(1) 事業等のリスク
当中間連結会計期間において、新たに発生したリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
(2) 継続企業の前提に関する重要事象等
医薬品事業は、製品化までに多額の資金と長い時間を要する等の特性があり、創薬ベンチャーである当社グループは、継続的に営業損失及び営業キャッシュ・フローのマイナスを計上している状況にあります。そのため、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
当社グループは当該状況を解消すべく、下記を重要な課題として取り組んでおります。
①自社既存プロジェクトの推進
当社グループは、現在開発している医薬品等のプロジェクトを確実に進捗させることが重要な課題と認識しております。
当社グループでは、2019年3月にHGF遺伝子治療用製品コラテジェンの条件及び期限付承認を厚生労働省から取得し、同年9月から販売を開始いたしました。その後、2023年5月に厚生労働省に条件解除に向けた製造販売承認の申請を行いましたが、米国の良好な臨床試験結果を踏まえて、戦略的な観点から2024年6月に申請を一旦取り下げ、販売も終了いたしました。一方、米国での後期第Ⅱ相臨床試験は2024年6月に良好な結果が得られ、同年9月に米国食品医薬品局(以下、「FDA」といいます。)からブレイクスルー・セラピー(画期的新薬)に指定され、2024年11月の米国心臓病学会において臨床試験の主導医師からトップラインデータが発表されました。これらの状況から、米国での製品化を最優先とし、最短での製造販売承認を目指し米国での開発に注力しております。また、同製品の原薬供給体制の確立に向けて、ベーリンガー・インゲルハイム・バイオファーマシューティカルズ社と協議を進めております。
椎間板性腰痛症向けの核酸医薬NF-κBデコイオリゴDNAは、米国において後期第Ⅰ相臨床試験を完了し、2023年10月から日本国内における第Ⅱ相臨床試験を開始し、予定どおり症例登録を実施しております。
これら開発中の医薬品について、今後も優先順位を明確にし、開発速度を最大限に高めながら進めてまいります。
②開発パイプラインの拡充と事業基盤の拡大
当社グループの主力事業である医薬品開発において、上記プロジェクトのように遺伝子医薬や核酸医薬等、新しい分野の医薬品開発に取り組んでおりますが、これらの製品化は非常に難易度が高いため、常に開発パイプラインを充実させることが重要な課題と認識しております。そのため、当社グループではアカデミアによる研究成果や他社の開発品について共同開発を行う等、開発パイプラインの拡充に努めております。開発パイプラインの拡充実績として、2018年にカナダのVasomune Therapeutics, Inc.(以下、「Vasomune社」といいます。)との共同開発契約を締結したTie2受容体アゴニストがあり、対象疾患をインフルエンザ等のウイルス性及び細菌性肺炎を含む急性呼吸切迫症候群(ARDS)として現在米国において前期第Ⅱ相臨床試験を実施中です。
今後も、アカデミアとの協業並びに提携先との共同開発等により、開発パイプラインの拡充を目指してまいります。
また、事業基盤の拡大としては、既に海外で販売されている医薬品で、日本国内では販売されていない医薬品を日本において製造販売承認を取得し販売することや、希少遺伝性疾患の治療に必要な各種検査を受託する事業等による実現を目指しております。事業基盤の拡大実績としては、2022年5月に米国のバイオ医薬品企業Eiger BioPharmaceuticals, Inc.(以下、「Eiger社」といいます。)と早老症治療薬ゾキンヴィの日本における独占販売契約を締結し、2023年5月に、厚生労働省に国内製造販売承認申請を行い、2024年1月に同省から製造販売承認を取得いたしました。また、希少遺伝性疾患の拡大新生児スクリーニング検査を受託しているACRLでは自治体や民間の検査センター等との連携により受託拡大を進めております。
今後も、ライセンス導入や希少遺伝性疾患への取組み等による事業基盤の拡大を図り、開発パイプラインの拡充をとおして将来の成長を実現してまいります。
③開発プロジェクトにおける提携先の確保
