文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
課題は3点あります。
(1)採用戦略の見直しと改善
高インフレによって、新卒採用から教育、配属後のOJTを経て社員の長期勤務に期待するという従来の育成戦略が成り立ちにくくなっております。
一人前になるまで数年間育てても、より良い条件を提示されれば、躊躇なく退職していく環境下では、新卒者採用をメインとした採用戦略には限界があります。
今後は、新卒者教育にコストをかけるのではなく、即戦力人材の確保に注力する戦略へと転換します。しかしながら、企業風土を継承して行くのは新卒入社のプロパー社員が中心となるため、新卒採用についても厳選したうえ継続してまいります。
(2)離職率の低減のための対策
毎年10%を超える離職率を下げていくには、抜本的な改革が必要と考えます。
①高インフレに対応するため、賃金の大幅な引き上げによって待遇を改善します。
過去2年で賃金を17%引き上げましたが、今後3年でさらに23%引き上げてまいります。
②社員のモチベーション向上を目指し、透明性の高いオープンな人事評価制度を導入します。
(3)成長が鈍化するソリューションデザイン事業の再構築と対策
①移動体通信事業は成長期から成熟期へと移行しましたが、その過程で培われたノウハウは、自動車、AI、ゲーム、フィンテック、データセンター、DXといった多様な分野に広がっています。今後は、これらの各分野を深耕し、ソリューションデザイン事業といった単一の事業部門で捉えるのではなく、それぞれの専門性を高めることで事業ドメインを再構築していきます。
②ソリューションデザイン事業で培ってきた仕様策定と設計工程の強みに加え、各業界の専門知識を持つスペシャリストを採用することで、全工程のプロジェクトマネジメントと仕様設計を一体化したIT課題解決支援へと事業領域を拡大します。
③自社商材と自社サービスの拡充を進め、ストック型ビジネスを中核事業と位置付け、収益力の向上を進めます。
④コストアップを価格転嫁にて吸収します。
短期的な課題は上記の3点ですが、長期的に取り組むべき重要な問題は、コロナ禍におけるテレワークの普及によって社員間の繋がりが薄れ、当社の根幹である理念経営が揺らいでいることです。
お客様に愛され、社会に必要とされ、自分が頑張ることで自分以外の誰かを幸せにすること、これが当社で働く社員の姿でありたいと願い、追い求める理想です。
創業当時を思い出し、もう一度原点に立ち返り、理念経営に邁進してまいります。
システナグループは、日本経済の発展に貢献することで心豊かな社会作りに尽力することを経営理念としております。この経営理念のもと、持続可能な社会の実現と当社の企業価値増大の両立を目指しています。
(
(1)ガバナンス
当社のコーポレート・ガバナンスの中にはサステナビリティに対する考えも含まれており、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方のもとでESG推進についても同様の取り組みで活動を行っています。
当社は、激しい経営環境の変化に対応し、経営の効率性を高めるために迅速な意思決定によるスピード経営を推し進めています。その実現のために担当取締役は、代表取締役へ直接報告を行い、その指示に基づいて継続的な改善活動を行っています。
(2)リスク管理
当社は、サステナビリティ関連のリスクについて、コーポレート・ガバナンスのリスク管理と同様の体制をとっています。担当取締役は、時代に即したサステナビリティの推進活動を行えるようシステナグループ全体のリスク状況を適切にモニタリングし、推進体制や仕組みの整備・改善に取り組んでいます。
また、サステナビリティ関連の機会について、担当取締役は、時代に即した目標設定及び取り組みを行い、毎年、評価及び管理を行っています。
(3)戦略、指標及び目標
システナグループでは、お客様、株主様、従業員を含めた三者満足の継続的な向上を実現するために、事業活動を推進することによって、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
サステナビリティに関連する取り組みは以下のとおりですが、連結子会社について目標設定中であるものなどは、当社単体での指標及び目標等を記載しています。
①環境
当社は、地球環境保全に貢献することを基本理念として「環境方針」を定め、電力使用量および紙使用量を指標とし、環境負荷の削減・低減を目標としております。事業活動を通して省資源・省エネルギーに貢献すると共に、資源の有効な活用と節約、リサイクルに取り組んでいます。
なお、電力使用量および紙使用量の実績については以下のとおりです。
②社会
システナグループでは、全ての人たちの人権、その他の権利や価値観を尊重し、人種・宗教・性別・年齢・性的指向・障害・国籍などによる不当な差別を行わず、労働関係法令を遵守するとともにハラスメントを防止し、安全で働きやすく人にやさしい職場環境づくりに取り組んでいます。
また、事業の健全な発展と適切な経営に取り組むことで、正規雇用を基本とした新たな雇用を創出すると共に、全ての従業員に対し、教育・研修や昇進・昇格の機会を平等に与え、社会人として自立した人材を育成しています。
