当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
① 中期的方針
当社グループは、創業以来ボイスコミュニケーション事業に注力してまいりました。近年生成AI分野における技術の発展により、当社グループのボイスコミュニケーション事業を「AIカスタマー・コミュニケーション・プラットフォーム」へと進化的にブラッシュアップすることで市場ニーズに対応した革新的なサービス拡充と運用効率の最適化を図り本事業の継続的な成長と収益力の強化を戦略的に推進いたします。また新規事業を迅速に展開することで、「技術を愛し、技術を提供することによって、社会変革の牽引役となり、豊かな社会を実現する」という企業理念の基、企業価値の向上及び株主価値の向上を目指してまいります。
② 目標とする経営指標
今後、グループ企業体制の効率的な構築を見越し、売上規模の拡大、収益基盤の強化を図り収益拡大を目指します。また、経営上のKPIを「収益力(売上営業利益率)」とし、既存事業における営業力の強化、事業採算性の評価、徹底した経費削減等に取組み営業黒字の定着化を図ります。また、より継続的な収益及び高い利益率を確保できる新規事業を迅速展開することで収益の安定化を目指してまいります。
③ 中長期的な会社の経営戦略
当社は2025年4月から2027年3月までの2年間を「企業価値向上フェーズ」と位置づけ、以下の経営戦略を実施することにより、収益の最大化並びに企業価値の向上を実現いたします。
企業価値の向上は株価に比例連動するものであり、かつ資本コストの削減施策とリンクすることで、相乗的に配当を含めた株主利益の増加へと導きます。
1)既存事業の再構築と事業基盤の強化
従前、事業拡大を目指し当社グループのコア事業であるボイスコンピューティング事業とコミュニケーション・プラットフォーム事業に経営資源を投下してまいりました。以降においては、2025年3月期実施の第三者割当増資にて獲得した資金の一部を新たに投入し、「AIカスタマー・コミュニケーション・プラットフォーム」へと進化的なブラッシュアップを目指します。
2)新規事業の開始
当社グループの業容拡大を通じた新たな収益基盤の確立を最優先課題と位置づけ、隣接事業分野におけるM&Aを含めた新規事業領域への戦略的進出を慎重に検討した結果、新たに「AIデータセンター事業」及び「グリーンエネルギー事業」の開始を決定いたしました。これにより、持続的な事業ポートフォリオの拡充と企業価値の最大化を目指し、競争力の拡大を図ります。
3)資本・業務提携、M&Aによる業容の拡大
調達した資金を用いて事業の拡大のための投資及び人材の確保を進めます。事業拡大のためにコミュニケーション・プラットフォーム事業分野の隣接エリアにおいて積極的にM&Aによる業容の拡大を進めます。
4)株主還元策の充実
株主の皆様への利益還元を重要な経営課題と位置づけ、株主の皆様との対話方法や関係性構築のありかたを含めて総合的な検討を行ったうえ、剰余金の配当や株主優待等の早期実現を含めた株主還元策の拡充を目指します。
(2)経営環境
当社グループは、2020年3月期まで9期連続の営業損失を計上しており、2021年3月期において黒字転換を果たしたものの、2022年3月期以降再び営業損失を計上しております。当連結会計年度においても、営業利益28,670千円、経常損失58,297千円、親会社株主に帰属する当期純損失81,165千円を計上しております。一方、当社グループは2025年1月27日付「第三者割当による新株式及び第15回新株予約権の発行並びに主要株主、主要株主並びに筆頭株主の異動(見込み)に関するお知らせ」に加え、2025年4月25日付「第三者割当による新株式の発行に係る払込完了のお知らせ(開示事項の経過)」、「第15回新株予約権の発行に関する払込完了のお知らせ(開示事項の経過)」のとおり、手元流動資金の確保だけではなく、既存事業の成長資金及び新規事業を開始するための資金も確保するにいたりました。
これにより、当社グループは「(3)対処すべき課題」に記載した4つの施策を積極的に推進し、当社グループにおける企業価値及び業績拡大を目指してまいります。
(3)対処すべき課題
当社グループでは、当連結会計年度における損失状況を改善すべく、財務基盤の安定化と収益基盤の拡大を積極的に行った結果、2025年1月27日付「第三者割当による新株式及び第15回新株予約権の発行並びに主要株主、主要株主並びに筆頭株主の異動(見込み)に関するお知らせ」に加え、2025年4月25日付「第三者割当による新株式の発行に係る払込完了のお知らせ(開示事項の経過)」、「第15回新株予約権の発行に関する払込完了のお知らせ(開示事項の経過)」のとおり、手元流動資金の確保だけではなく、既存事業の成長に資する資金及び新規事業を開始するための資金も確保するにいたりました。
当社は、グループ全体を飛躍的に発展させるために、下記のとおり重要な成長戦略の遂行を促進し、中長期的な成長にむけて収益向上を目指してまいります。
①既存事業の再構築と事業基盤の強化
