当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)の当社グループの主要顧客である土木・建築業界を取り巻く環境に関し、公共投資については、引き続き国土強靭化計画に基づく防災対策等の対応もあり、堅調に推移しているものの、資材価格の高騰や人手不足等の背景もあり、工事量はやや少なく、着工の動きも緩慢に推移しました。民間投資については、同じく資材価格の高騰や人手不足等の影響はあるものの、全体としては概ね堅調に推移しました。今後においては、引き続き人材不足、資材価格高騰等の他、建設業における働き方関連法適用の影響が顕著に現れてくることが想定され、予断を許さない状況が続いております。
こうした状況において、当社グループでは新たな付加価値の創出を目指し、2024年3月期から2026年3月期までの3ヵ年を対象とした中期経営計画を策定しており、現在推進中であります。当社グループでは従来、建設業・建設現場を主要顧客として、主に建設現場を支援する商品・サービスの開発と提供に努め、ハードレンタルを主としたITインフラ環境の構築支援を積極的に展開してまいりました。しかし、この中期経営計画期間においては、ハードレンタルを主としたビジネスから脱却し、建設現場の業務支援に特化してデータ・情報関連サービスを統合的に提供していくことにより付加価値を創出するビジネスへと事業転換を図り、活動しております。その中核がDDS事業において統合的なサービス体系として開発・強化を進めている「サイトアシストパッケージ」です。「サイトアシストパッケージ」では、当社が建設現場向けに提供している各種ICTサービス(「クラウドストレージサービス」・「クラウド映像サービス」・「コミュニケーションサービス」・「通信・ネットワークサービス」)を統合し、建設現場の遠隔支援に特化したパッケージとして提供してまいります。これにより建設業界における現場の見える化及びデータ・情報の利活用の推進を強力に支援し、建設業界の生産性の向上に貢献してまいります。
<中期経営方針>
『ハードを主体としたITインフラのレンタル企業』から、『データ・情報関連サービスを統合的に提供し
(サイトアシストパッケージ)、建設現場の業務を支援する建設ICTの専門企業』へ変身する
■建設市場開拓
□何を
① サイトアシストパッケージの普及(建設市場)
□どこへ
② 全国の地場ゼネコン 約2,600社 ※年間の最低元請施工現場数で10現場以上を見込める企業が対象
□どのように
③ 営業部長による、顧客キーマンへの定期訪問による顧客基盤の構築推進(BtoB)
④ 支店営業による、現場キーマンへの水平展開による効率的な顧客開拓(BtoC)
⑤ マーケティング・インサイドセールス・カスタマーサクセス機能の強化
■新市場開発
□どこへ
① 官公庁市場の開拓
□何を
② クラウド映像サービス一式 (ネットワークカメラ、通信・ネットワーク、クラウド録画)
□どのように
③ 簡易型河川監視カメラの入替・増設
④ 河川管理部署から道路・観光等への水平展開
<中期経営目標>
・売上高 140億円(2023年3月期対比 +30%)
・営業利益 36億円(2023年3月期対比 +30%)
・営業利益率 25%超
・ROE 20%超
・リピート率(※) 90%超
※リピート率は、直接的なユーザーである現場代理人を対象に、下記の計算式で算出しております。
リピート率 = 前期取引があり、かつ当期取引があった現場代理人数 ÷ 前期取引があった現場代理人数
当中間連結会計期間の業績につきましては、既存顧客及び中期経営方針に掲げたターゲットを中心に、DDS事業の商品・サービスの営業に注力した結果、既存顧客を中心に受注が堅調に推移し、売上高は5,808百万円(前年同期比8.7%増)となりました。利益面では、付加価値の高いDDS事業のレンタル・サブスクリプションサービスの売上高が順調に推移するとともに、SMS事業における販売売上も増加したことから、売上総利益は2,895百万円(前年同期比8.4%増)となりました。また、販売費及び一般管理費においては、主に6月より実施した処遇改善等による人件費の増加の他、マーケティング活動を含む営業活動費用やシステム管理費が増加したこと等により、1,473百万円(前年同期比4.7%増)となりましたが、売上総利益の増加が大きく、営業利益は1,422百万円(前年同期比12.5%増)となりました。その結果、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益においても前年同期を上回る実績となりました。
また、リピート率につきましては、クラウドストレージサービス等のサブスクリプションサービスの提供拡大
及び現場単位取引の法人契約化(BtoB取引化)が進んでいるものの、公共工事件数動向の若干の鈍さもあり、63.9%(前年同期比0.4pt減)となりました。
※リピート率の計算に関して、分子である「前期取引があり、かつ当期取引があった現場代理人数」につきまして は当期累計実績を参照しているのに対して、分母である「前期取引があった現場代理人数」につきましては、前年通期の実績を参照しておりますので、リピート率は経過とともに高まっていく見込みです。
以上の結果、当中間連結会計期間の実績は、下記表のとおりとなりました。
▼当社グループ (単位:百万円、%)
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前中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) |
当中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日) |
前年同期比 |
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売上高 |
5,345 |
5,808 |
8.7 |
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営業利益 |
1,264 |
1,422 |
12.5 |
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営業利益率 |
23.7 |
24.5 |
0.8pt |
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経常利益 |
1,247 |
1,408 |
12.9 |
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親会社株主に帰属する 中間純利益 |
833 |
949 |
13.9 |
▼主要KPI (単位:%)
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前中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) |
当中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日) |
前年同期比 |
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リピート率 |
64.3 |
63.9 |
△0.4pt |
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
<DDS事業(デジタルデータサービス事業:Digital Data Service)>
当事業につきましては、主に建設現場向けに「クラウドストレージサービス」・「クラウド映像サービス」・「コミュニケーションサービス」・「通信・ネットワークサービス」・「プリンティングサービス」等の統合的な提案活動に注力してまいりました。また、主に顧客の本社・管理層向けには遠隔の現場支援サービス「サイトアシストパッケージ」のリニューアル版をリリースし、提案活動に努めてまいりました。「サイトアシストパッケージ」に関しましては、まだ現場支援室の設置等を含めて導入の素地が十分にできておらず、すぐに本格的な展開に結びつく状況ではありませんが、実際の導入状況では、新たな仕事の進め方を模索する中において「サイトアシストパッケージ」の提案内容は一定の評価を得ております。加えて、国土交通省によるi-Construction2.0の推進、ICT施工ステージ2の実現に向けた取り組み等、建設業におけるDX化がさらに加速することが想定され、今後は利用シーンの増加が期待されます。こうした状況の中、収益面では主に統合的なサービス提案に基づく既存顧客からの受注が順調に推移し、当事業の売上高は3,266百万円(前年同期比9.8%増)となりました。利益面は、主に「クラウドストレージサービス」「クラウド映像サービス」をはじめとしたレンタル・サブスクリプションサービスの売上高伸長により売上総利益が増加しました。また、営業・マーケティング活動費用の増加に加え、処遇改善による人件費の増加等により、販売費及び一般管理費も増加いたしましたが、売上総利益の増加が大きく、セグメント利益(営業利益)は971百万円(前年同期比15.9%増)となりました。
