8%増となりました。簿記検定については、日商簿記検定試験の申込者数(1~3級の合計)が平成26年度の534,208人を直近の底として、平成27年度が545,431人、平成28年度が583,800人と2年連続で増加しているほか、出題区分の改定により試験がやや難化したことを受けて当社講座への申し込みが増えました。また、「スッキリわかる日商簿記」「みんなが欲しかった簿記の教科書」といった試験対策書籍の売れ行きも好調で、講座全体としての現金ベース売上高は同14.7%増となりました。以上の結果、当分野の売上高(発生ベース)は同9.7%増となりました。

(経営・税務分野)

平成28年度の税理士試験の受験申込者数は44,044名(前年比6.6%減、国税庁発表)と依然として減少傾向が続いており、最近5年間では約1万6千人もの受験申込者数が減少しております。当社の税理士講座では、そのような厳しい状況の中でも可能な限り影響を最小限に抑えるよう、日商簿記検定試験の受講生が税理士講座へスムーズにステップアップできるようなカリキュラム設定やテキスト構成にする等の施策を行ったほか販促活動にも努めましたが、税理士講座の現金ベース売上高は同6.4%減となりました。中小企業診断士は、平成22年度をピークに5年連続で減少していた試験申込者数が、平成28年度は6年ぶりに前年度を上回り明るい兆しが出てきております。当社の中小企業診断士講座でも、新規学習者向けコースは堅調に推移しました。受験経験者向けコースは8月に実施された1次試験の合格率が低かった(前年度から8.3%下落)こともあり次年度向けのコースの申し込みが好調に推移した一方で、2次試験向けのコースへの申し込みは奮いませんでした。以上の結果、当分野の売上高(発生ベース)は同4.9%減となりました。

(金融・不動産分野)

当分野は良好な景気を背景に年間を通じて好調に推移しました。不動産分野・金融分野とも当社講座への申し込みが順調に推移したことに加え、「わかって合格る宅建士」「みんなが欲しかった!FPの教科書」などの試験対策書籍の売れ行きも好調だったことで、現金ベース売上高は、宅建(同19.4%増)、不動産鑑定士(同8.0%増)、マンション管理士(同10.8%増)、建築士(同39.0%増)、FP(同14.0%増)と多くの講座で売上を伸ばしました。ビジネススクールは同10.9%減となりました。以上の結果、当分野の売上高(発生ベース)は同10.9%増となりました。

(法律分野)

平成29年度の司法試験予備試験出願者数は13,178名(前年12,767名、前々年12,543名)と2年連続で増加しました。予備試験ルートは短期間での司法試験最終合格を目指すことができることや、予備試験合格者の司法試験最終合格率が非常に高い水準にあることもあり、予備試験ルートで司法試験最終合格を目指す受験者は増加傾向にあります。また、司法修習生へ「修習給付金」を支給する制度の創設という明るい話も出てきております。当社の司法試験講座の主力商品である「4A基礎講座」は、初心者から受験経験者まで幅広く支持を集めているほか、予備試験向けの過去問対策などの商品も好評で順調に売上を伸ばし、現金ベース売上高は同5.7%増となりました。一方、受験者数の減少が続いている司法書士は、初学者向け・受験経験者向けともに当社講座への申し込みが低調で同10.3%減、弁理士講座も同5.7%減となりました。行政書士講座は前年並みの売上を確保いたしました。以上の結果、当分野の売上高(発生ベース)は同2.9%減となりました。

(公務員・労務分野)

社会保険労務士試験は受験申込者数が6年連続で減少しており厳しい状況が続いております。当社では、各種キャンペーンの実施や、ここ最近の低い合格率の状況を受けて、従来よりも学習期間を長めに設定した初学者向けのコースを新規に開講するなど集客に努めたこと及び出版物の売れ行きが好調だったことで、社労士講座全体の現金ベース売上高は同4.4%増となりました。公務員講座は、国家一般職・地方上級講座が、良好な民間就職状況の中でも安定した公務員人気や、学生の就職活動及び公務員への転職を志望する社会人を考慮した土日クラスの設置等の施策の効果もあり、現金ベース売上高は同2.9%増となりました。国家総合職・外務専門職講座は同4.1%減となりました。以上の結果、当分野の売上高(発生ベース)は同1.7%増となりました。

(情報・国際分野)

