(1)業績
当連結会計年度の日本株式市場は、世界経済の不透明感を背景に値動きの激しい展開で始まり、英国のEU(欧州連合)離脱リスクが顕在化したことにより不安定性が高まりましたが、その後は落ち着きを取り戻し安定した推移となりました。9月に日本銀行から発表された金融政策が金融機関に対してポジティブな内容として好感され、金融株を中心に日本株式市場は大幅に上昇しました。11月の米国大統領選挙を巡っては、開票前はトランプ氏の大統領就任を懸念する声が大勢を占めていましたが、トランプ氏が勝利した後は、規制緩和や財政拡大などによって景気が拡大するという期待から、米国では株式市場、長期金利ともに上昇が鮮明となり、米ドルが急上昇しました。日本株式市場も米国株式市場の上昇や円安ドル高などを好感し大きく上昇しました。また、大統領就任後は、改めて米国における保護主義的な政策が進むことへの懸念から一時的に不安定になることはあったものの、概ね堅調な推移となり、日経平均株価は前期末に比べ12.8%上昇の18,909.26円で取引を終えました。韓国株式市場は、中国の軟調な経済指標や英国のEU離脱派の勝利が決定したこと等を受けて投資家のリスク回避姿勢が強まり急落したものの、米国の早期利上げ観測の後退による海外投資家からの資金に支えられ回復しました。その後も韓国大統領の知人の国政介入疑惑に対する懸念が強まったことなどを受け、韓国株式市場は軟調に推移しました。11月の米国大統領選挙後は、米国における保護主義的な経済政策に対する不安により韓国市場からの資金流出懸念が強まり韓国ウォンが下落し、韓国株式市場も軟調に推移しました。その後米国株式市場や原油価格が堅調となったことなどを背景に株式市場は落ち着きを取り戻し、大統領が罷免される事態となっても、逆に悪材料が出尽くしたことが好感され韓国総合株価指数(KOSPI)は前期末に比べ8.2%上昇の2,160.23で取引を終えました。
このような市場環境のもと、当社グループの当連結会計年度末運用資産残高は、9,619億円(注1)と前期末に比して微増に留まりましたが、比較的報酬料率の高い日本地域の運用資産残高が伸びたため、残高報酬料率は前期から上昇した結果、残高報酬が増加し、当社グループの業績は前期比6.4%増の31億69百万円の営業利益となりました。
なお、事業の持続的かつ安定的な基盤となる収益力を示す指標である基礎収益(注2)は前期比27.6%増の24億69百万円(前期は19億35百万円)となり、実質的な収益体質は一層強化されております。
日本株式を投資対象とする運用戦略は、海外で起きた想定外の事象に揺さぶられる非常に不安定な市場環境下にありながら、子会社であるスパークス・アセット・マネジメント株式会社が運用するファンドは、運用評価機関から継続して高い評価を受けております。また、私どもの投資哲学や運用スタイルへの関心も引き続き高いことから、日本の個人投資家の皆様に「日本株ならスパークス」とのSPARXブランドをさらに幅広く認知いただくよう、当社ウェブサイトを通じた動画配信やメディアへのアプローチなど広報及び宣伝活動を積極化しております。
アジア株式を投資対象とする運用戦略は、東京に本部を設け、東京・香港・韓国のファンドマネジャーがアジア企業への調査などを共同で行っており、今年2月に旗艦となるファンドの設定を行いました。さらに本年5月に公募投資信託の設定を予定しております。アジア企業の調査を通じ、今までの運用手法をさらに磨きをかけ、「アジア株もスパークス」とのSPARXブランドを構築してまいります。
当社グループの事業ポートフォリオのもう一つの柱に拡大・成長を図っている運用戦略として、不動産や再生可能エネルギー発電事業のインフラ資産を投資対象とする実物資産の運用戦略があります。再生可能エネルギー発電事業を投資対象とする運用戦略は、全国の発電施設への投資を23件実行しており、投資対象も太陽光、風力から、地熱・バイオマスなどへと拡大しております。また、これまでの再生可能エネルギー発電設備の開発及び運営で得られた知見・ノウハウ・ネットワークを最大限に活用し、今後も引き続きインフラファンドのパイオニアとして皆様のご期待にお応えすべく、魅力的な投資商品の提供を行うため、自ら発電設備の開発とともに、外部からの発電設備の取得も積極的に行ってまいります。具体的には、当社グループが、これまで提供してきた発電事業等の開発段階から運転開始までのフェーズにおける投資(グリーン・フィールド投資)に加えて、運転開始後のフェーズにおける投資(ブラウン・フィールド投資)にフォーカスした、長期的に安定したキャッシュ・フローを源泉としたファンドを、機関投資家等向けにご提供する準備を進めております。不動産を投資対象とする運用戦略では、ファンドで開発した医療施設が開院したことに続き、平成28年12月にオフィスビルへの投資を新たに実行しております。今後も慎重に案件の選別を行い、実績を積み上げていく所存です。
次世代の成長に資する投資を長期的な視点から実践し、投資会社として未来を創造する新たな領域を開拓するため設立した未来創生ファンドは、平成29年3月末で365億円の規模に増加しており、運用資産残高の更なる積み上げを目指します。なお当該ファンドは、既に国内外のベンチャー企業等への投資を26件実行しております。
上記の結果、当連結会計年度における残高報酬は前期比12.5%増の74億76百万円となりました。一方、成功報酬(注3)は、前期に比べ年の前半は不安定な市場環境であったこともあり、前期比23.5%減の13億22百万円とどまったものの、営業収益は前期比1.9%増の89億7百万円となりました。
営業費用及び一般管理費に関しては、前期比0.5%減とほぼ横ばいの57億37百万円となりました。これは、のれんの償却が前期末において全て完了したことに伴いその計上がなかったものの、本社移転に伴う費用を計上したことによるものです。
この結果、営業利益は前期比6.4%増の31億69百万円、経常利益は前期比5.8%増の31億79百万円となりました。また、税金等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比12.6%減の23億46百万円となりました。
(注1)当連結会計年度末(平成29年3月末)運用資産残高は速報値であります。
(注2)基礎収益とは、経常的に発生する残高報酬(手数料控除後)の金額から経常的経費を差し引いた金額であり、当社グループの最も重要な経営指標のひとつであります。