<SMS事業(測量計測システム事業:Surveying Measurement System)>
当事業につきましては、中期経営計画に基づき、SMS事業における既存顧客に加えて、DDS事業における既存顧客及び同事業により取引開始に至った新規顧客をターゲットに、レンタルによる測量計測システム等の提案を行ってまいりました。測量機器等については、メンテナンスなどの維持コスト、利用頻度、環境負荷等を踏まえると、レンタルの利便性が高いことから、レンタルによる利用の普及を進めてまいりました。また、販売にあたっては、活動エリア・商材を限定し、効率的な営業活動に努めてまいりました。その結果、レンタルについては堅調に推移するとともに、販売についても7月から9月にかけて案件が増加したことから、当事業の売上高は1,827百万円(前年同期比8.9%増)となりました。利益面では、処遇改善等により人件費が増加したことから販売費及び一般管理費も増加いたしましたが、売上総利益の増加が大きく、セグメント利益(営業利益)は304百万円(前年同期比11.2%増)となりました。
<その他>
その他につきましては、売上高は714百万円(前年同期比3.5%増)となりました。セグメント利益(営業利益)は146百万円(前年同期比4.2%減)となりました。
▼セグメント (単位:百万円、%)
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前中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) |
当中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日) |
前年同期比 |
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DDS事業 |
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売上高 |
2,975 |
3,266 |
9.8 |
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セグメント利益 |
837 |
971 |
15.9 |
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セグメント利益率 |
28.2 |
29.7 |
1.5pt |
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SMS事業 |
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売上高 |
1,678 |
1,827 |
8.9 |
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セグメント利益 |
273 |
304 |
11.2 |
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セグメント利益率 |
16.3 |
16.6 |
0.3pt |
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その他 |
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売上高 |
690 |
714 |
3.5 |
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セグメント利益 |
153 |
146 |
△4.2 |
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セグメント利益率 |
22.1 |
20.5 |
△1.6pt |
(2)財政状態の状況
(資産)
当中間連結会計期間末における総資産は16,713百万円となり、前連結会計年度末と比較して2百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が1,571百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金266百万円、投資有価証券が1,428百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債は4,506百万円となり、前連結会計年度末と比較して26百万円増加いたしました。これは主に未払法人税等が15百万円減少した一方で、買掛金が41百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産は12,206百万円となり、前連結会計年度末と比較して24百万円減少いたしました。これは親会社株主に帰属する中間純利益949百万円の計上を行った一方で、その他有価証券評価差額金105百万円の減少、剰余金の配当529百万円及び自己株式の取得338百万円を行ったことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は73.0%となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は5,381百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,571百万円減少いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は1,372百万円(前年同期は1,344百万円の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払額438百万円が充当されたことに対して、税金等調整前中間純利益1,408百万円、資金支出を伴わない費用である減価償却費497百万円による資金獲得をしたことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,646百万円(前年同期は400百万円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出1,578百万円によるものであります。
以上により、当中間連結会計期間の営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、274百万円の資金減少(前年同期は944百万円の資金増加)となりました。これは上記のとおり、営業活動により前年同期と同水準の資金獲得をした一方で、純投資目的による投資有価証券の取得を行ったことにより、投資活動にて使用した資金が営業活動による資金獲得を上回ったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は1,296百万円(前年同期は902百万円の使用)となりました。これは自己株式の取得による支出338百万円、リース債務の返済による支出429百万円及び配当金の支払額529百万円によるものであります。
▼キャッシュ・フロー計算書 (単位:百万円)
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前中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) |
当中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日) |
前年同期差 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
1,344 |
1,372 |
28 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△400 |
△1,646 |
△1,246 |
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フリー・キャッシュ・フロー |
944 |
△274 |
△1,218 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
△902 |
△1,296 |
△394 |
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現金及び現金同等物の増減額 (△は減少) |
41 |
△1,571 |
△1,612 |
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現金及び現金同等物の期首残高 |
6,272 |
6,952 |
679 |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
6,314 |
5,381 |
△933 |
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループ(当社及び連結子会社)が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。