文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、『良質な医療インフラを創造し生涯を見守る「まちのあかり」として健やかな暮らしに貢献します』を企業理念に掲げ、地域に密着した地域薬局部門での事業と、医薬品卸会社と薬局等との間の非効率な医薬品流通過程を抜本的に合理化する医薬品ネットワーク部門での事業を中核事業として展開しています。医療と生活の基盤の創造や、住み慣れた場所で生涯安心して暮らせる「まちづくり」の一翼を担うことで、地域の皆様の健やかな暮らしに貢献してまいります。
当社グループの属する医薬品業界は、高齢化の進展に伴う医療費の増加により中長期的なマーケットの拡大が見込まれる一方、将来にわたる医薬品流通の安定性確保を目的とした流通改善の取組や患者本位の医薬分業の実現、薬価・調剤報酬改定等を通じた医療費削減のための薬局経営の効率化等を求められております。
このような環境の下、当社グループは中長期的な経営戦略として、2022年4月からの4か年にかかる「第6次中期経営計画」を策定し、当社グループの地域薬局と医薬品ネットワーク加盟店を一体としたプラットフォームの更なる拡大、良質な医療・サービスの提供と医薬品流通市場の合理化、薬局支援事業(医薬品ネットワーク事業、医薬品製造販売事業、デジタルシフト事業)の拡大を推進してまいりましたが、新たな収益事業の立ち上げの遅れや新規事業及び新規店舗の開発における費用の先行、医薬品の仕入れ価格上昇や賃上げによる労務費の増加等の事業環境の変化により当該中期経営計画の達成は困難となっております。このような状況下、持続的な成長と企業価値の向上を図るため、長期ビジョンの策定に向けた検討を開始しました。長期ビジョンは、2025年秋頃の公開を目指してまいります。
足元の経営環境と「第6次中期経営計画」に基づき、当社は以下の課題に取り組んでまいります。
地域薬局ネットワーク事業の地域薬局部門においては、かかりつけ機能や在宅医療の強化による地域支援体制加算の取得、薬剤師の対人業務の更なる強化、質の高い薬物治療の提供、LINE公式アカウント「つながる薬局」等を活用して処方箋獲得を図ってまいります。医薬品ネットワーク部門においては、営業体制の強化、流通改善への取組、加盟店向けのサービス拡充に努め、2026年3月期末に加盟店件数12,000件(純増数997件)を目指します。医薬品製造販売部門においては、安定供給を確保する体制の強化と顧客拡大に努め、2026年3月期末に取引店舗数9,070店舗を目指します。デジタルシフト部門においては、「つながる薬局」の導入店舗拡大、新サービスの拡充に努め、2026年3月期末に導入店舗数6,850店舗を目指します。
賃貸・設備関連事業においてはサービス付き高齢者向け住宅の入居率向上、給食事業・訪問看護事業においては収支の安定化を目指します。
また、財務面については、全社的コストコントロール徹底による利益確保を通じた自己資本比率向上に努め、財務体質の強化を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループでは、当社理念の実現に向け、サステナビリティを企業活動の原点と位置づけ、「サステナビリティに関する基本方針」を策定し、社会・環境問題に取り組んでおります。
この方針のもと、SDGsへの取り組みを経営戦略に反映させ、薬局・薬剤師の必要かつ十分な医療インフラ化と地域格差の解消並びに医薬品流通の合理化を進めております。
当社は、事業や部門をまたぐ課題を横断的に議論し、国際的なESG基準(TCFD、SDGs)に対応するため、2025年3月に「サステナビリティ委員会」を設置しました。本委員会は、サステナビリティに関する重要事項を審議・決定する場として、取締役会の監督の下で運営いたします。
サステナビリティ委員会の役割
サステナビリティ委員会の主な役割は以下の通りです。
・基本方針の策定
・当社グループの優先課題の特定
・リスク・機会の特定、目標の設定及び見直し
・各部署間の調整及び進捗状況のモニタリング
・情報開示等に関する協議・決定
推進体制
本委員会は、代表取締役社長を委員長とし、代表取締役副社長2名を副委員長とするほか、取締役及び委員長が指名する者で構成されております。事務局はCSR企画推進室及び経営管理部が担当し、委員会の運営を支援しております。本委員会は3か月に1回程度開催され、議論内容や決定事項は取締役会に報告されます。
委員会構成メンバー
委員長:代表取締役社長
副委員長:代表取締役副社長
委 員:
取締役管理本部管掌
取締役リスク統括室・プロジェクト推進室所管
取締役システム本部長
取締役経理財務本部長
取締役給食事業管掌 兼 経営戦略本部長
取締役SCM事業本部長
透明性と実効性の確保
サステナビリティ委員会で決定された事項は、当社の中期経営計画やリスク管理方針に反映され、取締役会が適切に監督する体制を整えています。さらに、サステナビリティ方針及び戦略を事業部門へ具体的に落とし込み、迅速かつ実効性のある施策を実行しております。また、社会貢献活動の公開や「サステナビリティレポート」を通じて、ステークホルダーに情報を提供し、透明性を確保しております。
