当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生はありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
なお、重要事象等は存在しておりません。
文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。
当中間会計期間における我が国経済は、底堅い企業収益を背景にした設備投資の増加やインバウンド需要等により緩やかな回復基調にあります。一方で、物価上昇を背景とした消費の落ち込み、米国の通商政策や世界各地での紛争など先行きは不透明な状況が続いております。
このような経済環境の中、当社の主要なマーケットであります製造業の分野では、営業活動やアフターサービス業務等を効率化するソリューションの導入が堅調に推移し、建設業の分野ではBIM[※1]の浸透に伴い、サブコンや住宅設備メーカーからもBIM連携業務の引き合いが堅調に推移しております。公共事業の分野では、下水道の総合地震対策支援・上水道の維持管理支援業務、土木関連ではCIM[※2]活用コンサルティング業務の受注が増加しております。
当中間会計期間のソリューションサービス事業は、建設業界の生産性向上の課題を背景にBIMデータを活用した建設DX[※3][※4]業務と、住宅設備メーカーや建材メーカーからの顧客接点支援業務の受注が堅調に推移しましたが、一部で不採算業務が発生しました。
エンジニアリングサービス事業は、堅調な防災減災関連業務に加え、前述の水道事業の耐震・維持管理支援業務やCIM活用コンサルティング業務の売上高が増加しました。
これらの結果、当中間会計期間の売上高は3,613,867千円(前年同期比4.8%減)、営業利益は637,168千円(前年同期比15.5%増)、経常利益は662,996千円(前年同期比18.4%増)、中間純利益は462,652千円(前年同期比19.3%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
・ソリューションサービス事業
ソリューションサービス事業につきましては、製造業および建設業向けに業務の効率化、事業拡大を支援するサービスを自社ソリューション中心に展開しております。
製造業向けサービスにつきましては、営業支援ソリューション(製品名:EasyコンフィグレータおよびWebレイアウトプランナー)の受注が住宅設備メーカーや建材メーカーを中心に堅調に推移しております。また、建設業界のBIM化推進、浸透に伴い住宅設備メーカーを中心にBIM連携業務の引き合いも増加しております。CAD[※5]やPLM[※6]などの設計支援や保守支援ソリューション(製品名:PLEXおよびFieldPlanner)につきましても業務の効率化やアフターサービスを重視する流れから、引き合いは底堅く推移しております。特にPLM事業につきましては、PLMを中核とした周辺業務(営業/調達/設計/製造/アフターサービス等)との連携したサービスを提供することで差別化を図り、今後の中核事業として拡大をめざしてまいります。
建設業向けサービスにつきましては、建設業界の人手不足問題や生産性向上の課題を背景とした建設DXによる効率化・省力化への投資意欲は継続して高く、BIM関連業務を中心に引き合いは増加し、受注は堅調に推移しました。
製造業向けサービスにつきましては、引き続きtoDIM[※7]のサービスの拡充に注力し、さらなる事業拡大をめざしてまいります。また、建設業向けサービスにつきましては、BooT.one[※8]をはじめとしたtoBIM[※9]ブランドのさらなる育成やサービスの拡充に加え、設備設計(機械・電気・配管)向けBIMの受注拡大に注力してまいります。
業績面では、営業支援ソリューションおよびソフトウエアの販売を含むBIM関連業務の受注は順調に推移しておりますが、一部で不採算業務が発生しました。
なお、ソフトウエアの販売は、純額取引の割合が高まっていることから、売上高は減少しておりますが、一取引に対して獲得できる利益に影響はありません。
これらの結果、当中間会計期間の売上高は2,546,614千円(前年同期比9.3%減)、セグメント利益は511,646千円(前年同期比6.0%減)となりました。
・エンジニアリングサービス事業
エンジニアリングサービス事業につきましては、防災系エンジニアリング業務、環境系コンサルティング・まちづくり支援関連業務、建設情報化支援サービス業務を中心に展開しております。