当社グループでは、製薬会社との提携により、開発リスクを低減するとともに、契約一時金・マイルストーンや開発協力金を受け取ることにより財務リスクを低減しながら開発を進め、上市後にロイヤリティを受領するという提携モデルを事業運営の基本方針としております。
提携状況につきましては、NF-κBデコイオリゴDNAの日本国内における慢性椎間板性腰痛症を対象とした第Ⅱ相臨床試験では、塩野義製薬株式会社から臨床試験費用の一部負担等の協力を受けるとともに、続く第Ⅲ相臨床試験の実施について協議いたします。また、HGF遺伝子治療用製品に関しましては、その高い有効性への期待からFDAからブレイクスルー・セラピー(画期的新薬)に指定されたことを生かし、欧米地域を中心にグローバル展開を行っていくことができるパートナーとの提携を検討しております。
今後も、更なる製薬会社等との提携を検討するとともに、開発プロジェクトに協力いただける企業を開拓し、事業基盤の強化に努めてまいります。
④資金調達の実施
当社グループにとって、上記①②を実現するために機動的に資金調達を行うことは重要な課題と認識しており、この課題に取り組んでおります。2024年9月にCantor Fitzgerald Europeを割当先とした第45回新株予約権(第三者割当て)を発行し、2025年6月末日までに51億97百万円(新株予約権発行に伴う入金を含む)を調達いたしました。
今後も、研究開発活動推進及び企業活動維持のために必要となる資金調達の可能性を適宜検討してまいります。
しかしながら、現時点において、第45回新株予約権の行使は株価等の動向に左右されることから未確定であり、また上記に記載したプロジェクトを継続的に進めるための更なる資金調達の方法、調達金額、調達時期については確定しておらず、当社は継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在していると判断しております。
なお、中間連結財務諸表は継続企業を前提としており、上記のような継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を中間連結財務諸表には反映しておりません。
当社グループ(当社及び連結子会社3社)は、遺伝子の働きを利用した「遺伝子医薬」の開発、実用化を目指し、研究開発を行う創薬系のバイオベンチャーです。遺伝子医薬のグローバルリーダーとして、自社における医薬品の開発及び開発パイプラインの拡充のための国内外企業との共同開発、業務提携、資本参加等を積極的に行っています。また、希少遺伝性疾患の有無を調べるスクリーニング検査や、主に希少疾患向けに海外で販売されていて、日本国内では販売されていない医薬品の国内への導入等も積極的に取り組んでおります。
当中間連結会計期間の事業収益は前年同期に比べ67百万円増加し4億14百万円(前年同期比19.4%増)となりました。当社グループでは、2024年5月より早老症治療薬「ゾキンヴィ」の販売を開始しており、当中間連結会計期間において1億42百万円の商品売上高を計上しております(同9百万円の減少)。ACRLにおいては、拡大新生児スクリーニングの受託数が前年同期に比べ順調に増加していることから、手数料収入として2億72百万円(同1億64百万円の増加)を計上いたしました。HGF遺伝子治療用製品コラテジェンは、前年同期において製品売上高11百万円を計上しておりましたが、2024年6月に国内での販売を終了いたしました。Emendo社において、前年同期に契約一時金を受領し、研究開発事業収益として76百万円計上しておりましたが、当中間連結会計期間での計上はありませんでした。
当中間連結会計期間における事業費用は、前年同期に比べ26億40百万円減少し、28億15百万円(同48.4%減)となりました。
売上原価は、前年同期に比べ55百万円増加し、2億54百万円(同27.6%増)となりました。2024年5月より販売を開始したゾキンヴィにかかる商品売上原価は、商品売上高の減少に伴い前年同期に比べ7百万円減少し、92百万円となっております(同7.8%減)。ACRLにおける拡大新生児スクリーニング検査にかかる原価は、受託数の増加に伴い前年同期に比べ70百万円増加し、1億62百万円(同77.7%増)となりました。
