第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

当社は、2022年度より9ヶ年の「長期経営ビジョン2030」及び第Ⅰ期、第Ⅱ期からなる「中期経営計画(2022-2027)」を策定しました。当事業年度は「中期経営計画2027」の第Ⅰ期終了年度となり、目標数値はクリアしております。そして、当初計画から3年が経過したことにより、社会環境が大きく変貌していることも踏まえ、新たな長期経営ビジョン「TSS Economic Vision500」(以下「Vision500」という。)と第Ⅱ期にあたる「中期経営計画2027」を策定いたしました。

(1) 「Vision500」

不変のスローガンである「お客様と共に未来を創る」をもとに、事業成長にフォーカスした長期経営戦略「Vision500」を策定し「To-Be(なりたい姿)」を見据えた経営を進めております。

① To-Be(なりたい姿)

(お客様や社会に対して) 社会課題解決プロデューサー

(社   員   と  し  て)  業務×IT×コンピテンシー

(市   場  に 対 し て)  東証プライム市場での確かなプレゼンス

② 基本方針

M&A、業務提携による規模拡大

人的資本の抜本強化

新たなサービス展開、品質・生産性の抜本向上

③ 計数目標

2030年度目標値 売上高500億円、営業利益60億円、ROE20%

 

(2) 「中期経営計画2027」

当社は、「Vision500」を実現するためのマイルストーンとして、「中期経営計画2027」を策定しております。

主な取り組み事項は下記のとおりとなります。

 

課題項目

方向性

取り組み

①ストック収益の向上

・通信、製造及び物流等非金融領域における受注拡大

・公共系案件の受注安定化

・非金融の割合30%程度を目指す。

・金融/非金融問わず、エンドユーザ向けの保守を狙う。

・提携先企業との協業

②デジタルビジネスの注力

・付加価値の高いDX開発への進出を図る

・アプリ開発と基盤の両面で展開

・DX基盤の要となる「クラウド構築」

・DX開発における標準プロセスとも言える「アジャイル開発」

・「生成AI」を活用したビジネス展開

・デジタル証券他新規ビジネス創出

③サービスビジネスの拡大

・アライアンスの強化・M&Aの進行

・国内外のプロダクトの調査、研究

・提携企業先とのプロダクト活用

・新規サービスの推進

・国内外プロダクトにおける融合ソリューションの開発

④エンドユーザ取引の拡大

・エンドユーザとの人的交流(共創視点)

・顧客の内製化支援

・創造性を持ち、協業強化へ臨み、直接請負案件数の増大推進。

・社会課題解決型企業に向け、収益基盤のさらなる拡大。

⑤ソフトウェア品質及び生産性の拡大

・請負開発で品質を担保するための運用の確立

・AIの活用

・TSS開発標準(TSS-Way)による再構築

・ソフトウェア開発の自動化推進

・デジタル技術活用による社内生産性の向上

 

 

課題項目

方向性

取り組み

⑥資本コストや株価を意識した経営

・東証ルール改変に伴う対応

・事業規模拡大に伴う時価総額引き上げ

・株価向上(現株価のアウトパフォーム)

・株主還元施策の検討

・戦略IR(次期TOPIXへの組み入れ)

・アライアンス強化及びM&A推進

・キャピタルアロケーション策定

・株主構成の適正化

⑦人的資本の抜本強化

・人財開発体制の見直し(育成、採用)

・給与引き上げ、賃金体系等見直し

・DE&Iの推進

・人財開発本部新設(人財の資質、志向、経験等活用)

・人事制度の抜本改革(やりがい醸成)

・女性の割合増加(管理職、役員)

⑧ガバナンス強化、環境経営の推進

・買収にかかる対話(検討・協議)

・開示における英訳対応

・サステナビリティ評価機関(CDP)の対応

・サイバーリスクへの課題認識

・アクティビスト動向認識,対応体制構築

・広報(対話の促進によるブランディング)

・バリューチェーンエンゲージメント

・サイバーリスクガバナンス体制構築

 

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、長らく売上高、営業利益額、売上高営業利益率、ROE(自己資本利益率)、配当性向を用いておりましたが、この度配当性向を総還元性向に変更しております。長期経営戦略「Vision500」では、売上高500億円、営業利益額60億円、売上高営業利益率12%、ROE20%、総還元性向50%としております。

 

(4) 経営環境

今後の日本経済は、賃金上昇や各種政策支援により個人消費の活性化が期待されるものの、物価上昇や金利の影響等から、先行きは不透明な状況が継続する見込みです。一方、喫緊のマイグレーション対応に加え、生成AIを活用した企業変革・ビジネスモデル変革の推進により、今後もDX投資は益々加速していくものと思われ、情報サービス産業を取り巻くマーケットは引続き堅調であると予想されます。

このような環境のもと、新たな長期経営戦略「Vision500」及び新「中期経営計画2027」を達成することにより確かな事業成長を目指してまいります。

 

