第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

(1)事業等のリスク

当第3四半期連結累計期間において、新たに発生したリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

(2)継続企業の前提に関する重要事象等

医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、創薬ベンチャーである当社グループにおいては、継続的な営業損失の発生及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあります。そのため、一部のプロジェクトにおいては提携先を確保し、開発協力金等を得ることにより開発資金の低減に努めているほか、ムコ多糖症Ⅵ型治療薬「ナグラザイム®」の販売を行っておりますが、すべての開発投資を補うに足る収益は生じておりません。当社グループは、第3四半期連結会計期間末において現金及び預金13億19百万円(前連結会計年度末は9億95百万円)を有しているものの、すべてのプロジェクトを継続的に進めるための十分な資金が不足していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。 

2 【経営上の重要な契約等】

 当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約は行われておりません。
 

3 【財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の分析

当第3四半期連結累計期間において当社グループ(当社及び連結子会社2社)では、遺伝子医薬品の研究開発を進めるとともに、新たな提携候補先との契約交渉を行うなど、事業の拡大を図ってきました。

当第3四半期連結累計期間の事業収益は、2億55百万円(前年同期比0百万円(△0.4%)の減収)となりました。当社グループでは、提携企業からの開発協力金や研究用試薬の一定率をロイヤリティとして、研究開発事業収益に計上しております。また、ムコ多糖症Ⅵ型治療薬「ナグラザイム®」の販売収入につきまして、商品売上高に計上しております。

当第3四半期連結累計期間においては、商品売上高が2億55百万円(前年同期比1百万円(+0.7%)の増収)、研究開発事業収益は0百万円(前年同期比2百万円(△96.5%)の減収)となっております。

当第3四半期連結累計期間における事業費用は、29億98百万円(前年同期比10億18百万円(△25.4%)の減少)となりました。売上原価は、1億24百万円(前年同期比5百万円(△3.9%)の減少)となりました。これは、商品仕入時の為替の変動に伴うものです。

研究開発費は21億82百万円(前年同期比10億9百万円(△31.6%)の減少)となりました。主にNF-κBデコイオリゴDNAのアトピー性皮膚炎治療薬の第Ⅲ相臨床試験及び非臨床試験にかかる費用が減少したことにより、研究用材料費が1億13百万円、外注費が9億70百万円減少しております。また、主に子会社の人員の減少により、給料手当が62百万円減少しております。一方で、従業員に対して株式報酬型ストック・オプション(新株予約権)を付与したことにより、株式報酬費用が1億68百万円発生しております。当社グループのような研究開発型バイオベンチャー企業にとって研究開発は生命線でありますので、提携戦略により財務リスクの低減を図りながら、今後も研究開発投資を行っていく予定です。研究開発活動の詳細については、本報告書「(4)研究開発活動」をご参照ください。

販売費及び一般管理費は6億91百万円(前年同期比3百万円(△0.5%)の減少)となりました。減資に伴う法人事業税の資本割見込み額が減少したことより、租税公課が71百万円減少しております。また、コンサルタント費用の減少により、支払手数料が65百万円減少しております。一方で、従業員に対して株式報酬型ストック・オプション(新株予約権)を付与したことにより、株式報酬費用が98百万円発生しております。

 この結果、当第3四半期連結累計期間の営業損失は27億43百万円(前年同期の営業損失は37億60百万円)となり、前年同期より10億17百万円損失が縮小しております。

 当第3四半期連結累計期間の経常損失は、27億57百万円(前年同期の経常損失は38億12百万円)となりました。営業外収益については、前年同期は為替差益が20百万円発生しておりましたが、当第3四半期連結累計期間においては6百万円となっております。営業外費用については、前年同期は新株の発行による株式交付費が77百万円発生しておりましたが、当第3四半期連結累計期間においては26百万円となっております。

 当第3四半期連結累計期間の親会社株主に帰属する四半期純損失は、33億59百万円(前年同期の親会社株主に帰属する四半期純損失は38億23百万円)となりました。保有する株式の評価額が下落したことに伴う投資有価証券評価損4億76百万円、また、事業用資産を減損したことに伴う減損損失1億12百万円が特別損失として発生しております。

 

(2) 財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末の総資産は44億83百万円(前連結会計年度末比56百万円の減少)となりました。

流動資産については、当期事業費用への充当による減少はありましたが、新株予約権の発行及び行使に伴う入金が24億26百万円あったため、現金及び預金は3億24百万円の増加となっております。一方で、主にHGF遺伝子治療薬の原薬の製造が完了したことに伴い、前渡金が5億29百万円減少し、原材料が4億74百万円増加しております。また、契約一時金の入金により売掛金が1億60百万円減少し、前年度の消費税が還付されたことに伴い未収消費税等が1億5百万円減少しております。これらにより、流動資産は26百万円増加しております。

