文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社グループは、グループの使命・存在意義である経営理念として、下記のとおり掲げております。
①我々は、エプコグループで働く情熱ある社員とその家族の幸福を追求します。
②エプコグループの存在目的は、社会問題を解決し、国民生活に貢献することです。
③エプコグループは、世界の人々の住まい、暮らしを支えるインフラ企業を目指します。
[行動規範]お客様からパートナーと認められる思考と行動をする。
[提供価値]社会問題を解決するサービス・技術を提供する。
[企業像] 人々の暮らしを支える強固な社会インフラ企業を目指す。
[経営目標]エプコのサービスを世界の人々の住まいや暮らしにインサイドさせる。
当社グループは、2025年に向けた新たな中期経営計画(2021年~2025年度)を2021年2月12日に発表しました。当該計画における基本方針及びセグメント別の事業方針は下記のとおりです。
<中期経営計画(2021年~2025年度)の基本方針>
デジタル技術を活用して設計から工事、アフターメンテナンスまでの情報をクラウドで一元管理できるプラットフォームを提供することで、住宅ライフサイクル全体の最適化とSDGsへの取組みを実現する。
[SDGsへの取組み]
当社が取組む3つの事業(設計サービス/メンテナンスサービス/省エネサービス事業)を通じてSDGsを実現
①プレファブ化による産業廃棄物の削減
②メンテナンスによる持続可能な住まいづくり
③電化住宅による脱炭素社会づくり
<セグメント別の事業方針>
中期経営計画(2021年~2025年度)における定量目標は下記のとおりです。
建築DXで既存モデルを高付加価値化し、高成長・高収益化を目指す。
<セグメント別売上高目標>
<セグメント別営業利益率・持分法投資損益目標>
(4) 会社の経営環境及び対処すべき課題
1.当社グループを取り巻く外部環境
2022年は、新型コロナウイルス感染症にかかる行動制限の緩和等により各種経済活動が再開され、景気は緩やかに持ち直しの動きを見せています。一方で、長期化するロシア・ウクライナ情勢の影響により原材料・エネルギー価格が高騰し、米国の金利上昇に伴う急激な円安が進行するなど、経済の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの主力市場である日本の新築住宅市場においては、建築資材の高騰等により住宅の販売価格が上昇傾向にあることを受けて、2022年における持家の新設住宅着工戸数は12カ月連続して前年比マイナスで推移するなど、予断を許さない状況であると認識しております。
また、地球温暖化による自然災害が多発しており、地球温暖化防止に貢献する脱炭素社会の実現に向けた取組みを加速させることが求められております。
当社グループの新たな事業領域であるエネルギー業界においては、燃料価格の高騰や電力スポット価格の上昇に伴い、電力小売り自由化後に参入した新電力会社の中で事業撤退の動きが進んでおり、大手電力会社においても大幅な赤字決算となる電力会社が相次ぐなど、厳しい経営環境が続いております。
このような事業環境において電力及びガス会社は、温室効果ガスの削減につながる脱炭素事業へとビジネスモデルを転換し始めており、太陽光発電システムや蓄電池といった省エネ設備に販路を広げ、自社の事業構造を変革し、時代の潮流に適したエネルギー会社への変貌を成し遂げようとしております。
また、中国においても脱炭素化に向けた取組みが推進されており、中国政府より2060年のカーボンニュートラル実現にむけた再生可能エネルギーの普及拡大の方針が打ち出されております。昨年発表された「第14次5か年再生可能エネルギー発展計画」においては、2021年から2025年の5か年において太陽光と風力による発電量を倍増させる目標が明記され、中国国内における再生可能エネルギー事業はこれから成長が加速していくことが予想されます。
これまでエプコは、ベース事業(設計サービス事業及びメンテナンスサービス事業)にて、大手住宅会社向けに新築時の設備設計及び引き渡し後のメンテナンスサービスを提供することで、安定的な成長を果たしてまいりました。そうした中、現在はビジネスモデルを転換する時期を迎えており、ベース事業で培った様々なノウハウを活かして、成長事業である省エネサービス事業に対して経営資源を優先的に投入してまいります。
2.省エネサービス事業の業況と対策
省エネサービス事業では、再生可能エネルギーの普及を促進するために、太陽光発電システムや蓄電池等の設備について設置工事を中心とする様々なサービスを提供しております。
(日本市場における取組み)
日本市場においては、東京電力エナジーパートナー株式会社と当社との合弁で設立したTEPCOホームテック株式会社(以下、TEPCOホームテック)、そして当社100%子会社である株式会社ENE's(以下、ENE’s)が事業の中心となります。
