文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において、当社が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社の企業価値の根幹は「センチュリー21」というブランドです。加盟店各社はこのブランドを冠に、お客様から高い評価を頂けるようブランド価値の向上に努めることが我々に課された最大のミッションと認識しております。「住まいを想う仕事、人生を輝かせる使命」をブランドビジョンとして掲げ、常に厳しい行動基準と高い倫理感をもって運営し、店舗数においても、サービス品質においても常に業界のリーダーであるという自負と自覚を持ち、企業価値向上と社会への貢献を目指すものです。
不動産流通業界においては、所謂不動産テックの進展による技術革新や不動産情報のオープン化、取引のグローバル化が一層進むことが予想され、AI、IoT等の新しいテクノロジーへの対応や、より専門的なコンサルティング能力が求められております。当社はその変化に「しなやかに、そして力強く」対応しつつ、ITシステム支援や研修・コンサルティングサービスの提供、表彰制度の運営等を軸に加盟店に対し質の高いサービスを提供し「センチュリー21」のブランド価値を一層高め、企業の永続的な成長を目指します。
(2) 目標とする経営指標
フランチャイズビジネスは、規模の拡大と効率経営が重要であるとの認識に立ち、加盟店舗数、営業収益経常利益率、自己資本利益率を重要な経営指標ととらえ、その向上を目指します。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社の事業戦略の基本は「センチュリー21ネットワーク規模の拡大(加盟店募集業務)」と「加盟店業績向上の為の業務支援サービス」です。これらを両輪として事業拡大に努め、市場の変化へ柔軟かつ機敏に対応し、かつ、地球環境並びに社会との共生を前提に持続可能な成長を目指します。
(4) 経営環境及び会社の対処すべき課題
当社のおかれた不動産流通業界は我が国の少子高齢化、グローバル化など社会構造の変化が不可避である中、不動産サービスにおいても新しい生活スタイルや価値観への対応が問われてくるものと考えます。一方で昨今のIT化の進展・拡大の中で、取引のオンライン化を中心としたデジタル技術による業務改革がますます進展し、より効率的かつ迅速な営業が求められる時代へと変化しつつあります。同時にフランチャイズ全体としてはデジタル技術を活用し広域をカバーするビジネスへの対応を迫られると同時に、人によるアナログなサービスの高品質化と地域に根差し地域社会に貢献する持続性のあるビジネスの実現も求められております。
このような経営環境下、上記の基本方針に加え、以下の経営方針を継続いたします。
1.すべてのステークホルダーの利益を前提とした事業活動を推進する。
2.センチュリー21グループ全体で不動産流通市場の拡大・活性化の一躍を担い、顧客の生活基盤の維持と、住み続けられるまちづくりに貢献する。
この経営方針のもと、当社が対処すべき課題として、次のことを認識しております。
①既存フランチャイズ事業の強化と市場競争力の向上
ⅰ)フランチャイズ加盟店網拡大及び加盟店売上増加に資する施策の着実かつスピーディな実行
ⅱ)加盟店の営業支援のための人材採用・教育支援強化
ⅲ)加盟店の業務効率化に向けたIT活用、BPO等の支援拡大
②フランチャイズネットワークを活かした成長促進
ⅰ)国際的ブランド「センチュリー21」の海外ネットワーク活用による加盟店のグローバル取引の支援・活性化
ⅱ)加盟店を含む不動産事業者の事業承継問題への対応による加盟店舗網の拡大
ⅲ)当社フランチャイズビジネスとのシナジーが高い事業や企業に対する事業投資や業務提携の推進拡大
ⅳ)サステナブルな社会の実現に向けた施策の継続・拡大
③成長の基盤となる社内体制の確立
ⅰ)コーポレートガバナンスと内部管理体制の強化継続
ⅱ)人材活性化、業務能力・モチベーション向上を企図した専門分野における社員研修の充実と評価制度運用
ⅲ)業務効率の向上と柔軟な働き方の実現に向けた業務のオンライン化、アウトソーシングの継続的推進
ⅳ)セキュリティ強化、業務効率化、データの有効活用などを目的とした業務基幹システム運用の推進
上記諸施策を着実かつ迅速に実行することが、業界内での競争力を高め、新規加盟を促進するとともに既存店の退会を抑制し、センチュリー21フランチャイズシステムの更なる規模の拡大及び企業の持続的成長につながるものと考えております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において当社が判断したものであります。
