第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループは、「より便利な、より快適な、より安全なインターネットライフに貢献していく」ことを企業理念として、人類の大きな財産であるインターネットというツールが本来持っている有益な側面をポジティブに使いこなすためのソフトウェアを提供してまいりました。
 当社グループが属するセキュリティ業界におきましては、日本はもとよりグローバル規模で、特定の企業・組織・国家機関を狙った標的型攻撃等が相次ぐ一方で、仮想通貨・クラウドコンピューティング・IoT・AI等、ITの活用領域はますます拡大しており、企業・組織等が直面するリスクは高まるだけでなく、多様化かつ巧妙化しております
 また、わが国においては労働力人口の減少を背景として、従業員一人あたりの生産性向上等を目的とした働き方改革が政府主導の下促進されており、効率改善の一環としてクラウド導入ニーズが高まっております。加えて、2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピック等世界的なイベントを控えて、標的型攻撃の対象となる事が懸念されており、セキュリティ強化が急務な状況となっております。
 こうした中、当社グループはインターネットセキュリティメーカーの使命として、創業以来主力事業としてまいりました「企業・組織内からの情報漏洩対策」に加え、標的型攻撃に代表される外部からの脅威に対するソリューションの企画・開発を経て提供を開始し、総合セキュリティ対策ソリューション企業へと飛躍する第一歩を踏み出しました。
 加速するインターネット社会において、インターネット利用者が直面するリスクはますます増大していくものと考えられます。当社グループは誰もが安心してインターネットを活用できる社会を創るため“Made in Japan”ならではの品質を追求しながら、日本はもとよりグローバルな舞台でインターネット社会に貢献してまいります。
 

① 既存事業の安定的・継続的成長

 当社グループは、ユーザー様や販売パートナー様のご要望に真摯に向き合い、お応えすることで、長期継続的な関係を維持し、安定的・継続的な成長を果たしてまいりました。引き続き、ユーザー様、販売パートナー様との関係を第一優先に、製品強化・サービスの向上を図り、安定的・継続的な成長を目指してまいります。

 

② 海外展開

 世界の情報セキュリティ市場における日本のシェアはおよそ10%前後と言われており、多くを海外市場が占めています。一方で、当該海外市場においても、企業・組織等の不安を解消する効果的なソリューションが存在せず、グローバル規模で次なるセキュリティソリューションの登場が期待されています。当社グループは総合セキュリティ対策ソリューション企業の使命として、米国子会社「FinalCode, Inc.」、欧州子会社「FinalCode Europe Limited」、APAC地域をカバーする「FinalCode Asia Pacific Pte. Ltd.」等と連携しながら、当該課題に取り組み、海外市場を攻略してまいります。

 

③ 新しいニーズの発掘

 仮想通貨・クラウドコンピューティング・IoT・AI等、ITの活用領域の拡大に合わせて、インターネットの利用に伴う新たな脅威が日々発生しております。このような環境の中、当社グループでは、将来の潜在的なニーズを予測し、“世界初”となる新しいソリューションを提供する事が重要であると考えており、市場調査・研究開発に尽力してまいります。

 

④ 人材の確保と育成

 当社グループが中長期にわたって成長していくためには、優秀な人材の確保と育成が重要な課題であると認識しております。このため、当社グループでは、新卒及び中途採用の両面から積極的に優秀な人材の確保を進めておりますが、前期より報酬や評価を中心とした人事制度の見直しを継続し、採用競争力の一層の向上と優秀人材のリテンションに努めております。こうした人事制度の見直しや、従来から実施している資格取得支援や研修受講支援等の取り組みを通じ、引き続き、人材の育成を進めてまいります。

 

⑤ 啓発活動

 スマートフォンが急速に普及し、社会的な問題が急増する一方で、青少年を指導・育成する立場の大人たちの多くは時代の流れの速さに戸惑い、子どもたちがスマートフォンを利活用することで生じている危険性や問題点を理解できずにいます。このような問題意識に対処するため、当社グループでは全国各地からのご要望をもとに講演活動を行い、スマートフォンをはじめとしたモバイル端末の正しい知識の習得に役立つ情報提供を行うと共にフィルタリングの重要性を訴求してまいります。

