当事業年度における我が国経済は、政府の継続的な経済政策や国土強靭化基本計画に係る公共投資の持続により、企業収益や雇用情勢の改善が続くなど、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、アジア経済は、中国経済減速の影響を受け、輸出依存度の高い国を中心に景気の減速が進んでおります。当社の顧客である製造業も一部で輸出が振るわず、景気回復の動きが停滞する傾向がみられました。
当社の属する情報サービス業界におきましては、企業のIT投資マインドはあるものの、昨年に比べ顧客の投資判断が長期化する傾向にあります。
このような経済環境の中、当社の主要なマーケットであります製造業分野では、住宅メーカー、住宅設備メーカーで政府による住宅取得支援策の効果が表れ堅調に推移しました。また、公共事業の分野でも防災・減災関連やインフラ維持管理テーマへの予算配分の増加に加え、国土交通省が進めるi―Constructionの動きにより、CIM[※1]関連テーマが堅調に推移いたしました。
当事業年度のソリューションサービス事業は、受注までの期間が長引く案件が散見しましたが、顧客接点に特化した自社ソリューションが寄与し増収増益を達成いたしました。
エンジニアリングサービス事業は、前事業年度と比較して大型の販売案件が減少したものの、防災・減災関連業務や施設長寿命化計画策定業務、環境関連業務、CIMの好調な引き合いにより受注は堅調に推移いたしました。
これらの結果、当事業年度の売上高は2,704,339千円(前年同期比7.8%増)、営業利益は244,798千円(前年同期比14.6%増)、経常利益は251,826千円(前年同期比13.0%増)、当期純利益は132,639千円(前年同期比34.7%減)となりました。
セグメント別の業績を示すと、次のとおりであります。
・ソリューションサービス事業
製造業向けソリューションサービスにつきましては、業務の効率化、事業拡大を支援する自社ソリューションを中心に展開しております。
営業支援ソリューション(製品名:Easy及びWebレイアウトプランナー)につきましては、前事業年度より実施中の複数の住宅設備向け大型案件が完工し、引き続き他業種への展開も堅調に推移しております。
また、CAD[※2]やPLM[※3]などの設計支援ソリューションや保守支援ソリューション(製品名:PLEX及びFieldPlanner)につきましても、業務効率化の流れとアフターサービスの重視から、受注は堅調に推移しております。
今後は、BIM[※4]ソリューション、3次元CADデータの有効利用サービス、自社ソリューションをクラウド上で提供するなど事業領域の拡張に努め、更なる事業拡大を目指し、注力してまいります。
業績面では、一部案件で受注までの期間が長引きましたが、全体としては、引き合いや受注は堅調に推移しており、大幅な増収増益を達成いたしました。
これらの結果、当事業年度の売上高は1,584,477千円(前年同期比19.7%増)、セグメント利益は237,380千円(前年同期比34.2%増)となりました。
・エンジニアリングサービス事業
防災・減災関連業務につきましては、政府の経済対策による公共投資の増加という好材料の影響もあり、地盤・構造解析業務や津波・氾濫解析業務の受注が堅調に推移いたしました。
環境関連業務につきましては、エネルギー需給等の市場動向や東京オリンピック開催に関連した環境アセスメント業務や水圏環境解析業務の受注が堅調に推移したほか、小売業の既存店舗の改修需要に伴い大規模小売店舗立地法コンサルタント業務の受注も底堅く推移しております。
また、老朽化した社会資本の維持・更新ニーズの高まりから、アセットマネジメント業務の受注も順調に伸張しております。
今後も、土木・建設分野において本格運用の機運が高まっているCIMの導入・教育支援コンサルタントの展開や公共施設の総合管理計画等でのデータ解析(社会基盤情報のデータマイニング)メニューを整備し、情報技術の活用による国土基盤・保全プロジェクトの支援業務に注力し、更なる事業拡充を目指してまいります。
一方で、業績面では、長期プロジェクトが増加傾向にあり、また、前事業年度は好調であった大型販売案件の引き合いが一段落したため、減収減益となりました。
これらの結果、当事業年度の売上高は1,119,862千円(前年同期比5.4%減)、セグメント利益は227,599千円(前年同期比5.6%減)となりました。
※1:CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)
建設生産システムの基軸を従来の2次元モデルから3次元モデルへ拡張し、データをコンピュータ上に構築・共有しながら統合的に調査、計画、設計、解析、施工、維持管理にいたる一連のワークフローを効率化するシステム。
※2:CAD(コンピュータ・エイデッド・デザイン)
コンピュータを利用して機械・電気製品等の設計を行うこと。コンピュータとの会話形式で設計を行う。
※3:PLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)
製造業において、製品開発期間の短縮、生産工程の効率化及び顧客の求める製品の適時市場投入が行えるように、企画・開発から設計、製造・生産、出荷後のサポートやメンテナンス、生産・販売の打ち切りまで、製品にかかわるすべての過程を包括的に管理すること。
