第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

(1)経営方針

当社グループは、「世界で最も信頼、尊敬されるインベストメント・カンパニー」になることで「世界を豊かに、健康に、そして幸せにする」というミッションの実現を目指す、独立系の資産運用グループであります。また、資産運用サービスを中核事業とする企業グループとしては、日本で初の公開/上場会社であります。

私どもの経営の基本方針の第一は、投資家の皆様に真に役立つ投資インテリジェンスを運用商品として提供し、ご満足いただける運用成果をお届けすることであります。そのために、創業以来の「マクロはミクロの集積である。」との投資哲学に基づく徹底したボトムアップ・アプローチを基軸として、常に革新的な投資手法の開発に努めております。さらに、日本株のスペシャリストとしての経験と知識を株式以外の不動産や発電事業等のインフラ資産への投資スキームにも展開すると共に、韓国・香港の子会社が培った力を統合することで、アジアに関心を寄せる世界中の投資家の期待に応え得る投資インテリジェンスと優れた運用成果の提供に努めてまいります。

方針の第二は、お客様の期待に応えたビジネス拡大を通して、株主の皆様に満足いただける収益を産み出すと共に、企業としての存続と成長の礎となる適切なガバナンスとコンプライアンスの態勢を維持・強化することであります。更なる運用成績の向上への取り組みに加え、新たな投資商品の開発と提供によって収益の拡大を目指す際に、積極的な事業展開と効率性の追求が、コンプライアンスの弛緩に決して繋がることのないように、ガバナンスの実効性を絶えず検証してまいります。

方針の第三は、お客様と株主の皆様の期待に応える事業展開を支えるための有為な人材の保持、獲得と育成であります。高度な専門性と柔軟な創造力、そして強い自己規律の精神を持った人材がチームとして取組んでこそ、私共が目指す資産運用サービスの提供が可能になると考えております。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループの収益の大半を占める投信・投資顧問料収入は、運用資産の残高と報酬料率に応じて生じる残高報酬と、運用成績の良否等によって変動する成功報酬に大別されます。後者の成功報酬は、当社グループの全ての運用資産から発生するものではありません。

従って、当社グループにとって最も重要な経営指標は、収益の源泉である運用資産の残高及び残高報酬料率であります。運用資産残高の推移は適時に把握するのみならず、その変動がお客様からの新規設定や解約によって生じたものか、市場の一般的動向によるものか、運用成績の良否によるものか等を分析し、当社グループの事業競争力の客観的な把握に努めております。また、より付加価値の高い投資戦略を開発・提供することによって、より高い残高報酬料率の実現に努めております。

次に重要な経営指標は、残高報酬の金額から経常的経費を差引いた金額として認識される基礎収益力の水準であります。基礎収益力は持続的かつ安定的な事業運営の基盤でありますから、それが赤字となる状況が生じた場合には、運用報酬の増加を目指すのは当然でありますが、経費削減も含めたあらゆる施策により早期に黒字を回復させる必要があります。一方、基礎収益力が十分な黒字を維持している場合には、成長に向けた投資余力があるとの判断も可能です。

さらに、成功報酬の金額も当然に重要な経営指標の一つであります。当社の営業成績は、基礎収益力と成功報酬によって大半が決定し、その結果に基づき賞与等の支払も決定されますから、成功報酬の多寡が年度毎の営業利益の水準に大きく影響します。全運用資産の内で成功報酬が発生し得る資産の割合、成功報酬の発生状況等、業績への影響度合いを把握するだけでなく、より付加価値の高い投資戦略を開発・提供することによって、成功報酬が発生しうる運用資産残高の増加に努めております。

 

(3)経営戦略等

当社グループは、着実に利益成長を実現する強い体質の構築を目指しております。その達成のため、以下4つの投資戦略が柱であると考えております。

 

1本目の柱は、日本株式投資戦略です。

子会社であるスパークス・アセット・マネジメント株式会社が運用するファンドは、運用評価機関から継続して高い評価を受けております。また、私どもの投資哲学や運用スタイルへの関心も引き続き高いことから、日本の個人投資家の皆様に「日本株ならスパークス」とのSPARXブランドをさらに幅広く認知いただくよう努めております。海外の国家ファンドや年金を始めとする機関投資家様のニーズにも応えられる商品をさらに充実させてまいります。

 

2本目の柱は、OneAsia投資戦略(アジア株式を対象とする運用戦略)です。

運用、マーケティング両部門で3拠点(東京、香港、韓国)を一体化した取り組みを、さらに積極化してまいりました。朝鮮半島情勢が大きな転換期を迎えた今、韓国をはじめとするアジアに大きな投資機会が訪れていると確信しており、日本の投資家様向けに新たな商品の組成したほか、さらに欧米の投資家様向けの商品の組成も検討してまいります。

 

3本目の柱は、実物資産投資戦略です。

再生可能エネルギー発電事業のインフラ資産や不動産を投資対象とする実物資産の運用戦略は、全国の発電施設への投資を24件実行しており、再生可能エネルギー投資戦略の運用資産残高は1,529億円の規模となっております。太陽光のみでなく、バイオマス発電所も安定稼動させており、今後数年のうちに運転開始予定の風力発電所を含め投資対象は広がっております。また、発電事業等の開発段階から運転開始までのフェーズにおける投資(グリーン・フィールド投資)に加えて、運転開始後のフェーズにおける投資(ブラウン・フィールド投資)にフォーカスした、長期的に安定したキャッシュ・フローを源泉としたファンドも運用しております。ブラウン・フィールドのファンドでは、自ら開発した発電設備のみならず外部からの発電設備の取得も行うことができます。今後も引き続き再生可能エネルギーファンドのパイオニアとして皆様のご期待にお応えすべく、魅力的な投資商品の提供を行ってまいります。

 

4本目の柱は、未来創生投資戦略です。

次世代の成長に資する投資を長期的な視点から実践し、投資会社として未来を創造する新たな領域を開拓するため設立した未来創生ファンドは、1号ファンドの投資が完了し、2号ファンドを立ち上げ、2019年3月末で1,113億円まで運用資産残高の規模が拡大しております。国内外のベンチャー企業等への投資を着実に実行し、投資実績を積み上げ、質の高い投資を通じて、革新的な技術やビジネスモデルで世界をリードする企業を発掘・育成することで未来社会に貢献することを目指してまいります。