脱炭素社会の実現に向けた取組みは我が国のみならず世界的な潮流となっており、TEPCOホームテックが手掛ける省エネサービス事業に対する社会的な関心は高まっております。なかでも、住宅設備の定額利用サービスである「エネカリ」は、大手不動産・分譲住宅会社からの受託が急拡大しております。エネルギー価格の高騰や電力需給の逼迫、東京都の太陽光パネル設置義務化等の自治体の制度による後押しもあり、TEPCOホームテックは今後更なる成長が見込まれています。当社としましても、TEPCOホームテックの事業推進を積極的に支援していく所存です。
当社とTEPCOホームテックの戦略的施工会社であるENE'sにおきましても、TEPCOホームテックの事業拡大に伴い受注量が増加しており、省エネ設備工事の更なる受注拡大に向けて、拠点や人員の拡充、施工効率の向上、M&Aを含めた他社との業務・資本提携を進めてまいります。
(中国市場における取組み)
また、2023年1月には、香港市場に上場している中国最大の住設管材メーカーであるCHINA LESSO GROUP(以下、LESSO)との間で太陽光発電事業を推進するための合弁会社(班皓艾博科新能源設計(深圳)有限公司)を立ち上げ、中国市場にて省エネサービス事業を展開する機会を得ました。
当社グループは、2011年以来、LESSOとの間で給排水設備分野において緊密な協業関係を構築しており、LESSOが中国市場における太陽光発電事業に本格参入したことを受けて、LESSOより当社グループに対して合弁事業化の申し入れを受けたことが発端となります。
LESSOは、大規模な太陽光パネルの生産能力を有するとともに、中国全土に販売代理店ネットワークを有していることが強みであり、また、中国は、太陽光発電システムの設置容量が世界最大であり、今後も国策として太陽光発電の普及を強力に推進する方針であることから、中国市場における太陽光発電事業は有望な事業分野と捉えております。
3.メンテナンスサービス事業の業況と対策
メンテナンスサービス事業は、住宅のアフターメンテナンス全般に関わるハウスマネジメントサービスであり、既存住宅を対象としている積み上げ式のストック型ビジネスであることから、業績は安定して推移しております。また、今後の受託拡大を見据えて、事業継続体制を強化する観点から、昨年、石川県金沢市に新たなメンテナンスサービス拠点を設立し、複数拠点にて安定的にサービス提供できる体制整備を進めております。
新築住宅の減少が鮮明になる中、当社グループの主要顧客である大手ハウスメーカーも既存顧客との関係性を活かしたリフォーム需要の創出に活路を見出そうとしております。そのためには居住者の修理データを「家歴」としてクラウド上で管理し、アプリを通じて居住者と住宅会社がコミュニケーションを図ることで、メンテナンスからリフォームへの好循環を図るサービスを提供してまいります。
また、メンテナンスサービス事業は、TEPCOホームテックを始めとする当社の様々なグループ企業と連携することでさらなる受託拡大が見込めるサービスであります。従前の主力事業である住宅分野におけるメンテナンスサービス事業だけでなく、エネルギー分野のメンテナンスサービス事業に注力することで、さらなる事業拡大を目指してまいります。
4.設計サービス事業の業況と対策
新築住宅の設備設計サービスが主体である設計サービス事業を取り巻く経営環境としては、住宅産業が抱える構造的課題である少子高齢化等の影響により、中長期的には新設住宅着工戸数の下降トレンドは不可避であることが予想されます。また、当社の主要な設計拠点である中国における物価水準の上昇及び円安の進行は、当社グループにおける設計費用の増加要因となります。
このような厳しい事業環境の変化に対応するため、当社グループでは経済社会情勢を踏まえた価格の適正化を発注者にご理解いただく努力を進めるとともに、主力設計拠点である中国・吉林CADセンターにおいては、設計業務の自動化を継続的に進めることにより設計業務の効率化を図りつつ、日本及び中国の設計拠点における役割分担の最適化を進めることで、設計費用の抑制を図る方針であります。
また、住宅産業は少子高齢化に対処するために抜本的な事業構造の変革に着手し、業務効率化と経営合理化を図る必要があります。当社グループが取組むBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)サービスは、これらを解決する手段の1つになりうると考えており、設計データを3次元化し、そこに様々な属性情報を加えることで建築ライフサイクル全般を効率化することが可能となります。
当社グループは、デジタル技術を活用した「脱炭素×建築DX」によって住宅産業に関わるサプライチェーン全体の効率化及び脱炭素化を推進してまいります。
当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、潜在的リスクや不確定要因はこれらに限られるものではありませんのでご留意下さい。