当社グループにおきましては、過年度から引き続き収益構造の改善に取り組むとともに、当連結会計年度においても、継続して当社コア事業である「commubo(コミュボ)」、「telmee(テルミー)」、「SITE PUBLIS」のブランディングをはじめとしたマーケティング施策の再構築及び実行に注力した結果、以前に比べ顧客との商談機会が大幅に増加したことに加え、そのシナジーにより収益の安定化に対する寄与度の高い各種製品によるストックビジネスの積み上げを継続的に推進することができました。
一方、当社が強みとしてきたリアルタイム・コミュニケーション技術による電話応対業務だけでなくWEBページを通じた音声・ビデオ通話にも技術的な対応範囲を広げ、テキストチャット、電子メールその他さらなる機能拡張とカスタマイズ性を強化し、市場の動向や顧客の期待に応じた高付加価値なプロダクトとして、戦略的に事業拡大を図る方針です。
また、当社の業務提携先であるノアソリューション社の生成AI技術を始めとするローカル大規模言語モデルサービスを有効活用し、「自然会話AIプラットフォームcommubo」を「AIカスタマー・コミュニケーション・プラットフォームcommubo」へ進化的にブラッシュアップすることで、市場ニーズに対応した革新的なサービス拡充と運用効率の最適化を図り、ボイスコミュニケーション事業の継続的な成長と収益力の強化を戦略的に推進することにより、持続可能な事業拡大および企業価値の向上を目指します。
②新規事業の開始
2025年1月27日付「新たな事業の開始に関するお知らせ」および「第三者割当による新株式及び第15回新株予約権の発行並びに主要株主、主要株主並びに筆頭株主の異動(見込み)に関するお知らせ」に記載のとおり、当社グループの業容拡大を通じた新たな収益基盤の確立を最優先課題と位置づけ、隣接事業分野におけるM&Aを含む新規事業領域への戦略的進出を慎重に検討を重ねてまいりました。その結果、市場ニーズと当社の中長期的な戦略を踏まえ、「AIデータセンター事業」および「クリーンエネルギー事業」の開始を決定いたしました。これにより、持続可能な事業ポートフォリオの拡充と企業価値の最大化を目指し、競争力の強化を図ってまいります。
③コスト管理
販売費及び一般管理費につきましては、業務プロセスの最適化と効率化を推進することで、継続的にコスト削減を実現しております。また、開発稼働率の向上をはじめとするプロジェクト管理の強化を通じて、精緻なコストコントロールを徹底し、収益性の向上と経営資源の有効活用を図ってまいります。
④内部管理体制の強化コーポレート・ガバナンスの充実
当社グループでは、持続的な成長と企業価値の最大化を実現するため、内部管理体制の強化が不可欠であると認識しております。このため、子会社の経営管理体制を含むグループ全体の内部統制システムの拡充を図るとともに、透明性と説明責任を高めるコーポレート・ガバナンスのさらなる強化に取り組み、ステークホルダーからの信頼確保と経営の健全性を追求してまいります。
当社グループは、活動方針として「売りやすく、作りやすく、使いやすい」を掲げ、プロダクト開発に取り組んでおります。
社名の由来でもあります「ソフトフロント」は、他に先駆けるソフトウェアを育み社会に貢献するという意思が込められています。当社グループの技術提供によって人、社会、地球が健全であり長期的な視点で持続的に社会価値と経済価値を創出できるよう、様々なサステナビリティに関して継続的して取組んでまいります。
(1)ガバナンス
当社グループは、気候変動を含むサステナビリティ課題について、グループ全体とした横断的な対応を推進するため、常勤取締役及び執行役員にて形成される経営会議をサステナビリティ委員会と位置づけ、サステナビリティにかかわる活動方針の立案や活動の推進をモニタリングするとともに、当社本社機能組織において、当社グループへの活動方針等の浸透、各種報告書の情報発信などの対外的なコミュニケーションを行うこととしております。さらに情報開示以外にもステークホルダーとの対話を実施し、外部より受けたさまざまな意見や活動を通じて特定された課題を経営会議に報告するとともに対応方針を策定し、必要に応じて取締役会への報告を行い、対応方針を決定し、経営施策に適宜反映することで、社会の変化に対応した持続的な企業価値の向上を実現してまいります。
(2)戦略
「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」宣言では、気候変動に起因する事業への影響を考察するため、複数の気候関連シナリオに基づき検討を行う「シナリオ分析」を行うことが推奨されており、当社グループにおいても不確実な将来に対応した戦略立案・検討を行うために分析を実施いたしました。
今回のシナリオ分析では、脱炭素に向けてより野心的な気候変動対策が想定される「1.5℃シナリオ」と現状を上回る気候変動が行わられず、異常気象の激甚化が想定される「4℃シナリオ」を参考に、考察を行いました。
(シナリオ分析)
