(1) 会社の経営の基本方針
わが国は、成熟した工業社会から急速に知識社会へシフトしつつあります。知識社会ではさまざまな分野ごとに知識専門家(プロフェッション)が要求され、活躍の場を広げています。プロフェッションprofessionとは英語のprofess=「神の前で宣言する」を語源とし、中世ヨーロッパ社会では神に誓いを立てて従事する職業として、神父・医師・会計士・法律家・教師等の知識専門家を指していました。彼らは職業を通して社会や人々に対して責任を負うと同時に、厳しい倫理観が要請されました。欧米ではプロフェッションの養成を大学が担当してきましたが、日本では大学がアカデミズムに偏重し、実務を担うプロフェッションの養成を手がけてきませんでした。当社は公認会計士を養成するビジネスを始めて以来、大学に代わって、現代に求められる多くのプロフェッションの養成を担当してまいりました。当社は、プロフェッションの養成を経営理念として、拠点とメディアを通して顧客(大学生・社会人・法人企業)の幅広い支持を受け、教育サービス市場での一強となることを目指してまいります。ステークホルダーとしての顧客の支持基盤を有してこそ、「株主価値の増大」という株式会社に求められる最も基本的な命題も達せられると考えております。
(2) 目標とする経営指標
当社グループの経営指標は、安定的な売上成長と現金ベース売上高営業利益率の極大化を目標としております。当連結会計年度においては、個人教育事業において主力の公認会計士講座や建築士講座の申し込みが年間を通じて好調に推移したこと等により、グループ全体としての現金ベース売上高は増加いたしました。コスト面では、日本経済の良好な景気の影響を受けて当社の主要な費目である賃借料や教材・出版物に必要となる紙代など多くの費目において値上がり傾向にありコスト環境は厳しい状況が続きましたが、直営校各校の床面積の抜本的な見直し、業務効率化、コスト削減努力を継続的に実施しコストの増加の抑制に努めました。その結果、現金ベース営業利益率は前年同期比0.5ポイント上昇いたしました。今後も引き続き、現金ベース売上高営業利益率の向上に努めてまいります。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、「プロフェッションの養成」を経営理念として社会人、大学生を対象に資格教育、実務教育を核とした人材育成事業を展開しております。また、当社グループで学ぶ方々は、自己投資の結果として希望の業種・職種への就職・転職を望む方も少なくなく、当社グループの提供する人材派遣・紹介サービスも個人及び企業もへ浸透しつつあります。したがって、当社グループの中長期的な経営戦略は、教育ビジネスと人材ビジネスを強固に結びつけながら、双方のビジネスを拡大させていくことであります。これにより、毎期安定的な売上成長と売上高営業利益率の向上を実現し、株主価値を高める努力を継続してまいります。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
(経営環境)
当社が行っている資格関連教育サービスは、日本経済の健全な発展を支えていくために必要不可欠なプロフェッショナル人材の育成であり毎年一定の需要が見込める比較的安定したものでありますが、当社の商品の顧客層は各特定の専門分野に絞られることに加え消費者ニーズも多様化しており、既存事業を展開していくだけでは売上を右肩上がりで成長させていくことが難しい状況にあります。
(対処すべき課題)
① 新型コロナウイルスの感染状況に応じた臨機応変な対応
当社では新型コロナウイルスの感染拡大の状況を受けて、受講生の皆さま、お取引先さま、従業員及び講師等関係者の皆さまの安全確保を最優先に、ライブ講義の中止、校舎の営業時間の短縮及び自習室等の一部サービスの休止、輪番及び時差勤務並びにリモートワークの導入による出勤機会の削減、テレビ会議の推進等の措置を講じております。その上で、WEBを利用した講義の配信や通学受講生への教材無料送付、テレビ会議システムを利用した学習相談の実施など、受講生の学習環境の維持に努めている他、集合・対面式の研修をeラーニングや通信型研修へ切り替える等、取引先さまへのサービスを可能な限り継続しております。今後も当面は新型コロナウイルスの感染拡大による影響が続くことが予想されますが、状況に応じた適切な対応をとることで、社会の一員としての責務を果たすとともに事業への影響を出来る限り抑えるよう努めてまいります。
② 新規事業・講座の開発
(経営環境)に記載の通り、既存事業を展開していくだけでは売上を右肩上がりで成長させていくことが難しい状況にあります。そのような中で、当社グループが成長し更なる発展をしていくためには、新規事業・講座の開発に積極的に取り組むことで次世代の成長の芽を育てていく必要があると考えております。
③ コスト構造の抜本的な改革