(1)住宅市場の動向に関するリスク
当社グループの事業は主たる得意先が住宅会社であることから、住宅市場の動向が当社グループの受託状況に影響を及ぼします。住宅市場は、景気、金利、地価等の動向、雇用環境、税制及び補助金等、様々な変動による影響を受けます。特に、大幅な金利上昇、雇用環境の変化等により、施主様の住宅購買意欲が減退し、当社の得意先である住宅会社の受注が大幅に減少した場合、当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。
(2)法的規制に関するリスク
当社グループの得意先・取引先は、主に住宅・建設業界の事業者が中心であり、建築基準法、建築士法、電気事業法、特定商取引法など関連する各種法令により規制を受けております。これらの法規制は当社の業務を直接的に規制するものではありませんが、当社が取引を行うに当たり当該法規制を把握することが必要であります。
そのため、将来においてこれらの法的規制の強化や新たな規制の制定が行われた場合には、当社グループの事業活動が制限される可能性や、これらの規制を遵守するための費用増加につながる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3)知的財産権に関するリスク
当社グループは、現時点において、当社グループの事業活動に影響を及ぼすような特許権、商標権その他知的財産権が第三者によって取得されているという事実は確認しておりません。しかしながら、将来の当社の事業活動に関連して、第三者が知的財産権の侵害を主張し、当社の事業が差し止められたり、損害賠償など金銭的な負担を余儀なくされた場合、または第三者の知的財産権につき実施許諾が必要となりロイヤリティの支払いが発生したり、あるいは実施許諾が得られない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(4)海外における事業リスク
当社グループにおける中国の子会社である艾博科建築設備設計 (深圳)有限公司、艾博科建築設備設計 (吉林)有限公司は、日本の得意先向けに設計図面を作図する生産拠点(CADセンター)として重要な位置を占めております。また、中国及びその他海外市場での事業拡大を図るべく、様々な取組みを進める方針です。
海外事業の展開にあたっては、①当社グループにとって悪影響を及ぼす法律の改正、規制の強化、②テロ・戦争の勃発、伝染病の流行等による社会的・経済的混乱、③物価水準の上昇による現地人件費等の増加、等のリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)外国為替相場の変動に関するリスク
当社グループにおいては、外貨建(人民元及び香港ドル)取引による収入及び支出が発生しており、またそれに伴う外貨建て資産及び負債を有しております。外国為替相場の変動による影響を極力低減するため、必要な範囲で為替予約取引を利用したリスクヘッジを実施しておりますが、外国為替相場が急激に変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)人材の確保に関するリスク
当社グループの設計サービス事業及びメンテナンスサービス事業は日本(東京・沖縄)及び中国(深圳・吉林)にて多数のオペレーターを抱える労働集約的な事業であることから、人材の確保・育成が重要な課題であると認識しております。そのため、当社グループでは、新卒・中途採用共に多様な採用活動を実施し、人材の確保に努めると共に、入社後は各階層及び各職種に応じた教育研修の整備に努めておりますが、必要な人材を確保・育成できない場合には、当社グループの業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、日本(東京・沖縄)及び中国(深圳・吉林)において人件費が上昇した場合、当社グループの業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは業務の生産性向上を目的として業務プロセスの見直し及び作業の自動化や効率化を実現する情報システムの開発を継続的に実施しております。しかしながら、当社グループの対応よりも急激に人件費が上昇した場合、当社の業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)新規事業への参入に関するリスク
当社グループは、今後も持続的な成長と収益源の多様化を進めるために、日本国内及び海外において新規事業の創出と育成を積極的に推進する方針です。しかしながら、新規事業を開始した際には、その事業固有のリスク要因が加わると共に、新規事業を遂行していく過程では、急激な事業環境の変化をはじめとして様々な予測困難なリスクが発生する可能性があります。その結果、当初の事業計画を達成できない場合は、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