 

また、上記に加え、スパークスのこれまでのファンドビジネスを強化するため、新たな成長領域への投資を始動いたしました。実物資産や未来創生ファンドなどは、ここ5~6年でゼロからスタートして立ち上がった新しい投資事業であります。両ファンドとも確実にスパークスの成長力、収益力を支える柱へと育ってきております。新しいビジネスをゼロから生み出すスパークスの企業文化と起業家精神をさらに強化しながら、ここまで築いてきた領域の拡大・成長につなげていきたいと考えております。

今後大きな成長の可能性があると考えている領域が、これまで取り組んできている、エネルギーと人口知能(AI)・ロボットに加えて、量子コンピュータ、医療、介護とさらには宇宙の領域と考えております。これからもスパークスらしく、日本株、アジア株の投資事業の拡大・成長を土台に新しいファンド事業を大きく形にしていくことを目指してまいります。

スパークスでは、1989年創業以来、企業を一社一社徹底的に調べ、現場に赴いて実際に目で見て判断する“現地現物”による調査活動を徹底してまいりました。こうした日々の地道な活動が、スパークスで働く人たちが共有する強いインベストメントのカルチャーを造っていると考えております。社長自身が自ら先頭に立ってこのカルチャーを実践し強化することに努めており、これからも創業時より続けている投資の勉強会「バフェットクラブ」などを通じて、高い知見・見識を備え、人格的にも優れた次世代を担う経営者を育成することが、経営者として負うべき最も大切な仕事だと考えております。企業文化や変わらない投資哲学を若い次の世代に継承しながら、新しい分野に取り組み続けることのできる強い組織の創造に向けて精進努力してまいります。

 

創業30周年(2019年7月)となる2020年3月期は、主として上記を中心とした事業展開により当面の目標であるグループ運用資産残高2兆円の達成に向けて努力を続けるだけでなく、その達成後の新しい目標を明確に共有し、準備を具体化する1年となります。

 

(4)経営環境

直近の経営環境については、第一部 企業情報、第2 事業の状況、3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要に含めて記載しております。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

当年度のグループ運用資産残高(AUM)は平均で前期比5.8%増、また平均の運用報酬料率は同5bps(ベーシスポイント)増となり、基礎収益力は同15.5%増と、「安定的に稼ぐ力」は着実に強化されておりますが、成功報酬が減少したことにより、財務会計上の営業利益は同40.6%減となりました。

来年度以降も、グループAUM2兆円の達成に向けて引き続きグループ一丸となって取り組むとともに、これまでのファンドビジネスを強化し、将来の成長性、収益性の基盤となるビジネスの柱を作るため、新たな成長領域への投資にも取り組んでまいります。

また、出来るだけ早く過去最高益を更新するとともに、自律的・継続的に企業価値を高めることのできる組織を構築し、「世界で最も信頼・尊敬される投資会社になる」ことで「世界を豊かに、健康に、そして幸せにする」というミッションを実現するため、主として以下の課題に取り組んでまいります。

 

課題の第一として、市場に影響されない安定的な投資戦略と収益性の高い投資戦略によるハイブリッドのビジネスモデルを、さらに強化・拡大してまいります。

成長実現のための4本柱(「日本株式」「ワンアジア株式」「実物資産」「未来創生」)という、従来からの高収益な上場株式の投資戦略と、安定性の高い実物資産/未来創生の投資戦略を、それぞれ引き続き強化することに加え、今後とも当社ならではの革新的な投資戦略を継続的に構築し、ビジネスモデルをさらに多様化・安定化してまいります。またその過程で、「日本/アジアへの投資ならスパークス」という圧倒的なご支持をいただけるブランドを構築してまいります。

日本株式投資戦略については、運用実績も運用チームのクオリティも業界屈指と自負しておりますが、一方で現在のAUMは、それらが十分に反映されたものになっておりません。30年にわたる実績と経験に裏打ちされた、ユニークで魅力ある当社グループの投資を、世界中の投資家の皆様に対してしっかりとお伝えしていくことで、具体的なAUM拡大につなげてまいります。

ワンアジア株式投資戦略については、アジア全域の株式及び韓国株式に投資する(日本の)公募投資信託がそれぞれ新規設定されたこと等により、今後の拡大に布石を打つことはできましたが、いまだAUMの伸びにはつながっておりません。引き続き日本・韓国・香港の3拠点が一丸となって運用力を強化するとともに、日本株式投資戦略で採ってきた商品の差別化戦略を徹底することで、AUM拡大に不退転の決意で臨み、具体的に目に見える形で成果を出してまいります。

実物資産投資戦略や未来創生投資戦略は、この5年間にゼロから立ち上げた投資戦略ですが、グループの収益力を支える柱へと着実に成長しつつあります。今後は、韓国・香港等のグループ拠点とも協働し、これらの投資戦略をさらに拡大・強化してまいります。

これらの取り組みに加えて、保守的な財務運営方針を維持しつつ、一定の自己資金をエネルギー、量子コンピュータ、医療・介護といった複数の成長領域へ投資することで、新しいビジネスをゼロから生み出す企業文化と起業家精神を活性化し、これまでのファンドビジネスをさらに強化するとともに、企業文化や変わらない投資哲学を次世代に継承しながら、新しい取り組みを自律的に続けることのできる強い組織を創造してまいります。

 

課題の第二として、次世代のマネジメントを育成、登用し、合わせてガバナンス体制を最適化してまいります。

当社にとって、次世代のCEO選任は非常に大きな経営課題であることから、取締役会は今後、客観性・適時性・透明性ある手続きを確立し、十分な時間と資源をかけて、CEOの後継者計画の策定・運用を具体化し、後継者候補を育成してまいります。