(5) 対処すべき課題

① 金融以外のストック収益の向上

当社が強みとする金融ソリューションをより一層強化するとともに、更なる収益基盤の拡大を図るためにDX対応が活況な非金融領域におけるソリューション提供を積極的に推進してまいりました。今期は、大型の金融ソリューション案件に対応しつつ、行政手続きのオンライン化を中心とした公務に加え、DX投資が活況な運輸、医療福祉、情報サービス等幅広くビジネス変革を推進し、売上を拡大してまいりました。

今後も、リスクコントロール経営による安定収益の確保を目的に、業務提携契約を締結した日鉄ソリューションズ株式会社及び株式会社ランドコンピュータとの戦略的互恵関係をより一層強化し、非金融領域の保守拡大を推進することで事業ポートフォリオの変革を図り、更なる事業拡大に努めてまいります。

② デジタルビジネスへの注力

様々なデジタルコンテンツを自動生成する「生成AI」、DX基盤の要となる「クラウド構築」やDX開発における標準プロセスとも言える「アジャイル開発」、データドリブン経営を支える「データの取得・蓄積・分析」、これらをキーワードに案件を受注してまいりました。

今後も、不確実性の高い社会情勢を的確に捉え、高付加価値ビジネスへの転換を図るために、データの利活用やネットサービスビジネス等、顧客にとって付加価値の高い開発エリアに注力し、更なる売上・利益の確保を図ってまいります。

③ サービスビジネスの拡大

新たな収益モデルの確立を図るために、人月ビジネスからの脱却を図り、ボラティリティの高い労働集約型の受託開発だけでなく、安定的な収益確保が見込めるサービス提供型ビジネスの創出を図ってまいりました。具体的には、スマートフォンを活用した証券業務の運用ビジネス、災害対策システムのサービス化、海外を含む他社プロダクトとの融合によるソリューション提供、生成AIやメタバースを活用した研究開発等を推進してまいりました。

今後も、これらの独自戦略に加え、顧客に対してビジネス価値を提供するため、自社のみならずパートナー企業との戦略的な互恵関係を築きながら、新たなサブスクリプション型ビジネスモデルを創出し、更なる売上・利益を確保してまいります。

④ エンドユーザ取引の拡大

高付加価値ビジネスを推進するため、エンドユーザからのシステム開発受注や社員代替による顧客業務支援を強化してまいりました。今後、顧客によるシステムの内製化が加速することに伴い、既存顧客とより一層の関係強化を図るとともに、新たなエンドユーザ開拓を積極的に推進してまいります。その実現に向けては、今般、構築した営業マネジメントシステムを活用し、戦略的な営業活動を展開するとともに、DX時代に不可欠である顧客の課題解決や付加価値創出といった新たなビジネス価値提供を目的とした提案型営業に注力し、企業競争力の向上を図ってまいります。

⑤ ソフトウェア品質及び生産性の抜本的向上

高品質なソフトウェアを提供すべく、PMO組織によるプロジェクト監視を徹底し、品質の向上を図ってまいりました。今後も、継続的な改善活動を通じ、不採算プロジェクトの予兆検知や低利益プロジェクトの改善を行い、収益性の向上を図ってまいります。さらに、生成AIを活用しソフトウェア開発プロセスの自動化に加え社内の業務プロセスを最適化することで、生産性の抜本的向上を実現し、更なる売上・利益の確保を図ってまいります。

 

⑥ 資本コストや株価を意識した経営の推進

これまで培ってきた資産およびケイパビリティを活かしながら、自社単独での事業拡大に向けた各種施策とともに、アライアンス強化を目的としたM&A投資や自社株式の公開買付など、株主還元施策を積極的に推進してまいりました。また、株主通信や決算説明会による対話機会の創出、開示資料の英訳化等、広報IRの強化も行ってまいりました。

今後、飛躍的に事業を拡大させるためには、DX人財の確保・育成に加え、新たな事業領域や技術領域を獲得することが必須と考えており、当社単独で10%成長を遂げるとともに、より一層のM&A投資を積極的に推進し、2027年度までに300億円、2030年度までに500億円の売上規模達成を目指してまいります。そして、プライム市場への継続的かつ安定的な上場維持とともに次期TOPIX構成銘柄への採用を目指し、資本を戦略的かつ効率的に配分することで、成長投資の最大化と、株主還元のバランスを実現し、長期的な価値創造を実現してまいります。

⑦ 人的資本の抜本強化

「全ての社員がいきいきと働ける職場・組織を追求する」という目的のもと、働きやすい職場環境の整備に取り組んでまいりました。その結果、女性活躍推進認定企業として、厚生労働省より最高位である「えるぼし認定3つ星」を取得しました。また、社員の働きがい向上とともに、生産効率をより一層高めることを目的に、今般、人財開発本部を新設しました。

今後も、DE&Iの推進を継続するとともに、今般、構築した人的資本マネジメントシステムを活用し、採用から教育、実践までをシームレスにつなぎ、社員の能力を早期かつ飛躍的にアップデートすることで、社員の成長実感を醸成するとともに、飛躍的な事業成長を図ってまいります。