研究開発費は、前年同期に比べ6億89百万円減少し、15億55百万円(同30.7%減)となりました。前年同期において使用期限切れによる廃棄が見込まれる材料及びコラテジェンの製品にかかる評価損を計上しておりましたが、当期においては評価損の計上がなかったため、研究用材料費が5億29百万円減少しております。Emendo社において、事業再編成に伴う人員の減少により役員報酬が26百万円、給料手当が41百万円、法定福利費が39百万円減少しております。Vasomune社と共同開発しているTie2受容体アゴニストに係る治験費用の減少により、外注費が64百万円減少しております。
当社グループのような研究開発型バイオベンチャー企業は先行投資が続きますが、提携戦略等により財務リスクの低減を図りながら、今後も研究開発投資を行っていく予定です。研究開発の詳細については、本報告書「(4)研究開発活動」をご参照ください。
販売費及び一般管理費は前年同期に比べ20億5百万円減少し、10億4百万円(同66.6%減)となりました。前年同期においてはEmendo社買収にかかるのれん償却額を16億68百万円計上しておりましたが、前年度において当該のれんを減損したことにより、当期においてはのれん償却額の計上がありませんでした。Emendo社において、事業再編成に伴う人員の減少により役員報酬が51百万円、給料手当が1億6百万円、法定福利費が19百万円減少しました。Emendo社における弁護士等専門家及びコンサルタントへの報酬が減少したため、支払手数料が前年同期より86百万円減少しております。
この結果、当中間連結会計期間の営業損失は24億円(前年同期の営業損失は51億7百万円)となりました。
営業外損益においては、Emendo社へのUSドル建貸付金の評価替の影響により、為替差損14億91百万円を計上しております(前年同期は為替差益19億16百万円)。前年同期において、Vasomune社が米国において獲得した助成金について、当社開発費負担分に応じて27百万円を受領し、補助金収入に計上しておりましたが、当中間連結会計期間においては補助金収入の計上はありませんでした。
この結果、当中間連結会計期間の経常損失は38億98百万円(前年同期の経常損失は31億90百万円)となりました。
特別損失においては、前年同期にEmendo社の研究開発部門の再編成に伴う事業構造改革費用2億30百万円を計上しておりましたが、当期においては計上がありませんでした。
これらの結果、当中間連結会計期間の親会社株主に帰属する中間純損失は39億66百万円(前年同期の親会社株主に帰属する中間純損失は35億円)となりました。
当中間連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末に比べ11億17百万円増加し、57億86百万円となりました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ11億86百万円増加し、47億28百万円となっております。2024年9月17日に発行したCantor Fitzgerald Europeを割当先とする第45回新株予約権について当中間連結会計期間に37億64百万円を調達し、現金及び預金は前連結会計年度末に比べ12億円増加して29億8百万円となりました。
当中間連結会計期間末の固定資産は前連結会計年度末に比べ68百万円減少し、10億57百万円となっております。
当中間連結会計期間末の負債は前連結会計年度末に比べ1億27百万円減少し、23億84百万円となりました。当中間連結会計期間に係る費用の計上及び支払により、買掛金が74百万円減少、未払金が20百万円増加しております。固定負債において、Emendo社の社屋に係るリース債務が72百万円減少しております。
当中間連結会計期間末の純資産は前連結会計年度末に比べ12億45百万円増加し、34億2百万円となりました。Cantor Fitzgerald Europeを割当先とする第45回新株予約権の行使により、資本金が18億95百万円、資本剰余金が18億95百万円増加しております。親会社株主に帰属する中間純損失の計上により、利益剰余金が39億66百万円減少しております。
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ11億93百万円増加し、28億20百万円となりました。当中間連結会計期間のキャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