シナリオ分析の結果、1.5℃シナリオと4℃シナリオの両シナリオにおいて、異常気象の激甚化による当社の事業拠点への被害がリスクであると想定されております。ただし、当社グループでは、ハザードマップを参考にし、物理的な被害が抑えられるような地域を事業拠点としており、想定とされる被害についても最小限に留められるものとし、当社の経営に大きな影響を及ぼすものではないと判断いたしました。今後も事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)を意識するとともに、環境に配慮した設備を用いた事業拠点としてまいります。
(リスク)
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分類 |
リスク評価 |
対応方針 |
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移 行 リ ス ク |
市場 |
社会全体及び顧客の気候変動及び脱炭素意識の向上 |
社会全体の気候変動に対する関心が高まるなか、当社グループの主な顧客である大手・中堅企業においても脱炭素及び環境配慮型経営へのシフトが進んでおります。そのなかで、当社グループが提供するコミュニケーションプラットフォーム関連事業領域において、各企業による情報発信におけるサービスを提供しております。 |
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評判 |
ステークホルダーからの評判の低下・説明不足による取引の低下 |
気候変動に対して、顧客やステークホルダーからの要請が急速に増し、当社が消極的な対応をとった場合や対応が遅れた場合には、当社の社会的評価が低下するリスクが存在します。さらには、若い世代の気候変動への危機感の上昇による人材獲得の困難化につながるリスクが想定されます。 |
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物 理 的 リ ス ク |
急性 |
自然災害・風水害の激甚化による経済停滞リスクの増大 |
当社グループの各オフィスへの物理的な被害や交通網の被害、公共通信設備に被害があった場合、当社が提供するコミュニケーション・プラットフォーム関連事業に影響を与えると想定されます。 |
(3)リスク管理
当社グループでは、企業経営・事業継続に影響を及ぼす事業リスクの識別・評価・管理が課題であると認識し、リスク管理委員会において適切に管理し、その対応を実施しております。また、経営会議では、当社グループ各社から気候変動関連リスクを抽出し、発生可能性や財務的影響の大小から訂正・定量の両面で評価を行ってまいります。
対策が必要と判断されるリスクについては経営会議を経たうえで取締役会に報告され他のリスクとの関連性を審議したうえで、必要対策を決定しこれを実行しております。
(4)指標及び目標
当社グループは、気候変動対応の進捗を管理するための指標として、温室効果ガス(GHG:Green House Gas)排出量の削減目標を採用しております。
持続可能な社会の実現のために、パリ協定で掲げられた1.5℃目標に沿って、2050年カーボンニュートラルを目指し、中長期的な戦略及び施策の検討を行ってまいります。
(5)人的資本経営の取組み
当社グループにおいて、プロダクト開発に携わるエンジニアは極めて重要な経営資本となっております。社員の能力と人間力を向上させ、当社グループの収益源となります製品開発力を高めサービスを提供するとともに、社員の多様性を高めることで顧客の様々な価値観に応え、更なる高付加価値を促進してまいります。
当社グループの事業展開上のリスク要因になる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、本株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書提出日(2025年6月30日)現在において判断したものであります。
なお、以下の記載は本株式への投資に関連するリスクを全て網羅するものではありませんので、ご留意願います。
(1)既存事業の収益基盤について
当社グループでは、既存事業であるボイスコンピューティングを中心としたコミュニケーション領域での事業拡大を進める株式会社ソフトフロントジャパンと、コネクティングマネージメントシステムを中心としたサービスを提供する株式会社サイト・パブリスに経営資源を集中することにより、事業基盤の構築を図ることとしております。しかし、その収益基盤は不確実性を伴っており、当社グループは、不確実性を織り込んで計画を立てております。中長期的にその想定を超えて事業基盤の構築が進捗しなかった場合、当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
(2)M&A等について
当社グループは、スピーディな事業展開や効率的な事業規模拡大のため、M&A等を積極的に活用することとしておりますが、事前のデューデリジェンスにおいて確認できなかった問題等が生じる可能性があります。また、M&A等において見込んだシナジー効果が想定どおりに発揮されない場合、当社グループの業績が一定の影響を受ける可能性があります。