様々なモノのコストが上昇傾向にあり、特に当社グループにおける主要なコストの一つである賃借料の上昇は大きな影響を及ぼしております。そのような状況において、一定の利益を確保するという観点からはコストの適切なコントロールの重要性が益々高まっております。賃借料を含め、当社グループにおける主要なコストの多くは短期的にコントロールすることが難しい固定費で構成されていますが、直営校各校の床面積や営業時間の最適化、ITを利用した業務効率化、効果的な販促活動及び経費の見直し等を随時行いコスト管理をこれまで以上に徹底し、環境の変化にも柔軟に対応できるコスト構造を構築してまいります。
以上のような施策を継続して実施することにより、早期に結果を出していくことが当社に求められている課題であると認識しております。
当社グループに関する事業等のリスクは、以下のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年3月31日)現在において当社グループが判断したものであります。
教育訓練給付制度は、労働者の主体的な能力開発の取組みを支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とした雇用保険の給付制度であり、厚生労働省が主管しております。一定条件を満たす雇用保険の一般被保険者等がいったん全額受講料を支払い、講座修了後、出席率等一定条件を満たしている場合に、入会金・受講料の一定割合に相当する額が雇用保険からハローワーク(公共職業安定所)を通じて支給されるものであります。給付基準は数年に一度変更されることがあり、現在は被保険者期間が3年以上(初回利用に限り1年以上)の方は一律20%、10万円が限度とされています。給付基準の変更により、講座申込みに駆け込み需要が生じることがあり、その後反動減が発生する等、短期的に業績が影響を受けますが、その影響額を想定することは非常に困難であります。
当社の行う資格取得支援事業は、受講申込者に全額受講料をお支払いいただき(現金ベースの売上)、当社はこれをいったん前受金として貸借対照表・負債の部に計上しておきます。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金を月ごとに売上に振り替えられます(発生ベースの売上)。一般的に、現金ベースの売上が拡大していく局面では前受金残高が増大していき、当該会計期間以降、前受金戻入が多額になることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が強まりますが、現金ベースの売上が減少していく局面では前受金残高が減少していき、当該会計期間以降、前受金戻入が少なくなることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が弱まる傾向があります。さらに、現金ベースの売上が減少局面から増加局面に変わる期においては、発生ベースの売上に対する減少効果が増幅される場合があり、発生ベースで計算される当社の業績に影響を与えることになります。
2007年中に特定商取引法の規制を受ける大手英会話スクールが破綻する事件があったほか、解約・返金に関する訴訟で最高裁の判決が出ております。当社の属する資格取得スクール業界は、パソコンスクール・TOEIC(R)L&R TESTなど一部の講座を除き、直接、特定商取引法で定められた特定継続的役務提供の規制を受けるわけではありません。
一方、消費者契約法については広い範囲の事業者が対象となっており、消費者庁主導のもと消費者保護政策が強化される傾向にあります。当社としても、業界他社と足並みを揃えつつ無理由での解約・返金等に応じております。今後の法令改正等、消費者行政の動向等によっては、当社のビジネス・モデルに大きな影響を与える可能性があります。
2005年4月に「個人情報の保護に関する法律」が全面施行され、当社グループの個人顧客のみならず、法人顧客の関心も極めて高いため、当社グループとしてコンプライアンス体制の維持の観点から積極的に対応してまいりました。その結果、当社及び子会社の株式会社TACプロフェッションバンクともに、財団法人日本情報処理開発協会(JIPDEC)よりプライバシーマークを取得いたしました。2016年1月からはマイナンバー制度も運用がスタートし、社会の個人情報保護への関心はますます高まっております。当社は、今後も引き続き、個人情報管理責任者のもと、情報流出等を防止する厳重なセキュリティ対策を維持するとともに、従業員への教育を継続することによって、個人情報の保護に努めてまいります。万一、流出事故が発生した場合は、当社グループへの社会的信用を失うこととなり、業績へ深刻な影響を及ぼす可能性があります。
当社は2014年9月30日付で、本社ビル取得用資金調達のため、株式会社三菱UFJ銀行ほか2行と30億円のタームローン契約を締結いたしました。本契約には財務制限条項が付されており、これに抵触した場合、増担保物件に対して根抵当権を設定することがあります。
