(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費や設備投資は総じて持ち直しの動きが見られるなど、緩やかな回復基調が続いているものの、中国を始めとするアジア新興国等の景気の下振れ懸念など、依然として先行きは不透明な状態が続いております。
ソフトウェア業界におきましては、ソフトウェア投資は緩やかに増加しており、全体としては底堅く推移しております。
当社グループが事業を展開しております医療情報システム業界におきましては、「地域医療構想」の策定が進められており、病床機能の再編に向けた取り組みが医療機関に求められております。また、医療介護総合確保推進法に基づき、各都道府県に設置された「平成27年度 地域医療介護総合確保基金」(医療分:904億円、介護分:724億円)により、ICT[1]を活用した医療情報連携ネットワーク事業等が計画されております。医療のICT化が推進される中、今後も医療の質向上や効率化に寄与する電子カルテシステム、地域医療連携システム、医療介護連携システムの普及が期待されております。
このような状況の中、当社グループは、政府が推進する地域包括ケアシステム[2]の構築を見据え、医療と介護のシステム連携や、医療機関における地域連携室の退院・転院調整業務をWebサービスで支援する地域連携室支援サービス「れんさく君」[3]の販売を開始いたしました。また、医療機関における業務の効率化や医療データのセキュリティ強化のニーズに応えるべく、電子カルテシステム「MI・RA・Is(ミライズ)シリーズ」のクラウド対応版[4]の販売も開始しております。
当社グループの主力事業である電子カルテシステム事業におきましては、地域における医療課題の解決を図るため、平成21年度から平成24年度補正予算によって各都道府県に設置された「地域医療再生基金」対象事業の計画期間が、平成26年3月末をもって概ね終了したことや、消費税率の引き上げ等から、医療情報システムへの投資が停滞傾向となる中、積極的な営業活動に取り組んだ結果、平成27年9月末の「MI・RA・Isシリーズ」のユーザー数は、前期末より69件増加し、709ユーザーと順調に推移いたしました。しかしながら、受注獲得のための競争激化や顧客との将来を見据えた取引などから採算性の低い検収物件が多く利益率が低下したこと、また人員体制の強化や営業拠点の拡張など固定費も増加したことから、利益面におきましては、厳しい状況となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高7,393百万円(前期比1.6%減)、売上総利益1,278百万円(前期比23.0%減)、営業利益135百万円(前期比81.3%減)、経常利益211百万円(前期比72.4%減)、当期純利益は119百万円(前期比73.1%減)となりました。また、受注状況につきましては、受注高7,490百万円(前期比2.4%減)、受注残高3,138百万円(前期比8.6%増)となりました。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
〔電子カルテシステム事業〕
電子カルテシステム事業は、「MI・RA・Isユーザーフォーラム[5]」の活動等を通じてユーザーニーズの把握に努め、製品の機能強化に取り組むとともに、品質マネジメントシステムの構築を継続的に推進し、顧客満足度の向上並びに製品・サービスの品質確保を図ってまいりました。主力の電子カルテシステム「MI・RA・Is/PX」などの医療情報システムの販売につきましては、新規及びシステム更新案件の開拓、並びに地域医療介護総合確保基金に関する事業の取り込みに注力してまいりました。また、看護業務支援システム「ナース物語」シリーズ[6]につきましては、電子カルテシステムと親和性が高いシステムとして、「MI・RA・Isシリーズ」とあわせ、その拡販に取り組むとともに、開発・販売の一体化など、更なる相乗効果に取り組んでまいりました。
健康・医療ソリューション「HealthClover(ヘルスクローバー)[7]」につきましては、医療現場のニーズに応えるべく、さらなる機能拡張やサービス充実を図り、「電子カルテ/地域医療連携ソリューション」とともに、政府諸施策を見据えながら販売活動に取り組んでまいりました。また、医療情報システムの受託開発につきましては、地域中核病院を中心に継続的に日本電気㈱から受注し開発・導入作業を行ってまいりました。
当社グループの大半を占める電子カルテシステム事業の業績につきましては、前記の状況により、受注高7,451百万円(前期比2.4%減)、受注残高3,132百万円(前期比8.7%増)、売上高7,340百万円(前期比1.4%減)、セグメント利益260百万円(前期比70.4%減)となりました。
〔その他〕
その他におきましては、全世代に発信するヘルスケア関連情報サイト「Mocosuku(もこすく)[8]」において、ユーザーニーズを捉えた記事を配信し、記事内容にマッチした誘導リンクを配置することにより、アクセス数の増加、ひいてはサイト価値の向上を図るとともに、サービス領域拡大に取り組んでまいりました。また、高齢者向け安否/安心連絡システム「安タッチ(あんタッチ)[9]」を中心に、高齢者向け医療・健康関連システムの提供にも努めてまいりました。