(注3)成功報酬には、不動産購入・売却に対して当社グループがファンドから受ける一時的な報酬や、日本再生可能エネルギー投資戦略に関連する発電所等から、資金調達の対価等として受ける一時的な報酬(アクイジションフィー)を含んでおります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、残高報酬及び成功報酬に係る収入によって、前連結会計年度末に比べ13億88百万円増加し、当連結会計年度末は144億59百万円(前期比10.6%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主たる要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは19億72百万円の収入(前期は24億66百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が31億93百万円及び法人税等の支払額が13億75百万円計上されたことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは16億58百万円の支出(前期は9億65百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出16億49百万円、投資有価証券の売却による収入9億68百万円、関係会社出資金の払込による支出6億63百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは9億14百万円の収入(前期は6億41百万円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入50億円、長期借入金の返済による支出30億円、配当金の支払い8億12百万円、自己株式の取得1億99百万円があったことによるものです。
(1)営業収益の状況
当社グループの連結営業収益の項目別内訳は以下のとおりです。
|
項目 |
前連結会計年度(平成28年3月期) |
当連結会計年度(平成29年3月期) |
||
|
金額 |
構成比(%) |
金額 |
構成比(%) |
|
|
残高報酬 |
6,647 |
76.0% |
7,476 |
83.9% |
|
成功報酬 |
1,730 |
19.8% |
1,322 |
14.9% |
|
その他 |
365 |
4.2% |
107 |
1.2% |
|
営業収益合計 |
8,743 |
100.0% |
8,907 |
100.0% |
・残高報酬
残高報酬料率(ネット・ベース)の推移は以下のとおりです。
|
区分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 (平成29年3月期) |
|
当社グループ残高報酬料率 |
0.59% |
0.69% |
(注) 残高報酬料率(ネット・ベース)=(残高報酬-残高報酬に係る支払手数料)÷ 期中平均運用資産残高
・成功報酬(株式運用ファンド関連)
成功報酬は、単純なケースでは過去のファンド計算期間末日の「一口当たり純資産価額」=「Net Asset Value Per Share」(以下、「NAVPS」と言います。)の最高値を、今ファンド計算期間末日のNAVPSと比較して、今ファンド計算期間末日のNAVPSの方が高かった場合に、値上がり部分に一定料率をかけて計算します(これを「ハイ・ウォーター・マーク方式」といいます)。
また、契約によっては、ベンチマークを一定以上上回った部分に一定料率をかけて計算するものもあります。
絶対リターン追求型の運用に多いハイ・ウォーター・マーク(HWM)方式の成功報酬の仕組み
(注)1.上記の図は成功報酬の仕組みを簡便に説明したもので、実際の成功報酬の体系及びファンドの基準価格の
計算方法を厳密に説明しているものではありません。
(注)2.上記では、説明の都合上、成功報酬の料率を便宜的に20%として計算しております。
(2)運用資産残高の状況
以下の表は、当社グループの当期の運用資産残高の状況を示したものです。なお、日本円建て以外の運用資産残高を日本円に換算する際には、それぞれの時点における月末為替レートを用いております。
当社グループは、以下の場合を除き、直接的、間接的に子会社の持分割合を100%保有しており、下記の数値は当社子会社に対する当社持分に拘らず運用資産残高の100%を記載しております。
|
会社名 |
平成28年3月 |
平成29年3月 |
|
SPARX Asset Management Korea Co., Ltd. |
70.1% |
70.1% |
① 投資対象別の四半期運用資産残高の推移 (単位:億円)
|
投資対象 |
平成28年6月 |
平成28年9月 |
平成28年12月 |
平成29年3月 |
|
日本 |
6,839 |
7,363 |
8,103 |
8,131 |
|
韓国 |
1,783 |
1,762 |
1,675 |
1,343 |
|
アジア全域 |
194 |
197 |
199 |
143 |
|
合計 |
8,817 |
9,323 |
9,978 |
9,619 |
(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
2.平成29年3月末運用資産残高は速報値となっております。
② 平均運用資産残高 (単位:億円)
|
|
平成28年3月期 連結会計年度 |
平成29年3月期 連結会計年度 |
|
当社グループ合計 |
9,732 |
9,459 |
(注) 1.各期の月末運用資産残高の単純平均であります。
2.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
3.平成29年3月末運用資産残高は速報値となっております。
③ 成功報酬付運用資産残高及び比率
|
会社名 |
|
平成28年3月 |
平成29年3月 |
|
当社グループ合計 |
残高(億円) |
3,846 |
3,502 |
|
比率(%) |
40.1 |
36.4 |
(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
2. 平成29年3月末運用資産残高は速報値となっております。