当中間連結会計期間における営業活動による資金の減少は、24億77百万円(前年同期は42億51百万円の減少)となりました。未収消費税等が1億15百万円減少、為替差損を14億46百万円計上しましたが、税金等調整前中間純損失38億98百万円に加え、売上債権が34百万円増加、仕入債務が66百万円減少しております。
当中間連結会計期間における投資活動による資金の減少は、40百万円(前年同期は71百万円の減少)となりました。長期貸付による支出15百万円、有形固定資産の取得による支出12百万円、Emendo社において拘束性預金の預入による支出12百万円が発生しております。
当中間連結会計期間における財務活動による資金の増加は、37億48百万円(前年同期は18億43百万円の増加)となりました。Cantor Fitzgerald Europeを割当先とする第45回新株予約権が行使され、新株予約権の行使による株式の発行による収入が37億48百万円となっております。
(4) 研究開発活動
当中間連結会計期間における研究開発費は前年同期に比べ6億89百万円減少し、15億55百万円(前年同期比30.7%減)となりました。
当社グループは、“遺伝子医薬のグローバルリーダー”を目指し、遺伝子医薬を中心に医薬品の開発、実用化に取組んでおります。また、究極の遺伝子治療といわれるゲノム編集は、これまで治療の難しかった疾患を対象とした研究開発が進められていますが、当社グループのEmendo社は、難易度の高い技術を開発しております。さらに、ACRLにおいて、希少遺伝性疾患の検査として拡大新生児スクリーニングの受託を始め、遺伝学的検査、バイオマーカー検査における新たな疾患への取組み等を行っております。
さらに当社は国内外の企業と積極的に提携し、有望な医薬品の実用化に向けて共同開発を進めております。
以下に、当社グループの開発品並びに当社提携先の開発状況についてご説明いたします。
当社の開発プロジェクト

※HGF遺伝子治療用製品の日本国内における条件及び期限付き承認の期間満了に伴い、イスラエルKamada社及びトルコEr-Kim社との契約について両社と見直し中です。
■HGF遺伝子治療用製品(一般名:ベペルミノゲンペルプラスミド)(自社品)
HGF遺伝子治療用製品の開発につきましては、米国での後期第Ⅱ相臨床試験の結果が良好であったことを踏まえ、米国での開発を優先しております。
具体的には、米国において、軽度から中等度の下肢潰瘍を有する包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)を対象とした後期第Ⅱ相臨床試験の投与を2023年第1四半期に完了し、2024年6月に試験結果の速報値により、良好な結果を確認いたしました。この結果から、2024年9月に米国FDAによるブレイクスルー・セラピー(画期的新薬)に指定されました。今後の米国での開発計画について当社は、FDAと協議の結果に即し、臨床試験を完了とし、生物製剤認可申請(BLA)を目指し、準備を進めることといたしました。なお、上記臨床試験結果につきましては、主導医師の論文が発表されたのちに詳細をお知らせする予定です。
国内におけるHGF遺伝子治療用製品の開発については、米国での開発の進捗を踏まえ、検討してまいります。
なお、田辺三菱製薬とのコラテジェンの販売権許諾契約については、2024年11月1日に日本国内の契約が終了し、2025年2月1日に米国の契約が終了しています。
■NF-κBデコイオリゴDNA(自社品)
核酸医薬NF-κBデコイオリゴDNAにつきましては、当中間期において、2018年より米国で実施した第Ⅰ相臨床試験の結果が北米脊椎学会が発行する「The SPINE JOURNAL」に掲載されました。当論文において、NF-κBデコイオリゴDNAがプラセボに対し、痛みの有意な軽減と、椎間板厚の有意な改善が見られたことが示されました。
2023年10月に開始したNF-κBデコイオリゴDNAの日本国内における第Ⅱ相臨床試験は、年内の完了を目指し症例の登録を進めております。当該試験に関して塩野義製薬株式会社と契約を締結し、費用の一部を負担いただくとともに、試験結果に基づき第Ⅲ相臨床試験の実施について協議する予定です。
■高血圧DNAワクチン(自社品)
高血圧治療用DNAワクチンについては、オーストラリアでの第Ⅰ相/前期第Ⅱ相臨床試験は重篤な有害事象はなく、安全性に問題がないことを確認しました。今後の開発につきましては、新型コロナウイルスのDNAワクチンとは異なるプラスミドDNAの発現に関する改善策等の検討を進めてまいります。