その他の業績につきましては、受注高38百万円(前期比1.9%増)、受注残高5百万円(前期比34.7%減)、配置薬事業から撤退したことにより売上高52百万円(前期比28.2%減)、セグメント損失102百万円(前期セグメント損失134百万円)となりました。
[1]ICT Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。
[2]地域包括ケアシステム 政府が構築を推進している、地域の包括的な支援・サービス提供体制。団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される体制を目指している。
[3]れんさく君 医療機関において地域との連携を担う部署である地域連携室が、患者の退院・転院調整や相談援助などを行いやすくするためのシステム。従来地域連携施設のデータを電話など手作業で収集しているが、インターネット環境にて検索・閲覧することが可能となり、情報収集の効率化に寄与する。㈱駅探と共同開発した。
[4]クラウド対応版 ㈱シーエスアイの電子カルテシステム「MI・RA・Isシリーズ」は、通常病院内にサーバーを設置し、運用するが、そのサーバーを病院の外に設置することで、擬似的なクラウド環境を提供するもの。サーバー設置コストの削減や、事業継続性の確保等が可能となる。
[5]MI・RA・Isユーザーフォーラム ㈱シーエスアイの電子カルテシステム「MI・RA・Isシリーズ」のユーザーが主体となって運営している情報交換の場であり、より使いやすく、充実したシステムへと発展することを目指し、見学会や情報交換会などの活動を定期的に行っている。
[6]「ナース物語」シリーズ ㈱エムシーエスが取り扱う看護業務支援システムで、全国700施設以上の導入実績を誇る。看護業務の現場に即した機能性と利便性を有し、看護の効率化を支援する。
[7]Health Clover(ヘルスクローバー) 医療機関から患者やその家族の携帯電話・スマートフォンに、各種案内や健康コンテンツ等の提供を行うサービス。患者は診療予約や処方履歴・検査結果の参照等ができる。また、診療所から病院のMRIやCTなどの設備を予約することも可能である。
[8]Mocosuku(もこすく) ヘルスケア関連情報サイト。病院検索や健診案内等、「(Mo)もっと(co)幸福に(su)健やかに(ku)暮らす」ことを望む全ての人に、役立つ情報を提供している。
[9]安タッチ(あんタッチ) 高齢者向け安否連絡システム。高齢者がiPadの画面ボタンをタッチするだけで、離れて暮らす家族等へ、安否情報(日々の見守り情報)や健康状態などをメールで連絡することができる。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ151百万円減少し、1,324百万円となりました。
また、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は27百万円(前期は624百万円の獲得)となりました。これは主としてたな卸資産の減少額が490百万円、法人税等の還付額が103百万円、有形固定資産減価償却費50百万円、無形固定資産減価償却費58百万円の計上がそれぞれあったものの、売上債権の増加額が304百万円、法人税等の支払額が417百万円それぞれあったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は5百万円(前期は475百万円の使用)となりました。これは主として投資有価証券の売却による収入336百万円があったものの、無形固定資産の取得による支出66百万円及び投資有価証券の取得による支出304百万円がそれぞれあったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は138百万円(前期は286百万円の使用)となりました。これは主として長期借入金の借入による収入100百万円があったものの、長期借入金の返済による支出201百万円、配当金の支払71百万円がそれぞれあったことによるものです。
(1) 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成26年10月1日 至 平成27年9月30日) |
前期比(%) |
|
|
電子カルテシステム事業(千円) |
5,622,516 |
102.7 |
|
|
その他(千円) |
40,578 |
54.8 |
|
|
合計(千円) |
5,663,095 |
102.1 |
|
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 生産実績は当期総製造費用で表示しております。
3 セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 受注状況
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成26年10月1日 至 平成27年9月30日) |
|||||