④ 投資戦略別四半期末運用資産残高の推移
■投資対象が日本となる運用資産残高の内訳
(単位:億円)
|
投資戦略 |
平成28年6月 |
平成28年9月 |
平成28年12月 |
平成29年3月 |
|
日本株式ロング・ショート投資戦略 |
315 |
291 |
224 |
179 |
|
日本株式長期厳選投資戦略 |
2,441 |
2,546 |
2,925 |
2,947 |
|
日本株式中小型投資戦略 |
1,604 |
1,599 |
1,770 |
1,816 |
|
日本株式環境・クリーンテック投資戦略 |
846 |
930 |
1,030 |
1,032 |
|
日本不動産投資戦略 |
191 |
191 |
331 |
331 |
|
日本再生可能エネルギー投資戦略 |
1,149 |
1,370 |
1,373 |
1,363 |
|
未来創生投資戦略 |
226 |
307 |
351 |
365 |
|
その他 |
62 |
125 |
96 |
96 |
|
合計 |
6,839 |
7,363 |
8,103 |
8,131 |
(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
2.平成29年3月末運用資産残高は速報値となっております。
■投資対象が韓国となる運用資産残高の内訳
(単位:億円)
|
投資戦略 |
平成28年6月 |
平成28年9月 |
平成28年12月 |
平成29年3月 |
|
韓国株式一般投資戦略 |
98 |
161 |
133 |
113 |
|
韓国株式集中投資戦略 |
81 |
78 |
83 |
83 |
|
韓国株式アクティブ投資戦略 |
1,380 |
1,320 |
1,419 |
1,146 |
|
その他 |
223 |
201 |
39 |
- |
|
合計 |
1,783 |
1,762 |
1,675 |
1,343 |
(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
2.平成29年3月末運用資産残高は速報値となっております。
■投資対象がアジア全域となる運用資産残高の内訳
(単位:億円)
|
投資戦略 |
平成28年6月 |
平成28年9月 |
平成28年12月 |
平成29年3月 |
|
アジア株式投資戦略 |
194 |
197 |
199 |
143 |
|
合計 |
194 |
197 |
199 |
143 |
(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。
2.平成29年3月末運用資産残高は速報値となっております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「世界で最も信頼、尊敬されるインベストメント・カンパニー」を目指す、独立系の資産運用グループであります。また、資産運用サービスを中核事業とする企業グループとしては、日本で初の公開/上場会社であります。
私どもの経営の基本方針の第一は、投資家の皆様に真に役立つ投資インテリジェンスを運用商品として提供し、ご満足いただける運用成果をお届けすることであります。そのために、創業以来の「マクロはミクロの集積である。」との投資哲学に基づく徹底したボトムアップ・アプローチを基軸として、常に革新的な投資手法の開発に努めております。さらに、日本株のスペシャリストとしての経験と知識を株式以外の不動産や発電事業等のインフラ資産への投資スキームにも展開すると共に、韓国・香港の子会社が培った力を統合することで、アジアに関心を寄せる世界中の投資家の期待に応え得る投資インテリジェンスと優れた運用成果の提供に努めてまいります。
方針の第二は、お客様の期待に応えたビジネス拡大を通して、株主の皆様に満足いただける収益を産み出すと共に、企業としての存続と成長の礎となる適切なガバナンスとコンプライアンスの態勢を維持・強化することであります。更なる運用成績の向上への取り組みに加え、新たな投資商品の開発と提供によって収益の拡大を目指す際に、積極的な事業展開と効率性の追求が、コンプライアンスの弛緩に決して繋がることのないように、ガバナンスの実効性を絶えず検証してまいります。
方針の第三は、お客様と株主の皆様の期待に応える事業展開を支えるための有為な人材の保持、獲得と育成であります。高度な専門性と柔軟な創造力、そして強い自己規律の精神を持った人材がチームとして取組んでこそ、私共が目指す資産運用サービスの提供が可能になると考えております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの収益の大半を占める投信・投資顧問料収入は、運用資産の残高と報酬料率に応じて生じる残高報酬と、運用成績の良否等によって変動する成功報酬に大別されます。後者の成功報酬は、当社グループの全ての運用資産から発生するものではありません。
従って、当社グループにとって最も重要な経営指標は、収益の源泉である運用資産の残高及び残高報酬料率であります。運用資産残高の推移は適時に把握するのみならず、その変動がお客様からの新規設定や解約によって生じたものか、市場の一般的動向によるものか、運用成績の良否によるものか等を分析し、当社グループの事業競争力の客観的な把握に努めております。また、より付加価値の高い投資戦略を開発・提供することによって、より高い残高報酬料率の実現に努めております。
次に重要な経営指標は、残高報酬の金額から経常的経費を差引いた金額として認識される基礎収益力の水準であります。基礎収益力は持続的かつ安定的な事業運営の基盤でありますから、それが赤字となる状況が生じた場合には、運用報酬の増加を目指すのは当然でありますが、経費削減も含めたあらゆる施策により早期に黒字を回復させる必要があります。一方、基礎収益力が十分な黒字を維持している場合には、成長に向けた投資余力があるとの判断も可能です。
さらに、成功報酬の金額も当然に重要な経営指標の一つであります。当社の営業成績は、基礎収益力と成功報酬によって大半が決定し、その結果に基づき賞与等の支払も決定されますから、成功報酬の多寡が年度毎の営業利益の水準に大きく影響します。全運用資産の内で成功報酬が発生し得る資産の割合、成功報酬の発生状況等、業績への影響度合いを把握するだけでなく、より付加価値の高い投資戦略を開発・提供することによって、成功報酬が発生しうる運用資産残高の増加に努めております。