次世代を担うマネジメントの必要条件としては、当社グループにおいては1989年の創業来、投資先候補企業を一社一社徹底的に調べ、現場に赴いて実際に目で見て判断する“現地現物”による調査活動、いわゆるボトムアップ・アプローチを徹底しておりますが、こうした日々の地道な活動の積み重ねによって、グループ役職員が自然と共有している価値観の他、高い知見・見識を備え、人格的にも優れていることです。このような要件を充たした人材に対して、より高い課題を与えて自覚を促していく他、社外から採用した優秀な人材をある程度の時間を掛けて育成し、これらを競わせ、衆目が認める結果を残した人材を、次世代のCEOとして登用してまいります。

また当社は、2019年3月22日に東京証券取引所市場第一部へ市場変更を行い、これまで以上に高い水準のガバナンスを求められることとなりました。当社グループは投資会社として、スチュワードシップコードの実践も合わせて求められておりますが、これら2つのコードを高いレベルで実践することが、日本初の独立系上場投資会社としての責務であると考え、次世代のCEOを中心とする新しいマネジメント体制に適したガバナンス体制を、合わせて構築してまいります。

 

課題の第三として、事業の拡大を支える優秀な人材を積極的に採用、育成してまいります。

当社グループのビジネスは、「人が全て」と言っても過言ではありません。この点から優秀な人材の採用を社内における最優先課題の一つと位置付け、人事部門、採用希望部門の他、関係部門やマネジメントも一丸となって、引き続き積極的に取り組んでまいります。

一方で、人件費は経費の中で最も金額の大きい固定費であって、その調整は難しいばかりか、間違った採用は周囲に悪影響を与えることで、比較的小さい組織である当社グループにとっては死活問題ともなり得ます。よって採用は、多様性に配慮しつつ、当社グループの企業文化との親和性、周囲に良い影響を与えることのできる優れた人間性、変化への柔軟な対応力なども慎重に見極めてまいります。また新しい試みとして、金融業界における経験が無くとも、「投資」に対して強い意欲を持ち、非常に優秀でモチベーションの高い若手・中堅人材の採用(”異才採用”)も実施してまいります。

その他、採用した優秀な人材が、互いに切磋琢磨し、成長の機会が提供されて自らの成長を実感できるよう、また金銭的なモチベーションだけでなく、非金銭的なモチベーションを強く感じることのできるよう、“Professional Nurturing Ground(プロを育む肥沃な土壌)”の提供に、引き続き取り組んでまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループは、事業の性質上様々なリスクにさらされており、これらのリスクは将来の当社グループの財政状態及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。以下に、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しておりますが、当社グループの事業遂行上発生しうるすべてのリスクを網羅しているものではありません。

 なお、文中の将来に関する事項の記述は、当連結会計年度末日現在において入手可能な情報に基づき、当社が合理的であると判断したものであります。

 

① 事業内容の特性に係るリスク

  ・顧客に提供する商品及びサービスが特定の分野に集中していることに係るリスクについて

 当社グループの収益の大半は投信投資顧問業に係る委託者報酬及び投資顧問料収入によって構成されており、加えて当社グループが運用する資産の投資対象の大半を日本株式及び韓国株式を中心とするアジア株式が占めています。従って、当社グループの運用資産残高や運用実績等は、日本及びアジア地域の株式市場に影響を及ぼす事象や同地域の株式に対する顧客の資産配分方針に大きく影響を受けるほか、日本・アジア及び世界経済の動向にも大きな影響を受けます。その結果、当社グループの委託者報酬及び投資顧問料収入も大きく変動する可能性があります。

株式を運用対象とする事業において投資戦略の多様化に取組む一方、不動産や再生可能エネルギー発電事業等のインフラ資産を運用対象とする商品の開発・提供に注力すると共に、各種のアドバイザリー業務等にも取組んでおり、着実に拡大しておりますが、グループ業績を支える第2の柱へと成長する途上にあります。従いまして、今後も日本及び韓国を中心とするアジアの株式市場の動向により運用資産残高の低下に伴う運用報酬の減少、さらには運用実績の低迷に伴う成功報酬の減少など、当社の業績に悪影響が及ぶおそれがあります。

 

  ・顧客基盤や販売チャネルの不安定性に係るリスクについて

 当社グループは国内外に幅広い顧客ネットワークを構築して参りましたが、その基盤は必ずしも十分なものではありません。また、それら顧客と当社グループとの契約は比較的短期の事前通知により、また契約によっては事前通知することなく、いつでも顧客が解約することが可能です。一部の投資顧問契約及び投資信託を除いては、顧客に契約の終了又は資金の引出しを禁じるロック・アップ期間はありません。よって一部の顧客が契約の全部又は一部解約などを行ったり、他の顧客がこれに追随するなどしてファンド規模が縮小することがあります。さらに解約などによりファンド規模が縮小した場合、既存又は新規の顧客から新たな資金を集めることが困難になることがあります。これらの結果、運用報酬額及び当社グループの業績にも悪影響を与えることとなります。

 さらに、当社グループは他の多くの資産運用会社と異なり、銀行、証券会社、保険会社といった大手金融機関を核とした金融機関の系列に属しておらず、独立系の資産運用会社として自力で顧客基盤と販売チャネルを構築してまいりました。これらの競合他社は、系列に属することで強力な販売チャネルの活用が可能となることに加え、比較的に解約リスクの低い資金を集めることが可能であり、当社は運用資産残高及び営業収益の安定性あるいは耐久力に関して、比較劣位にあります。従いまして、今後も顧客基盤や販売チャネルの不安定性に基づく当社グループの運用資産残高の低下に伴う残高報酬の減少など、当社の業績に影響が及ぶおそれがあります。

 

  ・運用実績の変動に係るリスクについて

 当社グループが顧客から受託している運用資産に係る運用実績が悪化した場合、既存顧客との契約の維持及び新規契約の獲得に困難が生じ、運用資産残高の減少を招き、当社グループの業績及び今後の事業展開に悪影響をもたらすおそれがあります。

 また、当社グループは営業収益の一部を、運用実績に基づく成功報酬により得ております。しかしながら、成功報酬の金額は、2015年3月期:14億29百万円、2016年3月期:17億30百万円、2017年3月期:13億22百万円、2018年3月期:44億76百万円、2019年3月期:9億22百万円と、運用実績を反映して毎年大きく変動しております。良好な運用実績を安定的に達成するため、当社グループは運用能力の維持向上に努めておりますが、このような努力が成功する保証はありません。