|
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
|||
|
電子カルテシステム事業 |
7,451,867 |
97.6 |
3,132,802 |
108.7 |
||
|
その他 |
38,825 |
101.9 |
5,512 |
65.3 |
||
|
合計 |
7,490,693 |
97.6 |
3,138,315 |
108.6 |
||
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間の取引については相殺消去しております。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 平成26年10月1日 至 平成27年9月30日) |
前期比(%) |
|
|
電子カルテシステム事業(千円) |
7,340,328 |
98.6 |
|
|
その他(千円) |
52,715 |
71.8 |
|
|
合計(千円) |
7,393,044 |
98.4 |
|
(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 セグメント間の取引については相殺消去しております。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 平成25年10月1日 至 平成26年9月30日) |
当連結会計年度 (自 平成26年10月1日 至 平成27年9月30日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
日本電気㈱ |
1,076,571 |
14.3 |
674,081 |
9.1 |
|
地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構 日本海総合病院 |
907,069 |
12.1 |
82,152 |
1.1 |
4 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当社グループは、電子カルテシステム事業を主力事業としながら、当社グループと相乗効果が見込める企業と業務提携や資本提携を行い、グループ規模を拡大するとともに、コンプライアンスや企業の社会的責任への取り組みを推進することにより、企業価値の最大化を図ってまいりたいと考えております。そのため以下に示す対処が必要であると考えております。
(1) 品質・顧客満足度向上について
当社グループの主要子会社である㈱シーエスアイが提供する「MI・RA・Isシリーズ」は、「進化する電子カルテシステム」として、診療、安心・安全、経営そして連携を基本にユーザーの視点に立ち、常に付加価値の高い製品としてシステムの改良と機能強化を重ね、提供してまいりました。また、看護業務支援システムである「ナース物語」シリーズの開発と販売を手掛ける㈱エムシーエスを平成27年3月3日に連結子会社とし、提携を強化することで、電子カルテシステムと一体化した看護業務支援システムの開発・導入体制の強化に取り組みを始めたところであります。
当連結会計年度におきましては、「MI・RA・Isユーザーフォーラム」の活動充実等によりユーザーニーズの把握やコミュニケーション向上に努めたほか、品質マネジメントシステムの構築を継続的に推進し、製品・サービスの品質確保及び顧客満足度向上への取り組みを進めてまいりました。
今後も主力の電子カルテシステム「MI・RA・Isシリーズ」に、「電子カルテ/地域医療連携ソリューション」、看護業務支援システム「ナース物語」シリーズ、また医療機関向け地域連携室支援サービス「れんさく君」や、健康・医療ソリューション「Health Clover」を加えた患者中心の医療のトータルソリューションにより、医療のみならず、介護や生活支援も一体的に見据えた情報連携システムを提供することで、地域医療連携や医療介護連携の構築を支援し、地域包括ケアシステムの実現に貢献してまいります。
(2) 新規事業について
㈱駅探との合弁により設立した連結子会社である㈱Mocosukuにおきましては、ヘルスケア関連情報サイト「Mocosuku」を通じて、「もっと 幸福に 健やかに 暮らす」ことを望む全ての人をターゲットとした情報の提供を進めてまいりました。今後は、他社との業務提携を通じてサービス領域拡大を図るとともに、早期の黒字化を目指し取り組んでまいります。
今後も既存事業の競争力や効率性を一層高めていくほか、積極的に業務提携や資本提携を活用することにより、電子カルテシステム事業を核にシナジーを有する事業や付随する事業などへの進出を図り、次なる事業の柱を育てていきたいと考えております。
(3) 内部管理体制の強化について
企業が社会的責任を誠実に果たすことは、安定した経営を継続するための必須条件です。
当社グループは、法令・定款、社会規範を順守するため、経営理念・経営方針に基づき、企業行動憲章・企業行動規範・コンプライアンス規程・リスク管理基本規程を制定し、グループ各社への周知を徹底するとともに、内部統制システムの構築・維持・向上に取り組んでおります。