当社は、これらのガバナンス体制を通じて、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めると同時に、企業価値の向上を目指してまいります。
取締役会による監督の状況等につきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 リスク管理」をご参照ください。
当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材育成及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
①人材育成方針
ア. 基本方針
当社グループは、地域住民の健康を支える企業として、人材が最大の価値創造の源泉であると考えております。そのため、社員が安心して長く働ける環境を整え、成長を支援することを人事政策の基本方針とし、社員が豊かな人生を送ることを通じて会社の持続的な成長を目指します。
上記方針のもと、医療人ないし医療を支える企業人としての心構えを持ち、専門性を高めることを推進・奨励します。そして、時代の変化に柔軟に対応しながらグループの総合力を発揮し、理念の実現を牽引する人材を育成します。
イ. 具体的取組
当社グループにおいて、上記の方針に基づき、重点施策としている主な項目は以下のとおりであります。
a. 教育制度
薬剤師を取り巻く環境の変化に対応するため、専門性を高め地域医療に貢献できる薬剤師の育成を目的とした教育制度「Community Pharmacist Step(CP Step)制度」を実施しております。
b. ダイバーシティ&インクルージョンの推進
人材の多様性確保は重要な課題であるとの考えから、女性の中核人材養成のための外部研修を企画実施するほか、幹部候補社員や本部勤務社員の女性比率の向上に取り組んでおります。
c. 主体的に学ぶ・学び合う仕組みの整備
1on1面談やキャリア面談などの実施を通じて、従業員が主体的にキャリアを考え自ら成長していくことを支援しております。また、他部門の事業内容や業務内容を学び合う取り組みとして、グループの従業員が広く参加できる勉強会を実施しております。
②社内環境整備方針
当社グループにおいて、従業員の働く環境の整備のため、重点施策としている主な項目は以下のとおりであります。
a. エンゲージメントの向上
エンゲージメントサーベイを実施し、その結果をもとに社内環境改善に取り組んでおります。また社内公認サークル制度を実施し、グループ内のコミュニケーションの活性化を支援しております。
b. 健康経営の推進
従業員の健康保持・増進により活力向上・生産性向上につなげるため、健康経営推進の取り組みを実施しております。なお当社は、単体として健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定を2020年より継続して取得しております。
c. 育児と仕事の両立支援
当社グループでは、従業員の出産・育児等のライフイベントによりキャリアを中断することなく働き続けられる環境を整備するため、各種休業制度周知や研修を実施しております。また男性の育児参加が増えていくことが女性活躍の推進にもつながるという考えに基づき、男性社員に対しても制度利用を積極的に推奨しております。
当社グループでは、リスク統括室が「リスク管理基本規程」「危機対応規程」「リスク管理運用指針」及び新たに策定した「サステナビリティ委員会運用内規」に基づき、サステナビリティに関するリスクを含めた事業リスクの特定と分類を担い、リスクの所管部門を選定し、代表取締役の承認のもと、リスク対応計画を策定しております。
リスク対応計画及びその進捗状況、並びに具体的な追加対策については、事業年度毎に、取締役会に上程し、審議・決定し、進捗状況報告を行っております。
このように、事業に係るリスクを最小化しつつ、同時に事業に関連する機会を拡大するために、主に中期経営計画に施策として盛り込んでおりますが、現時点では予見できないリスク等の影響を将来的に受ける可能性があります。
なお、人材の確保に関するリスクの内容については
当社グループにおいては、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に基づく施策の実施にあたり、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みは行われているものの、グループに属するすべての会社では行われていないため、グループ全体としての記載が困難であります。
そのため、次の指標に関する目標及び実績は、提出会社において一部の項目について定めた内容を記載しております。
なお、グループ各社における一部の項目について、その実績を
また、当社は女性活躍推進法に基づいて策定した一般事業主行動計画の中で、2025年4月から2027年3月までの期間における目標として、管理職に占める女性社員の比率を25.0%以上とすること、男性社員の育児休業取得率を50.0%以上とすること、正社員に占める月間20時間以上残業者の比率を14.4%以下とすること、の3つの目標を掲げております。