(3)研究開発について
当社グループは、他社との技術上の競合関係において、より有利な地位を占めるための努力を継続していく必要があり、そのための研究開発投資については、今後も継続が必要な重要な投資分野であると認識しております。当社グループの製品については、今後とも性能、品質の向上及び技術の強化に努め、かつ中長期的な観点から当社グループが現時点で重要と考えている技術上の研究課題についても研究開発を継続していく所存であります。ただし、当社グループの想定する技術動向と現実の技術動向との間に齟齬が生じた場合や他社との技術開発競争が激しくなった場合には、当社グループは予想しない支出を迫られる、又は当社グループの製品の普及に失敗する可能性があります。
(4)当社グループによる第三者の知的財産権の侵害について
当社グループは、現時点において第三者より知的財産権に関する侵害訴訟の提起や侵害の主張を受けてはおりません。しかし、当社グループが扱う技術は比較的新しいものであるため、現時点でクレーム等を受けていないとしても、将来、市場が拡大し、当社グループの事業活動が広がりを見せた段階において、第三者が知的財産権を侵害しているとのクレーム(ロイヤルティ支払いの要求、使用差止め請求、損害賠償請求等)を行い、当社グループの事業及び業績が影響を受ける可能性があります。
(5)第三者による機密情報(ソース・コード)の不正開示について
悪意のある第三者が当社グループから開示されたソース・コードを盗用し契約外の製品を開発する、誤って又は故意にソース・コードを公の場に公開する等の可能性があります。これらの行為に対しては契約上において法的なプロテクトを掛けておりますが、万が一被害にあった場合、当社グループのビジネスに大きな影響を与える可能性があります。また特に海外においてこれらの行為が行われた場合には、当該事項の発見が遅れ、対策が後手に回る危険性があり、結果として被害が拡大する可能性があります。
(6)製品の不具合(バグ)の発生について
当社グループが提供する製品の不具合、あるいは受託開発事業においての当社グループの開発物の不具合により顧客が損害を被った場合、損害賠償請求を受ける、又は当社グループの製品に対する信用が市場で損なわれる等、当社グループのビジネスに大きな影響を与える可能性があります。
(7)ストック・オプションの付与について
当社グループは、有能な人材を獲得し、事業を成功に導く過程において、新たにストック・オプションを付与する可能性があり、その場合には、株式価値の希薄化や費用の増加を招く可能性があります。
(8)主要株主及び筆頭株主について
主要株主及び筆頭株主より、当社株式については基本的に長期保有の方針であるとの意向を確認しておりますが、何らかの事情による方針転換等により変更となった場合、株価及び事業の拡大に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益の改善等により景気は緩やかな回復の動きが見られましたが、継続的な物価上昇や通商政策など米国の政策動向等による影響を注視する必要があり、依然として先行きが不透明な状況が続いております。
このような経済環境の下、ITサービス市場におきましては、世界的な物価の上昇や通商政策など海外景気の下振れ懸念はあるものの、人手不足に伴う業務効率化ニーズやDX(デジタルトランスフォーメーション)に向けた戦略的投資など、引き続き旺盛なIT投資が期待されます。
当社グループにおける顧客企業の動向につきましては、様々な業態におきまして業務効率化と生産性向上への強い意欲や、企業価値向上に向けたWeb等へのIT投資を背景に当社サービスの拡大導入への需要が継続しており、今後も継続していくものと考えております。
当社グループにおきましては、過年度から引き続き収益構造の改善に取り組むとともに、当連結会計年度におきましても、継続して当社サービスのブランディングをはじめとしたマーケティング施策の構築及び実行により顧客との商談機会が増加し、提供する各種製品によるストックビジネスの積み上げを進めてまいりました。
また、当社グループにおける活動方針であります「売りやすく、作りやすく、使いやすく」を掲げ、マーケティング(認知向上)や顧客ニーズに寄り添う支援体制の強化、プロダクト開発に積極的に取り組んでまいりました。
その中心となる主力製品が、自然会話AIプラットフォーム「commubo(コミュボ)」及びクラウド電話サービス「telmee(テルミー)」並びにWebサイトやコンテンツを簡単に構築・管理・更新できるシステム「SITE PUBLIS(サイトパブリス)」であり、当連結会計年度における事業活動により次の成果が得られております。
<commubo>
機能強化(使いやすく)活動
・取り扱い呼量増大に伴うロボットサービスインフラの増強
・音声系生成AIとの連携によるフィージビリティ検証
外部連携(作りやすく)活動
・相互連携を可能とするPBX/CTI/CRMベンダー製品ラインナップの拡充
認知向上(売りやすく)活動