a 各連結会計年度に係る連結損益計算書上の経常損益の金額から有価証券評価損による営業外損失の金額を除いた金額が0円以上であること。
b aの要件が2期以上連続して不充足となっていないこと。
当連結会計年度は、個人教育事業において主力の公認会計士講座や建築士講座等が好調に推移したことや出版物の売上が伸長したこと等で、現金ベース売上高は203億9千8百万円(前年同期比1億4千5百万円増、同0.7%増)となりました。一方、前受金調整後の発生ベース売上高は、前受金調整額が6千7百万円の繰入(前年同期は2億2千1百万円の戻入)となったことで、203億3千1百万円(同1億4千3百万円減、同0.7%減)となりました。
売上原価は125億8千7百万円(同2億1千1百万円増、同1.7%増)、販売費及び一般管理費は75億8千8百万円(同7千7百万円減、同1.0%減)となりました。これらの結果、営業利益は1億6千2百万円(同1億7千8百万円減、同52.4%減)となりました。
営業外収益に、受取利息1千5百万円、受取保険金9千5百万円、投資有価証券運用益1千万円等、合計1億5千万円、営業外費用に、支払利息4千2百万円等、合計5千2百万円を計上した結果、経常利益は2億6千万円(同1億4千9百万円減、同36.4%減)となりました。
特別利益に、受取和解金2千4百万円、特別損失に、固定資産除売却損1千万円、特別功労金1億5千5百万円等、合計1億7千1百万円を計上しました。これらの結果、当期純利益は1億4百万円(同2億6百万円減、同66.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億3百万円(同2億6百万円減、同66.6%減)となりました。
当連結会計年度における当社グループの各セグメントの業績(現金ベース売上高)及び概況は、次のとおりであります。なお、当社ではセグメント情報に関して「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等の適用によりマネジメント・アプローチを採用し、下記の数表における売上高を、当社グループの経営意思決定に即した”現金ベース”(前受金調整前)売上高で表示しております。
現金ベース売上高は、連結損益計算書の売上高とは異なりますので、ご注意ください。詳細につきましては、注記事項「セグメント情報等」をご覧ください。
(注) 1.上記金額には消費税等は含まれておりません。
2.各セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
個人教育事業は、第2四半期会計期間に消費税増税前の駆け込み需要が生じた一方、第3四半期会計期間においてその反動による申し込み減が生じ、また、第4四半期会計期間においては新型コロナウイルスの感染拡大に伴う営業時間の短縮等による影響もあったことで、年間を通じた現金ベース売上高は前年並みとなりました。講座別では、主力の公認会計士や建築士、行政書士、教員等で前年を上回りましたが、同じく主力の一つである公務員において良好な民間への就職状況を背景に前年を下回りました。その他、税理士、中小企業診断士、司法試験、社会保険労務士等も前年を下回りました。コスト面では、講師料、教材制作のための外注費、賃借料等の営業費用は、122億9千8百万円(前年同期比0.3%減)となりました。これらの結果、個人教育事業の現金ベース売上高は117億7千8百万円(同0.1%減)、現金ベースの営業損失は5億2千万円(前年同期は5億4千5百万円の営業損失)となりました。
企業研修は、企業における人材育成に対する意識が高い状況が続いており、年間を通して企業向け研修サービスの需要は堅調に推移しました。なお、第4四半期会計期間においては新型コロナウイルスの感染拡大に伴い企業研修が一部延期または中止となる等の影響も出ています。講座別では、FPが前年同期比6.0%増、証券アナリストが15.1%増、情報処理が同3.8%増、CompTIAが同19.4%増、ビジネススクールが同12.1%減等となりました。大学内セミナーは、第3四半期までは堅調に推移していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大による影響もあり前年並みとなりました。地方の個人が主な顧客となる提携校事業及び地方専門学校に対するコンテンツ提供はともに低調に推移し前年を下回りました。自治体からの委託訓練は年間を通じて好調に推移し前年を上回りました。コスト面では、営業に係る人件費等を中心に営業費用全体で33億6千1百万円(同2.9%増)となりました。これらの結果、法人研修事業の現金ベース売上高は44億2千3百万円(同3.9%増)、現金ベースの営業利益は10億6千1百万円(同7.4%増)となりました。