 さらに、当社グループが運用する投資戦略は、成功報酬の付帯比率が高いオルタナティブ運用型の投資戦略と成功報酬の付帯比率が低い伝統的運用型の投資戦略の2つに大別され、この成功報酬の付帯比率を高位に保つことを経営方針の1つとしておりますが、日本及び韓国を中心とするアジアの株式市場の変動をはじめとする市場環境の動向や、それに基づく当社グループの運用実績、顧客の資産配分方針の変動などによって成功報酬の付帯比率が変動する可能性があります。

 

・運用対象の拡大に係るリスクについて

 当社グループは、不動産や再生可能エネルギー発電事業等のインフラ資産を運用対象とした商品の開発・提供にも注力しております。

 当該分野の事業発展には、従前とは異なった経験や知見を有する人材やリソースの確保が必要であり、事業展開に想定以上の時間を要したり、初期投資の負担が収益性を毀損するおそれがあります。その他、これらの事業領域では、個々の案件を推進した当社グループが第三者に生じた損害に対して賠償責任が生じ得る等の独自のリスクもあることから、かかるリスクは可能な限り保険或いは契約等により回避を図るものの、リスク回避の手法、法的規制に対する十分な理解や内部管理体制の構築、そのための人材の充実が求められます。また万一、顧客やマーケットの信頼を失いさらには監督当局から行政処分を受けるなどした場合は、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。
 さらに、新規分野においては必ずしも市場が十分に成熟していないことを背景として、法令や諸規則の改正又はその解釈や運用の変更が行われる可能性もあり、その内容によっては今後の業務展開や業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

・当社グループが管理運営するファンドに係るリスクについて

 当社グループが無限責任組合員又はゼネラルパートナーとしてファンドに関与している場合において、その運用方針、運用制限に沿ってファンド運用を行っている限りは、ファンドの出資額を超える損失が発生し、またそれについて当社グループが責任を負わなければならない事態は、ファンドの運用方針、運用制限の内容からは想定されません。しかしながら、何らかの逸脱行為によって出資額を超える損失を負担する可能性を完全には否定できず、この場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

信用供与に関する偶発債務の顕在化に係るリスクについて

 当社グループが不動産や発電事業等の実物資産に係る投資スキームを構築する上で、子会社や投資スキーム等を通じて保証等の信用供与を行う必要が生じる場合が例外的に存在します。信用供与先が、信用力低下や破綻等によって取引当事者としての義務を果たせない場合は、当社グループが当該債務履行責任を負担することとなる等偶発債務の顕在化のリスクを負うこととなります。このような信用供与を例外的に行う場合には、保証実行のリスク等を慎重に検討した上で実行しておりますが、当該信用供与に関する偶発債務の顕在化のリスクを完全に回避できるものではありません。よって信用供与に関する偶発債務の顕在化のリスクが具体化した場合には、これにより、当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの業績に悪影響が及ぶおそれがあります。

 

・投資先企業への役員派遣に係るリスクについて

 当社グループは投資先企業の価値向上のため、役職員を投資先企業の役員として派遣することがあります。その役職員個人に対し、役員損害賠償請求等があった場合、当社グループがその個人に生じた経済的損失の全部又は一部を負担することとなる可能性があるほか、当社グループに使用者責任が発生する可能性があります。

 

② 経営の外部環境に係るリスク

  ・他社との競合に係るリスクについて

 資産運用業、特に投資助言業は、金融業界の他業種に比べると参入障壁が比較的低い業種であり、常に国内外からの新規参入者との競合を覚悟する必要があります。また、グローバルレベルでの資産運用ニーズの高まりは資産運用業界全体にとっての追い風ではありますが、これにより新規参入が将来にわたってさらに促進される可能性があると共に、国内外の大手金融機関が資産運用サービスを経営戦略上重要なビジネスと位置づけ、積極的に経営資源を投入してくるケースも想定されます。また、業界内での統廃合によって、当社グループの競合他社の規模や体力が増強されることがあります。さらに、競合他社が当社グループのファンドマネージャーやその他の従業員の移籍・採用を図る可能性もあります。

 この様に他社との競合は激化していくことが予想され、その場合には、顧客の獲得や維持に困難が生じるだけでなく、残高報酬料率や成功報酬料率の水準にも影響を及ぼし、当社グループの業績に悪影響が及ぶおそれがあります。

 

  ・為替相場の変動に係るリスクについて

 当社グループの財務諸表は円建てで表示されているため、外国為替レートの変動は、外貨建て資産及び負債の円換算額に影響を及ぼします。また、当社が海外子会社を連結する際には、当該子会社における外貨建ての資産や負債あるいは収益及び費用の円換算額も変動し、連結貸借対照表・連結包括利益計算書上の「為替換算調整勘定」を変動させます。

 日本国内の主要子会社であるスパークス・アセット・マネジメント株式会社の営業収益の大部分は円建てですが、一部の外貨建て取引においては外国為替レートの変動により、これらを円換算する際に、為替差損が生じるおそれがあります。日本以外の顧客との契約の増加などを理由として外貨建て取引が増加した場合、為替変動リスクが増大する可能性があります。

 当社グループでは、為替変動リスクの業績への影響を最小限にするため、為替予約を行うなど為替変動リスクをヘッジする方策を講じておりますが、その方策が十分でない場合には当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

③ 内部管理に係るリスク

  ・アジア地域で実行したM&Aに係るリスクについて

 当社グループは、国内外の投資家に対してアジア地域の成長機会を提供すべく、アジア地域の運用会社のネットワーク化に取り組んでおります。

 2005年2月には、韓国に拠点をもつSPARX Asset Management Korea Co.,Ltd.(以下、「SPARX Korea社」)の発行済株式の過半数を取得し、また、2008年12月には、韓国ロッテグループとSPARX Korea社の更なる成長を目的とした資本提携の合意に達し、当社グループが保有するSPARX Korea社株式の一部を韓国ロッテグループに譲渡いたしました。2018年12月には、韓国の法改正の影響を受け、韓国ロッテグループから持分を取得し、完全子会社化いたしました。また、2006年6月には、香港を主な拠点とするSPARX Asia Capital Management Limited(旧 PMA Capital Management Limited)の全株式を取得いたしました。さらに、2014年4月には、総合不動産投資顧問業(いわゆる不動産投資一任業及び不動産投資顧問業)等を営むスパークス・アセット・トラスト&マネジメント株式会社(旧 ジャパンアセットトラスト株式会社)の株式を取得し、完全子会社といたしました。