加えて、情報セキュリティの管理を徹底し、当社グループに関わる情報資産を様々な脅威から守るとともに、製品やサービスを中心とした事業全般の品質管理についても、適切な運用・管理・維持・改善に取り組んでまいりたいと考えております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場規模及び動向について
電子カルテシステムは、大規模病院では着実に普及が広がっているものの、中小規模病院では依然としてその導入率は低いものとなっております。
今後の電子カルテシステム市場については、医療ICT化が医療の質の向上や医療の効率化に寄与することは多くの医療関係者が認めるところであることから、緩やかながらも着実に成長し、普及が進むものと予測されます。しかしながら、電子カルテシステムの普及が進まない場合、電子カルテシステム市場について今後新たな法規制がなされた場合、医療制度改革の進展等により相当数の病院経営が圧迫された場合等、電子カルテシステム市場が順調に拡大しない可能性があります。その場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、電子カルテシステム市場が順調に成長したとしても、当社グループの開発・導入等の人員体制がこれに及ばない可能性もあります。
(2) 競合状況及び競争政策について
当社グループが販売する電子カルテシステムの市場は、従来、医事会計[1]・検査・オーダリング[2]等のシステムを大手コンピュータメーカーが主に大規模病院を中心に販売しておりましたが、厚生省(当時。なお、以下では「厚生労働省」とする。)による平成11年4月22日の通知「診療録等の電子媒体による保存について」(厚生労働省健政発第517号・医薬発第587号・保発第82号)が発出されて以降、医療情報システム事業を展開してきた企業等が参入し、中小規模病院及び診療所向けに開発・販売を始めたものであります。このような状況のなか、当社グループは、厚生労働省の前記通知がなされる前の平成9年10月に電子カルテシステムの開発に着手し、平成12年4月にはユーザーにて稼働を開始しております。
当社グループの製品は、大手ICT企業や医療情報システム会社などと競合状況にあり、これらの競合先との競争に備えて、技術開発の強化とシステムの機能強化や営業力・営業体制の強化を講じる方針でありますが、競争の結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 政府の政策とその影響について
平成26年6月の「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護総合推進法)成立により、医療提供体制の改革のための新たな財政支援制度(地域医療介護総合確保基金)が創設され、同基金を活用した医療ICT関連事業の推進が期待されております。
また、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制を目指す「地域包括ケアシステム」の推進や、社会保障と税の共通番号(マイナンバー)[3]の医療分野への活用等、医療分野における政府方針を実現するためには、医療の情報化、とりわけ電子カルテシステムや地域医療連携システムが実際上必要不可欠なインフラになると考えられます。その反面、大幅な医療費の抑制・医療制度改革の進展等により相当数の病院経営が圧迫された場合等、電子カルテシステム市場が順調に拡大しない可能性もあります。
このように政府の諸施策は、電子カルテシステム市場の規模伸縮に影響を及ぼす可能性があり、当社グループにとっては、経営上大きな変動要因であります。また、病院経営に影響を与える診療報酬の改定結果によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 法規制について
電子カルテシステムについては、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第4.2版)」をはじめ、医療情報システムの導入及びそれに伴う情報の外部保存を行う場合の取扱い等に関する指針が示されているものの、現時点において、厚生労働省による平成11年4月22日の通知「診療録等の電子媒体による保存について」(厚生労働省健政発第517号・医薬発第587号・保発第82号)にいう、ⅰ.真正性の確保、ⅱ.見読性の確保、ⅲ.保存性の確保という3基準以外に遵守すべき規格は定められておりません。しかしながら、当社グループは電子カルテシステムと合わせ、外部調達した「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」の許可を必要とする医療機器に該当するハードウェアを販売することがありますので、医療機器販売業の許認可を取得するなど、その対応を行っております。
今後も、電子カルテシステムは、その普及に伴い、診療現場での役割が増大し、仕様・規格等、製品に対し何らかの法規制が行われる可能性があります。その場合には、新たな仕様・規格等に対応する社内体制の確立や認証の取得、再開発又は新規開発等が必要となり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 医療情報システムについて