  

2 【事業等のリスク】

当社グループの企業活動は、世界または国内における経済環境の変化や市場の成長度合い、その他、当社グループが計画した事業戦略の成否によって、大きく影響を受けることが予想されます。この結果、当社グループの経営成績、財務状況及び株価が当社グループの見込以上に大きく変動する可能性があります。当社グループの業績、財務状況に影響を与え、株価形成の変動要因となるリスク要因は、次の通りです。なお、文中におけるリスク要因と将来に関する記述は、本有価証券報告書提出日(平成30年6月25日)現在において、当社グループが判断したものであります。

(a) 主要な製品の販売を販売代理店に依存していることと、取引先の経営状態の変化によって当社グループが受ける影響について

当社グループ製品の大部分は、販売代理店を経由し利用者へ販売されています。従いまして、主要販売代理店の販売状況や経営環境変化(企業のM&Aや倒産など)によって、当社グループの売上高が大きく変動する可能性があります。また、こうした販売代理店は、当社グループにとって競合となる製品の取り扱いも行っています。当社グループは販売代理店への働きかけにより売上高の拡大に努めておりますが、競合製品の取り扱いが当社グループ製品の取り扱いよりも先行する可能性もあります。

また、当社グループの取引先において、主要取引先の経営状態や環境の変化(企業のM&Aや倒産など)により、当社グループへの債務の支払いが停滞したり、その回収が不可能となった場合、当社グループの財務状況に大きく影響を与える可能性があります。

 

(b) 当社グループ製品の学校及び自治体などへの販売が国家予算や自治体の政策方針により影響を受けることについて

当社グループ製品の国公立学校や地方自治体などに対する売上高は、本製品の導入先の性質上、国家予算の変動や地方自治体への予算配賦状況、地方自治体における予算の消化状況などによって大きく影響を受ける可能性があります。

 

(c) インターネットにおける法規制、NPO法人などによる無料サービスの提供、並びにオペレーティングシステムへの無償での組み込みによって受ける影響について

インターネットにおける法規制などが進み、政府やNPO法人によって当社グループの「Webセキュリティ」事業に類する施策や対応が低価格あるいは無償で行われた場合、当社グループにおいて事業及び収益モデルの変更を余儀なくされる可能性があります。

また将来において、当社グループが提供するWebセキュリティソフトまたはそれに類似するものが、コンピューターのオペレーティングシステム(OS)などに無償または非常に低価格で付加され販売される可能性があり、その製品が当社グループの提供するWebセキュリティの機能より劣っている場合でも、利用者がそうした製品を積極的に利用する可能性があります。このような場合には当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

(d) セキュリティ事業に特化していることによる影響について

当社グループは、インターネット上の問題あるコンテンツを遮断するセキュリティソフト及びメールセキュリティソフトの開発・販売等を行う「セキュリティ事業」に特化しております。今後、経済環境の悪化その他の要因により、セキュリティ市場の需要が低迷した場合等には、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

(e) 当社グループの売上高が特定製品に依存していることによる影響について

当社グループの売上高の大部分は、企業向け、公共向けのWebセキュリティ製品「i-FILTER」が占めております。今後につきましても「i-FILTER」の売上が引き続き第一の収入源になると予測しております。当社グループが開発・販売を行っている「i-FILTER」は、企業向け、公共向けの製品であることから、景気動向の悪化等や国家予算や自治体の政策方針等を要因として販売が低迷した場合には、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

(f) 当社グループの売上高における第4四半期の割合が高いことによる影響について

当社グループの四半期における売上高は、第4四半期が他の四半期に比べ高くなる傾向にあります。これは、民間企業及び公共団体において、年度末である3月にIT製品の発注が行われることが多いためです。当社グループでは、この季節変動を考慮した計画策定を行い、当該時期の売上の維持・拡大に努めておりますが、何らかの理由により当該時期の受注を計画通りに獲得できなかった場合や、販売代理店または顧客の都合等により発注が遅れた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(g) 当社発行済株式の特定株主への集中による影響について