有価証券報告書に記載した事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。当社グループはこれらの事項が発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針であります。なお、文中における将来に関する事項については、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、薬局買収資金や新規出店に要する資金等を、主に金融機関からの借入により調達しております。
各金融機関からは固定金利での借入促進を図っておりますが、変動金利での借入、借換時における資金調達及び新たな資金調達に関しては、金利上昇に伴い支払利息が増加することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの有利子負債依存度(総資産に占める有利子負債額)は、42.2%となっております。収益力の向上と自己資本充実により、財務体質の改善を図る方針でありますが、計画どおりに財務体質の改善が出来ない場合には、当社グループの事業計画や業績等が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、地域薬局の店舗不動産やサービス付き高齢者向け住宅不動産、のれん等の長期性資産を保有しておりますが、これら資産については減損会計を適用し、当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の残存価額を回収できるかどうかを検証しており、現状、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っております。しかしながら、今後の環境変化により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合には、追加の減損処理により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、地域薬局部門、デジタルシフト部門、訪問看護業務において、処方箋及びカルテ等の個人情報を取り扱っております。
個人情報の保護に関する法律により企業が本人に同意を得ずに個人情報を第三者に提供した場合には、行政処分が課され、場合によっては刑罰の適用を受けることがあります。また、地域薬局において個人情報を取り扱う当社グループの従業員は、その多くが薬剤師であり、薬剤師には刑法第134条第1項(秘密漏示)にて立場上重い守秘義務が課せられています。
当社グループは、顧客等の個人情報についてシステム・運営の両面から厳重な管理を行っておりますが、万一個人情報の漏洩があった場合には、多額の賠償金額の支払いや行政処分、それらに伴う既存顧客の信用及び社会的信用等の低下により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、主として地域薬局部門においてM&Aにより、事業規模の拡大を推進しております。M&Aにおいては、対象会社から得られる将来キャッシュ・フローにより一定の年数以内で投資額を回収できる水準でM&Aを行うことを基本方針としておりますが、買収後の経済状況や業界環境の変化等により事業計画と実績に乖離が生じた場合や当初想定したシナジーが得られない場合には、のれんに係る減損損失等の損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
薬局の開設や運営に対しては、医薬品医療機器等法や健康保険法等による法的規制があります。これら必要とされる各都道府県等の許可・指定・免許及び届出を受けることができない場合、更新手続きを怠った場合、関連する法令に違反した場合、またはこれらの法令が改正された場合等において当社グループの出店計画及び業績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの地域薬局部門の大部分を占める調剤売上は、薬剤に係る収入と調剤技術に係る収入に区分され、薬剤に係る収入は、薬価基準として厚生労働大臣の告示によってその販売価格が定められ、調剤技術に係る収入の料金体系も同じく厚生労働大臣の告示により調剤報酬点数が定められます。
このため、薬価基準の改定及び調剤報酬の改定が地域薬局の業績に影響を及ぼす可能性があります。