⑧ ガバナンスの強化、環境経営の推進

実効性の高い経営体制を構築するとともに取締役会の機能向上を図り、プライム市場における上場維持基準の継続的かつ安定的な適合に努めてまいりました。また、環境経営の推進として、新たな価値創造と社会貢献に向けたESG活動を推進するサステナビリティ委員会にてKPI を設定し、その達成に向けた活動を行うとともに、サステナビリティサイトを通じて 投資家との対話を促進してまいりました。当社は、地球環境問題に関する国際的な非営利団体であるCDP(Carbon Disclosure Project)を活用することで気候変動への対応を推進することとしており、今般、前回 よりも高い評価である「B」スコアを獲得するに至りました。

今後も、長期経営戦略「Vision500」ならびに新「中期経営計画2027」の実現のため、ガバナンス強化を継続的に推進しながら、CDPの対応促進として、バリューチェーンエンゲージメント活動の検討やカーボンニュートラル実現に向けた省エネ活動等を実施し、企業価値の更なる向上に努めてまいります。

 

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社にとっての「サステナビリティ」とは、当社の 「基本理念」に基づく「Vision」により、ステークホルダーとともに事業を通して「2つの価値 (経済的価値・社会的価値)」 の最大化を図り、当社と社会の持続的な成長と未来社会の創造を目指すことにあります。

そして、経営ビジョンである「お客様が求める価値を共に創造し実現すると共にその先にある社会課題の解決を図り、持続可能な未来社会を創造する」を実現するため、長期成長戦略「Vision500」を策定し、そこでは中心課題である「持続可能な社会の実現」に向けて、サステナビリティに関する課題に対し積極的に対応し、またESGへの取り組みを掲げることで環境や社会課題の解決、ガバナンスの向上に向けた取り組み推進を図ります。本取り組みにあたっては、ステークホルダーからの期待と当社事業との関連性の両面から考えられる「重要課題(マテリアリティ)」に重点を置いて、サステナブルな経営を推進します。

※マテリアリティについては、当社サステナビリティサイトをご参照ください。

当社サイト(SDGsとマテリアリティ): https://www.tss.co.jp/tabid/596/Default.aspx#page02

 

当社は、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言へ賛同しており、これを契機として、今後の気候変動に関連する事象を経営リスクとして捉え対応するとともに新たな機会も見出すことで、事業戦略へと生かしてまいります。

また、当社は、長期成長戦略「Vision500」を実現するために、「人こそ財産」の理念のもと、国籍、年齢、性別等に関わらず社員一人ひとりの個性や志向を受け入れて、多様な力に変えていくことが重要であると考えております。そのような方針のもと、女性が活躍できる職場は男女ともに活躍できる職場であるとの考え方に立ち、男女を問わずすべての社員が自身の成長や活躍を実感し、いきいきと働ける職場づくりを目指して、①人財育成の強化、社員一人ひとりが活躍できる環境づくり、社員の成長の可視化/社員の活躍の評価等の仕組みづくりを中心とした「人財育成方針」、及び②社員エンゲージメントの向上を軸とした健康経営の推進、働き方改革の促進等の「社内環境整備方針」を両輪で推進してまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社は、代表取締役社長を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置するなかで、重要な気候変動対応についてリスクと機会を特定するなど、適切なマネジメントを実施しております。当サステナビリティ委員会では、これらTCFDの枠組みに基づく気候関連リスクへの取り組みを含むサステナビリティ全般に関する、基本方針の策定や重要事項の解決に向けた目標の設定、活動計画の策定、目標に対する進捗管理や評価、個別施策の審議、必要に応じて是正策を検討するなど、社内関係部署への展開も行っております。

また、これらの結果は定期的に取締役会・経営会議に報告され、取締役会において管理・監督を行っております。

 


 

(2) 戦略

当社は、TCFD提言に基づき、リスク及び機会の特定・評価、気候関連問題が事業に与える中長期的な影響を把握するため、シナリオ分析を実施しております。

パリ協定の目標である産業革命以前に比べて全世界の平均気温の上昇を1.5℃とする (1.5℃シナリオ)、及び新たな政策・制度が導入されず世界の温室効果ガスが現在より増加するシナリオ(4℃シナリオ)の2つのシナリオを用いて対応方針をまとめ、気候変動対応を中長期におけるシナリオ分析に基づく事業インパクト(リスクと機会)を評価しております。

※シナリオ分析に基づく事業インパクト(リスクと機会)については、当社サイトをご参照ください。

 当社サイト(TCFD提言に基づく情報開示): https://www.tss.co.jp/tabid/599/Default.aspx

 