■Tie2受容体アゴニスト(共同開発品)
Tie2受容体アゴニスト(AV-001)は、カナダのバイオ医薬品企業であるVasomune社と共同開発契約を締結し、米国において急性呼吸不全等、血管の不全を原因とするウイルス性及び細菌性肺炎を含むARDSを対象に前期第Ⅱ相臨床試験を実施しております。今後も医療機関との連携を進め、2025年度下半期に目標症例数の登録を目指します。
Emendo社の開発プロジェクト

■ゲノム編集技術による遺伝子治療の開発
当社は、究極の遺伝子治療法ともいわれるゲノム編集技術を用いた遺伝子疾患治療の開発を行っているEmendo社を子会社化しました。Emendo社では、ゲノム編集の安全な医療応用を目指し、新規CRISPRヌクレアーゼ(※1)を探索・最適化するプラットフォーム技術(OMNI Platform)を確立しており、ゲノム編集でしばしば問題視される「オフターゲット効果」(※2)を回避できる等、新たな特徴をもった新規ヌクレアーゼ(OMNI ヌクレアーゼ)を数多く作出し、特許を出願しております。
2024年には、知識集約的な研究開発体制に移行するための事業再編成を実施し、Emendo社のイスラエルにある研究施設における研究開発活動を適正化いたしました。また、イスラエルと周辺国との戦争の状況を踏まえ、イスラエルの研究所における研究成果を米国でバックアップする体制を構築しており、米国における研究開発活動及び導出等の準備を進めております。また、これまでに開発してきたOMNIヌクレアーゼの更なる最適化、効率化等を進めております。
さらに、スタンフォード大学医学部と共同で、Emendo社のゲノム編集技術を活用し新たながんゲノム編集治療法の研究を進めております。当中間期において、同研究に使用するヌクレアーゼの設計を完了し、今後の研究で有効性を検証してまいります。

※1 新規CRISPRヌクレアーゼ:ゲノム編集で使用する新たなRNA誘導型DNA切断酵素で、ガイドRNAで規定した塩基配列を識別し、その標的とした塩基配列を切断する。
※2 オフターゲット効果:ゲノム編集で、DNA鎖上の目的とする塩基配列以外の別の領域に、意図せぬ突然変異を引き起こしてしまうこと。
検査受託サービス及び提携先における開発状況
■希少遺伝性疾患検査を主目的としたACRLの検査受託
ACRLでは、拡大新生児スクリーニング検査を受託しております。この拡大新生児スクリーニングにおいて陽性となった受検者のうち、偽陽性の受検者を選別するための二次スクリーニング検査方法を開発し、今後もその対象疾患の拡大を広げるべく開発を継続いたします。2025年には長野県における拡大新生児スクリーニングの受託も開始され、当該二次スクリーニングについても併せて対応いたします。
これに加え、早老症治療薬ゾキンヴィの発売に伴い、ハッチンソン・ギルフォード・プロジェリア症候群(HGPS)及びプロセシング不全性のプロジェロイド・ラミノパチー(PDPL)の遺伝学的検査を受託できる体制を構築し、希少遺伝性疾患の確定のための遺伝学的検査の受託を開始しました。さらに、治療効果をモニタリングするバイオマーカーの検査について、拡大新生児スクリーニングの対象疾患の一部に対し検査体制を構築いたしました。今後、まだ体制が未整備のスクリーニング検査対象疾患へのバイオマーカー検査の体制構築を進め、希少遺伝性疾患のスクリーニングから診断、治療に至るまでの包括的な検査体制の提供を目指してまいります。
■マイクロバイオームを用いた治療薬・サプリメントなどの開発
当社は、腸内細菌叢を利用した疾患治療薬や健康維持のサプリメントを開発しているイスラエルのMyBiotics Pharma Ltd.(以下「MyBiotics社」といいます。)と2018年7月に資本提携しております。MyBiotics社では、腸内細菌叢の微生物の構成を再現した培養物(SuperDonor)の製造法を確立しており、クロストリジウム・ディフィシル感染症の治療薬MBX-SD-202の第Ⅰ相臨床試験をイスラエルにおいて完了いたしました。
しかしながら、今般のイスラエルとパレスチナにおける紛争の影響次第で、MyBiotics社における研究開発の進捗への影響が懸念されます。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約は行われておりません。