薬局・医薬品業界では、薬価基準の改定が実施された場合、最終的な仕入価格が医薬品卸売会社と妥結するまでの間は、合理的であると見積もった暫定価格での仕入計上を行っており、最終的な仕入価格妥結後に、暫定価格と妥結価格の差額の精算処理がなされることになります。このため、暫定価格と妥結価格に重要な差異が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、2025年3月31日現在、地域薬局457店舗を運営しております。今後も不採算店舗の閉鎖を行う一方で新規出店や店舗の買収により店舗数の拡大を図っていく方針でありますが、競合する薬局の状況により十分な採算が見込まれない等により、当社グループの出店基準をクリアする物件を確保できない場合、また買収した店舗が計画どおりの収益を確保できない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
薬局の開設及び経営にあたっては、医薬品医療機器等法により各店舗に薬剤師を配置することが義務づけられ、処方箋の応需枚数に応じて必要な薬剤師数が決められている他、薬剤師法により調剤業務は薬剤師でない者が行ってはならないとされております。業界全体におきまして、薬剤師の採用、確保が重要な課題となっておりますが、当社グループにおきましても薬剤師が十分に確保できない場合は、店舗運営及び出店計画に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、医療安全対策を経営上の重点課題と位置付け、薬剤師の技術の向上、医薬品に関する知識の充実について、研修会を実施するなど積極的に取り組むとともに、調剤ミスを防止すべく機械化を推進し、万全の管理体制のもと、細心の注意を払い調剤をしております。また、万一に備え全店舗において「薬局賠償責任保険」に加入しております。しかし、調剤過誤が発生し、訴訟を受ける等により損害賠償金の支払いや、それに伴う社会的信用の低下等があった場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
地域薬局部門において、調剤売上は消費税法により非課税になる一方で、医薬品等の仕入は同法により課税されております。このため、調剤売上において当社グループ内で薬局を経営する会社は、消費税等の最終負担者となっており、当社グループ内で薬局を経営する会社が仕入先に支払った消費税等は、販売費及び一般管理費の区分に費用計上されております。
過去の消費税の導入時及び消費税率改定時には、消費税率の上昇分が薬価基準の改定において一定程度考慮されておりましたが、今後消費税率が改定され、薬価基準がその消費税率の変動率に連動しなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの薬局の新規出店時に、賃貸による出店の場合、契約時に賃貸人に対し敷金及び建設協力金等の名目で保証金を差入れております。保証金については、契約終了により全額返金されることになっている契約もありますが、賃貸人の信用状況の悪化等により、その一部又は全額について回収できなくなる可能性があります。また、賃借人である当社グループ側の理由による契約解除を行う場合には、契約内容に従って違約金の支払いや敷金返還請求権等の放棄が必要となる場合があります。
なお、2025年3月31日現在、連結貸借対照表において差入保証金として計上されている賃貸借に係る保証金は、4,456百万円であります。
医薬品流通に関わる規則等の変更により、現在の医薬品流通の仕組みが抜本的に変更された場合、本業務のビジネスモデルに影響を及ぼす可能性があります。ただし、本業務は医薬品等の売買、配送、保管に直接関与するものではないため、医薬品医療機器等法等の医薬品の売買及び取扱いに関する法令等の規制の対象となるものではないと認識しております。
現在債権流動化サポート業務では、薬局等の医療機関が保有する調剤報酬債権・診療報酬債権・介護報酬債権を対象としております。当該債権の原債務者は社会保険機関であるため、当社グループは調剤報酬債権等の支払が滞るなどの事態が生じる可能性は極めて低いものと認識しております。
ただし、薬局等が当社に譲渡する調剤報酬債権等の原債務者に対する請求事務等に想定以上の過誤等がある場合には、当社グループの担保責任が生じる可能性があります。
本部門では、後発医薬品の製造販売業務を行っております。医薬品製造販売の事業を行うため、第一種及び第二種の医薬品製造販売業許可を取得していますが、万一法令違反等があり、監督官庁から業務停止、許認可の取消等が行われた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが販売する後発医薬品の有効成分は、先発医薬品でその有効性と安全性が一定期間にわたって確認された使用実績に加え、再審査・再評価を受けたものであり、基本的には未知の重篤な副作用が発生するリスクは極めて小さいと考えられます。しかしながら、万一予期せぬ新たな副作用の発生、製品への不純物混入といった事故が発生した場合、製品回収・販売中止を余儀なくされる可能性があります。
また、後発医薬品の製造に関しては外部委託を行っており、製薬メーカーとの継続的な製品供給契約を締結しておりますが、製造委託先の諸事情により製品供給に支障が生じた場合や、該当製品の契約終了、及び契約内容変更等により製品供給が行われなくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 医薬品物流部門