情報処理講座は、個人向けでは平成28年度より試験が開始された情報セキュリティマネジメント試験、平成29年度より新たに国家資格として創設される情報処理安全確保支援士(旧 情報セキュリティスペシャリスト試験、情報処理技術者高度区分コースの集客が好調に推移した一方、ITパスポートは不調で前年を下回りました。法人向けの研修は前年をやや下回り、講座全体での現金ベース売上高は前年並みとなりました。本年4月より試験制度が変更された米国公認会計士は、足許では徐々に受講生が戻りつつありますが、変更を見据えて当社講座への申し込みを手控えていた影響をカバーするまでには至らず、米国税理士(EA)、米国公認管理会計士(USCMA)、TOEIC(R) L&R TEST等とあわせた国際資格の現金ベース売上高は同7.0%減となりました。CompTIA講座はメインの企業研修が好調で同5.7%となりました。以上の結果、当分野の売上高(発生ベース)は同1.6%増となりました。

 

(医療・福祉分野)

医療福祉分野は、関西エリアで医療事務スタッフに係る人材サービスを展開している(株)医療事務スタッフ関西の売上が同1.2%減となりました。一方、関東エリアで医療系人材サービスを提供する(株)TAC医療(平成29年2月1日より、社名を(株)TAC医療事務スタッフから(株)TAC医療に変更しております。)は、これまでに行ってきた販促活動の取り組みの成果が徐々に表れ始め、人材派遣を中心に売上を伸ばしてきております。なお、平成28年6月よりサービスを開始した看護師の人材サービスは、業界全体的な看護師不足を背景に引き合い(求人)を多く頂いておりますが、求職者の確保及びマッチングには時間を要するため、売上への貢献は来期以降になる見込みであります。その他、社会福祉士や介護福祉士、ケアマネジャー等の医療・福祉関連資格の対策書籍の売上が貢献し、当分野の売上高(発生ベース)は同39.2%増となりました。

(その他)

人材子会社TACプロフェッションバンクが行う人材ビジネスについては、会計業界の人材不足を背景に、就職説明会などのイベント、WEB広告や法人プロモーションビデオ制作等の広告売上、人材紹介売上および人材派遣売上のいずれも好調で前年を上回りました。また、講座に帰属しないTACBOOKは「おとな旅プレミアム」が貢献し同62.2%増となりました。しかしながら、税務申告ソフト「魔法陣」は、(株)ハンドとの総販売代理店取引契約を合意解約したことに伴い平成28年3月31日をもって販売を終了しているため、当分野の売上高は同17.0%減となりました。

 

(2) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年同期比2億6千1百万円減少し、65億8千4百万円となりました。また、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは4千万円(同1億2百万円減少)となりました。

 

(注)  フリー・キャッシュ・フローは、以下の計算式を使っております。

フリー・キャッシュ・フロー=親会社株主に帰属する当期純利益+減価償却費(のれん償却費含む)-設備投資額-運転資本増加額-配当金の支払額

なお、運転資本は、売掛金+受取手形+たな卸資産-買掛金-支払手形で算出しております。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動におけるキャッシュ・フローは同8億3百万円減少し、3億3千1百万円の収入となりました。増加要因の主なものは、税金等調整前当期純利益の増加、前受金の増加、投資有価証券運用益の減少等であります。減少要因の主なものは、売上債権の増加、棚卸資産の増加、その他債務の減少、法人税等の還付額の減少、法人税等の支払額の増加等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動におけるキャッシュ・フローは同3億5千9百万円減少し、5億5千6百万円の支出となりました。増加要因の主なものは、有価証券取得による支出の減少、有価証券の売却および償還による収入の増加、原状回復による支出の減少等であります。減少要因の主なものは、有形固定資産の取得による支出の増加、投資有価証券の取得による支出の増加、差入保証金の回収による収入の減少等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動におけるキャッシュ・フローは同3億6千6百万円増加し、3千1百万円の支出となりました。増加要因の主なものは、短期借入金の借入による収入の増加、長期借入金の返済による支出の減少であります。減少要因の主なものは、長期借入金の借入れによる収入の減少等であります。

 

 

2 【生産、受注及び販売の状況】

(1) 拠点数と収容能力

当社グループの個人教育事業及び法人研修事業に関する通学講座の開講地区は、下記のとおり平成29年3月末現在、22拠点で展開しております。また、教室数及び座席数はそれぞれ下表に記載の通りとなっております。

 

 

当連結会計年度末
(平成29年3月31日)

教室数

収容座席数

 

前年同期比(%)

札幌校

9

526

100.0

仙台校

8

454

100.0

水道橋地区(注)