(8)持分法投資損益による業績変動に関するリスク
当社グループでは、戦略的業務提携の一環として大手企業との間で合弁事業を行っており、現在の持分法適用会社としては、TEPCOホームテック株式会社、広東聯塑艾博科住宅設備設計服務有限公司、深圳艾科築業工程技術有限公司、MEDX株式会社の4社があります。各社は各々の事業に関する方針のもとで経営を行っており、これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績・財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(9)情報システムに関するリスク
当社グループのサービスは、インターネット接続環境及び社内外のコンピューターネットワーク等のインフラが良好に稼動することに依存しております。事業の安定的な運用のために、システムの重要度に応じて、コンピュータ機器・通信回線の二重化やバックアップ取得等の安全対策を実施し、またネットワーク機器の導入やウィルス対応などの各種セキュリティ対策を行っております。また、社内インフラを統括する情報システム本部、及び多数の施主様の情報をお預かりしているメンテナンスサービス事業では、当社の情報資産を安全に管理するため、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を整備しており、国際規格であるJIS Q 27001:2014(ISO/IEC 27001:2013)の認証を取得しております。
しかしながら、機器やソフトウエアの不具合、人為的ミス、回線障害、コンピュータウィルス、クラッカー等による悪意の妨害行為、あるいは、停電、自然災害によるシステム障害など、その障害等の程度によっては当社の対策が有効に機能しない可能性があり、その場合には、当社グループの業務運営、財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)個人情報管理に関するリスク
当社グループでは、事業の性質上、得意先から多数の施主様の個人情報をお預かりし、その情報を得意先と共有し、有効活用することで事業運営を行っております。個人情報の漏洩や不正使用を防止するため、安全対策に関するルールを定め、適正な情報管理を行うための体制を整え、全社員を対象とした教育・研修を継続的に実施することにより、厳格な情報管理を徹底しております。
その結果、当社の個人情報マネジメントシステムはプライバシーマーク(JIS Q 15001)の認証を取得しており、個人情報の取扱いには留意しておりますが、万が一これらの情報の漏洩や不正使用などの事態が生じた場合、損害賠償請求や社会的信用失墜等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11)自然災害等に関するリスク
地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、インフルエンザ等の感染症、大規模事故、テロ・暴動、その他予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの社員・事業所・設備やシステムなどに対する被害が発生し、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。
そのため、当社では、災害対策マニュアルの策定、基幹業務に対する事業継続計画の策定、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む)、防災訓練、必要物資の備蓄、国内外の拠点や関係会社との連携・情報共有などの対策を講じて、各種災害に備えています。ただし、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、このような事象の発生時には当社の業務運営、財政状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)将来的な気候変動に関するリスク
当社グループでは、気候変動に関するリスク及び機会を重要な経営課題のーつと認識し、持続可能な社会の実現に向けて「HCDs:Housing Carbon Neutrality Digital Solutions」をパーパスに掲げて、住まい・暮らし・地球環境をデジタル技術で支えることを目指しております。
当社は、2022年3月、「TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言への賛同を表明いたしました。TCFD提言への賛同を機に、気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、分析と対応を一層強化し、関連情報の開示を推進していくとともに、2050年の脱炭素社会実現に貢献する取組みを進めてまいります。
①ガバナンス