(1) 当社のサステナビリティに関する考え方
21世紀に入り、私たちは現在の繁栄のみならず、未来に持続する世界の実現に真剣に向き合うべき成熟の時代を迎えています。
企業の存在も、サステナビリティを前提とした事業活動を行うことにこそ、その価値があるものとされています。
当社は、国内最大級の不動産フランチャイザーとして、フランチャイズ加盟店舗に従事する「不動産のプロフェッショナル」の育成に努めることにより、個々の店舗と地域社会との連携を図りつつ、地域の人々が安心して良質な不動産取引を行うお手伝いをさせて頂き、人々の生活基盤の維持と住み続けられるまちづくりを目指します。
また、不動産フランチャイズ事業の拡大を通じて、不動産流通市場活性化の一翼を担い、重要な社会資本である既存住宅の活用とその価値の維持を図ることにより、住宅の長期利用を促進し、地球環境に適合する持続可能な社会の実現を目指します。
(2) サステナビリティ基本方針
地域社会に根差したネットワークをもつ当社は、地域社会の人々の住宅環境や社会課題への対応を経営の重要事項と捉え、ステークホルダーとの対話を尊重し、不動産流通市場の活性化の一翼を担う企業として持続可能な社会の実現を目指します。
当社は国際的なフレームワークであるSDGsとISO26000を参考に当社事業への影響度合いとステークホルダーにとっての重要度を考慮し、類似項目の整理を行い、8つのマテリアリティを設定いたしました。
これらマテリアリティの推進に向け、代表取締役社長を委員長とし、常勤役員、執行役員及び各本部長を委員とする「サステナビリティ委員会」を設けております。
同委員会においては、これらマテリアリティの推進を目的として、サステナビリティに係る年次計画を策定し、定期的にレビューを実施しております。
また、取締役会は、同委員会から少なくとも1年度に1度、活動状況および年次計画の達成状況の報告を受けております。
①サステナビリティ推進体制図

②サステナビリティ委員会
委員長 :代表取締役社長
委員 :常勤役員、執行役員及び各本部長
開催頻度:四半期毎
③サステナブル調達方針
サステナビリティ基本方針のもと、事業活動を行う上での自らの社会的責任を認識し、その責任を果たすべく、「サステナブル調達方針」を策定いたしました。調達方針の内容はHP
具体的な取組み
当社HP
E:環境
1.既存住宅流通促進への寄与
・空き家再生の促進
国内各地で社会課題となっている空き家問題に関して、住宅の長期活用を企図し、加盟店による空き家再生の事例を共有することにより他加盟店の積極的な取組みを促しております。
・中古住宅+リフォームの取組み促進
リフォーム専門フランチャイズ企業と業務提携し、加盟店にダブルブランドを推進することにより、社会資本とも言える住宅の長期活用を加盟店の顧客に提案いたします。
2.環境負荷低減への対応
・エコカーの導入促進
リース専門企業と協業し、加盟店が業務で使用する営業車のエコカーへの切替えを促進し、温暖化ガスの排出抑制に寄与いたします。
・プラスチック削減の推進
当社で主に来客用に使用するペットボトルをラベルレスタイプに切り替え、プラスチックのクリアファイルを紙製のファイルに切り替えることによりプラスチック使用量の削減を図っております。
S:社会
1.不動産会社の成長支援、DX推進
加盟店が利用する21Cloud顧客管理システムのリニューアルを行い、デザイン・使い勝手の向上及び顧客行動の可視化を図りました。また、2022年の宅建業法改正に伴い、遠隔地の顧客とスムーズなオンライン契約の締結を可能とする「センチュリー21電子契約システム」を加盟店向けにリリースし、更にその促進を図る為の機能改善を行っております。
2.高い生産性と働きがいのある労働環境の整備
健全な労働環境を目指し、残業削減を進めると共に、有給休暇取得率の向上を実現いたしました。また、ダイバーシティを意識し、介護・育児等家族の事情を抱える従業員も柔軟な働き方が可能となるよう在宅リモートワーク・スライドワークの活用を図りました。
3.グローバルな不動産流通への貢献
各国のセンチュリー21加盟店にて不動産物件を共通して掲載できる「グローバルサイト」を国内の加盟店に活用するよう促し、海外の方へ住まいの情報提供を行っております。また、アウトバウンドに関する取り組みについて検討を開始いたしました。
G:ガバナンス
1.ガバナンスの強化