防災系エンジニアリング業務につきましては、海岸保全事業に係わる津波高潮対策検討業務、気候変動に伴い激甚化・頻発化する自然災害に対する中小河川の洪水対策支援のほか、昨今の内水氾濫に起因する都市型浸水対策支援や水道事業の耐震・維持管理支援業務の売上高が大幅に増加しております。
環境系コンサルティング・まちづくり支援関連業務は、高層住宅建設などの都市開発に伴う周辺環境への影響評価、ヘリポートの利用計画に関わる環境アセスメントやコンサルティング業務の営業展開を不動産開発事業者やゼネコンのほか電鉄系各社に行っており、大型案件の受注に繋がりました。また、人流データなどビッグデータの活用と交通解析・協議対応を強みとしたまちづくり計画支援業務の売上高が伸長しております。現在、期間限定で無償提供中の誰もが簡単に環境シミュレーションを行えるデジタルツインプラットフォームΣSpace.E[※10](通称:まちスペ)の機能を強化し、都市開発に関わるサービス領域の拡大をめざしてまいります。
建設情報化支援サービス業務は、国土交通省が2023年度より原則化した「直轄工事でのBIM/CIM適用」および2025年度達成目標の「建設土木現場の生産性2割向上」を背景に、CIM活用コンサルティングの売上高が増加しました。また国土交通省による「BIM/CIM取扱要領(令和7年3月)」において、数量や規格などの属性情報を3次元モデルデータとして設定することが基本と示されたことから、関連するコンサルティング業務の売上高が伸張しております。
今後は、効率化を求めつつも高度化・複雑化した解析業務に対応すべく情報処理・解析技術に磨きをかけその精度を追求するとともに、まちづくり支援業務では多様化した社会ニーズと官民連携を意識したデータ利活用技術の確立に努めます。また、既存の技術提供サービスに加え、toCIM[※11]ブランドとして販売中のアドインパッケージNavismaster[※12]の販売拡大や建設情報技術の利活用に貢献する新商材の発掘に取り組んでまいります。
業績面では、水防災、下水道事業支援業務のほか鉄道・道路事業等のCIM活用コンサルティング業務の売上高が順調に推移しております。
これらの結果、当中間会計期間の売上高は1,067,253千円(前年同期比8.2%増)、セグメント利益は369,639千円(前年同期比42.3%増)となりました。
※1:BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)
コンピュータ上に作成した3次元の建物のデジタルモデルに、コストや仕上げ、管理情報等の属性データを追加した建築物のデータベースを、建築設計、施工から維持管理までのあらゆる工程で情報活用を行うためのモデルシステム。
※2:CIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング)
建設生産システムの基軸を従来の2次元モデルから3次元モデルへ拡張し、データをコンピュータ上に構築・共有しながら統合的に調査、計画、設計、解析、施工、維持管理にいたる一連のワークフローを効率化するシステム。
※3:建設DX(建設デジタル・トランスフォーメーション)
建設業界にIoTやAIなどデジタル技術を導入するビジネスモデルの変革を指し、業務の効率化、人手不足や技術の継承など建設業界が抱える課題解消をはかり、生産プロセス全体の最適化をめざす取り組み。
※4:DX(デジタル・トランスフォーメーション)
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。
※5:CAD(コンピュータ・エイデッド・デザイン)
コンピュータを利用して機械・電気製品等の設計を行うこと。コンピュータとの会話形式で設計を行う。
※6:PLM(プロダクト・ライフサイクル・マネジメント)
製造業において、製品開発期間の短縮、生産工程の効率化および顧客の求める製品の適時市場投入が行えるように、企画・開発から設計、製造・生産、出荷後のサポートやメンテナンス、生産・販売の打ち切りまで、製品にかかわるすべての過程を包括的に管理すること。
※7:toDIM(トゥー・ディーアイエム)
当社の親会社のトランス・コスモス株式会社と応用技術株式会社の頭文字「t」と「o」にDIM(デジタルイノベーティブマニュファクチャリング)を配置したブランド名称。”製造業界向けにデジタル技術を駆使した変革”の実現をめざすサービス。
※8:BooT.one(ブート・ワン)
大成建設株式会社が社内で蓄積してきた「BIM規格」のノウハウを応用技術株式会社が引き継ぎ進化させ「toBIM」ブランドで提供するAutodesk社のRevitのアドインパッケージ。「BIM規格」はコマンドツール、テンプレート、ファミリ、活用ガイドライン、トレーニング教材の5つのカテゴリの総称で、「BooT.one」はこれらをパッケージ化した商品。Revitユーザの生産効率を大幅に向上させることが可能となる。