本部門では、後発医薬品の物流業務を行っております。医薬品物流の事業を行うため、医薬品販売業許可を取得していますが、万一法令違反等があり、監督官庁から業務停止、許認可の取消等が行われた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、医薬品の物流に関しては保管、入出庫、配送等に係る業務を外部業者へ委託しておりますが、委託先の諸事情または地震等の不可抗力により、物流に支障が生じ医薬品の供給が行われなくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ デジタルシフト部門
本部門では、LINE公式アカウントを活用したかかりつけ薬局化支援業務を行っております。LINEを利用する際にはインターネット環境が必須であり、インターネットの利用に関する新たな規制やインターネットビジネス関連事業者を対象とする法的規制等の導入、その他予期せぬ要因によって、インターネットの利便性が損なわれた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、インターネットを利用したシステムを構築しているため、ハードウェアやソフトウェアの不備、大規模なプログラム不良や、アクセスの急激な増加、人的ミス、その他何らかの理由によりシステム障害等が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、LINE利用者数の減少やLINEのサービス停止等により、薬局へのサービス導入が計画通り進まなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、医師開業支援ノウハウや不動産運営ノウハウを活かせるメディカルモールや、メディカルモール及び薬局にサービス付き高齢者向け住宅等の介護施設を併設する複合型施設を展開しておりますが、開業を希望する医師や入居を希望する高齢者が計画どおりに集まらなかった場合やエネルギー価格の高騰に伴い、施設運営における光熱費等が大きく上昇した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
本業務では、病院・福祉施設等の集団給食及び食堂の受託業務を行っており、一般的な飲食業以上に厳格な衛生管理が求められております。また、委託側である医療機関等は公共サービスを提供する施設として、行政・所管官庁からさまざまな規制を受けております。医療・介護保険制度の見直しにより、委託側である医療機関等の収入状況に大きな影響を及ぼす場合には、当社グループへの委託費用の見直し要請が行われる可能性があります。
また、常に食品衛生法、医療法の規制等の遵守に万全を期しておりますが、予期せぬ事故等により事業所が休業を余儀なくされる可能性があります。
さらに、原材料価格の高騰に伴い仕入れコストの上昇等が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
本業務では、看護師等が高齢者や疾患を持つ方の生活の場へ訪問し、看護ケアの提供や療養上の相談に乗るなど、在宅療養生活を支援する訪問看護業務を行っております。訪問看護の事業を行うために、介護保険法及び健康保険法に基づく事業者としての指定を受けておりますが、これらの指定には、従業者の資格要件、人員要件、設備要件及び運営要件が規定されております。しかし、万一必要とされる要件を充たせず、指定の取り消しまたは停止処分を受けた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は事故の発生防止や緊急事態への対応に備え、訪問看護を提供する看護師等に対して、社内及び外部機関を利用した教育研修の実施やマニュアルの整備等に取り組んでおり、万一に備え「看護師賠償責任保険」に加入しておりますが、利用者の病状悪化等による訴訟等で過失責任が問われるような事態が生じ、損害賠償金の支払いや、それに伴う社会的信用の低下等があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境が改善し、緩やかな回復がみられる一方で、継続する物価上昇や米国の政策動向、金融資本市場の変動等の影響により、景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。
このような経済情勢の下、当社グループは誰もが自分らしく、安心して暮らしていくための医療インフラを構築し、生涯を見守る「まちのあかり」として健やかな暮らしに貢献することを目指しております。
当連結会計年度の業績は、医薬品ネットワーク部門において新規加盟件数が順調に推移したものの、地域薬局部門における既存店処方箋枚数の減少や医薬品仕入れ価格の上昇、賃上げ等の影響により、売上高122,387百万円(前年同期比6.1%増)、営業利益3,154百万円(同17.7%減)、経常利益3,162百万円(同17.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,262百万円(同32.2%減)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。なお、各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