当社グループの出版事業は、当社が展開する「TAC出版」及び子会社(株)早稲田経営出版が展開する「Wセミナー」(以下、「W出版」)の2つのブランドで進めております。TAC出版では、宅地建物取引士、行政書士、FP、マンション管理士などの資格試験対策書籍売上が年間を通じて好調に推移したほか、海外旅行本「ハルカナ」や双子のJリーガー森崎兄弟による初の著書「うつ白」等が売上に貢献しました。W出版では、民法の改正に伴い司法試験や司法書士などの法律関連の書籍の売上が好調に推移したこと等により、前年を上回りました。コスト面では、人件費や旅行本のリニューアルに係る制作費用を中心とした外注費が増加しましたが、販促費用を抑制したこと等により営業費用全体としては29億4千7百万円(同2.5%増)となりました。これらの結果、出版事業の売上高は36億7千8百万円(同3.3%増)と8期連続の増収、営業利益は7億3千万円(同6.4%増)となりました。
子会社の(株)TACプロフェッションバンクが手掛ける会計系人材事業は、監査法人や税理士法人、民間企業における需要が年間を通じて大きい状況が続きましたが、人材紹介における求人と求職者の条件における隔たりが広がりつつあること、採用における求人広告の効果が以前と比較すると低下してきていること等により、人材紹介売上及び広告売上は前年を下回りました。また、人材派遣売上についても派遣法の改正による稼働数の減少により前年を下回りました。(株)医療事務スタッフ関西が手掛ける医療系人材事業は前年度に受注した大型案件が未更新となったことで売上は大きく減少しました。これらの結果、人材事業の売上高は5億8千5百万円(前年同期比16.9%減)、営業利益は9千3百万円(同11.0%減)となりました。
当社グループの事業分野別の経営成績及び概況は、次のとおりであります。
(注) 1.上記金額には消費税等は含まれておりません。
2.主要な相手先別の販売実績等については、当該割合が10%以下のため記載を省略しております。
当連結会計年度においては、財務・会計分野、金融・不動産分野、情報・国際分野等において前年同期を上回った一方、経営・税務分野、法律分野、公務員・労務分野等で前年を下回りました。
財務・会計分野は、主力の公認会計士において年間を通じて申し込みが好調に推移、金融・不動産分野は、FPや証券アナリスト、建築士が好調に推移しました。情報・国際分野は、情報処理に係る企業向けの研修が第3四半期まで好調に推移したことやCompTIA関連についても好調に推移したことで、前年を上回りました。
一方、経営・税務分野は、税理士において全体的な受験者数の減少率よりは低く抑えられてはいるものの当社講座への申し込みが微減となったほか、中小企業診断士も奮わなかったことで分野全体として前年同期を下回りました。その他、公務員・労務分野における公務員(国家一般・地方上級)は民間への良好な就職状況が続く中で苦戦しており、また、法律分野は民法改正による需要増加も見られましたが全体的な流れとしては低調で、それぞれ前年を下回りました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年同期比9億8百万円減少し、42億5千7百万円となりました。なお、当連結会計年度におけるフリー・キャッシュ・フローは△1億2千8百万円(同2億6千6百万円減少)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(注) フリー・キャッシュ・フローは、以下の計算式を使っております。
フリー・キャッシュ・フロー=親会社株主に帰属する当期純利益+減価償却費(のれん償却費含む)-設備投資額-運転資本増加額-配当金の支払額
なお、運転資本は、売掛金+受取手形+たな卸資産-買掛金-支払手形で算出しております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動におけるキャッシュ・フローは同4億9千2百万円増加し、5億8千6百万円の収入となりました。増加要因の主なものは、売上債権の減少、受講料保全信託受益権の減少、前受金の増加等であります。減少要因の主なものは、税金等調整前当期純利益の減少、返品調整引当金の減少、仕入債務の減少等であります。
投資活動におけるキャッシュ・フローは同5億2千5百万円減少し、1億5千3百万円の支出となりました。増加要因の主なものは、投資有価証券の売却による収入の増加、差入保証金の回収による収入の増加等であります。減少要因の主なものは、有価証券の売却による収入の減少、有形固定資産の取得による支出の増加等であります。
財務活動におけるキャッシュ・フローは同10億9千1百万円減少し、13億3千4百万円の支出となりました。増加要因の主なものは、長期借入金の返済による支出の減少等であります。減少要因の主なものは、短期借入金の純増額の減少、長期借入金の借入による収入の減少等であります。