(3)経営戦略等
当社は、総合力を高め、スパークスの創業30周年である平成31年7月1日に向けて、運用資産残高2兆円の達成を目指しております。その達成のため、以下4つの投資戦略が柱であると考えております。
1本目の柱は、日本株式投資戦略です。
複数の運用評価機関から最優秀賞に選ばれるなど、日本株式の運用は相対的に高い結果を実現し続けております。3年前に再開したスチュワードシップ・ファンドなどのエンゲージメント投資については、平成29年4月上旬、帝国繊維様に関する大量保有報告書を提出した際、資本効率の改善を提言させていただくなど、スチュワード(財産管理人)として、責任ある株主として、その活動を積極化しております。
また、良好なパフォーマンスを継続することで、資産形成に目覚める国内の個人投資家=「ザ・コジン」、そして海外の国家ファンドや年金を始めとする機関投資家のニーズにも応えるスパークスの投資哲学の実践と浸透を図ってまいります。
2本目の柱は、OneAsia投資戦略(アジア株式を対象とする運用戦略)です。
「センター・フォー・アジア・インテリジェンス」という旗を掲げ、韓国や香港にオフィスをかまえて10年以上が経過し、それぞれのオフィスで運用やビジネスのノウハウが蓄積してきました。平成29年3月期は運用、マーケティング両部門で3拠点(東京、香港、韓国)間のやりとりをさらに積極化させ、創業来蓄積してきたインベストメント・インテリジェンスを共有してきた結果、平成29年4月末には、アジア株式(除く日本)の新公募投資信託の設定を発表することができました。
3本目の柱は、実物資産投資戦略です。この戦略は世界的な低金利等を背景に、安定的なインカム・ゲインを投資家にお届けすることを目的としています。
再生可能エネルギー発電施設への投資は、平成29年3月末時点で307MWの投資案件への投資を実行し、国内有数の規模まで拡大しております。発電の種類も、太陽光だけでなく、木質バイオマス、地熱、風力と多様化させております。
不動産への投資は、平成28年夏、東京都世田谷区に開所した股関節手術や精密検査の専門医が入居する医療用ビルにファンドで投資したことを足がかりとして、医療に強いスパークスというイメージをさらに定着させてまいります。
4本目の柱は、未来創生投資戦略です。次世代の成長に資する投資を長期的な視点から実践し、投資会社として未来を創造する新たな領域を開拓するため、ファンドを設立し国内外のベンチャー企業へ投資しております。具体的には、人口知能(AI)などの「知能化技術」、「ロボティクス」、「水素社会実現に資する技術」を中核技術と位置づけ、それらの分野の革新技術を持つ企業、プロジェクトに投資しております。平成29年3月末までに、投資先企業数は、日米英イスラエルの4か国、約30件となりました。同分野で圧倒的な実績をあげ、当社の主力事業となるよう目指してまいります。
(4)経営環境
直近の経営環境については、第一部 企業情報、第2 事業の状況、1.業績等の概要に含めて記載しております。
(5)事業上及び財務上の対処すべき課題
当年度は、目標としていた2,000億円を超える運用資産の純流入は、韓国機関投資家(1社)から大口解約を受けたこと等により達成できませんでしたが、引き続き良好な運用成績による運用資産の増加の他、日本地域を投資対象とする運用資産が増加したことで、連結ベースの残高報酬料率は70bps程度までに回復し、実質的な収益体質はかえって強化された年と評価しております。
また、再生可能エネルギー発電事業などの実物資産への投資や、トヨタ自動車様、三井住友銀行様と立ち上げた未来創生ファンドなど、株式市場の変動の影響を受けにくい資産へ長期に渡って投資する運用資産の割合が増加しており、当社グループ業績の安定化に一層寄与するようになりました。
これらの点をご評価いただき、株式会社格付投資情報センターより付与される発行体格付は「BBB」に格上げされました。
来年度以降は、2019年7月の創業30周年に向けてグループ運用資産残高2兆円を達成するため、主として以下の課題に取り組んでまいります。
課題の第一として、「感動投資」の実践、レベルアップを、継続的に目指してまいります。
当社グループにとって最も大切なことは、結果としての運用パフォーマンスにとどまらず、その結果に至る投資の全プロセスを投資家の皆様に感動していただけるような「感動投資」を継続的に実践し、このレベルを向上していくことにあります。
全役職員が日常業務や勉強会等を通じて常日頃から真摯に投資運用ビジネスに取り組んでいる結果として、幸いなことに本年も、リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2017において、世界新記録となる4年連続最優秀運用会社(株式部門)に選定された他、当社グループが運用する複数のファンドが外部運用評価機関から高く表彰される等、当社グループ及び当社グループが運用するファンドに対して、引き続き高い評価を頂いております。
しかし、これらの結果に慢心することなく、果敢に勇気を持って投資する、という姿勢を持ち続けることを常に心掛け、エッジの効いた魅力的な「感動投資」を今後も実践してまいります。
課題の第二として、創業来の顧客本位の組織体制・企業文化を、充実・強化してまいります。
当社は、1989年に「世界で最も信頼、尊敬されるインベストメント・カンパニーになる」を目指すべきビジョンとして創業しました。このビジョンを実現するため、「お客様が何を考え、何を求めているのか」を正しく理解し、その奥に隠れたニーズに応えていくことが大切であると考え、顧客本位の投資商品を常にご提供してまいりました。
今後も、独立系の上場資産運用会社として、受託者責任に対する高い規範を維持しながら、当社グループの強みや特徴を生かした魅力ある商品の機動的な開発とお客様への高品質なサービス提供を行い続けるため、会社や組織の枠を超えて全ての役職員が目的と課題を共有し、組織全体として協働することができる体制と企業文化の維持・強化に継続して取り組んでまいります。