なお、事業構造上、従業員数の増加が、事業の発展と密接に関係する重要事項であり、目標および指標となっております。売上高と営業利益の推移ならびに従業員数の推移に関連する実績は以下のとおりです。
③人材育成方針及び社内環境整備
当社における人材育成方針と社内環境整備については、SDGs17の中から、次の4つの方針とそれぞれに対応する指標を定めています。
当社は、事業活動を通じてお客様や社会に貢献し、お客様、株主様、従業員を含めた 三者満足の継続的な向上を実現するために、従業員が健康に働けることが重要な 経営基盤として不可欠であることから、「株式会社システナ健康宣言」を制定し システナ健康保険組合、保健師、産業医と連携して従業員の健康の保持・増進に つなげる諸施策を推進しています。
当社では、従業員がスキルアップしていけるよう、独自のキャリアパス・研修制度があります。 座学で知識を学び、その知識を業務に展開して実践するサイクルが必要と考え、新人研修から 各種勉強会、IT基礎研修、技術研修、初級リーダー研修、マネジメント研修、資格取得研修 各種ヒューマンスキル研修など、多くの質の高い研修を実施しています。 また、自己啓発支援制度として、業務に必要な知識やスキルの習得を支援する目的で 対象となる資格を取得した際には「受験料+資格手当金」を会社が支給しておりモチベーションを高く持ち、自己啓発に取り組める環境を整えています。
当社では、ダイバーシティを推進し、性別・年齢・人種・国籍・新卒中途などの属性に係わらず 積極的な採用や管理職への登用を行い、全ての従業員に対し、教育・研修や昇進・昇格の機会を 平等に与え、実力に応じた処遇と適材適所を進めています。また女性活躍推進への取り組みは 国の定める基準において評価され、厚生労働省から女性活躍推進法に基づく、 『えるぼし』認定の三ツ星の認証を取得しています。
当社では、従業員の健康で安全な職場環境と、当社独自のキャリアパス・研修制度によって 従業員自らが成長し、その能力を日々の業務に発揮できる体制を構築することで、従業員の エンパワーメントの向上に取り組んでいます。さらに、ダイバーシティとワークライフバランスの 推進を通じて雇用機会の創出と持続的な雇用を創出し、事業を通じて様々な企業や社会の 問題解決と発展を支援することで、社会全体の継続的な成長を支えています。
当社における上記4つの方針に対応する指標、目標及び実績は次のとおりです。
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方針 |
指標及び目標 |
2025年3月期実績 |
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3 |
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3・8 |
健康経営優良法人の認証取得 |
2025年3月認定 (8年連続認定) |
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4・8 |
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5 |
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5・8 |
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8 |
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当社グループの事業展開上のリスク要因になる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、本株式に関する投資判断は、以下の本項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
また、本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)機密情報の管理について
当社の業務には技術的にも営業戦略的にも高い秘匿性が求められる業務が多く、情報セキュリティの重要性が一層高まってきておりますことから、当社では情報セキュリティマネジメントの国際規格であるISO27001の認証を取得し、運用管理を徹底しております。
このような施策にも関わらず、情報漏洩が発生しました場合は、損害賠償の可能性が発生するほか、信用の低下による業務受注の減少など、事業に大きな影響を与えることが考えられ、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があることが考えられます。
(2)法的規制について
当社グループ事業を取り巻く法的規制は以下の通りであります。
①下請代金支払遅延等防止法
この法律は、資本金3億円を超える法人が、資本金3億円以下の法人を下請にした場合、注文書の交付義務、書類作成・保存義務、下請代金の支払期日を定める義務(納品、役務提供を受けてから60日以内に指定して代金を支払う義務)、遅延利息支払義務等々を明記した法律であります。
当該法律は、2003年6月に改正され、情報成果物(プログラム、放送番組等)の作成、役務の提供、金型の製造に係る下請取引が対象として追加され、2004年4月1日施行されました。このため、当社グループに関係する情報成果物(プログラム)の作成に係る下請取引が対象となり、法的規制を受けます。