平成30年3月31日現在のデジタルアーツ株式会社発行済株式数は14,133,000株(自己株式含む)であり、役員による保有株式数以外の株式数は11,635,021株と比較的少数であるため、国内外の機関投資家による集中的な株式保有がなされた場合、特定株主への株式集中によって株主数が減少し、上場廃止基準へ抵触する可能性があります。また同様に、国内外の機関投資家によって保有株式の短期的かつ集中的な株式売却がなされた場合、株価が大きく変動する可能性があります。

 

(h) 将来企業、学校、家庭などにおいてインターネットそのものの利用機会が衰退した場合の影響について

「インターネット」は世界的にも急速に発展を遂げ、今やなくてはならない情報インフラストラクチャーであります。現在、当社グループの売上の大部分がこの「インターネット」に関連した製品やサービスによって構成されているため、今後「インターネット」そのものの衰退や当社グループ製品の該当市場となる“企業”、“学校”、“自治体”、“家庭”などにおいて、「インターネット」そのものの利用機会が大きく減少した場合、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

(i) 知的財産(特許等)の保護の限界について

当社グループは、独自に開発した技術やノウハウの保全に対して、国内外にてしかるべき対策を行っておりますが、一部地域において法的制限によって当社グループの知的財産権が完全にまたは限定的にしか保護されない可能性があります。このため、他社が当社グループの技術の分析や研究を実施すること、類似する製品の提供を行うことを完全には防止できない可能性があります。さらに、当社グループは他社の知的財産権や著作権の侵害については細心の注意を払い、製品の販売やサービスの提供を行っておりますが、将来他社から知的財産権や著作権を侵害していると見なされる可能性があります。

 

(j) 当社グループの技術の陳腐化や技術革新が進行し得なかった場合の影響について

当社グループでは、現在提供している製品やサービスにおける技術や品質向上と将来の新製品、新サービスの提供に向け、開発活動を行っております。しかしながら、将来的に当社グループが提供している製品やサービスの陳腐化や当社グループにおける技術革新が進行しなかった場合、当社グループが提供する製品やサービスが競合他社のそれと比較して競争力を獲得できない可能性があります。このことが将来当社グループの業績や財務状況に対して大きな影響となる可能性があります。

 

(k) 当社グループが提供する製品のバグや欠陥の発生による影響について

当社グループでは「Webセキュリティソフト」を中心に、多くのソフトウェア製品を開発販売しております。ソフトウェアの開発から販売までの過程において数多くの品質チェックを行い、プログラムの動作確認には万全を期しておりますが、販売時には予期し得なかったソフトウェア特有のバグ(不具合)が販売後確認されることもあります。その場合、当社グループでは速やかに製品のアップデート(修正)プログラムを提供し対応しております。しかしながら、こうしたバグの解決に非常に長期間を有した場合、またはバグの解決に至らなかった場合は、製品の売上の減少や返品によって当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

(l) 当社グループが所有する基幹システム(サーバ)のトラブルによってサービスを提供できなくなることによる影響について

当社グループの主要なサービスの大部分は、当社グループが管理するサーバよりURL情報等を提供する形態としております。当社グループではこれらのサーバを最重要基幹システムとして位置付け、サーバの二重化やデータのバックアップ取得による保全策などを実行し、サービスの安定的な提供に努めております。しかしながら、サーバはハードウェアであり予期せぬ動作の停止や誤作動及び重要データ(当社グループサービスの核となるURLデータベース、顧客情報、技術情報など)の喪失などが発生し、サービスの提供を行うことができなくなる可能性があります。

また、サーバを保管している施設の事業の停止によるサービスの停止、当社グループが利用するインターネットサービスプロバイダや回線提供事業者におけるトラブル発生、ハッキングまたは重要データの盗難による情報の流出などによって、当社グループがサービスの提供の中断を余儀なくされた場合も同様です。当社ではプライバシーマークを取得し、情報セキュリティ対策、情報の流出防止等に取り組んでおりますが、これらの事象が発生し、サービスが短期・長期に関わらず停止した場合、当社グループへの信頼が低下する恐れがあり、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