14

1,141

98.4

渋谷校

35

3,050

100.0

新宿校

26

2,317

100.4

池袋校

22

2,159

99.1

八重洲校

20

1,937

100.3

早稲田校

7

501

100.0

町田校

9

699

103.9

横浜校

22

2,102

100.0

立川校

10

789

102.3

中大駅前校

3

236

102.6

日吉校

6

311

99.7

大宮校

13

757

99.1

津田沼校

12

771

100.0

名古屋校

22

1,820

99.8

京都校

23

1,612

100.7

梅田校

25

2,120

100.4

なんば校

18

1,198

100.0

神戸校

15

968

100.0

広島校

10

340

100.9

福岡校

13

545

100.0

合計

342

26,353

100.1

 

(注)  水道橋地区は、水道橋校及び本部の合計であります。

 

また、受講者数の推移は次のとおりであります。

当連結会計年度における受講者数は211,814名(前連結会計年度比3.1%増)、そのうち個人受講者数は138,230名(同1.6%増、2,235名増)、法人受講者数は73,584名(同5.9%増、4,113名増)となりました。個人・法人を合わせた講座別では簿記検定講座が同8.6%増、公認会計士講座が同5.4%増、宅地建物取引士講座が同12.5%増、公務員(国家一般職・地方上級)講座が同6.0%増等となりました。一方、受講者数が減少した講座は、税理士講座(同6.8%減)、証券アナリスト講座(同5.3%減)、司法書士講座(同12.2%減)、米国公認会計士(USCPA)講座(同9.5%減)等であります。法人受講者は、通信型研修が同7.8%増、学内セミナーが公務員講座・語学講座を中心に同7.8%増、提携校が同4.9%減、委託訓練が雇用環境改善に伴い同7.8%減となりました。

 

 

 

当連結会計年度末
(平成29年3月31日)

人数(名)

前年同期比増減(名)

前年同期比(%)

個人受講者数

138,230

+2,235

101.6

法人受講者数

73,584

+4,113

105.9

合計

211,814

+6,348

103.1

 

 

(2) 受注実績

該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

販売実績については、「第2  事業の状況  1  業績等の概要  (1)業績」に記載のとおりであります。

 

3 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

わが国は、成熟した工業社会から急速に知識社会へシフトしつつあります。知識社会ではさまざまな分野ごとに知識専門家(プロフェッション)が要求され、活躍の場を広げています。プロフェッションprofessionとは英語のprofess=「神の前で宣言する」を語源とし、中世ヨーロッパ社会では神に誓いを立てて従事する職業として、神父・医師・会計士・法律家・教師等の知識専門家を指していました。彼らは職業を通して社会や人々に対して責任を負うと同時に、厳しい倫理観が要請されました。欧米ではプロフェッションの養成を大学が担当してきましたが、日本では大学がアカデミズムに偏重し、実務を担うプロフェッションの養成を手がけてきませんでした。当社は公認会計士を養成するビジネスを始めて以来、大学に代わって、現代に求められる多くのプロフェッションの養成を担当してまいりました。当社は、プロフェッションの養成を経営理念として、拠点とメディアを通して顧客(大学生・社会人・法人企業)の幅広い支持を受け、教育サービス市場での一強となることを目指してまいります。ステークホルダーとしての顧客の支持基盤を有してこそ、「株主価値の増大」という株式会社に求められる最も基本的な命題も達せられると考えております。

(2) 目標とする経営指標

当社グループの経営指標は、安定的な売上成長と現金ベース売上高営業利益率の極大化を目標としております。当連結会計年度においては、多くの講座で申し込みが堅調に推移したことに加え出版物の売れ行きも好調だったことで、前年を上回る現金ベース売上高を確保することが出来ました。特に、会計系講座、公務員講座、景気回復による後押しのあった金融・不動産系講座は大きく売上を伸ばしました。コスト面では、業務の効率化やコスト削減努力を継続的に実施しコストの増加の抑制に努めましたが、景気回復を受けて様々なものが値上がり傾向にあることや新たな収益獲得のための積極的な販促活動を行ったこと等により、前年と比べてコスト増となりました。今後も引き続き、現金ベース売上高営業利益率の向上に努めてまいります。

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、「プロフェッションの養成」を経営理念として社会人、大学生を対象に資格教育、実務教育を核とした人材育成事業を展開しております。また、当社グループで学ぶ方々は、自己投資の結果として希望の業種・職種への就職・転職を望む方も少なくなく、当社グループの提供する人材派遣・紹介サービスも個人及び企業もへ浸透しつつあります。したがって、当社グループの中長期的な経営戦略は、教育ビジネスと人材ビジネスを強固に結びつけながら、双方のビジネスを拡大させていくことであります。これにより、毎期安定的な売上成長と売上高営業利益率の向上を実現し、株主価値を高める努力を継続してまいります。