企業価値の向上を目指し、当社ではマテリアリティの推進を担うサステナビリティ委員会を設けております。また、コーポレートガバナンスコードへの対応として各コードに対する分析と評価を行い、ガバナンス強化を図っております。
2.コンプライアンスの徹底
当社役職員は,当社の法令等遵守規則「コンプライアンス・プログラム」に則り、法令・定款等の遵守および企業倫理に沿った活動の実践・継続を行います。役職員に対する継続的な教育や啓発の促進として、情報セキュリティ、個人情報保護及びコンプライアンスに関する研修を実施しております。
3.パートナーとの取組み
2022年度にサステナブル調達方針を策定し
①人材育成方針・ダイバーシティ
フランチャイズ本部員として、全国に広がる加盟企業の事業経営発展、加盟企業経営者と従事者のWell-beingの実現を支援するため、臨機応変で柔軟な思考力と企業経営者との信頼関係を築く人間力を有し、自己と異なる価値観を互いに認め合い高め合える人材の育成を図っております。
②社内環境整備方針
イノベーション創出が出来る人材を重要な経営資源と捉え、そうした人材を育成するために社員が互いの価値観を認め合い、其々の能力を最大限に発揮できる心理的安全な環境づくりを目指します。
1.人材育成・リスキリング
各階層において必要な知識スキルの研修に加え、フランチャイズ本部員としての技能強化と各自のキャリア開発を図ることを目的として、各種専門領域の学習を行う機会を提供いたします。
2.従業員エンゲージメント
調査機関によるエンゲージメント調査を実施いたしました。この結果に基づき、従業員モチベーションの改善を図って参ります。
3.人材活用の拡大と人材流動性
多様な生活環境を背景とする人材の活躍を目的とした在宅リモートワーク・スライドワーク等の活用と法令に基づく休業制度の柔軟な運用を図って参ります。
4.ダイバーシティ
すべての属性の社員の活躍を阻害する環境・要因の洗い出しと必要な改善を行うと共に、合理的処遇の確保を推進いたします。
5.健康・安全
健康経営優良法人認可基準を参考に従業員健康診断項目の拡充を行い、有所見対象者への対応を実施いたします。また、所定外労働時間・休暇取得状況の把握と業務効率化・休暇取得推進を徹底いたします。
6.コンプライアンス
定期的コンプライアンス研修を継続実施いたします。
①事業運営リスクの抽出・管理体制
当社はリスク管理規程を設け、リスク管理最高責任者を代表取締役社長とし、リスク管理統括責任者を経営管理本部長、各本部長をリスク管理責任者としてリスク管理を行っております。
②サステナビリティに関するリスク
当社の事業内容におけるサステナビリティに関するリスク、とりわけ気候変動や環境等に与える影響は低いと判断しております。しかしながら、上記の戦略を基軸に、加盟店と共に微力ながらも寄与できるよう取り組んでまいります。
当社とフランチャイズ加盟店とは資本関係の無いそれぞれ独立した企業ですが、上記に記載した当社の戦略の多くは加盟店に対してサステナビリティの考え方及び具体的な取組を促進するための活動に資するものともなります。当社は、前述のサステナビリティ基本方針に基づき、センチュリー21のネットワーク内においてSDGsに貢献する活動を通じ持続可能な社会への貢献を進めて参りたいと考えております。
(8) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指
標及び目標
1.人材育成・リスキリング
不動産フランチャイズ本部員としての必要な知識、特にVUCA時代に企業経営を行う加盟店代表者へのサポートを行うために有用な専門知識として、5種のリスキリングプログラムを提供、2023年度は全体の4割強の従業員が受講しております。2024年度も本プログラムを継続実施すると共に、従業員のデジタルリテラシーの平準化を図ることを目的に、新しいデジタル技術への対応やビッグデータの効果的な活用を推進する体制を整えます。
2.従業員エンゲージメント
従業員と組織の心的な繋がりを表すとされる従業員エンゲージメント調査を2023年度に初めて実施、調査結果となるエンゲージメントスコアは58% (回答率は当社従業員の73%)でした。2024年度はさらなる働きがい向上に向け上記調査を継続実施し、同調査結果と顧客へのNPS(ネット・プロモーター・スコア)調査結果の関連性を抽出、従業員エンゲージメント向上と業績成果との紐づけを明確化します。
3.人材活用の拡大と人材流動性
