第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間(2024年4月1日から2024年9月30日まで。以下、「当中間期」という。)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、景気は緩やかな回復基調が続きました。しかしながら、世界情勢や為替相場変動の影響によるエネルギーコストや原材料価格の高騰等の影響により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような中、当社グループは経営資源の再配置や生産性の向上に加え、収益確保のためのストック型ビジネスに注力するとともに、ソフトウェア開発ビジネス等におけるDX推進を支援するコンサル業務やPMO案件といった付加価値の高いビジネスの拡大を推進いたしました。

当中間期の連結業績は、売上高40,092百万円(前年同期比6.9%増)、営業利益5,573百万円(同27.6%増)、経常利益5,410百万円(同24.8%増)、親会社株主に帰属する中間純利益3,726百万円(同25.2%増)となりました。

 

セグメント別の業績は、次のとおりであります。なお、各セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高または振替高を含めております。

 

①ソリューションデザイン事業

企画から開発・検証、ITコンサルティングやITサービスまで提供できるトータルソリューションを強みとし、「社会インフラ」「ネットビジネス」「プロダクト」及び「DXサービス」の各分野から成る当事業は、主要顧客の開発需要の変化、及び業容拡大による組織の肥大化により、人材配置や稼働管理が一部煩雑となっておりましたが、親和性の高い他事業部門へプロジェクトを移管することで、業務の最適化および体制改善を推進いたしました。

このような人材の再配置や分野別の新たな業務推進体制を整えたことにより、人材を効率的に活用し、顧客の課題解決のための提案を推進したことで、新たな需要の掘り起こしをいたしました。

これらの結果、当事業の売上高は8,957百万円(前年同期比4.1%減)、営業利益は1,457百万円(同81.2%増)となりました。

 

②次世代モビリティ事業

完成車メーカーやサプライヤーを中心に、自動車業界へのエンジニアリングおよびMaaSなどの自社サービスの提供を主な業務とする当事業は、経営資源のシフトを進めることで受注の拡大に取り組みました。自動車業界におけるキーワードである「電動化」、「自動化」、「コネクテッド化」「シェアリング」に対する顧客の需要に応えるために当社のリソースを活用しながら、この分野に長けた人材採用を積極的に行っており、当事業が最大の強みとしているIVI*1、HUD*2、CDC*3など車載コクピットや情報表示に関するシステム開発の需要が高まる中で受注を拡大しています。また、栃木県宇都宮市、愛知県豊田市に開発拠点を開設し、顧客の要望を具体化するための体制強化を行っています。米国における開発業務も始まり、当事業はこの分野におけるソフトウェアTire1として移動体開発、モバイル領域で培った技術力を活かし、国内完成車メーカーやサプライヤーからの需要に応えていきます。

これらの結果、当事業の売上高は2,229百万円(前年同期比109.3%増)、営業利益は812百万円(同300.9%増)となりました。

 

*1 IVI: In-Vehicle Infotainment (情報・娯楽の両要素の提供を実現する一体化された車載システム)

*2 HUD:Head-Up Display(人間の視野の中に周囲の光景に溶け込むよう重ね合せ情報を投影させる表示装置)

*3 CDC: Cockpit Domain Controller (コクピットの様々な機能を一つの電子制御ユニットに集約したもの)

 

③フレームワークデザイン事業

当事業は業務アプリケーション開発を中心に、「金融」、「公共」および「法人」それぞれの顧客に対して、基幹システム開発から、クラウド・DXソリューションの導入支援、各種先進技術に対するテクニカルコンサルティングを提供しております。

金融分野では、生損保や銀行業の顧客に向けに基幹システム開発業務を行っております。契約管理システムや勘定系システムなどの長期的なシステム開発業務に加え、クラウド移行やCX向上に向けた新規サービスの開発など、DX関連案件の引き合いが増加しており、堅調に推移しました。