(m) 主要な経営陣への依存と、有能な技術者やキーパーソンの確保及び育成について

当社グループの運営は、代表取締役社長である道具登志夫をはじめとする主要な経営陣に大きく依存しております。将来これらの経営陣において、病気やけがによる長期休暇、退職、死亡などの事態が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。また、当社グループの成長と成功は有能な技術者やキーパーソンに大きく依存しており、これら重要な人材の確保と育成には常に取り組んでおりますが、将来こうした技術者やキーパーソンの確保と育成ができなかった場合は、当社グループの成長、業績や財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(n) 企業の合併と買収、営業権の譲渡や獲得などによる影響について

当社は東京証券取引所市場第1部への公開企業であり、代表取締役社長である道具登志夫が平成30年3月31日現在の発行済株式14,133,000株(自己株式含む)のうち2,486,344株(保有する株式の割合 約17.6%、役員持株会保有分を含む)を保有し筆頭株主となっております。しかしながら、公開企業にとって企業の買収と合併の可能性は否定できず、将来当社グループにおいても企業全体または事業の一部や営業権について、買収、合併及び譲渡される可能性があり、このような場合、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

また、当社グループが企業買収、合併及び営業権の獲得を行った場合も同様の影響が発生する可能性があります。

 

(o) 天災、災害、テロ活動、戦争、生物ウィルスなどの発生や停電による影響について

地震や天災といった災害、国内におけるテロ活動、国内外での戦争の発生や悪性インフルエンザに代表される生物ウィルスの蔓延などの予期せぬ事態により、当社グループの業績や事業活動が影響を受ける可能性があります。また、全国的、地域的な停電や入居しているビルの事情によって電力供給が十分得られなかった場合、当社グループの事業活動とサービスの提供が停止し、当社グループの業績や財務状況に大きな影響を与える可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(平成29年4月1日~平成30年3月31日)におけるわが国経済は、消費や設備投資の拡大を中心とした欧米経済の成長、政府主導の成長戦略等を背景として、雇用情勢・企業収益は引き続き緩やかな回復基調で推移しました。

当社グループが属するセキュリティ業界におきましては、グローバル規模で標的型攻撃等、外部からの攻撃による脅威が多様化・高度化し、従来型のセキュリティ対策では対応が困難な状況となっている一方で、クラウドコンピューティング・IoTAI等、ITの活用はますます拡大しており、新たな脅威に対するセキュリティ対策製品が求められています。加えて、わが国においては2019年のラグビーワールドカップや2020年の東京オリンピック・パラリンピックなど、世界的なイベントを控えて標的型攻撃の対象となる事が懸念されており、セキュリティ強化が急務となっております。

このような状況の中、当社グループの国内事業につきましては、当社グループの強みである「国産・自社開発」を活かしながら、創業以来主力事業としてまいりました「企業・組織内からの情報漏洩対策」に加え、標的型攻撃に代表される外部からの脅威に対するソリューションの企画・開発を推進し、「i-FILTERVer.10、「m-FILTERVer.5を2017年9月にリリースいたしました。これらの製品を導入することで、Webとメールからのマルウェア感染やデータ流出対策がより強固になり、多層防御対策費用や従業員の教育費用の削減が可能となりました。既存ユーザーの無償バージョンアップ、新規ユーザーの獲得が順調に推移していることに加えて、既存ユーザーのみならず新規ユーザーからも、新製品の有効性について高い評価を頂いており、連結会計年度末で過去最速の普及ペースとなる1,500社・200万ライセンスの利用数を獲得いたしました。「企業・組織内からの情報漏洩」対策ソリューション企業から「外部からの標的型攻撃」対策も含む総合セキュリティ対策ソリューション企業へと大きく飛躍する第一歩を踏み出すことができました。 

一方、海外事業につきましては、ファイルセキュリティへの関心がグローバル規模で高まっており、政府系・企業系共に具体的な案件が増加しております。これらの案件を着実に獲得するため、米国子会社FinalCode, Inc.を中心に組織体制の強化と積極的な販売活動を進めました。