2023年度は、要育児社員、要介護社員および感染性疾病罹患社員を対象とした在宅リモートワークとスライドワークを試験的に導入しました。2024年度は、社員のパフォーマンスやエンゲージメント向上と働き方や働く場所との関連付けを模索しつつ、在宅リモートワークとスライドワークを、業務に支障の無い範囲でより多くの社員に拡大適用することを検討いたします。
4.ダイバーシティ
ジェンダー格差、正規・非正規社員間格差等につき必要かつ合理的な改善を図るための検討を行います。さらに、多様な考え方・仕事の在り方を包摂する職場環境を作り出すことを目的に、DE&Iと共に当社が定める行動基準5軸の教育を推進いたします。
5.健康・安全
健康経営優良法人認可基準を参考に従業員健康診断項目の拡充を行い、有所見対象者への観察・対応を実施いたします。また、所定外労働時間・休暇取得状況の把握と業務効率化・休暇取得推進を継続して参ります。
6.コンプライアンス
行動基準5軸の浸透により心理的に安全な労働環境の実現を目指し、その一部として社内におけるコンプライアンスリスクの低減を図ります。
当社の経営成績、株価および財務状況等に影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクには以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において当社が判断したものであります。
当社の収益の源泉である営業収益は、加盟店から受け取る定率(加盟店売上連動)のサービスフィー収入と、新規加盟時の加盟金並びに5年毎の契約更新時の更新料を合わせた加盟金収入の他、ITサービス収入等で構成されております。この中で、営業収益の大半を占めるサービスフィー収入につきましては、不動産市況、地価動向、金利水準、住宅税制、大手不動産仲介業者との競争など外部環境の影響を受ける可能性があります。
フランチャイズ事業は、加盟店舗数の順調な増加が事業成長の鍵となります。当社が加盟店に対して優良なサービスを維持できなくなった場合、「中小小売商業振興法」等の関連法令への違法行為を行った場合、加盟店が他社ブランドへ流出した場合、一部の加盟店において顧客に対する低水準のサービス提供もしくは違法行為等がありフランチャイズ全体のイメージダウンとなった場合、あるいは加盟店が集団で独自の事業展開を志向した場合等には、加盟店舗数の減少または伸び悩みが生じること等により、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
新規加盟承認の基本方針として、店舗経営者の事業意欲及び適格性、財務状況、周辺地域の市場性などを十分に審査の上である一定の規律の下で行っております。また、既存加盟店との関係における立地基準(フランチャイズ契約上の店舗間距離400mルール)に制約されたり、近接既存加盟店との各種調整が必要な場合もあり、店舗展開が必ずしも当社の事業計画どおりに進まない可能性があります。
当社及び当社加盟店はすべて「センチュリー21」を統一ブランドとして事業展開をしており、不動産広告においても、情報の共有化や広告戦略の協力等を行っております。不動産広告の内容に不備や不正等があった場合や、これに伴うネガティブな情報や風評が流れた場合には、ブランドイメージの低下を招くことにより、当社の業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
不動産取引については、「宅地建物取引業法」、「国土利用計画法」、「都市計画法」、「建築基準法」などの規制があります。当社の加盟店は不動産仲介業者としてそれらの規制を受けており、「宅地建物取引業法」に基づく免許を取得して不動産の売買または賃貸の仲介、受託販売等の業務を行っております。当社では、新規加盟にあたって宅地建物取引業法の違反履歴や経営者の風評を含めた適格性を審査しているほか、当社内に「お客様相談室」を設置して、顧客クレームに直接対応するなど加盟店の法令遵守及び是正指導に十分留意しております。しかし、一部の加盟店における法令違反や顧客クレーム等がセンチュリー21グループ全体の信用やイメージを損なうような事態に発展した場合、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