また、「人財育成方針」及び「社内環境整備方針」を両輪として整備する中で、それぞれ下記の通り取り組んでおります。

① 当社における「人財育成方針」として、「社員一人ひとりが主体的にキャリアビジョンを描いてそこに向かって成長し、会社は、社員の能力発揮、キャリアの実現を後押しする環境を整備することで、社員の持続的な成長・活躍を促進し、企業価値を高めていく。」ことを掲げ、下記に取り組んでおります。

イ キャリアデザインの推進

ロ 人財育成の強化(スキル体系の整備、キャリアモデル別研修の実施、次世代リーダーの育成、OJTの強化等)

ハ 成長実感サイクルの構築

② 「社内環境整備方針」として、人財の多様性の確保と従業員エンゲージメントの強化を軸に、社員の所属する組織と自身の仕事への熱意や自発的に貢献しようとする意欲を引き出し、社員と会社間で将来に希望が持てる/共感できる関係を築いていくことを目指して、下記に取り組んでおります。

イ 健康経営の推進(心身共に健康で働くことのできる職場づくり)

ロ 働き方改革の促進(社員が個々のライフプランや社会環境の変化に対応しつつ、高い生産性を発揮できる柔軟な働き方を実現することを支援)

ハ 労働安全衛生の確保(労働安全衛生に関するリスクを未然に防止する取り組み等、社員が安心して働ける職場づくり)

 

(3) リスク管理

気候変動関連のリスクに関しては、サステナビリティ委員会とビジネスリスク評価検討会が情報を共有しながらリスクの特定、評価・管理しております。

全社レベルのリスクマネジメント体制においては、ビジネスリスク評価検討会が、気候変動関連を含む会社全体のリスクについて「経営環境等の外部要因、内部要因」に分類し、それぞれのリスクの識別、評価・管理を実施し、各部門責任者による報告を経て全社共通のリスクアセスメントを定期的に実施しております。そこではBCP対応を含む対策の検討を行い、結果については内部統制委員会へ報告し、内部統制委員会から取締役会に報告・説明しております。

またサステナビリティ委員会では、気候変動が中長期的に当社の経営戦略に与えるリスクとインパクトの分析と対策の検討を行っております。その内容については、取締役会に報告し取締役会は必要な指示を行い対応状況について監督しております。

このように、サステナビリティ委員会とビジネスリスク評価検討会で検討するリスクは、事業リスクとして統合・管理しております。

 

 

(4) 指標及び目標

<環境に関する事項>

当社では、温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指し、SBTi企業ネットゼロ基準を満たすべく、SBT基準1.5℃シナリオに準拠した目標を設定いたしました。

具体的には、2030年までの中期目標として2022年比で34.0%削減(毎年4.2%削減)、長期目標として2050年までに100.0%削減(カーボンニュートラル)としております。

実施施策として、従前の省エネ活動の継続実施に加え、新たな価値創造と社会貢献に向けたESG活動を推進するガバナンス組織として設置した「サステナビリティ委員会」にてKPI(重要業績評価指標)を設定し、その達成に向けた活動を行うとともに、サステナビリティサイトにて投資家との対話の促進を図ってまいりました。その中でも、気候変動への対応として、入居テナントビルにおける再生可能エネルギー利用が2024年4月から実現したことにより、『2030年CO234%削減目標』を前倒しで達成することができました。当社は、地球環境問題に関する国際的な非営利団体であるCDP(Carbon Disclosure Project)を活用することで気候変動への対応を推進することとしており、今後も、CDPの対応の促進(解析及びスコアアップ)に向け、バリューチェーンエンゲージメント活動の検討や2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた省エネ活動等を実施し、企業価値の更なる向上に努めてまいります。

指標

目標

実績(当事業年度)

温室効果ガス(GHG)排出量

2028年3月までに83t-CO2

0.0t-CO2

 

なおScope3の温室効果ガス排出量の算出、目標設定、施策に関しては、今後速やかに対応し、準備ができ次第開示いたします。具体的には、気候変動関連のリスクに関しては、サステナビリティ委員会とビジネスリスク評価検討会が情報を共有しながら評価・管理しております。

 

<人財に関する事項>

当社では、上記「(2) 戦略」において記載した「人財育成方針」及び「社内環境整備方針」について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次の通りであります。

指標

目標

実績(当事業年度)

女性労働者の割合

2028年3月まで28.0以上

26.2

管理職に占める女性労働者の割合

2028年3月まで13.0以上

10.9

男性労働者の育児休業取得率
 (直近3年間の累計)

2028年3月まで80.0以上

64.7

社員満足度調査

2028年3月まで3.70以上

3.47

離職率

2028年3月まで4.5未満

6.7

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が経営成績や財政状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

当社の経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 人財の採用、育成、働きがいの創出

「人財」は当社の成長の源泉であります。「人財」の採用、育成、及び働きがいの創出をすることにより、競争力の高い企業になることができます。将来何らかの不測の事態によりこの循環が途切れた場合には、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、「人財育成基本方針」を定め、人財、組織、そして企業が持続可能な成長をしていく仕組みを作ってまいります。また、人財開発本部を設置し人財の資質、経験等の活用を推進するとともに、人事制度改革においては、評価基準や報酬制度を見直し、若年層の活躍を推進し、人財の活きる働き方・環境を創出してまいります。