当連結会計年度末の財政状態は、純資産が54億7千8百万円(前連結会計年度末比2千万円減)、総資産が202億5千3百万円(同12億3千2百万円減)となりました。連結上、増加した主なものは、製品が1億4百万円、建物及び構築物が2億4千6百万円、前受金が1億3千2百万円等であります。また、減少した主なものは、現金及び預金が9億8百万円、受講料保全信託受益権が5億3千7百万円、差入保証金が1億2千6百万円、保険積立金が1億4千2百万円、未払金が1億8千5百万円、長短借入金(1年内返済予定長期借入金を含む)が11億8千9百万円等であります。
当社グループの個人教育事業及び法人研修事業に関する通学講座の開講地区は、下記のとおり2020年3月末現在、22拠点で展開しております。また、教室数及び座席数はそれぞれ下表に記載の通りとなっております。
また受講者数については次のとおりであります。
当連結会計年度における受講者数は207,118名(前連結会計年度比3.9%減)、そのうち個人受講者数は126,000名(同3.9%減、5,119名減)、法人受講者数は81,118名(同3.9%減、3,332名減)となりました。
個人・法人を合わせた講座別では公認会計士講座前年同期比14.8%増、証券アナリスト講座が同27.3%増、建築士講座が同36.4%増等となりました。一方、受講者数が減少した講座は、簿記検定講座が同7.8%減、税理士講座が同4.0%減、宅地建物取引士講座が同6.1%減、公務員(国家一般職・地方上級)講座が同5.9%減等となりました。法人受講者は、通信型研修が同2.6%減、大学内セミナーが同8.2%減、提携校が同12.2%減、委託訓練が同2.2%増となりました。
該当事項はありません。
販売実績については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要)」に記載のとおりであります。
当社の提供する資格試験講座においては、原則として受講者の申込時点で講座受講料を全額前納していただいており、受取った受講料をいったん全額負債としての前受金に計上し、受講期間に応じて受講者にサービスを提供していく都度、月割りで前受金を取崩し売上計上しております。当社の主力である公認会計士・税理士等の難関国家資格講座は、受講期間が1年を超えるものも多く、したがって前受金は1年以上にわたり各月の売上に振り替えられていくことになります。
当社は、資格取得スクールを展開するため多くのビルを賃借しております。貸主からフリーレントを受ける場合、フリーレント期間が長期化し金額的な重要性が増しているため、賃借料の要支払額を賃借期間で按分して会計上の費用として計上しております。
当社は、たな卸資産の評価方法として原価法(収益性の低下に伴う簿価切り下げの方法)を採用しております。収益性の低下に伴う簿価切り下げ額は、決算日時点におけるテキストや問題集等の教材及び出版物のうち、その後において使用または販売されることなく最終的に廃棄されることとなる金額の見込み額及び出版物の過剰在庫の額であります。最終的に廃棄されることとなる金額の見込み額については、恣意性を排除する観点から、対象期間の教材及び出版物の制作費用の額に、過去における教材及び出版物の制作費用並びにそれらの廃棄実績額から算定される平均廃棄率を乗じることで算出しております。また、出版物の過剰在庫の額については、当社が刊行する出版物の性質を考慮し、刊行後1年以上経過した出版物のうち今後の販売見込みを超えて保有している部分を過剰在庫とし簿価の切り下げを行っております。
当社では、出版物の返品による損失に備えるため、返品調整引当金を計上しております。この返品調整引当金は、取次店等に対して納品し売上計上した出版物が、その後書店等における売れ残りや汚れ等の理由によって当社に返品されてきた場合の損失見込み額であります。当該見込み額については、税法上の返品調整引当金の算式に則り算出しております。
また、当社では、出版物の返品による廃棄損失に備えるため、返品廃棄損失引当金を計上しております。この返品廃棄損失引当金は、取次店等に対して納品し売上計上した出版物が、その後書店等における売れ残りや汚れ等の理由によって当社に返品され、最終的に当社において廃棄することとなる金額の見込み額であります。当該見込み額については、恣意性を排除する観点から、対象期間の制作費用の額に、過去における出版物の制作費用及び廃棄実績額から算定される平均廃棄率を乗じることで算出しております。