 しかしながら、M&A戦略に基づく事業展開が計画通りに進捗しなかったり、あるいは予期しない環境変化などにより買収会社の業績が著しく悪化した場合には、当社グループの経営成績及び財務状態に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

  ・自己勘定からの投資に係るリスクについて

 当社グループは、自己勘定から当社グループが運用するファンドや量子コンピュータ、医療・介護などの成長領域等への投資を行っております。2019年3月末の有価証券・投資有価証券の残高は63億63百万円であり、総資産の20.3%を占めています。この投資額は過去から増減しており、余裕資金の残高、市場環境及び当社グループの運用実績等に基づき、今後も大きく変動する可能性があります。この投資のうち時価がある有価証券・投資有価証券については、取得原価と時価との差異は、税効果を考慮した後、貸借対照表における「その他有価証券評価差額金」に計上されておりますが、取得価額を時価が下回った状態で実際に解約・償還等が行われた場合や時価が著しく下落したこと等により減損処理を行った場合には損益計算書に反映され、当社グループの業績が悪影響を受けるおそれがあります。また、時価がない有価証券・投資有価証券については、貸借対照表において取得原価で計上されており、投資先の業績不振等により有価証券等の資産価値が下落し減損処理を行った場合には損益計算書に反映され、当社グループの業績が悪影響を受けるおそれがあります。

 

  ・税に係るリスクについて

 当社グループは国内外で事業を展開し、それぞれが各国の税法に準拠して適正な納税を行っております。しかし、国や地域間での税務上の取り決め及び各国や各地域における税制上の制度運用や解釈などに変更が生じた際の対応が不十分な場合には、今後の事業展開や業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

  ・人材の確保に係るリスクについて

 当社グループは、事業の維持及び成長を実現するためには、全ての部門で適切な人材を適切な時期に確保することが重要と考え、継続的に優秀な人材を採用し、教育を行ってまいります。しかし、優秀な人材が社外に流出した場合や人材の採用・教育が予定通り進まなかった場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、これにより当社グループの業績に悪影響が及ぶおそれがあります。

 

  ・外部事業者に係るリスクについて

 当社グループは、業務遂行の過程で多くの外部事業者を活用しています。これらには投資信託財産や顧客資産の保管・管理を行うために指定される受託銀行(投資信託委託契約及び国内顧客との投資一任契約の場合)及び保管銀行(外国籍の顧客との投資一任契約の場合)、取引を執行する証券会社などが含まれます。当社グループでは、特定の外部事業者に依存した業務遂行は行っておりませんが、当社グループが利用している外部事業者において、安定的なサービス提供に困難が生じるような事態が発生した場合、当社グループの業務遂行上に支障が発生するおそれがあります。また、当社グループの信用が間接的に損なわれるおそれもあります。

 

  ・システム障害に係るリスクについて

 当社グループのコンピューター・システムに障害が生じた場合、当社グループの業務に悪影響を及ぼすおそれがあります。セカンド・オフィスの維持運営を含む業務継続のための計画を策定し、事故・災害等発生時の業務への支障を軽減するための対策を講じておりますが、テロ、地震・風水害等の自然災害や外部からのサイバー攻撃その他の不正アクセスにより、想定以上のシステム障害が発生した場合には、業務に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

  ・役職員による過誤及び不祥事並びに情報漏えいに係るリスクについて

 当社グループは、社内業務手続の確立を通して役職員による過誤の未然防止策を講じております。また、社内規程やコンプライアンス研修の実施により役職員が徹底して法令を遵守するよう指導に努めております。しかしながら、人為的なミスを完全に排除することはできません。また、役職員個人が詐欺、機密情報の濫用、その他の不祥事に関与し、法令に違反する可能性を否定することはできません。内部者又は不正なアクセスにより外部者が、顧客又は当社グループの機密情報を漏洩したり悪用したりするリスクも完全に排除することはできません。

 このような役職員等による過誤や不祥事等、あるいは情報の漏洩や悪用が発生した場合、当社グループが第三者に生じた損害を賠償する責任を負うだけでなく、顧客やマーケットの信頼を失い、さらには監督当局から行政処分を受けるなど、当社グループの事業、経営成績及び財務状態に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

④ その他のリスク

  ・法的規制に係るリスクについて

 当社グループは、日本においては、金融商品取引法に定める投資運用業、投資助言業、第一種金融商品取引業

及び第二種金融商品取引業に加え、それらに関連あるいは付随する業務を営んでおりますので、金融商品取引法

を始めとする各種の法令や諸規則を遵守する必要があります。当社グループでは、現時点において、主たる業務において以下の許認可及び登録(以下、「許認可等」という。)を受けております。現時点におきましては、上記免許又は認可が取消しとなるような事由は発生しておりませんが、将来、何らかの理由により許認可等の取消等があった場合には、当社グループの事業推進に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

取得・登録者名

スパークス・アセット・マネジメント株式会社

スパークス・アセット・トラスト

&マネジメント株式会社

取得年月

2007年9月30日

2007年9月30日

許認可等の名称

金融商品取引業者(登録)

金融商品取引業者(登録)

所管官庁等

金融庁

金融庁

許認可等の内容

投資運用業

投資助言・代理業

第一種金融商品取引業

第二種金融商品取引業

登録番号 関東財務局長(金商)第346号

投資運用業

投資助言・代理業

第二種金融商品取引業

 

登録番号 関東財務局長(金商)第783号

有効期限

有効期間の定めはありません。

有効期間の定めはありません。

法令違反の要件

及び主な許認可取消事由

不正の手段により登録を受けた場合、役員等が欠格事由に該当する場合、純資産額が必要かつ適当な水準に満たない場合など、金融商品取引法第52条に抵触する場合は登録の取消

不正の手段により登録を受けた場合、役員等が欠格事由に該当する場合、純資産額が必要かつ適当な水準に満たない場合など、金融商品取引法第52条に抵触する場合は登録の取消