・自社セミナー:加盟店が増える予約サービス-ボイスボット活用による電話対応の最前線-(1/24開催)
・自社セミナー:即時成果を出せるボイスボットの秘訣は自走化!活用体感セミナー(2/10開催)
・外部セミナー:CCAJコンタクトセンター・セミナー2025に登壇します!「お客様を置いていかないボイスボット活用」を講演(2/20-21開催)
・自社セミナー:予約サービスが直面する課題!ボイスボット導入で失われた顧客を取り戻す(2/27開催)
・「BIZTEL×commubo」対談セミナーのレポート公開:コールセンターのCX・EX向上の鍵を握る“ボイスボットと人の協業”
導入事例・他の活動
・記事掲載:音声対話型生成AIを電話と直接接続、ボイスボットによるお客様に寄り添った顧客体験(CX)を目指し電話のエキスパートが挑む次世代の電話応対自動化
・ボイスボットをダイバーシティ経営推進に活用、エプコ様事例:音声会話フローをテキスト化し日本一静かなコールセンターを目指す
・AIボイスボット「commubo」が「BOXIL SaaS AWARD 2025」導入事例セクション中小企業部門1位に選出、利用者へ寄り添いながらDX推進の事例、高齢者講習予約の電話対応をボイスボットで自動化
・宅配ボックス問合せをボイスボットで対応、20種の問合せを自動化、フルタイムシステムが自走運用に適したAIボイスボット「commubo(コミュボ)」の多様な機能を駆使
・GMOペイメントサービスが消費者向け問合せ対応にボイスボットを採用、シナリオ構築・修正の柔軟性・使いやすさが選定の決め手
・ユーザー会“commubo DAY ONLINE”を開催、東西南北からユーザーが集結、TIPSから展望まで幅広いプログラムで盛況に終了
<telmee>
機能強化(使いやすく)活動
・顧客増、利用増に備えたサービスインフラ設備の新設、増強(第2四半期から継続実施)
・コンタクトセンター機能の利便性向上、大量トランザクション対応開発
<SITE PUBLIS>
・販売パートナー向けに弊社CMSの操作方法、実装方法のレクチャー会を定期的に開催し、新規も含め販売パートナーとのリレーションを強化
・販売パートナーとの共催セミナーを実施し、社内報クラウドサービス「TSUTAERU」の顧客への浸透を図るとともに受注に向けた提案
・CMSの選定方法、「SITE PUBLIS」の操作方法、カスタマイズの自由度の高さなど、複数のオンラインセミナーを開催することにより認知度を向上させるとともに、受注に向けた活動を推進
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高823,600千円(前連結会計年度比7.4%減)、営業利益28,670千円(前連結会計年度は164,411千円の営業損失)、経常損失58,297千円(前連結会計年度は168,332千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失81,165千円(前連結会計年度は317,021千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
売上高につきまして、前連結会計年度に比べ減収となりましたが、外注費の削減を図ることによる売上原価の圧縮や販管費の縮減などによる効果も表れはじめ当連結会計年度におきましては営業利益を計上することができました。
引き続き当社の主力製品である「commubo」及び「telmee」の営業活動による引合いが増加しており、受注に向けた商談に引き続き傾注してまいります。
前述の「commubo」及び「telmee」は月額課金のストック型ビジネスであり、また「SITE PUBLIS」も保守契約等のストック型ビジネスであることから、売上高においては今後も顧客数の伸びに応じて安定的な収益が堅調に推移するものと見込んでいるものの、受託開発売上においては顧客企業の動向による受注の遅れなどにより売上の計上が期ずれする可能性があります。
当社グループは、コミュニケーション・プラットフォーム関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動による資金の獲得60,683千円、投資活動による資金の使用14,415千円、財務活動による資金の獲得1,167,194千円により、1,419,489千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は60,683千円(前連結会計年度は64,937千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失55,197千円、貸倒引当金の減少額12,756千円、仕入債務の減少額12,337千円などの資金減少要因があった一方で、減価償却費28,116千円、支払手数料93,768千円、売上債権及び契約資産の減少額25,809千円などの資金増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は14,415千円(前連結会計年度は29,915千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出20,383千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は1,167,194千円(前連結会計年度は14,001千円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入1,177,178千円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