センチュリー21・リアルエステートLLCは、センチュリー21の名称を含む商標サービスマーク及び国際本部機能を有しております。当社はセンチュリー21・リアルエステートLLCとの契約により、日本国におけるフランチャイザーとしての権利を永久保有しているとともに、経営方針や政策決定及び事業展開について独自の意思決定によって進めております。但し、当社とセンチュリー21・リアルエステートLLCとの契約において、①当社が重大な契約違反(契約不履行等)があり、かつ、その後30日以内に当該契約不履行の是正を怠った場合、②センチュリー21・リアルエステートLLCが当社に対して直近12ヶ月以内に是正通知をした契約不履行が再度繰り返された場合、センチュリー21・リアルエステートLLC側に契約解除権行使の原因事由が発生します。本報告書提出日現在、当該契約の継続に支障を来す事象は発生しておりませんが、万一当該契約の継続に支障を来す要因が発生した場合には、当社の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
当社において、システム開発は事業基盤の維持・拡充と関係しており、加盟店が必要とする各種の支援ツールは、取扱い物件管理及び顧客管理業務等の効率化、他のフランチャイズチェーンとの差別化等を図るうえで、重要であると考えております。当社では、今後もシステム環境の維持・向上のため、システムの自社開発又は他社への委託等を継続していく方針でありますが、システムの開発・維持運営には多額のコストが必要となる可能性があり、その結果、当社の業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
更に当社は、これらのシステムのバックアップ等を含む運用管理に責任を負っており、当該システムの障害、大規模広域災害、もしくはコンピュータウィルス等によるデータベースへの影響又はITサービスの中断等により、当社が損害を被り、又は加盟店に損害賠償を請求される可能性があり、その結果当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社のWebサイトは、一般消費者へ無料で公開しており、万一、一定期間システムが停止したとしても、一般消費者から損害賠償を受ける可能性は少ないと考えておりますが、そのような事態が度重なれば、当社Webサイト自体の信用を失うことになり、当社の業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社事業においては、営業活動により、多くの一般消費者の個人情報を取り扱っており、個人情報取扱事業者に該当しております。このため、「個人情報保護マネジメントシステムマニュアル」等を制定するとともに、プライバシーマークを取得し、全社的に個人情報の管理の徹底を図っております。しかしながら、不測の事態によって、当社が保有する個人情報が社外へ漏洩した場合は、社会的信用の失墜、トラブル解決のための費用負担等により、当社の業績及び事業活動に影響を与える可能性があります。
(9) 人材確保について
当社は、不動産流通事業者のフランチャイズ本部として、加盟店に対し、業務運営サポートや情報提供等を行っている関係から、不動産業界・不動産仲介業等に関する経験や知識が必要とされております。また、能力主義に基づく人材登用を重視するとともに、必要最小限の人数で適材適所の人員配置を行っております。しかしながら、不測の事態に伴う人員の流出や、人材採用が予定どおり進まないことにより、当社の業績及び事業活動に影響を与える可能性があります。
現在、伊藤忠商事株式会社は、当社の議決権の49.2%を保有する大株主でありその他関係会社に該当しておりますが、当社の方針・政策決定及び事業展開については、独自の意思決定によって進めております。また、当社は不動産仲介フランチャイズ事業を営んでおり、同社及びグループの不動産関連の事業を営む子会社・関連会社等とは、直接的な競合関係は生じておりませんが、不動産・建設業界に関する情報の提供を随時受けております。このため、同社グループが経営方針や営業戦略等を変更した場合、当社の業績及び事業展開に何らかの影響を及ぼす可能性があります。
営業力強化並びに監査業務強化を図り、各者の専門的な知見を基に経営全般に対する提言を得ることを目的に同社グループの役職員との間で以下のように兼任状況が継続しております。
有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在の兼任状況
当社は、伊藤忠商事株式会社をはじめ同社グループとの間に、出向者の受入やオフィス賃借等に係る取引がありますが、いずれの取引も、第三者と同様の条件により行われております。なお、開示すべき重要な取引はありません。
(11)保有する投資有価証券の評価について