※4:BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)
コンピュータ上に作成した3次元の建物のデジタルモデルに、コストや仕上げ、管理情報などの属性データを追加した建築物のデータベースを、建築設計、施工から維持管理までのあらゆる工程で情報活用を行うためのモデルシステム。
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ464,190千円増加し、1,234,524千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、533,827千円(前事業年度は98,469千円の支出)となりました。これは主に、仕入債務93,082千円、前受金88,292千円の減少及び法人税等の支払額130,415千円があったものの、税引前当期純利益234,535千円の計上、売上債権317,641千円及びたな卸資産229,070千円がそれぞれ減少したためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、69,636千円(前事業年度は24,373千円の支出)となりました。これは主に、本社移転及び情報化等投資を行ったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローはありません(前事業年度は64千円の支出)。
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
ソリューションサービス事業 | 846,099 | 84.1 |
エンジニアリングサービス事業 | 688,531 | 100.6 |
合計 | 1,534,631 | 90.8 |
(注) 1.金額は、製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
ソリューションサービス事業 | 1,391,416 | 124.3 | 574,759 | 74.9 |
エンジニアリングサービス事業 | 1,045,718 | 83.5 | 780,448 | 91.3 |
合計 | 2,437,135 | 102.8 | 1,355,208 | 83.5 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前年同期比(%) |
ソリューションサービス事業 | 1,584,477 | 119.7 |
エンジニアリングサービス事業 | 1,119,862 | 94.6 |
合計 | 2,704,339 | 107.8 |
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先 | 前事業年度 | 当事業年度 | ||
金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
タカラスタンダード株式会社 | 290,596 | 11.6 | ― | ― |
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ | 252,061 | 10.0 | ― | ― |
(注) 当事業年度のタカラスタンダード株式会社及び株式会社エヌ・ティ・ティ・データについては、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
現在、当社では、具体的に以下の項目が対処すべき課題であると考えております。
当社の主要顧客である製造業のグローバル化及びグループ経営戦略の変化に対応して、顧客を起点に当社独自のソリューションの提供を目指します。また、長期的に縮小傾向にある公共マーケットの中でも有望なテーマを開拓しつつ、既存のソリューションを民間に展開できるように常にマーケット重視の営業活動を進めてまいります。
当社の基本的なビジネスモデルは、自社ソリューションやノウハウをベースとした受託開発、受託解析であり、見積りから検収までの個別プロジェクト管理を徹底することで収益力の向上を図ってまいります。
事業推進において最も重要な事項は人材の確保・育成であると考えております。時間をかけて人材を育成し、当社ビジネスの推進に必要な人材を育成してまいります。また、風通しの良い企業風土を保ち、適正な人事評価を実施することで、自律性とチャレンジ精神に溢れた人材の育成に取り組んでまいります。
当社の経営成績、株価及び財務状況等、事業展開上のリスク要因となる可能性のある事項は、外部要因を含めて以下のようなものであります。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、その発生防止と発生した場合の対応に努力いたします。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社が事業を展開しているコンピュータ関連市場においては、技術革新の進歩が早く、業界標準及び利用者のニーズは急速に変化し、新製品、新技術が相次いで登場しております。
当社は、特定の事業分野に依存しないよう、CAD関連分野、GIS関連分野等のソリューションサービスと環境分野を主に対象とするエンジニアリングサービスといった幅広い分野において事業を行っております。このように、当社株式に関する投資判断は当社の事業内容が多岐にわたるため、慎重に検討の上、行われる必要があると考えられます。