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コミュニケーション・プラットフォーム関連事業 |
391,620 |
68.3 |
(注)金額は、製造原価によって算出しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
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コミュニケーション・プラットフォーム関連事業 |
878,880 |
89.3 |
229,719 |
131.7 |
(注)ソフトウエアの受託開発に係る受注実績を記載しており、コミュニケーション・プラットフォーム関連事業全ての受注実績を記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
前年同期比(%) |
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コミュニケーション・プラットフォーム関連事業 |
823,600 |
92.6 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当連結会計年度においては、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2024年4月1日 至 2025年3月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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株式会社オプテージ |
112,443 |
12.6 |
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- |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2025年6月30日)現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、創業以来の当社固有のコミュニケーション関連の技術・事業の伸展・深耕による事業拡大へと原点回帰し、ボイスコンピューティングを中心としたコミュニケーション領域での事業拡大に向け、事業基盤の確立を進めてまいりました。当連結会計年度においては、連結子会社である株式会社ソフトフロントジャパンが主力商品として、ボイスコンピューティング分野にて展開する自然会話AIプラットフォーム「commubo(コミュボ)」におきまして、コールセンター業務を営む大手企業を中心に引き合いも多く寄せられております。今後においても、電話による営業アポイントメントの獲得、企業の代表電話の受付、通販・テレビショッピングの注文受付、病院等の検診予約確認など様々な利用シーンへの展開が期待されております。
また、コンテンツ・マネジメント・システムとWebページ制作・構築・保守などの関連サービスを提供する株式会社サイト・パブリスにおきましては、「SITE PUBLIS Connect(サイトパブリスコネクト)」を開発し、販売を開始いたしており、様々なDXツールとの連係機能を今後も追加開発することにより顧客の利便性向上し導入が広がるものと認識しております。
さらに、財務基盤強化のため、第三者割当増資を実施し、手元流動資金の確保だけではなく、既存事業の成長に資する資金及び新規事業を開始するための資金も確保することにいたりました。
以上の結果、経営成績及び財政状態は次のとおりとなりました。
a.経営成績
(売上高)
売上高につきましては、823,600千円となりました。
(売上原価)
売上原価につきましては、415,362千円となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費につきましては、379,567千円となりました。
(営業損益)
営業損益につきましては、売上総利益が408,238千円となり、販売費及び一般管理費を379,567千円計上したため、28,670千円の営業利益を計上いたしました。
(営業外損益)
営業外損益につきましては、主に貸倒引当金戻入額を計上したことにより営業外収益11,882千円及び主に支払手数料を計上したことにより営業外費用98,850千円を計上いたしました。
(経常損益)