当社グループでは、自社製品の電子カルテシステムと看護業務支援システム、他社の医事会計システム等、複数の部門システムを組み合わせ、医療のトータルソリューションを医療機関に提供しております。
そのため、自社製品、他社製品を問わず、当社グループが提供したシステムの品質の低下や機能強化の遅滞、技術者の流出、当該他社の存続も含めた状況の変化が、当社グループの信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 知的財産権について
当社グループの事業に係る知的財産権は、法制度や裁判例が生成途上にあり、確立した実務というべきものが存在しない分野も多く存在します。当社グループの事業に係るこれら知的財産権法制やその運用実務が現状から大きく変更されるという事態が生じた場合、当社グループの事業に支障を及ぼすおそれがあります。
当社グループは、自社製品又はその技術に関し、必要に応じて可能な範囲において知的財産権の登録出願を行う等その保護を図る方針でおり、すでに主要製品である電子カルテシステムに係る知的財産権の保護策として、当社グループ独自開発に係るプログラム等については、著作権や商標登録を取得しておりますが、特許権を取得するまでには至っておりません。
当社グループは、過去及び現在において、第三者から知的財産権に関わる侵害訴訟等を提起されたことはありません。しかし、将来、当社グループの事業に関連して、第三者が知的財産権の侵害を主張し、侵害訴訟等を提起する可能性があります。
当社グループの属する市場が拡大し、事業活動が多様化広汎化するに伴い、競争が進み、その結果として知的財産権を巡る法的紛争が増加する可能性があります。仮に斯かる紛争に当社グループが巻き込まれるような事態に至ったときは、当該第三者の主張に理由があると否とを問わず、その解決に時間及び多大な費用を要する可能性があり、場合によっては、当社グループの信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 製品に関するクレーム等について
本報告書提出日現在まで、当社グループが開発・販売するソフトウェアやシステムに関し、ユーザー等から訴訟を提起され、又は損害賠償請求を受けたことはありません。当社グループは、その開発・販売に係る総てのソフトウェア等につき、欠陥等の不具合を発生させないよう、また、不具合が生じたとしても早期に発見し、かつ是正しうるよう、管理体制を構築しております。しかし、ユーザー等に損害を与えかねないソフトウェア等の提供を完全に回避しうるという保証はなく、当社グループの製品がユーザー等に損害を与えた場合、当社グループの事業又は提供する製品もしくは役務に対する信用に重大な影響を及ぼす可能性があります。
特に、電子カルテシステムや看護業務支援システムは、医療機関において利用されるものであり、患者の生命身体に関する情報に直接関わるシステムであることから、当社グループは細心の注意をもって開発し、ユーザーである医療機関において不測の損害を与えることがないよう導入・カスタマイズ作業や保守作業等にも万全を期しています。しかしながら、予期し難い欠陥ないし不具合が発生した場合、当社グループは、医療機関等から損害賠償請求を受ける可能性があり、その主張に理由があると否とを問わず、解決のために多大な費用と時間を必要とする可能性があります。また、そのような損害賠償請求を受けた結果、当社グループの信用や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(8) 業績の変動について
電子カルテシステム事業に係る売上高の計上は通常検収基準を適用しており、製品ユーザーである医療機関の事業年度の関係等により、第2四半期及び第4四半期に売上高が集中し、利益が増加するため、四半期毎の業績格差が増大する傾向があります。
また、プロジェクトの進行状況によっては、稼働時期の遅延等により、売上高が予定されていた連結会計年度内に計上されない可能性があり、その場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 関係会社株式について
当社は、平成24年5月に㈱駅探の株式を取得し、持分法適用関連会社とするとともに同社と業務提携契約を締結しております。両社が持つ強みを活かした新たなサービスの取り組み及び事業化を共同で進めることで、両社の企業価値向上を目指してまいりますが、同社事業の収益性が著しく低下した場合や同社の株価が大きく下落した場合は、持分法適用により生じたのれんの減損損失や保有する株式の評価損が発生し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 人材の確保、育成について