※9:toBIM(トゥー・ビム)
当社の親会社のトランス・コスモス株式会社と応用技術株式会社の頭文字「t」と「o」にBIMを配置したブランド名称。トランス・コスモス株式会社によるBPOサービスと当社によるシステム開発のそれぞれを効果的に提供し、顧客企業の生産性向上を推進するためのBIMトータルサービス全般を指す。
※10:ΣSpace.E(マチスペース・ドッドイー)
国土交通省が推進する「PLATEAU」を活用したクラウドベースの環境シミュレーションサービス。応用技術が創業以来培った環境シミュレーションなどのまちづくり業務の実績を活かし、リアルタイムで誰もが使えるWebブラウザ上で利用可能なデジタルツイン簡易シミュレーション環境を開発した。BIM/CIMの3DデータやGISデータを取り込むことが可能で、今後の解析コンテンツの開発により活用の幅を広げる予定。
※11:toCIM(トゥー・シム)
当社の親会社のトランス・コスモス株式会社と応用技術株式会社の頭文字「t」と「o」にCIMを配置したブランド名称。土木事業のCIM活用シーンで「システム導入・開発」「プロジェクト支援」「人材育成」「業務プロセス改善」など、顧客企業の課題解決および土木事業全体の生産性向上を推進するためのCIMサービス全般を指す。
※12:Navismaster(ナビスマスター)
これまで応用技術が蓄積してきた「BIM/CIM」における3次元モデリング技術やCAD開発技術のノウハウを融合させることにより誕生した「toCIM」ブランドで提供するAutodesk社のNavisworksのアドインパッケージ。「3次元モデル成果物作成要領(案)」に沿った納品支援、また、属性項目編集や属性活用等の機能を実装し、統合された3次元モデルの属性の活用や設計から施工にかけてのデータ共有等の処理効率を大幅に向上させることが可能となる。
当中間会計期間末の総資産は、7,606,806千円となり前事業年度末と比較し480,808千円増加しました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産353,868千円が減少したものの、現金及び預金339,311千円、預け金500,000千円がそれぞれ増加したためであります。
当中間会計期間末の負債は、1,806,433千円となり前事業年度末と比較し189,445千円増加しました。これは主に、買掛金161,820千円が減少したものの、未払法人税等39,353千円、前受金43,159千円、賞与引当金57,450千円、未払消費税等の増加154,844千円を含むその他流動負債176,494千円がそれぞれ増加したためであります。
当中間会計期間末の純資産は、中間純利益を462,652千円計上したことおよび配当金171,290千円の支払を実施したこと等により、前事業年度末から291,362千円増加し、5,800,373千円となりました。
当中間会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末と比較して839,311千円増加し、4,765,532千円となりました。
当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、1,028,297千円(前年同期は1,423,437千円の収入)となりました。これは主に、仕入債務の減少161,820千円、法人税等の支払額147,192千円があったものの、税引前中間純利益662,996千円の計上、売上債権及び契約資産315,131千円の減少、未払消費税等154,844千円の増加があったためであります。
投資活動の結果使用した資金は、18,312千円(前年同期は29,210千円の支出)となりました。これは主に、情報化等投資を行ったためであります。
財務活動の結果使用した資金は、170,673千円(前年同期は170,371千円の支出)となりました。これは配当金170,673千円の支払を行ったためであります。
(4) 経営方針・経営戦略等
当中間会計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更および新たに定めた内容はありません。
当中間会計期間において、当社の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
該当事項はありません。
当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。