経常損益につきましては、営業外収益11,882千円及び営業外費用98,850千円を計上したため、58,297千円の経常損失を計上いたしました。
(特別損益)
特別損益につきましては、特別利益3,100千円を計上いたしました。
(税金等調整前当期純損益)
税金等調整前当期純損益につきましては、特別利益3,100千円を計上したため、55,197千円の税金等調整前当期純損失を計上いたしました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
親会社株主に帰属する当期純損益につきましては、法人税、住民税及び事業税7,086千円、非支配株主に帰属する当期純利益18,881千円を計上したことにより、81,165千円の親会社株主に帰属する当期純損失を計上いたしました。
b.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,625,994千円となり、前連結会計年度末に比べ1,189,609千円増加いたしました。これは主に、売掛金が71,453千円減少した一方で、現金及び預金が1,213,462千円、契約資産が45,644千円増加したことによるものであります。固定資産は81,263千円となり、前連結会計年度末に比べ2,195千円増加いたしました。これは主に、ソフトウエアが6,215千円減少した一方で、貸倒引当金が12,756千円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は249,867千円となり、前連結会計年度末に比べ62,357千円増加いたしました。これは主に、営業未払金が12,337千円、前受金が19,445千円減少した一方で、未払法人税等が13,598千円、未払金が69,990千円増加したことによるものであります。固定負債は167,967千円となり、前連結会計年度末に比べ11,726千円増加いたしました。これは、長期前受金が11,726千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,289,423千円となり、前連結会計年度末に比べ1,117,720千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が81,165千円減少した一方で、第三者割当による新株式の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ590,002千円、非支配株主持分が18,881千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は72.0%(前連結会計年度末は25.4%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動による資金の獲得60,683千円、投資活動による資金の使用14,415千円、財務活動による資金の獲得1,167,194千円により、1,419,489千円となりました。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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契約会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約内容 |
締結日 |
契約期間 |
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株式会社ソフトフロントホールディングス(当社) |
Potus Helios Fund VII |
シンガポール |
投資契約書 |
当社が発行する第三者割当増資による新株引受契約 |
2025年1月27日 |
― |
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株式会社ソフトフロントホールディングス(当社) |
JHY Development LPF |
ホンコン |
投資契約書 |
当社が発行する第三者割当増資による新株引受契約 |
2025年1月27日 |
― |
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株式会社ソフトフロントホールディングス(当社) |
有限責任事業組合三井キャピタルインベストメント |
日本 |
投資契約書 |
当社が発行する第三者割当増資による新株引受契約 |
2025年1月27日 |
― |
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株式会社ソフトフロントホールディングス(当社) |
GCL Nihon株式会社 |
日本 |
投資契約書 |
当社が発行する第三者割当増資による新株引受契約 |
2025年1月27日 |
― |
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株式会社ソフトフロントホールディングス(当社) |
REGROWTH有限責任組合 |