 

(2) 情報セキュリティ(サイバーセキュリティ)による影響

当社は、事業活動において、各種データを処理・蓄積するため、またはビジネスプロセスを管理するため、様々なシステムやネットワークを利用しております。これらのシステムやネットワークは、安全対策が施されているものの、サイバーセキュリティに関連する様々なリスクに直面しており、その対策がぜい弱であった場合、サイバー攻撃や不正アクセスによる情報漏洩、データ改ざん・消失・利用不能、システム停止等を引き起こす可能性があります。

このような事態が起きた場合、業務の中断や機密データの漏洩、法的請求、訴訟、賠償責任、罰金の支払い義務等が発生する可能性があります。その結果、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー、ブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性があります。

当社は、これらのサイバーセキュリティ関連のリスクに対して、適切なセキュリティ対策を講じるための体制を整えて、定期的なセキュリティ評価、継続的な改善活動や教育・啓蒙活動を行うことで、リスクの最小化と情報資産の保護を図っております。しかしながら、サイバーセキュリティに関する脅威は常に進化しているため、新たなリスクに対応するためにも取り組みを継続及びレベルアップしていくことによりリスクの軽減を図っております。

 

(3) 大規模災害等の発生による影響

大規模災害等が発生した場合、社員やパートナー技術者への人的な被害、社内システム等の停止及び社内サーバに保管されているデータの消失等により、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、「地震災害応急対策計画」を定め、人的な被害を軽減させるための施策として年2回の安否確認訓練を実施しております。またBCP(Business Continuity Plan)の定期的な見直しに取り組んでおります。その他社内システムについては、人給・会計・プロジェクト管理等基幹システムをクラウド化しております。その他の重要なサーバは、社外のデータセンターへの移行を開始しており、将来的には仮想化技術を活用し、本社罹災時においても事業継続可能な体制へと取り組んでおります。

 

(4) システム開発の品質の確保と仕損防止体制

当社では、ISO9001規格に適合した品質管理システムによりシステム開発を実施しておりますが、システム開発において機能は複雑化、顧客要望は高度化しており、完成までには仕様変更や機能追加等も加わり、当初の想定以上の追加費用が発生し仕損となることがあります。また顧客納入後であっても、契約不適合責任等により想定外の費用が発生することがあります。これらの費用が発生することにより当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、DX開発推進センターについてはDX関連開発や持ち帰り開発のプロジェクトにおけるナレッジの蓄積と共有を行い、リスクの逓減と同時に人財育成に対応してまいります。またプロジェクト革新室については、継続して商談検討会や見積検討会の実施、週次・月次でのモニタリングにより品質の確保及び仕損防止に取り組んでまいります。

 

 

(5) 主要分野である金融ソリューションの動向について

当社は、生命保険会社の関連会社として設立した経緯から、金融業界を主要分野として営業活動を実施しております。また、金融業務知識とIT技術の融合によりシステム開発の経験値及びノウハウを蓄積して、他社との差別化を図ってまいりました。その結果、当事業年度における金融ソリューションの売上高は、総売上高の70%超となっております。このため金融業界におけるIT投資の動向により、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、中期経営計画においては、金融ソリューションは維持拡大しながら、DX対応が活況な非金融ソリューションの案件獲得を積極的に推し進め、事業ポートフォリオを変革することでリスクの軽減を図ってまいります。

 

(6) 人月ビジネスからの脱却

クラウド化の進展によりソフトウェアは「作る」から「使う」へとサービスシフトしており、その契約形態もサブスクリプション型がより注目されるようになってきております。このような流れは、将来ソフトウェア開発における人月ビジネス型の受託開発工数の低減につながり、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、当社はボラティリティの高い労働集約型の受託開発だけでなく、安定的に収益を確保できるビジネスモデルを構築するとともに、自社プロダクトの活用や国内外の先進プロダクトとの融合ソリューション等によるサービス提供型ビジネスの創出を図ってまいります。

 

(7) 情報管理等について

システム開発の業務遂行にあたり、当社の社員及びパートナー技術者が顧客企業もしくはその委託元である企業の機密情報や個人情報等にアクセスできる環境で作業する場合があります。機密情報、個人情報及び特定個人情報等の取扱いについては規則を定め、情報管理に関する教育等を実施しております。また定期的に開催しておりますセキュリティ委員会で、情報管理等に関する運用状況をモニタリングしております。しかしながら、予期せぬ事態により個人情報や機密情報が万一漏洩、あるいは不正使用された場合には、損害賠償責任や社会的信用の失墜等に繋がり、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、2007年1月にプライバシーマーク、2016年6月にはISO27001を取得しております。社内の取り組みとして部署別に年度セキュリティの目標管理を実施し、四半期ごとにセキュリティ委員会にてモニタリングすることによりセキュリティ意識の向上に努めております。