当連結会計年度の講座への申し込みの動向は、主力講座の一つである公務員講座において、民間への良好な就職状況を背景とした公務員志望者の減少傾向が続く中で当社講座への申し込みも年間を通じて低調に推移しましたが、同じく主力講座の一つである公認会計士講座や建築講座などが好調に推移したことで、全体としては前年を上回る結果となりました。分野別では、公認会計士講座が属する財務・会計分野の他、FP講座や証券アナリスト講座が属する金融・不動産分野、情報処理講座やCompTIA講座が属する情報・国際分野も好調な結果となりました。一方で、経営・税務分野は、税理士講座が受験者数の減少が続いていることに加え中小企業診断士講座も奮わず低調な結果に、法律分野は民法改正に伴う需要も見られましたが全体的には厳しい状況で推移しましたTAC出版及び早稲田経営出版のブランドで行う出版事業は、宅地建物取引士、行政書士、FP、マンション管理士などの資格試験対策書籍売上が年間を通じて好調に推移したことに加え、海外旅行本「ハルカナ」や双子のJリーガー森崎兄弟による初の著書「うつ白」等が売上に貢献、また、民法の改正に伴って司法試験や司法書士等の法律関連書籍需要が高まったこともあり、8年連続で増収となりました。法人研修事業及び人材事業の業績については、③及び④に記載の通りです。これらの結果、当社グループの当連結会計年度における現金ベース売上高は203億9千8百万円(前連結会計年度比0.7%増)となりました。前受金調整後の発生ベース売上高は、前受金調整額が6千7百万円の繰入(前年同期は2億2千1百万円の戻入)となったことで、203億3千1百万円(同0.7%減)となりました。
コストについては、売上原価で同2億1千1百万円増(1.7%増)、販売費及び一般管理費で同7千7百万円減(同1.0%減)となりました。当社では継続的にコストの削減に努めておりますが、主要な費用項目である賃借料や教材制作に係る費用、講師料や収録費用等の講座運営に係る費用は短期的な削減が難しい固定費的な要素のものであること、売上原価及び販売費及び一般管理費を構成する多くの費目が値上がり傾向にあること等の理由により、売上原価と販売費及び一般管理費をあわせた営業費用全体でほぼ前年同期並みの水準となりました。
法人研修事業に係る受講者数、売上高及び営業利益の推移は以下のとおりであります。なお、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」等の適用によりマネジメント・アプローチを採用しており、下表では現金ベース(前受金調整前)の売上高及び営業利益で表示しております。
法人研修事業は、企業における人材育成に対する意識が高い状況が続いており、年間を通して企業向け研修サービスの需要は堅調な状況で推移しましたが、新型コロナウイルスの感染拡大により、企業研修の一部延期や中止等の事象が2021年2月頃より発生しております。大学内セミナーは、第3四半期までは堅調に推移していましたが、新型コロナウイルスの感染拡大による影響もあり前年並みとなりました。その他、地方の個人が主な顧客となる提携校事業及び地方専門学校に対するコンテンツ提供はともに低調に推移した一方、自治体からの委託訓練は年間を通じて好調に推移しました。コスト面では、営業に係る人件費等を中心に営業費用が増加しました。これらの結果、法人研修事業の現金ベース売上高は44億2千3百万円(同3.9%増)、現金ベースの営業利益は10億6千1百万円(同7.4%増)となりました。
当社100%子会社の株式会社TACプロフェッションバンクが営む会計系人材事業は、監査法人や税理士法人を中心とした会計業界や民間企業における需要が年間を通じて大きい状況が続きました。しかしながら、人材紹介における求人(採用側)と求職者の条件における隔たりが広がりつつあること、人材採用における求人広告効果の低下等により、人材紹介及び採用広告の獲得は苦しい状況が続きました。また、人材派遣についても派遣法の改正による稼働数の減少により前年を下回りました。関西において事業を展開する100%子会社の株式会社医療事務スタッフ関西は、昨年度受注した国民健康保険に係る大型の業務が今年度は未更新となったことで、売上高は大きく減少しました。当社子会社が行う人材事業は、専門的なスキルを有した人材に特化していることから比較的安定した需要がありますが、採用側が求める専門的なスキルを有した人材の獲得は難しいことに加え最低時給単価の上昇等の状況もあり、全体的としては厳しい事業環境が続いております。これらの結果、人材事業の売上高は5億8千5百万円(前年同期比16.9%減)、営業利益は9千3百万円(同11.0%減)となりました。
当社の取扱う資格試験の受験者数は、2010年には310万人にまで増加しましたが、翌年以降急激に減少し、2014年には253万人と5年間で50万人以上受験者数が減少しました。これは簿記検定試験が73万人から53万人にまで減少したほか、情報処理関連の受験者数が約15万人減少したこと等が主な要因です。2015年以降の受験者数は比較的安定的に推移しております。一般的には、不景気時に資格試験受験者は増加する傾向がありますが、2011年3月に発生した東日本大震災や消費税増税、公認会計士試験合格者の未就職者問題など、当社の取扱う各資格試験の受験者数は社会情勢や個々の資格ごとの状況などを反映しながらそれぞれ固有の動きをしており、当社の各講座の売上高及び営業利益も各資格試験の受験者の動向に影響を受けてまいります。