(4) 経営環境及び対処すべき課題

(経営環境)

当社が行っている資格関連教育サービスは、日本経済の健全な発展を支えていくために必要不可欠なプロフェッショナル人材の育成であり毎年一定の需要が見込める比較的安定したものでありますが、当社の商品の顧客層は各特定の専門分野に絞られることに加え消費者ニーズも多様化しており、既存事業を展開していくだけでは売上を右肩上がりで成長させていくことが難しい状況にあります。

(対処すべき課題)

① 新規事業の開発及びコストコントロール

当社グループが成長し更なる発展をしていくためには、新規事業・新規講座の開発に積極的に取り組むことで次世代の成長の芽を育てていく必要があると考えております。一方、一定の利益を確保するという観点からはコストの適切なコントロールが不可欠であり、直営校各校の床面積の最適化、効果的な販促活動及び経費の見直し等を通じてコスト管理を実施してまいります。

② 新規開講講座の収益化

2012年秋に開講した建築士講座及びその翌年の2013年秋に開講した教員採用試験講座は、それぞれ着実に売上を伸ばしてきております。また、2014年に新規部署を立ち上げた、法人を対象とした語学研修事業も順調に取引先数を増やしております。今後更なる売上を獲得できるようコンテンツの充実や販促活動に努めてまいります。2015年1月に開講した医療事務講座につきましても、子会社が行っている医療系人材サービスと連携し、医療分野全体としてより多くの売上を獲得できるよう取り組んでまいります。

③ M&A、業務提携の推進

当社はこれまで、Wセミナーからの事業譲受、(株)増進会出版社との資本・業務提携、関西エリアにおける医療事務系人材サービスで実績のある(株)医療事務スタッフ関西及び(株)クボ医療の買収と両社のノウハウを得ながら関東圏で事業展開を行う(株)TAC医療の新規設立等を実施しております。今後も成長が見込める案件についてはM&Aや業務提携を推進してまいります。

④ コーポレートブランド価値の向上

当社グループが提供している商品の主な顧客層は、大学生~社会人の専門的な能力の習得を目指す方々でありますが、今後当社グループがより一層の成長を図るためには、コーポレートブランド価値を向上させ、今まで当社の顧客ではなかった層にアプローチし、資格取得を目指す層の裾野を広めていく必要があります。そのために当社グループとしては、資格対策書籍以外の分野でのTAC出版物の刊行、(株)オンラインスクールによる低価格(一部無料)なオンライン学習サービスの提供、日本商工会議所と連携した日商簿記検定試験の普及活動等を積極的に展開していくことで、TACブランドの浸透を図ってまいります。

 

以上のような売上高増大のための施策を継続して実施することにより、早期に結果を出していくことが当社に求められている課題であると認識しております。

 

4 【事業等のリスク】

当社グループに関する事業等のリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(平成29年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 教育訓練給付制度の動向

教育訓練給付制度は、労働者の主体的な能力開発の取組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とした雇用保険の給付制度であり、厚生労働省が主管しております。一定条件を満たす雇用保険の一般被保険者等がいったん全額受講料を支払い、講座修了後、出席率等一定条件を満たしている場合に、入会金・受講料の一定割合に相当する額が雇用保険からハローワーク(公共職業安定所)を通じて支給されるものであります。
 給付基準は数年に一度変更されることがあり、現在は被保険者期間が3年以上(初回利用に限り1年以上)の方は一律20%、10万円が限度とされています。給付基準の変更により、講座申込みに駆け込み需要が生じることがあり、その後反動減が発生する等、短期的に業績が影響を受けますが、その影響額を想定することは非常に困難であります。

(2) 前受金について

当社の行う資格取得支援事業は、受講申込者に全額受講料をお支払いいただき(現金ベースの売上)、当社はこれをいったん前受金として貸借対照表・負債の部に計上しておきます。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金を月ごとに売上に振り替えられます(発生ベースの売上)。一般的に、現金ベースの売上が拡大していく局面では前受金残高が増大していき、当該会計期間以降、前受金戻入が多額になることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が強まりますが、現金ベースの売上が減少していく局面では前受金残高が減少していき、当該会計期間以降、前受金戻入が少なくなることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が弱まる傾向があります。さらに、現金ベースの売上が減少局面から増加局面に変わる期においては、発生ベースの売上に対する減少効果が増幅される場合があり、発生ベースで計算される当社の業績に影響を与えることになります。