当社グループは、サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、「サステナビリティ委員会」を設置しています。「サステナビリティ委員会」は、当社グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行い、取締役会ではその内容について、論議・監督を行っています。
<環境マネジメント体制図>

<環境マネジメント体制における会議体及び役割>
②戦略
異なるシナリオ(平均気温上昇1.5℃、4℃)における財務影響及び事業インパクトを評価するとともに、気候関連リスク・機会に対する当社戦略のレジリエンスを評価することを目的として、シナリオ分析を実施しております。
事業/財務影響評価
大:事業戦略への影響または財務的影響が大きいことが想定される
中:事業戦略への影響または財務的影響が中程度と想定される
小:事業戦略への影響または財務的影響が小さいことが想定される
気候変動に関するリスクは、当社グループ経営に少なからずマイナスの影響を与えうると想定されるものの、当社グループの事業は情報システムを活用したソフトサービスが中心で、温室効果ガスの排出量が少ない事業であること、また、多様な事業からなる事業ポートフォリオによりリスク対応が可能であることから、グループ全体に与える財務的なネガティブリスクは限定的と分析しております。
むしろ、多様な技術・事業によって、気候変動に関する新たな事業機会を獲得できるポテンシャルがあると認識しており、財務的な影響としてはネガティブリスクよりも事業機会の獲得に伴うポジティブな影響の方が大きいと捉えております。
当社グループにおける気候変動に関するリスクと機会の一覧については、下記のとおりです。
■リスク
表1 気候変動リスクに関する財務的な影響及び当社グループの対応方針
※ 省エネサービス事業は、TEPCOホームテック(持分法適用会社)及び、ENE’s(連結子会社)の事業活動を示します。
■機会
表2 気候変動機会に関する財務的な影響及び当社グループの対応方針
※ なお、当社グループにおける気候変動リスク及び機会に重要な影響を与える項目のひとつとして、我が国における長期的な電源構成に関する政策方針が挙げられます。この度の開示においては、2021年10月に公表された第6次エネルギー基本計画における電源構成を前提に検討しておりますが、今後、再生可能エネルギーや原子力発電の活用について様々な議論がなされることが予想されるため、今後ともエネルギー政策動向について注視してまいります。
③リスク管理
当社グループは、リスクを「環境変化の中で、組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と定義しています。
リスクには、プラス面(機会)、マイナス面(脅威)の両面があり、企業が適切に対応することより、持続的な成長につながると考えています。
また、当社グループは、リスクを戦略の起点と位置づけ、全社的に管理する体制を構築することが重要であると考えています。「総合リスク対策委員会」では、外部環境分析をもとにリスクを識別・評価し、優先的に対応すべきリスクの絞り込みを行い、当社グループの戦略に反映して対応しています。
当社グループは、「総合リスク対策委員会」で特定したリスクのうち、環境課題に係るリスクについて、「サステナビリティ委員会」の中でより詳細に検討を行い、各グループ会社・事業部と共有化を図っています。
各事業会社・事業部では、気候変動の取組みを実行計画に落とし込み、一同で論議しながら実行計画の進捗確認を行っています。
その内容について、「総合リスク対策委員会」及び「サステナビリティ委員会」において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。
<リスク管理プロセス>

<リスク管理体制>
④指標と目標
当社グループにおけるScope1・2の温室効果ガス(以下、GHG)排出量実績は、下表のとおりです。
(※)上記排出量は、マーケット基準(Scope2を算定する際に、電力会社やメニューごとのGHG排出係数を用いる方法)にて算出しております。
GHG排出原単位は、連結売上高1億円当たりのGHG排出量(Scope1・2の合計)です。
<過去3年間のGHG排出量実績推移>

<GHG排出量に関する当社グループの分析>
1.基本的な傾向としては、事業拡大に伴って事業活動・拠点が増加することでGHG排出量も増加傾向にあります。
2.一方で、2022年度の排出量(Scope2)が前期比で減少しているのは、利用している電力会社(沖縄ガスニューパワー)がバイオマス発電所を新設したことにより、二酸化炭素の排出係数が大幅に減少したことが主たる要因です。
3.この結果、2022年度における連結売上高当たりのGHG排出量は前期比で減少しております。
<GHG排出量に関する当社グループの目標>
前述した実績の推移を踏まえて、当社グループは今後の取組みとして下記の事項を進めてまいります。