2006年の公認会計士試験制度の改正の前後で、新試験制度に向けた申込み控えや新試験2年目から始まった大量合格傾向、さらには監査法人の採用数減少による未就職者問題などで受験者数が大きく減少し、当社主力の公認会計士講座の売上高は大きく影響を受けました。また、2016年度より段階的に行われている日商簿記検定試験の出題試験区分の改定により、当社の簿記検定講座も教材やカリキュラムの見直しを行い、売上及び費用に影響が生じました。その他の資格においても、合格者数がこれまでと大きく増減するなど試験制度面における大きな状況変化が起こると、当社講座への申し込み状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。このように当社の取り扱う資格試験制度の改正内容、新試験の合格率や難易度等の結果によって、当社の経営成績は大きな影響を受けることがあります。
なお、2020年3月期に係る有価証券報告書提出日時点において収束には至っていない新型コロナウイルスの感染状況に関して、感染拡大防止の観点から一部の試験等が延期または中止となっております。当社が展開している講座は、試験が実施されることを前提に講座(商品)企画・運営を行っているため、試験が中止となった場合には、当該中止となった試験に関する講座(商品)の開講が出来なくなるといった影響があるほか、延期された試験の延期後の日程が未定の状況が長く続いたり、来年度以降の試験の実施や資格取得後の就職状況等に関して不安定な状況が長引くと、当社講座への申し込みをいったん様子見されるお客様が増える(講座申し込みが減少する)といった影響が生じる可能性があります。一方で、資格を保有する専門家は日本社会を支えるインフラとして機能している一面があり、どのような状況下においても一定のニーズがあることに加え、資格取得需要は一般的に不況期に高まることが多いことも考慮すれば、当社講座への申し込みはさほど変わらない、ないしは、長期的には増加することもあると考えられます。
① 全体的な財政状態
当連結会計年度末における全体的な財政状態の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (3) 財政状態」をご参照ください。なお、セグメントごとの財政状態については、資産を事業セグメントに配分していないため記載を省略いたします。
② 前受金について
当社の行う資格取得支援事業は、受講申込者に全額受講料をお支払いいただき(現金ベースの売上)、当社はこれをいったん、前受金として貸借対照表・負債の部に計上しておきます。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金を月ごとに売上に振り替えます(発生ベースの売上)。一般的に、現金ベースの売上が拡大していく局面では前受金残高が増大していき、当該会計期間以降、前受金戻入が多額になることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が強まりますが、現金ベースの売上が減少していく局面では前受金残高が減少していき、当該会計期間以降、前受金戻入が少なくなることによって発生ベースの売上を押し上げる効果が弱まる傾向があります。さらに、現金ベースの売上が減少局面から増加局面に変わる期においては、発生ベースの売上に対する減少効果が増幅される場合があり、発生ベースで計算される当社の業績に影響を与えることになります。前受金及びその他の財政状態の指標の推移は以下のとおりであります。
(注) 自己資本は、純資産の額から非支配株主持分の額を控除して算出しております。
当連結会計年度においては、個人教育事業の低調な申込み状況を受けて前受金が減少し、前受金比率は前連結会計年度比2.4ポイント上昇いたしました。自己資本比率は、前受金に見合う資金が徐々に取り崩されて使用され事業活動に必要な自己資本は相対的に低い水準で済むため、相対的に過小である傾向があります。当連結会計年度は1億3百万円の親会社株主に帰属する当期純利益を計上し、自己資本比率は1.4ポイント上昇いたしました。
当社では、消費者保護の考え方の高まりに対応し受講者の保護を目的として、仮に事業者の継続的なサービス提供が困難になった場合であっても受講者に未経過分の受講料を返還することができるように、「前受金保全信託制度」を導入しておりましたが、学習期間の短期化や受講料の分割払い利用者の増加等により本制度の役割が制度導入時に比べて大きく低下している状況を受け、2019年8月末を以って本制度を終了いたしました。