当社は、保有する投資有価証券については、投資先のモニタリングを定期的に行い、リスクの軽減に努めておりますが、証券市場における市況の悪化や投資先の業績不振等により評価損が発生する可能性があります。
サステナビリティに関するリスクについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (6) リスク管理」に記載したとおりであります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において判断したものであります。
当事業年度末における流動資産の残高は5,830百万円で、前事業年度末に比べ199百万円増加しております。現金及び預金の増加が主な要因であります。
当事業年度末における固定資産の残高は1,810百万円で、前事業年度末に比べ284百万円減少しております。ソフトウエアの減少が主な要因であります。
当事業年度末における流動負債の残高は1,109百万円で、前事業年度末に比べ127百万円減少しております。未払消費税等の減少が主な要因であります。
当事業年度末における固定負債の残高は174百万円で、前事業年度末に比べ2百万円減少しております。リフォーム保障引当金の減少が主な要因であります。
当事業年度末における純資産の残高は6,356百万円で、前事業年度末に比べ44百万円増加しております。繰越利益剰余金の増加が主な要因であります。
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行をきっかけに社会活動や人的移動が漸く活発化し、先行きに明るさが見え始めましたが、欧州ならびに中東での軍事紛争の長期化が国際経済同様、国内経済にも不透明感を与え、またインフレーションが進む米国との政策金利ギャップにより急速に円安が進みました。
不動産流通業界におきましては、低水準を維持している住宅ローン金利、とりわけ変動型金利に下支えされ、居住用物件の購入需要は底堅いものが見られましたが、一部には価格高騰に対する購入意欲の減退も見られ、市場在庫は増加傾向に転じました。特に郊外部において価格調整局面にある新築戸建てについては、需給バランスに明らかな潮目の変化が見られました。
一方において、都市部においては潤沢なマネーサプライが更なる不動産価格の高騰を招いているという一面もあり、特に収益物件を中心にインバウンドの取引が活発に行われました。国土交通省による2024年地価公示では全用途平均が3年連続で上昇しており、前年比2.3%の上昇は2008年のリーマン・ショック以降最大の上げ幅となりました。
しかしながら、日銀は当年度末にマイナス金利政策の解除を含む大規模緩和政策からの転換方針を示しており、今後の金利上昇が予想されると共に、資材価格および労務費上昇に伴う建築コストアップ、消費者物価指数の上昇等、事業環境は様々な不安材料を抱えていると言えます。
このような中、当社としては既存フランチャイズ事業基盤の強化と市場競争力の向上を図るためにセミナーの開催や新商品・サービスの拡充に取り組んでまいりました。
まず、加盟店向けに本部方針を伝える春の戦略会議を開催しました。会議では、「事業拡大に向けた幹部人材の育成と多店舗展化戦略について」をテーマに幹部人材育成と多店舗展開に成功されている加盟店経営者によるパネルディスカッションを開催しました。
その他、基幹システムである21Cloud顧客管理システムでは、スマホ・タブレットでの確認作業の容易化や、SMS・LINE経由での顧客管理を徹底するための機能追加を行いました。
更に、賃貸契約時の初期費用分割決済サービスの提供を開始しました。初期費用に関する新たな選択肢「QR 分割払い」を提供することにより、賃貸契約時の初期費用を分割払いできる選択肢を得られることになり、より一層の顧客の利便向上を図りました。
また、元日に発生した令和6年能登半島地震に対しては被災地の一日でも早い復興を願い、有志加盟店の協力の下、災害義援金を石川県に送りました。
当社は引き続きフランチャイズの機能とブランディングの強化に取り組んでまいります。
このような状況のもとで、当社の営業収益は、サービスフィー収入が3,313百万円(前年同期比1.6%増)、ITサービス収入が313百万円(同2.5%増)、加盟金収入が157百万円(同1.1%減)、その他が67百万円(同8.5%減)となり、全体としては3,850百万円(同1.4%増)となりました。また、営業原価は、951百万円(前年同期比0.5%増)となりました。販売費及び一般管理費は、貸倒引当金繰入額の増加等があるものの、機器保守料や広告宣伝費等が減少したことにより、全体としては1,963百万円(前年同期比0.6%減)となりました。その結果、営業利益は936百万円(前年同期比6.9%増)、経常利益は986百万円(同6.6%増)、当期純利益は674百万円(同3.4%増)となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