 

(8) M&A、資本提携について

当社は事業基盤の拡大、また中期経営計画の重点事項であるDX領域への進出、サービス提供型ビジネスの創出のため、M&A及び資本業務提携を推進事項としております。M&A及び資本業務提携により想定した収益性やシナジー効果が得られない場合、また当初想定し得ない債務等が発生した場合は当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、社内で収益性やシナジー効果の分析を十分に検討し、社外の税務・財務・法務等の専門機関と十分協議し、リスクの低減に努めます。

 

(9) 知的財産権について

システム開発の業務遂行にあたり、ソフトウェア著作権を始めとする多くの知的財産権を利用しております。当社では業務上必要となる知的財産権の確保や第三者の権利侵害について、充分な啓蒙活動を行っておりますが、ライセンスの取得、維持等が適正に行われなかったり、第三者の権利を侵害する場合、多額の費用負担が生じたり、損害賠償責任が生じることにより当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。また当社が推進するサービス提供型ビジネスにおいて、予期せぬ知的財産権の侵害等により損害賠償責任や事業の拡大の停止などにより、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、常に知的財産権の取扱いに注意し、新規ビジネスにあたっては専門機関と連携してリスクの低減に努めます。

 

 

(10) 退職給付費用及び債務について

当社の従業員に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。したがって、経済環境等の変動により計算の前提となる割引率や平均残存勤務期間等の条件に変更が生じた場合には、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、各種前提条件のモニタリングのほか、当社に有益となるリスクヘッジ手法の情報収集等を実施してまいります。

 

(11) 特定顧客への依存度について

当事業年度における株式会社野村総合研究所の販売実績は、総販売実績に対し27%となっており、長年顧客別販売実績順位1位を継続しております。このため、同社の事業方針、経営状況及びパートナー施策等に変化が生じた場合、当社の経営成績や財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクに対処するために、政策保有株式として同社株式の保有、戦略的パートナーシップ契約の締結のほか、最重要顧客として営業活動を実施し関係の維持、強化に努めております。また、中期経営計画を推進し当社全体の売上規模を拡大し、相対的に同社への依存度を下げることにより、リスクの軽減を図ってまいります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

また、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (セグメント情報等)」の記載にありますように、当社では報告セグメントは「ソフトウェア開発」のみとしていることから、事業セグメントで売上高については記載しておりますが、その他の状況については記載を省略しております。

 

① 経営成績

当事業年度における日本経済は、雇用・所得環境が改善する下で各種政策の効果もあり、経済活動の正常化が進展し、緩やかな回復基調で推移しました。一方、物価上昇の継続や海外における通商政策の影響等で景気の下振れ懸念等が出ており、先行きは不透明な状況が続いております。

サービス産業動態統計調査(総務省 2025年2月分速報)によると、当社が属する情報通信業(大分類)の売上高は前年同月比11.1%増、情報サービス(中分類)は同12.2%増と順調に推移しております。また、日銀短観(2025年3月調査)におけるソフトウェア投資額2025年度(計画)は前年度比4.3%増と小幅なプラスに留まっているものの、企業のIT投資は、その中心をDX(デジタルトランスフォーメーション)による業務プロセス・業務システムの変革へと移行してきており、引き続き拡大傾向にあります。

このような環境のもと、当社は「長期経営ビジョン2030」(2022-2030)並びに「中期経営計画」(2022-2027)に基づき、「お客様と共に未来を創る」をスローガンに掲げ、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5) 対処すべき課題」に記載の8項目を重点施策に取り組んでまいりました。

以上の結果、当事業年度の業績は、売上高は17,342百万円前期比6.5%増)、営業利益は1,658百万円同5.3%増)、経常利益は1,627百万円同2.8%増)、当期純利益は1,194百万円同10.4%増)となりました。

 

 

イ 売上高

当事業年度における売上高は、前事業年度に比べ1,062百万円増加し17,342百万円前期比6.5%増)となりました。

セグメントごとの売上高は次のとおりであります。

 

a ソフトウェア開発

ⅰ 金融ソリューション  

当社の強みである金融業務知識とIT技術の融合により、顧客に対し新事業の創出やITコストの最適化を図ってまいりました。各セグメントの業績は下記の通りであり、金融ソリューションの売上高は12,296百万円(前期比3.4%増)となりました。

領   域

売上高(前期比)

売上高増減要因

銀   行

2,979百万円

(13.4%増)

大手銀行のDX化推進

ネットバンキング、次世代RTGS案件拡大

証   券

1,219百万円

(6.7%減)

スマホ・ネット系証券の案件対応の区切り

 

生 命 保 険

2,482百万円

(1.4%減)

大規模基幹システム刷新案件の中止

損 害 保 険

4,145百万円

(4.0%減)

基幹システム刷新案件の区切り

商品改定対応拡大

その他金融

1,469百万円

(31.4%増)

カード・クレジット領域でのDX案件拡大

政府系機関の基幹システム刷新案件の継続

 