 

取得・登録者名

スパークス・アセット・トラスト

&マネジメント株式会社

スパークス・アセット・マネジメント株式会社

スパークス・アセット・トラスト

&マネジメント株式会社

取得年月

2017年4月28日

2015年6月5日

2016年7月15日

許認可等の名称

不動産投資顧問業者(登録)

宅地建物取引業者(免許)

宅地建物取引業者(免許)

所管官庁等

国土交通省

東京都

東京都

許認可等の内容

総合不動産投資顧問業

登録番号 国土交通大臣 第149号

免許証番号 東京都知事(2)第91803号

免許証番号 東京都知事(3)第86144号

有効期限

2017年4月28日から

2022年4月27日まで

(5年間)

以後5年ごとに更新

2015年6月5日から

2020年6月4日まで

(5年間)

以後5年ごとに更新

2016年7月15日から

2021年7月14日まで

(5年間)

以後5年ごとに更新

法令違反の要件

及び主な許認可取消事由

不正の手段により登録を受けた場合、役員等が欠格事由に該当する場合など、不動産投資顧問業登録規程第30条に抵触する場合は登録の取消

不正の手段による免許の取得、役員等が欠格事由に該当する場合など、宅地建物取引業法第66条に該当する場合、免許の取消

不正の手段による免許の取得、役員等が欠格事由に該当する場合など、宅地建物取引業法第66条に該当する場合、免許の取消

 また、韓国、香港、バミューダ及びケイマン等におきましても資産運用業等を営んでおりますので、それぞれの国や地域における法令や諸規則を遵守する必要があります。これら国内外の法令や諸規則の遵守を徹底するため、グループ各社が社内規則及びモニタリング体制の整備、さらには役職員等に対する研修に努める一方、当社に設置されたコンプライアンス委員会がグループ内の利益相反取引などのモニタリングと指導の役割を担っております。これらの措置によりコンプライアンス態勢は適切な水準を維持しているものと考えておりますが、広範な権限を有する監督当局等から行政上の指導あるいは処分を受けるというような事態が生じた場合には、その内容によっては通常の業務活動が制限されたり、行政処分などを理由として顧客が資産を引き揚げたりするおそれがあります。また、法令や諸規則の改正又はその解釈や運用の変更が行われる場合、その内容によっては今後の業務展開や業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

  ・訴訟等の可能性に係るリスクについて

 当社グループの事業に重大な影響を及ぼす訴訟等は現在存在しません。また当社グループの事業に重大な影響を及ぼすような訴訟に発展するおそれのある紛争も現在ありません。しかしながら、当社グループの事業の性格上、当社及び当社の国内外子会社が関連法規や各種契約などに違反し、顧客に損失が発生した場合等には訴訟を提起される可能性があります。このような訴訟が提訴された場合、訴訟の内容及び金額によっては当社グループの業績に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

  ・阿部修平への依存の高さに係るリスクについて

 当社の創業者であり、現 代表取締役社長、また大株主でもある阿部修平は、当社グループの事業経営及び投資戦略の方向性の決定において重要な役割を果たしています。当社グループは、より組織的な運営形態の構築及びマネジメントを担い得る人材の育成により、阿部個人への依存度を引き下げる努力を行っておりますが、阿部が何らかの事情で通常の職務を遂行できなくなる場合には、当社グループの業績に少なからぬ悪影響を及ぼすリスクがあります。

 さらに、2019年3月末現在、阿部は、その親族及びそれらの出資する会社(以下「阿部グループ」といいます)を通じて、当社株式の過半を保有する大株主であります。このため、阿部グループは、当社取締役及び監査役の選任等会社の基本的な事項を決定することができます。この点においても、阿部が何らかの事情で適切に議決権を行使できず、企業価値を害されるような議決権行使がされてしまう場合には、当社グループの利益ひいては他の株主の利益に少なからぬ悪影響を及ぼすリスクがあります。

 

  ・連結の範囲決定に係るリスクについて

当社グループは、「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(企業会計基準委員会 実務対応報告第20号 最終改正平成23年3月25日)を適用しており、各ファンド及びSPCごとに、アセットマネジメント契約や匿名組合契約等を考慮し、個別に支配力及び影響力の有無を検討した上で、子会社及び関連会社を判定し、連結の範囲を決定しております。

今後、新たな会計基準の設定や実務指針等の公表により、各ファンド及び各SPCに関する連結範囲決定方針について、当社グループが採用している方針と大きく異なる会計慣行が確立された場合には、当社グループの連結範囲決定方針に大きな変更が生じ、当社グループの財政状態や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  ・負債による資金調達に係るリスクについて

 当社グループでは、これまでアジア地域での事業展開を主たる目的に、自己資金の活用に加え、増資、銀行借入れ、社債による資金調達を行ってまいりました。事業環境の変化と財務状況等を踏まえ、外部負債の水準の適切なコントロールに務めた結果、2019年3月末時点で外部有利子負債額は70億円となっております。今後もバランスシートの健全性、キャッシュ・フローの安定性に留意した資金計画と財務活動により、事業の発展に応じた資金調達に取り組みますが、株式会社格付投資情報センターより2019年3月末時点で取得している発行体格付けは「BBB(安定的)」であり、金融市場での信用収縮や金利上昇が生じた場合には、追加的な資金調達に悪影響を及ぼすおそれがあります。

 

  ・SNSなどを通じた情報発信に伴うリスクについて

 当社グループ又は当社グループが行っている事業全般に対する否定的な風評が、マスコミ報道やインターネット上の掲示板、SNSへの書き込み等により発生・流布した場合、それが正確な事実に基づいたものであるか否かにかかわらず、当社グループ又は当社グループが行っている事業、あるいは当社グループが提供する商品やサービスのイメージ・社会的信用が毀損し、ひいては当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