本事業に関しましては、医薬品サプライチェーン全体に対する価値の提供を推進することを目指し、地域薬局の運営、医薬品ネットワークによる薬局等の経営支援、医薬品の製造販売及びLINEを活用したかかりつけ薬局化支援を行っております。
地域薬局部門におきましては、前期の新規出店及びM&Aにより取得した店舗の業績が寄与したこと、LINE公式アカウント「つながる薬局」を用いた処方箋送信機能等のDX活用や服薬期間中のフォロー等の効果もあり、調剤報酬が前年同期を上回りました。また、当連結会計年度において、モール型店舗12店舗を含む、地域薬局21店舗を新規出店し、M&Aにより地域薬局1店舗を取得する一方、15店舗の閉鎖及び事業譲渡を行いました。2025年3月31日現在の店舗数は、地域薬局457店舗、ケアプランセンター1店舗、ドラッグストア8店舗となりました。
医薬品ネットワーク部門におきましては、地域単位で医薬品の在庫情報を共有するサービスや各種研修の提供等、サービスの拡充を進めており、新規加盟件数は順調に推移いたしました。2025年3月31日現在の医薬品ネットワーク加盟件数は、当社グループ457件、一般加盟店10,546件の合計11,003件(前連結会計年度末比1,247件増)となりました。
医薬品製造販売部門におきましては、2025年3月31日現在、52成分120品目を販売しております(出荷調整中の品目数は3成分6品目)。当連結会計年度における新規取引店舗数は順調に推移し、2025年3月31日現在の取引店舗数は、前年同期比2,183店増の7,181店舗となりました。
デジタルシフト部門におきましては、2024年の調剤報酬改定への対応ニーズの高まりから導入店舗数は順調に増加し、2025年3月31日現在の導入店舗数は6,020店舗(前連結会計年度末比1,338店増)となりました。
一方、前期に複数の呼吸器感染症が流行した反動により地域薬局部門で既存店の処方箋枚数が減少したことや医薬品の仕入れ価格が上昇したこと、賃上げ等による労務費の増加があったこと、また、当期より事業を開始した物流部門の準備経費を当セグメントに含めたことにより、当連結会計年度の売上高116,968百万円(前年同期比6.4%増)、営業利益5,626百万円(同12.5%減)となりました。
〔賃貸・設備関連事業〕
本事業に関しましては、建築業務における受注案件が増加したことやサービス付き高齢者向け住宅ウィステリアにおいて広告宣伝費を見直したこと等により、売上高3,468百万円(前年同期比3.9%減)、営業利益190百万円(前年同期比20.3%増)となりました。
また、サービス付き高齢者向け住宅の2025年3月31日現在の入居状況につきましては、「ウィステリア南1条」は全116戸中92戸(入居率79.3%)、全4棟の入居率は90.2%となりました。
なお、2024年10月1日付でウィステリア千里中央を売却したため、固定資産売却益326百万円を計上しております。
本事業に関しましては、前期に不採算施設を撤退した影響により売上高は前年を下回ったものの、契約単価の見直しによる売上総利益率の改善等から、売上高2,359百万円(前年同期比0.0%減)、営業利益10百万円(前年同期は営業損失43百万円)となりました。
本事業に関しましては、訪問看護事業を行っており、訪問件数が増加したこと等により、売上高342百万円(前年同期比9.0%増)、営業損失29百万円(前年同期は営業損失43百万円)となりました。
当連結会計年度末における総資産は70,586百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,437百万円増加しました。
流動資産は22,627百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,853百万円の増加となりました。主な要因は、売掛金及び商品が増加したことによるものであります。
固定資産は47,959百万円となり、前連結会計年度末に比べ583百万円の増加となりました。主な要因は、のれんが減少したものの、リース資産(純額)及び投資有価証券並びに差入保証金が増加したことによるものであります。
一方、負債の部においては54,241百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,310百万円増加しました。流動負債は24,377百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,163百万円の増加となりました。主な要因は、買掛金及び1年内返済予定の長期借入金が増加したことによるものであります。固定負債は29,863百万円となり、前連結会計年度末に比べ147百万円の増加となりました。主な要因は、長期借入金が減少したものの、リース債務が増加したことによるものであります。