(3) 特定商取引法・消費者契約法と行政の動向

平成19年中に特定商取引法の規制を受ける大手英会話スクールが破綻する事件があったほか、解約・返金に関する訴訟で最高裁の判決が出ております。当社の属する資格取得スクール業界は、パソコンスクール・TOEIC(R)TESTなど一部の講座を除き、直接、特定商取引法で定められた特定継続的役務提供の規制を受けるわけではありません。

一方、消費者契約法については広い範囲の事業者が対象となっており、消費者庁主導のもと消費者保護政策が強化される傾向にあります。当社としても、業界他社と足並みを揃えつつ無理由での解約・返金等に応じているほか、受講者に安心して受講いただけるよう平成20年に前受金保全信託制度を導入しております。本制度においては、毎月末に未経過の受講期間に対応する前受金残高の一定割合を翌月に信託するしくみとしており、当社に万が一事業を継続できなくなる事態が生じた場合には、信託財産が受益者代理人を通じて各受講者に返還されます。ただし、受講者にお支払いいただいた前受金の残額については、他の債権者との関係から受講者に返還できない場合があります。また、今後の法令改正等、消費者行政の動向等によっては、当社のビジネス・モデルに大きな影響を与える可能性があります。

(4) 個人情報保護法への対応

平成17年4月に「個人情報の保護に関する法律」が全面施行され、当社グループの個人顧客のみならず、法人顧客の関心も極めて高いため、当社グループとしてコンプライアンス体制の維持の観点から積極的に対応してまいりました。その結果、当社及び子会社の株式会社TACプロフェッションバンクともに、財団法人日本情報処理開発協会(JIPDEC)よりプライバシーマークを取得いたしました。平成28年1月からはマイナンバー制度も運用がスタートし、社会の個人情報保護への関心はますます高まっております。当社は、今後も引き続き、個人情報管理責任者のもと、情報流出等を防止する厳重なセキュリティ対策を維持するとともに、従業員への教育を継続することによって、個人情報の保護に努めてまいります。万一、流出事故が発生した場合は、当社グループへの社会的信用を失うこととなり、業績へ深刻な影響を及ぼす可能性があります。

(5) タームローンの財務制限条項

当社は平成26年9月30日付で、本社ビル取得用資金調達のため、株式会社三菱東京UFJ銀行ほか2行と30億円のタームローン契約を締結いたしました。本契約には財務制限条項が付されており、これに抵触した場合、増担保物件に対して根抵当権を設定することがあります。

a 各連結会計年度に係る連結損益計算書上の経常損益の金額から有価証券評価損による営業外損失の金額を除いた金額が0円以上であること。

b aの要件が2期以上連続して不充足となっていないこと。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 提携校契約

提携校契約とは、提携先が「TAC」の商号及び当社の教材を使用して講座運営ができる契約であります。前連結会計年度末までに提携校契約を行っている13校(群馬校、松本校、金沢校、富山校、岡山校、福山校、高松校、徳島校、大分校、熊本校、宮崎校、鹿児島校、沖縄校)については、契約更新期限が到来したものから順次、当連結会計年度において契約を更新しております。

 

(2) 前受金保全信託契約

当社では、法令及び取引所の求める規則に基づき財務状況を公表し透明性を高めるとともに、受講者に安心して受講していただける環境の整備に努めております。最近でも大手英会話スクールが経営破綻したことにより、多くの受講者が前払いした受講料が返還されない事態が発生しておりました。

当社の属する資格取得スクール業界においても、かつて米国公認会計士講座を提供する事業者が破綻したことがあり、受講者の保護のため、仮に事業者の継続的なサービス提供が困難になった場合であっても、受講者に未経過分の受講料を返還することができる体制を整えることが必要であると当社は考え、「前受金保全信託制度」を導入しております。

①  契約締結日:平成20年9月9日

②  契約締結当事者の名称:

委託者  TAC株式会社

受託者  株式会社三井住友銀行

③  主たる契約の内容:

・受講期間が1年を超える受講者を対象に、未経過受講期間が1年を超える期間分の受講料を当社の保有財産から切り離して、株式会社三井住友銀行を受託者とする信託勘定で分別管理しております。具体的には、毎月末に未経過受講期間が1年を超える期間分の受講料を信託するとともに、未経過受講期間が1年以内となった受講料については信託財産から償還されます。

・経営破綻など、当社に万が一の事態が生じた場合には、信託契約が終了し、受益者代理人(社外弁護士)に信託財産が償還されます。受益者代理人は、その時点で初めて各受講者に連絡を発し、未経過受講料の金額・振込先の銀行口座等を確認し、未経過受講料を返還いたします。

 

(3) タームローン契約

当社は、平成26年9月9日開催の取締役会において、固定資産(本社ビルの土地・建物)の取得を決議し、平成26年9月30日付で当該資金調達のためのタームローン契約書を締結いたしました。