 

ⅱ 非金融ソリューション

活況なDX対応ニーズに応えるべく技術オリエンテッドな志向で案件の受注に努め、法人顧客に対する業務の効率化やマーケティング支援、コンシューマーのサービスレベル向上に努めてまいりました。公共領域においては行政手続きのオンライン化が継続し、運輸、医療福祉、情報サービス領域では、新規顧客の獲得や隣接領域の開拓が進んだことで非金融ソリューションの売上高は4,695百万円(同17.1%増)となりました。

以上の結果、ソフトウェア開発全体の売上高は16,991百万円同6.9%増)となりました。

 

b 情報システムサービス等

モバイル証券会社におけるクラウドベースのシステム運用及び監視サービス業務は継続したものの生保等の運用保守サービスが減少した情報システムサービス等の売上高は351百万円前期比8.2%減)となりました。

 

ロ 売上総利益

当事業年度における売上総利益は、前事業年度に比べ168百万円増加し3,071百万円前期比5.8%増)となりました。主な要因は売上高の増加によります。売上高総利益率は、17.7%と前事業年度から0.1ポイント減少しております。

ハ 営業利益

当事業年度における営業利益は、前事業年度に比べ83百万円増加し1,658百万円前期比5.3%増)となりました。主な要因は売上総利益の増加によります。

ニ 経常利益

当事業年度における経常利益は、前事業年度に比べ43百万円増加し1,627百万円前期比2.8%増)となりました。主な要因は営業利益の増加によります。

ホ 当期純利益

当事業年度における当期純利益は、前事業年度に比べ112百万円増加し1,194百万円前期比10.4%増)となりました。主な要因は経常利益の増加及び賃上げ促進税制に係る法人税額の特別控除の増加によります。

 

② 財政状態

当事業年度末における総資産は、前事業年度末に比べ502百万円減少し、12,975百万円、負債合計は、前事業年度末に比べ42百万円増加し、4,154百万円、純資産は、前事業年度末に比べ544百万円減少し、8,820百万円となりました。各項目別の分析等につきましては次のとおりであります。

イ 流動資産

当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末に比べ588百万円減少し、11,420百万円となりました。これは主として、現金及び預金が580百万円減少したことによります。

ロ 固定資産

当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末に比べ86百万円増加し、1,554百万円となりました。これは主として、投資有価証券が71百万円、繰延税金資産が34百万円増加し、ソフトウェアが12百万円減少したことによります。

ハ 流動負債

当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末に比べ30百万円減少し、2,021百万円となりました。これは主として、未払消費税等が29百万円、未払法人税等が28百万円、未払金が11百万円、賞与引当金が11百万円増加し、買掛金が50百万円、預り金が34百万円、受注損失引当金が27百万円減少したことによります。

ニ 固定負債

当事業年度末における固定負債の残高は、前事業年度末に比べ73百万円増加し、2,132百万円となりました。これは主として、退職給付引当金が79百万円増加したことによります。

ホ 純資産

当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ544百万円減少し、8,820百万円となりました。これは主として、当期純利益が1,194百万円、自己株式の処分が134百万円、その他有価証券評価差額金が44百万円の計上により増加したこと、自己株式の取得により1,187百万円、剰余金の配当により731百万円の減少があったことによります。
 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ580百万円減少し、9,156百万円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,361百万円同8.7%増)となりました。主な増加要因として、税引前当期純利益が1,627百万円、減価償却費が42百万円、株式報酬費用が135百万円、退職給付引当金の増加額が79百万円、主な減少要因として、仕入債務の減少額が50百万円、法人税等の支払額が465百万円あったことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は23百万円同33.4%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が19百万円、無形固定資産の取得による支出が3百万円あったことによります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は1,918百万円同211.5%増)となりました。これは自己株式の取得による支出が1,187百万円、配当金の支払額が730百万円あったことによります。

 

当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。

当社は所要資金については原則として自己資金にて対応する方針であり、銀行からの借り入れはありません。なお、現在予定はありませんが、重要な資本的支出や当社の業容拡大・収益基盤拡大に向けたM&A等による資金需要が発生した場合、市場動向等を総合的に判断して調達方法を決定する方針であります。

運転資金については換金性に重点を置き、リスクの低い金融商品での運用を基本としておりますが、現在の金利情勢から資金のほとんどを普通預金に置いております。

当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は9,156百万円となっております。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

イ 生産実績

当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前期比(%)

ソフトウェア開発

16,989,291

106.8

情報システムサービス等

351,147

91.8

合計

17,340,438

106.5

 

(注) 金額は販売価格によっております。

 

ロ 受注実績

当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

ソフトウェア開発

16,818,469

102.3

2,600,493

93.8

情報システムサービス等

349,902

91.7

123,009

99.0

合計

17,168,371

102.1

2,723,503

94.0

 

 