固定資産については、事業用資産を減損したことに伴い、有形固定資産が75百万円、無形固定資産が55百万円減少しております。

投資その他の資産については、保有する株式の評価額の上昇に伴い、投資有価証券が56百万円増加したことなどにより48百万円増加しております。

当第3四半期連結会計期間末の負債は7億66百万円(前連結会計年度末比96百万円の増加)となりました。主にHGF遺伝子治療薬の原薬製造に係る費用を計上したことにより、流動負債において、買掛金が1億66百万円増加しております。一方で、法人事業税等の支払いにより、未払法人税等が72百万円減少しております。

純資産は37億16百万円(前連結会計年度末比1億52百万円の減少)となりました。新株予約権の行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ11億94百万円増加いたしました。また、その他有価証券評価差額金が5億18百万円、新株予約権が3億6百万円増加いたしました。一方で、親会社株主に帰属する四半期純損失33億59百万円を計上いたしました。

なお、第18回定時株主総会の決議に基づき、資本金134億65百万円、資本準備金159億61百万円をそれぞれその他資本剰余金へ振り替え、当該その他資本剰余金294億27百万円を利益剰余金に振り替え欠損填補を行いましたが、これによる純資産合計に変動はありません。

 

(3) 対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更、及び新たに生じた課題はありません。

 

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は21億82百万円であります。

当社グループでは、以下のプロジェクトを中心に研究開発を進めました。

 

■HGF遺伝子治療薬(一般名:ベペルミノゲンペルプラスミド、開発コード:AMG0001)(自社品)

<対象疾患:重症虚血肢>

  重症虚血肢を対象疾患としたHGF遺伝子治療薬の開発については、国内では大阪大学医学部附属病院が主導する医師主導型臨床研究が平成26年10月より実施されております。当社は、この臨床研究の結果も合わせ、条件及び期限付承認制度(平成26年11月に施行された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)」で導入された再生医療等製品の早期実用化を目指した新しい承認制度)を活用することで重症虚血肢を対象とした日本国内での承認申請を今秋にも行うことを目指しております。

 海外での開発については、平成28年6月に決定した開発計画の変更に基づき、米国での新試験計画の策定を進めております。今後、新たな臨床試験の詳細が固まり次第、米国食品医薬品局(以下「米国FDA」といいます。)と協議を開始する予定です。

 なお、日本国内および米国におけるHGF遺伝子治療薬の末梢性血管疾患を対象とした独占的販売権の許諾について、田辺三菱製薬株式会社と契約を締結しております。

<対象疾患:リンパ浮腫> 

 リンパ管の障害によりリンパ流が停滞して手足等が高度に腫れる疾患であるリンパ浮腫に対する治療薬の実用化を目指したHGF遺伝子治療薬の開発については、平成25年10月に原発性リンパ浮腫患者を対象とした第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験を開始し、平成28年4月に症例登録を完了したことを発表いたしました。データ解析の結果、主要評価項目である浮腫の体積に大きな減少は認められなかったため、当社が実施する企業治験としては次の段階に進まないことを決定いたしました。ただし、医師主導治験・臨床研究の実施には協力し、よい結果が得られた場合には将来的に自社開発を再開する可能性があります。

 

■NF-κBデコイオリゴDNA(自社品)

<対象疾患:椎間板性腰痛症>

 NF-κBデコイオリゴDNAについては椎間板性腰痛症を含む腰痛疾患を適応症とした開発を進めています(開発コード:AMG0103、注射剤)。当社は、平成29年4月に米国FDAから新薬臨床試験開始届け(IND)承認を受けたことに伴い、平成29年後半よりカリフォルニア州立大学サンディエゴ校などで第Ⅰb相臨床試験を開始する予定です。

<対象疾患:アトピー性皮膚炎> 

 アトピー性皮膚炎の治療薬(開発コード:AMG0101、軟膏剤)の開発については、平成27年3月から国内第Ⅲ相臨床試験を進めてまいりました。本試験については、解析速報において主要評価項目でプラセボ群に対する統計学的な有意差が示されなかったことを平成28年7月5日に発表いたしました。現在、試験の詳細な解析結果に基づき、今後の開発方針について検討しております。なお、NF-κBデコイオリゴDNAのアトピー性皮膚炎を含む皮膚疾患適応について、当社は塩野義製薬株式会社に対し全世界における独占的な販売権を許諾する契約を締結しております。

<その他>

 デコイオリゴDNAのその他の開発については、これまでNF-κBデコイオリゴDNAの次世代型デコイの研究を行ってきましたが、NF-κBとSTAT6という2つの転写因子を同時に抑制する働きを持った「キメラデコイ」の開発を進めております。NF-κBのみをターゲットとした従来のデコイに比べ、炎症を抑える効果が格段に高いことが期待されます。

 

■高血圧DNAワクチン(開発コード:AGMG0201)(自社品) 