① 借入先の名称

株式会社三菱東京UFJ銀行
株式会社東京都民銀行
株式会社千葉銀行

② アレンジャー兼エージェント

株式会社三菱東京UFJ銀行

③ 借入額

3,000,000千円

④ 契約締結日

平成26年9月30日

⑤ 借入実行日

平成26年12月17日

 

なお、本契約には以下の財務制限条項が付されており、これに抵触した場合、増担保物件に対して根抵当権を設定することがあります。

a 各連結会計年度に係る連結損益計算書上の経常損益の金額から有価証券評価損による営業外損失の金額を除いた金額が0円以上であること。

b aの要件が2期以上連続して不充足となっていないこと。

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度において、研究開発活動は行われておりません。

 

7 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 重要な会計方針及び見積り

① 講座に関する売上計上基準

当社の提供する資格試験講座においては、原則として受講者の申込時点で講座受講料を全額前納していただいており、受取った受講料をいったん全額負債としての前受金に計上し、受講期間に応じて受講者にサービスを提供していく都度、月割りで前受金を取崩し売上計上しております。当社の主力である公認会計士・税理士等の難関国家資格講座は、受講期間が1年を超えるものも多く、したがって前受金は1年以上にわたり各月の売上に振り替えられていくことになります。

② フリーレントの会計処理

当社は、資格取得スクールを展開するため多くのビルを賃借しております。貸主からフリーレントを受ける場合、フリーレント期間が長期化し金額的な重要性が増しているため、賃借料の要支払額を賃借期間で按分して会計上の費用として計上しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

①  全体業績の増減収要因

当連結会計年度の講座への申込みの動向は、前連結会計年度から引き続き堅調に推移しました。分野別では、会計関連の入口資格と位置付けることのできる日商簿記検定において試験申込者数が2年連続で増加したほか、試験合格者が監査法人に就職できる状況が続き初学者が戻って来た公認会計士試験などの財務・会計分野、良好な企業景気に支えられ市場が活発化している不動産鑑定士・宅建士などの不動産分野、一般に不景気時に申し込みが伸びる公務員は好景気が続いている現在でも受講生ニーズを的確に捉え好調でありました。一方で、税務分野及び法律分野は依然として減収を続けております。当社グループが出版しております各種試験対策書籍については、簿記・宅建士・社労士・FP等を始めとして全体的に売れ行きが好調でした。また、新たに出版した「旅行本」の売上も加わり出版事業の売上は大きく増加いたしました。法人研修事業及び人材事業の業績については③及び④に記載の通りです。

これらの結果、当社グループの当連結会計年度における現金ベース売上高は206億2千7百万円(前連結会計年度比2.6%増)となりました。前受金調整後の発生ベース売上高は、前受金調整額が1億8千7百万円の繰入(同94.8%増)と現金ベース売上高を押し下げる方向に働いたことで、204億4千万円(同2.2%増)となりました。

②  コスト要因

コストについては、新たに出版した「旅行本」の制作費用や出版物に係る返品関連の引当金繰入額等が増加したため売上原価で同1億7千5百万円増(同1.4%増)、販促活動の拡充等に伴い販売費及び一般管理費で同1億6千8百万円増(同2.3%増)となりました。これらの結果、営業利益は7億1千3百万円(同1億7百万円増、同17.7%増)となりました。

③  法人研修事業の業績推移

法人研修事業に係る受講者数、売上高及び営業利益の推移は以下のとおりであります。なお、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等の適用によりマネジメント・アプローチを採用しており、下表では現金ベース(前受金調整前)の売上高及び営業利益で表示しております。

 

 

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期(当期)

受講者数

(名)

64,507

69,471

73,584

売上高

(千円)

4,180,548

4,440,802

4,156,113

営業利益

(千円)

1,058,139

1,208,263

1,110,636

 

法人研修事業は、現金ベース売上高が41億5千6百万円(前年同期比6.4%減)となりました。良好な企業景気を背景に法人向けの研修は堅調に推移し、地方の個人が主な顧客となる提携校事業も前年並みの売上を確保しましたが、学内セミナーや自治体等の委託訓練は景気回復による需要の減少で前年同期比でマイナスとなりました。また、税務申告ソフト「魔法陣」の取扱を前連結会計年度末をもって終了しているため、法人研修事業全体の売上は大きく減少する結果となりました。