 

以上の結果、当連結会計年度における売上高は5,116,969千円(前年同期比101.2%)となりました。また、利益面につきましては、前連結会計年度の公共向け市場における特需の剥落を企業向け市場の成長で回収し、増収を確保したこと、中長期的な成長を目的とした組織・人事戦略の見直しによるリソースの最適配分を行った人件費抑制等を主要因として、営業利益は1,902,917千円(前年同期比104.3%)、経常利益は1,909,377千円(前年同期比105.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,281,924千円(前年同期比113.9%)となりました。

 

各市場の業績は次の通りです。

 

企業向け市場

企業向け市場におきましては、主力製品である「i-FILTER」「m-FILTER」「FinalCode」の販売が順調に推移しました。「i-FILTER」については、標的型攻撃対策や精度の高い内部情報漏洩対策を求める大規模企業の新規案件獲得が牽引いたしました。「m-FILTER」は、内部情報漏洩対策を目的とした案件獲得が堅調に推移し、安定的な成長を確保いたしました。また、「FinalCode」につきましては、テスト導入・スモールスタートを目的とした案件の獲得が一巡し、ライセンス追加・全社導入案件が中心となったことを背景として受注が期末に集中したものの、持続的な成長を確保いたしました。

加えて、前連結会計年度に設立したデジタルアーツコンサルティングにおいても、情報セキュリティ対策強化への意識の高まりから、売上が大きく伸張し、全社売上の成長に貢献いたしました。

 

以上の結果、企業向け市場の売上高は、3,009,322千円(前年同期比116.9%)となりました。

 

公共向け市場

公共向け市場におきましては、セキュリティ意識の高まりから、より盤石な対策を求めるお客様に弊社主力製品である「i-FILTER」「m-FILTER」「FinalCode」の導入が進みましたが、前連結会計年度に各市区町村において活発化したセキュリティ対策向上(「自治体情報システム強靭性向上モデル」)対応、各都道府県におけるインターネット接続口を集約化し、監視機能を強化(「自治体情報セキュリティクラウド」)する動きが一巡したこと、および前連結会計年度に官公庁向けの大型案件を獲得したことによる影響を補うには至りませんでした。

 

以上の結果、公共向け市場の売上高は、1,732,094千円(前年同期比81.5%)となりました。

 

家庭向け市場

家庭向け市場におきましては、携帯電話事業者やMVNO事業者等との連携、1つのシリアルIDで複数OSでの利用が可能な「i-フィルター® for マルチデバイス」の販売に引き続き注力いたしました。

個人向けパソコンの国内出荷台数の減少や携帯ゲーム機でのブラウザー活用の減少等、引き続き厳しいビジネス環境となりましたが、複数年パッケージ製品や、「i-フィルター® for マルチデバイス」の直販が順調に推移し、売上は底固く推移しております。

 

以上の結果、家庭向け市場の売上高は、375,552千円(前年同期比104.4%)となりました。

 

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて547,574千円増加し、7,928,532千円となりました。これは主として、現金及び預金が527,606千円、有形固定資産が31,181千円、無形固定資産が129,616千円増加したことによるものであります。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度に比べて429,688千円減少し、1,680,930千円となりました。これは主として、未払法人税等が169,622千円、賞与引当金が53,479千円減少したことによるものであります。

当連結会計年度末の純資産は合計は、前連結会計年度に比べて977,262千円増加し、6,247,602千円となりました。これは主として利益剰余金が893,010千円増加したことによるものであります。

 

当連結会計年度(平成29年4月1日~平成30年3月31日)の売上高 

 

企業向け市場

公共向け市場

家庭向け市場

合計

 

百万円

百万円

百万円

百万円

 30年3月期

3,009

1,732

375

5,116

 29年3月期

2,573

2,125

359

5,058

 

 (百万円未満切捨)