また、当社グループが運用するファンドは、経験豊富なアナリストたちが各企業と直接面談する等徹底的な調査・分析を行うことで、マーケットで過小評価されている銘柄を発掘することにより、目先の収益ではなく中長期でマーケット全体を上回るリターンをあげることを目的としております。お客様に継続的に選択・支持され、質の高い長期投資を実現するファンドを長く運用し続けるためにも、安定した組織体制の強化を図ってまいります。
課題の第三として、個人投資家の皆様から「日本/アジアへの投資ならSPARX」という圧倒的な支持をいただけるブランドを、じっくりと構築してまいります。
日本では、NISA(ニーサ。少額投資非課税制度)の導入等を契機に、個人投資家の資産形成への関心が改めて高まっており、国民の安定的な資産形成を図るためには、インベストメント・チェーンに関わる全ての金融事業者がそれぞれの役割を認識し、顧客本位の業務運営を行う必要があります。
このような状況において、当社グループが運用する投資信託のご案内は、これまでは主として証券会社や銀行といった販売会社の皆様にお願いしており、個人投資家の皆様との関係は間接的なものにとどまっておりました。今後は、それぞれの投資信託の背景にある投資哲学や投資のインテリジェンスを、運用者自らが個人投資家の皆様に直接ご説明し、個人投資家の皆様から直接にフィードバックをいただくという直接的な関係がより求められてくる、また、これらの直接的な関係は、スマートフォンやタブレット端末の普及等通信インフラの進歩や、フィンテックとよばれる様々な新しい技術の利用によって、これまで以上により簡単に実現することができる環境が整いつつある、とそれぞれ考えております。
このような認識をベースに、1,700兆円もの巨額の金融資産を有する日本の個人投資家に対して、顧客本位の具体的な投資のソリューションを、広報や宣伝活動等を効果的に活用することも含めてわかり易くご提供することを通じ、SPARXを「個人投資家の水先案内人(キャピタル・ナビゲーター)」として安心してご選択いただける運用会社の国民的ブランドとしてご認識いただく、という高い志をもって、この挑戦に引き続き取り組んでまいります。
当社グループは、事業の性質上様々なリスクにさらされており、これらのリスクは将来の当社グループの財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。以下に、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しておりますが、当社グループの事業遂行上発生しうるすべてのリスクを網羅しているものではありません。
なお、文中の将来に関する事項の記述は、当連結会計年度末日現在において入手可能な情報に基づき、当社が合理的であると判断したものであります。
① 事業内容の特性に係るリスク
・顧客に提供する商品及びサービスが特定の分野に集中していることに係るリスクについて
当社グループの収益の大半は投信投資顧問業に係る委託者報酬及び投資顧問料収入によって構成されており、加えて当社グループが運用する資産の投資対象の大半を日本株式及び韓国株式を中心とするアジア株式が占めています。従って、当社グループの運用資産残高や運用実績等は、日本及びアジア地域の株式市場に影響を及ぼす事象や同地域の株式に対する顧客の資産配分方針に大きく影響を受けるほか、日本・アジア及び世界経済の動向にも大きな影響を受けます。その結果、当社グループの委託者報酬及び投資顧問料収入も大きく変動する可能性があります。
株式を運用対象とする事業において投資戦略の多様化に取組む一方、不動産や再生可能エネルギー発電事業等のインフラ資産を運用対象とする商品の開発・提供に注力すると共に、各種のアドバイザリー業務等にも取組んでおり、着実に拡大しておりますが、グループ業績を支える第2の柱へと成長する途上にあります。従いまして、今後も日本及び韓国を中心とするアジアの株式市場の動向により運用資産残高の低下に伴う運用報酬の減少、さらには運用実績の低迷に伴う成功報酬の減少など、当社の業績に悪影響が及ぶおそれがあります。
・顧客基盤や販売チャネルの不安定性に係るリスクについて
当社グループは国内外に幅広い顧客ネットワークを構築して参りましたが、その基盤は必ずしも十分なものではありません。また、それら顧客と当社グループとの契約は比較的短期の事前通知により、また契約によっては事前通知することなく、いつでも顧客が解約することが可能です。一部の投資顧問契約及び投資信託を除いては、顧客に契約の終了又は資金の引出しを禁じるロック・アップ期間はありません。よって一部の顧客が契約の全部又は一部解約などを行ったり、他の顧客がこれに追随するなどしてファンド規模が縮小することがあります。さらに解約などによりファンド規模が縮小した場合、既存又は新規の顧客から新たな資金を集めることが困難になることがあります。これらの結果、運用報酬額及び当社グループの業績にも悪影響を与えることとなります。
さらに、当社グループは他の多くの資産運用会社と異なり、銀行、証券会社、保険会社といった大手金融機関を核とした金融機関の系列に属しておらず、独立系の資産運用会社として自力で顧客基盤と販売チャネルを構築してまいりました。これらの競合他社は、系列に属することで強力な販売チャネルの活用が可能となることに加え、比較的に解約リスクの低い資金を集めることが可能であり、当社は運用資産残高及び営業収益の安定性あるいは耐久力に関して、比較劣位にあります。従いまして、今後も顧客基盤や販売チャネルの不安定性に基づく当社グループの運用資産残高の低下に伴う残高報酬の減少など、当社の業績に影響が及ぶおそれがあります。
・運用実績の変動に係るリスクについて
当社グループが顧客から受託している運用資産に係る運用実績が悪化した場合、既存顧客との契約の維持及び新規契約の獲得に困難が生じ、運用資産残高の減少を招き、当社グループの業績及び今後の事業展開に悪影響をもたらすおそれがあります。
また、当社グループは営業収益の一部を、運用実績に基づく成功報酬により得ております。しかしながら、成功報酬の金額は、平成25年3月期:40百万円、平成26年3月期:28億25百万円、平成27年3月期:14億29百万円、平成28年3月期:17億30百万円、平成29年3月期:13億22百万円と、運用実績を反映して毎年大きく変動しております。良好な運用実績を安定的に達成するため、当社グループは運用能力の維持向上に努めておりますが、このような努力が成功する保証はありません。