②労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(いわゆる労働者派遣法)
この法律は、「職業安定法と相まって労働力の需給の適正な調整を図るため労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置を講ずるとともに、派遣労働者の保護等を図り、もって派遣労働者の雇用の安定その他福祉の増進に資すること」(第1条)を目的としており、当社グループにおいては、同法に基づく、一般労働者派遣事業の許可を受けております。なお、同法第6条各号に定める事由が一般労働者派遣事業を行う際の欠格事由として規定されているほか、同法第14条において、届出後に一般派遣元事業主(役員も含む)が同法第6条各号のいずれかに該当した場合厚生労働大臣は当該一般労働者派遣事業の許可を取り消すことができること、また一般派遣元事業主がこの法律若しくは職業安定法の規定又はこれらの規定に基づく命令若しくは処分に違反したときは、厚生労働大臣は期間を定めて当該一般労働者派遣事業の全部又は一部の停止を命ずることができるとされております。
また当社グループでは同法に基づき労働者派遣事業報告書及び収支計算書を厚生労働大臣に提出しております。
当社グループは、法令を遵守した体制を構築し、役員も法令遵守に努めていることから、現在、事業活動に支障をきたす要因は発生しておりません。また今後においても法令遵守に努める所存ではありますが、何らかの法令違反等の事実が発生し、事業に制約を受ける場合、当社グループの業績に影響を受ける可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで。以下、「当期」という。)におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復が続きました。一方で、世界情勢の影響によるエネルギーコストや原材料価格の高止まりが続いており、さらには欧米諸国での政策金利の引き上げによる為替相場の変動、米国新政権の動向等景気の先行きは依然不透明な状況が続いております。
このようななか、当社グループは経営資源の再配置や生産性の向上に加え、収益確保のためのストック型ビジネスに注力するとともに、ソフトウェア開発ビジネス等におけるDX推進を支援するコンサルティング業務やPMO案件といった付加価値の高いビジネスの拡大を推進しました。
以上の結果、当期の連結業績は、売上高83,621百万円(前期比8.7%増)、営業利益12,067百万円(同24.2%増)、経常利益11,855百万円(同19.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益8,480百万円(同17.2%増)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。なお、各セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高または振替高を含めております。
a.ソリューションデザイン事業
当事業は、IT課題解決支援やプロジェクトマネジメント、システム開発・検証、ITサービスの提供までを一貫して行うトータルソリューションを強みとしており、「社会インフラ」「ネットビジネス」「プロダクト」「DXサービス」の各分野に展開しております。当期においては、経営資源を他事業へ再配置した影響等により、売上高は減少した一方で、主力であるIT課題解決支援やプロジェクトマネジメント案件、システム開発においては採算性が向上しました。
さらに、顧客のビジネス課題に深く関わり、共に解決に取り組むことで高い評価を獲得し、円滑なコミュニケーションや業務改善を推進したことで、付加価値の高い案件の受注にも繋がりました。
これらの結果、当事業の売上高は17,565百万円(前期比5.8%減)、営業利益は3,048百万円(同37.6%増)となりました。
b.次世代モビリティ事業
当事業は、IVI*1、HUD*2、CDC*3などの車載コクピットにおける情報表示関連のシステム開発を主力としております。当期においては、従来の情報表示系システムに加え、情報系以外の機能に関する開発案件についても新たに複数受注しました。これにより、当事業が手掛ける車載ソフトウェア開発の領域が拡大し、担当分野が一層広がる結果となりました。また、新たな完成車メーカーからの受注を獲得したことにより、今後の事業拡大に寄与することが見込まれております。当社はこれまでのソリューションデザイン事業で培った、組み込みシステム開発からスマートフォンアプリケーション開発、無線通信技術を含むモバイル分野における豊富な開発経験を活かし、モビリティ領域において幅広い技術を展開してまいりました。特に、BluetoothやWi-Fiなどの車載通信機能の実装・検証を通じて、コネクテッドカー対応における技術力を高めております。こうした実績を踏まえ、今後はSDV開発への対応をさらに強化してまいります。
加えて、当社の米国拠点と連携をすることで新たな車載プロジェクトへの参画ができており、今後は国内外において、完成車メーカーおよびサプライヤーからの多様なニーズにも応えてまいります。