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、527,606千円増加し、3,826,443千円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,906,472千円及び減価償却費573,514千円の計上等により、1,663,158千円の収入(前連結会計年度末は2,012,282千円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得等により、774,868千円の支出(前連結会計年度末は671,798千円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、293,407千円の支出(前連結会計年度末は503,262千円の支出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

  a.生産実績 

 

当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
 至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

企業向け市場   (千円)

2,851,813

118.9

公共向け市場   (千円)

1,716,091

82.7

家庭向け市場   (千円)

376,548

104.5

 合 計  (千円)

4,944,453

102.3

 

(注) 1 金額は販売価格によっております。

2 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

3 当社グループは、セキュリティ事業のみの単一セグメントであるため、セグメントに係る記載は省略しております。

 

  b.受注実績

当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

  

 

  c.販売実績 

 

当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
 至 平成30年3月31日)

前年同期比(%)

企業向け市場   (千円)

3,009,322

116.9

公共向け市場   (千円)

1,732,094

81.5

家庭向け市場   (千円)

375,552

104.4

合 計  (千円)

5,116,969

101.2

 

(注) 1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

2 輸出販売高はありません。

3 当社グループは、セキュリティ事業のみの単一セグメントであるため、セグメントに係る記載は省略しております。

4 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
 至 平成29年3月31日)

当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
 至 平成30年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ソフトバンク コマース&サービス株式会社

1,097,654

21.7

1,037,408

20.3

ダイワボウ情報システム株式会社

857,164

16.9

976,669

19.1

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は以下の通りであります。

a.経営成績等の状況

当社グループは、「より便利な、より快適な、より安全なインターネットライフに貢献していく」ことを企業理念として、創業当初より企業・組織内からの情報漏洩に対する情報セキュリティソリューションの提供に注力してまいりました。しかしながら、グローバル規模で標的型攻撃等、外部からの攻撃による脅威が多様化・高度化し、従来型のセキュリティ対策では対応が困難な状況となっている一方で、クラウドコンピューティング・IoT・AI等、ITの活用はますます拡大しており、新たな脅威に対するセキュリティ対策が求められていることから、当社グループの強みである「国産・自社開発」を活かしながら、標的型攻撃に代表される外部からの脅威に対するソリューションの企画・開発を推進し、「i-FILTER」Ver.10、「m-FILTER」Ver.5を2017年9月にリリースいたしました。既存ユーザーの無償バージョンアップ、新規ユーザーの獲得が順調に推移していることに加えて、既存ユーザーのみならず新規ユーザーからも、新製品の有効性について高い評価を頂いており、連結会計年度末で過去最速の普及ペースとなる1,500社・200万ライセンスの利用数を獲得いたし、「企業・組織内からの情報漏洩」対策ソリューション企業から「外部からの標的型攻撃」対策も含む総合セキュリティ対策ソリューション企業へと大きく飛躍する第一歩を踏み出す事ができました。

また、上記に加え、情報セキュリティ対策強化への意識の高まりから、子会社のデジタルアーツコンサルティングにおける受注が順調に推移しました。

前連結会計年度、公共向け市場において、官公庁向け大型案件の獲得や地方自治体向け特需があり、当該売上高の剥落があったものの、上記取組みにより企業向け市場で順調な成長を果たし、増収増益を確保する事ができました。 

 
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
資本政策につきましては、企業価値の持続的な向上を目指し、成長分野に対して迅速に投資可能な水準の内部留保の充実と株主の皆様への利益還元を総合的に勘案し、実施していくことを基本方針としております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,826,443千円となっているのに対して、有利子負債残高はございません。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、高付加価値なソリューションを提供するために必要な優秀人材の確保と育成に関する人件費等であります。内部留保については人材の確保と育成に対して優先的に充当し、既存事業の安定的・継続的案成長を持続すると共に、海外展開・新しいニーズの発掘に積極的に取り組んでまいります。
 
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動は、開発部で実施しており、当社製品のユーザビリティー向上のための調査、比較、分析を行い、現製品の改良に向けた検討を図っております。また次期事業のための製品及びサービス提供に向けた技術調査、研究、開発を行い、製品化に向けた活動を実施しております。

なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、15,210千円となっております。