公共分野では、マイナンバーを起点した中央省庁関連の案件を中心に受注が進み、システム更改、インフラ構築、運用保守の各ビジネス領域が大きく拡大しております。地方自治体向けのDX案件も引合いが増加しており、当事業の主力分野として成長しております。

法人分野に向けては、ローコード開発ツールを活用した技術支援サービスと、DX化に向けたシステム刷新を目的としたシステム開発の受注が増加しました。システム企画段階からシステム開発後の運用保守まで、ラボ体制でシステムのトータルサポートを実現することで競争力を強化し、また生成AIを活用したシステム開発実績を拡大させることで、更なるケイパビリティの向上を目指してまいります。

これらの結果、当事業の売上高は3,869百万円(前年同期比16.7%増)、売上拡大に向けた人材確保・育成に積極投資したことにより、営業利益は804百万円(同0.2%減)となりました。

 

④IT&DXサービス事業

ヘルプデスク・ユーザーサポート、システムの運用・保守、PMOなど、ITに関する様々なアウトソーシングサービスを主な業務とする当事業は、競争力強化を目的とした各企業のIT投資意欲が高まる中で、引き続き、業務の標準化や自動化に関する引き合いが旺盛となりました。一方で、各種ツール導入やシステム更改が進んだ企業については、業務やリソースの最適化に向けた動きも出始めています。

このような市況において、顧客の潜在的な課題を的確に捉え、各種ツールの導入後の運用推進やビジネスプロセスの再構築といった業務改善を支援する伴走型のPMOサービスの拡大に注力しました。

また、より一層のビジネス発展をサポートできるよう、顧客のIT投資計画やITイベントに対して、新たなサービスメニューの提案にも着手し顧客内での新たな部門開拓にも取り組みました。

DX検証サービス事業においては、ネットビジネス/ゲーム領域顧客の状況が厳しい中、これまでの知見を活かし、エンタープライズ領域顧客へ舵を切るため、即戦力人材の調達を強化し、既存顧客の深掘りと新規顧客の開拓を進めています。

また、障がい者活躍の推進については、成長を実感できる制度構築や環境整備に注力することで、得意を活かせる適材適所な人材配置や職域拡大が改善し、BPO業務を中心に幅広いサービス案件の受注に繋がりました。

これらの結果、当事業の売上高は9,489百万円(前年同期比6.0%増)、営業利益は1,187百万円(同13.1%減)となりました。

 

⑤ビジネスソリューション事業

IT関連商品の法人向け販売および外資・中堅企業向けを中心としたシステムインテグレーションを主な業務とする当事業は、円安、原材料や物価の高騰など先行き不透明感はあるものの、DXやAIによる生産性の向上やコスト削減、競争力強化に向けた案件が徐々に活性化しております。

具体的には、クラウドマイグレーションの手法の一つであるリフト&シフト案件をはじめとした、クラウド関連のシステムインテグレーション事業では数多くの案件を受注しました。

また、RPAやデータ連携ツールを活用した企業のデジタル化に向けたシステム開発、保守運用案件、セキュリティサービスやサポートサービスについても多くの引き合いがあり、受注が増加しました。

全体的に後ろ倒しになっていたWindows10のサポート終了(2025年10月)に伴うリプレース案件に関しても、第2四半期に入り提案数、受注数共に大幅に増加してきている状況です。下期の計画も多く見えているため、提案活動を強化してまいります。

これらの結果、当事業の売上高は13,812百万円(前年同期比3.8%増)、営業利益は1,081百万円(同11.7%増)となりました。

 

⑥DX&ストック型ビジネス事業

サブスクリプションビジネスモデルの推進を担う当事業は、当社のシステム開発およびシステムインテグレーションで培った経験を活かし、顧客のDX人材不足のニーズに合わせてDX推進を伴走支援するディレクションサービスとノーコードDXプラットフォーム『Canbus.』を掛け合わせた提案を強化しており、引き合いが旺盛となりました。DX推進を支援する中で顕在化してくる顧客課題に対して、Canbus.やAIを活用し、業界や用途に特化したサービス企画・開発を行い、ストック型のビジネスへ繋げてまいります。
 これらの結果、当事業の売上高は1,494百万円(前期比20.5%増)、営業利益は224百万円(同40.5%増)となりました。