これらの結果、当事業の売上高は5,045百万円(前期比100.8%増)、営業利益は1,779百万円(同177.1%増)となりました。
*1 IVI: In-Vehicle Infotainment (情報・娯楽の両要素の提供を実現する一体化された車載システム)
*2 HUD:Head-Up Display(人間の視野の中に周囲の光景に溶け込むよう重ね合せ情報を投影させる表示装置)
*3 CDC: Cockpit Domain Controller (コクピットの様々な機能を一つの電子制御ユニットに集約したもの)(車載)
c.フレームワークデザイン事業
当事業では、「金融」「公共」「法人」の各顧客に対し、業務アプリケーション開発を中心に、基幹システム開発からクラウド・DXソリューションの導入支援、先進技術に対するテクニカルコンサルティングを提供しております。
金融分野では、生損保の契約管理システムや銀行の勘定系システムといったミッションクリティカルな基幹システム開発で確固たる実績を築いており、近年では、クラウド移行やシステムマイグレーションといったDXニーズの高まりに応じ、関連案件が着実に増加しております。
公共分野では、マイナンバー制度を背景とした中央省庁関連案件が引き続き伸長しており、システム更改、インフラ構築、運用保守といった広範な領域で事業を拡大しております。地方自治体においてもDX推進の動きが活発化しており、当事業の成長エンジンとしての役割を担っております。
法人分野では、ローコード開発ツールを活用した迅速な技術支援サービスと、お客様のDX推進を加速するシステム開発案件の獲得に注力しており、システム企画から開発後の運用保守まで一貫したラボ体制によるサポートが、お客様からの高い評価と競争力強化に繋がっております。
さらに、生成AIの活用においては、業務効率化はもとより、開発生産性の向上にも積極的に取り組み、技術力の強化を追求しております。
これらの結果、当事業の売上高は8,482百万円(前期比22.9%増)、営業利益は1,883百万円(同14.7%増)となりました。
d.IT&DXサービス事業
ITプロジェクト推進・PMO、DX支援、システム構築から運用・ユーザーサポートなど、ITに関する様々なアウトソーシングサービスを主な業務とする当事業は、各企業の競争力強化を目的としたIT投資意欲が高まる中で、幅広い業界において、システム更改や導入、業務標準化や自動化など業務プロセスの最適化に関する引き合いが旺盛となりました。一方で、最適化が進んだ企業は新規ビジネスやイノベーションに向けた更なるIT技術の活用に取り組み始めております。
このような市況において、単に顧客のニーズに対して提案するのではなく、潜在的な課題を可視化(アセスメント)した上で、各種ツールの導入支援や導入後の運用推進、業務プロセスの再構築といった包括的なサポートを行う伴走型のPMOサービスの拡大に注力しました。また、より一層のビジネス発展をサポートできるよう、顧客のIT投資計画やITイベントを把握した上で、最適なサービスメニューを組み合わせ、顧客内での新たな部門や新規顧客の開拓も進めました。
DX検証サービス事業においては、ネットビジネス/ゲーム領域顧客の状況が厳しい中、リソースの取り合いにも歯止めをつけるため、賃金の見直しおよび採用活動を強化しました。これまでの知見を活かし、エンタープライズ領域顧客への舵をきっており、人材配置の適正化と即戦力人材の調達を強化し、顧客の深掘りと新規顧客の開拓を進めてまいりました。
また特例子会社である東京都ビジネスサービスでは、障がい者が活躍し成長を実感できる制度構築や研修等、人材育成強化に注力し、得意を活かせる適材適所人材配置や職域拡大を進めることで付加価値が上がり、BPO業務を中心に幅広いサービス案件の受注に繋がりました。
これらの結果、当事業の売上高は19,750百万円(前期比7.9%増)、営業利益は2,651百万円(同9.3%減)となりました。
e.ビジネスソリューション事業
IT関連商品の法人向け販売および外資・中堅企業向けを中心としたシステムインテグレーションを主な業務とする当事業は、円安、原材料や物価の高騰など先行き不透明感はあるものの、DXやAIによる生産性の向上やコスト削減、競争力強化に向けた案件が徐々に活性化しております。
具体的には、クラウドマイグレーションの手法の一つであるリフト&シフト案件をはじめとした、クラウド関連のシステムインテグレーション事業では数多くの案件を受注しました。
また、RPAやデータ連携ツールを活用した企業のデジタル化に向けたシステム開発、保守運用案件、セキュリティサービスやサポートサービスについても多くの引き合いがあり、受注が増加しました。
全体的に後ろ倒しになっていたWindows10のサポート終了(2025年10月)に伴うリプレース案件に関しても、第3四半期以降、受注も大幅に増加しております。顧客の来期の計画も多く見えているため、提案活動を強化してまいります。
これらの結果、当事業の売上高は29,729百万円(前期比8.2%増)、営業利益は2,263百万円(同18.0%増)となりました。
f.DX&ストック型ビジネス事業