優秀な人材は、競合他社と差別化しうるための必須条件です。特に開発要員については、より良い製品を開発し、提供していくための原動力であり、急速なICT技術の進歩に対応しながら、システム開発及びユーザーサポートノウハウを蓄積し、教育の充実とともに社員のモチベーションを高める必要があります。当社グループでは積極的に優秀な人材を採用し、高度な開発技術と開発業務に関連した知識の習得のための教育や魅力的な職場環境の提供に努めておりますが、ICT技術の進歩への対応に遅れが生じる場合や人材の確保及び戦力化が計画通りに進まない場合には、当社グループの業績や成長性に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 情報セキュリティについて
当社グループは事業活動を通じた情報システム等の開発・提供にあたり、多くの機密情報・個人情報を入手し得る立場にあります。そのため、当社の主要子会社である㈱シーエスアイ及び㈱エムシーエスでは、「ISO/IEC27001」の規格要求事項に準拠した情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を構築・推進することで、個人情報を含めた情報管理体制の整備強化を図っております。また、㈱シーエスアイでは品質マネジメントシステムの国際規格である「ISO9001:2008」の認証を取得し、製品・サービスの品質確保及び顧客満足度の向上に努めております。しかしながら、コンピューターウイルスの侵入や役職員の過誤、自然災害、急激なネットワークアクセスの集中等により、重要データの漏洩、コンピュータープログラムの不正改ざん等の損害が発生する可能性があります。万一、そのような事故が発生した場合には、当社グループの信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。
[1]医事会計システム 医療機関における診療報酬請求事務に関するシステムをいう。
[2]オーダリングシステム 医師の指示(オーダ)を入力し、オーダ受取者がこれに従って処理・処置を行うシステムをいう。たとえば、医師が薬剤処方を行うと、それがただちに薬剤システムから会計システムまで伝達される。処方オーダのほかに、検査オーダ、給食オーダ等のシステムがある。オーダ・エントリー・システムともいう
[3] 社会保障と税の共通番号(マイナンバー) 国が推し進めている施策で、住民票を有する全ての国民に1人1つ
の番号を付して、社会保障、税、災害対策の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同
一人の情報であることを確認する仕組みを構築するものをいう。
該当事項はありません。
当社グループは医療にかかわる様々なニーズに応えるべく、主力である電子カルテシステムの製品価値向上に向けた最新技術の導入や医療にかかわるデータ活用に関する研究開発に取り組んでおります。
現在の研究開発体制は、主として㈱シーエスアイのシステム開発本部がこれを担当し、研究内容に応じグループ内で横断的なプロジェクトチームを編成しております。
電子カルテシステム事業における当連結会計年度の主な研究開発活動は、医療情報データの利活用に向けた研究開発等、今後の事業領域拡大を見据えた研究開発に注力してまいりました。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は106,317千円となっております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りにつきましては、過去の実績や状況に基づく合理的な判断を基礎として行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載しております。
(2) 当連結会計年度の経営成績の分析
地域における医療課題の解決を図るため、平成21年度から平成24年度補正予算によって各都道府県に設置された
「地域医療再生基金」対象事業の計画期間が、平成26年3月末をもって概ね終了したことや、消費税率の引き上げ
等から、医療情報システムへの投資が停滞傾向となる中、積極的な営業活動に取り組んだ結果、平成27年9月末の
「MI・RA・Isシリーズ」のユーザー数は、前期末より69件増加し、709ユーザーと順調に推移いたしまし
た。しかしながら、受注獲得のための競争激化や顧客との将来を見据えた取引などから採算性の低い検収物件が多
く利益率が低下したこと、また人員体制の強化や営業拠点の拡張など固定費も増加したこと等により、当連結会計
年度の業績は、売上高7,393百万円(前期比1.6%減)、売上総利益1,278百万円(前期比23.0%減)、営業利益135
百万円(前期比81.3%減)、経常利益211百万円(前期比72.4%減)、当期純利益は119百万円(前期比73.1%減)
となりました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について
電子カルテシステム市場におきましては、医療のICT化に向けた医療機関の関心が高いことから今後も緩やかながらも着実に成長し、普及が進むものと予想する反面、競合他社との競争激化や、大幅な医療費の抑制、医療制度改革の進展等が経営成績に影響を与える可能性があります。
(4) 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、医療を中心としたヘルスケア全般をITで支援し、それに関わる国民の安心・安全な生活や社会、事業者が抱える課題解決に寄与することを使命としております。