 当連結会計年度の日本株式市場は、米国を軸とした貿易摩擦への懸念のなか始まりました。朝鮮半島の地政学的リスクに落ち着きが見られるなかで為替が円安ドル高となったことが支えとなり堅調に推移し、5月下旬には一時23,000円を回復する場面もありました。米国が中国に対して追加の関税を課すことを公表したこと等により下落する場面はありましたが、9月にトルコの利上げによって新興国通貨に対する不安が一服したこと、米中関係の悪材料が出尽くしたとの見方が広がったことから、9月末には日経平均株価は24,000円を超える水準まで上昇しました。しかし、その後も貿易摩擦は解消されず年末には中国大手通信機器メーカー幹部の逮捕が米中関係を深刻化させるという見方につながったこと等により貿易摩擦や景況感悪化への懸念が高まったことで年末には大幅な下落となりました。年明け後、米中貿易協議の進展期待や中国の景気刺激策への期待などから株価は緩やかに上昇し、2月中旬に21,000円を回復しました。その後は、欧州の景気減速懸念や英国のEU離脱方法への警戒感などから模様眺めの状況となった結果、当連結会計年度末の日経平均株価は前連結会計年度末に比べ1.2%下落し21,205.81円で取引を終えました。

 

 このような市場環境のもと、当社グループの当連結会計年度末運用資産残高は、1兆1,856億円(注1)と前期末に比して5.4%増加しました。

 事業の持続的かつ安定的な基盤となる収益力を示す指標である基礎収益(注2)も前期比15.5%増の36億60百万円(前期は31億69百万円)となり、実質的な収益体質は着実に強化されております。

 

 日本株式を投資対象とする運用戦略は、子会社であるスパークス・アセット・マネジメント株式会社が運用するファンドは、運用評価機関から継続して高い評価を受けております。また、私どもの投資哲学や運用スタイルへの関心も引き続き高いことから、日本の個人投資家の皆様に「日本株ならスパークス」とのSPARXブランドをさらに幅広く認知いただくよう努めております。

 アジア株式を投資対象とする運用戦略は、東京・香港・韓国のファンドマネジャーがアジア企業への調査などを共同で行っており、投資アイディアを共有することで韓国株式の公募投資信託を新商品として設定するなど地力がついてきております。アジア企業の調査を通じ、今まで日本株式運用で培った運用手法を伝承することで「アジア株もスパークス」とのSPARXブランドを構築してまいります。

 再生可能エネルギー発電事業のインフラ資産や不動産を投資対象とする実物資産の運用戦略は、全国の発電施設への投資を24件実行しており、再生可能エネルギー投資戦略の運用資産残高は1,529億円の規模となっております。太陽光のみでなく、バイオマス発電所も安定稼動させており、今後数年のうちに運転開始予定の風力発電所を含め投資対象は広がっております。また、発電事業等の開発段階から運転開始までのフェーズにおける投資(グリーン・フィールド投資)に加えて、運転開始後のフェーズにおける投資(ブラウン・フィールド投資)にフォーカスした、長期的に安定したキャッシュ・フローを源泉としたファンドも運用しております。ブラウン・フィールドのファンドでは、自ら開発した発電設備のみならず外部からの発電設備の取得も行うことができます。今後も引き続き再生可能エネルギーファンドのパイオニアとして皆様のご期待にお応えすべく、魅力的な投資商品の提供を行ってまいります。

 次世代の成長に資する投資を長期的な視点から実践し、投資会社として未来を創造する新たな領域を開拓するため設立した未来創生ファンドは、1号ファンドの投資が完了し、2号ファンドを立ち上げ、2019年3月末で1,113億円まで運用資産残高の規模が拡大しております。国内外のベンチャー企業等への投資を着実に実行し、投資実績を積み上げ、質の高い投資を通じて、革新的な技術やビジネスモデルで世界をリードする企業を発掘・育成することで未来社会に貢献することを目指してまいります。

 

 上記の結果、当連結会計年度における残高報酬(注3)は前期比19.1%増の102億1百万円となりました。一方、成功報酬(注4)は、前期比79.4%減の9億22百万円となり、営業収益は前期比15.0%減の112億39百万円となりました。

 営業費用及び一般管理費は、前期比10.2%増の73億38百万円となりました。これは、成功報酬の減少に伴い利益が減少したことで業績賞与が減少したものの、委託者報酬(残高報酬)の増加に伴う支払手数料等が増加したことによるものです。

 これらの結果、営業利益は前期比40.6%減の39億1百万円、経常利益は前期比39.2%減の40億51百万円となりました。また、当社が保有する投資有価証券の一部売却による投資有価証券売却益96百万円を特別利益に計上し、税金等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比30.7%減の32億46百万円となりました。

 

(注1)当連結会計年度末(2019年3月末)運用資産残高は速報値であります。

(注2)基礎収益とは、経常的に発生する残高報酬(手数料控除後)の金額から経常的経費を差し引いた金額であり、当社グループの最も重要な経営指標のひとつであります。

(注3)残高報酬には、日本再生可能エネルギー投資戦略に関連する発電所等の管理報酬を含んでおります。

(注4)成功報酬には、株式運用ファンドにおける成功報酬の他に、不動産購入・売却に対して当社グループがファンドから受ける一時的な報酬や、日本再生可能エネルギー投資戦略に関連する発電所スキームの組成の対価等として受ける一時的な報酬(アクイジションフィー)を含んでおります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ14億97百万減少し、当連結会計年度末は171億52百万円(前期比8.0%減)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主たる要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは6億78百万円の収入(前期は71億44百万円の収入)となりました。これは主に、法人税等の支払額25億44百万円があった一方で、税金等調整前当期純利益41億48百万円の計上等があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは7億9百万円の支出(前期は20億50百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入6億3百万円があった一方で、投資有価証券の取得による支出14億39百万円があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは15億9百万円の支出(前期は7億63百万円の支出)となりました。これは主に長期借入による収入20億円があった一方で、配当金の支払い14億27百万円及び子会社の自己株式取得による支出21億54百万円があったことによるものです。

 

営業の実績

 (1)営業収益の実績

当社グループの連結営業収益の項目別内訳は以下のとおりです。

項目

前連結会計年度(2018年3月期)

当連結会計年度(2019年3月期)

金額
(百万円)

構成比(%)

金額
(百万円)

構成比(%)