サブスクリプションビジネスモデルの推進を担う当事業は、顧客の人材不足ニーズに合わせてDX推進を伴走支援するディレクションサービスと、ノーコードDXプラットフォーム『Canbus.』を掛け合わせた引き合いが旺盛で、受注が増加しました。また、新たに『Canbus.』を軸として協業を開始したパートナー企業からの公共系案件も増加しており、売上を押し上げる要因となりました。
今後はさらに、顧客の人材不足課題への支援の拡大を軸に、Canbus.のデータを活用した「AI活用」や業種・用途に特化したパッケージ販売を通じてストック型ビジネスの拡大に繋げてまいります。
これらの結果、当事業の売上高は2,783百万円(前期比24.7%増)、営業利益は460百万円(同98.1%増)となりました。
g.その他事業
米国子会社では、車載インフォティメント関連のビジネスを中心に「次世代モビリティ事業」と連携した営業活動を継続した結果、複数の国内完成車メーカーやTier1企業からの新規受注を実現しました。
ゲーム開発等では、PC・スマホ向けゲーム『競馬伝説』シリーズの運営やスマホ・タブレット向けアプリの設計・開発を行なっております。スマホゲーム『競馬伝説PRIDE』において、特定の競走馬を入手・編成する事で戦力強化ができる新機能「クロスフェイト」を実装し、ゲームの更なる奥行を拡張しました。受託ゲーム開発では参画中案件のPMO支援、全体の工数管理を行うことで安定した運用を実現し、非ゲーム分野においても既存顧客からの受託開発は順調に推移しました。
これらの結果、当事業の売上高は797百万円(前期比38.3%減)、営業損失は19百万円(前期は営業利益142百万円)となりました。
②財政状態の状況
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における総資産は51,762百万円(前期末は54,038百万円)となり、前期末と比較して2,276百万円の減少となりました。
流動資産は44,184百万円(前期末は48,088百万円)となり前期末と比較して3,904百万円の減少となりました。これは主に現金及び預金8,308百万円の減少、売掛金3,455百万円の増加によるものであります。
固定資産は7,578百万円(前期末は5,950百万円)となり前期末と比較して1,628百万円の増加となりました。有形固定資産は1,321百万円(前期末は1,395百万円)となり前期末と比較して74百万円の減少となりました。無形固定資産は169百万円(前期末は254百万円)となり前期末と比較して85百万円の減少となりました。投資その他の資産は6,087百万円(前期末は4,299百万円)となり前期末と比較して1,788百万円の増加となりました。これは主に投資有価証券1,746百万円の増加によるものであります。
負債の合計額は18,812百万円(前期末は15,437百万円)となり前期末と比較して3,374百万円の増加となりました。これは主に買掛金2,625百万円の増加によるものであります。
純資産は32,950百万円(前期末は38,601百万円)となり前期末と比較して5,651百万円の減少となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益8,480百万円、剰余金の配当4,103百万円、自己株式9,889百万円の取得によるものであります。
これらの結果、自己資本比率は前期末と比較して7.8ポイント下降し62.7%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前期末と比較して8,628百万円減少し、21,464百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は7,979百万円(前年同期は9,036百万円の獲得)となりました。この主な増加要因は、税金等調整前当期純利益11,846百万円、仕入債務の増加額2,625百万円、減価償却費460百万円、賞与引当金の増加額196百万円によるものであり、主な減少要因は、売上債権の増加額3,691百万円、法人税等の支払額2,873百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は2,576百万円(前年同期は251百万円の使用)となりました。この主な減少要因は、有価証券の取得による支出7,741百万円、投資有価証券の取得による支出1,925百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出318百万円によるものであり、主な増加要因は、有価証券の売却による収入7,356百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は14,024百万円(前年同期は3,504百万円の使用)となりました。この主な減少要因は、配当金の支払額4,095百万円、自己株式の取得による支出9,895百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度のセグメント別生産実績は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
ソリューションデザイン事業 |
12,407 |
90.0 |
|
次世代モビリティ事業 |
2,509 |
172.8 |
|
フレームワークデザイン事業 |
5,886 |
124.4 |
|
IT&DXサービス事業 |
13,879 |