④  人材ビジネスの業績推移

当社100%子会社の株式会社TACプロフェッションバンク(以下、TPBという。)においては、人材派遣・人材紹介・求人広告の3つの柱で事業を行っております。TPBは、当社の資格取得講座の受講者・合格者を中心に会計・経理分野に強みを持つ人材供給会社として認知されております。当連結会計年度は、会計業界の人材不足を背景に上記3つの売上(人材派遣、人材紹介、求人広告)の全てにおいて増収となりました。

医療事務関連の人材事業は、主に関西エリアで事業を展開している(株)クボ医療及び(株)医療事務スタッフ関西の売上が伸び悩み前年同期をやや下回る結果となりました。一方、主に関東エリアで医療系の人材事業を展開する(株)TAC医療の売上は、平成27年12月の設立以来行ってきた販促活動などの取り組みの成果が徐々にではありますが表れ始め、規模はまだ小さいものの人材派遣を中心に売上を伸ばしております。

以上の結果、人材事業の発生ベース売上高は7億1千8百万円(同15.1%増)、発生ベースの営業利益は9千2百万円(同333.3%増)と大幅な増収増益となりました。

 

 

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期(当期)

売上高

(千円)

544,092

623,933

718,300

営業利益

(千円)

6,441

21,286

92,238

 

(注)平成27年3月期より、医療事務関連の売上を含む人材事業セグメントの売上高及び営業利益を計上しております。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

①  受験者数の推移

当社の取扱う資格試験の受験者数は、平成22年には308万人にまで増加しましたが、翌年以降急激に減少し、平成26年には251万人と5年間で50万人以上受験者数が減少しました。これは簿記検定試験が73万人から53万人にまで減少したほか、情報処理関連の受験者数が約15万人減少したこと等が主な要因です。平成27年以降の受験者数は比較的安定的に推移しており、直近では、簿記検定試験や公認会計士試験の受験者数が増加に転じたこともあり、全体的な受験者数も増加しております。

一般的には、不景気時に資格試験受験者は増加する傾向がありますが、2011年3月に発生した東日本大震災や消費税増税、公認会計士試験合格者の未就職者問題など、当社の取扱う各資格試験の受験者数は社会情勢や個々の資格ごとの状況などを反映しながらそれぞれ固有の動きをしており、当社の各講座の売上高及び営業利益も各資格試験の受験者の動向に影響を受けてまいります。

②  試験制度の改正等の受験環境

平成18年の公認会計士試験制度の改正の前後で、新試験制度に向けた申込み控えや新試験2年目から始まった大量合格傾向、さらには監査法人の採用数減少による未就職者問題などで受験者数が大きく減少し、当社主力の公認会計士講座の売上高は大きく影響を受けました。また、その他の資格においても、合格者数がこれまでと大きく増減すると、当社講座への申し込み状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。このように当社の取り扱う資格試験制度の改正内容、新試験の合格率や難易度等の結果によって、当社の経営成績は大きな影響を受けることがあります。

 

(4) その他、財政状態及び経営成績に関する分析

①  前受金について

当社の行う資格取得支援事業は、受講申込者に全額受講料をお支払いいただき(現金ベースの売上)、当社はこれをいったん、前受金として貸借対照表・負債の部に計上しておきます。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金を月ごとに売上に振り替えます(発生ベースの売上)。一般的に、現金ベースの売上が拡大していく局面では前受金残高が増大していき、当該会計期間以降、前受金戻入が多額になることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が強まりますが、現金ベースの売上が減少していく局面では前受金残高が減少していき、当該会計期間以降、前受金戻入が少なくなることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が弱まる傾向があります。さらに、現金ベースの売上が減少局面から増加局面に変わる期においては、発生ベースの売上に対する減少効果が増幅される場合があり、発生ベースで計算される当社の業績に影響を与えることになります。前受金及びその他の財政状態の指標の推移は以下のとおりであります。

 

 

 

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期(当期)

総資産(A)

(千円)

21,304,945

21,632,475

22,069,442

前受金(B)

(千円)

5,938,577

6,056,417

6,262,681

前受金比率(B/A)

(%)

27.9

28.0

28.4

自己資本(C)(注)

(千円)

4,384,487

4,536,677

4,954,650

自己資本比率(C/A)

(%)

20.6

21.0

22.5

 

(注)  自己資本は、純資産の額から非支配株主持分の額を控除して算出しております。

当連結会計年度においては、総資産及び前受金ともに前連結会計年度とほぼ同水準であったことから、前受金比率は前連結会計年度比0.4ポイントの上昇となっております。

前受金に見合う資金は、徐々に取り崩されて営業活動に使用されます。そのため、事業活動に必要な自己資本は相対的に低い水準で済み、自己資本比率は相対的に過小である傾向があります。当連結会計年度は、4億9千万円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上し、自己資本比率は1.5ポイント上昇いたしました。