電子カルテシステム事業におきまして、品質向上・顧客満足度向上のため、品質マネジメントシステムのさらなる推進を図るとともに、「MI・RA・Isユーザーフォーラム」を通じたユーザーニーズの把握や、現場医師からの意見・監修等により、主力製品である「MI・RA・Is/PX」及び「ナース物語」の継続的な機能強化を行ってまいります。
販売面におきましては、医療機関の医療情報システムに対する投資意欲に回復の兆しが見え始めており、今後も普及が期待される電子カルテシステム市場において、新規案件及びシステム更新案件の開拓のほか、新たな販売提携先の開拓や、製品の付加価値向上、生産性の向上による原価低減等に取り組んでまいります。また、当社グループが展開する地域医療連携、医療介護連携に係るソリューションを強みとして、地域医療介護総合確保基金に関する事業への販売活動にも継続的に取り組んでまいります。
その他におきましては、ヘルスケア関連情報サイト「Mocosuku」のサービス領域拡大とサイト価値の向上を他社との業務提携の推進により取り組むほか、「安タッチ」などの高齢者向け医療・健康関連システムの拡販に努めてまいります。
上記に加え、今後も当社グループ事業の新たな柱となる新規事業への取り組みを積極的に推進することにより、上記使命を全うしてまいりたいと考えております。
(5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① 資本の財源と流動性の確保
当社グループは、事業活動に必要な資金の流動性の維持と十分な確保を基本とし、運転資金の効率的な管理に
より、事業活動における資本効率の最適化を目指しております。当社子会社の資金については当社で一元的に管
理を行っており、必要に応じて当社が子会社への貸出を行っております。主な資金使途といたしましては、当社
における不動産に係る設備投資資金及び㈱シーエスアイにおける運転資金・研究開発資金が該当しますが、現状
では「営業活動によるキャッシュ・フロー」の増加の範囲で賄っております。
㈱シーエスアイでは月次の業績変動が大きいことから、必要運転資金も大きく変動します。資金の流動性の確
保のためには、当社において手元流動性を高めるとともに、各銀行には当座貸越限度額を設定して対応しており
ます。
今後の所要資金につきましては、他の子会社においても、運転資金及び研究開発資金の増加を見込んでおりま
すが、基本的に「営業活動によるキャッシュ・フロー」の範囲内で賄えると考えており、多額な設備投資や新た
なM&A等により資金が必要なときには資本市場からの資金調達及び金融機関からの借入を検討してまいりま
す。
② 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より109百万円減少の5,341百万円となりました。
流動資産は前連結会計年度末より53百万円減少の3,111百万円となりました。これは主として受取手形及び売掛
金が614百万円増加したものの、現金及び預金が151百万円、仕掛品が473百万円それぞれ減少したことによるもの
です。
固定資産は前連結会計年度末より55百万円減少の2,229百万円となりました。これは主として有形固定資産が24
百万円、投資有価証券が21百万円、関係会社株式が61百万円それぞれ減少したことによるものです。
負債は前連結会計年度末より276百万円減少の1,450百万円となりました。これは主として未払法人税等が168百
万円、長期借入金が101百万円それぞれ減少したことによるものです。
純資産は前連結会計年度末より167百万円増加の3,890百万円となりました。これは主として少数株主持分が119
百万円、利益剰余金が38百万円それぞれ増加したことによるものです。利益剰余金の増加の内訳は、主として当
期純利益119百万円の計上及び剰余金の配当による減少71百万円となっております。
(6) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、主力事業である電子カルテシステムの品質向上を通じて、ユーザー数を増加し、安定成長へ
つながるシェア拡大を目指してまいります。
ユーザー数増加のための施策といたしましては、計画的な人材の確保と教育を行うとともに、今後も積極的な
開発投資を行い、新規システム開発と機能強化に努め、患者、医療機関など医療にかかわる様々なニーズに応え
てまいります。そして、医療制度の動向確認と適切な分析を行い、利益確保を優先した事業を推進するととも
に、ビジネス基盤の整備と事業拡大のバランスを考慮しつつ、電子カルテシステムを機軸に地域医療連携、医療
介護連携に係るソリューションを加えた医療のトータルソリューションを展開してまいります。
また、ヘルスケア分野における新たなソリューションを提供し、市場の開拓を図るとともに、コンシューマビ
ジネスを行う連結子会社の黒字化と、早期の投資回収を目指してまいります。加えて、医療・ITとシナジーの
ある企業とのM&Aを推進することにより、更なる企業価値の向上と企業理念の実現に邁進してまいります。