当社グループの事業所は原則として賃借によっております。したがって、当社は、教育サービスを提供する教室確保のための直営校各拠点を賃借するために、資産の部・固定資産の「投資その他の資産」の区分に差入保証金を多額に計上しております。
賃借契約は原則として2年であり、受講者数の増加に伴い教室スペースの確保のため各拠点の増床や新規拠点の開設を行うと、差入保証金は増加することになります。当連結会計年度においては、一部拠点の床面積の削減等を行い、保証金比率は3.1ポイント低下しました。
当社グループの事業所は賃借ビルが多いため、「資産除去債務に関する会計基準」に基づいて、各賃借ビルの原状回復義務等を資産除去債務として負債の部に多額に計上しております。また、同時に資産の部に計上された資産除去債務相当額からは、その関連する有形固定資産の減価償却方法に準じて減価償却費が発生し、毎期計上されます。これにより、将来、原状回復義務を履行した場合の費用または損失が一時に計上されずに、使用する各期間に費用配分されることになりますが、結果として、各期の減価償却費が押し上げられ固定費負担が重くなっております。なお、当連結会計年度において資産除去債務の見積りの変更を行い、1億7千9百万円を変更前の資産除去債務残高に加算しております。
前受金が増加していくことは、受講者からの預り資金が増加することを意味します。そのうちの一部は、教室スペース確保のための差入保証金に充当されております。残額は、順次サービスを提供していくため、講師料、賃借料等のほか、教材の印刷費・DVDのダビング費・広告費等に消費されます。そうした消費のタイミングまでは、前受金の一部の資金は現金及び預金または有価証券等の金融商品で保有されます。当社の有価証券投資の方針は運用規程に定められており、元本確保型の安全性を重視した金融商品であって、かつ、利回りを追求した金融商品を中心に運用しております。過去3期間の運用有価証券の推移は、以下のとおりであります。
「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」において説明しておりますとおり、売上高の増加が喫緊の課題であります。そのため、①新型コロナウイルスの感染状況に応じた臨機応変な対応、②新規事業・講座の開発、③コスト構造の抜本的な改革の3点を柱とした施策に取り組んでまいります。
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループの資本の源泉及び資金の流動性については、事業運営上必要となる資金は、手許資金及び金融機関からの借入により調達することを基本としております。
2020年3月末時点における短期及び長期借入金の合計51億8千7百万円のうち22億1千2百万円は本社ビル取得に係る借入金であり、その他は事業運営上必要な設備等の導入や入れ替え、経費の支払いなどの経常的な支払等に必要となる資金に係る借入金であります。
有価証券報告書提出日現在において支出が予定されている重要な資本的支出はありません。
なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末において入手可能な情報に基づき当社グループが合理的であると判断したものであります。したがって、将来や想定に関する事項には不確実性を内在しており、将来における実際の業績は様々な要因により大きく異なる結果となる可能性があります。
提携校契約とは、提携先が「TAC」の商号及び当社の教材を使用して講座運営ができる契約であります。前連結会計年度末までに提携校契約を行っている14校(群馬校、水戸校、松本校、金沢校、富山校、岡山校、福山校、高松校、徳島校、大分校、熊本校、宮崎校、鹿児島校、沖縄校)については、契約更新期限が到来したものから順次、当連結会計年度において契約を更新しております。
当社では、消費者保護の考え方の高まりに対応し受講者の保護を目的として、仮に事業者の継続的なサービス提供が困難になった場合であっても受講者に未経過分の受講料を返還することができるように、「前受金保全信託制度」を導入しておりましたが、学習期間の短期化や受講料の分割払い利用者の増加等により本制度の役割が制度導入時に比べて大きく低下している状況を受け、2019年8月末を以って本制度を終了いたしました。
当社は、2014年9月9日開催の取締役会において、固定資産(本社ビルの土地・建物)の取得を決議し、2014年9月30日付で当該資金調達のためのタームローン契約書を締結いたしました。
なお、本契約には以下の財務制限条項が付されており、これに抵触した場合、増担保物件に対して根抵当権を設定することがあります。
a 各連結会計年度に係る連結損益計算書上の経常損益の金額から有価証券評価損による営業外損失の金額を除いた金額が0円以上であること。
b aの要件が2期以上連続して不充足となっていないこと。
当連結会計年度において、研究開発活動は行われておりません。