1.Scope1・2におけるGHG排出量については、デジタル化による業務効率向上を推進することで、GHG排出量の削減に努めてまいります。また、GHG排出量の削減を行う上では、連結売上高当たりの排出量(GHG排出量原単位)をKPIとして設定し、定量的な管理を実施する方針です。
2.Scope3におけるGHG排出量についても、今後集計の精緻化を図るとともに目標設定に向けて取組んでまいります。
3.当社グループにおけるGHG排出量を削減するにあたり、再生可能エネルギーの調達やJクレジットの導入についても併せて検討いたします。
4.当社グループにおけるGHG排出量の削減に努めるとともに、脱炭素社会に貢献するサービスを提供することで取引先企業におけるGHG排出量を削減することについても注力してまいります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度(2022年1月1日から2022年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症にかかる行動制限の緩和により、各種経済活動が再開されつつあります。一方、世界経済においては、長期化するロシア・ウクライナ情勢の影響により原材料・エネルギー価格が高騰し、米国の金利上昇による急激な円安が進行するなど、先行き不透明な状況が続いております。
また、当社グループが主に関連する住宅産業におきましては、当連結会計年度における住宅着工戸数は前期比0.4%の増加となったものの、当社グループの業績への影響が大きい住宅着工戸数(持家)は、建設工事費の上昇に伴う住宅販売価格の上昇等の影響により減少傾向が続いており、前期比では11.3%の減少を記録するなど、予断を許さない状況であると認識しております。
当社グループは、このような外部環境の変化を新たな成長市場の創出機会と捉えて、住宅ライフサイクル全体(設計から工事、アフターメンテナンスまで)の業務効率化に貢献することを通じて、世界的な課題である脱炭素社会の実現を目指すために、各事業においてデジタル技術を活用した新しいサービスの立ち上げに向けた準備を進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は4,818百万円(前期比2.6%増)、営業利益65百万円(前期比85.0%減)となりました。一方、持分法適用会社であるTEPCOホームテック株式会社の業績が好調に推移したことを受けて持分法による投資利益97百万円が発生したことで、経常利益は216百万円(前期比41.5%減)となりました。また、政策保有株式であるENECHANGE株式の一部売却に伴う投資有価証券売却益254百万円の発生により、親会社株主に帰属する当期純利益359百万円(前期比45.4%減)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
当連結会計年度より、報告セグメントを次のとおり変更しております。
従来、報告セグメントを「D-TECH事業」「H-M事業」「E-Saving事業」「システム開発事業」の4セグメントとしておりましたが、「システム開発事業」はENESAP事業の事業譲渡完了により重要性が低下したことから、成長事業とは位置付けず、今後の事業展開を見据えて、当社グループ内の業績管理区分の見直しを行った結果、「システム開発事業」を主に「H-M事業」に統合し、報告セグメントの区分を3セグメントに変更するものであります。また、当社グループの事業内容をより適切に表示する観点から、報告セグメントの名称を従来の「D-TECH事業」「H-M事業」「E-Saving事業」から、「設計サービス事業」「メンテナンスサービス事業」「省エネサービス事業」に変更しております。
なお、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
当連結会計年度は、当社が主たる事業領域とする持家分野の新設住宅着工戸数は減少傾向が続いており(前期比11.3%減)、当社の設計受託戸数も連動して減少した結果、売上高は2,106百万円(前期比6.9%減)となりました。また、急激な円安の進行による中国における設計費用の増加や、中長期に向けた取組みとしてBIM(Building Information Modeling)を活用した新規事業への投資(主に日本及び中国(深圳)における設計人材への投資)を継続した結果、営業利益は172百万円(前期比65.4%減)となりました。
当連結会計年度は、既存得意先における預かり顧客数及び受電件数が堅調に増加したことによりメンテナンスサービス売上が増加し、また、東京電力エナジーパートナー株式会社と当社の合弁会社であるTEPCOホームテック株式会社をはじめとするエネルギー系企業からの受託案件が増加した結果、売上高は1,758百万円(前期比7.1%増)となりました。一方で、今後の事業拡大を見据えた新拠点(金沢オペレーションセンター)の開設費用が発生した結果、営業利益は245百万円(前期比2.3%減)となりました。