110.0 |
|
ビジネスソリューション事業 |
1,275 |
134.4 |
|
合計 |
35,957 |
107.2 |
(注)1.当社グループ内において、サービスの性格上受注生産活動を伴うセグメントのみ示しております。
2.上記の金額は、製造原価で記載しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ソリューションデザイン事業 |
18,158 |
104.8 |
6,264 |
110.6 |
|
次世代モビリティ事業 |
6,831 |
266.4 |
2,693 |
296.7 |
|
フレームワークデザイン事業 |
8,908 |
126.3 |
3,691 |
113.0 |
|
IT&DXサービス事業 |
19,829 |
107.9 |
7,209 |
105.8 |
|
ビジネスソリューション事業 |
1,683 |
109.1 |
862 |
103.3 |
|
合計 |
55,412 |
118.3 |
20,722 |
118.5 |
(注)当社グループ内において、サービスの性格上受注生産活動を伴うセグメントのみ示しております。
c.販売実績
当連結会計年度のセグメント別販売実績は次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) (百万円) |
前年同期比(%) |
|
ソリューションデザイン事業 |
17,557 |
94.3 |
|
次世代モビリティ事業 |
5,045 |
200.8 |
|
フレームワークデザイン事業 |
8,482 |
122.9 |
|
IT&DXサービス事業 |
19,436 |
107.5 |
|
ビジネスソリューション事業 |
29,705 |
108.2 |
|
DX&ストック型ビジネス事業 |
2,725 |
124.4 |
|
その他 |
667 |
56.4 |
|
合計 |
83,621 |
108.7 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、連結財務諸表の作成に当たり採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績の分析・検討につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
売上高及び営業利益につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
経常利益につきましては、営業利益は前期比24.2%増の12,067百万円でありましたが、営業外費用に有価証券売却損182百万円、有価証券評価損151百万円等を計上したことにより、前期比19.2%増の11,855百万円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、賃上げ促進税制による税額控除が前連結会計年度は423百万円でありましたが、当連結会計年度は317百万円であったこと等により、前期比17.2%増の8,480百万円となりました。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金・設備資金につきましては、自己資金および借入金により充当しております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物は21,464百万円であり、当座貸越契約も含め十分な資金の流動性を確保しております。
当社グループの資金の状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりで、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。
|
|
2023年3月期 |
2024年3月期 |
2025年3月期 |
|
自己資本比率(%) |
69.9 |
70.5 |
62.7 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
229.9 |
195.0 |
249.3 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) |
20.3 |
17.2 |
19.4 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
1,077.8 |
1,244.4 |
682.7 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
※各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
※株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しており、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
※有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
※営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。