日本 |
投資契約書 |
当社が発行する第三者割当増資による新株引受契約 |
2025年1月27日 |
― |
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株式会社ソフトフロントホールディングス(当社) |
Plunkett Capital Holdings Limited |
ケイマン諸島 |
投資契約書 |
当社が発行する第三者割当増資による新株引受契約 |
2025年1月27日 |
― |
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株式会社ソフトフロントホールディングス(当社) |
潘 立輝 |
ホンコン |
投資契約書 |
当社が発行する第三者割当増資による新株引受契約 |
2025年1月27日 |
― |
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株式会社ソフトフロントホールディングス(当社) |
GCL Nihon株式会社 |
日本 |
投資契約書 |
当社が発行する第15回新株予約権の買取契約 |
2025年1月27日 |
― |
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株式会社ソフトフロントホールディングス(当社) |
SQY HK Investment Limited |
イギリス領ヴァージン諸島 |
投資契約書 |
当社が発行する第15回新株予約権の買取契約 |
2025年1月27日 |
― |
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株式会社ソフトフロントホールディングス(当社) |
O2O Solution Limited |
ホンコン |
投資契約書 |
当社が発行する第15回新株予約権の買取契約 |
2025年1月27日 |
― |
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株式会社ソフトフロントホールディングス(当社) |
ASHE Holding Limited |
ホンコン |
投資契約書 |
当社が発行する第15回新株予約権の買取契約 |
2025年1月27日 |
― |
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株式会社ソフトフロントホールディングス(当社) |
ノアソリューション株式会社 |
日本 |
業務提携基本合意書 |
(i)当社グループのボイスコミュニケーション事業の強化及び拡大に資するAI関連ソフトウェア、並びに(ii)プライベート・クラウド方式又はオンプレミス方式によるAIデータセンター事業に関係する技術を当社グループ及びノアソリューションにおいて協業し、両社の事業領域の更なる拡大に資することを目的とした業務提携 |
2025年1月27日 |
契約締結日から2026年1月23日まで。但し、有効期間の終了2か月前までに両当事者間で合意した場合に、これを更に1年間延長し、以降有効期間満了毎に同様とする |
当社グループは、映像信号や音声信号に対するソフトウェア信号処理とリアルタイム通信や、複雑・大規模なWebサイトのコンテンツ生成・管理をコア技術とし、会話ロボットのAI技術と、その応用となる「ボイスコンピューティング」や、ネット上に点在するコンテンツの動的連携技術と、それによる「コネクティング・マネージメント・システム」をテーマに活動しております。
当連結会計年度における主な研究開発の内容は以下のとおりであります。
① LLM技術を応用した音声認識技術の研究
音声コミュニケーションのデジタル化/自動化を進める上で、優れた精度の音声認識処理の実現が、業界全体の課題になっています。
この課題を解決すべく、従来の音響モデル/言語モデルによる音声認識方式ではなく、大規模学習データをもとにした新たな音声認識方式を、日本語特有で必要となる言語処理や、演算リソースの管理方法とともに研究しています。
② 要素技術資産を組み合わせた新たなコミュニケーションサービスの検討
技術資産として保有する「自動化する業務フローを定義・編集可能なWebアプリケーション」と「さまざまな入出力形態に対応して外部システムを制御可能なAIソフトウェア」を中心に、これらを組み合わせた新たな業務自動化システムについて、技術課題を調査しサービスの有用性を検討しております。
③会話AIロボットサービスと連携可能なサービスの調査
当社が開発する「会話業務を自動化する会話AIロボット」を企業の業務へ導入するにあたっては、在庫管理や伝票入出力などの会話以外の前後の業務と円滑に結合し、自動化する業務の範囲を広げていくことが重要になります。市中において、多様なそれぞれの業務ごとに、AI技術による自動化の取組みが行われていることから、スタートアップ企業を中心に保有技術や製品、サービスの調査を行い、当社技術との連携について研究しています。
これらの研究開発活動の結果、当連結会計年度において