当事業年度(自 2023年4月1日 至 2024年3月31日)における加盟店数の地域別並びに営業収益の収入別・地域別内訳を示すと、以下のとおりであります。
(単位:店)
(単位:千円)
(注)上記サービスフィー収入に対する全加盟店の同期間地区別総取扱高、総取扱件数並びに総受取手数料は、
以下のとおりであります。
(単位:千円/件)
(3) キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ237百万円増加(12.5%増)し、当事業年度末には2,137百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果得られた資金は、867百万円(前事業年度は1,294百万円の収入)となりました。これは主として税引前当期純利益985百万円の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果得られた資金は、30百万円(前事業年度は526百万円の使用)となりました。これは主として長期貸付金の回収によるものであります
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動の結果使用した資金は、660百万円(前事業年度は418百万円の使用)となりました。これは主として配当金の支払いや自己株式の取得によるものであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性について、運転資金需要のうち主なものは、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、営業支援システムの開発費用であります。また、財務活動による資金需要のうち主なものは、配当金の支払いであります。
なお、運転資金につきましてはすべて自己資金により賄っております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たり、経営者による会計上の見積りを行っております。これらの見積りは、当社における過去の実績や将来計画を考慮し、合理的と認められる事項に基づき判断しておりますが、将来の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
フランチャイズビジネスは、規模の拡大と効率経営が重要であるとの認識のもと、加盟店舗数、営業収益経常利益率、自己資本利益率を重要な経営指標ととらえており、当期の経営指標は、加盟店舗数が994店、営業収益経常利益率25.6%、自己資本利益率10.6%となりました。
加盟店舗数につきましては、新規成約増加策として加盟募集HPのSEO改善によるWEB集客の強化等を実施しました。当期中の新規加盟は57店舗となりました。一方、退会は建築業が主である加盟店の業績不振による予期せぬ退会もあり71店舗となり、前期より15店舗退会が増加しております。結果14店舗の純減となりました。
ITサービス収入は有料の顧客追客システム利用の増加などにより、前期比2.5%の増加、また加盟金収入は前期比1.1%の減少となりましたが、収益の柱であるサービスフィー収入は前期比1.6%の増加となりました。その結果、営業収益全体は前期比1.4%増加しました。また、設備維持保守料の減少や加盟店監査の内製化など業務効率の向上に尽力した結果、販売費及び一般管理費は前期比0.6%減少しました。その結果、営業収益経常利益率25.6%と前期比1.2%の増加となりました。また、当期純利益が前期比3.4%増加の674百万円と増益となり、その他、資本効率の向上を図った自己株式の取得の影響等もあり、自己資本利益率が10.6%と前期比0.1%の増加となりました。
今後につきましても、加盟店舗数の更なる拡大と加盟店へのサービスの質の更なる向上により、営業収益の拡大を図るとともに、企業の持続的成長につなげるため、上記経営指標の一層の向上を目指します。
(注) 国際本部とは センチュリー21・リアルエステートLLCのことであり、日本本部あるいはサブフランチャイザーは当社のことであります。
該当事項はありません。