さらに、当社グループが運用する投資戦略は、成功報酬の付帯比率が高いオルタナティブ運用型の投資戦略と成功報酬の付帯比率が低い伝統的運用型の投資戦略の2つに大別され、この成功報酬の付帯比率を高位に保つことを経営方針の1つとしておりますが、日本及び韓国を中心とするアジアの株式市場の変動をはじめとする市場環境の動向や、それに基づく当社グループの運用実績、顧客の資産配分方針の変動などによって成功報酬の付帯比率が変動する可能性があります。
・運用対象の拡大に係るリスクについて
当社グループは、不動産や再生可能エネルギー発電事業等のインフラ資産を運用対象とした商品の開発・提供にも注力しております。
当該分野の事業発展には、従前とは異なった経験や知見を有する人材やリソースの確保が必要であり、事業展開に想定以上の時間を要したり、初期投資の負担が収益性を毀損するおそれがあります。その他、これらの事業領域では、個々の案件を推進した当社グループが第三者に生じた損害に対して賠償責任が生じ得る等の独自のリスクもあることから、かかるリスクは可能な限り保険或いは契約等により回避を図るものの、リスク回避の手法、法的規制に対する十分な理解や内部管理体制の構築、そのための人材の充実が求められます。また万一、顧客やマーケットの信頼を失いさらには監督当局から行政処分を受けるなどした場合は、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
さらに、新規分野においては必ずしも市場が十分に成熟していないことを背景として、法令や諸規則の改正又はその解釈や運用の変更が行われる可能性もあり、その内容によっては今後の業務展開や業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
・当社グループが管理運営するファンドに係るリスクについて
当社グループが無限責任組合員又はゼネラルパートナーとしてファンドに関与している場合において、その運用方針、運用制限に沿ってファンド運用を行っている限りは、ファンドの出資額を超える損失が発生し、またそれについて当社グループが責任を負わなければならない事態は、ファンドの運用方針、運用制限の内容からは想定されません。しかしながら、何らかの逸脱行為によって出資額を超える損失を負担する可能性を完全には否定できず、この場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
・信用供与に関する偶発債務の顕在化に係るリスクについて
当社グループが不動産や発電事業等の実物資産に係る投資スキームを構築する上で、子会社や投資スキーム等を通じて保証等の信用供与を行う必要が生じる場合が例外的に存在します。信用供与先が、信用力低下や破綻等によって取引当事者としての義務を果たせない場合は、当社グループが当該債務履行責任を負担することとなる等偶発債務の顕在化のリスクを負うこととなります。このような信用供与を例外的に行う場合には、保証実行のリスク等を慎重に検討した上で実行しておりますが、当該信用供与に関する偶発債務の顕在化のリスクを完全に回避できるものではありません。よって信用供与に関する偶発債務の顕在化のリスクが具体化した場合には、これにより、当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に悪影響が及ぶおそれがあります。
・投資先企業への役員派遣に係るリスクについて
当社グループは投資先企業の価値向上のため、役職員を投資先企業の役員として派遣することがあります。その役職員個人に対し、役員損害賠償請求等があった場合、当社グループがその個人に生じた経済的損失の全部又は一部を負担することとなる可能性があるほか、当社グループに使用者責任が発生する可能性があります。
② 経営の外部環境に係るリスク
・他社との競合に係るリスクについて
資産運用業、特に投資助言業は、金融業界の他業種に比べると参入障壁が比較的低い業種であり、常に国内外からの新規参入者との競合を覚悟する必要があります。また、グローバルレベルでの資産運用ニーズの高まりは資産運用業界全体にとっての追い風ではありますが、これにより新規参入が将来にわたってさらに促進される可能性があると共に、国内外の大手金融機関が資産運用サービスを経営戦略上重要なビジネスと位置づけ、積極的に経営資源を投入してくるケースも想定されます。また、業界内での統廃合によって、当社グループの競合他社の規模や体力が増強されることがあります。さらに、競合他社が当社グループのファンドマネージャーやその他の従業員の移籍・採用を図る可能性もあります。
この様に他社との競合は激化していくことが予想され、その場合には、顧客の獲得や維持に困難が生じるだけでなく、残高報酬料率や成功報酬料率の水準にも影響を及ぼし、当社グループの業績に悪影響が及ぶおそれがあります。
・為替相場の変動に係るリスクについて
当社グループの財務諸表は円建てで表示されているため、外国為替レートの変動は、外貨建て資産及び負債の円換算額に影響を及ぼします。また、当社が海外子会社を連結する際には、当該子会社における外貨建ての資産や負債あるいは収益及び費用の円換算額も変動し、連結貸借対照表・連結包括利益計算書上の「為替換算調整勘定」を変動させます。
日本国内の主要子会社であるスパークス・アセット・マネジメント株式会社の営業収益の大部分は円建てですが、一部の外貨建て取引においては外国為替レートの変動により、これらを円換算する際に、為替差損が生じるおそれがあります。日本以外の顧客との契約の増加などを理由として外貨建て取引が増加した場合、為替変動リスクが増大する可能性があります。
当社グループでは、為替変動リスクの業績への影響を最小限にするため、為替予約を行うなど為替変動リスクをヘッジする方策を講じておりますが、その方策が十分でない場合には当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
③ 内部管理に係るリスク
・アジア地域で実行したM&Aに係るリスクについて
当社グループは、国内外の投資家に対してアジア地域の成長機会を提供すべく、アジア地域の運用会社のネットワーク化に取り組んでおります。