当連結会計年度は、株式会社ENE’sにおいてTEPCOホームテック株式会社及び当社との営業連携の効果により太陽光設備や蓄電池設置工事等の受注増加が継続したことにより、売上高は953百万円(前期比20.3%増)、営業利益は38百万円(前期比47.8%増)となりました。
② 資産、負債及び純資産の状況
流動資産は前連結会計年度末に比べて21.3%減少し、2,408百万円となりました。これは主として、未収還付法人税等が117百万円増加した一方で、現金及び預金が741百万円減少したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて19.5%減少し、2,669百万円となりました。これは主として、有形固定資産が142百万円、関係会社株式が266百万円、長期貸付金が180百万円それぞれ増加した一方で、所有株式の一部売却及び評価替えにより投資有価証券が1,236百万円減少したことによるものです。
流動負債は、前連結会計年度末に比べて36.5%減少し、423百万円となりました。これは主として未払法人税等が266百万円減少したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて60.2%減少し、263百万円となりました。これは主として所有株式の一部売却及び評価替えにより繰延税金負債が400百万円減少したことによるものです。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて13.1%減少し、4,391百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益359百万円を計上し、為替換算調整勘定が79百万円増加した一方で、所有株式の一部売却及び評価替えによりその他有価証券評価差額金が808百万円減少し、配当金による取崩し298百万円を計上したこと等によるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ769百万円減少し、当連結会計年度末残高は1,025百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は167百万円(前連結会計年度は230百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益471百万円及び減価償却費144百万円を計上した一方で、持分法による投資利益97百万円を計上し、投資有価証券売却益の計上に伴う投資活動によるキャッシュ・フローへの振替254百万円及び法人税等の支払額481百万円が発生したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は330百万円(前連結会計年度は483百万円の収入)となりました。これは主として、投資有価証券の売却による収入258百万円を計上した一方で、有形固定資産の取得による支出217百万円、貸付けによる支出200百万円及び関係会社株式の取得による支出196百万円が発生したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は298百万円(前連結会計年度は267百万円の支出)となりました。これは配当金の支払による支出298百万円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況
当社グループは、受注生産形態をとらないものが多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引はありません。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。セグメント間の取引はありません。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表作成に当たりまして、当社グループの経営陣は連結決算日における資産・負債の数値及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。また、経営陣は過去の実績や状況に応じ、合理的妥当性を有する要因に基づき見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数値についての判断の基礎としております。見積りには特有の不確実性が存在するため、実際の結果とは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
当連結会計年度の売上高は4,818百万円(前期比2.6%増)となりました。
設計サービス事業の売上高は、当社が主たる事業領域とする持家分野の新設住宅着工戸数は減少傾向が続いており(前期比11.3%減)、当社の設計受託戸数も連動して減少した結果、売上高は2,106百万円(前期比6.9%減)となりました。