ハ 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

ソフトウェア開発

16,991,451

106.9

情報システムサービス等

351,147

91.8

合計

17,342,598

106.5

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前事業年度
(自 2023年4月1日
  至 2024年3月31日

当事業年度
(自 2024年4月1日
  至 2025年3月31日

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社野村総合研究所

4,137,797

25.4

4,683,691

27.0

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

当事業年度は、「中期経営計画(2022-2027)」の第Ⅰ期(2022-2024)終了年度となっており、その目標は達成いたしました。第Ⅱ期にあたり振り返りを行い、また大きく変貌する社会情勢や各種会計上の見積り等による分析・検討を行い、新たに「中期経営計画2027」を策定いたしました。達成に向けて「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)「中期経営計画2027」」による8項目の戦略及び施策に取り組んでまいります。

 

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。

当社の財務諸表で採用した会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

イ 受注損失引当金

受注契約に係る将来の損失に備えるため、当事業年度末において損失が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積ることが可能なものについては、翌事業年度以降に発生が見込まれる損失額を引当計上しております。受注損失引当金の算定における重要な見積りは、総原価であります。総原価は、主として予定総工数と予定単価により見積られる人件費及び外注費により構成されており、総原価の見積りにおける主要な仮定は、予定総工数であります。総原価の見積りは不確実性が高く、当初予定していなかった仕様変更や追加作業の発生により受注契約に係る損失発生額が想定以上に膨らんだ場合、当社の業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

ロ 退職給付引当金

従業員に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、利息費用、退職率、死亡率等の要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来の会計期間にわたって認識されるため、将来の退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。

ハ 繰延税金資産

繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。なお、当該課税所得の見積りに当たって前提とした条件や仮定に変更が生じ、課税所得額が減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

なお、受注損失引当金につきましては、「3 事業等のリスク (4)システム開発の品質の確保と仕損防止体制」の記載に関する会計処理であり、業績に重大な影響を及ぼす可能性がある事項として認識しております。

 

② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ 経営成績等

当社が強みとする金融ソリューションを維持拡大しつつ、DXが活況な非金融ソリューションを積極的に推進することで事業ポートフォリオの変革を図り、事業拡大及び収益基盤の強化を図っております。そのためには、DX人財(高付加価値技術者)を確保していくことが重要となっております。当社ではDX開発推進センター(DXを中心とした開発を社内で担う内製化組織)を中心にDX人財の育成ノウハウを蓄積しながら、パートナーシップの強化によるビジネスパートナーを増強して開発力の強化にあたっております。同時にDX案件はシステム開発期間が短期で複雑化していることから、仕損等のリスクも高まっていることから社内PMOによる監視強化を行い、利益面についても十分な配慮を行っております。

そのような状況のもと当事業年度の経営成績は、売上高は17,342百万円、営業利益1,658百万円、経常利益は1,627百万円、当期純利益は1,194百万円となりました。

上記のほか、当事業年度における経営成績の前事業年度との比較分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績」に記載しております。

ロ 財政状態の分析

当事業年度は、現金及び預金が減少しております。これは積極的な株主還元施策よる自己株式の取得及び剰余金の配当による支出の増加によるものであります。

当事業年度末における流動資産は11,420百万円、固定資産は1,554百万円、資産合計は12,975百万円となっております。流動負債は2,021百万円、固定負債は2,132百万円、負債合計は4,154百万円となっております。また純資産合計は8,820百万円、負債純資産合計は12,975百万円となっております。

上記のほか、当事業年度における財政状態の前事業年度との比較分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態」に記載しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ キャッシュ・フローの分析

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ580百万円減少し9,156百万円前期比6.0%減)となりました。

当事業年度の営業活動において得られた資金は1,361百万円となりました。主な増加要因として、税引前当期純利益、減価償却費、株式報酬費用、退職給付引当金の増加、主な減少要因として、仕入債務の減少額、法人税等の支払額によります。

投資活動において使用した資金は23百万円となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出、無形固定資産の取得による支出によります。

また、財務活動により使用した資金は1,918百万円となりました。主な要因は、自己株式の取得による支出、配当金の支払額によります。

 上記のほか、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

ロ 資本の財源及び資金の流動性

当社は現在、自己資金により運転資金及び設備投資等を行っております。なお、現在予定はありませんが、M&A等による大規模な投資を行う場合については、市場動向等や財務の健全性を考慮し最適な資金調達を行う場合があります。

ハ 経営目標の達成状況

当社は、経営目標の達成状況を判断するための客観的指標として売上高及び営業利益を用いております。目標達成のために事業部・部別に活動計画を立てて取り組んでおります。2024年5月13日に公表した業績予想と比較して、当事業年度の売上高は17,342百万円(予算比2.6%減)の減収、営業利益は1,658百万円(同2.4%減)の減益となりました。

 

 2025年3月期(予想)

2025年3月期(実績)

増減

増減率

売上高(百万円)

17,800

17,342

△457

△2.6%

営業利益(百万円)

1,700

1,658

△41

△2.4%

 

 

5 【重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。