平成17年2月には、韓国に拠点をもつSPARX Asset Management Korea Co.,Ltd.(以下、「SPARX Korea社」)の発行済株式の過半数を取得し、また、平成20年12月には、韓国ロッテグループとSPARX Korea社の更なる成長を目的とした資本提携の合意に達し、当社グループが保有するSPARX Korea社株式の一部を韓国ロッテグループに譲渡いたしました。また、平成18年6月には、香港を主な拠点とするSPARX Asia Capital Management Limited(旧 PMA Capital Management Limited)の全株式を取得いたしました。さらに、平成26年4月には、総合不動産投資顧問業(いわゆる不動産投資一任業及び不動産投資顧問業)等を営むスパークス・アセット・トラスト&マネジメント株式会社(旧 ジャパンアセットトラスト株式会社)の株式を取得し、完全子会社といたしました。
しかしながら、M&A戦略に基づく事業展開が計画通りに進捗しなかったり、あるいは予期しない環境変化などにより買収会社の業績が著しく悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財務状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
・自己勘定からの投資に係るリスクについて
当社グループは、自己勘定から当社グループが運用するファンド等への投資を行っております。平成29年3月末の有価証券・投資有価証券の残高は44億15百万円であり、総資産の18.8%を占めています。この投資額は過去から増減しており、余裕資金の残高、市場環境及び当社グループの運用実績に基づき、今後も大きく変動する可能性があります。この投資による取得原価と時価との差異は、税効果を考慮した後、貸借対照表における「その他有価証券評価差額金」に計上されておりますが、実際に解約・償還等が行われた場合や時価が著しく下落したこと等により減損処理を行った場合には損益計算書に反映され、当社グループの業績が悪影響を受けるおそれがあります。
・税に係るリスクについて
当社グループは国内外で事業を展開し、それぞれが各国の税法に準拠して適正な納税を行っております。しかし、国や地域間での税務上の取り決め及び各国や各地域における税制上の制度運用や解釈などに変更が生じた際の対応が不十分な場合には、今後の事業展開や業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
・人材の確保に係るリスクについて
当社グループは、事業の維持及び成長を実現するためには、全ての部門で適切な人材を適切な時期に確保することが重要と考え、継続的に優秀な人材を採用し、教育を行ってまいります。しかし、優秀な人材が社外に流出した場合や人材の採用・教育が予定通り進まなかった場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、これにより当社グループの業績に悪影響が及ぶおそれがあります。
・外部事業者に係るリスクについて
当社グループは、業務遂行の過程で多くの外部事業者を活用しています。これらには投資信託財産や顧客資産の保管・管理を行うために指定される受託銀行(投資信託委託契約及び国内顧客との投資一任契約の場合)及び保管銀行(外国籍の顧客との投資一任契約の場合)、取引を執行する証券会社などが含まれます。当社グループでは、特定の外部事業者に依存した業務遂行は行っておりませんが、当社グループが利用している外部事業者において、安定的なサービス提供に困難が生じるような事態が発生した場合、当社グループの業務遂行上に支障が発生するおそれがあります。また、当社グループの信用が間接的に損なわれるおそれもあります。
・システム障害に係るリスクについて
当社グループのコンピューター・システムに障害が生じた場合、当社グループの業務に悪影響を及ぼすおそれがあります。セカンド・オフィスの維持運営を含む業務継続のための計画を策定し、事故・災害等発生時の業務への支障を軽減するための対策を講じておりますが、テロ、地震・風水害等の自然災害や外部からのサイバー攻撃その他の不正アクセスにより、想定以上のシステム障害が発生した場合には、業務に悪影響を及ぼすおそれがあります。また業務系の基幹システムの一部にはシステムの開発から長期間経過しているものがあり、個別に改良を加えているものの、システムの陳腐化が発生しているおそれがあります。
・役職員による過誤及び不祥事並びに情報漏えいに係るリスクについて
当社グループは、社内業務手続の確立を通して役職員による過誤の未然防止策を講じております。また、社内規程やコンプライアンス研修の実施により役職員が徹底して法令を遵守するよう指導に努めております。しかしながら、人為的なミスを完全に排除することはできません。また、役職員個人が詐欺、機密情報の濫用、その他の不祥事に関与し、法令に違反する可能性を否定することはできません。内部者又は不正なアクセスにより外部者が、顧客又は当社グループの機密情報を漏洩したり悪用したりするリスクも完全に排除することはできません。
このような役職員等による過誤や不祥事等、あるいは情報の漏洩や悪用が発生した場合、当社グループが第三者に生じた損害を賠償する責任を負うだけでなく、顧客やマーケットの信頼を失い、さらには監督当局から行政処分を受けるなど、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
④ その他のリスク
・法的規制に係るリスクについて
当社グループは、日本においては、金融商品取引法に定める投資運用業、投資助言業、第一種金融商品取引業及び第二種金融商品取引業に加え、それらに関連あるいは付随する業務を営んでおりますので、金融商品取引法を始めとする各種の法令や諸規則を遵守する必要があります。また、韓国、香港、バミューダ及びケイマン等におきましても資産運用業等を営んでおりますので、それぞれの国や地域における法令や諸規則を遵守する必要があります。これら国内外の法令や諸規則の遵守を徹底するため、グループ各社が社内規則及びモニタリング体制の整備、さらには役職員等に対する研修に努める一方、当社に設置されたコンプライアンス委員会がモニタリングと指導の役割を担っております。これらの措置によりコンプライアンス態勢は適切な水準を維持しているものと考えておりますが、広範な権限を有する監督当局等から行政上の指導あるいは処分を受けるというような事態が生じた場合には、その内容によっては通常の業務活動が制限されたり、行政処分などを理由として顧客が資産を引き揚げたりするおそれがあります。また、法令や諸規則の改正又はその解釈や運用の変更が行われる場合、その内容によっては今後の業務展開や業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