メンテナンスサービス事業の売上高は、既存得意先における預かり顧客数及び受電件数が堅調に増加したことでインバウンドサービスの売上が増加した結果、売上高は1,758百万円(前期比7.1%増)となりました。
省エネサービス事業の売上高は、株式会社ENE’sにおいてTEPCOホームテック株式会社及び当社との営業連携の効果により太陽光設備や蓄電池設置工事等の受注増加が継続したことにより、売上高は953百万円(前期比20.3%増)となりました。
当連結会計年度の営業費用は4,752百万円(前期比11.6%増)となりました。
設計サービス事業の営業費用は1,934百万円(前期比9.6%増)となりました。急激な円安の進行による中国における設計費用の増加や、中長期に向けた取組みとしてBIM(Building Information Modeling)を活用した新規事業への投資(主に日本及び中国(深圳)における設計人材への投資)を継続した結果、営業費用が増加しております。
メンテナンスサービス事業の営業費用は1,513百万円(前期比8.8%増)となりました。今後の事業拡大を見据えた新拠点(金沢オペレーションセンター)の開設費用が発生した結果、営業費用が増加しております。
省エネサービス事業の営業費用は914百万円(前期比19.4%増)となりました。太陽光設備や蓄電池設置工事等の受注増加が継続したことに伴い、営業費用が増加しております。
各報告セグメントに配分していない全社費用は390百万円となりました。
当連結会計年度の営業利益は65百万円(前期比85.0%減)となりました。
設計サービス事業の営業利益は172百万円(前期比65.4%減)となりました。
メンテナンスサービス事業の営業利益は245百万円(前期比2.3%減)となりました。
省エネサービス事業の営業利益は38百万円(前期比47.8%増)となりました。
当連結会計年度の営業外収益は151百万円となりました。持分法による投資利益97百万円、為替差益38百万円等を計上しております。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は216百万円(前期比41.5%減)となりました。
当連結会計年度の特別利益は254百万円となりました。投資有価証券売却益254百万円等を計上しております。
当連結会計年度の特別損失は0百万円となりました。固定資産除却損0百万円を計上しております。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は471百万円(前期比52.4%減)となりました。
(法人税等)
当連結会計年度の法人税等は112百万円となり、法人税等の負担率は23.8%となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益359百万円(前期比45.4%減)となりました。
当連結会計年度における財政状態につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 ②資産、負債及び純資産の状況」に記載のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループは、事業活動のための適切な流動性の確保と健全な財政状態の維持のため、営業キャッシュ・フローの創出に努めております。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。これらの資金需要につきましては、基本的に営業キャッシュ・フロー及び自己資本を主な源泉と考えております。ただし、当社グループの成長のための資金需要が生じた場合に備え、金融機関との間で当座借越契約を締結しております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
当社グループは、目標とする経営指標としてROE(自己資本当期純利益率)を掲げております。今後、人々の住まいと暮らしを支える住宅・エネルギー分野のインフラ事業を目指すことで持続的な利益成長を実現しつつ、株主資本を有効活用(配当及び自社株買いによる株主還元を含む)することにより、ROEの向上に努めてまいります。
当連結会計年度のROEは7.6%となりました。ROE関連指標は以下のとおりであります。
当社は、2022年12月16日開催の取締役会において、当社の連結子会社である艾博科建築設備設計(深圳)有限公司(以下「エプコ深圳」)の株式の一部をChina LESSO Group(2128.HK、以下、LESSO)傘下の聯塑班皓光伏新能源発展有限公司に売却することを決議し、同日付けで株式譲渡契約を締結し、2023年1月11日付けで手続きを完了しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(重要な後発事象)をご参照ください。
該当事項はありません。