 

②  前受金保全信託受益権について

消費者保護の考え方の高まりに対応して、当社は平成20年8月末を基準に前受金保全信託制度を新たに導入しました。本制度においては、受講期間が1年を超える受講者を対象に、未経過受講期間が1年を超える期間分の受講料を全額保全し、当社財産と分別管理するしくみとしており、当社に万が一事業を継続できなくなる事態が生じた場合には、信託財産が受益者代理人を通じて、各受講者に返還されます。ただし、受講者にお支払いいただいた前受金のうち未経過受講期間が1年以内に対応する受講料については、他の債権者との関係から受講者に返却できない場合があります。

当連結会計年度末における前受金保全信託受益権は、資産の部・流動資産の区分に4億7千万円計上されており、前連結会計年度から6.2%増加いたしました。これは、主に受講期間の長い公認会計士講座の初学者コースが好調に推移していること等によるためであります。

 

 

 

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期(当期)

前受金(A)

(千円)

5,938,577

6,056,417

6,262,681

前受金保全信託受益権(B)

(千円)

368,209

442,777

470,399

前受金保全比率(B/A)

(%)

6.2

7.3

7.5

 

 

③  差入保証金について

当社グループの事業所は原則として賃借によっております。したがって、当社は、教育サービスを提供する教室確保のための直営校各拠点を賃借するために、資産の部・固定資産の「投資その他の資産」の区分に差入保証金を多額に計上しております。

 

 

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期(当期)

差入保証金(A)

(千円)

3,032,758

2,915,989

2,925,967

前受金(B)

(千円)

5,938,577

6,056,417

6,262,681

保証金比率(A/B)

(%)

51.1

48.1

46.7

 

 

賃借契約は原則として2年であり、受講者数の増加に伴い教室スペースの確保のため各拠点の増床や新規拠点の開設を行うと、差入保証金は増加することになります。当連結会計年度においては、小幅な拠点面積の削減等がありましたが、差入保証金はほぼ横ばいであります。

 

④  資産除去債務について

当社グループの事業所は賃借ビルが多いため、「資産除去債務に関する会計基準」に基づいて、各賃借ビルの原状回復義務等を資産除去債務として負債の部に多額に計上しております。また、同時に資産の部に計上された資産除去債務相当額からは、その関連する有形固定資産の減価償却方法に準じて減価償却費が発生し、毎期計上されます。これにより、将来、原状回復義務を履行した場合の費用または損失が一時に計上されずに、使用する各期間に費用配分されることになりますが、結果として、各期の減価償却費が押し上げられ、固定費負担が重くなっております。

 

 

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期(当期)

総資産(A)

(千円)

21,304,945

21,632,475

22,069,442

資産除去債務(B)

(千円)

587,687

627,190

636,217

資産除去債務比率(B/A)

(%)

2.8

2.9

2.9

減価償却費のうち資産除去債務関連

(千円)

42,267

56,360

36,566

 

 

 

⑤  運用有価証券について

前受金が増加していくことは、受講者からの預り資金が増加することを意味します。そのうちの一部は、教室スペース確保のための差入保証金に充当されております。残額は、順次サービスを提供していくため、講師料、賃借料等のほか、教材の印刷費・DVDのダビング費・広告費等に消費されます。そうした消費のタイミングまでは、前受金の一部の資金は現金及び預金または有価証券等の金融商品で保有されます。当社の有価証券投資の方針は運用規程に定められており、元本確保型の安全性を重視した金融商品であって、かつ、利回りを追求した金融商品を中心に運用しております。

過去3期間の運用有価証券の推移は、以下のとおりであります。

 

 

平成27年3月期

平成28年3月期

平成29年3月期(当期)

有価証券

(千円)

87,773

185,834

65,750

投資有価証券

(千円)

444,805

651,793

1,046,667

合計

532,579

837,628

1,112,418

 

 

(5) 戦略的現状と見通し

「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」において説明しておりますとおり、売上高の増加が喫緊の課題であります。そのため、①新規事業の開発及びコスト・コントロール、②新規開講講座の収益化、③M&A・業務提携の推進、④コーポレートブランド価値の向上の4点を柱として、売上高増大のための施策を実行してまいります。

 

(6) キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フロー」をご参照ください。

 

なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末において入手可能な情報に基づき当社グループが合理的であると判断したものであります。したがって、将来や想定に関する事項には不確実性を内在しており、将来における実際の業績は様々な要因により大きく異なる結果となる可能性があります。