・訴訟等の可能性に係るリスクについて
当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟等は現在存在しません。また当社グループの事業に重大な影響を及ぼすような訴訟に発展するおそれのある紛争も現在ありません。しかしながら、当社グループの事業の性格上、当社及び当社の国内外子会社が関連法規や各種契約などに違反し、顧客に損失が発生した場合等には訴訟を提起される可能性があります。このような訴訟が提訴された場合、訴訟の内容及び金額によっては当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。
・阿部修平への依存の高さに係るリスクについて
当社の創業者であり、現 代表取締役社長、また大株主でもある阿部修平は、当社グループの事業経営及び投資戦略の方向性の決定において重要な役割を果たしています。当社グループは、より組織的な運営形態の構築及びマネジメントを担い得る人材の育成により、阿部個人への依存度を引き下げる努力を行っておりますが、阿部が何らかの事情で通常の職務を遂行できなくなる場合には、当社グループの業績に少なからぬ悪影響を及ぼすリスクがあります。
さらに、平成29年3月末現在、阿部は、その親族及びそれらの出資する会社(以下「阿部グループ」といいます)を通じて、当社株式の過半を保有する大株主であります。このため、阿部グループは、当社取締役及び監査役の選任等会社の基本的な事項を決定することができます。この点においても、阿部が何らかの事情で通常の職務を遂行できなくなる場合には、当社グループの利益ひいては他の株主の利益に少なからぬ悪影響を及ぼすリスクがあります。
・連結の範囲決定に係るリスクについて
当社グループは、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会 実務対応報告第20号 最終改正平成23年3月25日)を適用しており、各ファンド及びSPCごとに、アセットマネジメント契約や匿名組合契約等を考慮し、個別に支配力及び影響力の有無を検討した上で、子会社及び関連会社を判定し、連結の範囲を決定しております。
今後、新たな会計基準の設定や実務指針等の公表により、各ファンド及び各SPCに関する連結範囲決定方針について、当社グループが採用している方針と大きく異なる会計慣行が確立された場合には、当社グループの連結範囲決定方針に大きな変更が生じ、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
・ストック・オプション制度に係るリスクについて
当社グループはストック・オプション制度を採用しており、同制度に基づいてグループの多数の役職員にストック・オプションを付与しております。付与されたストック・オプションの目的となる株式の数は、平成29年3月末現在、17,100株であり、全て行使可能です。ストック・オプションを付与された者がこれを行使し、当社が新株を発行した場合、その範囲で、株主持分及び一株当たり利益が希薄化されることになります。
また、ストック・オプション等の付与に伴い株式報酬費用が発生しましたが、ストック・オプションが役職員のインセンティブの高揚に十分寄与せず、業績の向上が達成されない場合には、当該費用は当社の経営成績に対して負の影響を及ぼすこととなります。
・負債による資金調達に係るリスクについて
当社グループでは、これまでアジア地域での事業展開を主たる目的に、自己資金の活用に加え、増資、銀行借入れ、社債による資金調達を行ってまいりました。事業環境の変化と財務状況等を踏まえ、外部負債の水準の適切なコントロールに務めた結果、平成29年3月末時点で外部有利子負債額は50億円となっております。今後もバランスシートの健全性、キャッシュ・フローの安定性に留意した資金計画と財務活動により、事業の発展に応じた資金調達に取り組みますが、株式会社格付投資情報センターより平成29年3月末時点で取得している発行体格付けは「BBB(安定的)」であり、金融市場での信用収縮や金利上昇が生じた場合には、追加的な資金調達に悪影響を及ぼすおそれがあります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、後述の「第5経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
経営成績の分析については、「第2事業の状況 1業績等の概要(1)業績」に含めて記載しております。
(次期の見通し)
当社グループの主たる事業である投信投資顧問業は、業績が経済情勢や相場環境によって大きな影響を受けるため将来の業績予想は難しいと認識しており、次期の見通しについての具体的な公表は差し控えさせていただきます。
(3)当連結会計年度の財政状態の分析
<資産の部>
当連結会計年度末の資産合計は、前期末に比べ28億61百万円増加し、235億41百万円となりました。主な増減内訳は、現金及び預金が13億88百万円の増加、投資有価証券が10億80百万円の増加、有形固定資産が9億48百万円の増加となっております。
<負債の部・純資産の部>
当連結会計年度末の負債合計は、前期末に比べ14億11百万円増加し、63億58百万円となりました。主な増減内訳は、1年内返済予定の長期借入金が30億円減少、長期借入金が50億円の増加となっております。
当連結会計年度末の純資産合計は、前期末に比べ14億49百万円増加し、171億83百万円となりました。主な増減内訳は、利益剰余金が15億31百万円の増加、自己株式が1億99百万円の増加となっております。
(4)当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析について
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2事業の状況 1業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。