また、当社は技術革新に対応するために、適時、市場の動向をキャッチしうるよう情報の入手体制を強化するとともに、外部との技術提携を積極的に検討していく予定であります。
しかしながら、新技術への対応が遅れた場合には、当社の提供する製品、サービスが陳腐化し、業界内での競争力の低下を招くおそれがあり、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。
当社の主力事業であるソリューションサービスにおいて、開発システムの大規模化に伴い、過去にプロセス管理、品質管理上の問題により不採算プロジェクトが発生しております。このため、引合い・見積り・受注段階からのプロジェクト管理の徹底、プロジェクトマネジメント力の強化など、不採算プロジェクトの発生防止に全社を挙げて取組んでおります。
しかしながら、納期遅れ、システム納入後において障害が発生した場合、顧客に対し責任を負う可能性があり、こうした問題発生の可能性を完全に消滅させることは難しいことから、不採算プロジェクトの発生が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社の主な事業内容は、ソリューションサービス及びエンジニアリングサービスであります。そのため、これらの業務に関する専門の知識・技術を持つ人員、特にシステム構築を行う際の中堅技術者の確保、育成が必要であると考えております。
当社は、これらの人材の確保に努めておりますが、これらの知識、技術等を持つ人材に対する需要は高く、人材確保のために、当社が想定している以上のコストがかかる可能性があり、このような場合には、当社の事業展開と業績に影響を与えます。
また、これらの人材の外部からの確保と併せて社内でも育成すべく社内研修の実施等を行っておりますが、当社の想定通り人材育成ができる保証はなく、その場合には、人材を確保できなかった場合と同様に、当社の事業展開に影響を与えます。
当社は、システムを構築する上で導入しているソフトウェア等について、第三者の知的財産権の侵害がないよう調査を行っております。しかし、情報技術に関する知的財産権の問題は比較的歴史が浅いため、当社が認識しているリスクがすべてである保証はなく、将来において、現在当社が想定していない侵害その他の事態が発生する可能性があります。
今後、当社の事業に関連した特許その他の知的財産権が第三者に成立した場合、または、当社の認識していない当社の事業に関連した特許その他の知的財産権が存在した場合においては、第三者による特許その他の知的財産権を侵害したとの主張に基づく訴訟が提起される可能性があります。これが提起された場合には、その準備・防衛のために多大な時間や費用等の経営資源を訴訟に費やさなければならず、敗訴した場合には、多額の損害賠償債務を負い、第三者からの実施許諾等による使用料支払義務等が発生し、または特定商品・サービスの取扱が継続できなくなる等の可能性があります。
また、訴訟の提起には至らなくとも、特許その他の知的財産権に係わる紛争が生じた場合においても、同様に当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。
当事業年度末の総資産は、2,092,295千円となり前事業年度末と比較し89,678千円減少しました。これは主に、現金及び預金464,190千円、有形固定資産40,361千円が増加したものの、受取手形166,410千円、売掛金151,230千円、仕掛品231,182千円、繰延税金資産58,417千円がそれぞれ減少したためであります。
当事業年度末の負債は、493,577千円となり前事業年度末と比較し223,090千円減少しました。これは主に、未払消費税等35,061千円、資産除去債務15,607千円が増加したものの、買掛金93,082千円、未払法人税等85,340千円、前受金88,292千円及び受注損失引当金22,501千円がそれぞれ減少したためであります。
当事業年度末の純資産は、当期純利益を132,639千円計上したこと等により、前事業年度末から133,412千円増加し、1,598,717千円となりました。
(キャッシュ・フロー)
キャッシュ・フローの概況につきましては「1 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(売上高)
当事業年度の売上高は、2,704,339千円(前年同期比7.8%増)となりました。セグメントごとの概況につきましては、「1 業績等の概要 (1) 業績」をご参照ください。
(営業利益)
売上原価は、前事業年度より実施中の複数の大型案件が完工したこともあり、1,998,460千円(前年同期比7.5%増)となりました。販売費及び一般管理費につきましては、前事業年度と比較して25,803千円増加し、461,081千円(前年同期比5.9%増)となり、営業利益244,798千円(前年同期比14.6%増)を計上しました。
(経常利益)
余資をグループ内金融にて運用し、受取利息を得た結果、営業外収支が黒字となり251,826千円の経常利益(前年同期比13.0%増)となりました。
(特別損益)
事務所移転費用16,881千円等の特別損失の計上があり、税引前当期純利益は、234,535千円(前年同期比13.3%増)となりました。
(当期純利益)
法人税、住民税及び事業税38,203千円と法人税等調整額63,693千円を計上した結果、当期純利益は132,639千円(前年同期比34.7%減)となりました。