 

 

⑦その他事業

海外分野の米国子会社では、車載インフォティメント関連のビジネスを中心に「次世代モビリティ事業」と連携した営業活動により新たなプロジェクトを受注しました。また、スタートアップ企業が持つ要素技術の有効性を確認するPoC開発の検証業務も拡大しました。米国子会社の出資先である米国ONE Tech社では、独自開発したエッジAIソリューション『MicroAI™』の製造業と通信会社への販売に注力し、もう一つの出資先である米国StrongKey社でも、FIDO認証によるセキュリティ対策サービスを新たにUSの決済企業へ導入、スマートホームの新通信規格「Matter」に対応させたPKIサービスを欧州のスマートデバイス企業への導入が拡大しました。

投資育成分野の株式会社GaYaは、PC・スマホ向けゲーム『競馬伝説』シリーズの運営やスマホ・タブレット向けアプリの設計・開発を行っております。
 当期はスマホゲーム『競馬伝説PRIDE』において継続的なイベントの開催と新馬のリリースを行い、ゲーム内の活性化に注力しました。受託ゲーム開発では参画中プロジェクトのPMO支援や全体の工数管理を行いました。非ゲーム分野における既存顧客からの受託開発は順調に推移しており、引き続き受注拡大を推進してまいります。

これらの結果、当事業の売上高は428百万円(前年同期比16.7%減)、営業利益は6百万円(同88.8%減)となりました。

 

(2)当中間期の財政状態の状況

(資産)

当中間連結会計期間末における総資産は45,324百万円(前期末は54,038百万円)となり、前期末と比較して8,714百万円の減少となりました。流動資産は39,687百万円(前期末は48,088百万円)となり、前期末と比較して8,400百万円の減少となりました。これは主に現金及び預金9,175百万円の減少によるものであります。固定資産は5,636百万円(前期末は5,950百万円)となり、前期末と比較して313百万円の減少となりました。有形固定資産は1,368百万円(前期末は1,395百万円)となり、前期末と比較して27百万円の減少となりました。無形固定資産は206百万円(前期末は254百万円)となり、前期末と比較して48百万円の減少となりました。投資その他の資産は4,061百万円(前期末は4,299百万円)となり、前期末と比較して237百万円の減少となりました。

(負債)

負債の合計は14,604百万円(前期末は15,437百万円)となり、前期末と比較して833百万円の減少となりました。これは主に買掛金448百万円の減少、賞与引当金136百万円の減少によるものであります。

(純資産)

純資産は30,720百万円(前期末は38,601百万円)となり、前期末と比較して7,880百万円の減少となりました。これは主に親会社株主に帰属する中間純利益3,726百万円、剰余金の配当1,945百万円、自己株式9,601百万円の取得によるものであります。自己資本比率につきましては、前期末と比較して3.8ポイント下降し66.7%となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前期末に比べ8,410百万円減少し、21,681百万円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は3,457百万円(前年同期は3,976百万円の獲得)となりました。

この主な増加要因は、税金等調整前中間純利益5,400百万円、棚卸資産の減少額272百万円によるものであり、主な減少要因は、仕入債務の減少額448百万円、法人税等の支払額1,388百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は305百万円(前年同期は286百万円の使用)となりました。

この主な減少要因は、有価証券の取得による支出3,403百万円によるものであり、主な増加要因は、有価証券の売却による収入3,220百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は11,541百万円(前年同期は1,562百万円の使用)となりました。

この主な減少要因は、自己株式の取得による支出9,606百万円、配当金の支払額1,941百万円によるものであります。

 

(4)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額はありません。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。