残高報酬

8,568

64.8%

10,201

90.8%

成功報酬

4,476

33.8%

922

8.2%

その他

182

1.4%

115

1.0%

営業収益合計

13,227

100.0%

11,239

100.0%


・残高報酬
 残高報酬料率(ネット・ベース)の推移は以下のとおりです。

区分

前連結会計年度

(2018年3月期)

当連結会計年度

(2019年3月期)

当社グループ残高報酬料率
(ネット・ベース)

0.68%

0.73%

(注) 残高報酬料率(ネット・ベース)=(残高報酬-残高報酬に係る支払手数料)÷ 期中平均運用資産残高

・成功報酬(株式運用ファンド関連)
 成功報酬は、単純なケースでは過去のファンド計算期間末日の「一口当たり純資産価額」=「Net Asset Value Per Share」(以下、「NAVPS」と言います。)の最高値を、今ファンド計算期間末日のNAVPSと比較して、今ファンド計算期間末日のNAVPSの方が高かった場合に、値上がり部分に一定料率をかけて計算します(これを「ハイ・ウォーター・マーク方式」といいます)。

 また、契約によっては、ベンチマークを一定以上上回った部分に一定料率をかけて計算するものもあります。

絶対リターン追求型の運用に多いハイ・ウォーター・マーク(HWM)方式の成功報酬の仕組み

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(注)1.上記の図は成功報酬の仕組みを簡便に説明したもので、実際の成功報酬の体系及びファンドの基準価格の
     計算方法を厳密に説明しているものではありません。
(注)2.上記では、説明の都合上、成功報酬の料率を便宜的に20%として計算しております。

 

(2)運用資産残高の実績

 以下の表は、当社グループの当期の運用資産残高の実績を示したものです。なお、日本円建て以外の運用資産残高を日本円に換算する際には、それぞれの時点における月末為替レートを用いております。
 当社グループは、以下の場合を除き、直接的、間接的に子会社の持分割合を100%保有しており、下記の数値は当社子会社に対する当社持分に拘らず運用資産残高の100%を記載しております。

 

会社名

2018年3月

2019年3月

 SPARX Asset Management Korea Co., Ltd.

70.1%

100.0%

 

 ① 投資対象別の四半期運用資産残高の推移                        (単位:億円)

投資対象

2018年6月

2018年9月

2018年12月

2019年3月

日本

10,828

11,726

11,064

11,487

韓国

179

183

164

141

アジア全域

215

212

217

227

合計

11,222

12,122

11,446

11,856

(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。

   2.2019年3月末運用資産残高は速報値となっております。

 

   ② 平均運用資産残高                                  (単位:億円)

 

2018年3月期

連結会計年度

2019年3月期

連結会計年度

当社グループ合計

10,937

11,572

(注) 1.各期の月末運用資産残高の単純平均であります。

2.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。

3.2018年3月末運用資産残高は速報値となっております。

 

   ③ 成功報酬付運用資産残高及び比率

会社名

 

2018年3月

2019年3月

当社グループ合計

残高(億円)

2,853

3,585

比率(%)

25.4

30.2

(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。

   2. 2019年3月末運用資産残高は速報値となっております。

 

  ④ 投資戦略別四半期末運用資産残高の推移
  投資対象が日本となる運用資産残高の内訳

(単位:億円)

投資戦略

2018年6月

2018年9月

2018年12月

2019年3月

日本株式ロング・ショート投資戦略

486

480

444

462

日本株式長期厳選投資戦略

4,346

4,819

4,395

5,063

日本株式中小型投資戦略

2,476

2,513

1,997

2,033

日本株式環境・クリーンテック投資戦略

747

789

616

日本株式価値創造・対話型投資戦略

142

152

106

112

日本株式マーケット・ニュートラル投資戦略

58

254

337

427

日本株式サステナブル投資戦略

283

432

382

414

日本不動産投資戦略

331

331

331

331

日本再生可能エネルギー投資戦略

1,587

1,585

1,528

1,529

未来創生投資戦略

367

367

925

1,113

その他

0

0

0

合計

10,828

11,726

11,064

11,487

(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。

   2.2019年3月末運用資産残高は速報値となっております。

 

  ■投資対象が韓国となる運用資産残高の内訳

(単位:億円)

投資戦略

2018年6月

2018年9月

2018年12月

2019年3月

 韓国株式アクティブ投資戦略

41

46

37

11

 韓国株式アブソリュート・リターン投資戦略

72

71

65

68

 その他

64

66

61

61

合計

179

183

164

141

(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。

   2.2019年3月末運用資産残高は速報値となっております。

 

  ■投資対象がアジア全域となる運用資産残高の内訳

(単位:億円)

投資戦略

2018年6月

2018年9月

2018年12月

2019年3月

 アジア株式投資戦略

215

212

217

227

合計

215

212

217

227

(注) 1.金額は、時価純資産額であり、表示単位未満を切り捨てて表示しております。

   2.2019年3月末運用資産残高は速報値となっております。

 

経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、後述の「第5経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。

 

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

 経営成績の分析については、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)業績」に含めて記載しております。

 

   (次期の見通し)

 当社グループの主たる事業である投信投資顧問業は、業績が経済情勢や相場環境によって大きな影響を受けるため将来の業績予想は難しいと認識しており、次期の見通しについての具体的な公表は差し控えさせていただきます。

 

(3)当連結会計年度の財政状態の分析

<資産の部>

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ5百万円減少し、313億31百万円となりました。主な増減内訳は、現金及び預金が14億97百万円の減少、投資有価証券が4億95百万円の増加、未収還付法人税等が5億12百万円の増加となっております。

 

<負債の部・純資産の部>

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ3億64百万円増加し、103億10百万円となりました。主な増減内訳は、長期借入金が20億円の増加、未払金が2億27百万円の減少、未払法人税等が12億10百万円の減少となっております。

 

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ3億70百万円減少し、210億20百万円となりました。主な増減内訳は、資本剰余金が7億31百万円の減少、利益剰余金が18億15百万円の増加、非支配株主持分が13億75百万円の減少となっております。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

① キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」に含めて記載しております。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの投資を目的とした主な資金需要につきましては、シードマネー投資等によるものであります。

短期運転資金は自己資金を基本としており、シードマネー投資等につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金等の有利子負債の残高は70億84百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は171億52百万円となっております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。