また、純資産の部においては16,345百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,126百万円の増加となりました。主な要因は、利益剰余金が増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ188百万円増の8,431百万円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については以下のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、4,459百万円の収入(前年同期は7,725百万円の収入)となりました。主な要因は、法人税等の支払額1,826百万円があったものの、税金等調整前当期純利益2,724百万円及び減価償却費2,281百万円並びにのれん償却額1,133百万円によるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、3,726百万円の支出(前年同期は3,649百万円の支出)となりました。主な要因は、事業譲渡による収入1,428百万円があったものの、地域薬局建設及び工具器具備品の購入を主とした有形固定資産の取得による支出2,708百万円及び関連会社株式の取得による支出500百万円並びに差入保証金の差入による支出1,215百万円によるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、544百万円の支出(前年同期は3,944百万円の支出)となりました。主な要因は、借入金の増加額249百万円があったものの、リース債務の返済による支出438百万円及び配当金の支払額355百万円によるものであります。
当社グループは生産を行っておりませんので、記載すべき事項はありません。
当社グループは提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまず重要性も乏しいため当該記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 地域薬局ネットワーク事業における医薬品ネットワーク業務の加盟件数、医薬品受発注取扱高は次のとおりであります。
(注)上記医薬品受発注取扱高の内、当連結会計年度の外部取引は613,721百万円となっております。
3. 地域薬局ネットワーク事業の債権流動化サポート業務の取扱高は次のとおりであります。
(注)当連結会計年度中に当社が取扱いを行った調剤報酬等債権の額であります。なお、債権流動化取扱高の内、当連結会計年度の外部取引は36,687百万円となっております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
経営成績等の分析については、4〔経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析〕に記載しております。
(資本の財源及び資金の流動性について)
当社グループは、事業活動に必要となる資金について、主として営業活動により得られた資金により賄っております。その上で、事業投資等で必要資金が生じる場合には、財務の健全性維持を勘案し、主として金融機関からの借入により資金調達を行っております。
また、適切な現預金残高を維持することに加え、一時的な資金需要に備え、金融機関からの短期借入枠の設定により、充分な流動性を確保しております。
運転資金需要のうち主なものは、医薬品仕入のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用等であります。財源につきましては自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としております。
投資を目的とした資金需要のうち主なものは、設備投資、M&A等であります。当連結会計年度における重要な資本的支出は、地域薬局21店舗の新規出店、M&Aにより地域薬局1店舗を取得したほか、関連会社株式の取得等に関する投資であります。財源につきましては自己資金及び金融機関からの長期借入であります。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は29,790百万円となっております。
グループ各社につきましては、原則として金融機関からの資金調達を行わず、キャッシュマネジメントシステム
を利用したグループ内ファイナンスにより、資金調達の一元化と資金効率化を推進しております。
経営成績に重要な影響を与える要因については、3〔事業等のリスク〕に記載しております。
④ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、1〔経営方針、経営環境及び対処すべき課題等〕に記載しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。