 当社は、遺伝子治療薬、核酸医薬につづく遺伝子医薬の第三の事業として、DNAワクチンの開発を本格化させることとし、最初の開発品として高血圧DNAワクチンの開発を進めています。オーストラリアにおける臨床試験開始に向け、同国の規制当局に治験届けを提出したことを平成29年7月20日に発表いたしました。準備が整い次第、臨床試験を開始いたします。

 

■バイカル社との戦略的な事業協力

 当社は、平成28年12月8日にバイカル社と戦略的事業提携を締結し、DNAワクチン分野を中心に広範な事業協力を進めていくことで合意しています。本戦略的提携に基づく最初の具体案件として、平成29年4月4日に慢性B型肝炎の完治を目指した遺伝子治療薬を共同開発することで合意、契約締結したことを発表いたしました。また、同契約において当社は、日本における開発・販売権を対象とした優先交渉権を獲得しております。今後も、さらなる共同開発の可能性を含め、協力の具体策を検討してまいります。

 また当社は、がん治療薬 Allovectin®(アロベクチン)に関し、バイカル社よりアジアの開発権を取得しており、開発計画を検討してきましたが、有望な対象市場が存在しないことからプロジェクトを継続しないことを決定いたしました。

 

■CIN治療ワクチン(GLBL101c、導入・導出開発品) 

 当社は、韓国のBioLeaders Corporation(以下「バイオリーダース社」といいます。)より、子宮頸がん前がん病変(CIN) の治療ワクチン(CIN治療ワクチン)について日米英中の開発、製造、使用および販売の独占的実施権を取得しています。本開発品については、当社が保有する権利を森下仁丹株式会社に独占的に再許諾する契約を平成28年12月に同社と締結し、本開発品の開発主体は当社から森下仁丹株式会社に移管されました。今後は商業化時のロイヤリティを受け取ります。

 

  医薬品・医療機器の開発の状況

(自社品)

区分

製品名/プロジェクト

適応症

地域

開発段階

主な提携先

 


 

 

 

 

 

HGF遺伝子治療薬

重症虚血肢
(閉塞性動脈硬化症及びバージャー病)

日本

   第Ⅲ相終了
医師主導臨床研究※1

田辺三菱製薬株式会社
(販売権供与)

米国

試験計画中

田辺三菱製薬株式会社
(販売権供与)

高血圧DNA治療  ワクチン

高血圧症

 

第Ⅰ/Ⅱ相準備中
(オーストラリア)

未定

NF-κBデコイオリゴDNA

アトピー性皮膚炎

日本

(軟膏剤)
第Ⅲ相終了※2

塩野義製薬株式会社
(販売権供与(全世界))

椎間板性腰痛症

 

第Ib相準備中
(米国)

未定

 

 ※1 日本は今後、条件及び期限付承認制度を活用して承認申請を行う計画です。

 ※2 主要評価項目においてプラセボ投与群との間に統計学的な有意差は示されませんでした。詳細な解析結果に基づき、今後の開発方針を検討中です。

 

(導入開発品)

区分

製品名/プロジェクト

適応症

当社の権利

開発段階

導入元

 

 

 

CIN治療ワクチン

子宮頸がん
前がん病変

日米英中の開発販売権  

研究者主導
臨床研究

(日本)

バイオリーダース社  (韓国)から導入し、森下仁丹株式会社に導出

 

 

 

 

(5) 事業のリスクに記載した重要事象等についての分析及び改善するための対応方法

当社グループは、第3四半期連結会計期間末において現金及び預金13億19百万円(前連結会計年度末は9億95百万円)を有しているものの、すべてのプロジェクトを継続的に進めるための十分な資金が不足していることから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
当社グループは当該状況を解消すべく、以下の諸施策に取り組んでおります。
    ①選択と集中による開発対象の選別   
    ②資金の調達
  ①に関しましては、当社グループの開発プロジェクトの選択を行い、開発の最終段階にあるプロジェクト、及び早期に製薬企業等に導出することで一時金等の収入や研究開発費の負担削減が見込めるプロジェクトを中心に開発を行ってまいります。  
  ②に関しましては、新規提携先確保による契約一時金等の調達及びエクイティファイナンスによる早期の資金調達等の施策を実行してまいります。

当社グループは、上記の各施策を確実に実行することによって、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる状況を解消または改善することも可能であると考えており、第29回新株予約権(第三者割当て)発行により平成29年6月までに全数が行使され23億64百万円の資金調達を行いました。また、平成29年8月28日開催の取締役会にてリーディング証券株式会社を割当先とする第31回新株予約権(第三者割当て)の発行を決議し、平成29年9月13日に、発行総額61百万円の払い込みが完了いたしました。しかしながら、すべてのプロジェクトを継続的に進めるための十分な資金には至っておらず、将来のキャッシュ・フロ-が不確実であるため、現時点において、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在していると判断しております。